割と物凄い勢いでキャラ崩壊してると思います。
なんといいますか、ここからは迸るカリスマブレイクタイムという感じです。
うん。そこはタイトルから察して下さい。
サイズが小さいのがお好きという方はどうぞお進み下さい。
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それは小さな存在だった。
その異形の者は、本当に小さな小さな存在だった。
しかしソレの力は、幻想郷を揺るがす。
「ん?」
紅魔館門前。
いつものように門の前に立ち、まさにシエスタ中だった美鈴は異質な気配を感じて目を開く。
常に周囲に張っている薄い薄い『気』の膜。
それは紅魔館全体を、いや、湖の外側までも覆うように円状に広がっており、円の中に何者かが侵入してこようものなら直ぐにでも分かようになっている。
美鈴が感じた異質な気配は、向こう側の岸辺りに在る。
自らこの地に来たのか、もしくは境界の揺らぎから迷い込んできてしまったか。
どちらにしても、この紅魔館にとっては招かれざる客。
このまま此方に近づいてこないのならよし。近づいてきてもコチラに害がなければよし。
美鈴の意識が異端者に集中する。
気配は戸惑うように左へ行ったり右へいったりしている。
とてもとても小さい妖気だ。
恐らく美鈴ほど『気』に敏感でなければ分からないくらいに。
「……え?」
だが、その妖気が突如霧散、いや、分裂……違う。弾けた。
細かく分かれて更に小さくなる妖気。
弾け飛んでいく『気』はあまりに小さく、性質が悪いことに数が多い。
それが幻想郷中に風に乗って広がっていく。
砂粒のような妖気の幾つかが、こちらに流れてきていた。
「一体何が……」
美鈴は門番隊の一人に門を任せ、走り出す。
湖の岸辺近くまで一気に走る。
微かに感じる気配はこの辺りだ。
見回すとそこには、ふわふわのボールみたいな体躯に、円らな瞳。
頭には紅いこれまた手触りの良さそうなボンボンを付けた、ぬいぐるみサイズの何かがいた。
「……えーっと………」
うん。どうしよう。
可愛い。
美鈴のほっぺが無自覚に緩んだ。
「ここどこ~?」というように辺りを見回すそれにゆっくりと近寄る。
気配に気付いたのか、それはビクッと体を飛び跳ねさせてぽふぽふと弾んだ。
一挙一動が微笑ましくて、いちいち和んでしまう。
美鈴は「大丈夫ですよ~」と声をかけながら優しい笑みを浮かべ、膝をついて手を差し出した。
それは指先の鼻を近づけてフンフンと匂いを嗅いだ。
良い匂いがしたのだろうか。ずっとフンフンと嗅いでいる。
(そういえばさっき、おやつに咲夜さん特製のマドレーヌを食べたんですよね……)
ポケットを探る。
件の咲夜特製マドレーヌが顔を出した。
美味しくて、でも食べちゃうのが勿体無くて。
だからあとでもう一度じっくりと味わおうと思って、一つだけとっておいたのだ。
美鈴はマドレーヌを千切って、小さな欠片をソレに差し出す。
ソレはまんまるふわふわな体ごと傾けた。たぶん首を傾げている……といった感じだろう。
ソレはマドレーヌの欠片を用心深くフンフンと匂いを嗅いで、それから小さな牙が生え揃った口を開け、欠片に齧り付いた。
もくもくと咀嚼する。すると円らな瞳がキラキラと輝いて、美鈴の指を舐めてもっととねだった。
餌付けは、どうやら大作戦成功したようである。
「えへへ~。咲夜さんのマドレーヌおいしいでしょう~?」
まるで自分のことのように嬉しそうにいって、美鈴はマドレーヌを千切ってまたソレにあげる。
ソレは嬉しそうに頭のボンボン揺らして、もくもくとマドレーヌを食べる。
妖気もそれほど感じないし、放っておいても大丈夫だろうか。
いや、こんなにふわふわまんまるで、しかも力もないのなら格好の獲物だろう。
逆にこの子が危ないかもしれない。
美鈴はソレの頭をそっと撫でてみる。
逃げはしなかった。というか、美鈴に懐いてしまったのだろう。
その手を心地よさそうに受け入れて。そうしてやっぱり、ボンボンを嬉しそうに揺らした。
「う~ん。拾って帰ったらまた怒られるんだろうなぁ……」
でも、このまま放って置くのはちょっと忍びない。
美鈴はどうしようか考える。
ふわふわな毛並みのそれは、本当に触り心地がよくて、自然と顔がニヤけてしまう。
ゆらゆらと揺れる赤いボンボンは、その毛並みよりも柔らかそうで、触ってみたいなぁ~なんていう欲求が湧き上がってきて。
そんな美鈴は、気付けばそのボンボンをきゅっと掴んでいた。
「クポッ!」
「!?」
その刹那、ソレは弾けて美鈴の視界は真っ白になった。
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in 紅魔館 ~ブレイクしてからが本当の勝負だって信じてる ~
第一話 「カリスマブレイク? いいえ此度のメインは瀟洒ブレイクでございます」
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天候は曇り模様。
これは空の天気ではなく、咲夜の心にある空の天気。
その理由は難しいものではない。
館の何処を探しても、とある妖怪が見当たらない。
なんていう、とてもシンプルな理由ものだった。
(どこにいるのかしら……)
別段用があるわけじゃない。
ましてや会う約束をしていたわけでもない。
ただ時間が空いたから。
ただそれだけ。
いつもなら門前か、門番隊達が使っている詰め所。もしくは自分の部屋にいる筈なのに。
しかも、スコップや肥料といったガーデニング用品やガラクタなどが置いてある倉庫も見たのに、見つからない。
ただ会いたいだけ。
顔を見たいだけ。
ただそれだけ。
なのにそれが叶わない。
心の中に、どんどん曇天が広がっていく。
ほんの数時間前、差し入れを持ったのに。
なのに、もうこんなにも恋しい。
そんな自分に自嘲する。
でも、探す歩みは止まらない。
もう一度門番隊の詰め所の方へ行ってみようか。
咲夜はそう考え、足を館の離れに建っている詰め所の方へと運んだ。
詰め所前では門番隊員達が幾人か屯し、何か話していた。
何処か焦りが感じられるような表情をしている。
自然と咲夜の心にもほんの少しの焦りが湧いた。
「どうしたの?」
隊員達は咲夜の声に居住まいを正し、背筋を伸ばして気を付けをする。
どうやら、なんだかんだいいつつも美鈴の躾は行き届いているらしい。
咲夜が視線で何があったか話すように促す。
隊員同士で視線を合わせ、意を決した一人が少々どもりつつも「隊長が帰ってこないんです」と話した。
「美鈴が?」
「はい。少し前、何か異変を感じたらしく出て行ったきり……」
――――美鈴が帰ってこない。
少し強張る、咲夜の顔。
喉の奥に何か詰まってしまったみたいに、息が苦しくなる。
咲夜の不安が映ってしまったのか、隊員達の顔も不安そうな表情を浮かべた。
こんなことではいけない。
咲夜は自分を叱咤すると、キッと強い眼差しで隊員達を見た。
「まだハッキリしたことは分からないのでしょ? 必要以上にこの話は広めないようにしなさい」
「はっ!」
不安を広げてしまうのは、混乱を招くことに繋がる。
咲夜は凛とした態度で告げると、踵を返した。
「少し探しに行ってくるわ。大方、寄り道でもしてるんでしょう」
そうして、背中越しに皮肉げに笑ってみせた。
ナイフをチラつかせながら「お仕置きしなくちゃね?」とも付け足して。
隊員達は震え上がっていたが、緊張は緩和されたようで「いくら相手が隊長だからって、少しは手加減してあげて下さいね」なんて苦笑していた。
(美鈴……!)
しかし、そんなのただの強がりだ。
咲夜自身は内心でかなり焦っていた。
時を止め、走り出
「しゃくやしゃーん!!」
そうとした寸前、門の向こう側からたどたどしい口調とちょっと高めなトーンの、でもどうも聞き覚えがありまくる声が届いた。
「……はい?」
咲夜はぽかんとしながら、瞬きすること五回。
後ろにいる隊員達なんかは完全に言葉を失っていた。
門の向こう側からとてとてと一生懸命に走ってくる影は、どういうわけかとてつもなく見慣れている褪せた緑色の民族衣装を纏った……というか、服に纏わり付かれているというか。
とりあえず、“体のサイズに全く合わないダボダボの服”をずるずると引き摺りながら、「とてとて」という擬音語がとっても似合うような速度で足の動かし方でこっちに来る。
動きに合わせて跳ねる紅い髪を持った小さな人物は、咲夜に向かって両手を大きく振って満面の笑みを浮かべた。
が、その所為で頭の上に被った、これまた“サイズの合わないぶかぶかな帽子”が前にズレてきて視界を塞ぎ、
「わぁっ!?」
バランスを崩して顔から地面に突っ込んでしまった。
「ぁっ……!」
咲夜は反射的に駆け寄る。
小さな小さなその人物は、必死に起き上がろうとしていたが、だぼだぼの服が邪魔をして上手く起き上がれないらしい。
じたばたともがく小さな体を咲夜が抱き起こしてあげると、
「ぅ~」
土で汚れた顔には、大粒の涙が流れていた。
あぁ、どうしよう。
めちゃくちゃ可愛い。
不謹慎だが、咲夜の胸はきゅんきゅん状態だった。
「えと、あの……美鈴、なの?」
って、きゅんきゅんしてる場合じゃない。
咲夜は我に返って、腕の中のちっちゃな少女の顔についた土と涙を拭ってあげなら問う。
年の頃は二~三歳くらいだろうか。
紅い髪は背中の真ん中くらいしかなく、群青色のまん丸な瞳には無垢な光。
体は小さくてふにふにで、今触っているほっぺなんか、つるつるのぷにぷに。
美鈴がいつも着ている筈の服を、小さな体に無理矢理纏って小さな体を隠していた。
「はい。しょーでしゅよ?」
さ行が上手く言えないらしい。
可愛すぎるだろこれは。
咲夜は全力でニヤけそうになる頬を必死で制す。
美鈴らしき子供は自分のちっちゃな手で、顔をぐいっとやって涙を拭く。
でも、下手に擦った所為で土が目に入ってしまったのか、目を痛そうに瞑って「ぅ~」と呻いてまた涙を零した。
「…………」
どうして小さくなっちゃったんだとか。
なんでこんなことになってしまったのかとか。
たぶん聞かなくてはいけないことはたくさんある。
あるけど、けど……。
「っっ……!!」
「ふぇ!?」
咲夜はぎゅぅっと美鈴を抱きしめる。
突然のことにビックリするチビ美鈴。
しかし咲夜は、
「かわいぃ……!!」
と、美鈴のぷにぷになほっぺたに頬擦りをした。
* * * * *
紅魔館の知識人。
動かぬ大図書館ことパチュリー・ノーレッジは、ブルーマジックの花を思わせる深く透き通った瞳で、目の前のものを興味深そうに観察していた。
「…………」
「…………」
今現在いるのは紅魔館自慢(?)の大図書館。
パチュリーの目の前、テーブルの上にはちびっ子になってしまった美鈴がおり、室内にはパチュリーの傍に佇む小悪魔、それから館の主に、美鈴をここまで運んでそのまま居残った咲夜がいる。
一同の視線は机の上に乗せられているチビっ子と化した美鈴と、そしてその原因を探っているパチュリーに集中している。
ちなみに美鈴の格好は、その背丈に合うサイズがあるわけがなかったので、仕方なく咲夜のブラウスを着ているという格好。
長い袖から手が出ないのは当たり前なので、そこはめいっぱい巻り上げている。
「…………」
「…………」
静かな、しかし一瞬たりとも離れない、寧ろ逸れないパチュリーの眼差しに、美鈴は居心地悪そうに視線を彷徨わせた。
パチュリーの視線は、まるで動物実験を観察するようなものに似ている。
美鈴のおでこに、嫌な汗がうっすらと浮く。
「…………」
「…………」
その内、美鈴のくりくりの瞳が次第に潤み始めた。
パチュリーの視線にいい加減耐えられなくなったらしい。
心配そうに見守っていた咲夜が気付いておろおろしだすが、同じく事態を見守る主に視線でそっと制されてしまったので、どうすることも出来なかった。
パチュリーの白い指が美鈴のほっぺを摘む。
そうして、むにっと横に引っ張った。
「いひゃひゃっ!!」
「…………」
傍から見るとチビっ子のほっぺを抓って苛めているようにしか見えない。
パチュリーは唐突に抓って、また唐突に指を離す。
美鈴のもちもちほっぺは「ぱちんっ」と音を立てて戻った。
パチュリーが抓った場所は赤くなって若干腫れてしまい、美鈴は「うぅ~」と唸り、涙目になって自分の小さな手でほっぺを押さえた。
パチュリーは美鈴から漸く視線を外すと、レミリアに向き直る。
此方を向いたパチュリーは若干難しそうな顔をしていた。
レミリアは少し深く息を吸い込んで心を落ち着かせ、問う。
「で、どうなの?」
パチュリーは答えない。
二人の後ろで、もう耐えられなかったらしい咲夜が美鈴を抱っこしていた。
いつの間に用意したのだろうか。その手には冷水で濡らしてきたハンカチがあり、それを美鈴のほっぺたに当ててやっている。
美鈴は冷たいハンカチと、咲夜の腕の感触に泣いた顔を一変。頬を綻ばせて「しゃくやしゃん」と笑った。
その瞬間、緩む咲夜の顔。
メイド長でも完全でも瀟洒でもなんでもない緩々な顔を見て、レミリアは嘆息しそうになりながらもパチュリーの言葉を待った。
パチュリーが、言葉を紡ぐ。
「まったくもって分からないわ」
パチュリーが後ろで小悪魔が、そして前でレミリアがずっこけた。
溜めに溜めて、そして真面目な顔をして何を言ってんだこの魔女は!?
そんな心境ながらも、レミリアは体勢を立て直した。
「わかんないって何よ!? それでも私の親友なの!?」
「わからないものはわからないわ。あと、私はレミィの親友じゃない」
「なっ!?」
突然の言葉に驚愕するレミリア。
チビっ子化した美鈴のことも一瞬忘れてしまうくらいにショックだった。
目を見開くレミリアにパチュリーは冷めた声で、
「親友の期間は終わってしまっているでしょ?」
と、静かに告げた。
あぁ、なるほどそういうことか。
レミリアはパチュリーの言葉遊びにくすくす喉の奥で笑った。
「まぁ、それもそうね」
笑いを言葉に端にひっかけたようにして言うと、パチュリーは口の端を僅かに上げた。
惚気るご主人様達と、イチャ付き始める咲夜と美鈴に挟まれた小悪魔は深い溜息をつく。
そんな小悪魔にパチュリーは耳元で何かを命じ、小悪魔はもう一度溜息をついて、そこから姿を消した。
「小悪魔に何を?」
「別に。ちょっとしたお遣いよ」
ふ~ん。と、相槌を打ちながらも何処か訝るような視線をレミリアは送る。
しかしパチュリーは相変わらずの態度でスルりとかわした。
「……で? 本当に何も分からないわけ?」
「えぇ。ただわかっていることは、美鈴がこうなってしまったのは何かの魔法の所為ということだけ」
「魔法? ならパチェの専売特許じゃない」
「そうね。でも、残念ながらこれは“この世界”の魔法じゃないみたい。私じゃどうすることも出来ない」
二人が真面目に話しているというのに、咲夜はチビっ子化した美鈴をひたすら可愛がっている。
あぁ、今日も幻想郷は平和ね。
レミリアは諦観にも似た思考でそう思った。
なんかもうこのままでもいい気さえしてくる。
「あと、美鈴にかけられた魔法は肉体の退行化が主らしいけど、知能にも多少影響を与えてるみたい」
「どんな?」
「まだ詳細は不明だから推測の域は出ないけど、見かけからして低くなるんじゃないかしら」
「子供っぽくなるってこと?」
確かにさっきから咲夜に構われて嬉しそうに笑っている。
……いや、こんなのいつも通りだろう。
美鈴は普段から子供みたいに無邪気だし、もともと犬のような性格をしているから判断しづらいことこの上ない。
「まぁ、その点は問題なさそうだけど」
「かわいい、美鈴……」
「じゃあ、パチェ。命とかに関わるような問題は?」
「しゃくやさん、くしゅぐったいでしゅよ~」
「ないと思うわ。でも、美鈴が小さくなった時に戯れていたという妖怪が分からないことには、何とも……」
「ほんとに可愛い」
「話によると、その妖怪は分裂して幻想郷中に広がったらしいね……他でもこんなことが起きてるっていうの?」
「しゃくやしゃんのほうがかわいぃでしゅよ?」
「可能性は高いでしょうね。一度竹林の医者にも診てもらったほうが……」
「そんなこと……だって美鈴、こんなにちっちゃくなっちゃって……」
「あの医者か。いまいち信用が……」
「えへへ~。も~、しょんなにぎゅってしたらくるしぃでしゅよ~」
「「…………」」
真面目な会話と会話の合間に入ってくる、ハート駄々漏れな咲夜と美鈴の声。
レミリアとパチュリーは次第と無言となり、ぶっちぎりでイチャコララブラブする二人に視線を投げた。
「だって……可愛いんだもの……」
「わわわっ! しゃ、しゃくやしゃっ! ふふ、か、かみあたって、ふ、はは、く、くしゅぐった、くふふっ、ふ、ははは」
咲夜は美鈴をぎゅっとして頬擦りをする。
美鈴は咲夜のサラサラの髪が首筋に当って、声を上げて笑っていた。
呆れるほどのラブラブっぷりに、レミリアは心が折れそうになるが、
「ねぇ、ちょっと」
そこは我らのカリスマだ。
レミリアは勇気を出し、思い切って声をかけてみた。
「ふふ。ずっとこのままでもいいかも」
「えー、やですよぉ。こんなにちっちゃくちゃ、しゃくやさんのことまもれましぇんもん」
「美鈴……」
「でも、しゃくやしゃんにだっこされてるのはしんしぇんでいいでしゅね」
「そうかも。私も新鮮だし……嬉しい」
「うれしいんでしゅか?」
「だって美鈴の方が大きいでしょ? 私の手や腕だけじゃ、足りないなぁ~って思って……」
が、完全に無視られた。
(無視ったわね。この私を無視ったわね。完璧に無視ったわね……)
主を無視するとは何事か。
完全に二人の世界ですかそうですか。と、むっとしたおぜう様は、
「ってか、咲夜の場合、美鈴を包み込めるところはもっと別にあ」
「そこまでよ」
「がふっ!?」
何かを言おうとした。
何かとんでもないことを言おうとしやがった。
でもその寸前で脳天にパチュリーの一撃をもろに喰らい、レミリアは床に悶え転がる。
パチュリーチョップを今の瞬間ほど有り難いと思ったことはない。
「ちょっとパチェ! なんでいつもいつも私の脳天カチ割るの!?」
「もう、しゃくやしゃんってば、しょんなことおもってたんでしゅか?」
「レミィが毎回毎回下品なことを言おうとするからよ。削除されたいの?」
「そんなことって……酷いわ。割りと真剣に悩んでたのに……」
「「…………」」
ダメだ。この状態だとふざけた会話でもまともに出来ない。
レミリアはまた口を噤み、今度は美鈴に声をかけてみた。
「だって、しゃくやさんのては ちいしゃくなんてないでしゅもん。わたしにとっては とってもおおきいでしゅよ? しゃくやさんのうでのなかだって、とってもあたたかくて、いごこちのいいばしょでしゅし」
知能もそれなりに低下するんじゃなかったのか。
なんだその甘ったるい台詞。
レミリアは性質の悪い胸やけを感じて、げっそりとした。
「しゃくやしゃんのて、きもちぃ……」
「そう? じゃあもって触ってもいい?」
「えへへ~。もちろんでしゅよ~」
イチャイチャラブラブイチャイチャラブラブ……のエンドレス。
プログラムのミスの中で一番怖いのは無限ループというやつだが、これはそれにも似たエンドレスリピートだ。
このカリスマが従者の為に悩んでいるというのに、なんなんだコイツ等は。
レミリアはこめかみに青筋を浮かせ、口の端をひくひくさせた。
「服も買いに行かなきゃね。これじゃあ動きにくいでしょ?」
「いっしょにおかいものでしゅね~」
「ふふ。覚悟してね? 可愛いの選んであげるから」
「ぅ。それはちょっと……うごきやしゅくて、きのうせいじゅーしでおねがいしましゅ……」
あぁ、そうだ。
無限ループを止めたいのならば、強制終了しかない。
「イチャコくんなら他でしろぉー!!!!」
なので、とうとう我らのカリスマがキレた。
大声を張り上げた。
牙をむき出しにして怒った。
咲夜はその声に肩を跳ねさせたが、直ぐに背筋を正して「はっ! 申し訳ありません」なんて申し訳なさそうな声音で、しかし凛とした態度で頭を下げる。
でも、そんなゆるんゆるんな顔で言われても説得力ゼロだった。というかマイナスだコノヤロー。
(誰が主で、誰が従者で、それから誰がどのくらいカリスマなのか……もう一度教え込む必要があるようね………)
引きつった顔で嫌な笑みを浮かべるレミリア。
隣にいるパチュリーはそんなレミリアなど気にも留めず、「もうそろそろかしら……」と時計を見ていた。
「咲夜、美鈴……貴女たちにはもう一度教育がひつ」
「メイがちっちゃくなっちゃってほんとぉー!?」
「ひでぶっ!!?」
レミリアの言葉を、誰かの叫び声が遮る。
それは愛しい妹君。フランドールは図書館の扉を破壊しながら勢いよく突っ込んで来る。しかし残念ながらレミリアのことを眼中に入れてなかったらしく、自分の姉をぶち飛ばしながら急停止。
ぶっ飛ばされたレミリアはそのまま壁へ漫画みたくめり込んだ。
「あ、いもうとしゃま!」
「きゃぁー! メイちっちゃいよ!? うわぁー、ちっちゃいちっちゃい!!」
咲夜に抱っこされている美鈴を見て、フランドールの瞳はキッラキラと輝く。
はしゃぎまくるハイテンションなフランドールは、羽根をパタパタと大きく動かして咲夜と美鈴の周りをくるくる飛んだ。
「ご苦労様」
きっとフランドールは物凄い勢いで飛んできたんだろう。
それを必死に追いかけながらも、やっぱり追いつけずに少し遅れて図書館へと戻ってきた小悪魔に、パチュリーは労いの言葉を軽くかける。
小悪魔は息を切らしながら「い、いえ……」と辛うじて答え、ぶっ飛ばされて未だ壁にめり込んだままのレミリアを見た。
「それよりもレミリア様が……」
「そうね。壁が可哀相。あとでレミリアに責任を持って直して貰いましょう」
「…………」
鬼だ。
この人は魔女とか、そんな生ぬるいもんじゃない。
鬼畜と呼ばれる鬼の類だ。
壁から抜け出そうともがくレミリアに、同情と哀れみが入り混じったような眼差しを向ける小悪魔。
手足はなんとか抜けたようだが、頭が抜けないようでレミリアは必死にもがいている。
ちょっと、いや、かなり……ごめんなさい、正直ほんとにカッコ悪すぎる。
小悪魔の目から涙がほろほろと溢れた。
「メイちっちゃぁーい。かわいー!」
「はひゃっ! あはは、いもうとしゃま、くしゅぐんないでくだしゃいよ~」
「ふふ。美鈴、かわい……」
そんなこんなで、チビっ子美鈴と紅魔館の愉快な仲間たちの生活が始まったのであった。
* * * * *
「まぁ、そういうことだから。咲夜、後はお願いね」
何がそういう事なのか。
パチュリーはそう告げ、壁から未だに頭を抜くことが出来ずに「んーっ! うーっ!!」と唸りながらもがいているレミリアにこっそりと魔法をかけて席に戻る。
魔法がかけられた瞬間、みしみしと軋みをあげて徐々に壊れ始めていた壁の揺らぎが止まった。
レミリアの筋力を弱体化させたのか、それとも壁の耐久力を上げたのか……いや、パチュリーの性格を考えるとその両方だろう。そして恐らく、スペカや妖力までも封じる魔法も組み合わせ術式を組んだ筈だ。んでもって誰も助けられないように結界まで張った筈だ。
この魔女は、本当にどれだけレミリアにカリスマブレイクをさせれば気が済むのだろうか。
パチュリーの言葉に、フランドールと一緒に美鈴と戯れていた咲夜がいつもの調子で凛とした声音で返事をするが、相変わらず顔はゆるゆるだった。
レミリアは相変わらず「うぉーっっ!!」と唸っているのに、従者的にそれはどうなんだ。
「あ、お嬢様は……」
良かった。ブレイクしていても瀟洒だ。
例え視線はフランドールとじゃれ合っている美鈴に向けていても、顔が緩々のままでも。
「あぁ、このままでいいわ。面白いから」
しかしパチュリーはさらっとそう言って、本を開いて読書を始めて、
「左様ですか」
咲夜もパチュリーの言葉をさらっと了解した。
いやいや、ダメだろ。ほんとにダメだろ。
レミリアのあまりの不憫さに、小悪魔はまたこっそりと泣いていた。
「ねぇ、ねぇ、咲夜。メイの服はずっとこのままなの?」
「いえ、町にでも行って調達してこようかと思ってます」
「いもうとしゃまもいっしょにいきましゅか?」
どうしようかと、まるで何処かに出掛ける予定でも立てるかのように楽しげに話す咲夜とフランドールに、「……咲夜」とパチュリーの静かな声がかかった。
「服なら、魔法の森にいる人形師に丈夫な物を作ってもらいなさい。その時はこの術式を編み込ませて」
パチュリーは本からは目を離さずに淡々と紡ぎ、小悪魔へ目配せする。
小悪魔はとある棚の紙の束から一枚だけ取り出して、咲夜に渡した。
その紙面には複数の数式と何かの文字が羅列している。
声音とは裏腹なパチュリーの言葉に、咲夜は口の端を柔らかく上げた。
「畏まりました」
「ねー、パチェ。私も一緒に行ってもいい?」
フランドールは、美鈴の小さくなってしまった手をちょこんと握って、無垢な視線を向ける。
パチュリーはフランを一瞥だけして、それから、
「……ダメよ」
と、静かに言い渡した。
「……そっか。分かった」
「妹様?」
てっきりパチュリーは了承を出すと思い、そして許可されなくても駄々をこねる。
そう予想していた咲夜は、不思議そうに瞬きを繰り返した。
「じゃ、いってらっしゃい」
フランドールはにっこりと笑って、でも何処か寂しそうに笑う。
手を離そうとしたフランドールの指先を、今度は美鈴が掴んだ。
「メイ?」
いつもより、もっともっと無垢な色をした瞳。
でもやっぱり美鈴には変わらない。
美鈴は穏やかな光を灯した瞳で、
「かえってきたら、あしょびましょーね?」
と、笑った。
「うんっ!」
元気に頷くフランドールに咲夜は安堵し、美鈴と揃って「いってきます」と言って図書館を出た。
常時の静けさが戻る図書館。
後ろでレミリアが相変わらず唸ったり呻いたりしているので、台無しだったが。
フランドールは口を少しだけ尖らせて、何もない虚空を睨んでいる。
その顔は、寂しさを誤魔化す時にフランがする顔だ。
パチュリーは本を閉じ、フランドールを席に招く。
「オレンジジュースでいい?」
「……うん」
フランドールが頷くのに少し遅れて、目の前にオレンジジュースが置かれる。
小悪魔も性質の悪い主を持っている為、こういう事にはなかなか長けているようだ。
フランはオレンジジュースを口に含み、椅子から投げ出されている足をブラブラとさせた。
「怒ってる?」
パチュリーの声は、相変わらず静かだ。
首を横に振るフランを見て、パチュリーはそっと苦笑を漏らした。
「肉体の退行化。それは肉体の弱体化を意味している」
「うん」
「今の美鈴は、いつもの美鈴じゃないの」
「……うん」
カップの縁を詰まらなそうに噛みながら、頷く。
パチュリーはフランドールの頭に手を置いた。
はちみつ色の柔らかい髪を指先で梳くように撫でると、くすぐったそうに肩を竦める。
「分かってるよ、パチェ」
フランドールは微かに笑う。
そうして、自分の小さな手を見た。
小さいけど、でも今は美鈴よりも大きな手を。
「ねぇ、もっと大きくなれたら……そしたら、うまくコントロールできるようになるのかな?」
それを静かに見つめ、言う。
パチュリーは何も言わず、ただフランドールの頭を撫でた。
「んーっっ!! ぅぐふっ! ぅ、うー、うー!!」
(誰か助けなさいよー!!)
二人の後ろで、カリスマのブレイクは専ら続行中であった。
* * * * *
「寒くない?」
「はい。だいじょーぶでしゅよ」
咲夜の腕の中で、美鈴は至極ご機嫌そうに答えた。
魔法の森上空。
咲夜は美鈴をしっかりと抱き抱えて、緩やかな速度で飛んでいた。
落とさないように慎重に。
寒くないよう、風が当らぬように。
それから、ちょっとだけ長くいたいから。
そんな穏やかな速度で、咲夜は空を滑空する。
美鈴は咲夜にしっかりと掴まって、嬉しそうに笑っていた。
「えへへ」
「どうしたの?」
「だって、いっしょにとぶなんてこと、ないじゃないでしゅか」
確かにそうかもしれない。
一緒にのんびりと館の周りを散策したりはたまにするが、一緒に空を飛ぶことなんて今までなかった気がする。
そんな必要もなかったし、何より美鈴は地面に足が付いているのが好きみたいだったから。
美鈴はにこにこと無邪気に笑いながら、緩やかに流れる景色に目を輝かせる。
そうして、
「しゃくやしゃんとおんなじけきしがみれて、うれしーでしゅ」
そう、言った。
小さくなっても、やっぱり美鈴は美鈴だ。
だって、くれる言葉のいちいちが、こんなにも嬉しい。
「うん。私も、嬉しい……」
言葉にして伝えると、また笑う。
無邪気であどけない笑顔。
可愛い。
胸の中がくすぐったくて、咲夜は美鈴ぎゅぅっと抱きしめる。
美鈴は楽しげに高い声を上げた。
「あぶないでしゅよー」
「だって、美鈴の子供体温を味わいたいんだもの」
ゆるくゆるく、空を飛ぶ。
こんな風に飛ぶのは初めてかもしれない。
でものんびりと飛んでいても目的地には着いてしまうもの。
森の中にひっそりと佇む小さな洋館を見つけ、咲夜は高度を落とした。
(帰りはもっとゆっくり飛ぼうかしら……)
着いてしまったけど、また帰り道がある。
その時は人里の方へ寄り道もしてしまおう。
買出しだと言えば咎められることはない筈だ。
職権乱用というやつだが、たまにはいいだろう。
洋館の前に静かに着地する。
こぢんまりとしているが、それが逆に『人形の館』のような雰囲気を醸し出している。
薄暗い森も相俟って、雰囲気だけは抜群だ。
咲夜が洋館のドアを数回ノックする。
木の扉が小気味良い乾いた音を奏で、それに少し遅れてドアノブがカチャリと下り、ドアが開く。
サラサラとした薄い金色の髪。白磁のような肌。サファイアと見紛う程に美しい瞳。
比喩ではなく、本当に人形のように整った容姿を持った人物がやや仏頂面で顔を出した。
「ごきげんよう?」
仏頂面や無表情なのがデフォのようなもの。と、勝手な、しかし実際間違ってはいない認識を持っている咲夜は、別段気にすることなく言葉を発する。
それに倣って、美鈴も咲夜の腕の中から「こ、こんにちは」と、遠慮がちに発した。
「…………」
その人物、七色の人形使いの二つ名を持つ、アリス・マーガトロイドは無言でしばしば二人を交互に見つめた。
珍しく上機嫌な咲夜を見て、次に咲夜の腕の中に収まっている美鈴を見て、また咲夜を見て。それから少々俯き気味になって、額に手を当てた。
何か考えているらしい。
「「?」」
二人はアリスの行動と態度に、顔を見合わせて小首を傾げる。
アリスは溜息をつき、一拍の間を開けてから、
「子供が生まれたのなら早く教えてよ。水臭いじゃない。お祝い金とかプレゼントとか、何も用意してないわよ」
「なっ!?」
「へ!?」
と、物凄いことを言ってのけたので、二人はすっとんきょうな声を上げてしまった。
そんな二人の様子に、今度はアリスが首を傾げる。
「その子、アンタとあの門番の子供じゃないの?」
「ちち、ち、ちがっ!!」
真面目な顔をしてとんでもない事をいうアリスに、咲夜と美鈴は首を全力で横に振った。
「え、だってこの前生理がこないどうのこうのって言ってなかった?」
「えぇ!?」
美鈴が驚愕の表情で、腕の中から咲夜を見上げる。
咲夜はその視線にも首をブンブン横に振る。
「い、言ってないわよ! だ、大体美鈴は、その、ちゃんと……」
あの胡散臭いスキマ妖怪から貰ったという、その……なんというか、子供が出来ないように付けるものをちゃんと装着してしてくれているから、とりあえずそんな可能性は低い。
まぁ、そういう行為をしているのだから、出来てしまってもおかしくはないが、でも子供はまだ早いというか。
いや、もちろん美鈴との子供なら欲しいに決まってるけど。
「あれ? 咲夜じゃなかった? う~ん……あ、霊夢か」
思い違いに気付き、手をポンと叩くアリス。
しかしその言葉はやはり驚くべきもので、二人はまた揃って声を上げた。
あのスキマ妖怪め。人にそういう物をやっておいて、自分はおざなりとはどういうことか。
これは事の真相を確かめに行かねばなるまい。
「で、あんたの子供じゃないんなら、その子供はなんなの?」
ボケボケでしかもかなりのマイペースなアリスに、ちょっと疲れを感じ始める咲夜。
溜息を吐きたいのを押さえつつ、「この子が美鈴よ」と説明した。
「…………」
アリスはまた考え込んでいる仕草をする。
咲夜を見て、咲夜の腕の中の美鈴を見て。んでもって、じっと美鈴を見る。
それから溜息を吐いた。
「レミリアの悪戯? それともパチュリーの実験?」
「今回はイレギュラーよ」
「そう。でも、これ本当にあの門番?」
「はい。ほんめーりんでしゅ」
アリスの訝りの眼差しに、美鈴はにかっと笑って答えた。
「ふぅ~ん」
アリスは淡白な態度で頷くと、「ちょっと貸して」と腕を広げる。
咲夜は若干渋々といった様子で美鈴をアリスに渡した。
「これがあの門番ね~」
幻想郷は不思議で満ちているので、こんなことが起こっても、ぶっちゃけ不思議じゃない。
驚くかと思ったが、意外にも冷静なアリスに咲夜はちょっと感心する。
アリスはそのままぎゅっと美鈴を抱きしめると、家の中に引っ込んだ。
パタンと、咲夜の前でドアが閉まる。
「…………」
……あれ?
「ちょ、ちょっとアリス!? さり気なく美鈴誘拐しないでー!!」
コノヤロー! 油断した!!
咲夜は瀟洒らしからぬ動揺した様子でドアをガンガン叩いた。
* * * * *
「全く。油断も隙もないわ……」
アリス邸宅にて、プリプリした様子で紅茶を飲む咲夜。
勿論、その膝には奪還に成功した美鈴がおり、アリスお手製のクッキーを頬張っていた。
「ついよ。探究心が疼いたの」
「……次やったら、その探究心ごと切り裂くわよ?」
向かい側に座り、咲夜とは正反対の落ち着いた様子で紅茶を飲むアリスに、咲夜はじと目を送る。
美鈴はクッキーを美味しそうに頬張って幸せそうな顔をしていた。
(……帰ったら私も美味しいお菓子を作るもん)
クッキーにまで嫉妬しないでメイド長。
「美鈴、付いてる」
「ふぁい?」
クッキーを口いっぱい頬張っていて上手くしゃべれないのか。
美鈴は訛った口調で返事をして咲夜を見上げる。
口の周りにクッキーの屑がたくさん付いていた。
両頬いっぱいにクッキーを入れているらしく、まるでハムスターやリスのような小動物みたいで可愛らしい。
咲夜は瞬時に頬の緩みを全開にすると、布巾で美鈴の口の周りを拭いてやった。
「もう。そんなに慌てて食べないの」
「だっておいしいんでしゅもん」
「……私の作った料理よりも?」
「んと、しょの……しゃくやしゃんのりょーりはあいじょうがいっぱいいっぱいはいってるので、もんだいがちがうとゆーか……」
「ふふ。じゃあ帰ったら愛情たっぷりのシュークリームを作ってあげる」
「わぁーい!」
「……イチャこくんなら他でやってくれる?」
紅茶が甘い。
砂糖も何も入れてない筈なのに、まるで角砂糖をゴロゴロ落としたかのように甘い。
アリスはその端整な顔を歪めながら、二人から視線を外す。
直視したら死ぬ。
死因は糖分の過剰摂取と記録されるに違いない。
(そんな間抜けな死に方はしたくないなぁ~)
そんな事になったら、お母さんが色々な意味で悲しむ。
アリスは冷静にそう思いながら、二人のラブオーラの所為で激甘になった紅茶を口に含む。
……甘くて死にそうだったが、食べ物を粗末にするわけにはいかないから。
「そういえば、なんで家に来たの?」
「あぁ、忘れるところだったわ。美鈴ってばこんなにちっちゃくなっちゃったでしょ? だからこの体に合う服を作ってもらおうと思って」
「もしかして、ここを洋服屋かなんかと勘違いしてない?」
今日三度目の溜息を零し、アリスは脱力した。
「ここってよーふくやしゃんだったんでしゅか?」
また美鈴がズレたことを言ってる。
しかし今はチビっ子。小さいは正義……とまではいかないが、可愛いは正義なので許そう。
「せめて人形屋って言ってよ。って、違うから。店じゃないから。大体なんで私がこの子の服を?」
「パチュリー様が貴女に作って貰えって仰ったのよ。はい、コレ」
咲夜はパチュリーから賜ったメモをアリスに渡す。
美鈴や咲夜にとっては意味不明な出鱈目過ぎる走り書きだったとしても、魔法使いであるアリスにとって、それは大変興味深い数式と文字の羅列。
アリスは紙面を舐めるようにじっくりと見つめ、「面白いわね」と、小さくだが好奇心と喜色が滲んだ声を発した。
「あらゆる魔法を拒む退魔の陣に、物理的なダメージをある程度遮断する簡易結界の術式……みたいね。これを服に織り込めって?」
確かに、こんなこと私くらい器用じゃないと出来ないだろうけど。
アリスは自慢でもなんでもなく、ただの事実としてそう付け加えて、紙を裏返す。
そこにはパチュリーの顔のようなマークがあり、アリスが触れるとメッセージが出現した。
「……しょうがないわね」
アリスは嘆息する。
それは「諦めた」という意味が込められた短い溜息。
出現したメッセージには、この前貸して欲しいと伝えていた書物を数日の間だけ貸してやってもいいということが書いてあった。
それは以前、魔理沙がマスタースパークを五、六発打ち込んでも壊せなかったという強固な結界で守られている本棚に保管されている書物。
魔理沙でさえ奪えなかったのだから、自分に盗れるわけがない。まぁ、盗むなんてスマートじゃないことはしないけど。
だから半ば諦めていたのだが、服を作るだけでそれが読めるなんて、棚から牡丹餅もいいところだ。
アリスはパチュリーからのメモを傍で待機していた上海に渡し、蓬莱に布の用意を指示する。
「じゃあ早速取り掛かりましょう」
アリスは相変わらずの淡白な声で告げ、すっと立ち上がり指を振るう。
上海人形がアリスの手の上にメジャーを置いた。
「直ぐに作れるの?」
「正確なサイズがわかれば一、二時間ほどで」
ちょっとコッチに来て。と手招きするアリスに、美鈴は咲夜の膝からぴょんっと下りた。
しかしそのまま歩くと、丈の長い咲夜のブラウスの裾をズルズルを引き摺ってしまう。
美鈴は慌てて裾を持ち上げ、てとてとと歩いてアリスの前に立つ。
アリスはメジャーを伸ばしながら美鈴の前に片膝を付いて……そこで、咲夜を見て美鈴を見て、また咲夜を見て、少々俯き気味に斜め下へと視線をやり、もう一度咲夜を見た。
「……今度は何よ?」
いい加減その仕草の意味が分かってきたので、咲夜は眉間に少し皺を寄せ、訝るように視線を送った。
アリスは美鈴を指差す。
「この下って、もしかしなくてもポン? はんポンでもなんでもなく、ポン?」
「は、はんポン?」
真面目な顔をして、なんか可愛らしい言葉を使うアリス。
「ポン」というのは、多分スッポンポン、つまり裸のことを言っているのだろう。
しかし「はんポン」とは?
咲夜は少し考えて、「もしかして、半分だけポンって意味?」という結論に至り、「はんポン=半裸」という答えを導き出した。
「えぇ、ポンよ?」
咲夜が紅茶を飲みながら頷くを見て、アリスはまた美鈴に視線をた。
美鈴はアリスが何を言いたいのか分からず、きょとんとして、くりくりの目でアリスを見上げていた。
「これ、アンタの服よね……」
「えぇ。だって着れる服なんてなかったし」
「ブラウスの下はポンなんて……知ってる? ブラウスって透けるものなのよ?」
「ぶっ!」
あぁ、今更過ぎる。
咲夜は紅茶を勢い良く噴き出し、美鈴をアリスの前から、それは人類が出せるスピードなのか? というほどの速度で美鈴を攫い、真っ赤な顔をしながら自分の腕の中に閉じ込めるように美鈴を抱き締める。
アリスはそんな咲夜に「アンタがそんな変態だったなんて知らなかったわ」と、冷淡な声で追い討ちをかけた。
「ちっちゃいからっていっても、許されることと許されないことがあるでしょ」
「だ、だってだって気が付かなかったんだもの! しょうがないじゃない!!」
「いやいや気付くでしょ。ふつーに気付くでしょ」
アリスは内心で呆れながらも突っ込みを入れる。
咲夜は徐々に泣き出しそうな顔になっていった。
「だって……ちっちゃくなっちゃった美鈴可愛くて、それで他のことなんて全部何も考えられなくなっちゃって………」
「……しゃくやしゃん」
耳や尻尾があったのなら、間違いなく力なく垂れて震えているだろう。
そんな咲夜に、美鈴は腕の中から手を伸ばして咲夜のほっぺたを小さな手で撫でる。
「はだかなんていましゃらじゃないでしゅか。きにしゅることないでしゅ。しゃくやしゃんになら、みられたってだいじょうぶでしゅよ?」
優しくて柔らかな手の感触。
骨ばってなくて、指なんか短くてぷにぷに。
ふと頬が緩みそうになる。
「さり気なく惚気てるところ申し訳ないんだけど、問題はそこじゃない気が……それに、そうやって肯定しちゃうと幼女のカラダ見て嬉しがる変態の部類に咲夜を入れることになるわよ?」
「!!?」
咲夜が物凄い勢いでアリスを見る。
その蒼い瞳には驚愕だとか混乱だとかが入り混じっていた。
「な、そっ……!!」
咲夜は何か言いたいらしいが、脳みそが空回りしているらしく上手く言葉を紡げない。
美鈴が心配して「しゃくやしゃん」と呼ぶ。咲夜はその声に反応して、美鈴に視線を向けた。
「っっ!!!」
途端、顔を真っ赤にした。
裸だとか、透けてるとか。
アリスが変なことをいうから、変に意識してしまって。
丸みを帯びている肩だとか、白いお腹だとか、美鈴らしからぬ真っ平らな胸だとか。
目の前には、ブラウスから透けて若干見えてしまっている幼い裸体があるわけで。
しかも、それは誰よりも大事で大切で、大好きな美鈴なわけで。
「は、早く服作ってー!!」
咲夜は自分の視線から隠すように美鈴を抱きすくめ、か細い声で叫ぶ。
ぎゅっと抱き締められてしまい、美鈴は咲夜の胸の中でもがいていたが、咲夜はぎゅぅっと抱き締めたまま離さない。
「……アンタが抱き締めてちゃ作れないってば」
あぁ。もうヤダ、このバカップル。
アリスはもう何度目か分からない溜息を吐いた。
* * * * *
あーだこーだと注文してくる咲夜と、機能性重視だと訴えてくる美鈴。
アリスは咲夜の注文は自分好みでもあったので応えても良かったのだが、フリルをいっぱい使われた可愛い服を作ってくれたとしても、自分は門番なのでどうせ汚してしまう。と、チビのクセに丁寧に辞退されてしまったので、機能性重視な子供服を作ること小一時間。
そこにパチュリー考案の術式や魔方陣を縫い込み、編み込むこと一時間半。それから肌着や下着なんかも作ってあげたので、プラス三十分。
計三時間で作業を終えたアリスは、若干ぐったりとしていた。
アリスが作業に没頭している間、二人は傍でずっとイチャイチャしていたので、性質の悪い胸焼けを起こしているらしい。
出来上がった服を纏い、腕を伸ばしたり屈伸したり、軽く腿上げをしたりする美鈴。
アリスが作ったのは、美鈴がいつも着ている服を元としたデザインになっていた。
半袖の白いシャツの上に、パチュリーの術式を織り込んだ少し厚手の布で作った、襟高でノースリーブのトップス。色は鮮やかな緑色で、背中には金色の糸で龍が刺繍されている。
下は動き易そうなシンプルな半ズボン。しかし転んだ時に膝を保護するように、丈の長さは膝下あたりまであり、コチラにもパチュリーの術式が織り込まれている。
余談だが、美鈴が着ている上の半袖の白いシャツは咲夜が着せていた件のブラウスから作られている。
美鈴的に、動きにくさから言ったらこのままでは不都合なのは本当で、でも心地よさならばこのままでも良いという感じだった。
咲夜のブラウスからは、当然咲夜の匂いがしていて、なんだかずっとぎゅっとされているようで居心地が良かったから。
勿論、アリスが作業を始める前にその旨を伝えた美鈴を咲夜がまた可愛いといって抱き締めたというのは当然のことで、作業がなかなか始まらなかったというのは当然の結果だったが。
「どう?」
「はい。とってもいいかんじでしゅ」
にこにこと嬉しそうに笑って礼を述べてくる美鈴に、アリスも自然と笑顔になる。
花が綻んだかのようなあどけないアリスの表情に、美鈴はもっと笑顔になった。
「ありしゅしゃんは、わらってたほうがかわいいでしゅね」
「え?」
照れか、アリスの頬に朱が仄かに散る。
大人の姿の美鈴に言われたのなら、ここでドキッとしてしまう場面だが、今は子供。
純粋に嬉しくて、アリスは「ありがとう」と照れ笑いをした。
そんなほのぼのしてる二人に、咲夜はむぅっと唇を尖らせる。
美鈴を抱っこして、「浮気は許さないわよ」と拗ねた顔をした。
「やきもちでしゅか? ふふ。かわいでしゅね~」
そんな咲夜の頬を両手で包んで、宥めるように撫でる美鈴。
どっちが子供なんだか分からない。
「しゃくやしゃんは、いつだってかわいーでしゅよ」
「ほんと?」
「はい。だって、しゃくやしゃんはわたしのおひめしゃまでしゅから」
咲夜は美鈴の言葉に、嬉しそうに口許を綻ばせる。
そんな顔をすると、本当に年相応の女の子という感じで、可愛らしい。
美鈴はそんな可愛い咲夜を見て、表情を柔らかく緩めた。
(うん。今日の夕食は唐辛子とか、わさびとか、キムチとか、とにかく辛いものをいっぱい使った料理にしよ)
ついでにぜんぶり茶とか買ってこよう。
うん。体に良いことこの上ない。
絶対にそうしよう。
アリスは今日の夕食の献立を思い浮かべながら、現実逃避する。
幸せのお裾分けなんていりません。糖分も間に合ってます。
お願いだからお引取り下さい。ってか、さっさと帰れ。
「シャンハーイ……?」
上海人形が疲れた顔をするアリスを心配して、傍に寄ってくる。
蓬莱人形も、足元にちょこんといて、アリスのスカートの裾をくいっと弱い力で掴んでいた。
「うん、ありがとう。私の味方はあなた達だけよ」
出来ればシリアスな場面でこう言いたかった。
アリスは色々な意味で涙ぐんだ。
「もう用が済んだんなら帰ってよ。これ以上は本気で糖分の過剰摂取で死ぬわ」
「え、あぁ、そうね」
完全に二人の世界にいた咲夜は、アリスの言葉に一瞬反応が遅れる。
でも返事をしてくれただけでもマシだ。
どっかのカリスマは無視られたのだから。
咲夜は何処にもっていたのか、中心に『龍』と書かれた星型の飾り物の付いた、色褪せた緑色の帽子を取り出して美鈴に渡した。
美鈴は受け取ると、サイズの合わないぶかぶかの帽子を頭にぽふんと被る。
しかし、大きな帽子は頭をすっぽりと覆ってしまい、視界を邪魔してくる。
後頭部を覆うような形で、後方へとズラして何度も調節をし、丁度良い被り具合を一生懸命に探す美鈴。
そうして丁度良い場所を見つけ終えると、帽子を触っていた小さな手は、きゅっと咲夜の服を掴んだ。
「ありがとうアリス。助かったわ」
「ありがとうごじゃいました」
咲夜はお美鈴を抱きかかえ直して、礼を述べる。
美鈴も笑顔で、行儀良く頭を下げた。
子供の笑顔というのは、不思議な力がある。
アリスも自然と笑顔になる、そんな力だ。
アリスは「どういたしまして」と上海人形と蓬莱人形を抱き抱えながら、二人を玄関まで送った。
「おにんぎょうしゃんたちも、ありがとうごじゃいました」
咲夜の腕の中で、もう一度美鈴が頭を下げる。
上海と蓬莱もぺこっと頭を下げた。
「あ、言い忘れてたけど。美鈴がこんな風になったのは、外の世界から迷い込んできた妖怪の仕業らしいわ。貴女も気を付けて」
「分かったわ。パチュリーによろしくね」
手を軽く振り、咲夜は美鈴をしっかりと抱き締めて飛び上がる。
夕焼け空が、木々の葉っぱの合間から少しだけ見えた。オレンジ色の光が、零れてくる。
その空へ、咲夜と美鈴の姿は消えて行った。
「ふぅ……」
森は静かだ。
騒がしかった分、余計にそれを感じる。
アリスは抱き締めた上海と蓬莱に微笑みかけた。
二体の人形は小首を傾げたが、アリスは「なんでもない」と苦笑を零して家の中へ戻ろうとした。
しかし、近くの茂みに何かの気配を感じ取り、足を止めた。
「?」
ガサガサと、茂みが微かに揺れる。
そこに現れたのは――――。
* * * * *
はてさて、アリス邸を後にした咲夜と美鈴。
咲夜は買出しと称して人里へ寄り、美鈴と存分にデート紛いなことをした後、紅魔館に向かってゆったりと歩いていた。
「はんば~ぐ~ はんば~ぐ~♪」
咲夜の隣で、美鈴は上機嫌に歌いながらてとてとと歩く。
美鈴の右手には小さめの袋があり、左手は咲夜の右手と繋いでいた。
「そんなに嬉しい?」
「はいっ。しゃくやしゃんのハンバーグおいしいんですもん」
美鈴は喜びを表すかのように、繋いだ手を揺らす。
咲夜の右腕も、一緒になって揺れた。
咲夜は左手で持っている、いっぱいの食材が入った袋を抱え直し、繋いだ右手もきゅっと握り直す。
並んで歩く。
美鈴の小さな手を握って、ゆっくりと。
小さな美鈴の狭い歩幅に合わせて、ゆっくりと。
夕焼け空の下、長い影が二つ伸びた。
今日はハンバーグは花丸の形で作って、それで真ん中には半熟の目玉焼きを置いてあげようかな。
そんなことを考えていると、いつの間にか美鈴の歌う声は静まっていた。
「美鈴……?」
美鈴は遠くを見ていた。
思わず声をかけるとその視線は咲夜を見上げた。
夕日の光が群青色の瞳に流れ込む。
にへへ。と、笑った顔は、何処か不安そうだった。
「どうしたの?」
歩みを止め、その場にしゃがみ込む。
視線の高さをなるたけ合わせて問うと、美鈴は「なんでもないでしゅよ」と笑った。
やっぱり、何処か不安そうな顔で。
「私には言えないこと?」
繋いでいた手を離して、その手を美鈴の頬へ。
頬を包み込んであげた後でふと、これは美鈴がよくする仕草の一つだということに気が付いた。
一緒にいる内に遷ってしまったのかななんて思って、同時に、それくらいには長く一緒にいるんだな。なんて、少し感慨深く思う。
美鈴は咲夜の問いに首を横に振る。
それから、不安げな眼差しで咲夜を見上げた。
「しょの……いつまでこのままなのかなって、おもって……」
本当は、ずっと不安だったのかもしれない。
それに気付かずに、ずっとはしゃいでいた自分が恥ずかしい。
咲夜は心の中で「ゴメンなさい」と謝ると、美鈴の頭を撫でた。
「大丈夫よ。パチュリー様だって今調べて下さっているし……」
こんな言葉、気休めにしかならないだろう。
でも咲夜がそう言ってしまうのは、美鈴には少しでも笑っていて貰いたいからだ。
小さくなったってなんだって、美鈴が美鈴であることには変わらない。
大好きな美鈴であることには、変わらない。
美鈴は笑おうとしていたが、頭を撫でる咲夜の手を取り、じっと見つめた。
それから、不安が少し増したかのような顔をした。
「わたしのて、ちっちゃくなっちゃいましたね」
咲夜の手と、自分の手を重ねて、美鈴が呟く。
いつもなら大きな美鈴の手。
今は、咲夜の華奢な手にも収まってしまう小さな手。
咲夜は、美鈴が不安がっている理由を、自分が勘違いしていることに気が付いた。
美鈴が不安だったのは、美鈴自身のことじゃなかった。
美鈴は紅魔館の門番。
それは紅魔館の盾ということ。
盾とは、主を守る者。
(……しょうがないな)
咲夜はそう思って、苦笑する。
小さな、でもやっぱり大きな手を、ぎゅっと握った。
「小さくなんかないわ……私の手なんかより、ずっと大きい」
美鈴が数時間前に言ってくれたことを、そのまま返す。
やっぱり、小さくたって美鈴だ。
皆のことを守ることしか頭にない、しょうがない人だ。
だから、ねぇ。
今くらいは、私に甘えてよ。
私だって貴女のこと、誰よりも守りたいって思ってるから。
「大丈夫よ。美鈴が笑顔なら、みんなの笑顔は守れるから」
言葉の意図を読み取れなかったのか、美鈴は小首を傾げる。
咲夜はにっこりと笑い、「帰りましょう」と握った手を引く。
美鈴のお腹の虫が「くぅ~」と、頼りない声で鳴いた。
「おなかしゅきました」
「そうね。みんなもきっと待ってるわ」
早くかえろう。
お家へかえろう。
空腹を誤魔化すためか、美鈴が歌い出す。
咲夜もそれに合わせて、一緒に歌った。
小さな手でも、そこにあるのはいつもと同じあったかな温もり。
ぎゅっと握って、家へ帰る。
小さくても、やっぱり大きくて。
だから、やっぱり美鈴には敵わないな。
なんて、咲夜は思った。
To Be Continued...
よくわかってらっしゃる!
美鈴かわいいよ美鈴。うふふ…
はやく結婚しちゃえYO!
逆に体を張ったお笑い担当になってしまったおぜうさまに乾杯!!
腹黒ハウスキーパーが幻想入りとかちょとsyれにならんでしょ
マジで震えてきやがった…怖いです; ;
二人の子供と勘違いされるぐらいには大人な関係だと知られているわけだ
さりげに子作りしちゃってるゆかれいにも興奮するぜww
ロリス楽しみにしてるよ!!
甘いぜ。
マスター、ブラックコーヒー一つ
咲夜さんがイチャイチャして激甘空間を張っているのは
とても面白いです。
ただレミリアの扱いがかなり悪いなぁって思います。
そこが残念な部分ですね。
そして次の幼女化はアリスだという……。
続きを楽しみにしています。
アリスの勘違いシーンに悶えました。
続きが楽しみです!!
因みに・・・避妊してる、だとッ!?
ぜひともアニメ化してくれ!!
ついにきた。