Coolier - 新生・東方創想話

星の見える夜に

2009/01/12 23:05:48
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「はぁ・・・」

アリスは、一人空を見上げながら溜息をついた。
ここは星がとてもよく見える河原。
アリスのお気に入りの場所だ。
昔から、悩んだり、考え事をするときは、ここで寝そべって
星を見ながらと決めている。
そのアリスが、今まさしくその行動をしているということは、
何かを考えているということで。

「魔理沙は、やっぱりあの巫女のことが好きなのかしら・・・」

何かとは、何を隠そう魔理沙のことであった。
アリスは魔理沙のことが好きだ。
同性じゃん。というツッコミは、ここ幻想郷では自動的にスルーされるので、
問題はそこではない。
最近、魔理沙はいつも博麗神社にいる。
魔理沙は遊びに行ってると言うが、その頻度は、どう考えても
普通ではなかった。
ならば当然、博麗神社の巫女、博麗霊夢に会いに行っていると
考えるべきではないだろうか。
会いに行っているということは、イコール、魔理沙は、霊夢のことが好きと
考えるべきで。
二人がどういった仲なのかアリスにはよく分からないが、
もしかしたら、もうあんなとこやこんなとこまでいってるかも知れない。
そのことを考えると、アリスは、堪らなく不安になるのだ。

「はぁ・・・」

アリスは、もう一度溜息をついた。
今度は、一度目より深く、沈むように。
そりゃ、霊夢は、いつも家で一人で人形を作り、友達の数を
聞かれると何も言えなくなるアリスと比べれば、それはそれは魅力的かも知れない。
いや、そんなこと関係なく、霊夢は素で魅力的だ。
いつもはとてもクールなのに、困ってる人がいると助けずにはいられない、優しい一面もある。
さらに、とても強い。
アリスは、一度も霊夢に、弾幕戦で勝ったことがなかった。
正直なところ、アリスは、そんな霊夢を妬んでいた。
良いところばかり、むしろ良いところしかない、完璧な巫女。
しかも、魔理沙が霊夢のことを好きかも知れないとくれば、尚更だ。

「私って嫌な奴・・・」

霊夢をそんな風にしか見れない自分に自己嫌悪したアリスは、
目の前の星達に、もう一度目を向けた。
今日は、星が特に綺麗に見える。
私も、この星達ぐらい綺麗になれれば、魔理沙も振り向いてくれるかな・・・。
そんなことを考えたりもした。






ガサッ、と物音がなった。
アリスは、ビクッとして、上半身を素早く起こし、音のなった方を向いた。
そこにいた人物を見て、アリスは、固まってしまうほど驚いた。

「やぁ。今晩は。」

そこには、アリスを悩ます人物の一人である、
博麗霊夢がいた。

霊夢は、ゆっくりアリスに近づいてきた。
その間、アリスは霊夢に何か声をかけようとしたのだが、この状況に適切な言葉が、
何も見つからなかった。

(何で?どうしてあんたがここに来るのよ!?)

アリスは、霊夢が何か企んでいるとしか思えなかった。
何故って、今まで霊夢と話したことなんて、ストーリー上仕方なくやった
幾つかの弾幕戦のときだけだ。
それ以外でも、魔理沙の仲立ちで何度か会いはしたが、
両者の間に話は全くなかった。
そんなことを思い出しているうちに、霊夢は、アリスの横まで来て、

「隣、いいかしら?」

と聞いた。
アリスが、困惑気味に「ええ。」と答えると、霊夢はそこに座り込み、

「星が綺麗ね。」

と呟いた。
アリスはこの間、霊夢の顔を、穴が開きそうなくらいジーッと見つめていた。
信じられない。
というのが、アリスの正直な感想だ。
何度も言うが、アリスはこの巫女と、必要最低限しか喋ったことはない。
知り合いかどうかで言えば、答えはもちろん「No」だ。

「どうしたの?私の顔に何か付いてる?」

アリスが余りにも霊夢の顔を見つめていたので、霊夢の方が痺れを切らし聞いた。
アリスは、急いで霊夢から目を逸らすと、「いや、別に。」と、早口で答えた。
霊夢は、「そ。」というと、さもそれが当然のように、アリスの横で、また星を見上げた。
二人並んで星を見ているその姿は、傍から見れば、「友達」そのものだった。






二人の間に会話はない。
アリスはチラチラと、何度か霊夢の方を盗み見るが、何か行動を起こしてくる様子はなかった。
むしろ、霊夢の顔には、アリスと並んで星を見ているのがいかにも心地よさそうな、
安らかな表情が浮かんでいた。
そんな表情を見てると、何だかアリスの方も気が抜けてきた。
変に警戒している自分が馬鹿らしくなってきたので、やっぱり星を眺めることにした。
本当、今日に限って何でこんなに綺麗なんだろう。
まるで、二人に気を使ってくれてるみたいじゃないか。
アリスは、何だか妙な気分になりつつも、星を眺め続けていた。






どれくらいそうしていただろうか。
霊夢の口から、

「ねぇ。」

という言葉がこぼれた。
アリスは、突然言葉を発せられたので、少しビクッとなって、

「な、何?」

と答えた。
薄れていたアリスの警戒心が、少しだけ戻った。
霊夢は、アリスの方を見ず、星を眺めた体勢のまま

「わ、笑わないで聞いてね・・・?」

と続けた。
笑うな?
この巫女は私に何を話すつもりなのだろう?
アリスは疑問に思った。
よく見ると、霊夢の顔は少しだけ赤くなっていた。
そして、これから重大な告白をするかのように、スーハー、スーハーと
深呼吸をしている。
やがて、霊夢は何かを決心したかのように大きく息を吸い込むと、







「私、実はマリアリ派なのよ!!」

と吐き捨てるように言った。

「・・・は?」

それが、その告白を聞いたアリスの第一声だった。
霊夢は、顔を真赤にし俯いている。
アリスは、言われた言葉の意味をすぐに理解できなかった。
マリアリ?そんな単語は一つしか心当たりがない。
しかし、そんなことがあるのか?
いつの間にかアリスは手で頭を押さえていた。
そして、その体勢のまま、

「えーと、・・・それって、私と魔理沙のカップリングをこよなく愛するっていう、あれ・・・?」

と、絞り出すような声で聞いた。
霊夢は、無言のまま、しかししっかりと頷いた。



(・・・OK。状況を整理してみよう。
私は魔理沙が好きだ。
しかしその魔理沙は霊夢が好きっぽかった。
それで悩んでいると、私の隣に、なんとその霊夢がやって来た。
しかも霊夢は、私と魔理沙のカップリングが好きだという。
何だこれ。本当に何だこれ。)



アリスは、正直もう何が何だかという状況だった。
どう反応すればいいかわからないが、とりあえず、「何で?」と霊夢に聞いてみた。

「「何で?」・・・ですって・・・?」

どこからか「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・」となってきそうなぐらいの霊夢の気迫。
やばい。こりゃ何か踏んだ。

「あんたら見てるとニヤニヤしっぱなしになっちゃうからに決まってんじゃない誰から見ても完全に相思相愛の癖に素直になれないツンデレカップルが大体あんたもあんたよ魔理沙があんだけ迫ってんだから少しはそういう素振り見せて上げなさいよそのせいで魔理沙は・・・」

「ちょちょちょちょちょちょ!!ストップ!!」

「?」

「今、相思相愛って・・・」

「?それが何か?」

「魔理沙は、あんたのことが好きなんじゃ・・・」

「・・・あんたそれ、本気で言ってる?」

本気も本気。大真面目だ。
そのことで散々悩んだのだから。
しかし霊夢は、アリスを信じられないといった感じの目で見たあと、

「呆れた・・・。魔理沙も相当だけど、あんたもアレなぐらい鈍いのね。」

と言った。
アレってドレだ。などというツッコミは、今のアリスには思い浮かばなかった。

「それって、どういう・・・」

「魔理沙は、あんたのことが好きなのよ。」

「!!」

魔理沙が私のことを、好き・・・?

「それ、本当・・・?」

「ホンット鈍いのね。あんたって。魔理沙からそういう素振りあったでしょう?」

「でも、最近は毎日あなたの家行ってるし・・・」

「あれは、「アリスとどうやったら仲好くなれる?」って、毎日私に相談してくるのよ。あんたら二人ともツンデレだからね・・・。互いに、自分から誘うのは気恥ずかしいんでしょ?」




アリスは、何も言葉を言えなかった。
私は魔理沙が好きで、魔理沙は私が好きで、霊夢は私と魔理沙のカップリングが好き?
これって・・・





「ぷっ!
あははははははははははははははははははははははははははは!!」

アリスは、笑いがとまらなかった。
その異様な笑いように、霊夢はぎょっとしている。
でも、そんなの関係あるもんか。
一人で散々悩んでた自分が馬鹿らしい。
私は、なんて勿体ないことをしていたのだろう。
こんなことなら、もっと前から、素直に自分の気持ちを伝えればよかった。
家に一人でこもってないで、どんどん外に出て行けばよかった。
全く、今までなんて無駄に時間を過ごしていたのだろう。
少し後悔したが、それ以上に、アリスは幸せだった。
笑い声は、アリスが疲れて、肩で息をするほどになるまで、幻想郷になり響いていた。







「ハーッ、ハーッ。」
「さすがに笑いすぎよ。大丈夫?」

みかねた霊夢がアリスの心配をした。
アリスは「大丈夫。」と答えたが、顔は嬉しさのあまりか、にやけていた。
これから魔理沙と、どんなことをしよう。
どんな場所へ行こう。
どんな思い出を作ろう。
そういうことを考えると、にやけずにはいられないのだ。

「それよ。それ。」

不意に、霊夢がそう言った。
何のことかと思い、アリスが霊夢の方を見ると、

「ツンデレもいいけど、その、「好きな人を思うと居ても立ってもいられない」っていう女の子の可愛い笑顔を、あいつの前でもしてあげなさいって言ってるの。」

と、霊夢が満面の笑みで言ってきた。
いや、満面の笑みというよりは、意地悪な笑み、だが。
アリスの顔が、カァーッと、みるみるうちに赤くなっていった。

「べ!別にあいつのこと思って笑ってたんじゃなくて・・・!」

「はいはい。そういうことにしとくから。そのツンデレはあいつにとっときな。」

「ツ、ツンデレをとっとくってどういうことよ!!」

二人がネタ合わせ後のようにピッタリ息の合った漫才をしていると、そこにもう一人、例の人物がやってきた。

「アリスー!霊夢ー!何やってんだー、そこでー!」

魔理沙である。

「噂をすれば何とやら、ってやつね。ほら、行ってきな。」

霊夢は、アリスの背中をポンと叩いた。
アリスは、一瞬困惑した表情で霊夢を見たが、すぐ決心したように頷くと、魔理沙の方へ走っていった。

「私より先に霊夢とアリスが一緒に居るなんて珍しいな。何やってたんだ?ここで。」

やはり、魔理沙の前に立つと緊張してしまう。
つい強がったことを言ってしまいそうになる。
でも、今は霊夢がいる。
霊夢が、勇気をくれる。
マリアリが好きだ。と言ってくれた、霊夢の期待に答えたい。
そして何より、自分のために。
自分と魔理沙の、未来のために。






「今、霊夢と一緒に星を見てるんだけど・・・、魔理沙も一緒に、どう?」

言えた。
初めて、魔理沙を何かに誘えた。

魔理沙は、一瞬驚いた顔をした。
魔理沙の方から何かに誘うことはあっても、アリスの方から何かに誘われたのは、初めてだったからだ。
だが、すぐ笑顔に戻り、「もちろん!!」と、満面の笑みで答えてくれた。







(昼、魔理沙に「積極的になってみたら?」って言っといてよかったわ。
しかし、こりゃ、私邪魔ね。)
楽しそうに談笑しながらこっちに来る二人を見て、霊夢は思った。
マリアリ派として、もう少しいい雰囲気の二人を見ていたいが、せっかくの二人の時間を邪魔しちゃ悪い。
霊夢は、いかにもわざとらしく、

「いけない、神社の電気点けっぱなしだったわ!すぐ戻って消さないと!
じゃ、あとはごゆっくり、御二人さん♪」

と言って、空を飛んだ。
二人に呼び止められたが、無視して飛んだ。
背中から、

「ふ、二人っきりになったけど、これは三人から一人減って二人になっただけだから、勘違いしないでよね!!」

「お、おう!当たり前だぜ!だれが好き好んでアリスなんかと二人に・・・」

「わ、私だって、誰が望んで魔理沙なんかと二人に・・・」

という会話が聞こえる。
いい加減素直になれよ、と苦笑いしながら思う霊夢だが、何だかんだ言って並んで星を見ている二人を眺めていると、
やっぱりマリアリっていいなぁ。と思ったりもする。

「もし離れるようなことがあったら、私が絶対くっつけ直してやるから、覚悟しておけよ。」

霊夢は、気付かれないように二人に言った。
まぁ、この二人なら、心配はないだろうが。
まるで、二人の仲を祝福しているかのように、星が綺麗な夜だった。
自分はまだ東方についての知識が浅い、いわゆる「にわか」なので、文章中、おかしなところが多々あったかと思います。
そのようなところは、コメントで指摘して頂ければ嬉しいです。

なにはともあれ、読んで下さり有り難う御座いました。

(追記)
評価や指摘、有り難う御座います!

そうですね……。確かに自分は、東方や小説の書き方についての勉強が圧倒的に足りていませんでした。
今思ってみると、「にわか」という言葉も、そんな自分を正当化する言い訳でしかありませんでしたね……。もう一度修行し直して出直してきます。

改めて、読んで下さった皆様、評価を下さった皆様、指摘をして下さった皆様へ、最大限の感謝を。
有り難う御座いました!
カブトガニ
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コメント



0.520簡易評価
1.40名前が無い程度の能力削除
>にわか
そういうことはここでは言わないほうが幸せです。
東方についての知識をつけるのが時間的制約から大変でも、東方wikiやイザヨイネットなどを
用いてつければいいと思います。書く以上はそのぐらいの取材はあってしかるべきです。

また、
>同性じゃん。というツッコミは、ここ幻想郷では自動的にスルーされる
も、ちゃんとその突っ込みに答えうるだけの惚れる過程や、その突込みを分かっていてのアリスの葛藤を描いたほうがよいものに仕上がると思います。百合はここでは賛否どちらもそれなりにありますが、やるならやるで本気でやられるべきかと。

話を紡ぐ力はもっていらっしゃると感じました。
16.50名前が無い程度の能力削除
書きたいものがあって書いたという気持ちがよく伝わってきて個人的には好印象です。
でもその気持ちに技術のほうがまだまだ追いついていないという印象も受けました。
具体的に言えば、
・地の文の文頭は一マス置くこと。
・三点リーダーは「・・・」と使うのではなく「……」と二組で使うこと。
・括弧、鉤括弧を閉じる際には句点はつけないこと。
・感嘆符、疑問符などの符号を使った際、一マス置くこと。
これらは小説の基本的な作法で、そこを直すだけでずっと読みやすい文章に変わることかと思います。
東方の知識をつけるのに併せて、書籍なりインターネットなりで小説の書き方についてのハウツーを学ぶこともレベルアップに大きく役立つはずです。
また、ここに投稿された他の方の作品を読んでいくことも二次創作というものがどういうものかを掴む手段として手っ取り早いと思います。
なんか偉そうな文章になってしまってごめんなさい。応援してます!
17.40名前が無い程度の能力削除
話としては素敵です

一つツッコミです
>一度も霊夢に、弾幕戦で勝ったことがなかった
この話の時期が判らないのであれですが
少なくとも萃夢想や緋想天で霊夢はアリスに普通に倒されています

東方の設定は公式HPにもそれなりに書いてあります
イザヨイネットやwikiやMUGENwikiやニコニコ大百科にもそれなりに情報があってお勧めです
抜粋でも一部欠けていたり、改変が混じるので過信はしない方がいいですが
20.100名前が無い程度の能力削除
にやにやしちゃったぜ