Coolier - 新生・東方創想話

~東方騎士伝2・ハイル ジーク・ジオン~

2008/12/23 23:16:30
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注意 必見
この作品はクロスオーバーとなっております
そういった物が嫌い・苦手な方は回れ右
構わないよって奇特な方はお先へどうぞ
注意 必見




























木々の陰で何者かが蠢く音がする
がしゃがしゃと金属の擦れる音、しゅうしゅうという荒い呼吸音、そして聞いたことも無い様な奇怪な鳴き声
無数に蠢くその気配の中に、一際強い気配を発する者がいる
不気味に輝くその一つ目が周囲を見渡し、何事かを指示する
その言葉に反応し、周囲を覆っていた影は数体ずつその場を離れ、やがてその全てが消えた
そして、影達を率いていた一つ目は、音も無く闇へと溶けていった


「ナイトさんは『すだどあか』からいたしたんですよね、それって外の世界とは違うんですか?」
「厳密に言えば違うのでしょうね、詳しい部分は分かりませんが」
犬走椛は何時も暇潰しをしている滝の近くで、見慣れない姿の人物と話をしていた
外とは異なる世界、スダ・ドアカから流れ着いたという異形の騎士、騎士(ナイト)ガンダム
彼の話すスダ・ドアカの事を聞く度に椛は目を輝かせていた
まるで物語のようなナイトの冒険譚は、椛に強い憧憬の念を抱かせた
「この世界にはMS族はいないのでしょう?」
「そうですね……人間と妖怪だけですし」
その妖怪は多数の種類がいるのだが、ナイトのようなMS族は見たことも無い
その事からも、ナイトがやってきた世界が幻想郷とも外の世界とも違う世界だという事が分かる
「偶に外の世界から人間が流されてくる事もありますけど、ナイトさんも?」
「いや……私の場合は少し違います」
不思議そうに小首を傾げる椛だったが、ナイトはあやふやな笑みを浮かべて答えをはぐらかした
(やはり意図的に結界を越えるには強い力が必要か……向こうからなら何とかなったが)
やや難しい顔で黙り込んでしまったナイトに、椛が訝しげな顔を向けた時、場違いに明るい声がかけられた
「おーっす、また来たぜ、犬パシリ……って誰だ、そいつ?見慣れない奴だけど」
「犬走です!!こちらはナイトさん、『すだどあか』からいらっしゃったそうです」
「始めまして、魔法使い殿」
折り目正しく挨拶され、魔理沙が珍しそうな瞳で箒から飛び降りる
幻想郷でただ一体のMS族、好奇心の塊である魔理沙が興味を抱かない筈がなかった
「へぇ……私は霧雨魔理沙だ、よろしく」
「先日見かけましたよ、炎の剣に手を焼いていたみたいですね」
ナイトにしては珍しい軽口に、魔理沙が思わず憮然とした表情を見せる
既に椛が拾った二つの武具――『炎の剣』と『力の盾』はナイトの手元に戻っている
お前さんの物か、と残念そうな声音で呟く魔理沙
折角レア物のマジックアイテムだったのに、と愚痴が続く
そんな魔理沙を見ながら、椛は苦笑を浮かべていた


「確かにちょっと妙ね」
「ちょっとでもないだろうに」
怠惰な巫女こと博麗霊夢の目前で上白沢彗音は溜め息をついた
森での異常な妖怪惨殺の一件を相談しに博麗神社まで出向き、今さっき(薄い)お茶を出されたところだ
「実を言うとね、あんたが言いに来る前にも噂は聞いてたのよ」
「天狗か?」
「そういうこと」
幻想郷最速のブン屋、射命丸文の横顔を思い出しながら霊夢が答える
彼女曰く「謎の妖怪の出現ですか!?」との事だったが
「でも話を聞く限りじゃ単なる妖怪って訳でもなさそうね」
「あぁ……ある程度の知性を持った妖怪、それも多数だ」
惨劇の場所は複数箇所に点在している、それだけ数が多いという事だ
尚且つ相手を惨殺する残虐性と姿を隠す知性を併せ持っている
もしかしたら誰か指揮を執っている者がいるのかもしれない
「見に行ってみましょうか、そこ」
「……随分と早い決断だな」
軽い驚きを声に滲ませて、彗音が霊夢の顔を見返す
何時も何時も動き出すまでは時間の掛かる霊夢にしては本当に珍しい即断即決だ
「ん……何か嫌な感じがするのよ、腹立たしいくらいね」
「そうか……」
逆に言えば霊夢がこれだけ早く動かざるを得ない程の異変かもしれない、という事なのだろう
出された(薄い)茶を口に含みながら、彗音はほんの少しだけ背中に寒気を感じた
「薄いぞ」
「文句があるなら飲むな」


「彼ら」は木々の陰から空を見上げていた
自分達の世界とは何もかも違うこの世界においても、空だけは同じ様に青い
だが、そんな感傷は「彼ら」にとって心のほんの僅かな部分を占めているに過ぎない
「諸君、そろそろ我々の真の実力を見せる時が来た」
凛とした声音に、「彼ら」の視線が一点に集中する
その視線の先にある深紅の鎧を纏った一つ目の騎士は、知性と勇猛さを併せ持った雰囲気を醸し出していた
「我々はこの世界の実力を図る意味で、この地のモンスターを討伐した」
深紅の騎士は足元に転がる妖怪の残骸を一瞥し、次いで周囲に視線を巡らせた
「このモンスター達がこの世界の平均であるとは限らない、だが我等の実力は確かにこの世界の騎士達に知れた筈だ」
右手を握り締め、力強く振り回す光景に「彼ら」の中から溜め息が漏れる
「既にこの世界の騎士が我等を探っているのは間違いあるまい。であれば、次の戦いは壮絶なものになろう」
深紅の騎士は足元に突き刺さっていた剣を抜き、それを天にかざす
「臆するな!我等の命は全て我らが主の為にあるのだ、それを忘れるな、ジオンの諸君!」
おお、という唸り声が響き、「彼ら」が手に手に得物を振り上げて声を張り上げる
「ハイル、ジークジオン!」


「……ちょっと失礼」
「どしたの、椛」
ナイトと魔理沙、それに後からやってきた谷カッパの河城にとりの四人で話し込んでから早数時間
一言断ってから立ち上がった椛に、にとりが不思議そうな顔を向ける
「……何か出ましたか」
何かを感じ取ったのか、ナイトが腰を上げる
その雰囲気に当てられたか、魔理沙も同じ様に立ち上がる
「はい。ちらっと見えたんですが……あれは普通の妖怪じゃありませんでした」
「どんな奴らだ?」
真剣な表情で答える椛に、魔理沙が好奇心と真剣さが半々といった顔で問いかける
「見たことも無い妖怪が沢山と、ナイトさんみたいな鎧を着た一つ目の妖怪達がいます」
「一つ目の騎士か……」
何か心当たりでもあるのか、ナイトが思案顔になる
にとりと魔理沙の視線が交差する中で、ナイトが慎重に言葉を紡ぐ
「場所は分かりますか、犬走殿」
「は、はい。……山から少し離れた、西の方角です」
西か、と小さく呟いてナイトが視線を巡らせる
手には炎の剣と力の盾が握られており、ナイトの秀麗さに見事に溶け込んでいる
「……申し訳ありませんが、失礼します。もしかしたらそれは私の探している連中かもしれません」
「仲間か?」
「生憎と」
魔理沙に苦笑を浮かべて答えるナイトは、炎の剣を天に翳す
ひゅんと風が唸り、周囲に魔力が充満する
突然の事に目を丸くする三人を尻目に、魔力がナイトを包み込んで鎧を形成する
空のように青い鎧が完全に作り出されると、ナイトは炎の剣を一振りする
「またマジックアイテムか?」
「『霞の鎧』といいます」
物珍しそうに問いかける魔理沙に、炎の剣・力の盾・霞の鎧を装備したナイトは凛々しい顔を向ける
そのまま身体を西の方角に向け、足を踏み出す
だが、その背中に声がかけられた
「私も行くぜ、面白そうだしな」
「あの、私も行かせて下さい。今日は非番ですから」
魔理沙が付いていくというのは半ば予想していたが、椛までそんな事を言うとは
そこそこ付き合いの長いにとりが驚いているとはつゆ知らず、椛は真剣な目でナイトを見る
二人に宣言されたナイトは数瞬だけ考えたが、静かに頷いた
「お二人とも中々の実力者とお見受けしました、では手伝って頂けますか」
魔理沙が満足そうに箒を手に取り、椛は自前の武具を持ち直す
「じゃあ、行ってきます、にとり」
「無理しちゃ駄目だよ」
心配そうに言い聞かせるにとりに信頼の笑みを返し、椛は空中に飛び上がる
魔理沙は箒に跨り飛び立とうとしたが、思い出したようにナイトに視線を向け直した
「そういやどうすんだ、飛べるのか?」
「心配ご無用に」
笑みを浮かべたナイトは山を登ってきた時と同じ様に小さく呟いた
「『呪文』スキップ」
唱え終わると同時に、ナイトの姿が掻き消える
驚いたように目を丸くする椛の瞳は、次の瞬間には離れた空中を跳躍するナイトの姿を捉えていた
「おいおい……魔法を使うのは魔法使いの役目だぜ」
苦笑交じりに呟いて、魔理沙は跳躍するナイトの後を追う
やや遅れて椛もその後に続き、三人の影は次第に小さくなっていった


紅の吸血鬼の住む館、紅魔館を望む場所に紅魔湖は時ならぬ騒ぎに包まれていた
「何なのよ、こいつらっ!!」
湖の氷精チルノは力任せに弾幕をたたき付けた
爆発音が響き、周囲にいた妖精達が同じ様に弾幕を打ち出す
「どーよ!?」
自信満々に言い放つチルノだったが、爆煙と水煙が治まると影が再び動き出す
スダ・ドアカのモンスター、キラーズゴックとタートルゴック、クラブマラサイが湖の底から湧き上るように出現する
その姿を見て、チルノが忌々しげに再び弾幕を撃つ
「全然減らないじゃん。どうなってんのよ!?」
チルノや他の妖精の弾幕で確かに打ち倒されてはいるが、数が多い
自身のイライラをぶつける様に、チルノは弾幕を撃ち続けた


かさかさという音と共に、素早い動きで周囲を走り抜ける
巨大な害虫の姿をした相手に、七色の人形遣いアリス・マーガトロイドは忌々しい目を向けた
「リグルの眷属って訳じゃなさそうね――でも勘弁して欲しいわ」
左右に上海と蓬莱の両人形を展開させつつ、溜め息を吐く
視線の先にいるのはモンスター・コックローチバイアランの群れ
間違っても見ていて愉快になるような相手ではない
一つだけ分かっているのは、こいつらがまともな相手ではないと言う事だけ
僅かに唇を噛むと、アリスは人形を繰り始めた


「頑丈ねぇ」
「それにアンデットかしら」
「呑気に解説しないで下さい!」
永遠亭の周囲でも異変は続いていた
レンガのような色した巨大な影と、骸骨に似た姿をした怪物が崩れた隊列で取り囲んでいる
八意永琳の弓が正確に骸骨の身体を打ち抜くが、怪物は僅かに姿勢を崩したが鈍い足取りは止まらない
ふむ、と頷いて今度は怪物の頭部を射抜く
すると今度は呆気ないほどに倒れ、光へと返っていく
「頭が弱点ね。優曇華、貴女はあの骸骨を相手なさい」
「師匠は?」
「姫と一緒にあの大きい方を倒すわ」
モンスター・ストーンズザを相手に弾幕を張っていた蓬莱山輝夜はうんざりしたように永琳を顧みた
「えーりん、こいつら無駄に硬いんだけど」
「はいはい、お手伝いしますよ」
モンスター・スケルトンドーガを弟子に任せ、永琳は弓を構えた


霊夢の封魔針が数発、鎧を叩く
何発かは弾かれたものの、何発かは正確に鎧を穿ち貫いた
手にした斧を落とし、断末魔のうめき声を上げながら、戦士ザクは光と消えた
「面倒ねぇ」
口調こそ変わらないものの、霊夢の表情は真剣なものだった
現場の様子を見に行くだけだったのだが、突如としてこの襲撃だ
傍らでは彗音がやはり同じ様に弾幕で応戦している
戦士ドムが倒れ、騎士ゲルググが光へと消えていく
「こいつら――何者だ?」
「私が知る訳ないでしょ。そこにいる赤いのに聞いたら?」
忌々しげに向けた視線の先には、深紅の鎧に身を包んだ一つ目の騎士がいる
同じ様に視線を向ける彗音を横目で見ながら、霊夢は陰陽玉を打ち込む
陰陽玉は騎士マラサイの頭を打ち抜き、それを眺めていた深紅の騎士に感嘆の声を上げさせる
「流石だな、この世界の騎士よ」
ひょいと剣を取り、霊夢と彗音に視線を向ける
その姿に相手の実力を感じ取ったか、彗音の背筋に僅かながら冷や汗が流れる
「私が相手をしよう――見せて貰おうか、この世界の騎士の、実力という物を!!」
陽光を反射し、深紅の騎士サザビーの鎧が輝く
次の瞬間には霊夢目掛け、凶刃が振り下ろされていた


「はぁぁぁぁ!!」
炎の剣が輝き、騎士ジオングの身体が両断される
傍らではモンスター・バウンドウルフの身体を魔理沙の弾幕が消し飛ばし、椛は自前の剣で騎士ギャンを切り倒す
「こいつらが知り合いか?」
「知ってはいますよ」
三人がお互いの背を守るように陣形を組み、周囲を取り囲む敵に立ち向かう
相手はスペルカードルールを守るつもりもないらしい
今までに無いタイプの敵を相手に、魔理沙と椛は僅かに汗を滲ませていた
(急がねば……)
ナイトが内心で呟くが、状況が好転する様子は無い
それどころかやや悪化の傾向にあるようだ
ぱちぱちと燃えていた騎士ジオングの身体が揺らめき、立ち上がる
驚いた顔をする魔理沙と椛の目の前で、騎士ジオングはモンスターへとその身を転じた
「出たか……ジャイアントジオング!」
ナイトは炎の剣を握りなおし、ジャイアントジオングへ向かい駆け出す
一刻も早くこの包囲を解かねばならない
戦いを好まない、心優しき巨人を助ける為にも


三月精の住む場所までは、異変の騒乱は届かない
住処から顔を出したサニーミルクはその妙な気配に気づいて、残りの二人に声をかけた
「ねぇねぇ、スター、ルナ」
「何かしら」
「何か……変な感じしない?」
てくてくと外に歩き出す三人の目前に、見慣れない物があった
昨日までは無かった筈の岩の壁、ほぼ垂直にそそり立ったその壁は見上げるほどに大きかった
「こんな所に岩なんてあったかしら?」
「岩なんて無かったわよ、スター」
スターサファイヤが小首を傾げ、ルナチャイルドが答える
「これ……何だろ?」
不思議そうにその岩の壁を見上げるサニー
小鳥や小動物がその岩の壁の周囲を飛び回り、何匹かは所々にある突起物で身を休める
その時、風音とは異なる僅かな異音を聞いたような気がして、サニーは上を見上げた
その遥か上に輝く、水晶の輝きと優しそうな両眼と目が合ったのは直後の事だった
心優しい石の巨人、そして心を通わせる三人の妖精達
だが呪術師メッサーラの魔の手が幻想郷に忍び寄る
そしてサザビー率いるジオン騎士団の包囲網は突破出来るのか
紅魔館を舞台に、未曾有の合戦が展開される
次回
~東方騎士伝3・伝説巨人~


世界の裏
ちゃうねん、ボンボンやねん
俺の青春はボンボンと一緒やってん
あ、待って、もう一寸言わせてh
講談社のビルの裏
SD改め偽伝外伝
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コメント



0.280簡易評価
3.40煉獄削除
う~ん……ちょっとメチャクチャになってきたような気が。
ここまできてるのに紫様がなにもしてないのが逆に気になりますが、
そこんとこどうでしょう?
それと展開が少し早い感じがします。
もう少し状況を良く噛み砕いたほうが宜しいかと思いますが如何でしょう?
これらの自体を、どう収拾するのかが気になるところですね。