Coolier - 新生・東方創想話

リアリズムの幽霊は幻想郷を知らない

2025/03/30 14:34:20
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・落 いつかのカフェテラスの会話

 不思議の国の3月の白兎は時計を見てひとり巣穴に戻ったらしい。カフェテラスには語らい合う二人の姿があって、いつものようにクラシックミュージックが流れている。幽霊はもう居ない。

「あと、どうでも良かったから言ってなかったことがあって」
「メリー。どういうこと?」

「アマザ難民予想問題のこと。実は解法にひとつ、効能があって」
「なにそれなにそれ」

「えっとね。《悪霊退散》」
「ぷっ。なにそれ。悪戯だって分かったからもういいけどさ」

「酷いわよね。噂作った人ももっと捻って欲しいわ」
「あ、それなんだけどさ。噂って云う割に1回も聞かないのよね」

「え? そうなの? 私はよくこのカフェテラスで聞くけど」
「まさかー」

「本当よ。《一ヶ月くらい前》から兎の耳っぽいカチューシャ付けた子が良く触れ回ってる気がするんだけど。あ、ほら、今も声がするじゃない」
「えっ、どこ? ……あっち? ――誰も居ないけど」

「嘘。居ないわけが……いない」
「んんんん?? もしかしてそれって最初に話した《カフェテラスの………………」



 現世の人間も、幽世の幽霊もそれには気付いていなかった。
 人知れず仕掛けられた悪戯と、それの齎した幸運を。
 幻想郷のウサギは今頃ほくそ笑んでいるのだろうか。
京都を実際に歩いて考えた過去の小説です
henry
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コメント



0.50簡易評価
1.90奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
2.100名前が無い程度の能力削除
ジャーゴンと遊び心に満ちた文章と、謎解きまでの導きの過程が心地よかったです。
3.100南条削除
面白かったです
怪異に挑む秘封がよかったです
アマザ難民予想も考えてみたのですが、門が直列に並んで立ちはだかってくるのだと気づくのにずいぶん時間がかかりました