Coolier - 新生・東方創想話

東方地底元 紅魔狂 part2

2025/02/19 23:53:53
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大陽「……ここは外……いや、屋根か。」
咲夜は時を止めて大陽を一気に移動させ、1対1の勝負に専念する。数本のナイフを囮に使い、大陽が弾いている間にポケットからスペルカードを取り出す。
奇術【ミスディレクション】
円形にナイフが設置されこれでもかと大陽を追い詰めるが、安置を見定められて一気に距離を詰めてくる。
咲夜「クッ!!全然お掃除が進まないじゃない!!それにさっきからずっとレーザー(?)みたいなのでしか反撃してないけど!!」
大陽「俺はそんじゃそこらの人間じゃあないんでね。このぐらいなら見切れるさ。」
このくらいと言われ咲夜は苛立ち、更にスペルカードを取り出す。
咲夜(スペルカードを使って攻めつつも、反撃して来ない。もしかしてスペルカードを使えない……?だとしたらナイフも捌いてばかり……いや、深く考えるのはよしておきましょう。)
幻幽【ジャック・ザ・ルドビレ】
再び時が止まり、ナイフは大陽の顔に当たる寸前で止まる。咲夜は今のうちに投げたナイフを回収し、斬ることが出来る距離まで近づいた。止まった時の中でも依然として変わらない表情にメスを入れるかのごとく、咲夜は大陽の大動脈を斬りかかる。
咲夜(やはり止まった時では何も出来ない、止まった時の中はただ一人。この私ですわ!!)





咲夜(………今、手が動いた?)
銀色のナイフが首に当たったと同時に、大陽の左手が微かに動いたのを咲夜は見逃さなかった。見間違いだと思い再度斬りつける動作を行うが、やはり動いている。困惑している間にも咲夜の時計の針は11を指しており、渋々咲夜は距離を取って能力を解除した。次の瞬間咲夜がいた位置で龍の頭蓋骨を模したブラスターが発射され、レーザーは雲を突き抜け天まで伸びていた。
大陽「惜しいな。あと数秒あれば当たったのに。」
咲夜(惜しい!?まさか止まった時の中を認知しているの!?)
目の前で起こった事が信じられず、咲夜は躍起になって攻撃する。だが怒りで我を失う程ではなく、探りを入れて攻撃を続ける。そして自身で立てた仮説を確信し、スペルカードを使い時を止めた。再び辺りに静寂が生まれると、咲夜はナイフを大陽の左腕に近づける。すると手がピクピクと動き、試しに腕をまくると咲夜は安堵の息をついた。
咲夜「なんだ、磁石ですか。確かに時が止まっているとはいえ、金属に磁石は反応するものです。ですが時間稼ぎという露骨な作戦をあらわにした今、貴方は肉食動物の中にいるちっぽけなうさぎに過ぎません。これで……お終いです。」
咲夜は十字状にナイフを投げ、最後のスペルカードを使う。
メイド秘技【殺人ドール】
投げたナイフは軌道を変え、周囲に散らばった。時は動き出し大陽は右斜め下に回避するが、見事に回避先を読まれ、咲夜はナイフを逆手に斬りかかる。
だが次の瞬間、奇妙な事が咲夜を襲う。咲夜が斬りかかる前に、目の前に現れた自分の後ろ姿が斬りかかっていた。しかもそこに大陽おらず、自分の空ぶった手だけが残っていた。
咲夜「これは……一体ッ……!!」
大陽「お前が能力を使ってたんでね、こっちも使わせて貰ったよ。教えてやろう。俺の能力『‬王の鎮魂歌(キングレクイエム)β』の中では この世の時間は消し飛び……そして全ての人間は この時間の中で動いた即席を覚えていない。『空の雲は ちぎれ飛んだ事に気づかず!』……『消えた炎は 消えた瞬間を炎自身さえ認識しない!』『結果』だけだ。この能力を使った後、この世には『結果』だけが残る!!」
大陽はいつの間にか咲夜の後ろに立っていて、自身の能力について淡々と話す。咲夜は再び離れナイフを構えるが、大陽は強気で攻めに入った。
大陽「無駄だ。お前のスペルカードは全部使い切った。いくらナイフを投げようが意味は無い。」
そう、これこそ大陽の狙っていたことであり、咲夜は自身の負けを確信した。元々大陽はスペルカードが制限されており、スペルブレイクは禁止されている。なので相手を傷つけず、できるだけ怪我させないように配慮していたのだ。咲夜はナイフをしまい侵入者であった彼に疑問を抱く。
咲夜「何故最初から話し合おうとしなかったんですか?貴方程の能力ならあの物騒な三人組を止められたでしょう?」
大陽「もしあのままアイツらをぶっ殺してたら、俺はお前に打つ手なしだからな。これにはクールタイムがあるし、俺の心臓にナイフが届くぐらいならこのまま屋根の上で説得した方が懸命だから……かな。」




大陽が語り終わると同時に屋根の一部が消し飛び、五人の影が写る。その姿を見た大陽は舌打ちを覚え、すぐさまその方向へ向かった。
大陽「よう、元気そうで何よりだな。」
マーダー「ん?何だまだ生きていたのか。まあコイツもあのメイド並に中々のやり手だったが、やはりお前程では無いな。」
そう言ってマーダーとキラーは二つの人影を投げる。そこにいたものに咲夜は驚き、すぐさま医務室へと運んで行った。咲夜が去った後、屋根では再び三対一の決闘が始まろうとし、目線がバチバチと当たる。
大陽「パチュリーと小悪魔コンビはキツかっただろ。そっちは中々体力を消耗している様に見えるが……それでも虐殺を続けるか?」
ホラー「フッフッフ、こんなモノで…俺は…止まらねぇ…!」
キラー「俺はお前をぶっ殺す。そして守りたかったものを守るのさ。」
マーダー「ヘッこんなんで俺らが諦めるとでも?俺達はお前の全力を体験し、そしてお前をぶっ殺してそれを手に入れる。そのためならこんな館の一つや二つ、綺麗さっぱりぶっ壊してやるよ!!」
???「館の一人や二つが何だって?」




そこにいたのは見覚えのある子供達で、大陽はそこにいた誰よりも驚いていた。
大陽(ええ....(困惑)展開早すぎだろ。てかまだ咲夜しかやってませんが?)
マーダー「お前達、何者だ?どう見たってタダのガキンチョにしか見えないが?」
キラー「気をつけろ。コイツらは只者じゃあない。」
ホラーは斧を肩にかけ何時でも振るえる様に構える。続いてマーダーとキラーもナイフを手に持ち、大陽も内ポケットにしまったばかりのナイフを取り出す。一人の少女は高貴な表情と一緒にお辞儀をし、四人を赤い瞳で見つめる。
???「初めまして。私はこの館の主、『レミリア・スカーレット』よ。そしてこっちの吸血鬼は私の純粋で、可憐で、好奇心旺盛で、何より大切な私の妹、『フランドール・スカーレット』。」
フラン「よろしくね〜(˶'ᵕ'˶ )‪︎。」
レミリアはお辞儀が終わると手先から紫色の槍を出現させ、フランは既に赤く燃え上がる炎の剣を手にしている。だが二人の雰囲気とは裏腹に、四人の中ではある話題が上がっていた。
マーダー「なあ聞いたか?純粋で可憐で好奇心旺盛の妹だとさ。もしかしてヤバい奴なのか?」
大陽「ああ、だいたいこんな感じだぞ、幻想郷の奴らなんて頭のネジが吹っ飛んでるからな。」
キラー「……まあ、多様性の時代ってよく言うし……。」
ホラー「知ってるぞぉ、あーゆーのはシスコンって言うらしいなぁ。」
大陽「あれでもだいぶマシな部類だ。そんなにひくんじゃあない、やめてさしあげろ。全国のシスコン達に失礼だろうが。」
マーダー&キラー&ホラー「「ええ....(困惑)」」
レミリア「ちょっと!!何私抜きでコソコソしてんのよ!!」
三人はドン引きしながらも空気が一転し、すぐさま武器やガスターブラスターを出現させる。だがフランはこれに興味を示したらしく、レミリアの服をしつこく引っ張った。レミリアは何も言わず相づちを交わすと、背中の翼で空高く舞う。
レミリア「さて、こんなに月も紅いから本気で殺すわよ。そこのスケルトン三人、人間、今夜は楽しい夜になりそうね。」
フラン「ちょっと〜、お姉様!あの子達は私の物だよ〜。せっかくなかなか壊れないおもちゃが手に入ったんだから……」
フランはホラーに負けじと狂気的な笑みを返す。
フラン「内蔵が破裂するまで遊んであげる!!」
キラー「あー、アイツは勘弁だな。」





???「うーん、こいつは参ったな。何時まで歩いても礼拝堂につかないし、もうすぐ6時6分6秒だ。これではサタンに拝めねえな。」
紅魔館周辺の森では何者かがさまよっていた。一見見ると彼らと同じスケルトンだが、性格はまるで違う。彼は不服なため息をつき一旦引き返そうとしたが、突如湖の先の館で爆発が起き、目を丸くして驚く。すぐさま付けていたゴーグルで目視すると、彼もまた楽しげに笑った。
???「へへへ、どうやらアイツらが何かを握っていそうだな。運動は嫌いじゃないが…少しラジオ体操がてら行こうじゃないか。」
彼はガスターブラスターに似た機械に乗って紅魔館へと向かう。





フラン「わぁーい!!まだまだ行くよー!!!」
マーダー「ハハ!コイツは中々殺しごたえがあるな!!」
フランを中心に弾幕が展開され、マーダーは隙間をかいくぐる様に捌いていく。ホラーはキラーの召喚したガスターブラスターに乗ってフランとレミリアの弾幕の隙をついていた。だがここでレミリアの槍の弾幕によりガスターブラスターが撃ち落とされ、ホラーとキラーが落下する。
マーダー「ホラー、キラー!!クソ!!退けぇクソガキ!!」
レミリア「もう遅いわ。さあ、お仲間の血の噴水でも鑑賞してなさい。」
二人の落ちた先には槍が刺さったままであり、このままでは二人共串刺しになるだろう。そう、このままでは、だ。大陽は機転を利かせサムサラブレイカーを召喚し、二人を乗せてレミリアにレーザーを発射する。
レミリア「チッ、もう少しだったのに!」
大陽「おいマーダー。このままではジリ貧で殺されるぞ。一時的な同盟でも組まないか?」
マーダー「ハァ!?ふざけんじゃねぇ、何言ってんだ!?俺たちが勝ったとしても俺を殺すかもしれないんだぞ!!そんな奴と同盟なんて死んでも嫌だね!!!」
キラー「いやマーダー、ここは一度組むべきだ。例え勝った後に殺しにかかっても消耗しているのはお互い様。そこを数の利でやってしまえばいいってことよ。」
ホラー「まあ救われたからなぁ。俺は反対でも勝手に組むぜぇ。」
マーダー「ッ!!この腰抜け共め!!」
大陽に罵詈雑言を浴びせつつも、サムサラブレイカーに乗ったキラーとホラーを援護するようにガスターブラスターを放つ。だが意外にもコンビネーションが高くそれぞれの足りない所を補っているので、レミリアとフランは苦戦を用いられた。四人が勝利を確信すると、レミリアはふと気がついた様にフランに支持する。
レミリア「フラン、分裂よ!アイツらが言ってた数の利って奴で、こちらも対抗してこのコンビネーションを潰すわよ!!」
フラン「OKぃ、お姉様。」
禁忌【フォーオブアカイント】
フランはスペルカードを発動し、四人に分裂した。更に四人共剣を所持しており、マーダー達と大陽の勝機は一気に薄くなった。
レミリア「形勢逆転ね。さあどうするつもりなのかしら。」
大陽「マズったな。マーダー達にコイツのお守りはまだ早かったかな。」
マーダー「何だと!!あんなガキンチョ4人だろうが5人だろうがEXPに変えて切り刻んで殺るわ!!」
ホラー「マーダー、口調が移ってるぞぉ。」
???「うるせぇ、やかましいぞ。」
突然後ろで声がしたので四人全員が振り向く。そこにはまたマーダー達同様スケルトンが立っており、ガスターブラスターに似た機械でフランの分身を2体消した。マーダー達は似たようなスケルトンを見ているが、初めてだったらしく困惑している。
マーダー「お前…フェルか?」
???「フェル?何だその中途半端な名前は?俺はフェルじゃねえ。」
大陽「マーダー達は会うのは初めましてだったな。こいつはシャリフ。まあ強いて言うなら……別の世界線のフェルだ。」
シャリフ。アンダーフェルプランと言う世界に住んでいて、悪魔を崇拝するエンジニアである。赤いジャケットとゴーグルを装着してあり、いつもは夕方まで礼拝堂でサタンを崇拝しているが、この時のシャリフはとても機嫌が悪かった。大陽が「紹介するぞ。」と言う声さえも聞こえず、レミリアとフランに向き直った。
レミリア「全く、まだ増えるの!?いくら有象無象が集まってもこの私に勝てるとでも!?」
シャリフ「おい、お前らは人間のくせにどうして羽が生えているんだ。」
レミリア「え?これ?生まれつきだけど……」
シャリフ「ふざけんな。サタンはこの世でただ一人、てめえらがサタンの真似事しているのは分かっている。だがな…」
シャリフは機械型のガスターブラスター、『量産型--XLF龍骨息砲』(通称X-1F)を召喚し、レミリアに殺気を浴びせる。
シャリフ「俺の前でサタンを侮辱するんじゃあねえ!!!」
金色の右目を光らせ、シャリフは殺す気でガスターブラスターを放つ。先程の三人とは比較にならない速度で発射されたので、レミリアは回避したものの手を焦がしてしまった。体制を崩したのを確認し、シャリフはリボルバーを数発打つ。レミリアも負けじとグングニルで攻撃するが、全てがいなされてしまった。
シャリフ「さあ、サタンを侮辱したガキ共の血が飛び散るところを見せてくれ!!」





キラー「よし!まず一匹!!」
シャリフがレミリアと戦っている間にキラーとホラーはフランの分身の一つを殺しており、これで四対一に戻った。だがキラーは分身ばかりに気を取られて、背後からのレーヴァテインに気づくことが出来なかった。
マーダー「キラー!!ホラー!!」
フラン「アハハハハ!!二枚抜きだーー!!」
キラーとホラーは斬られはしなかったもの、負傷して戦闘には参加出来そうにない。マーダーは闇雲にナイフを振り回すが、フランに当たるどころか服にかすりもしなかった。
フラン「貴方、二人が壊れた瞬間からつまんなくなっちゃった。もういいよ〜。」
マーダー「なッ!!」
フランがマーダーに向かって手をかざすとマーダーは突然心臓が避けそうな程の痛みに襲われ、手に持っていたナイフを落としてしまった。額に冷や汗が流れ、身体はいうことをきかない。フランは余裕の笑みでマーダーに近ずくが、マーダーはガスターブラスターさえ出す力もない。
フラン「この能力で即死しなかったのは貴方が初めて。でもそれだけじゃあ面白くないもん。じゃあ、後で二人と会えるようにね〜。」
マーダー「クソッ、クソッ、クソッ、また俺達は人間に殺されるのか!?また守りたかったものを守れないのか!?……俺にもっとLOVEがあれば……俺に力があれば……!!」
マーダーは振りかざされるレーヴァテインを睨みつけながら、視界が狭くなっていった。





大陽「全く、とんでもねぇ攻撃食らわせやがって。」
マーダーが目を覚ますと赤い弾幕が目の前を通過し、砂埃が舞う。フランは更に弾幕を張るが大陽には効かず、それどころかマーダーに小言を言っていた。
大陽「おいおい、仲間がやられたぐらいで油断するなよ。俺をどうこうする前にまず吸血鬼のお守りから始めたらどうだ?」
マーダー「ッチ!!うるせぇ、クソガキ!!」
マーダーは八つ当たりにフランに向けてガスターブラスターを放つ。大陽はシャリフの方に目を配ると、何か思い付いたようにフランに近づいた。次の瞬間フランは大陽に蹴り飛ばされ、レミリアにぶつかってしまう。これに気付いたシャリフは金色の歯をキラつかせ、ガスターブラスターを打った。そして大陽とマーダーも同様にガスターブラスターを打ち、二人まとめて倒そうとする。
シャリフ「ああ、そうだ。その位置が……」
大陽「最適解にはこの方法が……」
マーダー「二人まとめてぶっ殺すのは……」
シャリフ&大陽&マーダー「「一番良い。」」
三人同時にガスターブラスターを放ち、赤と紫と灰色の光線がレミリアとフランに直撃した。だが間一髪で避けたらしく、ダウンまでは至っていない。フラフラな二人に大陽は容赦なくスペルカードを宣言する。
弐式【怨魂 十束】(ダストトラスト)
普段は剣技として使っているが今はナイフなので差程ダメージは高くなく、大陽が満足した威力は発揮出来なかった。だがここで大陽は目を丸くする事となる。何故かスペルカードを持っていないシャリフとマーダーがスペルカードを持ち、トドメの一撃を放とうとしていたからだ。
斬符【ソウルブレイクリガレット】
赤龍X-F2【地獄のレトリック】
互いの一撃により、レミリアとフランはついに倒れる。二人はそのまま屋根に激突しそうになったが、ギリギリのところで大陽がキャッチした。
大陽(アイツら、いつの間にスペルカードを入手したんだ?それにあの攻撃、それぞれの最終ターンのやつか……。謎は増えるばかりだな。)
大陽は最低限の治療でレミリアとフランを回復させ、拘束した後でマーダーとシャリフの所へ向かう。





マーダー「おい、キラー!!目ぇ開けろ!!まだ助かるかもしれねえだろ!!」
ホラー「キラぁ、ジョークはよせよぉ。俺達、スノーフルからやってきたじゃんかよぉ。」
シャリフ「すまない、回復薬はホラーで最後だ。」
シャリフはキラーに抱きつこうとするホラーを抑えている。ホラーはシャリフの持つ回復薬で助かったものの、「回復薬は一つだけ」という台詞に涙を流していた。キラーが静かに目を開けるとマーダーは覗き込むように横に座る。
マーダー「……キラー。」
キラー「マーダー、俺にはもう時間が無い。1度しか言わないから…よく聞いてくれ……俺は今まで………沢山殺してきたが、お前らと組む時が…………何より一番楽しかった。もし、また三人で殺るんだったら……………グリルビーズで落ち合おうぜ…………………」
そう言い終わり、キラーのまぶたはゆっくりと閉じ、マーダーの手を握っていた手もだらんと動かなくなった。ホラーは泣き叫んでシャリフの肩がびしょびしょになり、マーダーの頬には涙が線を描いていた。そしてマーダーは赤い空をあおぎ、大声で叫ぶ。
マーダー「キラーーーーーーーァァァ!!」





大陽「なーにお涙頂戴展開しちゃってるんだ、大泣きスケルトンが。」
大陽が来た時には既にキラーは事切れており、その言葉にマーダーは襟首を掴む。
マーダー「テメェ!!今の状況が理解出来ないのか!!ツレが死んだってのに何とも思わないのか!!」
大陽「後ろ見てみ。」
マーダー「不謹慎にも程があるぞ!!そんなホイホイと生き返る事なんてありはしない…」
ホラー「キラー!!」
ホラーの感嘆の声にマーダーは後ろを向くと、そこには先程死んだばかりのキラーが立っていた。目玉が飛び出る程驚き、幻覚かなにかだと思っていたが、ホラーが抱きついていたので幻覚でない事を確信した。三人は仲良く飛び跳ね、肩を組み、ジョークを言い合ったりして喜んでいる。その光景を見て大陽はどこか切なさを感じた。
大陽(仲間、か。あーゆーのは憧れるな。)
シャリフ「待て、何だあれは。」
シャリフが向いている先には黒い霧が発生しており、意気揚々としている三人に向かっていた。シャリフと大陽はガスターブラスターを打とうとしたが、体が思うように動かない。戦闘でかなり体力を消費していたため、ブラスターを打てなかったのだ。
大陽(マズイ、このままでは……)
だがここで大陽は紫の言っていた事を思い出し、サムサラブレイカーを召喚する容量で念じる。シャリフはそれに気づき、ガスターブラスターを召喚しようとしている大陽を引き留めようとする。
シャリフ「やめろ!脳が焼き切れるぞ!体力がない状態ではガスターブラスターは打てねぇ!!」
大陽(ブラスターであれを仕留める。だがあくまでサムサラブレイカーを出さずに、燃え盛る心臓を握りつぶすように、力を集中させて……今だ。)
大陽が念じると共に光線が放たれ、直撃すると黒い霧はすると木っ端微塵に消えていた。シャリフは困惑していたが、発射された機体を見て納得するように寝転がった。
シャリフ「なるほど、別の機体で打ったか。俺のX-F1、X-F2みたいに加減したって事だな。それなら少量の容量で体力を温存して打てるしな。だが一つだけ聞きたい。その銃は一体なんなんだ?やけに銃口が長い気がするが。」
大陽「これは……故人の遺産さ。名を『ライスブレイカー』と言う。」
大陽は一瞬龍陽を思い出すが、思い出にしたる前にシャリフ同様、寝っ転がって霧の晴れた空を見つめていた。





紫「どう?終わった?」
大陽「ああ、途中助けて貰ったりしたがな。」
紫の隙間に皆が集まり、元の世界に帰ろうとしている。だが帰える前にマーダーが一つ質問を投げる。
マーダー「待て、確か……大陽と言ったな。一体どうやってキラーを生き返らせたんだ。」
大陽「一度『死んだ』という事象を分解して『なかった』ことにしただけ。」
紫「この子、度を超えて優しいでしょ?死んでいくのがいちばん辛いのが分かってるでしょ〜( *ˊᵕˋ)ノ」
大陽「……俺は紫の親戚か?」
紫は撫でるのをやめると、隙間を拡張し全員が隙間の世界に導かれる。
全員が八雲家に到着し藍が緑茶を注ぐと、紫は威厳のある声で五人に話し始めた。前半はただのアクションテレビを見ての感想に近い話だったので、端っこのホラーからシャリフまで話は耳から抜けていった。(これをいつも世話している藍って実は凄いのか?)だが紫のトーンが変わると聞き流していた全員の耳の蓋が閉じ、真剣に耳を傾ける。
紫「実は貴方達がスペルカードを使えるようになったのは深い訳があるの。存在が、いいえ。魂が幻想郷に縛られて使えるようになった、の方が近いわ。魂が縛られてしまったらこの世界からの脱出は困難を極めるし、何より波長が乱れまくって最悪貴方達の世界が崩壊する。そこで、幻想郷の平和の為、貴方達の世界の平和の為にもここは一つ、組んでくれないかしら。」
マーダー「うーんいきなりだな。」
キラー「助けて貰った恩はあるけど……」
ホラー「面倒くせぇ。」
紫「返♡事♡は♡?」
マーダー&キラー&ホラー「全力で参加させて頂きます。」(キメェ)
こうして、マーダー達とシャリフは同盟(強制)を結び、新たなる異変解決をする羽目になった。だが仲間が増える事に変わりはないので、大陽は内心喜んでいる。





紫の隙間により全員が大陽の組織の組長室に到着し、それぞれ安堵の息をついた。
マーダー「寝床はお前ん所の組織が用意してくれるらしいから、ひとまず今日はこれで解散だな。」
キラー「色々あったけど、やっぱお前らといんのが1番だ。」
ホラー「またなぁ、隙間のおばさん。」
シャリフ「やれやれ厄介事になりそうだな。……ところでだが。」
シャリフは大陽の傍により、手に悪魔の写真?を持っている。
シャリフ「お前の組織に礼拝堂はあるか?あと作業部屋とかついている部屋とか。」
大陽「ああ、作業部屋ならあるし、礼拝堂ならいくつかあったと思うが……」
シャリフ「へっへっへっ、ありがとよ。これでサタンを拝めるぜ。」
そう言ってシャリフはジャケットの内側から色んなロウソクや怪しいツボ、トカゲの焼死体に切り刻まれた十字架などを取り出す。マーダー達もさすがにドン引きし、大陽も頭を抱えていた。
大陽(こいつが守矢神社崇拝したらヤバそうだ。早苗に勧誘は程々にしておけって言っとこ)
紫「さあ皆、今日はよくやったわ。後はゆっくり休むなり、……崇拝したり自由にしといて。それと、頭の割れたスケルトン君?」
ホラー「えっ、俺ぇ?」
紫「おばさんじゃなくて……♡」
紫はセクシーなポーズをとるがかえって逆効果だったらしく、その場にいた全員が吐いた。吐き終わるとそれぞれが紫の呼び名を決めている。最も紫が考えていたものとは180度違うが。
マーダー「おばさんでダメなら、おばあさんか?」
キラー「オバチャンか?」
ホラー「キモイおばさん?」
シャリフ「おい、もっとオブラートに包め。自意識が高いキモイおばさんだ。」
大陽「BBAでいいだろ、BBAで。」
ハハハと笑う彼らの頭に、紫の拳骨衝突(ギャラクシーインパクト)が直撃するのは、およそ二秒後の話である。

東方 紅魔狂 [完]
紫はBBAだろって思った方、評価とコメントをお願いします。(露骨な評価稼ぎ)
SABAMESI
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