Coolier - 新生・東方創想話

第11話 決戦の会場へ

2024/08/09 01:07:12
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饕餮が持ってきた地図の場所に行くと、そこは死んだ街だった。黒く、濃く、静かに佇むビルがあり、風がじゃれ合う音しか聞こえない。その町は動物霊はおろか、アリんこ一匹すら居なかった。早速霊夢達は手分けして、情報収集を始める。
「ったく、こんなところに本当に居んのか?畜生界の組長さん。人間どころか霊すら居ないぜ。」
「私達は基本ここを通る事も、近づく事もない。これで居なかったら調査は振り出しさ。」
魔理沙&黒駒&霊夢ペアは、南東付近の建物を調査している。最後の一件のビルは来るものを拒む様に、瓦礫や椅子でバリゲードが置いてあった。黒駒は蹴ろうとするが、その前に霊夢がこじ開ける。最も、スペルカードや弾幕を使わず、素手で。
「なあ、あいつって怒らせると怖いか?是非あーゆーのは組に迎えたいんだが。」
「ああ、やめとけ。少なくとも今言ったら、正体不明の組長の前にお前が消されるぜ。」
二人でブツブツ言い合っている間に、いつの間にか最上階まで来てしまった。厳密に言うと最上階では無いが階段が崩れて通れないので、実質的な最上階はここだろう。黒駒と魔理沙は、机の中の資料や金庫室、組長室まで探ったがめぼしいものは得られなかった。ゼーハーゼーハーしている魔理沙を置いて、霊夢は遠くを見つめている。
「なあ霊夢。少しは手伝ってくれよ。それとも、もう何か見つけたってか。」
「ええ、饕餮の言ってる事は正しかった。ほら、あそこ。」
霊夢が指さす方向には、ぼや〜と霞んでいる箇所がある。確かにビルとビルの間に、モヤっとした何かが見える。試しに弾幕を打ってみると、モヤっとした物に亀裂が入った。流石の魔理沙もこれにはビックリした。今までの霊夢なら、面倒ぐさがって退治するが、今回はひと味もふた味も違う。アジトらしきところを見つけたので、黒駒は自慢の足で皆に知らせる。



アジト手前の岩陰に全員が集合し、勇儀が闘気を高める。「あれが異変の元凶って訳か。待ってろよ、空蝉龍陽。お前の寝首をかく前にぶっ飛ばしてやる。」
「よしなさい。敵が何をするか分かってないのに突っ込むのは自殺行為です。ここは策を練るとしましょう。」
そう言い現れたのはあの邪神、埴安神 袿姫だ。隣には杖刀磨弓までいる。この二人が来るという事は、組長の誰かが呼んだのだろう。だがここで霊夢が水を差す。
「ちょっと、誰よ。なんで霊長園の引きこもりがここにいるわけ?別に戦力になるならいいけど。」
そこで手を挙げたのは、饕餮尤魔だった。それぞれ何故かと問い詰めると、饕餮曰くどこまで強くなったか分からないので来させたらしい。そしてこれは、霊夢達に大きなアドバンテージを与えることになる。動物霊は基本、埴輪に勝てない。つまり部下との戦いをスルーして、敵の大将とタイマンで戦えるとういことだ。
あれこれ話していると、霊夢は不思議そうな顔をする。
「あれ?黒駒と魔理沙はどこいったの?」
「あの人達なら飛んでいきましたよ。待てって言っても、無駄なので止めませんでしたが。」
またしても霊夢は、隣の鬼にそっくりな顔をする。
一方黒駒&魔理沙はと言うと、既にアジトに近づいている。
「やっぱザルじゃねえか。ここのシステムは吉弔のとこよりやワだな。」
「本当、同感だぜ。紅魔館の門番並かそれ以上だ。(笑)」
この二人は難しい話は苦手なので突っ込んで解決、というのがポリシーだ。そう、つまり頭がウマシカなのだ。そして警報音と共に、レーザーが二人を包み込む。



基地の中では警報音が鳴り響き、動物霊やブラウンの仲間が臨時体制を取っている。そして俺はと言うと、組長室でのんびりFPSをやっている。これには訳があり、まずは幹部達で様子見、そこから俺が戦うという作戦だ。もうひとつの理由はこいつだ。丁度今やって来た博士にある。博士は俺に助言したいと言って、わざわざ人目がつかない緊急警報の時に来た。
「助言は二つ。一つは『君は何も理解していない。自分の本質に気付け』二つ目は『三人の勇者が現れた。天使の楽園を破壊する為に』だ。あと、これが最後のデータだ。」
そう言って例のUSBを受け取る。再び顔を上げると、そこには誰もいなかった。本当、自分勝手だなーあいつ。
博士が去ると、丁度正面玄関方向に埴輪の軍団が見えた。恐らく袿姫がいると見て間違いないだろう。仲間は少し苦戦しているように見えたので、俺はテラスから、ちょっかいがてら新作ホヤホヤのスペルカードを取り出す。最近自分で名付けたのも何なんだが、正直『ライスブレイカー』はダサかったので改名した。そしてその名前で、初のデビュー戦がこことは思いもしなかった。だがそんな事はどうでもいい。俺は意識を集中しスペルカード名を言う。
銃撃技『長篠オブファイト』
新たに名付けた『レジェンドブレイカー』が火を吹く。記憶が確かなら、あの戦い方は数を少なく見せるように兵を隠して配置していた。あれとは真逆だったが、結果的に埴輪はドロドロに溶けてるので良しとしよう。そして俺は組長室に戻る。



龍陽がスペルカード名を言う十分前
警報音と共に出てきたのは、メカメカしい装備を着た動物霊とロボットだった。そして、一匹の軍曹帽子を被ったマムシ霊がメガホンを持つ。
「博麗の巫女とその他御一行。無駄な抵抗をやめて今すぐ立ち去れ!!!さもなくb…どわあああ!!」
警告をする前に霊夢は、弾幕をぶつけた。次々と動物霊がやられる中周囲に現れたのは、埴輪だった。埴輪はアジトを囲むように配置され、弓に手をかけている。磨弓の合図と共に、矢は動物霊達に向けて放たれた。だが一匹の動物霊とロボットが、装備品のパラライザーライフルを放つ。青白い線は瞬く間に、動物霊の頭上の矢を砕いた。
「臆するな。俺達はあの時とは違う、何故ならこいつがあるからな。さあ、全員敵に向き直れ。」
そう言って再び戦場に戻る姿は、歴戦の猛者を彷彿とさせる。
戦闘は再開し、青白い線や色鮮やかな弾幕が飛び交う。埴輪は優勢かと思ったが、まさかの劣性だった。それは何故かと言うと、なんと動物霊達が兵器を使って来たのだ。片方はアームのような何かで埴輪をくだき、もう片方は酸か何かを練り込ませたミサイルで埴輪を溶かしている。いくら無限の兵士とて、溶かされては使い物にならなくなってしまう。それに気が付いた桂姫はスペルカードを唱える。
方形『スクエアクリーチャー』
それと同時に、さっきの倍以上の埴輪を召喚し畳み掛ける。しかし次の瞬間、謎のレーザーと同時に埴輪たちはドロドロに溶けてしまった。これを機に動物霊とロボットは一気に畳み掛ける。これは因果応報か、それともやられたらやり返す精神なのか、とにかく桂姫は防御の体制に入った。
「どけぇ!邪魔だ!!」
後方から聞こえてくるのは、車に乗った動物霊で車についているキャノン砲は桂姫を捉えている。咄嗟に避けるが、放たれたプラズマブラストから逃れられなかった。衝撃波で地面がえぐれて桂姫がどこにいるかも分からない状況だ。
「姫様!!!……………クッ!!」



現在、俺は戦果についての報告を受けている。そして素晴らしい事に、見事に策にハマってくれた。これほど今日を喜んだことは無い。
「現在確認できた戦果は『チルノ』、『三妖精』、『アリス・マーガトロイド』、『ルーミア』、『人間の里の住民』『橋姫パルスィ』、『封獣ぬえ』、『へカーティアラピスラズリ』、『埴安神袿姫』です。全員拘束して動けない状況です。このままここに連れて来ましょうか?」
「いや、いい。人が多くなると面倒だし、住んでたとこは離れたくないだろ。そのまま待機だ。」
この作戦には二つの目的がある。一つ目は俺達の『世直し』。二つ目は幻想郷の連中や地獄の連中に力を見せつける事だ。今目の前に写る戦力は、幻想郷に大したやつは残ってない事を示唆する。そのスキに幻想郷を制圧し、下手な真似は出来ないようにした。これで少しは奴らも大人しくなるだろう。
「よぉ、久しぶりだな。龍陽。」
その声には聞き覚えがあった。あのギザギザ歯にふかふかの髪、振り返ると欠けたスプーンがこちらの喉を睨みつけている。そして尤魔は矢先に質問する。
「何でこんなことしてんだ?お前が組長ってのは驚いたけど、徒党を組んでまでやる事ってなんだよ。」
「一つ、お前さん達への復讐、二つ、世直し、三つ、仲間のため、かな。まあここで話すのも何だ、ゆっくり外で話そう。」
そして俺は尤魔を、テラスの方に蹴り飛ばす。尤魔は着地をキメたが、そこに俺の銃弾が命中する。俺はゆっくりとテラスから地上に降り立ち、対戦相手に向き直る。尤魔は出血した両足を抱えて笑った。
「へえ、結構やるじゃねえか。流石、戦闘力だけならピカイチだな。」
「なーに、たかが改造拳銃。お前さんにとってはビクともしないだろ。ほら、立て。」
治癒が完了した尤魔がスプーンをこちらに突きつけ、スペルカードを持つ。作法には作法を。こちらも刀を構え、スペルカードを持つ。この光景はゲームとかである、見切りみたいになっていただろう。だって現に風もいい感じだし。
「どのくらい強くなったか、直々にお手並み拝見だ。」
「さあ、その減らず口がいつまで持つかも見物だな。」



桂姫が居なくなった今、動物霊はさらに勢いを増している。霊夢達が弾幕を打っても弾き返されたり、防がれたりと散々だった。特にアーム持ちは厄介で、ビー厶状の弾幕でも一つの弾にして弾き返す。しかもあちらには強力な兵器が残っており、かわすのが精一杯だ。だがここで思わぬ助っ人が登場する。そいつは巨大化し、動物霊を一網打尽にした。
「萃香!アンタ来てたんなら、少しはマシなことしなさいよ。」
「ういーっく、あいよー霊夢。任せとけー。」
酔っ払っているとはいえ、萃香の効果は絶大だ。パラライザーライフルも効かないし、暴れるだけで兵器が壊されていく。
「やべエ、こんなにでかいヤツがいるとは聞いてねえ。このままだと、踏み潰されるぞ!」
「それになんか臭ーぞコイツ!ヒロシかよ!」
「ああそう言えば最近路上で飲んでたからかな、まっ許せよ。」
「風呂ぐらい入ってこぉぉぉーーーーーーーーい!!!!」
悲しいことにこれが最後の断末魔になるとは、思ってもいなかっただろう。だが一通り、雑魚の殲滅は出来た。
「アンタ、風呂ぐらい入りなさいよ。ったく不潔ったりゃありゃしない。」
動物霊も臭がるのは納得だ。この距離でも臭うので、踏み潰されるのを想像するだけでオエッってなった。その時、魔理沙と聖が霊夢と萃香のところに来る。
「大変だ霊夢!まだロボットが大量に残ってる。それと饕餮の野郎がボスとタイマンしてる。」
「こちらは片付いた様ですが、敵もまだまだ全開です。ここは一箇所に、集まるのが最適でしょう。」
確かに一箇所に集まって叩くのが最適だ。各方位に呼びかけて、全員集合させる。(饕餮尤魔以外)



一方、饕餮はというと、かなり体力を消耗している。無制限のブラスター、剣技、弾幕、どれをとっても隙がない。一方的に切り刻まれ、血まみれになりつつある。
「フッ、まさかここまで力を付けているなんてビックリだったぞ。この剛欲同盟の長を追い詰めるなんてな。どうだ?今なら考え直してウチに入ってもいいぞ。」
すると龍陽は、イラついた表情を見せる。確かに裏切った奴から、また裏切られて下さいっと言っているようなものだ。龍陽は構えの体制を取り、あの技を出す。
「くたばりやがれ、俺を利用したゴミが。お前さん達には、後悔させる時間すら与えん。」
絶技『神裂』



合流と直後に上空から黒い斬撃が飛んでき、すぐそばで饕餮が倒れていた。すぐさま永琳が手当に向かおうとしたが、そこに奴はいた。この畜生界の正体不明の組織の組長、空蝉龍陽が。龍陽はこちらに気付いたらしく、刃は獲物を変える。
「さあ、本丸と行こうか。」
最近ストーリーに力入れようと思っているのですがどうでしょうか。よろしければ評価とコメントをお願いします。
_|\○_オネガイシヤァァァァァス!!
追伸 何で小説書いてる時に地震速報やら南海トラフ注意報やら来るんだよ。(#゚Д゚)
SABAMESI
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コメント



0.100簡易評価
3.90名前が無い程度の能力削除
良かったです
4.100南条削除
面白かったです
ここに来ての総力戦に読んでいて大いに盛り上がりました

でもライスブレイカー改名しちゃったのは残念でした
カッコよかったのに