ここは博麗神社。現実世界の様に参拝やお賽銭箱にお金を入れたりする事が出来るが、妖怪が住み着いているせいで三人客は少ない。そしてこの神社の巫女『博麗霊夢』は金銭感覚が狂っており、4桁いけば大繁盛という様である。だが腕前は確かで、先に起きた動物霊の土地の争いでも速やかに処理した。低級妖怪曰く、「博麗霊夢に、正攻法で勝てる奴はいない。」と断言したらしい。(提供者R氏)
「はあ〜、こんな日に限ってアンタが家に来んのよ。」
「まあ霊夢、そんなお堅いこと言うなよ。せっかくの参拝客だぜ。」
この霊夢の隣でせんべいを食べているのは霧雨魔理沙。博麗霊夢のライバル的な後天的魔法使いで、かなりの努力家である。先例を出すなら、弾幕を上手くなるために深夜にマスパを打ったそうだ。現在家は修理中で、友達のアリスの家に泊まっている。だが暇になった時、こうして博麗神社に訪れるそうな。
「なあ霊夢。このせんべい、所々割れてないか?まさか不良品でも買ったのか?」
「それは訳ありせんべい。現実世界を見習ってふーどろす?を減らす為に河童が作ったのよ。こっちとしては値段が六分の一でお得だし、里でも結構人気だったわ。」
「ふぅーん?じゃあせっかくだし、私と買いに行かないか?丁度今、全部食ったし。」
やれやれと、お茶をすすっていた霊夢が重い腰を上げる。人里に行く準備をする為に魔理沙の横を通るが、霊夢は通るついでにゲンコツをかました。
その時、博麗神社の鳥居から大きな声が聞こえた。
「霊夢さーーん!!大変です!!!橙さんがお呼びですーー!!」
この声の主は高麗野あうんだ。普段は博麗神社で狛犬的な役割をしているが、様子がおかしい。いつもより声が震えているので、二人はすぐさま緊急事態と判断する。霊夢と魔理沙が急いで向かうと、傷だらけの血まみれで倒れた橙がいた。
「霊……夢…お願い…紫様を……藍様を…………」
「ヤバい!出血が酷いぞ!このままだと死んじまう!!!」
「とにかく、永遠亭に!!」
すぐさま橙を抱え、ハイスピードで永遠亭に向かう。
「とりあえず、命に別状は無いわ。ただ、あの怪我だとまる一週間は動けないでしょうね。」
永遠亭の治療もあって、橙は一命を取り留めた。ベットで横たわる橙を囲んで、質問を投げる。
「アンタ、どうしてそんな傷だらけなのよ。まさか弾幕ごっこで負ったんじゃあないでしょうね。」
「はい…。確かにこの傷は弾幕ごっこです。でも背中は違うんです。あれは…………本当に…………恐ろしかったの。」
余程の事だったのだろうか。橙は青ざめて、掛け布団の端を握ったまま震えている。傍にいたてゐが慰めるが、おそらく聞こえていない。これに、皆は驚いた。あの陽気な橙がここまでトラウマを抱えるなんてありえない事だ。敵は余程の強敵だったのか、橙はそのまま泣いてしまった。その手を優しく包む様に優曇華は落ち着かせる。
「落ち着いて下さい。まずは何があったかを、お師匠様達に教えてあげて下さい。」
ようやく泣き止み、橙は怯えながらも何があったのかを霊夢達に話した。
あの時、私はいつもの様に藍様と勉強をしていたの。立派な式神になる為にも、勉強しましょうって。しばらくしてたら突然門から呼び出し鈴がなって、誰だろうって思ったの。私が行こうとしたのを藍様が止めて、私が出るから橙はここで待っていなさいって言われたの。少し待ってみたけど、返事もなくて。見に行こうとしたら突然、大きな音が聞こえたの。誰かが弾幕ごっこをした様な音で、藍様が誰かと戦っているのかもって思ったの。音のする方に行く程、嫌な予感が頭の中を駆け巡ったから早足で行ったの。
「紫様!どうか、目を開けて下さい!!敵はまだ目の前に!」
「うーん、やはりスキマにプラズマキャノンが効いたのが、敗因だな。まっ、おかげで処理が楽だったよ。」
家の一部が倒壊して、目の前に傷だらけの紫様がいたの。壊れた襖から見ているのがバレたのか、私が来たのを気配で察したのか、藍様は鬼のような形相で言ったの。
「橙!!逃げろ!貴方が適う相手では無い!博麗霊夢の所に行け!!!」
「おっと、雑談は基地に行ってからにしようか。」
そう言って黒い服を着た人が銃口をこっちに向けたの。危うく打たれそうになったけど藍様が囮になって、気をそらしてくれたの。
私は必死に逃げた。自分でもどのくらい走ったか分からなかった。結局、背中に電撃か、何かを浴びて動けなかったの。そういえば気を失う前にこう言っていたわ。
「あの狐、最後まで勇敢だったぞ。お前の様な奴を持てて幸せだったってな。だが俺も鬼ではない。その気持ちに免じて、お前さん達に逃げるチャンスをやろう。俺達の目的は、悪魔で八雲紫だからな。安心しろ、二人とも死ぬ様な傷じゃない。ギリ生きてるさ。さあ、逃げとけ。お前さんの恩師が言った通りにな。」
「で、私の所に来たと。」
「私、悔しかったんです。自分の…力の無さに。もっと強かったら…私が立派な式神になっていたら……うぅ(泣)。」
それぞれが椅子に座り、深刻な顔をする。幻想郷でもトップクラスの強さを誇る八雲紫がやられたとなると、幻想郷は大混乱に陥る。さらに紫は博麗大結界の管理人でもあるため、一時的とはいえ結界が弱まる事に変わりは無い。最悪の場合、幻想郷の住民が消えてしまうかもしれない。誰が、一体何の為にやったのか。
「分かった。後は任せて。」
「おい霊夢、どこに行くつもりだ?まさか一人でやるなんて言わないよな。」
「アンタには関係ない。これは博麗の巫女としてのケジメよ。流石に、どこにいるのか知らないけど。」
「やめなさい、霊夢。今回はいくら貴方でも死んでしまうわ。それに、敵は紫を倒す程の実力者。ここは戦力を整えて挑むべきだわ。」
皆、気持ちは一緒だ。今すぐに紫を救い、異変の首謀者を倒したい。だが敵の底が分からず挑むのは、自殺行為に等しい。そして人一倍その思いが強いのは、霊夢だ。心では分かっているが、早く助けたいという気持ちもある。しかし今では無い。
霊夢は握りしめたお祓い棒を下に向け、どこかに飛び立ってしまった。
次の日、幻想郷の人々は思いの外、いつも通りの生活を過ごしていた。だが、それは人だけであって、妖怪達は勿論、賢者、妖精、怨霊、神ですら大混乱に陥っていた。
「八雲紫が敗れたって本当!?私たちどうなっちゃうの!?!?」
「なんてやつだ。あの八雲紫を倒すものが現れるとは。」
「俺、遺言でも書こうかな………既に死んでるけど。」
「お釈迦様に貰った命もここまでか……………一体誰がこんな事をしたんだ?」
噂は幻想郷に留まらず、冥界、地獄、天界、そして畜生界にも入ってきた。前半三箇所の者は、聞き込みや鍛錬等をしているが畜生界の住民は違った。己がいち早く弱った連中を仕留めようと、殺気が渦巻いている。
「散々な扱いしたツケだ。ここらで俺らが潰して、支配してやろうぜ!!」
「この日をどれだけ待ち望んだか。人間に復讐する日を、上下関係が変わる瞬間をなあ!!!!」
流石畜生の住民である。下っ端や中間部はこうだが、上層部や組長達は違う。三大組織の組長会議ではある結論が出され、向かうべき所へ向かう。
博麗神社では腕に自信のある妖怪達が集まり、首謀者に心当たりがないか確かめている真っ最中だ。
「あの賢者がやられるなんて、誰も予想しなかったでしょうね。ねえ咲夜。」
「はい、お嬢様。一応私自身も調査して見たのですが、見当もつきません。」
「私もペット達やこいしに聞いてみたけど収穫ゼロ。証拠も一切無し。まさに八方塞がりだわ。」
「私は寺の者達に聞いてみたのですが、心当たりがないそうです。星や村紗、ぬえにも聞いたのですが。」
「ウチも似たようなものだわ。魂達も知らないって言ってたし。妖夢も知らないって。」
「どうする?皆知らなさそうだし、いっその事隅々まで調べるか?」
霊夢はずっと黙ったままだ。しかもこの一週間ずっとだ。天界にも、冥界にも、幻想郷にも居ない。とすると残るは、三途の川ぐらいだ。目撃証人からは人間だと聞いているので、霊夢は勢いよく三途の川の地図を取り出す。だがまたも空振りだった。皆の元にフラフラと戻る霊夢を見て、それぞれ心配そうな顔をする。その時、ドアが勢いよく開き、そこにいたのは畜生界の組長達だった。
「畜生の連中がなぜここに?悪いけど貴方達と話すことはないわ。帰って頂戴。」
「この状況を見て奇襲ですか。そのつもりならいざ、南無三!!」
戦闘態勢に入るが、何故か組長達は構えない。それどころか両手を挙げて敵では無いと言ってくる。そして二人が銃を地面において、黒駒が口を割る。
「まあ待て。戦いに来たんじゃない。むしろ協力、ギブアンドテイクってやつさ。」
「貴方がギブアンドテイクという言葉を知っていたのが驚きですよ(笑)」
「おい、からかいあってる場合じゃないぞ。ことの重要さに気づけ。私達は異変の元凶を、作ってしまったのかもしれないからな。」
異変の元凶、ギブアンドテイクという言葉を信じて黒駒早鬼、吉弔八千慧、饕餮尤魔が輪の中に入る。そして事態は大きく傾くことになった。
「今回の元凶、そいつに心当たりがある。」
そして尤魔は、畜生界の地図を机に広げる。かなり使ったようで、あちこちにマーカーや印があった。尤魔が指した場所は、基本組同士が戦う時に使っている土地だ。確かにここだけマーカーや印が少ない。霊夢はこれまでのようにイラついた感じはなく、真剣に聞いている。だがそれ故に疑問が湧いたのだろう。
「なんでアンタ達が知ってる訳?第一、畜生界は人間が住める場所じゃないでしょ。」
「確かに、好んで住む奴なんていないな。」
各地で疑問や質問が飛ぶ中、尤魔はそれを沈める様に答える。
「空蝉龍陽(うつせみたつはる)。おそらくだが、こいつが主犯で間違いないだろう。黒い服、電撃、全てあいつの姿、能力に共通する。」
その名前を聞いた瞬間、霊夢は何かを決意したかのような顔つきになった。それは復讐なのか、それとも博麗の巫女としてのケジメなのか。真相は定かではない。
「おはようさん。目が覚めたか。」
私は目を覚ますと同時に、あの声を聞く。記憶が正しければ、この男にやられたのは覚えている。橙は?藍は?考えようとしたが、頭が痛い。すると男はパイプ椅子に座って今の状況を説明する。
「ここは俺達の基地、お前さんはこれから囚人だ。でも最低限の自由は保護するぜ。何をするかって言うと、これからお前さんの能力について調べるだけだ。」
いきなり何を言い出すのかと思ったが、どうやら信用して良さそうだ。それからは、ここの施設の紹介だった。どうやら私はモルモットとして、扱われるようで用が済んだら返されるらしい。確かに私の能力は、現実世界にも干渉出来る。だが自らが倒して、その力を手にする輩は初めてだ。
「藍は、橙はどうなっているの?」
「心配ない。二人共生きている。藍はまだ治療中だが、橙は回復したようだぞ。」
式神が無事で安心したが、まだ違和感は残っている。それはこの圧だ。どこかで、ずっと見つめられているかのようなざわつき。そして、動物霊の傍にいる謎のロボット。彼らには、何か関連がありそうだ。
「私の能力を使ってどうするつもり?言っておくけど世界征服は無理よ。」
「そんなチャチャなものじゃあないよ。俺達がやるのは、一種の『世直し』かな。おっともうこんな時間だ。」
そう言うと男は、どこかに行こうとした。だが何かを言い忘れたように立ち止まる。
「そうだ、別にここから出ようって考えてもいいけど、無駄なあがきはよしとけ。体力の無駄だからな。」
そしてその男は静かに扉を閉めて、どこかに行ってしまった。
「はあ〜、こんな日に限ってアンタが家に来んのよ。」
「まあ霊夢、そんなお堅いこと言うなよ。せっかくの参拝客だぜ。」
この霊夢の隣でせんべいを食べているのは霧雨魔理沙。博麗霊夢のライバル的な後天的魔法使いで、かなりの努力家である。先例を出すなら、弾幕を上手くなるために深夜にマスパを打ったそうだ。現在家は修理中で、友達のアリスの家に泊まっている。だが暇になった時、こうして博麗神社に訪れるそうな。
「なあ霊夢。このせんべい、所々割れてないか?まさか不良品でも買ったのか?」
「それは訳ありせんべい。現実世界を見習ってふーどろす?を減らす為に河童が作ったのよ。こっちとしては値段が六分の一でお得だし、里でも結構人気だったわ。」
「ふぅーん?じゃあせっかくだし、私と買いに行かないか?丁度今、全部食ったし。」
やれやれと、お茶をすすっていた霊夢が重い腰を上げる。人里に行く準備をする為に魔理沙の横を通るが、霊夢は通るついでにゲンコツをかました。
その時、博麗神社の鳥居から大きな声が聞こえた。
「霊夢さーーん!!大変です!!!橙さんがお呼びですーー!!」
この声の主は高麗野あうんだ。普段は博麗神社で狛犬的な役割をしているが、様子がおかしい。いつもより声が震えているので、二人はすぐさま緊急事態と判断する。霊夢と魔理沙が急いで向かうと、傷だらけの血まみれで倒れた橙がいた。
「霊……夢…お願い…紫様を……藍様を…………」
「ヤバい!出血が酷いぞ!このままだと死んじまう!!!」
「とにかく、永遠亭に!!」
すぐさま橙を抱え、ハイスピードで永遠亭に向かう。
「とりあえず、命に別状は無いわ。ただ、あの怪我だとまる一週間は動けないでしょうね。」
永遠亭の治療もあって、橙は一命を取り留めた。ベットで横たわる橙を囲んで、質問を投げる。
「アンタ、どうしてそんな傷だらけなのよ。まさか弾幕ごっこで負ったんじゃあないでしょうね。」
「はい…。確かにこの傷は弾幕ごっこです。でも背中は違うんです。あれは…………本当に…………恐ろしかったの。」
余程の事だったのだろうか。橙は青ざめて、掛け布団の端を握ったまま震えている。傍にいたてゐが慰めるが、おそらく聞こえていない。これに、皆は驚いた。あの陽気な橙がここまでトラウマを抱えるなんてありえない事だ。敵は余程の強敵だったのか、橙はそのまま泣いてしまった。その手を優しく包む様に優曇華は落ち着かせる。
「落ち着いて下さい。まずは何があったかを、お師匠様達に教えてあげて下さい。」
ようやく泣き止み、橙は怯えながらも何があったのかを霊夢達に話した。
あの時、私はいつもの様に藍様と勉強をしていたの。立派な式神になる為にも、勉強しましょうって。しばらくしてたら突然門から呼び出し鈴がなって、誰だろうって思ったの。私が行こうとしたのを藍様が止めて、私が出るから橙はここで待っていなさいって言われたの。少し待ってみたけど、返事もなくて。見に行こうとしたら突然、大きな音が聞こえたの。誰かが弾幕ごっこをした様な音で、藍様が誰かと戦っているのかもって思ったの。音のする方に行く程、嫌な予感が頭の中を駆け巡ったから早足で行ったの。
「紫様!どうか、目を開けて下さい!!敵はまだ目の前に!」
「うーん、やはりスキマにプラズマキャノンが効いたのが、敗因だな。まっ、おかげで処理が楽だったよ。」
家の一部が倒壊して、目の前に傷だらけの紫様がいたの。壊れた襖から見ているのがバレたのか、私が来たのを気配で察したのか、藍様は鬼のような形相で言ったの。
「橙!!逃げろ!貴方が適う相手では無い!博麗霊夢の所に行け!!!」
「おっと、雑談は基地に行ってからにしようか。」
そう言って黒い服を着た人が銃口をこっちに向けたの。危うく打たれそうになったけど藍様が囮になって、気をそらしてくれたの。
私は必死に逃げた。自分でもどのくらい走ったか分からなかった。結局、背中に電撃か、何かを浴びて動けなかったの。そういえば気を失う前にこう言っていたわ。
「あの狐、最後まで勇敢だったぞ。お前の様な奴を持てて幸せだったってな。だが俺も鬼ではない。その気持ちに免じて、お前さん達に逃げるチャンスをやろう。俺達の目的は、悪魔で八雲紫だからな。安心しろ、二人とも死ぬ様な傷じゃない。ギリ生きてるさ。さあ、逃げとけ。お前さんの恩師が言った通りにな。」
「で、私の所に来たと。」
「私、悔しかったんです。自分の…力の無さに。もっと強かったら…私が立派な式神になっていたら……うぅ(泣)。」
それぞれが椅子に座り、深刻な顔をする。幻想郷でもトップクラスの強さを誇る八雲紫がやられたとなると、幻想郷は大混乱に陥る。さらに紫は博麗大結界の管理人でもあるため、一時的とはいえ結界が弱まる事に変わりは無い。最悪の場合、幻想郷の住民が消えてしまうかもしれない。誰が、一体何の為にやったのか。
「分かった。後は任せて。」
「おい霊夢、どこに行くつもりだ?まさか一人でやるなんて言わないよな。」
「アンタには関係ない。これは博麗の巫女としてのケジメよ。流石に、どこにいるのか知らないけど。」
「やめなさい、霊夢。今回はいくら貴方でも死んでしまうわ。それに、敵は紫を倒す程の実力者。ここは戦力を整えて挑むべきだわ。」
皆、気持ちは一緒だ。今すぐに紫を救い、異変の首謀者を倒したい。だが敵の底が分からず挑むのは、自殺行為に等しい。そして人一倍その思いが強いのは、霊夢だ。心では分かっているが、早く助けたいという気持ちもある。しかし今では無い。
霊夢は握りしめたお祓い棒を下に向け、どこかに飛び立ってしまった。
次の日、幻想郷の人々は思いの外、いつも通りの生活を過ごしていた。だが、それは人だけであって、妖怪達は勿論、賢者、妖精、怨霊、神ですら大混乱に陥っていた。
「八雲紫が敗れたって本当!?私たちどうなっちゃうの!?!?」
「なんてやつだ。あの八雲紫を倒すものが現れるとは。」
「俺、遺言でも書こうかな………既に死んでるけど。」
「お釈迦様に貰った命もここまでか……………一体誰がこんな事をしたんだ?」
噂は幻想郷に留まらず、冥界、地獄、天界、そして畜生界にも入ってきた。前半三箇所の者は、聞き込みや鍛錬等をしているが畜生界の住民は違った。己がいち早く弱った連中を仕留めようと、殺気が渦巻いている。
「散々な扱いしたツケだ。ここらで俺らが潰して、支配してやろうぜ!!」
「この日をどれだけ待ち望んだか。人間に復讐する日を、上下関係が変わる瞬間をなあ!!!!」
流石畜生の住民である。下っ端や中間部はこうだが、上層部や組長達は違う。三大組織の組長会議ではある結論が出され、向かうべき所へ向かう。
博麗神社では腕に自信のある妖怪達が集まり、首謀者に心当たりがないか確かめている真っ最中だ。
「あの賢者がやられるなんて、誰も予想しなかったでしょうね。ねえ咲夜。」
「はい、お嬢様。一応私自身も調査して見たのですが、見当もつきません。」
「私もペット達やこいしに聞いてみたけど収穫ゼロ。証拠も一切無し。まさに八方塞がりだわ。」
「私は寺の者達に聞いてみたのですが、心当たりがないそうです。星や村紗、ぬえにも聞いたのですが。」
「ウチも似たようなものだわ。魂達も知らないって言ってたし。妖夢も知らないって。」
「どうする?皆知らなさそうだし、いっその事隅々まで調べるか?」
霊夢はずっと黙ったままだ。しかもこの一週間ずっとだ。天界にも、冥界にも、幻想郷にも居ない。とすると残るは、三途の川ぐらいだ。目撃証人からは人間だと聞いているので、霊夢は勢いよく三途の川の地図を取り出す。だがまたも空振りだった。皆の元にフラフラと戻る霊夢を見て、それぞれ心配そうな顔をする。その時、ドアが勢いよく開き、そこにいたのは畜生界の組長達だった。
「畜生の連中がなぜここに?悪いけど貴方達と話すことはないわ。帰って頂戴。」
「この状況を見て奇襲ですか。そのつもりならいざ、南無三!!」
戦闘態勢に入るが、何故か組長達は構えない。それどころか両手を挙げて敵では無いと言ってくる。そして二人が銃を地面において、黒駒が口を割る。
「まあ待て。戦いに来たんじゃない。むしろ協力、ギブアンドテイクってやつさ。」
「貴方がギブアンドテイクという言葉を知っていたのが驚きですよ(笑)」
「おい、からかいあってる場合じゃないぞ。ことの重要さに気づけ。私達は異変の元凶を、作ってしまったのかもしれないからな。」
異変の元凶、ギブアンドテイクという言葉を信じて黒駒早鬼、吉弔八千慧、饕餮尤魔が輪の中に入る。そして事態は大きく傾くことになった。
「今回の元凶、そいつに心当たりがある。」
そして尤魔は、畜生界の地図を机に広げる。かなり使ったようで、あちこちにマーカーや印があった。尤魔が指した場所は、基本組同士が戦う時に使っている土地だ。確かにここだけマーカーや印が少ない。霊夢はこれまでのようにイラついた感じはなく、真剣に聞いている。だがそれ故に疑問が湧いたのだろう。
「なんでアンタ達が知ってる訳?第一、畜生界は人間が住める場所じゃないでしょ。」
「確かに、好んで住む奴なんていないな。」
各地で疑問や質問が飛ぶ中、尤魔はそれを沈める様に答える。
「空蝉龍陽(うつせみたつはる)。おそらくだが、こいつが主犯で間違いないだろう。黒い服、電撃、全てあいつの姿、能力に共通する。」
その名前を聞いた瞬間、霊夢は何かを決意したかのような顔つきになった。それは復讐なのか、それとも博麗の巫女としてのケジメなのか。真相は定かではない。
「おはようさん。目が覚めたか。」
私は目を覚ますと同時に、あの声を聞く。記憶が正しければ、この男にやられたのは覚えている。橙は?藍は?考えようとしたが、頭が痛い。すると男はパイプ椅子に座って今の状況を説明する。
「ここは俺達の基地、お前さんはこれから囚人だ。でも最低限の自由は保護するぜ。何をするかって言うと、これからお前さんの能力について調べるだけだ。」
いきなり何を言い出すのかと思ったが、どうやら信用して良さそうだ。それからは、ここの施設の紹介だった。どうやら私はモルモットとして、扱われるようで用が済んだら返されるらしい。確かに私の能力は、現実世界にも干渉出来る。だが自らが倒して、その力を手にする輩は初めてだ。
「藍は、橙はどうなっているの?」
「心配ない。二人共生きている。藍はまだ治療中だが、橙は回復したようだぞ。」
式神が無事で安心したが、まだ違和感は残っている。それはこの圧だ。どこかで、ずっと見つめられているかのようなざわつき。そして、動物霊の傍にいる謎のロボット。彼らには、何か関連がありそうだ。
「私の能力を使ってどうするつもり?言っておくけど世界征服は無理よ。」
「そんなチャチャなものじゃあないよ。俺達がやるのは、一種の『世直し』かな。おっともうこんな時間だ。」
そう言うと男は、どこかに行こうとした。だが何かを言い忘れたように立ち止まる。
「そうだ、別にここから出ようって考えてもいいけど、無駄なあがきはよしとけ。体力の無駄だからな。」
そしてその男は静かに扉を閉めて、どこかに行ってしまった。
一気に話が動いてとてもワクワクしました
続きが気になります
casino en ligne fiable
Superb content. Kudos!
casino en ligne
Amazing tons of beneficial facts.
casino en ligne
Incredible many of wonderful info.
casino en ligne francais
This is nicely expressed. !
casino en ligne
Valuable postings, Many thanks.
casino en ligne
Good data, Regards.
meilleur casino en ligne
With thanks. Loads of facts.
casino en ligne fiable
Thanks. A good amount of material.
casino en ligne
Appreciate it, Loads of facts.
casino en ligne