Coolier - 新生・東方創想話

幻想崩壊〜紫達の東奔西走〜

2023/06/10 16:01:54
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私、八雲紫は焦っていた。

幻想郷が造られてから最大の危機かもしれない。
幻想郷は、2枚の大きな結界に囲まれた形で存在している。1つが幻と実体の境界。そしてもう一つが、博麗大結界である。
2つの結界のうちどちらが欠けても、幻想郷は維持できない。そして今、

''博麗大結界に、大きな亀裂が入っていた。''

こういった事は今までにも何度かあるんだが、今までの比では無かった。結界が張られた空中に10mくらいあるんじゃないかって思う大きさの亀裂が出来ていた。
「マズいわね...大きすぎて修復が間に合うかどうか...」
取り敢えず私と藍、橙の3人で修復作業に入っていた。 霊夢は...ダメだ、どうせ手伝わない。今度はもっと聞き分けの良い巫女を育てないと。才能だけじゃ務まらん。

「はぁ...仕方無いわね...」
面倒臭いが、やるしかない。なんとかなるだろう。








...まさか、本当に幻想郷の危機になるなんて。

❇︎

外の世界__
「で?あの山の中には何かあったのか?」
男が、自身の部下に聞く。男は政治家の大臣であった。年は60を越す、俗に言う昭和の頑固オヤジが似合う人だった。
「いえ、まだ明確には見つかっていません。ですが...」
部下が自身の無さげな表情で答える。
「ですが、何だ?」
男が怪訝そうに聞き返す。
「あの山の中には、''何か''があると思うのです。もしかしたら科学的に説明のつかない何かが...」
「ふん。くだらん。あんな小さな山の中にある訳ない。イエティやらビッグフットやら、大した証拠も無く存在しない物をでっちあげる奴らが私は嫌いなんだよ。」
男が気だるそうに部下の言葉を遮る。男は国防省の大臣だった。
最近、長野県にある小さな山で、不気味な噂がネット上で拡散されていた。


「あの山に入った人は、誰1人として戻ってこない」


男は信じていなかったが、あまりに噂が大きすぎたため、又、被害者の人数も数十人となり、仕方なく動くことになった。男はどうせ熊かなんかにやられただけだろうと思っていた。

男の考える常識では、熊にしても被害が大きすぎるという事は考えられなかった。それ以外はありえないからだ。


❇︎


幻想郷__
あれから小一時間。いよいよ結界がヤバくなってきていた。
「マズい、修復速度より破壊速度の方が速い!これじゃ幻想郷が__!」

崩壊する。
その言葉を紫は言葉にできなかった。あまりに恐ろしかったのだ。
「紫様!こっちもダメです!既に手遅れです!」
私の式神である藍がこっちに来た。

私は珍しく混乱していた。今回の件、何が原因でこんなに大きな亀裂が入り、手遅れになったのだろう?結界に直接攻撃して亀裂を入れられる奴なんていない。
結界を作った当初、萃香に殴ってもらって硬度を確認したのだ。結界には傷一つ付かなかった。
となるともう一つの可能性。

''幻想郷の存在を認知した人が増えたか。''

なかなか信じ難い仮説だが、これなら唐突に結界が傷つけられたのも理解できる。あの結界は幻想で無くなれば容易に壊れる。
しかし、仮にそうだとして何故?普通の人は存在を感じ取る事すら難しいはずだ。

そういや、最近外の世界から獲物を拉致して喰ってた事が多かったな。
時には30代の女性を。
時には社会人になったばかりであろう男性を。
時にはJKの3人グループを。
仕方ないじゃん。外の世界の人、おいしい。

考えた。多すぎだ。食欲の秋とはよく言うわ。私は急いでスマホを取り出した。
外の世界の文明に詳しい紫は、スマホを持っていた。家にはフリーWi-Fiがあるので、自分の家でならスマホが使える。
急いでアプリ「青い鳥」を開く。
検索欄で、#神隠しと検索する。

...予想通り。
今、神隠しというワードはトレンド入りしていた。そして、その内容に私は心当たりしか無かった。
「ある日、妻が長野の山に行ったっきり、帰って来なくなったんだ。逃げられたのだろうか...」
「会社の同僚が消えた!連絡しても一切繋がらないし、どうしたらいいんだ。」
「友達が3人も消えたの!確かその日は、長野の山の麓にあるクレープ屋に行くって言ってたのに。」

ヤバい...全部、私が喰った人だ。
「紫様?まさかと思いますけど...紫様のせいでこの事態が起きた...とか、言いませんよね?」
藍が私の表情から察して、物凄い圧をかけてくる。主従関係逆転してやがる。顔は笑ってるのに、目も笑ってるのに、隠しきれない殺気が溢れている。
この事件は私に非があるので、大人しく謝ることにした。
「藍!ごめん!」
「ごめんで済んだら警察はいりません!」
バチンッ!

ぶたれた。ちくしょう。

❇︎

「で?どうするんですか?」
「まぁ、こう言う時のために、最終手段はある。もうそれを使うしか無いわ。」
「あんたねぇ...賢者ともあろう奴が自分で幻想郷滅ぼしてるんじゃ無いわよ。」
「うぅ...ごめんなさいね。」

今、私たちは霊夢の神社にいた。魔理沙やレミリアなども一緒にいる。
どうやら、事の発端は私が人間を喰いすぎた為に、外の世界の人達に勘づかれているようだ。
というのも、まだ幻想郷の存在がバレている訳では無い。
とはいえ、この存在が公になると、"幻想"という存在が無くなってしまう。 それは、妖怪の絶滅を意味していた。
そうならないために、私は最終手段を持っていた。
「この幻想郷をスキマに閉じ込めるわ。」
「は!?アンタ何言ってんの!?」
正直、私としても心苦しい。スキマに長時間閉じ込められるのは、問題が無いとは言えない。
「大丈夫よ。人間は慧音に歴史を喰らって貰うから。人は安全。」
「...妖怪は?」
レミリアが聞いてきた。
「弱い妖怪は、もしかしたら死んでしまうかもしれない。でも絶滅するよりよっぽどマシよ。」
「...そうか。」
レミリアが安堵した声を漏らす。館には多種の妖怪が住んでいるため、不安があったのだろう。紅魔館の連中は全員平均以上の強さだから問題無いだろう。
「でも、慧音は満月の日しか歴史を想像出来ないわよ?アンタ一月もの間負担させる気?」
「何言ってるのよ。」
そんな心配なら無用だ。だって私は、"境界の賢者"なんだから。

「月の満ち欠けの境界くらい、操ってあげるわよ。」

❇︎

「だから何だってんだ!こんな山奥に人なんている訳ないだろう!」
「いや、マジで見たんですって!」
2人の男が軽く言い争っている。あの大臣とその部下だ。
「そいつ、俺の事見た途端逃げ出しちゃいました。やっぱり、この辺には隠れ里的な何かがあるんですよ...」




翌日。
部下が、奇妙な薄い壁を見つけた。これを青い鳥に投稿すると、瞬く間に拡散し話題になった。
動画も投稿した。
壁を蹴ってみた。 びくともしない。
殴ってみた。 痛かった。
鉄パイプで叩いてみた。 鉄パイプが折れた。
最後には銃を使ってみた。 銃弾が壁に埋まった。
「な、なんじゃこりゃ...全然傷つかない...」
傷つける事は既に諦めていたときだ。
バリィィン!

突如として、頑丈だった壁は大きな音を立てて粉々に割れてしまった。
割れ方はガラスに似ていたが、不思議な事に、足元には欠片の1つも残っていない。

目を守るため目を閉じていた部下が目を開けると、そこには何もない平地が広がっていた。


その時、部下のスマホが鳴った。


それは、最新投稿閲覧数が100万人を超えたお知らせだった。

❇︎

「っ!結界が!」
いち早く異変を察知した紫が声を上げる。
「これからスキマに幻想郷を閉じ込める。みんななるべく固まって!これから外の世界に出る事になる。離れ離れになってほしく無いわ。」

既に結界は限界だった。今にも崩れそうなのを紫は感じ取っていた。

「そうは言うけど!アンタなんか手立てあるんでしょうね!?」
霊夢が紫に食ってかかりながら質問する。
「騒ぎを起こした者たちの記憶を抹消する。」
「まぁそんな荒技だと思ったわ...」

そこで皆の意識は途切れた。


❇︎


ん...ここは?

目を覚ました私(霊夢)は周りを見渡すが、そこは古い廃屋のようだった。
「あー、紫の采配ね。いきなり人が跳んできたら騒ぎになるもんね。外の人達は誰も異能を持ってないらしいし。」

近い所に魔理沙やレミリアがいるはずだが、見当たらない。
そんな時だ。ふいに声が聞こえてきた。
「はぇ〜。雰囲気のある廃屋ですねえ。」
「でしょ?心霊スポットって言われるのも分かるわ。」

どうやら心霊スポットを探索してる2人組の女子のようだった。必要以上に周りに見られるのは厄介だ。霊夢は気配を消して"裏口だったであろう"場所へと向かった。

裏口から脱出し、周りを見渡すと既に夜のようだった。
が、そんな事はどうでも良い。
「な、なんじゃこりゃ〜...」
外に出ると、幻想郷とは違いすぎる世界が霊夢を迎えていた。

あの紅白の高い建物はなんだろう。遠くには"M"の字をした看板がある。ドライブスルーって何だ?

「これは凄い...幻想郷では見たこと無い物ばっかり。」
そうして飛ぼうとした時、紫の言葉を思い出した。
「外の世界の人間は空を飛ぶ事が出来ないわ。時代が経って、人類として退化してしまったのかもねぇ...昔は一部の異能者は空くらい飛べたって言うのに。」
生身で空を飛んだりしたら目立つ。そうすれば間接的に幻想郷の存在を知らしめる事に繋がりかねない。仕方なく歩いて皆を探すことにした。
「参ったわね...外の世界は勝手が違いそうだわ。」


暫く歩いて探していると、前から男達のガヤガヤした声が聞こえてきた。
なんとなく...私に関係がある気がする。
進んでみると、聞き慣れた幼馴染の声が聞こえてきた。
「いやっ、クソ、放せよっ!」
「へへ、お嬢ちゃん、随分変わった服装してるじゃねぇか。」
魔理沙が男達に捕まってもがいている。明らかに下品な輩だ。何されるか分かったもんじゃない。急いで私は男たちの方へと向かう。
"話が通じるような奴じゃ無い"と結論付け、私は男の元へと辿り着くと同時に飛び膝蹴りで1人を蹴り飛ばした。着地と同時にもう1人を足払いで転ばせる。
男達が動揺して、魔理沙を掴んだ手の力が弱くなった所で力づくで魔理沙を奪い取り、
「行くわよ!魔理沙!」
私達は夜の街を走って逃げていった。


❇︎


「どうしたもんかな。」
魔理沙が突然話した。
「何が?」
「私達の服装は外の世界ではメチャクチャ目立つんだろうな。」
「あ〜、それね。確かに。幻想郷でさえ他に見ない服装だし、外の世界じゃ更に目立つか。」
「いや〜焦ったぜ。街中歩いていたらいきなり男の集団に囲まれちまってな。助かったよ霊夢。」
「どういたしまして。あそこで魔理沙が酷い目に会ったら後味悪いしね。」
まさか外の世界の人に友人が強姦されそうになってるとは思わなかった。
私たちは今露地裏に逃げ込んでいる。通りからは男達の「どこ行ったァァァ!!」という怒鳴り声が聞こえてくる。

「カモフラージュするために服装変えた方が良いのかな?」
お、それは名案かも。でも、
「服屋に行くにもこの服装で通らなきゃいけないのよ?」
「あーそれもそうか。」
「心配ないわ。」
その時、どこからともなく元凶の声がした。
「そんな事くらい考えてあるわ。はい、服。」
そう言って紫は私たちに上下一着ずつの服をくれた。確かに現代風って感じがして、これなら目立たないかも。

私のは元と同じ紅白を基準にした服装だ。白いTシャツに赤色のジャケット、赤色のスカート。ぱっと見趣味が悪そうな服装に見えるが、着てみると意外に似合う。うーん、BBa((のクセにセンスがあるとしか言えない。
「...霊夢、今何考えた?」
「え!?いや、別に。」

魔理沙のは真ん中に薄い灰色の星が描かれた白色の半袖に、灰色のジャケット、白色のスカートだ。私のと比べると白が多い感じ。後魔理沙は小物として黄色のイヤリングが付いてた。私は黒色の腕時計。「今はそれで時間が分かるのよ。」だって。便利な世の中になったもんだ。


❇︎


「それで?私たちは何をすれば良い訳?」
「単純に言えば、間接的に幻想郷の存在を拡散した男に会ってもらいたいわ。」
私の問いに、紫が答える。
「会って何するんだ?」
「決まってるじゃない。拉致して拷問するのよ...」
「あーはいはいそーゆー事するなら私協力しないわよー」
サラッと恐ろしい事を口にするこの賢者。
「嘘よ。軽く事情を説明して記憶を消さして貰う。そして彼のスマートフォンを使って、投稿を消せばこの騒動は治るわ。」
「思ったんだけど、」
私は気になったことを口に出す。
「アンタがやれば良いんじゃ無いの?アンタは見た目は人間と変わらないし、交渉くらいお手のものでしょう?勿論武力行使も。」
そう聞くと一言、
「無理よ。」
で一蹴されてしまった。
「その男、結構霊感があるっぽくてねぇ...私がスキマで覗いてたら変にキョロキョロしだして。『誰かいるのか?』って聞いてたわ。私が人間じゃ無いこともすぐに気づくでしょう。恐らくは、博麗大結界を視認出来たのもその為。武力行使って言うけど、国家総動員されたら私でも簡単にはいかないわ。」
「あー...だから人間である私達に行ってこいとね...」
そう言うと、紫がウインクして、
「そう言う事よ♪」
なんて言ってきた。キツ。


❇︎


この日は既に夜だったので、寝ることにした。紫がお金をくれて、ホテルに泊まらせてくれた。結構高級な所で、私と魔理沙は終始落ち着かなかった。

紫が言ってたけど、今私ら以外にアリスやレミリア、咲夜、早苗も現代に迷い込んでるみたい。
早苗は元から現代人だしなんとかなるだろう。アリスもそう言うところの融通は効く。心配なのは我儘なレミリアだ。何をしでかすか分かったもんじゃ無い。一応外国の外の世界出身らしいけど。


❇︎


翌朝。魔理沙とチェックアウトの準備を進めていると、ニュースが流れてきた。
『次のニュースです。昨日、午後11時頃、東京都の教会の夜の礼拝に出席していたキリスト教の信者のうち、3人が死傷する事件がありました。3人のうち2人は死亡。1人は重症。死因はいずれも出血性ショックや、貧血です。被害者の首元には獣に噛まれたような後があり、警察は野生の獣に襲われたか、他殺だと考えています。次のニュースです......』
なんだか違和感があった。どうも、普通の事件とは違う気がする。
キリスト......十字架。
咬み傷......牙。
貧血......吸血。
「あぁ......アイツなりに頭を使ったかのかもね。」
私は思わずクスッとする。


「んで?ここら辺にレミリアがいるって言うのか?」
「ついでに言えば咲夜もね。あの2人が離れ離れになってる訳が無いわ。」
あの事件がレミリアからのメッセージだと受け取った私達は、事件のあった教会の前に来ていた。
既に事後の調査という事で、警察が立ち入り禁止のテープを貼っている。
「う〜ん、これ以上近づけないわよ...」
「今の私たちはただの一般人だからな。許されるはずが無い。んー...じゃあどうしたら良いんだ?」
来てみたは良いものの、肝心のレミリアと出会えなければ意味がない。これじゃあ、ただの迷惑行為をしたクソガキって事で後で退治しなければならなくなる。ちなみにクソガキに異論は無い。

かれこれ10分ほど教会前をうろちょろしていた時だ。
遠くから蝙蝠がやってくるのが見えた。よく見れば身体の輪郭が紅い。間違い無く、あれはレミリアの使い魔だ。
「来たわ!あれを辿っていけば、多分レミリアが見えてくるわよ!」
私達は追いかける事にした。

が、空を飛べる蝙蝠と、社会的に空を飛べない私達とじゃ機動力に大きな差があった。
「ぜぇぜぇ...あの蝙蝠どこ行った...?」
「はぁはぁ...み、右上にいるわ...」
走りすぎて私も魔理沙も息が限界だ。脇腹が痛い... 流石はレミリアの使い魔。私達の事を考えてくれない。

かれこれ20分闇雲に走り続けて、遂に蝙蝠が止まった。
そこにあったのは、昔は豪邸であっただろう寂れた洋館だった。日本の都市にはあまりに似合わない。
「なるほど...これはレミリアが住んでいそうね。」
「よし、霊夢、開けるぜ。」

ギィィィィィィ......

錆びた音がして扉が開いた。
「あら、ようこそ霊夢。魔理沙。待っていたわ。その服、似合ってるわね。」
そこには教会殺人事件を起こしたレミリアが、咲夜と一緒に座って待っていた。
「そりゃどうも。あの教会の殺人事件、アンタが犯人なんでしょ?上手く工作したわね。」
私が問いかけるとレミリアはあっけらかんとした表情で答えた。
「そうよ。あれはホント疲れたわ。私は元から少食だから、人を襲うのなんて1人で十分すぎるのよ。でも咲夜が『1人だけ死傷者が出ても大した騒ぎにはなりませんわ。』なんて言うから、無理して3人死傷レベルまで吸血してあげたのよ。マジで辛かったんだから。あの後私吐いたのよ!?あまりに沢山吸ったから。」
確かにレミリアにしては3人は多い。レミリアは少食のスカーレット・デビルなのだ。
「それにしてもこんな洋館よく見つけたな〜。日本には似合わない気もするが。」
魔理沙がそう言うと、レミリアが少し懐かしげな顔をして、
「ここはね、私達が外の世界にいた頃の住処だったの。」
え?レミリアって元は外国の妖怪だよね?
「そうよ。分かりやすく言えば、別荘ね。スカーレット家は昔は超一流の貴族だった事もあったから、別荘の1つや2つ簡単に買えるのよ。」
昔の事を思い出しているのかしら。レミリアが懐かしげな、寂しげな顔をしていた。
「さて、しみじみとした話はお終いですわ。2人とも、やる事があるのでしょう?」
私はとりあえず2人に紫から渡されているであろう服に着替えてって言っておいた。

〜それから10分〜
「んー、やっぱりいつもと違う服装って言うのは落ち着かないわねぇ...」
「まぁまぁお嬢様。その服装も似合ってますわ。」
2人とも服を着替えた。紫から服を渡される時に咲夜が、「お嬢様は身体が小さいから何しても怪しまれるのでは」って聞いたら、「本当の子供の設定にするか、身長が伸びない病気を患ってるって事にしましょ。人の中には実際いるわ。余程失礼な人間じゃ無ければ疑われないでしょう。」
と紫が言った。って事でレミリアは身長が伸びない大人って言う設定にした。500歳も生きてて子供のフリをしろ。は、中々ハードだ。
それでもレミリアはこの話を聞いてる間、ずっと青筋を立てて怒りを抑えているのが見て取れた。どっちにしろ己のコンプレックスを弄られてるに近い訳だし、そんなもんかもしれない。


❇︎


そうして私達は国防省の人達がいる邸宅へと向かった。
途中で紫が、「見つけたわ。」と言ってスキマからアリスと早苗が放り出されて来た。早苗が「扱いが雑すぎますよこのBBA!」なんて言うもんだから、ゆかりんの全力ボディーブローをモロに喰らって1時間程気絶していた。うーん自業自得。
「思ったんだけどさ、お国のお偉いさんが、私たちと会ってくれるの?」
私が1番の疑問を聞く。対して紫は
「今回会うのはお偉いさんの部下よ。仕事で忙しくなければ会える可能性は十分あるわ。」
何か雲行きが怪しいわね...忙しかったら会えないって事じゃない。

取り敢えず、邸宅前にいた門番であろう人に話しかける。
「ごめんくださいな。」
「...女が群れて何のようだ。」
「失礼。私たち、◯界基◯◯統一◯霊協会の使者でありますわ。二階堂文也さんにお話があるのです。」
「...あぁ、統◯教◯の方々でしたか。了解しました。二階堂さんを呼んできます。」
そう言って門番は邸宅の中へと入っていった。

「ちょっと紫!」
門番が見えなくなった瞬間、レミリアが紫の胸ぐらを掴んだ。
「アンタ、あの狂ったカルト宗教の事知らないの!?なんで私達がアイツらのフリをしなくちゃならないのよ!」
レミリアは怒り心頭だ。しかし、霊夢や魔理沙、アリスは何の事か全く分からない。
紫がレミリアに聞かれたことに答える。
「もちろん知っていますわ。しかし...多分これしか私達がここへ入り込む手段は無いわ。自◯党が教会と癒着してる事は明らかだし、今の国防省の人も教会の協力で当選したようなもん。その部下に宗教勧誘するのはおかしく無い行動よ。なんならこれで事実上1人信者を減らせるようなもの。私が記憶を弄ればね。」
紫が言っている事は合理が通っていた。だから、レミリアはこれ以上追及しない。
「あの、その教会って何がそんなにマズいのかしら?」
アリスが聞く。どうしても知りたかったのだろう。知識欲の塊である魔法使いらしい。
「あぁ、あの教会はね、主に日本人を相手に信じられないくらい高額なお金を払わせて、家庭を崩壊に追い込むのよ。やってる事は我々妖怪より残虐かもしれないわね。宗教なんて言ってるけど、信仰はただの人間。早苗みたいな現人神でも無いわ。」
「はぁ...世の中変な団体もいるものねぇ...」
とりあえずこれ以上この話をするとこちら側が危ない気がするのでこの話は辞めにする。
「いやこちら側って何よ。」
霊夢のツッコミが響き渡る___


❇︎


「すいません、皆さんお待たせしました。二階堂文也です。」
5分後、邸宅から出てきたのは全身をスーツでビシッと固めた男性だった。
(すご...なんか堅物って印象を与えてしまうわね。あの服。)
ちょっと感心する霊夢。
「まぁ立ち話もあれですし、中入ります?」

って事で、私たちは今中にいる。中は中々豪華だ。
とある部屋の椅子に座った所で
「で、話と言うのは何でしょうか?」
と聞かれたので、答える事にした。
「率直に言えば、我々は宗教勧誘で来たのではありません。更に言えば、宗教の関係者でもありません。」
そう言うと、文也は凄く驚いていた。
「え!?じゃ、じゃあ何のご用件で...?」
どうやら、少なからず覚えがあるらしい。
「簡潔に言います。あなたの青い鳥の投稿を削除してもらいたい。」
「それだけを言いに...ですか?」
「そうです。あの投稿をされた事で我々は非常に困っています。ちなみに...」

ここで紫は一度言葉を切る。男がごくりと喉を鳴らしたのが聞こえた。
「何のことかお分かりで?」
その一言だけだがその言葉には強烈な圧力が含まれていた。聞いた者全てを震わせるほどの。
「え、えぇ...あのガラスっぽいのが割れる投稿でしょう...?」
男が確認するように答えると、紫は満足そうに頷いて、
「えぇ、その通りです。では、消してくれますね?」
紫がそう聞くと、男は
「申し訳ないのですが...それは出来ません。」
と答えた。

これ自体は紫も想定していたが、まさか本当に断るとは。
「それは何故?」
「私はあの投稿で、政府の官僚としてでなく、一個人として注目を浴びれたんです。凄い投稿をしたんだと。それを知った時、とにかく嬉しかったんです。でも、これを消せば注目されなくなる。だから、あれは、その...どうしても消せません。」
文也がそう言った瞬間だった。


❇︎ 〜文也視点〜
ザッ! ザザッ!

2人が文也に向かって動いた。
1人は小学生くらいの女の子だと思っていた青い髪の少女。もう1人は今まさに交渉をしていた金髪の女性。
青い髪の少女は、座っていたと思うと、瞬きする間に俺に掴みかかって来ていた。否、掴んだのだ。そしてもう一方の手の爪で俺の首元を狙ってきた。 普通じゃない。こんなのは人間の芸当では無い。それとも小学生は身体が軽いから出来るものなのだろうか。
金髪の女性も、何処からか取り出した傘で、俺の首元を狙って振ってきた。傘は寸止めで止まった。傘だと言うのに、爪だと言うのに、まさかそんな訳無いのに、それが振られた瞬間死ぬと思った。
青髪の少女が口を開く。それはゾッとするほどの低い声だった。
「ふざけるなよ。貴様の為だけに我等は絶滅しなければならないのか?あそこは最後の場所だった。我等が生存出来る最後の場所だったのだ。それを貴様は壊した。まだ元に戻れるから私は動いた。お前が協力すればな。それだと言うのに、貴様はそんなふざけた理由で我等を殺すのか?自分勝手なのも大概にしろ!」
言ってる事がさっぱり分からない。最後の場所?殺す?まさか、俺が壊したのは壁みたいな物だ。人じゃ無い。現に、お前たちは生きているじゃないか!
そう言おうとしたが、言えなかった。それ程この少女からは強い怒りの感情を感じた。
更に、金髪の少女が言葉を紡ぐ。
「死にたくなければ、お前に選択権は無い。」
さっきまでの温厚な雰囲気はどこへ行ってしまったのだろうか。既に俺は恐怖で全身を縛り付けられていた。
後ろの護衛が今更ながら声を出した。
「は、離れろ!今すぐ!さもないと___!」
「撃つ...か?」
少女は、生身に銃を向けられたにも関わらず、余裕そうな声を出した。
「っ!?」
「撃ちたきゃ撃ちな。どうごご勝手に。 ほら、どうしたのさ?撃たないのか?」
護衛の人は、殺すかもしれない緊張で息が荒くなった。そして遂に、
「うわぁぁぁぁ!」

ズダァァァン!

少女に向けて銃を発砲した。
反射的に俺は目を瞑った。



が、少女が倒れる音が聞こえない。それどころか、当たった音も聞こえない。
恐る恐る目を開けると、
「ふん。この程度の銃弾、目にも見えるし掴むのも簡単だ。」
「レミリア...こんな事したら私達が人外なのがバレバレじゃない...」
「あら、別に良いじゃ無い。このくらいしないと怯えて言う事聞いてくれないわ。」
少女は、銃弾を指先で掴んでいた。無傷だった。
確信した。誰だコイツ。人じゃ無い。バケモノだ。
どうしようもない。仕方ない。命は惜しい。
「わ、分かりました...削除しますので、どうか命だけは勘弁を...」
「あら、初めからそうすれば良いのよ。」



この後、俺は泣く泣く投稿を削除した。そして、金髪の女性に「最先端の編集技能で本物のように見せていた。あれはフェイク動画だった。」と、投稿させられた。
こんな事したら官僚もクビだな...
俺はもうどうしたら良いか分からなかった。


❇︎


事が終わった。これで幻想郷の事は忘れ去られていくだろう。また、幻想として消えていくだろう。幻想郷は復活する。僅か二日間の短い出来事だったけど、色々大変だった気がする。
帰る前に紫が文也に声をかけた。
「あなた、こうなったからには官僚もやってけないでしょうね。」
「で、ですよね...俺はどうしたら...」
「可哀想に。ちょっとこっちに来なさい。」
「は、はい...」
文也が紫に近づいた__刹那。

ガシッ

「ぐぁ!」
「可哀想に。これじゃあ人生大変ね。仕方が無いわ。私があなたの記憶を作り変えて、幸せな生活を送れるようにしてあげる。」
紫は文也の頭を掴んで持ち上げた。
「や、やめろ...お前は...一体...!」


















「八雲紫。幻想郷を束ねる者よ。」


































幻想郷___?なんだ、それは.........















































ここで文也の意識は完全に途切れた。









































「ようこそ、幻想郷へ。」




















































これにて、幻想郷は復活した。
どーもメアみょんです。
そそわ三作目!
ちょっと挑戦的な作品にしてみました。紫が自身の手で幻想郷を崩壊に導いてしまうとか言う圧倒的キャラ崩壊ぶりから、いつもの胡散臭いカリスマ溢れる(?)紫を描いてみました。

途中○一◯会が出てきましたが、別に何も意味は無いです。こう言うこと言えば案外簡単に通すんじゃねぇ...?って思っただけなので。

外の世界と幻想郷の話を書いてみたい!って思ったのが今回の作品のきっかけです。他にも色々考えていたのですが、本来の目的からズレすぎてもグダグダになるだけなのでカットしました。

コメントお待ちしていま〜す
メアみょん
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コメント



0.140簡易評価
2.90奇声を発する程度の能力削除
良かったです
5.90とあるScratcher削除
面白かったです! 新作もゆっくりで良いのでたのしみにしてますよ!