Coolier - 新生・東方創想話

もう一度、夢を見るために

2021/08/27 23:14:39
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そうして、私はあちこちを見てきた。
いつも閑散とした博麗神社、たくさんの人が行き交う人里、まるで迷路みたいな迷いの竹林、古臭いけどどこか懐かしいガラクタにまみれた香霖堂、そして鳥と妖精が一緒に飛ぶ空。

ドレミ―に導かれたそこはやっぱり幻想郷で、私がずっと見たかった景色がそこにはあった。
知り合い全員とまではいかなかったけど、レイムッチやマリサッチ、妹紅さん、それと霖之助さんに会えた。最後に見た時と顔も身長も態度も、何一つ変わってなくて、久しぶりに会ったっていうのにあんまりにもいつものみんなで拍子抜けしてしまったけど、それが今は逆にありがたかった。
だからだろうか、どこに言って何を見て誰と会っても悲しくないはずなのに目頭が熱くなって、ぼろぼろと大粒の涙が流れた。その度にみんなにどこか頭でも打ったかと心配された。大丈夫と言いながら私は涙でぐちゃぐちゃの顔を隠さなかった。その顔を隠すために俯いて手で覆うくらいなら、私はこの景色を少しでも見たかった。泣きながら、私は幻想郷を歩き続けた。

この景色をもう一度見られて良かった。ドレミ―が導いてくれたこの夢を見て、私の中の幻想はまだ消えていないんだなって、そう確信できた。

私はまた幻想郷を見ることが出来る。ドレミ―と、一緒なら。


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