「溶けない氷?」
氷を司る妖精-チルノは私に最近身につけた能力の一つを披露していた。
妖精の中でも力の強いチルノは、その振りまく冷気の影響もあって同じ妖精と遊ぶことは少ない。
そのチルノが心配することなく遊ぶことのできる数少ない友人の一人が不死人であり炎を身に宿した私だ。
「そう!氷だけど、絶対にいつまでも溶けない氷だよ。炎を当てても何しても溶けないでそのままの形を保つんだ。」
チルノが差し出したのは直径15cmくらいの球状に固められた氷だった。
「へぇ。気泡も全く入って無いし綺麗な氷だね。でも......」
「冷たくない......でしょ?」
そう、その氷からは全く冷気を感じなかった。それどころか温いとかひんやりだとか、そういう熱感の全てを感じ取れない。
つるつるしているのもあって触っているという感覚さえ希薄になる。
綺麗に透き通ったその氷はその相応の重みだけが存在を主張していた。
「なんじゃこりゃ......永く生きてきたけどこんなの初めて見たよ。どうなってるのさ。」
「んーとね? 氷ってどうして溶けちゃうと思う?」
「そりゃあ、周りから熱を受けて水になるからだろ?」
「そう。だからそれは熱を受け取れない氷なんだよ。冷気を周りに分け与えないし、受け取らないから溶けることもないってわけ。」
成る程。だから触っていても冷たくはないというわけだ。
「ふーむ。 なんだかよく分からないけどとんでもない事してるんだな。」
「あれ?あんま驚かないわね。やっぱり妹紅程度じゃこの凄さは分かんないかー。」
「喧嘩なら買うけど? でも、あんまり目新しさはないかなー。」
「なんでよ!」
「だって、これじゃただのガラス玉と一緒じゃないの?」
世界が、凍った。
チルノが笑みを浮かべながらも妹紅の顔を睨みつける。その目は笑ってはいない。
「ふふふふふ、久し振りに頭に来た。その喧嘩買ってやるわ。」
「ほう? いいだろう。氷精一匹如き、不死の業火で燃やし尽くしてやろう!」
「やかましい! 炎さえも凍てつく極寒の世界で凍えるがいい!」
「『氷符!』『焔符!』」
「『アルティメットブリザード!!』『自傷火炎大旋風!!』」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「......うん。ごめん、言い過ぎたよ。あんなの作れるのお前ぐらいだろうし。すごいよお前。」
つめてぇ、と私は呟いて、
「......いや、私もただ球状にするのは単純すぎたと思う。もっと工夫しても良かったよね。」
あちい、とチルノは呟いて。
「あのさ......もうすぐ、お祭りがあるんだ。」
寝っ転がったままチルノが話し出す。
「お祭り?」
「うん。妹紅なら知ってるでしょ。60年ごとの妖精の生まれ変わりのお祭り。 」
「......ああ。」
「それで、私も生まれ変わる。」
「怖いのか?」
「まさか! むしろ嬉しい事だよ。でも、そしたら妹紅の数少ない友人が居なくなるのは可哀想だなーって。」
「......余計なお世話だよバカ。」
「誰がバカだ。......それで、溶けない氷を作れば妹紅の気も紛れるかなって思ったのよ。」
「そっか、ありがとうね。楽しみにしてるよ。」
「......お祭りは一緒に遊びに行かないのか?」
「私? 私は......多分場違いだと思うから。」
「んー......なら仕方ないわね。溶けない氷、持って行くから楽しみにしてなさいよ!」
チルノはそう言うが早いか、立ち上がりそのまま竹林の空に消えていった。
「もちろんだよ、チルノ。」
とても楽しみだ。
氷を司る妖精-チルノは私に最近身につけた能力の一つを披露していた。
妖精の中でも力の強いチルノは、その振りまく冷気の影響もあって同じ妖精と遊ぶことは少ない。
そのチルノが心配することなく遊ぶことのできる数少ない友人の一人が不死人であり炎を身に宿した私だ。
「そう!氷だけど、絶対にいつまでも溶けない氷だよ。炎を当てても何しても溶けないでそのままの形を保つんだ。」
チルノが差し出したのは直径15cmくらいの球状に固められた氷だった。
「へぇ。気泡も全く入って無いし綺麗な氷だね。でも......」
「冷たくない......でしょ?」
そう、その氷からは全く冷気を感じなかった。それどころか温いとかひんやりだとか、そういう熱感の全てを感じ取れない。
つるつるしているのもあって触っているという感覚さえ希薄になる。
綺麗に透き通ったその氷はその相応の重みだけが存在を主張していた。
「なんじゃこりゃ......永く生きてきたけどこんなの初めて見たよ。どうなってるのさ。」
「んーとね? 氷ってどうして溶けちゃうと思う?」
「そりゃあ、周りから熱を受けて水になるからだろ?」
「そう。だからそれは熱を受け取れない氷なんだよ。冷気を周りに分け与えないし、受け取らないから溶けることもないってわけ。」
成る程。だから触っていても冷たくはないというわけだ。
「ふーむ。 なんだかよく分からないけどとんでもない事してるんだな。」
「あれ?あんま驚かないわね。やっぱり妹紅程度じゃこの凄さは分かんないかー。」
「喧嘩なら買うけど? でも、あんまり目新しさはないかなー。」
「なんでよ!」
「だって、これじゃただのガラス玉と一緒じゃないの?」
世界が、凍った。
チルノが笑みを浮かべながらも妹紅の顔を睨みつける。その目は笑ってはいない。
「ふふふふふ、久し振りに頭に来た。その喧嘩買ってやるわ。」
「ほう? いいだろう。氷精一匹如き、不死の業火で燃やし尽くしてやろう!」
「やかましい! 炎さえも凍てつく極寒の世界で凍えるがいい!」
「『氷符!』『焔符!』」
「『アルティメットブリザード!!』『自傷火炎大旋風!!』」
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「......うん。ごめん、言い過ぎたよ。あんなの作れるのお前ぐらいだろうし。すごいよお前。」
つめてぇ、と私は呟いて、
「......いや、私もただ球状にするのは単純すぎたと思う。もっと工夫しても良かったよね。」
あちい、とチルノは呟いて。
「あのさ......もうすぐ、お祭りがあるんだ。」
寝っ転がったままチルノが話し出す。
「お祭り?」
「うん。妹紅なら知ってるでしょ。60年ごとの妖精の生まれ変わりのお祭り。 」
「......ああ。」
「それで、私も生まれ変わる。」
「怖いのか?」
「まさか! むしろ嬉しい事だよ。でも、そしたら妹紅の数少ない友人が居なくなるのは可哀想だなーって。」
「......余計なお世話だよバカ。」
「誰がバカだ。......それで、溶けない氷を作れば妹紅の気も紛れるかなって思ったのよ。」
「そっか、ありがとうね。楽しみにしてるよ。」
「......お祭りは一緒に遊びに行かないのか?」
「私? 私は......多分場違いだと思うから。」
「んー......なら仕方ないわね。溶けない氷、持って行くから楽しみにしてなさいよ!」
チルノはそう言うが早いか、立ち上がりそのまま竹林の空に消えていった。
「もちろんだよ、チルノ。」
とても楽しみだ。