ああ、体が重い。どうしたことだろう。私の言うことを体が聞いてくれなくなったのでしょうか。震えるように指を動かすのが限界みたいです。
「お姉ちゃん! しっかりして! お姉ちゃん!!」
これは、こいしの声……?
焦点の合わない眼をゆっくりと上に向ける。そこには私の妹の顔があった。
「ご……んなさ、い。こ……いし」
「なんでそんなこと言うの! ねぇ! ダメだよそんなこと言っちゃ! まだ助かるよ!」
「い、いえ。……わ……たしは、もう。だめみ、たい」
「そんな! そんなこと言わないで! 早く永遠亭の人を! 永琳はまだなの!? お姉ちゃんしっかり!」
「も、う……いい、の。こい、し。幸せに……なりな、さいよ」
「お……ちゃん! わた……としたいこと……たい所たくさ……!……!……!?……」
ああ、ごめんなさい。こいし。あなたが何を言っているのかすら、もう聞こえなくなってしまったみたい。
長いような、短いような一生だった。
私はいついかなる時でもこいしと一緒に居た。
一緒にお風呂に入ったり一緒に寝たり。あなたが小さかった頃はよく絵本を読み聞かせたりもしたかしら。
あなたといて退屈した時なんてひと時も無かったわ。
でも、そんな日々も今日で終わりなの……。唐突なものね。
あなたは私が居なくても生きていけるかしら。……そうね、お燐やお空がいるから大丈夫かしら。
こいし、どうか私が居なくなっても幸せに生きて。
「お姉ちゃん! 私、お姉ちゃんの妹で良かった……!!」
驚いたわ。段々視界すら霞んできているのにあなたの声が聞こえたような気がするの。
それともこれはあなたの心の声なのかしら。それにしては不思議ね。第三の目は閉じているはずなのに。
ふふっ、でも、そうね――
「わたし……も、あな、たの姉で……よかっ……た」
あらあら、なんて酷い顔で泣いているのよ。それじゃあ可愛い顔が台無しじゃない。
私は重たい体に鞭打ってこいしの頬に触れた。彼女の涙が腕を伝ってくる。
彼女は驚いているのだろうか、不安げなのだろうか、私にはもう分からない。
分からないが、少なくとも最期の時があの子の腕の中というのは幸せなのかもしれない。
最期まであの子と一緒に居られるのだから。
「……! ……!!」
ああ、ダメね。もう何も聞こえない。
ごめんなさい、こいし。愛しているわ。
私は暗闇と静寂に包まれた。
「お姉ちゃん! しっかりして! お姉ちゃん!!」
これは、こいしの声……?
焦点の合わない眼をゆっくりと上に向ける。そこには私の妹の顔があった。
「ご……んなさ、い。こ……いし」
「なんでそんなこと言うの! ねぇ! ダメだよそんなこと言っちゃ! まだ助かるよ!」
「い、いえ。……わ……たしは、もう。だめみ、たい」
「そんな! そんなこと言わないで! 早く永遠亭の人を! 永琳はまだなの!? お姉ちゃんしっかり!」
「も、う……いい、の。こい、し。幸せに……なりな、さいよ」
「お……ちゃん! わた……としたいこと……たい所たくさ……!……!……!?……」
ああ、ごめんなさい。こいし。あなたが何を言っているのかすら、もう聞こえなくなってしまったみたい。
長いような、短いような一生だった。
私はいついかなる時でもこいしと一緒に居た。
一緒にお風呂に入ったり一緒に寝たり。あなたが小さかった頃はよく絵本を読み聞かせたりもしたかしら。
あなたといて退屈した時なんてひと時も無かったわ。
でも、そんな日々も今日で終わりなの……。唐突なものね。
あなたは私が居なくても生きていけるかしら。……そうね、お燐やお空がいるから大丈夫かしら。
こいし、どうか私が居なくなっても幸せに生きて。
「お姉ちゃん! 私、お姉ちゃんの妹で良かった……!!」
驚いたわ。段々視界すら霞んできているのにあなたの声が聞こえたような気がするの。
それともこれはあなたの心の声なのかしら。それにしては不思議ね。第三の目は閉じているはずなのに。
ふふっ、でも、そうね――
「わたし……も、あな、たの姉で……よかっ……た」
あらあら、なんて酷い顔で泣いているのよ。それじゃあ可愛い顔が台無しじゃない。
私は重たい体に鞭打ってこいしの頬に触れた。彼女の涙が腕を伝ってくる。
彼女は驚いているのだろうか、不安げなのだろうか、私にはもう分からない。
分からないが、少なくとも最期の時があの子の腕の中というのは幸せなのかもしれない。
最期まであの子と一緒に居られるのだから。
「……! ……!!」
ああ、ダメね。もう何も聞こえない。
ごめんなさい、こいし。愛しているわ。
私は暗闇と静寂に包まれた。