「ねぇ、もういいかしら?」
「オッケーだよ! お姉ちゃん」
私はむくりと起き上がる。
「はぁ、疲れたわ」
「いやぁ迫真の演技だったねぇ。なんだっけ? はりうっど? 女優顔負けだよ!」
それはそうだろう、途中で抱いていた気持ちは殆どが演技ではなく本当のことなのだから。
「何それ。でもまあ、これで満足した? それにしてもあなたも中々の演技だったわよ。本当に悲しんでるかと思ったわ」
「いやぁ、お姉ちゃんが死んじゃったらと思ったらなんでか自然と?」
「それに最後のセリフよ。『私、お姉ちゃんの妹で良かった』って。本当に永遠の別れみたいになったじゃない」
「え? 私そんなこと言ってた?」
「全く……」
「えへへ〜、ごめんなさい」
「ま、まあいいわよ。つまりそれは本心ってことなんでしょう? いきなり帰ってきて『お姉ちゃん! 死んで!』って言ってきた時はついに嫌われたかと不安になったけど」
「それは本当にごめんなさいって! 私がお姉ちゃんのこと嫌いになるなんて天地がひっくり返ってもあり得ないよ!」
「そ、そう」
「お姉ちゃん」
「何?」
「大好きだよ」
「ッ!! ほ、ほら交代よ! 今度はあんたが死になさい!」
――こんな突拍子もない妹だけれども
「えー! お姉ちゃん疲れたって言ってたじゃーん」
「それはそれ、これはこれよ!」
あなたといる時間が私は幸せです――