え?この話、まだ続いてたんですか?
続く続かないの問題じゃないのです。
え?文様?どういうことですか?
『しまった。そう言ったものの何も思いつかない』
「……美しい花には棘がある」Belles fleurs ont des épines
射命丸は、椛に顎クイしながらそんなこと言い始めた。
咄嗟に出た言動及び行動なのである。
「え?」
「椛、私の言う事が聞けませんか?」
聞いていたし、なんかキザっぽい行動と言動してせまって来たので、椛はすっかり混乱してしまった。
「文様、私に・・・」
もしかして、なにかしら命令が有ったのかと射命丸に問いかけようとした。
壁のところまで追いつめられて壁ドンまでされて居ることにまで椛は気が付いていない。
「ねえ、椛」
「はい?」
「この話が終わったら結婚しましょう」
「え? ええぇぇ?」
山の住民同士だし、仕事でも結構長い間一緒。でもまだお付き合いも、お付き合いに至る言葉もない。
何より同性同士だった。
「椛、答えはお話しの後で良いです」
そう言って、射命丸は椛から離れた。
「そ、そうですか」
なんだか、離れた後に急に体温が上がって汗が沢山出たことに椛は気が付いた。
「それでは気を取り直していきましょう。鑑定士の紹介です。この話が終わったら結婚が決まっている。山で一番の幸せいっぱいワンワン! 射命丸椛! ワンワン!」
「え? 文様、それって答えを聞いてない」
もはや、後で答えを聞くなんて事は形骸化してしまった。これは運命であり必然だったのである。
けして、レミリアの運命操作ではない。
「そして、もう一人の鑑定士を紹介します」
出向・悶運なんども鑑定隊in何某ももう三回目、じゃあこの人が出るのももはや運命。
いいえ、レミリアじゃ無い。
「今日も光学迷彩が似合っている、河童の慟哭にお前は生きていられるか! 河童の鑑定士にとりさん」
「光学迷彩にキラキラする宝石付けてみた。どう、可愛い?」
もはや、隠す気無いんだろう。光学迷彩スーツに綺麗な宝石を沢山つけて着飾っている。
「あ、可愛いですね」
「それでは、行ってみましょう。出向・悶運なんども鑑定隊inミスティアさんの屋台!!」
ミスティアは商売中に急にやってきて、いちゃつく2人と、にとりが来たので悪い予感してたんだ。
でも、そこは商売人この話の為に観客として先ほどがら動員されてきた兵隊さん達に食事を提供して商売を始めたのだった。
冷凍ポテトを揚げ塩をかけただけの食べ物を、原価の20倍で売りつけ始めた。お酒も、比較的安く手に入るのに、黄金色してるから高そうに見えるひまわり焼酎をそれなりの値段で売りつける。
そして、それとは別に、椛がミスティアに迷惑料を払った。
「それでは、適当に依頼人を見繕いましょうか」
「ええ? 文様。依頼人って適当に見繕って良いものだったのですか?」
適当でもなんでも依頼人に選ばれること、これは運命のいたずらなので何も問題ない。
レミリアではない。
「それでは、最初の一杯はビールにしましょうか。ミスティアさん。それと以来の品物出して下さい」
とりあえず、3人は屋台の席についてビールと依頼の品物を注文したのだった。
「…ご注文の品はビール3杯ですか?」
ミスティアはあんまり頭の良くない妖怪なので、都合の悪いことを忘れてしまうのだ。
「あと、依頼の品物ですよ」
「…あ、すみません。お通しの事でしたね」
頭も良くないし耳も悪いので都合の悪いことは、変換されてしまう。
「あーそうです。お通しと書いて依頼の品物でいいです」
ここは、射命丸の方が大人なので、それで折れることにしたのだった。
「・・・はい、ビールとお通しです」
慣れた手つきで、注文されたビールとお通しである依頼品が出て来た。
「じゃあ、私と椛の前途を祈って乾杯!」
「え? 文様。あ、乾杯!」
「ん? なんだか、わからないけど乾杯」
まずは、乾杯だ。
射命丸の音頭と差し出された大ジョッキにつられて、椛とにとりも、大ジョッキを差し出しチーンと合わせて3人は乾杯した。
他からね見たらそれはただの乾杯だったかもしれないけどね。
射命丸からしたら、誓いの儀式だったのかもしれないんだよね。
乾杯した後、3人それぞれの呑み方だったけどキンキンに冷えたビールが旨かったんだよね。
「いやー、ビール冷えていて美味しいですよ。ミスティアさん。あ、ここでは女将さんですね」
「…ほめていただきありがとうございます。お通しの方はどうでしょう」
「文様、これ美味しいですよ」
椛は出された、依頼品を食べてみたらしく、思いのほか良かったらしく嬉しそうな表情だ。
「あ、本島だ。外は外様でパリッと固めて内は親藩や旗本で柔らかくしたてている。溢れる農民の不満が上手く抑えられている」↜お通しの解説ですよ。
どうやら、にとりも褒めているようだ。ほっこりとした表情で食べている。
そんな様子を見た射命丸もお通しを食べてみた。
溢れる才能、カリスマ性、外はウゥー☆中はブレイクが口の中に広がった。レミリアじゃない。
なるほどこれはそういう事かと、納得したのである。
「それでは、ミスティアさん。このお通しの本人評価はいかに?」
「・・え? 300円 税込み324円ですよ! 今秋からは申し訳ありませんが330円です」
「なんと、随分とお安い価格ですね。この値段は当時の価格ですか?」
「・・え? 当時の価格も何も販売かか」
ミスティアもちょっとこの話にようやく付いて来たって所なのに、それを射命丸は空気を読まず遮り言った。
「それでは、本人評価も出たことですし。驚きの鑑定結果を発表しましょう!」
「ねえ、椛。最近どこも不景気だから安価な外国産の素材ばっかり使って味が落ちてる。でもこれは各段に美味しいから使われている素材は高給素材に違いないね」
「そうですね。さぞかし高級な素材を使っているに違いないですね。いい仕事してますね」
べた褒めし始める二人、とてもおいしかったからこんな鑑定結果だ。
「それでは、驚きの鑑定結果を発表して下さい。美食家名探偵鑑定士の椛さん!」
「発表します。ビールのおかわりと、文様何注文します? この味ですから他のも期待できますよ!」
「おぉ! 確かにそうですね。じゃあ、豚串と串揚げを全部3人、6人前ください!」
「…はい。喜んで!」
女将のミスティアはお通しを褒められて、そのうえ注文までもらえてうれしかった。そして、料理作成に取り掛かった。
・・・・実はこのお通し、ミスティアが丹精込めて作ったのは事実なのだが使っている素材は、主に中国産やベトナム産、フィリピン産といった海外から安価に仕入れた素材だった。もはや、この事実誰にも言えない。
「さて、次の料理が出てくるまで、次の依頼で時間をつぶしましょうか」
「文様、目的が逆に」
「椛の固いとこも嫌いじゃないですが。偶には息抜きもだいじですよ」
「そうだよ。射命丸のいうとおりだ。だいじだいじ」
どうせ、戸隠が作ったサクヒンだ。真面目に種族鑑定士・主に土塊に価値をつける程度の能力を使う義理は無い。
「・・・お先にビールどうぞ!」
注文していたビールが出てきた。
「ほら、ビールだって出てきたじゃないですか。今日はお酒を呑むことを主目的としましょう」
「文様、それもそうですね!」
椛はビールと鑑定を天秤にかけた。そして、ビールを選んだのである。
ビールを選んだ椛を尻軽女と言わないでね。戸隠のサクヒンが悪いのだからしょうがない。
それからすぐに、豚串と串揚げが出てきて、鑑定どころではなく、冷める前に食べなきゃ料理がかわいそうになった。
それから女子トークとかして気が付いたら、酒も3杯目、4杯目とどんどん進んでいった。
賑やかな屋台、隣で飲み食いしてた、おじさんがセクハラしてくるのでおでこをひっぱたたいて黙らせたり。
他の席にいた、妹紅と輝夜が逢引しているところを目撃したので激写したりした。
そして、なごやかに呑んでたらトラブルが起きた。ジャイアントトラブルメーカー登場である。
「おい、女将! これ、ウナギに骨が入って居るじゃないか! 中国産使っているんだろ!」
「おい、アーサーやめや。みんな見てるで」
お客さんの中にアーサーとあんちゃんが混じってた。
アーサーは金持ちだけどお金と女に執着するクレーマーである。いちゃもんつけて料理の、うな重税込み840円を踏み倒す気だ。
「・・すみません。アーサーさん。これはヨーロッパ種を中国で育てたウナギです。中国産です」
別に何処産とは特に謳っていないわけで、この価格なのだから大体何処産かは想像がつくはずだ。
それにこの店ではやつめ鰻重10800円も売っている。こちらは、幻想郷産と謳っている。
「中国産だからじゃない。小骨が出て来たじゃないか」
確かに小骨が一本ウナギから出てきたようだ。
「・・アーサーさん、お魚さんなんですから、小骨くらいはありますよ」
「もし、小骨がのどに刺さって死んだら。お前は俺の家族にお魚さんだから小骨くらい有りますよっていえるのか?」
アーサーの家族は、アーサーの事よりも財産問題でもめてそれどころじゃないだろう。
「…いやその、えっと」
とは、言ったもののミスティアの悪い記憶力では今言ったことを家族の前に言うまで覚えていられるか。不安になる。
小骨の事を間違った言い方してしまうかもしれない。(´・ω・`)とか?
「今、どもったな。非を認めるんだな」
あ、ミスティアはそれ以上何も言えず震えてる。あ……アーサーはミスティアを……泣かせた。
「アーサー、大人げないでやめや」
「黙れあんちゃん。お前に小骨が刺さった時の痛みがわかるか? 喉の奥に刺さってご飯の塊を飲んでもそれ以上刺さるだけっていう絶望を知っているのか」
若い頃から戦の日々勝つ時も負ける時もあった。それでも輝いて居た日々だった。それがあるときから崩れて行ったあの時、集めた円卓の騎士達がちりじりになった。悲しいかな、そんな気持ちをアーサーは思い出していた。
「そんなこというてもな」
あんちゃんが止めに入るが、アーサーはいう事聞かない。あんちゃん、今日はアーサーのおごりで来ている手前それ以上言えなかった。フリーターだからそんなに金持ってない。
「という事で、今日の代金は全部無料でいいな?」
「・・・そんな」
このままでは、料理の代金踏み倒される。それどころか、アーサーに襲われ孕まされタマゴ産まされると、ミスティアは普段あんまり回らない頭がフル回転して絶望の淵の落とされた気分だった。
そんな時だった。この話の本題が怒りや憤りとなって現役復帰して来たのであった。
打倒アーサーである。
「おおっと、次の依頼人ですね!」
人が折角ほろ酔い気分で大好きな仲間達とお酒飲んでるところに、興醒めの依頼人が舞い込んできたのだから、こいつは鑑定しなくてはならない。
「え? 俺は、依頼人じゃな」
「ミスティアさんに鰻の鑑定依頼してたじゃないですか」
酒飲んで、本人はキラッキラしていると思ってるらしいがじとっとした表情で2人の間、ミスティアをかばうような位置で射命丸がにじり寄ってきた。
「いや、これは小骨が」
「それよりも~。アーサーさん。依頼人になってくださいよ~」
射命丸は尻軽女のようにシナを作って物をねだるような感覚でアーサーに詰め寄る。
「そ、そうだな。依頼人か、なってやってもいいぞ」
シャツの第二ボタンを外して谷間を強調したその姿に、女好きのアーサーが勝てるわけがない。
その胸元ちらちら見ている視線が誰の眼にもわかってしまう。
「それじゃあ、鑑定ですね」
「そうだな、ならばこの剣エクスカリ」
「その伝説の剣に認められたアーサーさん自身の価値ですね!」
そうこれは、クレーマーアーサーの公開処刑だった。死神が骸骨みたいな独特な格好しているとは限らない。
時には天狗だったりもするんだね。
「へー、偉い人だったんだね。アーサーは! それが今じゃあただのクレーマーどんな気分? どんな気持ち? 河童は盟友だからそんな屑人間でも嫌いじゃないよ多分」
アーサーについてググりながら、にとりは鑑定している。河童なのに、天狗と同じペースで呑んできたからちょっと酔いが回ってきているようだ。
「間違っては、居ないとは思いますけど。にとりさんって酔っぱらうと毒舌になるんですね」
椛はビールから焼酎に替えたくらいでまだまだいける口だ。
「それでは、アーサーさん。本人の本人評価はどうでしょう?」
「俺は幻想郷で一番の金持ちなんだ!」
本人も思い当たる節が有ったのかもしれない。彼は過去に最愛の妻を部下のランスロットに奪われるという経験をしていた。
でも、その失敗を糧にすることは結局今日まで無かった。
「それでは鑑定の結果、アーサーの価値は人としてどうなんでしょう?」
「あんちゃん! やめさせろ! こいつらを俺の城に招待しろ!」
アーサーは最後の抵抗を企てる。城に招待されて行ったら最後とんでもないことになるという公的試算が出ている。
「アーサー反省しろや!」
だが、それも失敗したのだった。
「それじゃあ、椛! アーサーの価値言っちゃって!」
なんだか、ノリノリでにとりはそう言う。それから、一気に酒をあおったダイジョブ?
「満場一致でアーサーの価値は0円! 税込みでもゼロ円!」
「アサ! ……アーサープーン!!!」
アーサーは爆発四散した。
『すまんなみんなと、あんちゃんは言いながら爆発したアーサーの懐から財布を抜き取ってミスティアに渡した。
その財布には沢山のお金が入っていた。
最低な奴だけどな、金だけは沢山持っているんや。
それだけあれば、迷惑料とここにいる奴ら全員に良い酒の一杯か二杯だせるやろ。
アーサーからのおごりやでといって、あんちゃんはアーサーに歩けるやろとか言いながら肩を貸して去っていった』
一先ず、こんなことが有って興醒めしたけどただ酒呑めると屋台もとい会場は盛り上がりを一命取り戻し回復したのだった。
そんなこんなで円もたけなわ。今宵も宵が更けて最後の依頼人の登場だ。
「・・射命丸さん、看板ですよ」
盛り上がった会場もいまでは、時間が過ぎて動員された兵隊さんたちも明日に行われる特攻作戦の為に帰って行った。
この時は極秘の作戦だったから誰も最期のお酒だとかは言えなかったけれど、分かりやすく悪いやつが罰せられる大団円で、可愛い女将にお酌され高い酒までもらえれば悪くない気持ちだったと思う。
「……あれぇ? もじじとにょにぃはぁ?」
「あれ、覚えてないんですか? にとりさんが、いわゆるその、お花畑から帰って来なくなったので椛さんが様子を見に行ったら口から・・」
椛は、にとりのだらしない口元をハンカチで拭って、このことは誰にも言わないで下さいって言っていたのを思い出した。
「くっちからなんてすか?」
「・・口からえっと、なんだか忘れちゃいました」
ミスティアは頭の悪い妖怪なのだ。なんのことだか忘れてしまった。
「そでてぇ、もじはぁ?」
「・・射命丸さんが先に帰ってにとりとお布団温めてなさいと言ったので顔を赤らめて、にとりさん連れて帰りましたよ」
本当は特段かわった様子は無かったけれど、お酒が入って居たので赤ら顔していたのは嘘じゃない。リップサービスの営業トークだ。
「ほへぇ」
射命丸は1人になってからもの呑み続け、酔いつぶれてしまって居たのだった。
「・・それで、あの。射命丸さん」
「あんですか? いあいですか? なんどもとかうってますけど、ぞつは一度依頼をうけたひとからもう依頼いけないんです~」
依頼の品がずっと悶々し続けるから悶運で悶々し続ける運命ってことである。レミリアではない。
「・・あ、違います。おあいそを」
「お愛想?」
ニコッと射命丸は笑った。
「・・お会計です。この場合、私に料理を注文していたのは射命丸さん達だったので依頼人は射命丸さんってことになりますね」
「お~お! 依頼人魚はわたすですたか? 会計の価値は、ぷらいふれせすね」
3人が沢山飲み食いしたから結構な額である。
「・・あー。えっと、射命丸さん。・・お会計の本人評価額は?」
「はおん? 400えん? 位でShowか?」
原価価格にしてもそんなに安くない。
「・・領収書2枚、いえ3枚にしましょうか?」
「もんだいあいです。1枚でいっちゃいましょう! キックボクシングしますから3割増しで書いといてくださいね!」
現金の持ち合わせが無くてカードで支払い、領収書を切って家路についた。
射命丸がその評価価格に驚嘆するのは、翌日の昼にお1人様で冷たいお布団の中、二日酔いで目覚めなんとなくポケットに手を入れくしゃくしゃに丸めてあった領収書を見つけてそれを広げ見た時である。
続く続かないの問題じゃないのです。
え?文様?どういうことですか?
『しまった。そう言ったものの何も思いつかない』
「……美しい花には棘がある」Belles fleurs ont des épines
射命丸は、椛に顎クイしながらそんなこと言い始めた。
咄嗟に出た言動及び行動なのである。
「え?」
「椛、私の言う事が聞けませんか?」
聞いていたし、なんかキザっぽい行動と言動してせまって来たので、椛はすっかり混乱してしまった。
「文様、私に・・・」
もしかして、なにかしら命令が有ったのかと射命丸に問いかけようとした。
壁のところまで追いつめられて壁ドンまでされて居ることにまで椛は気が付いていない。
「ねえ、椛」
「はい?」
「この話が終わったら結婚しましょう」
「え? ええぇぇ?」
山の住民同士だし、仕事でも結構長い間一緒。でもまだお付き合いも、お付き合いに至る言葉もない。
何より同性同士だった。
「椛、答えはお話しの後で良いです」
そう言って、射命丸は椛から離れた。
「そ、そうですか」
なんだか、離れた後に急に体温が上がって汗が沢山出たことに椛は気が付いた。
「それでは気を取り直していきましょう。鑑定士の紹介です。この話が終わったら結婚が決まっている。山で一番の幸せいっぱいワンワン! 射命丸椛! ワンワン!」
「え? 文様、それって答えを聞いてない」
もはや、後で答えを聞くなんて事は形骸化してしまった。これは運命であり必然だったのである。
けして、レミリアの運命操作ではない。
「そして、もう一人の鑑定士を紹介します」
出向・悶運なんども鑑定隊in何某ももう三回目、じゃあこの人が出るのももはや運命。
いいえ、レミリアじゃ無い。
「今日も光学迷彩が似合っている、河童の慟哭にお前は生きていられるか! 河童の鑑定士にとりさん」
「光学迷彩にキラキラする宝石付けてみた。どう、可愛い?」
もはや、隠す気無いんだろう。光学迷彩スーツに綺麗な宝石を沢山つけて着飾っている。
「あ、可愛いですね」
「それでは、行ってみましょう。出向・悶運なんども鑑定隊inミスティアさんの屋台!!」
ミスティアは商売中に急にやってきて、いちゃつく2人と、にとりが来たので悪い予感してたんだ。
でも、そこは商売人この話の為に観客として先ほどがら動員されてきた兵隊さん達に食事を提供して商売を始めたのだった。
冷凍ポテトを揚げ塩をかけただけの食べ物を、原価の20倍で売りつけ始めた。お酒も、比較的安く手に入るのに、黄金色してるから高そうに見えるひまわり焼酎をそれなりの値段で売りつける。
そして、それとは別に、椛がミスティアに迷惑料を払った。
「それでは、適当に依頼人を見繕いましょうか」
「ええ? 文様。依頼人って適当に見繕って良いものだったのですか?」
適当でもなんでも依頼人に選ばれること、これは運命のいたずらなので何も問題ない。
レミリアではない。
「それでは、最初の一杯はビールにしましょうか。ミスティアさん。それと以来の品物出して下さい」
とりあえず、3人は屋台の席についてビールと依頼の品物を注文したのだった。
「…ご注文の品はビール3杯ですか?」
ミスティアはあんまり頭の良くない妖怪なので、都合の悪いことを忘れてしまうのだ。
「あと、依頼の品物ですよ」
「…あ、すみません。お通しの事でしたね」
頭も良くないし耳も悪いので都合の悪いことは、変換されてしまう。
「あーそうです。お通しと書いて依頼の品物でいいです」
ここは、射命丸の方が大人なので、それで折れることにしたのだった。
「・・・はい、ビールとお通しです」
慣れた手つきで、注文されたビールとお通しである依頼品が出て来た。
「じゃあ、私と椛の前途を祈って乾杯!」
「え? 文様。あ、乾杯!」
「ん? なんだか、わからないけど乾杯」
まずは、乾杯だ。
射命丸の音頭と差し出された大ジョッキにつられて、椛とにとりも、大ジョッキを差し出しチーンと合わせて3人は乾杯した。
他からね見たらそれはただの乾杯だったかもしれないけどね。
射命丸からしたら、誓いの儀式だったのかもしれないんだよね。
乾杯した後、3人それぞれの呑み方だったけどキンキンに冷えたビールが旨かったんだよね。
「いやー、ビール冷えていて美味しいですよ。ミスティアさん。あ、ここでは女将さんですね」
「…ほめていただきありがとうございます。お通しの方はどうでしょう」
「文様、これ美味しいですよ」
椛は出された、依頼品を食べてみたらしく、思いのほか良かったらしく嬉しそうな表情だ。
「あ、本島だ。外は外様でパリッと固めて内は親藩や旗本で柔らかくしたてている。溢れる農民の不満が上手く抑えられている」↜お通しの解説ですよ。
どうやら、にとりも褒めているようだ。ほっこりとした表情で食べている。
そんな様子を見た射命丸もお通しを食べてみた。
溢れる才能、カリスマ性、外はウゥー☆中はブレイクが口の中に広がった。レミリアじゃない。
なるほどこれはそういう事かと、納得したのである。
「それでは、ミスティアさん。このお通しの本人評価はいかに?」
「・・え? 300円 税込み324円ですよ! 今秋からは申し訳ありませんが330円です」
「なんと、随分とお安い価格ですね。この値段は当時の価格ですか?」
「・・え? 当時の価格も何も販売かか」
ミスティアもちょっとこの話にようやく付いて来たって所なのに、それを射命丸は空気を読まず遮り言った。
「それでは、本人評価も出たことですし。驚きの鑑定結果を発表しましょう!」
「ねえ、椛。最近どこも不景気だから安価な外国産の素材ばっかり使って味が落ちてる。でもこれは各段に美味しいから使われている素材は高給素材に違いないね」
「そうですね。さぞかし高級な素材を使っているに違いないですね。いい仕事してますね」
べた褒めし始める二人、とてもおいしかったからこんな鑑定結果だ。
「それでは、驚きの鑑定結果を発表して下さい。美食家名探偵鑑定士の椛さん!」
「発表します。ビールのおかわりと、文様何注文します? この味ですから他のも期待できますよ!」
「おぉ! 確かにそうですね。じゃあ、豚串と串揚げを全部3人、6人前ください!」
「…はい。喜んで!」
女将のミスティアはお通しを褒められて、そのうえ注文までもらえてうれしかった。そして、料理作成に取り掛かった。
・・・・実はこのお通し、ミスティアが丹精込めて作ったのは事実なのだが使っている素材は、主に中国産やベトナム産、フィリピン産といった海外から安価に仕入れた素材だった。もはや、この事実誰にも言えない。
「さて、次の料理が出てくるまで、次の依頼で時間をつぶしましょうか」
「文様、目的が逆に」
「椛の固いとこも嫌いじゃないですが。偶には息抜きもだいじですよ」
「そうだよ。射命丸のいうとおりだ。だいじだいじ」
どうせ、戸隠が作ったサクヒンだ。真面目に種族鑑定士・主に土塊に価値をつける程度の能力を使う義理は無い。
「・・・お先にビールどうぞ!」
注文していたビールが出てきた。
「ほら、ビールだって出てきたじゃないですか。今日はお酒を呑むことを主目的としましょう」
「文様、それもそうですね!」
椛はビールと鑑定を天秤にかけた。そして、ビールを選んだのである。
ビールを選んだ椛を尻軽女と言わないでね。戸隠のサクヒンが悪いのだからしょうがない。
それからすぐに、豚串と串揚げが出てきて、鑑定どころではなく、冷める前に食べなきゃ料理がかわいそうになった。
それから女子トークとかして気が付いたら、酒も3杯目、4杯目とどんどん進んでいった。
賑やかな屋台、隣で飲み食いしてた、おじさんがセクハラしてくるのでおでこをひっぱたたいて黙らせたり。
他の席にいた、妹紅と輝夜が逢引しているところを目撃したので激写したりした。
そして、なごやかに呑んでたらトラブルが起きた。ジャイアントトラブルメーカー登場である。
「おい、女将! これ、ウナギに骨が入って居るじゃないか! 中国産使っているんだろ!」
「おい、アーサーやめや。みんな見てるで」
お客さんの中にアーサーとあんちゃんが混じってた。
アーサーは金持ちだけどお金と女に執着するクレーマーである。いちゃもんつけて料理の、うな重税込み840円を踏み倒す気だ。
「・・すみません。アーサーさん。これはヨーロッパ種を中国で育てたウナギです。中国産です」
別に何処産とは特に謳っていないわけで、この価格なのだから大体何処産かは想像がつくはずだ。
それにこの店ではやつめ鰻重10800円も売っている。こちらは、幻想郷産と謳っている。
「中国産だからじゃない。小骨が出て来たじゃないか」
確かに小骨が一本ウナギから出てきたようだ。
「・・アーサーさん、お魚さんなんですから、小骨くらいはありますよ」
「もし、小骨がのどに刺さって死んだら。お前は俺の家族にお魚さんだから小骨くらい有りますよっていえるのか?」
アーサーの家族は、アーサーの事よりも財産問題でもめてそれどころじゃないだろう。
「…いやその、えっと」
とは、言ったもののミスティアの悪い記憶力では今言ったことを家族の前に言うまで覚えていられるか。不安になる。
小骨の事を間違った言い方してしまうかもしれない。(´・ω・`)とか?
「今、どもったな。非を認めるんだな」
あ、ミスティアはそれ以上何も言えず震えてる。あ……アーサーはミスティアを……泣かせた。
「アーサー、大人げないでやめや」
「黙れあんちゃん。お前に小骨が刺さった時の痛みがわかるか? 喉の奥に刺さってご飯の塊を飲んでもそれ以上刺さるだけっていう絶望を知っているのか」
若い頃から戦の日々勝つ時も負ける時もあった。それでも輝いて居た日々だった。それがあるときから崩れて行ったあの時、集めた円卓の騎士達がちりじりになった。悲しいかな、そんな気持ちをアーサーは思い出していた。
「そんなこというてもな」
あんちゃんが止めに入るが、アーサーはいう事聞かない。あんちゃん、今日はアーサーのおごりで来ている手前それ以上言えなかった。フリーターだからそんなに金持ってない。
「という事で、今日の代金は全部無料でいいな?」
「・・・そんな」
このままでは、料理の代金踏み倒される。それどころか、アーサーに襲われ孕まされタマゴ産まされると、ミスティアは普段あんまり回らない頭がフル回転して絶望の淵の落とされた気分だった。
そんな時だった。この話の本題が怒りや憤りとなって現役復帰して来たのであった。
打倒アーサーである。
「おおっと、次の依頼人ですね!」
人が折角ほろ酔い気分で大好きな仲間達とお酒飲んでるところに、興醒めの依頼人が舞い込んできたのだから、こいつは鑑定しなくてはならない。
「え? 俺は、依頼人じゃな」
「ミスティアさんに鰻の鑑定依頼してたじゃないですか」
酒飲んで、本人はキラッキラしていると思ってるらしいがじとっとした表情で2人の間、ミスティアをかばうような位置で射命丸がにじり寄ってきた。
「いや、これは小骨が」
「それよりも~。アーサーさん。依頼人になってくださいよ~」
射命丸は尻軽女のようにシナを作って物をねだるような感覚でアーサーに詰め寄る。
「そ、そうだな。依頼人か、なってやってもいいぞ」
シャツの第二ボタンを外して谷間を強調したその姿に、女好きのアーサーが勝てるわけがない。
その胸元ちらちら見ている視線が誰の眼にもわかってしまう。
「それじゃあ、鑑定ですね」
「そうだな、ならばこの剣エクスカリ」
「その伝説の剣に認められたアーサーさん自身の価値ですね!」
そうこれは、クレーマーアーサーの公開処刑だった。死神が骸骨みたいな独特な格好しているとは限らない。
時には天狗だったりもするんだね。
「へー、偉い人だったんだね。アーサーは! それが今じゃあただのクレーマーどんな気分? どんな気持ち? 河童は盟友だからそんな屑人間でも嫌いじゃないよ多分」
アーサーについてググりながら、にとりは鑑定している。河童なのに、天狗と同じペースで呑んできたからちょっと酔いが回ってきているようだ。
「間違っては、居ないとは思いますけど。にとりさんって酔っぱらうと毒舌になるんですね」
椛はビールから焼酎に替えたくらいでまだまだいける口だ。
「それでは、アーサーさん。本人の本人評価はどうでしょう?」
「俺は幻想郷で一番の金持ちなんだ!」
本人も思い当たる節が有ったのかもしれない。彼は過去に最愛の妻を部下のランスロットに奪われるという経験をしていた。
でも、その失敗を糧にすることは結局今日まで無かった。
「それでは鑑定の結果、アーサーの価値は人としてどうなんでしょう?」
「あんちゃん! やめさせろ! こいつらを俺の城に招待しろ!」
アーサーは最後の抵抗を企てる。城に招待されて行ったら最後とんでもないことになるという公的試算が出ている。
「アーサー反省しろや!」
だが、それも失敗したのだった。
「それじゃあ、椛! アーサーの価値言っちゃって!」
なんだか、ノリノリでにとりはそう言う。それから、一気に酒をあおったダイジョブ?
「満場一致でアーサーの価値は0円! 税込みでもゼロ円!」
「アサ! ……アーサープーン!!!」
アーサーは爆発四散した。
『すまんなみんなと、あんちゃんは言いながら爆発したアーサーの懐から財布を抜き取ってミスティアに渡した。
その財布には沢山のお金が入っていた。
最低な奴だけどな、金だけは沢山持っているんや。
それだけあれば、迷惑料とここにいる奴ら全員に良い酒の一杯か二杯だせるやろ。
アーサーからのおごりやでといって、あんちゃんはアーサーに歩けるやろとか言いながら肩を貸して去っていった』
一先ず、こんなことが有って興醒めしたけどただ酒呑めると屋台もとい会場は盛り上がりを一命取り戻し回復したのだった。
そんなこんなで円もたけなわ。今宵も宵が更けて最後の依頼人の登場だ。
「・・射命丸さん、看板ですよ」
盛り上がった会場もいまでは、時間が過ぎて動員された兵隊さんたちも明日に行われる特攻作戦の為に帰って行った。
この時は極秘の作戦だったから誰も最期のお酒だとかは言えなかったけれど、分かりやすく悪いやつが罰せられる大団円で、可愛い女将にお酌され高い酒までもらえれば悪くない気持ちだったと思う。
「……あれぇ? もじじとにょにぃはぁ?」
「あれ、覚えてないんですか? にとりさんが、いわゆるその、お花畑から帰って来なくなったので椛さんが様子を見に行ったら口から・・」
椛は、にとりのだらしない口元をハンカチで拭って、このことは誰にも言わないで下さいって言っていたのを思い出した。
「くっちからなんてすか?」
「・・口からえっと、なんだか忘れちゃいました」
ミスティアは頭の悪い妖怪なのだ。なんのことだか忘れてしまった。
「そでてぇ、もじはぁ?」
「・・射命丸さんが先に帰ってにとりとお布団温めてなさいと言ったので顔を赤らめて、にとりさん連れて帰りましたよ」
本当は特段かわった様子は無かったけれど、お酒が入って居たので赤ら顔していたのは嘘じゃない。リップサービスの営業トークだ。
「ほへぇ」
射命丸は1人になってからもの呑み続け、酔いつぶれてしまって居たのだった。
「・・それで、あの。射命丸さん」
「あんですか? いあいですか? なんどもとかうってますけど、ぞつは一度依頼をうけたひとからもう依頼いけないんです~」
依頼の品がずっと悶々し続けるから悶運で悶々し続ける運命ってことである。レミリアではない。
「・・あ、違います。おあいそを」
「お愛想?」
ニコッと射命丸は笑った。
「・・お会計です。この場合、私に料理を注文していたのは射命丸さん達だったので依頼人は射命丸さんってことになりますね」
「お~お! 依頼人魚はわたすですたか? 会計の価値は、ぷらいふれせすね」
3人が沢山飲み食いしたから結構な額である。
「・・あー。えっと、射命丸さん。・・お会計の本人評価額は?」
「はおん? 400えん? 位でShowか?」
原価価格にしてもそんなに安くない。
「・・領収書2枚、いえ3枚にしましょうか?」
「もんだいあいです。1枚でいっちゃいましょう! キックボクシングしますから3割増しで書いといてくださいね!」
現金の持ち合わせが無くてカードで支払い、領収書を切って家路についた。
射命丸がその評価価格に驚嘆するのは、翌日の昼にお1人様で冷たいお布団の中、二日酔いで目覚めなんとなくポケットに手を入れくしゃくしゃに丸めてあった領収書を見つけてそれを広げ見た時である。
途中ふざけているようなのに読んでると納得してしまう。
私のイメージするあやもみに比べると近過ぎと思ってたら落ちでこれだ。
この作品が、このサクヒンが大好き!
意味も無く現れてはさらっと流される悲惨な運命の兵隊さんがツボ
>「発表します。ビールのおかわりと、文様何注文します? この味ですから他のも期待できますよ!」
>「おぉ! 確かにそうですね。じゃあ、豚串と串揚げを全部3人、6人前ください!」
ここのところの掛け合いがすごく良かった。こういう掛け合いが思いつけるのがずるい。
わかりやすい悪役アーサーが倒され、酒がうまいぜ。