四枚目のはがきも見事に処理してもらった。次のはがきを楽しげに待つレミィを見て、私は息を吐いた。
「ありがと、今はこれくらいにしとく」
「あら、もういいの?」
少し残念そうにするレミィを傍目に、私は「うん」と呻きながらベッドに寝転んだ。
「なんだか落ち込んじゃう。レミィに教えてもらってるといつもだわ」
「あら、私のが物知りなもんで、拗ねちゃった? カワイイとこあるわ」
レミィが私の隣に倒れた。勢いがいいもんで、私の体が少し弾んだ。彼女は倒れた勢いをそのままに、私の頬や髪をいじってくる。
「むきゅー……やめてちょーだい……」
うねうねと抵抗を続けていると、レミィは顔を乗り出して、私を上から覗き込んできた。満面の笑みで。
「また来なさいな。なんでも答えてあげるから」
「…………」
そう言われた。体はレミィの方が小さいのに、私の全体に残さず覆い被さってきそうな感じがした。私は出す言葉が見つからず、黙った。
レミィは「くくっ」と短く笑った。
ようやく言葉が見つかったのは、レミィがまた寝転んでからだった。
「…………今日は、ここにいるわ。起きたらまた付き合ってもらうの」
「フフフフ、良いだろう」
レミィは寝たまま胸を張った。威厳の"い"も感じられない。まあ、それは私もだろう。
私は寝返りを打った。その拍子でレミィの体に腕を乗せる。
レミィは囁くように笑って、私の腕を抱えてくれた。
私が持ち込んだ質問をレミィが"答え"られなかったことは一度もない。彼女に雑学を語らせたら、右に出るものはいないと思う。
やはり、レミィにはまだまだ敵いそうもない。こうしてレミィの元に訪れると、それが如実に感じられる。
彼女の話す知識や言葉は、ただ頭に叩っ込んだだけのホコリをかぶったものでない、活きている。レミィの言葉が、声が、存在が、私の凝り固まった頭や心をどんどん刺激してほぐしてくれる。私にはそれが心地良い。
もしも、もしも私がレミィと出会わなかったら。考えると心が暗くなる。今のこのひと時がないということだから。でもそんなことはないのだ。レミィはそばにいる。
今の現場を他の誰かに見られるのは流石に恥ずかしい。けど咲夜はそういうところ配慮してくれると思ってる。それに、見られたくないからってこの時間をふいにするつもりもさらさらない。
私は次の目覚めを楽しみにしながら、そのまま目を瞑った。
幻想郷はまだまだ知らないことが一杯ですね……
ふわふわとしていて良かったです
テンポのいい会話で読みやすかったです