第百話の後
橘は百話目を語り終えると、最後の蝋燭の火を吹き消した。部屋は闇に包まれた。我々は黙ったままじっと座っていた。しかし、どれほど時間がたっても何かが現れることもなかった。部屋も静寂なままであった。結局、仲間の一人がしびれを切らして明かりをつけた。光を取り戻した部屋の中で、我々はすぐにあることに気がついた。部屋の中に二十四人しか人がいなかったのである。そして、よりによっていなくなっていたのは、最後の話を語った橘だった。
我々は橘の悪戯だと考えて、橘が笑いながら現れるのを待った。しかし、いくら待っても橘は出てこない。 心配になった我々は屋敷中を手分けして探したが、橘は見つからなかった。成果が上がらなかった我々は百物語を行った部屋に再び集まり、もしかして橘の話が再現されたのだろうかという話をしていた。誰もが青ざめた顔をしていた。そのとき、部屋に何かの音が響いた。一時、部屋の中は騒然となったが、再び同じ音がしたとき、音の正体が分かった。それは部屋の戸を叩く音だった。私がおそるおそる戸を開けてみると、そこにいたのは橘だった。橘は気まずそうな顔をしていた。
私は苦笑いをせずにはいられなかった。橘は百物語の怪異を演出するため、こっそりと建物から出ていって、失踪したふりをしたのだろう。そう思った私は
「おいおい、冗談がきつすぎるぞ」
と言った。ところが、橘は不思議そうな顔をして、
「冗談って何のことだ」
と聞き返した。私は
「とぼけるなよ。自分が語った話を再現するなんてにくいことをするね」
と言った。すると、橘は奇妙なことを言い出した。
橘が言うには、彼は百物語が開かれることをうっかり忘れてしまっていたのだそうだ。気がついたときには約束の時間を大きく過ぎてしまっていた。それで、途中で参加すると怪談の雰囲気を壊しそうだと思って、申し訳ないと思いつつも参加を諦めたのだという。橘は百物語が終わる頃合を見計らって、我々に欠席したことを謝りに来たのだ。
橘の言葉が本当ならば、橘は百物語に参加していなかったことになる。それでは、我々に百話目の怪談を語った橘は一体誰だったのだろうか。我々は数刻もの間、一体誰と同じ部屋で過ごしていたのだろうか。
もしかすると、東方妖怪キャラで百物語が完成する時が来るかもしれない……
ばんきちゃん、わかさぎちゃん、影狼さんと来たから、てっきり輝針城キャラで進めるのかと思ったがそんなことはなかったぜ
百話目を語っていたのは紫かマミゾウか。どっちだったんだろう。
影狼の「見たな」はきっと顔が真っ赤だったんでしょうねぇ
子どもたちを誘ったリグルの本心が気になるところです