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魔理沙という名の少女・記憶編 ~ Marisa's Lifes in Wonderland.

2014/07/13 10:53:50
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魔導書編 ~ The Grimoire of Marisa.
記憶編 ~ Marisa's Lifes in Wonderland.
幻編 ~ You ain't seen Marisa, never!
編 ~ Does the Proprium Dream of Genuine Marisa?
魔理沙という名の幻想 ~ And Then There Were No Marisa.
霊夢という名の存在 ~ Marisa Leaving the People's Vision with Reimu.



 その時の私はずっときょろきょろと辺りを見回していた。博麗神社へは一度行った事があったにも関わらず、友達の家へ遊びに行くという名目が加わると何もかもが新鮮に思えた。
 私がお母さんと一緒に鳥居を潜ると、優しそうなお婆さんが箒を掃く手を止めて出迎えてくれた。その頃には既に先代と呼ばれていたお婆さんは微笑みながらお辞儀をして手を伸ばしてきた。まるで枯れ木の様な筋張った手は、幼い私が触れてすら崩れ落ちてしまいそうで、私は恐る恐る差し出された手を握り返した。その手の不思議な程温かな感触は今でも思い出せる。先代の巫女は本当に優しい人で、その下で暮らす霊夢もまた幸せそうにしていた。
 私達が上がりこむと、居間で霊夢と魔理沙が遊んでいた。私が話しかけられずに戸惑っていると、先代が魔界のアリスが遊びに来た事を告げ霊夢達の注意を引いてくれて、気が付くと三人で遊んでいた。魔理沙が殊更私の究極魔法に挑みたがって、本が無いから無理だと言うのに、やれ勝負をしなさいだの、やれ魔法勝負に勝ったらその魔法をもらうわだの、好き勝手言っていた。どうやっていなしたのか覚えていないが、霊夢に助け舟を出してもらった様な気がする。何だかんだと遊びまわって気が付くと日が暮れて帰る時間となり、もっと遊びたいと泣きながらお母さんにおぶられ魔界に帰った。魔界の中で同年代の友達も無く、寂しい思いをしていた私は、それを期に幻想郷で霊夢達と遊ぶ様になった。
 ある時、霊夢達との他愛無い会話の中で何かの拍子に結婚が話題に上がった。誰と結婚したいかという話になって、私はお母さんと答えた。当時はまだ結婚というものがよく分からず、大事な人とずっと一緒に暮らす為の儀式だと思っていた。だから私はお母さんと結婚する事を夢見たし、霊夢と魔理沙は自分達二人で結婚するんだと息巻いていた。その夜、家に帰ってその事を話すと、ユキが大笑いしながら女性同士は結婚出来ない事を教えてくれた。それを聞いた私はお母さんといずれ別れなくてはならないのだと勘違いして部屋に閉じ篭もり、部屋の外で心配するみんなに罵声を浴びせながら泣き続け、次の日にはみんなの制止を振り切って魔界の外へ飛び出し、博麗神社に飛び込んで霊夢と魔理沙にユキから教えられた世の無常を伝えた。真実を知った私達三人は、心配する先代をも拒絶して、襖を閉めきり延延と泣き続けた。それからどうなったのかは覚えていないが、気が付くと私はお母さんに抱かれながら魔界へ向かっていた。道中、結婚というのは生涯の伴侶となる男性を見初め愛を誓う素晴らしい事なのだと教えられた。そうは言われても本質的な結婚の意味なぞ分からなかったが、お母さんとずっと一緒に居られるのだという事だけはしっかりと理解して心の底から安堵した。儚んでいた世に希望を見出し、廊下の隅に転がされていたユキにも謝ってもらったので、私の気分は回復したが、同じく絶望していた霊夢と魔理沙の事が気に掛かってその夜は中中眠れなかった。
 次の日急いで博麗神社に向かい、鳥居をくぐると魔理沙が立っていたので、早速結婚の真実を伝えようとしたら、私に気がついた魔理沙が「おはようだぜ」と今までとは似ても似つかない言葉遣いで挨拶をしてきた。面食らっている私を前に、魔理沙はそれからも語尾に「ぜ」を付け続けた。何が何だか分からず、魔理沙を前に困惑しきっていると、霊夢がやって来て、魔理沙は結婚の為に男になったのだと教えてくれた。それを聞いた私は思わず感嘆の溜息を吐いた。今思えば、ただ単に言葉遣いを変えただけの事ではあったけれど、当時の私にとって魔理沙の行動は、大切な人の為に自分を捨て去るという類稀なる英雄的行為だった。霊夢の為に滅私の覚悟を貫いた魔理沙は本当に輝いて見えて、その時から私の憧れになった。未だ結婚の概念を正確に理解しきれていなかった私は、英雄魔理沙とそんな英雄の最も大切な友達霊夢は当然いつか結婚するのだろうと考えたし、そう考えるだけで胸のすく思いになった。
 魔理沙が死んだのはそれから半年程立った冬の日だった。
 その日は澄み渡った青空で、気分を良くした私達は妖怪の山へハイキングに出かけた。霊夢と魔理沙はいつもの通り仲が良かった。森の暗がりを見て熊でも居るんじゃないかと怯える私に向かって、二人はそれを肯定した上で、魔理沙は熊が出たって霊夢を守ると宣言し、霊夢は妖怪が出たって魔理沙を守ると胸を張った。そんな二人の絆の強さに励まされた私も元気が出て、途中で天狗の哨戒に出会ったものの特に何事も無く通され、他の危険な妖怪に出会う事も無く、青空の下のハイキングは実に気持ちの良いものだった。
 山の中腹に差し掛かった頃に一度休憩しようという事になって、私と霊夢は近くの木陰に座り込んだ。魔理沙は食べられる木の実があるかもしれないからとそこいらを見渡して、辺りに何も無いと分かると、嬉しそうに山の奥へと消えた。実家の山菜採集を手伝い始めた魔理沙は、きっとその知識を私達に自慢したくて仕方が無かったのだろう。
 それからしばらく私と霊夢は、魔理沙の持って来るであろう山菜にお腹を鳴らし、山の頂上に何があるのかを夢想し、もう足が疲れ切って死にそうだと愚痴り、それでも魔理沙が居れば頂上まで登れるから魔理沙は凄いとはしゃいでいたが、いつまで経っても一向に魔理沙が帰って来ない。妖怪の屯す山である事を思い出して二人で不安がっていると、終いには焦れた霊夢が魔理沙を探しに行くと言い始めた。もしも魔理沙が一人で戻ってきたら待ち合わせの場所に誰かが居ないといけないからと言って、霊夢は私をその場に残し一人で魔理沙を探しに出かけた。
 次第に曇天が立ち込めて、雨の気配まで見え隠れするので、私は本当に不安な思いで震えながら、霊夢が魔理沙を連れて戻ってくる事を信じてその場に座り続けた。しかし幾ら待っても二人は帰って来ない。私も探しに行こうか迷いに迷い、遂には空から雷の音が聞こえ出して怖さのあまり霊夢の去った方角に向かおうとした時、ようやっと霊夢が戻ってきた。私が安堵して霊夢に抱きつくと、霊夢は私に枝垂れ掛かるなり呟く様に言った。
「魔理沙が神隠しにあった」
 私はその意味を理解して総毛立った。
 妖怪の山では神隠しが起きる。それは麓の人間にとっては当然の事だ。実のところ妖怪が人を攫ったという事であるが、それを容認し神隠しとして処理する暗黙の了解である。だから私は魔理沙が妖怪に攫われたのだと思ったが、霊夢の態度を見て違う様だと思い直した。魔理沙が妖怪に攫われたのなら霊夢は取り返しに行こうとするに決まっている。それなのに霊夢は塞ぎ込むばかりで魔理沙を取り返しに行こうとしない。終いには泣き出して、魔理沙は神隠しにあったと呟くばかり。その様子を見て、妖怪に攫われたとか襲われたとかそんな陳腐でありがちな異変ではなく、霊夢にもどうしようもない様な酷い異常が起こって魔理沙が消えてしまったのだと確信した。霊夢に解決出来無い事を私が解決出来る訳が無い。途方に暮れた私は泣きじゃくる霊夢を連れて山を降りた。
 麓の里に辿り着いた私は早速長に事情を訴えた。山菜を取りに行った魔理沙が居なくなってしまった事、探しに行った霊夢は結局見つける事が出来ず神隠しにあったと言っている事、私は必死で長に訴えた。長の質問が霊夢に向かう事も多かったが、霊夢は泣いていて答えられない様子だった。とにかく長に神隠しの異常事態を伝え魔理沙を探してもらおうとしたが、長の反応はあまり芳しくなかった。それもその筈で、説明している私自身、霊夢の言う神隠しが何の事か理解していなかった。ただ理解出来無い分、恐怖はいや増していたから、何とか人間達にこの危急の事態を伝えなくちゃと必死で説明し続けた。
 結論から言えば里は助けてくれなかった。今なら分かる事だが、誰が消えようと、どんな理由があろうと、山で消えた人間を里が探す事は無い。里の人間にとって神隠しとは妖怪との契約である。神隠しは山に捧げられた供物と同義であり、探す事は妖怪の山に対する冒涜である。そんな事をすれば、里と妖怪の関係が崩れ、最悪の場合、妖怪達が里を襲わないという決まりを破る可能性すらある。不変の存続を願う幻想郷で、禁を破ってまで一人の少女を探そうなんて愚行を犯す者は居ない。結局里の中をおざなりに捜索した後、魔理沙は神隠しにあったとされて、すぐに戸籍から消えた。その間中、私はずっと魔理沙を救ってくれる様にそこら中の人間達に頼んだが、邪険にされるばかりだった。私はどうしてもその対応に納得が出来なくて、泣きながら魔界に帰りお母さんに里の理不尽さを訴えてみたが、幻想郷には幻想郷の社会があり、それを壊してはならないから、口出しをしない様に厳しく諌められた。意気消沈した私はせめて霊夢を励まそうと博麗神社へ取って返したが、応対してくれた先代は、霊夢は酷く取り乱していて会える状態にないと沈鬱な顔をして、私を門前払いにした。
 私はどうして良いか分からず、再び魔界に帰り、何とか魔理沙を探して欲しいとお母さんに訴えた。しかしお母さんは首を横に振って、魔理沙を探してはならないと諭してくる。懇懇と諭された私はどうしても大人達の語る理屈を理解出来なかったが、それでも魔理沙を見つけ出す事が非常に難しいとだけは分かった。私に出来る事が何も無いと分かると、自分の無力さが悲しくて、何もする気が起きなくなって、部屋の中に籠もった。部屋の中でじっとしながら、魔理沙と遊んだ日の事を思い出し、魔理沙がいなくなった後の霊夢を不憫に思い、もしも二度と魔理沙と会えなかったらと怯え続けた。皆に慰められながらも、ただただ悲しみと無力感に暮れた五日後、お母さんが悲しそうな顔をして部屋に入ってきて、私の前に座り込んだ。
 その表情に嫌な予感を覚えて逃げ出そうとしたが、抱き締められて、魔理沙の死体が見つかったと聞かされた。私はお母さんに連れられてふらつきながら人里へ向かった。一目魔理沙の姿を見たくての行動だったが、里へ言ってみたら既に魔理沙は片付けられていて、姿を見る事は出来なかった。里の人に話を聞くと、山の中腹にある沼に浮かんでいたのを天狗が見つけて持ってきたらしい。魔理沙が死んでしまった事は悲しかったが、魔理沙の遺体は綺麗だったと聞いてほんの少しだけ救われた。
 魔理沙が見つかった事を霊夢に伝えようと博麗神社へ急いだ。しかし霊夢には会えなかった。私が魔理沙の死体が見つかった事を先代に告げると、既に知っていると言う。ならば霊夢も知っているのかと問うと、今の霊夢に伝えるのは酷だからまた後で伝えると言った。私は早く伝えた方が良いに決まっていると憤ったが、お母さんも先代の意見に同意してしまったので、私は何も言えなくなった。それからも度度霊夢に会いに神社へ行ったが、いつになっても霊夢に会う事は出来なかった。霊夢に会えない毎に私の気持ちは沈んでいった。
 私は私で霊夢の事を心配し悲嘆していたが、幻想郷も幻想郷で霊夢が落ち込んでいる事は大問題だった。霊夢が落ち込んで神社を出ようとしないという事は、即ち妖怪を退治するという役目を持つ博麗の巫女が役割を果たさなくなったのだ。その当時、先代と霊夢は二人で妖怪退治をしていたが、先代は既に老齢であった為、霊夢が実質的に妖怪を退治していた。それが先代一人の肩にのしかかり、老骨に鞭打って妖怪退治を演じていたが、誰の目にも無理をきたしている事は明らかだった。人間と妖怪の関係を定義づける新たな手段も模索されたそうだが、博麗の巫女以上の機能は見出されず、結局霊夢の回復が待ち望まれるだけとなった。しかし冬の間、霊夢が人前に姿を見せる事は無かった。
 幻想郷は終わりだと誰かが呟いていたのを聞いた覚えがある。
 長い冬が明けて春が来て、ようやっと全ての雪が水と変わって流れ切った頃、私がいつもの通り期待せずに霊夢を訪問すると、申し訳無さそうに追い返そうとする先代の背後から、暗い顔をした霊夢が急に顔を覗かせた。私は突然の事に驚き、久しぶりに霊夢の顔を見られた事が嬉しくて声をかけようとしたが、それより前に霊夢が笑顔になって駆け寄ってきた。
「魔理沙!」
 抱き着かれた私は何も言えずに固まった。先代やお母さんもそうだった筈だ。霊夢は、やっぱり魔理沙は生きていたんだ、魔理沙に会えた事が嬉しいと、泣きじゃくりながら笑って私の事を抱きしめ離そうとしなかった。それを無理矢理引き剥がして、真意を聞こうとするも、霊夢は魔理沙が帰ってきただとか、どうして会いに来てくれなかっただとか言うばかり。しばらく霊夢を宥め続けて分かったのだが、霊夢は私の事を魔理沙だと勘違いしていた。不意に自分でも分からない衝動が湧いて、霊夢の頬を思いっきり張ったが、霊夢はめげずに魔理沙と名前を呼びながら私へ近寄ってきた。それに対して私は凄まじい拒絶反応を示して、喚きながら必死で霊夢を叩き蹴り飛ばし物を投げた。霊夢に文鎮を投げつけ霊夢の額から血が流れた事で、私はようやっと我に返る。そして霊夢を傷付けてしまった恐ろしさに意識が遠のいて、気が付くと自室の布団の中、お母さんの胸に顔を埋めて眠っていた。起き抜けて窓から見える月を見ていると、霊夢を傷つけてしまった事や、霊夢に魔理沙だと勘違いされた事、魔理沙が死んでしまった事、そんな事ばかりが頭に思い浮かんで、酷い悲しみに襲われた。私はお母さんに抱き着いて、朝までそうしていた。
 朝になる頃、私の気力は回復して、霊夢を拒絶し悲しみのまま霊夢から逃げた自分を恥じた。霊夢は友達だ。おかしくなったのなら、私がしっかりと向き合って、霊夢を正気に戻してあげなくちゃいけない。私はお母さんにお願いして、朝ごはんも食べずに、博麗神社へ連れて行ってもらった。
 博麗神社に着くと困惑し切った顔の先代が出迎えてくれた。おかしくなった霊夢は医者に連れて行っても治らず、どうしたら良いのか困り果てていると言う。その上、吸血鬼が幻想郷を滅茶苦茶にし始めて、どうにもならない状況らしかった。私が胸を張って、友達として霊夢を治しに来たのだというと、先代は喜んでくれた。居間に入ると本を読んでいた霊夢が顔を綻ばせ、魔理沙と大きな声を出した。私はそれを聞いてまた泣きそうになったけれど、堪えながら霊夢の傍に腰をおろし、魔理沙はもう居らず、自分がアリスである事を訴え続けた。けれど無駄だった。幾ら何を言っても、霊夢は私の事をアリスだと思ってくれない。どうして魔理沙はそんな事を言うんだ、アリスにも失礼だと憤慨してくる。必死で説得を続けたがどうにもならず、結局大喧嘩になった頃に、お母さんと先代に引き離されて、私は魔界へと帰らされた。あまり性急に治そとうしてはいけないと、帰り道にお母さんから聞かされた。心の病は時間を掛けて治さなければいけないんだと言って私の頭を撫でてくれた。私は無力さを覚えて泣いた。
 次の日も博麗神社に赴いた。とにかく時間が掛かってでも私の事をアリスだと認識させる。そして魔理沙が居なくなった事を知ってもらう。その上で、元気な霊夢に戻ってもらう。そんな決意を抱いて博麗神社へ行くと、いつも閑散としている境内に随分と人が居た。どうしたのだろうと思っていると、先代が人混みを押し分けて私の下へやって来た。早く帰った方が良いと先代が私を帰そうとするので理由を問うて居ると、突然群衆の一人が私に気が付いて大きな声を上げた。私が驚いている間に、何人かがやって来て、私は腕を引っ張られ群衆の先頭まで引き摺られた。そこには老齢の人間が何人か居て、私の事を認めるなり、魔理沙になってくれと言って地面に這いつくばる様にして頭を下げた。
 人里は博麗の巫女が機能しなければどうにもならない。その為には霊夢が必要不可欠であり、現に今起こっている吸血鬼の異変は先代一人ではどうする事も出来ずに幾つもの人里がやられている。そんな危急の事態に直面している今、魔理沙を失った悲しみで霊夢が閉じこもっているのでは困る。霊夢があなたの事を魔理沙だと認めて元気になったのであれば、そのまま魔理沙を演じていて欲しいと願われた。
 私はそれに何と答えて良いのか分からなかった。はいともいいえとも言えずに困惑していると突然腕を引っ張られた。黙っている私に対して人間が怒ってしまったのだろうかと首を竦めると、そこには怒ったお母さんが居て、辺り一帯に怒声を響かせた。この子はアリスだとお母さんが叫ぶと、みんな気圧されて口を利かなくなった。この子は魔界の存在だから人の世界に長く居れば寿命が縮んですぐに死んでしまうとお母さんが泣きながら叫んだ。人間達は何も言えず、場が森閑と静まり、息を吐く事すら憚られる緊張が続いた。ところがしばらく経って、ふと群衆の後ろで、その子が亡くなるまでの間でも魔理沙を演じてくれたら、と呟いた瞬間、お母さんは烈火の如く怒り出して人間達を罵倒し始めた。結局先代が場をとりなして、険悪な雰囲気の中で私とお母さんは家に帰った。帰り道、お母さんは一言も口を利かなかった。いつも優しいお母さんがどうしてそんなにまで怒るのか、私には分からなかった。魔理沙を演じて欲しいと言われただけなのだから、嫌なら断れば良い。別に無理強いされた訳ではない。私は人間の言葉に嫌悪感こそ抱いたものの怒りは湧いていなかったから、お母さんの態度が不思議だった。今にして思えば、お母さんは怒っていたというより、焦っていたのかもしれない。
 次の日、霊夢に会いに行こうとしたらお母さんに止められた。博麗の巫女は強いから一人で立ち直れる、アリスが慰める必要は無いからもう人間界に行く必要は無いし、行っちゃいけないとお母さんは言った。けれど私はどうしても霊夢が気になったので、お母さん達の監視を掻い潜って博麗神社へ行った。前日の群衆は居らず、いつもの静かな神社に戻っていた。私が安心して神社に上がりこむと、いつも出迎えてくれる先代が何処にも居なかった。霊夢はいつもの通り部屋に居て、庭に向かって座り、咲き出した桜にじっと目を向けていた。
「霊夢」
 私が声を掛けると霊夢は嬉しそうに振り返った。
「魔理沙!」
 私が何か言う前に、霊夢は慌てて立ち上がり、座布団を持って来て、お茶を淹れてくれた。私が座布団に座ると、霊夢も嬉しそうに隣に座る。隣り合って桜を見つめている内に、何だか涙が零れそうになった。初めから薄薄分かっていた事だが、霊夢と魔理沙の世界に私という存在は居なかった。霊夢にとって掛け替えの無い存在は魔理沙だけであって、他に何も無い。私がじっと霊夢を見つめていると、霊夢が私に顔を向けてにこりと笑った。霊夢の笑顔が初めて私に向けられた気がした。霊夢の笑顔はいつだって魔理沙に向けられていた。私はそれを傍から見ていただけだ。
 それから霊夢と他愛の無い話をした。アリスであっても魔理沙であっても話したであろう取り留めのない話を続けた。霊夢は魔理沙らしくない私に違和感を覚えている様子だったけれど結局日が暮れるまで私という魔理沙が偽物だと気が付かなかった。その事実に私はまた泣きたくなった。霊夢の世界からは本物の魔理沙すら消えてしまっていたのだ。
 夕方になると傷だらけの先代が帰ってきた。私達が心配して何があったのか聞き出そうとしたが、先代は決して答えず、一人で傷の手当をして、夕飯を作ると言って台所に消えた。私と霊夢は先代に何があったのか気になったが、先代から滲み出ていた苛立ちに恐れをなして追求する事は出来なかった。その日先代の振る舞ってくれた夕飯を食べたが、食事の間、先代はほとんど喋らない。顔にはありありと疲労の様子が見えて、顔が青白く見えた。野菜炒めに火が通っていなかった。夕飯を食べ終えると、一息吐く間もなく里の人間達が駆け込んできて、吸血鬼が暴れていると喚いていた。先代が辛そうにしているのも目に入らない様子で、早くしないと里が滅茶苦茶になると急かしてきた。立ち上がろうとしても中中立ち上がれない先代に対して、里の人間達は焦れて明らかに苛立っている様子だった。すると霊夢が立ち上がり、先代を抑えつけて、自分一人だけで里の人人と一緒に異変を解決しに行った。私は心配で仕方なかったが、呻き声を上げて倒れた先代を介抱せざるを得ず、ただただ霊夢の身を案じて帰りを待った。
 その心配は杞憂で終わる。
 霊夢があっさりと異変を解決してみせた。里の人間達は口口に霊夢を褒め称え、若い時代が来たんだから早く霊夢に交代した方が良いと先代に対して軽口を叩いた。先代は何とも言えずに、ただ霊夢を迎えてその頭を撫でた。その光景を見ていると、霊夢は本当に幻想郷から必要とされていて、一日たりとて欠かす事の出来無い存在に思えた。霊夢というちっぽけな子供一人の肩に載っている。霊夢に変調があればたちまち崩れ去ってしまう。幻想郷というのは、酷く脆いものであるとその時初めて分かった。
 幻想郷がこのままで居る為には霊夢が必要だ。霊夢はいつだって霊夢じゃなくちゃいけない。その為には魔理沙が要る。魔理沙が居なければこの幻想郷は成り立たない。
 家に帰ると無断で外出した事をお母さんに怒られた。私が霊夢に会いに行った事を知ると、怒りは一気に噴火して、もう二度と家から出さないと言われた。事実それから三日家から出る事が出来無かった。その間じっと考えた。おかしくなってしまった霊夢、霊夢を立ち直らせる為に魔理沙になって欲しいと私に頼む人間達、異変を解決しようとして傷だらけになった先代、私が幻想郷へ行こうとすると悲しむお母さん。私を取り囲む環境の中で、私はどうすれば良いのか。何が一番みんなの為になるのか。じっくりと考えたが、どうしたって無理が出る。霊夢や幻想郷の為に行動すればお母さんは怒るし悲しむ。お母さんや魔界のみんなと一緒に居るのが平和だけど、そうしたら霊夢と幻想郷がおかしくなる。
 結局答えは出なかった。私はどうしても指針が欲しくて再び霊夢に会いに行こうとした。霊夢に会って話せば何か分かるんじゃないかという期待があった。けれど家を出たところで夢子に見つかり連れ戻された。お母さんは、幻想郷に行けばもう家族じゃなくなる、それを望むなんてもううちの子じゃないと憤怒して涙していた。お母さんが私の事を大切に思ってくれている事が良く分かった。だからそんなお母さんを悲しませる自分が惨めで恐ろしくて、消えてしまいたい気持ちになった。
 その夜にお客さんが来た。お客さんは誰にも知られる事無く、ひっそりと私の部屋へ入ってきた。静かな夜だった。私は青白い月の丸さが気になって、その時の会話は正直なところ良く覚えていないが、何となくこんな会話をした様に思う。
「あなたは誰?」
「私は隙間」
「隙間って何?」
「揺蕩う事実の中にある本当の真実」
「どういう事?」
「意味は無い」
「どうしてここに来たの?」
「幻想郷を管理する為」
 ここで私は、幻想郷に賢者と呼ばれる妖怪が居る事を思い出した。賢者達は幻想郷のシステムを考案・構築・維持しているという。
「霊夢の事?」
「ご明察」
「私は」
「あなたは魔理沙」
「私は」
「あなたは魔理沙。そうでなければ幻想郷が成り立たない。幻想郷には巫女が必要で、巫女には魔理沙が必要だ。そして魔理沙が存在する為にはお前が居なければならぬ」
 賢者がまくし立てる様に言った。私は何だか恐ろしくなって、救いを求める様に、より一層真ん丸の月を注視した。ここで月から目を反らし賢者を直視すればたちまち命を掠め取られてしまう気がした。
「霊夢はきっと立ち直れる」
「買い被りだ」
「博麗の巫女は強いんだってお母さんも言っていた」
「私もそう思っていた。繋がりは人を弱くする。絶対的な強さが求められる博麗の巫女に繋がりがあってはならない。博麗の巫女が孤独という強さを備える為に、友人は邪魔だ。そう思っていた。だがそれは勘違いだった。友人を失った巫女は腑抜け、使い物にならない。巫女が機能する為にはお前が必要だ」
「私は」
「明日も来よう」
 そうして賢者は消えた。
 私はいつの間にか眠っていた。起き抜けた私は、昨日の夜、変な事は無かったかとみんなに聞いて回ったが、肯定する者は居なかった。結局夢だったのだろうと自分で結論づけ、賢者と会った事は忘れようと努めたが、実のところ、このまま何もしなければ賢者によって誘い出され自分が自分で亡くなるという予感があった。
 そして案の定、その夜も賢者がやって来た。
「お前は優しい子だ。そうだろう? 勿論お前はそれを否定するだろう。私は優しくないと。母親と離れがたくて大事な友達である霊夢を捨ててしまったのだと。けれどそれは優しさの否定にはならない。むしろそんな事を悩んでしまう事こそ、お前が優しい証左だ。本当なら生まれた時から共に要る母親と一年そこらの友達等比べるべくも無い。だがお前はどうしても友達を捨てきれず、悩み続けている。お前は優しい子だ。自分だけが幸せであっても、傍に不幸な者がいれば苦しんでしまうのだ」
 賢者が私の手を引いて隙間を潜った。隙間を抜けた先は博麗神社だった。縁側に二つの人影があった。霊夢と、そして私の知らない誰かだった。霊夢と生贄だと賢者が言った。里は適当な子供を魔理沙に仕立てあげ、霊夢に宛てがっていた。知らない誰かの金色の髪は無理矢理染めた所為で傷みきって浮浪者の様だった。霊夢はその知らない誰かに向かって嬉しそうに笑いかけ、知らない誰かは焦った様子で霊夢と語り合っていた。
 二人はしばらく笑い合って居たが、次第に霊夢の顔が曇り始めた。それに合わせて、知らない誰かの焦りも増していった。やがて霊夢は立ち上がると知らない誰かを張り倒して偽物と叫んだ。知らない誰かは必死の様子で霊夢に縋ったが、蹴り飛ばされて咳き込んでいる内に、霊夢が戸を閉め切ってしまったので、夜の神社に一人残され泣き出した。
 私がその様子に息を呑んでいると、隣の賢者は溜息を吐いて、指を鳴らした。泣いていた知らない誰かが闇の中に消えた。私が驚いて賢者を見上げると、賢者はこんな山奥に子供を一人残して置けないでしょうと言って薄っすらと微笑んだ。その時私は初めて感覚的に本当の意味での神隠しを知った。あの知らない誰かは二度と親元に帰る事は無いだろうと悟った。
「見ての通り、霧雨魔理沙の代わりを務められる者はそうそう居ない。多くの者は里で過ごす霧雨魔理沙を知っていても博麗霊夢と共に居た霧雨魔理沙を知らないのだから。霧雨魔理沙の代わりを全うする者は、博麗霊夢と共に居た霧雨魔理沙の事を良く知る者でなければならない。そうしてそれは、この世界の何処を探しても一人しか居ない」
 考える事じゃ無いと賢者が低く呟く。
 いつの間にか私の部屋に戻っていた。
「お前は優しい子だ。自分だけが幸せであっても、傍に不幸な者がいれば苦しいだろう。お前は今の霊夢を見捨てる事なんて出来無い筈だ。何、悪い話ばかりじゃない。大事な友達を自分だけのものに出来る。お前が魔理沙を演じれば、霊夢はお前だけを見つめるだろう。魔理沙が独り占めしていた霊夢を自分の物にする絶好の機会じゃないか」
 言うだけ言って、賢者は消えた。
 後に残された私は青白い真ん丸月をぼんやりと眺め続けた。目が冴えて眠る事なんて出来無かった。
 翌朝、寝不足の体を引き摺って朝食を食べに居間へ向かった。居間には既にみんなが居て、お母さんが食事をしていた。お母さんは優しく微笑んで、すぐに朝食を用意してくれた。お母さんの怒りは随分と和らぎ、にこにことしていた。しかし、お母さんと会話をすると、その端端から幻想郷に行かせないという強い意思が伝わってきた。昨夜も幻想郷に行ってしまった自分がとてつもなく酷い娘に思えた。
 その日は一日お母さんが家に居てくれると言うので、一緒に本を読んで、それから先日の吸血鬼騒動の後に霊夢が考案したという弾幕ごっこで遊んだ。遊んでいる内に疲れて寝てしまい、起きた時には夕飯時になっていた。食べ終えて部屋に戻ろうとした時、お母さんは別れ際にキスをしてくれて、明日も家に居るから沢山遊びましょうと言った。お母さんだって忙しい筈なのに、霊夢に会えず寂しい思いをしている私の為にそう言ってくれたのだ。お母さんの笑顔に胸が突かれて少しの間呼吸が出来無くなった。本当に自分は親不孝者だと寂しくなった。
 部屋に戻ると賢者が待っていた。賢者は開口一番、そろそろどうだと言った。霊夢を独り占めにしたいだろうと。
 私は首を横に振る。
 私は霊夢を独り占めになんてしたくない。霊夢は魔理沙と結婚するのだから、アリスがそれを横から持っていってはいけない。だから独り占めしたいという表現は間違っている。私はただ、霊夢に元気になって欲しい。霊夢と魔理沙は本当に仲良しで、私はそんな二人を見るのが好きだった。私はただ、初めて出来た大切な友達が幸せでいてくれるならそれで良い。そうしてその手段が、他の人人を幸せにしてくれるならこれ以上の事は無い。
 結構結構と賢者が手を叩く。そうして私の瞳を覗きこむ様に顔を近付け、私の不安を言い当てた。
「あなたが居なくなった後の事は大丈夫。代わりのアリスを用意致しますわ」
 代わりを用意してくれるのはありがたいが良い子でなければ困ると言うと賢者は鷹揚に頷いて私を魔法の森へと連れ出した。森の中に一軒家があって、そこにその人は住んでいた。私よりも幾分年上のその人は、私と賢者をにこやかな笑顔で出迎えてくれた。とても綺麗な笑顔で、何処と無くお母さんを思い起こさせた。その人は身寄りの無い魔法使いで、魔法使いだから人からも妖怪からも怖がられ、ずっと一人で暮らしていたのだという。一人で過ごすのが寂しいから人形を作っていたら人形屋敷になってしまったと笑っていた。恐れられているという割に、その人は美しい容姿と明るい性格を持っていた。人形作りも魔法も上手で、お母さんの娘として申し分無く、私なんかよりもよっぽど相応しく思えた。その人は既に私の代わりになる事を承諾していて、家族が出来る事を本当に喜んでいた。それに私という知り合いが出来た事も喜んでくれて、魔法の森の近くに家を構えてくれたら一緒に遊べるから如何? と楽しそうな微笑みをくれた。それを聞いて私は不思議に思った。私の代わりになるのだから当然魔界で暮らすのだろうと思っていたのに、その人の口振りからするとそのまま幻想郷で暮らすみたいだ。私が疑問符を浮かべていると、賢者がそんなに急に全てを変える事は出来無いからとか言い訳がましい事をあれこれ言った。お母さんが寂しがるのは嫌だと反論すると、更に言葉を重ねてきた。私はその言葉の奔流に押し流されて、何となく新しいアリスはまだ馴染めないからしばらくは幻想郷に居た方が良いのだと納得して、仕方無しに頷いた。今考れば、単に惑わされただけでなく、嫉妬もあったのかもしれない。新しいアリスが私以上にお母さんと仲良くなる事を忌避したのだ。
 代役との顔合わせを終えると、今度は香霖堂へ連れて行かれた。魔理沙の兄代わりだった香霖の顔は遠目に見た事があったものの、ほとんど初対面であった。私と賢者が香霖堂を訪れると明らかに生気の失せた香霖が椅子に座って、古びたオルゴールの奏でる曲を聞いていた。私達が入っても香霖は反応しなかった。賢者が香霖に近付いて、魔理沙の代役が私になる事を告げると、香霖はようやっと顔を上げ、けれどこちらを見ないまま、それは良い事だと言った。不便があれば何でも手伝うとそっぽを向きながら言って、またオルゴールのメロディに身を委ね口を利かなくなった。その後は魔理沙の両親の下も訪れた。しかし頑なに私と会おうとせず、結局今になっても対面する事は叶っていない。
 それから幾つかの里と妖怪のコミュニティに挨拶をして私は魔界へ帰った。賢者は最後の引き金はお前が引くべきだと言った。私はその意味が分かって、緊張しながらお母さんの下へ行き、それを言った。
 私は明日から魔理沙になる。
 その瞬間、頬を張られて打ち倒された。その後、お母さんはあれこれ怒鳴っていたが、何を言っていたのか覚えていないし、多分その時の私は何も聞いていなかった。私の頭はもう、縋るものが無く狂ってしまった霊夢を救う事しか考えられなかった。お母さんには夢子達が居る。けれど霊夢には何も無い。先代ですら霊夢の心の支えにならず、霊夢は魔理沙を失った悲しみで狂ってしまっている。それを助けられるのが私だけなら、友達として助けない訳にはいかない。それに新しいアリスだって居る。その子は私なんかよりもずっと素敵な人で、お母さんだって満足する筈。そんな様な事を言ったら、再び引っ叩かれて泣かれた。
 お母さんに納得してもらおうと必死になって説得したが、結局お母さんは分かってくれなかった。幻想郷の為にあなたが犠牲になる必要は無いだとか、アリスはあなただけだとか、どうしてそんな事を言うのかだとか、そればっかりで私の思いは伝わらなかった。
 私はただ初めての友達を助けたかっただけなのだ。
 結局分かってもらえないまま、お母さんを振り切って追手を魔法で吹き飛ばし幻想郷へ逃げ出した。
 そうして私は魔法の森に居を構えた。
 魔界を拒絶し幻想郷の住人となった。
 霊夢やアリスと一緒に遊ぶ様になった。
 霊夢は元気になって幻想郷は再び何の滞りも無く回り始めた。
 お母さんとの問題は解決せず、それから偶にお母さんが家にやって来ては、喧嘩になって追い返すというやり取りが続いた。
 私は髪型や服装を変え、家の内装もらしくして、口調もそうした。新しい家は乱雑に散らかり、魔法の研究の為に生活スペースが切り詰められている。魔理沙が自分の家を持ったらきっとこうなっただろうと思ってそうした。家の中は魔理沙の物ばかり。かつてのアリスがを思わせる物は、究極の魔導書とそれを超える為に私自身で書き始めた魔術書、そして私の記憶だけ、それ以外は全て魔理沙で染まっている。
 それだけじゃない。霊夢以外の幻想郷全てが示し合わせて、魔理沙とアリスは塗り替えられた。最早幻想郷に私の事をアリスだと呼ぶ者は居ない。
 そして私は霧雨魔理沙になった。
 今でも後悔はしていない。
 お母さんの娘でなくなった事以外は。



魔導書編 ~ The Grimoire of Marisa.
記憶編 ~ Marisa's Lifes in Wonderland.
幻編 ~ You ain't seen Marisa, never!
編 ~ Does the Proprium Dream of Genuine Marisa?
魔理沙という名の幻想 ~ And Then There Were No Marisa.
霊夢という名の存在 ~ Marisa Leaving the People's Vision with Reimu.
Keep up the bright ReiAli, for the dew will rust it.
烏口泣鳴
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コメント



0.450簡易評価
6.100名前が無い程度の能力削除
魔道書編と共に読みました。
結局このアリスしか魔理沙になりえない とか考えたり

7.100名前が無い程度の能力削除
凄いななんか圧巻されました

しかし霊夢にしたら妖怪に媚びた契約で魔理沙を見捨てた臆病者どもの大人が今度は子供の自分に妖怪と戦えいってるんだからそりゃふざけんなてめらみたいな腰抜けの雑魚共がどうなろうと知るか!
道理や分別があるから大人が偉いというならその道理様や分別様で妖怪をいてまいてこいや!

って心境なんかもね
8.90名前が無い程度の能力削除
思わずもう一度前編を読み直してきました