注意
・作者に都合のいい解釈が多々あります
・作者はミスティアもミスティアの弾幕もミスティアのことも大好きです
・作品の表現の中で嫌悪感を抱く方がいるかもしれません。そう言った方は申し訳ありませんが『戻る』を推奨させていただきます。
以上のことを踏まえて、なお読んで下さる方々はしばしお付き合いの程を。
「うへぇ……」
少女らしからぬ声を漏らしながらなんとか布団から這い出る。時刻は昼過ぎだ。昨日のことはよく覚えていないが、頭に響く鈍い痛みから察するに飲み過ぎで記憶が飛んだんだろう。
「あぁー……やばい、気持ち悪い……」
「はい、お味噌汁」
「あぁ……サンキュ……」
覚醒しきっていない身体に温かい味噌汁がしみる。あぁ……日本人でよかった……。
「……で、お前は私の家で何をしてるんだ?」
「いつまでもツケを払ってくれないお客さんを取り立てに来たの」
「生憎お前が価値を見いだせそうなものはここにはないぞ」
「じゃあ身体で払ってもらおうかしら?」
「お、やるか?誰かさんの味噌汁のおかげで酔いは覚めたし、今の魔理沙さんはちょっと強いぜ?」
「寝ている間に襲ってやればよかったわ」
確かに寝ている間に襲われたら大変だな。これは何か対策を考えねば。だがその前に部屋を出ようとしている侵入者に声をかける。
「ちょっと待て、帰るのか?」
「まだ用事が終わってないから帰らないわよ」
「そうか。じゃあ部屋に勝手に入った件は見逃してやるが、代わりに昼食を要求する!」
そう言うとミスティアは呆れた顔で私を見た後、投げやりに返事をして部屋を出て行った。
◇◇
「いやー、美味かった。ごちそうさま」
「お粗末さまでした」
少し遅目の昼食の後のんびりしていると、ミスティアは私が食べ終わった食器を洗い始めた。どうやら帰る気はないらしい。そんなにツケを払って欲しいのだろうか?死んだら払うが今は払う気はない。
「……あんたは昨日のこと覚えてる?」
「昨日?……お酒を一杯飲んだぜ!」
「要するに何も覚えていないってわけね」
ミスティアが哀れんだ目で私を見てくる。……なんか腹が立ってくるなぁ。
「じゃあ私が説明するわ。あんたは私の屋台に来て、たらふく食べて飲んだ」
「うん」
「それでいつも通りツケにして帰ろうとした」
「ふむ」
「そこで私と弾幕ごっこになって」
「おぅ」
「……私は負けてあんたに逃げられたの」
「なんだいつも通りじゃないか」
わざわざ家まで来るくらいだから何かあったのだろうと思ったが、そうでもないらしい。警戒して損した気分だ。いや、昼食を作ってもらったし得なのだろか?……寝起きの乙女の姿を見られてるし五分ってことにしておくか。
「そうね、許容できないけど……これだけならいつものことなのよ」
「じゃあ何が」
「『お前のスペルカードは間違ってる』って言ったの覚えてる?」
どうやらミスティアは私の余計な一言で随分とご立腹らしい。それでわざわざ私の家まで来て、私が起きるまで待ち続け、酔い覚ましの味噌汁を用意し、さらには昼食を作ってくれたということか。ふむ……
「ありがとな」
「……私だってお酒を出す店なんだし、いちいちお客さんの言葉を気にしてたらやっていけないからほとんどのことは忘れるようにしてるわ。けど流石に一生懸命考えたスペルカードを否定されたら頭にくる。謝罪を要求する!ついでに溜まったツケの支払いも!」
ミスティアは小さい体で手足を振り回しながら必死に怒りを表現している。怖くはないが頭に響くから勘弁して欲しい。
「まぁ大体わかった。酔いにまかせた発言とはいえ言い過ぎたと思うし、謝罪をするのは別に構わない。だが……」
「何よ?」
「……あ、話は変わるがツケは勘弁な」
「……よくないけど、とりあえず今はいいわ」
「そっか。で、スペルカードの件は言い方は悪かったとは思うが100%酔いからきた発言ってわけでもないんだ」
「……どういうこと?」
ミスティアは怒って両手を上げて猫みたいなポーズを取ってる。どうやら暴れると頭に響くのを察してくれたらしい。
「そうだな……言い方は悪かったかもしれないが、お前のスペルカードにはちょっと思うところがあったのは事実なんだ」
「……」
ミスティアの目つきが一層険しくなったが、とりあえず聞いてくれるようだ。
「スペルカード戦で重要視されるのは色々あるが、一番は美しさだ」
「当然でしょ?」
「……なのに相手を鳥目にして弾幕を見えなくするのはどうかと思うんだが……」
「………………あ」
「なにか考えがあってのことかもと思っていたが、その様子じゃ違うらしいな」
あえて視界を狭くすることで見せ方に工夫したり、見えない部分を想像させたりだとかそんなことはなかったようだ。
「ど、どうしよう……」
「別にいいんじゃないか?ルール違反ってわけでもないし、美しさなんてものも人によって違うもんだからその分表現する方法も人それぞれだろ」
昨日は酔った勢いでとんでもないことを言ってしまったようだが、美しさを競うスペルカードには本来正解も間違いもないのだろう。……逃げ場がないのはなしな!
「でも……」
「納得出来ないか?」
「……うん」
「私は疑問に思っただけだったんだが、本当に余計な事を言ってしまったみたいだな。……よかったら相談に乗ってやろうか?」
「いいの?」
「原因の一端は私にあるし、ツケのこともあるしな。何より妖怪退治とスペルカードにおいて私の右に出るものはいないぜ!」
「じゃあ……お願いします」
今のはあくまで自称であるが、それでもスペルカードの研究はそれなりにやっているつもりだし、少しは助けになるだろう。なにより面白そうだし、今後の研究に向けた新たな発見もあるかもしれない。
「じゃあ今あるのを改善するか、新しいのを作るか。それは後々考えるとして、とりあえず役に立ちそうなものを取ってくる」
「何かあるの?」
「まぁ待ってろよ」
部屋の奥からスペルカード作成に使えそうなものを持ってくる。魔法使い相手ではないからそこまで専門的なものはないが、適当な本を何冊かと文からもらった写真が見つかった。
「さてスペルカード作成だが、お前は今までどうやって作ってた?」
「身を守ったり遊んだりするのに使っていたのをルールに則ってアレンジしたわ」
「野良の妖怪や妖精に多そうなパターンだな」
「皆は違うの?」
「そりゃあ人によって違うぜ。私達魔法使いみたいに研究した成果のタイプやお前や咲夜みたいな自分の能力ありきのタイプ、霊夢みたいな天才タイプ、あげたらキリがないぜ」
「へぇ……」
「スペルカードは個性の象徴でもあるから本当に人それぞれなんだ。布都や神子みたいに起きてすぐ作れる奴もいれば、異変を起こしてから誰かが来るまで寝ないで考え続けた天子みたいな奴もいる。アリスや文みたいな余裕を持って戦う姿を美しいと思う奴もいれば、フランやお空みたいに過剰な力を振り回す奴もいる。本当になんでもいいんだ。その中で自分の個性と美しさが表現出来れば」
私もいろんな奴のスペルカードを参考にしているが、それも私の個性だ。他人のスペルカードを美しいと感じたら、それを自分で使えるように研究するのだ。
「色々あって面白いわね。随分と知らない名前が出てきたけど」
「何なら文が撮ったスペルカード戦の写真が結構あるぜ。研究の参考にと思ってもらってるんだが、特別に見せてやろう。静止画なのは残念だが」
ミスティアは興味津々といった様子で写真を眺めている。積極的に周りに喧嘩を売って回らない限りはそんなに多くのスペルカードを見る機会はないし、無理もないだろう。
「さてじゃあできることとやりたいことを整理しようか」
「目標としては美しいのがいいわ。私にできるのは『人を鳥目にすること』。妖怪相手にも有効のはずよ」
「はずってどういうことだよ」
「使ったら皆見えないって言ってるし、多分効いてるはずよ」
「結構いい加減なんだな」
でも魔法を使ったり水を操ったりする能力ならともかく、こいつみたいに相手依存だったりする能力はそういうところは分かりにくいのかもしれない。さとりやぬえなんかも極論を言ってしまえば本人が自身の能力がちゃんと正しく機能しているかを確認するのは難しいのかもしれない。
「じゃあその力をどうやって活かすかだが……」
「……美しくするのに見えないって矛盾してるわね」
「……そうだな」
人間は感覚の大半を視覚に頼ってる。妖怪は知らないが、少なくても視覚が封じられたら困りそうな奴は結構いる。……結構使える能力だと思うんだがなぁ。何分弾幕ごっこの趣旨に合わない。
「気を落とすなよ。他にもできることはきっとあるって」
「……例えば?」
「あぁ……うん……そうだな。ほら、お前の作ったご飯美味しかったぜ?」
「どうやってスペルカードに活かすのよ!」
「そんなの知るかよ!」
料理をスペルカードに活かす方法……だめだ、いくら節操のない私でも思いつかない。だいたい幻想郷には料理が得意な奴は結構いるが、それをスペルカードに応用させてる奴は……早苗はギリギリ分類されるのだろうか?いやでも飯屋をやってるのに食べ物を粗末にするのはどのみちアウトだ。
「他にできることは?」
「『歌で人を狂わす程度の能力』を持ってるわ」
「狂わしてどうするんだよ。美しさと関係ないだろ!」
「うるさいわね!私の歌にケチつけないで!」
このままじゃ話が進まない。とりあえずできることを整理しよう。
「まとめるとできるのは鳥目・料理・歌だな。いっその事全部無視して新しい方向性を探してみるのもありだが」
「それは……」
「まぁ分かるよ。そしたらミスティアのスペルカードである必要がなくなっちゃうかもしれないしな。何とか活かす方法を考えてみるか」
◇◇
その後も結局言い争いから弾幕ごっこに発展し、またもやスペルカードに余計な一言を言ってしまい、落ち込んだミスティアを慰めることとなった。そんなこんなで外も暗くなってきたので休憩に夕食を作ってもらい、代わりに私は盗っておいたお酒を開けた。
「そう気を落とすなよ」
「……」
「ほら、お酒飲もう。こんな気分の時はこれに限る」
「……」
「いやーミスティアの作ったご飯は美味しいなー!……ごめん、ほんとに」
「ねぇ」
暗い表情で自分の作ったご飯を見ていたミスティアがやっと声を上げた。
「美味しいってさ……『美しい』っていう字が入ってるのよね……」
「それがどうしたんだ?」
「『美しさ』ってさ、視覚以外でも表現したりできるのかな?」
視覚以外で感じる『美しさ』か。確かにそういうのもありかもしれない。なによりこれならミスティアの個性を新しい形で表現できるかもしれない。
「いいんじゃないか」
「そう?じゃあやってみたいことがあるの!」
「そうと決まれば早速弾幕に味付けをする方法を考えないとな!」
「そうじゃない!」
ミスティアは参考として何枚かの写真を私のもとに持ってきた。……ふむ、なるほど。これはなかなか面白いかもしれない。
・作者に都合のいい解釈が多々あります
・作者はミスティアもミスティアの弾幕もミスティアのことも大好きです
・作品の表現の中で嫌悪感を抱く方がいるかもしれません。そう言った方は申し訳ありませんが『戻る』を推奨させていただきます。
以上のことを踏まえて、なお読んで下さる方々はしばしお付き合いの程を。
「うへぇ……」
少女らしからぬ声を漏らしながらなんとか布団から這い出る。時刻は昼過ぎだ。昨日のことはよく覚えていないが、頭に響く鈍い痛みから察するに飲み過ぎで記憶が飛んだんだろう。
「あぁー……やばい、気持ち悪い……」
「はい、お味噌汁」
「あぁ……サンキュ……」
覚醒しきっていない身体に温かい味噌汁がしみる。あぁ……日本人でよかった……。
「……で、お前は私の家で何をしてるんだ?」
「いつまでもツケを払ってくれないお客さんを取り立てに来たの」
「生憎お前が価値を見いだせそうなものはここにはないぞ」
「じゃあ身体で払ってもらおうかしら?」
「お、やるか?誰かさんの味噌汁のおかげで酔いは覚めたし、今の魔理沙さんはちょっと強いぜ?」
「寝ている間に襲ってやればよかったわ」
確かに寝ている間に襲われたら大変だな。これは何か対策を考えねば。だがその前に部屋を出ようとしている侵入者に声をかける。
「ちょっと待て、帰るのか?」
「まだ用事が終わってないから帰らないわよ」
「そうか。じゃあ部屋に勝手に入った件は見逃してやるが、代わりに昼食を要求する!」
そう言うとミスティアは呆れた顔で私を見た後、投げやりに返事をして部屋を出て行った。
◇◇
「いやー、美味かった。ごちそうさま」
「お粗末さまでした」
少し遅目の昼食の後のんびりしていると、ミスティアは私が食べ終わった食器を洗い始めた。どうやら帰る気はないらしい。そんなにツケを払って欲しいのだろうか?死んだら払うが今は払う気はない。
「……あんたは昨日のこと覚えてる?」
「昨日?……お酒を一杯飲んだぜ!」
「要するに何も覚えていないってわけね」
ミスティアが哀れんだ目で私を見てくる。……なんか腹が立ってくるなぁ。
「じゃあ私が説明するわ。あんたは私の屋台に来て、たらふく食べて飲んだ」
「うん」
「それでいつも通りツケにして帰ろうとした」
「ふむ」
「そこで私と弾幕ごっこになって」
「おぅ」
「……私は負けてあんたに逃げられたの」
「なんだいつも通りじゃないか」
わざわざ家まで来るくらいだから何かあったのだろうと思ったが、そうでもないらしい。警戒して損した気分だ。いや、昼食を作ってもらったし得なのだろか?……寝起きの乙女の姿を見られてるし五分ってことにしておくか。
「そうね、許容できないけど……これだけならいつものことなのよ」
「じゃあ何が」
「『お前のスペルカードは間違ってる』って言ったの覚えてる?」
どうやらミスティアは私の余計な一言で随分とご立腹らしい。それでわざわざ私の家まで来て、私が起きるまで待ち続け、酔い覚ましの味噌汁を用意し、さらには昼食を作ってくれたということか。ふむ……
「ありがとな」
「……私だってお酒を出す店なんだし、いちいちお客さんの言葉を気にしてたらやっていけないからほとんどのことは忘れるようにしてるわ。けど流石に一生懸命考えたスペルカードを否定されたら頭にくる。謝罪を要求する!ついでに溜まったツケの支払いも!」
ミスティアは小さい体で手足を振り回しながら必死に怒りを表現している。怖くはないが頭に響くから勘弁して欲しい。
「まぁ大体わかった。酔いにまかせた発言とはいえ言い過ぎたと思うし、謝罪をするのは別に構わない。だが……」
「何よ?」
「……あ、話は変わるがツケは勘弁な」
「……よくないけど、とりあえず今はいいわ」
「そっか。で、スペルカードの件は言い方は悪かったとは思うが100%酔いからきた発言ってわけでもないんだ」
「……どういうこと?」
ミスティアは怒って両手を上げて猫みたいなポーズを取ってる。どうやら暴れると頭に響くのを察してくれたらしい。
「そうだな……言い方は悪かったかもしれないが、お前のスペルカードにはちょっと思うところがあったのは事実なんだ」
「……」
ミスティアの目つきが一層険しくなったが、とりあえず聞いてくれるようだ。
「スペルカード戦で重要視されるのは色々あるが、一番は美しさだ」
「当然でしょ?」
「……なのに相手を鳥目にして弾幕を見えなくするのはどうかと思うんだが……」
「………………あ」
「なにか考えがあってのことかもと思っていたが、その様子じゃ違うらしいな」
あえて視界を狭くすることで見せ方に工夫したり、見えない部分を想像させたりだとかそんなことはなかったようだ。
「ど、どうしよう……」
「別にいいんじゃないか?ルール違反ってわけでもないし、美しさなんてものも人によって違うもんだからその分表現する方法も人それぞれだろ」
昨日は酔った勢いでとんでもないことを言ってしまったようだが、美しさを競うスペルカードには本来正解も間違いもないのだろう。……逃げ場がないのはなしな!
「でも……」
「納得出来ないか?」
「……うん」
「私は疑問に思っただけだったんだが、本当に余計な事を言ってしまったみたいだな。……よかったら相談に乗ってやろうか?」
「いいの?」
「原因の一端は私にあるし、ツケのこともあるしな。何より妖怪退治とスペルカードにおいて私の右に出るものはいないぜ!」
「じゃあ……お願いします」
今のはあくまで自称であるが、それでもスペルカードの研究はそれなりにやっているつもりだし、少しは助けになるだろう。なにより面白そうだし、今後の研究に向けた新たな発見もあるかもしれない。
「じゃあ今あるのを改善するか、新しいのを作るか。それは後々考えるとして、とりあえず役に立ちそうなものを取ってくる」
「何かあるの?」
「まぁ待ってろよ」
部屋の奥からスペルカード作成に使えそうなものを持ってくる。魔法使い相手ではないからそこまで専門的なものはないが、適当な本を何冊かと文からもらった写真が見つかった。
「さてスペルカード作成だが、お前は今までどうやって作ってた?」
「身を守ったり遊んだりするのに使っていたのをルールに則ってアレンジしたわ」
「野良の妖怪や妖精に多そうなパターンだな」
「皆は違うの?」
「そりゃあ人によって違うぜ。私達魔法使いみたいに研究した成果のタイプやお前や咲夜みたいな自分の能力ありきのタイプ、霊夢みたいな天才タイプ、あげたらキリがないぜ」
「へぇ……」
「スペルカードは個性の象徴でもあるから本当に人それぞれなんだ。布都や神子みたいに起きてすぐ作れる奴もいれば、異変を起こしてから誰かが来るまで寝ないで考え続けた天子みたいな奴もいる。アリスや文みたいな余裕を持って戦う姿を美しいと思う奴もいれば、フランやお空みたいに過剰な力を振り回す奴もいる。本当になんでもいいんだ。その中で自分の個性と美しさが表現出来れば」
私もいろんな奴のスペルカードを参考にしているが、それも私の個性だ。他人のスペルカードを美しいと感じたら、それを自分で使えるように研究するのだ。
「色々あって面白いわね。随分と知らない名前が出てきたけど」
「何なら文が撮ったスペルカード戦の写真が結構あるぜ。研究の参考にと思ってもらってるんだが、特別に見せてやろう。静止画なのは残念だが」
ミスティアは興味津々といった様子で写真を眺めている。積極的に周りに喧嘩を売って回らない限りはそんなに多くのスペルカードを見る機会はないし、無理もないだろう。
「さてじゃあできることとやりたいことを整理しようか」
「目標としては美しいのがいいわ。私にできるのは『人を鳥目にすること』。妖怪相手にも有効のはずよ」
「はずってどういうことだよ」
「使ったら皆見えないって言ってるし、多分効いてるはずよ」
「結構いい加減なんだな」
でも魔法を使ったり水を操ったりする能力ならともかく、こいつみたいに相手依存だったりする能力はそういうところは分かりにくいのかもしれない。さとりやぬえなんかも極論を言ってしまえば本人が自身の能力がちゃんと正しく機能しているかを確認するのは難しいのかもしれない。
「じゃあその力をどうやって活かすかだが……」
「……美しくするのに見えないって矛盾してるわね」
「……そうだな」
人間は感覚の大半を視覚に頼ってる。妖怪は知らないが、少なくても視覚が封じられたら困りそうな奴は結構いる。……結構使える能力だと思うんだがなぁ。何分弾幕ごっこの趣旨に合わない。
「気を落とすなよ。他にもできることはきっとあるって」
「……例えば?」
「あぁ……うん……そうだな。ほら、お前の作ったご飯美味しかったぜ?」
「どうやってスペルカードに活かすのよ!」
「そんなの知るかよ!」
料理をスペルカードに活かす方法……だめだ、いくら節操のない私でも思いつかない。だいたい幻想郷には料理が得意な奴は結構いるが、それをスペルカードに応用させてる奴は……早苗はギリギリ分類されるのだろうか?いやでも飯屋をやってるのに食べ物を粗末にするのはどのみちアウトだ。
「他にできることは?」
「『歌で人を狂わす程度の能力』を持ってるわ」
「狂わしてどうするんだよ。美しさと関係ないだろ!」
「うるさいわね!私の歌にケチつけないで!」
このままじゃ話が進まない。とりあえずできることを整理しよう。
「まとめるとできるのは鳥目・料理・歌だな。いっその事全部無視して新しい方向性を探してみるのもありだが」
「それは……」
「まぁ分かるよ。そしたらミスティアのスペルカードである必要がなくなっちゃうかもしれないしな。何とか活かす方法を考えてみるか」
◇◇
その後も結局言い争いから弾幕ごっこに発展し、またもやスペルカードに余計な一言を言ってしまい、落ち込んだミスティアを慰めることとなった。そんなこんなで外も暗くなってきたので休憩に夕食を作ってもらい、代わりに私は盗っておいたお酒を開けた。
「そう気を落とすなよ」
「……」
「ほら、お酒飲もう。こんな気分の時はこれに限る」
「……」
「いやーミスティアの作ったご飯は美味しいなー!……ごめん、ほんとに」
「ねぇ」
暗い表情で自分の作ったご飯を見ていたミスティアがやっと声を上げた。
「美味しいってさ……『美しい』っていう字が入ってるのよね……」
「それがどうしたんだ?」
「『美しさ』ってさ、視覚以外でも表現したりできるのかな?」
視覚以外で感じる『美しさ』か。確かにそういうのもありかもしれない。なによりこれならミスティアの個性を新しい形で表現できるかもしれない。
「いいんじゃないか」
「そう?じゃあやってみたいことがあるの!」
「そうと決まれば早速弾幕に味付けをする方法を考えないとな!」
「そうじゃない!」
ミスティアは参考として何枚かの写真を私のもとに持ってきた。……ふむ、なるほど。これはなかなか面白いかもしれない。
だいぶ甘いけど
オチがすとんと決まってるのもまたいい。
2さん
ご一緒させてもらってもよろしいでしょうか?
6さん
……じつはまだそこまで到達できてないです。センスが無い上努力が足りない。でも愛はあるはず!
7さん
そもそもミスティアってお金もらってるんですかね?いやもらってるだろうけど、里で使う様子が……うん、有りですね!
9さん
お褒めいただきありがとうございます。設定意外にも弾幕見ててアイデアって結構浮かぶものです。それを形にできるかは別として……。
いつもありがとうございます
つまりアレですね。魔理沙のツケ分の支払いは、弾幕コンサルタント業務によってなされたと。
誤字報告有り難うございます。
魔理沙の『死んだら返す』ってどうやって返すつもりなんですかね?このセリフからだけでも幾つか作品のアイデアは浮かびそうですが……自分の中でいまいちオチがつけれないです……。
しかし初戦の相手が悪すぎるとしか言い様がない。