「でもそれは逆に言えば……」
瞬間、何者かが廊下を歩く足音が聞こえた。
「この足音……お嬢様? 珍しい、いつもこんな時間には――」
メイドは窓の外を見て、理由に気付いていた。
そういえば、館の主は夜行性と言っていた。私の能力によって空が暗くなり、体内時計が作用したのかしら。
しかし、このままだとまた話が曖昧になってしまう。
「ねぇ。あなた一体――」
私の言葉は、片目を瞑り立てた人差し指を口元に当てているメイドによって遮られてしまった。
「もうこの話は終わりよ。私はもう仕事ができたわ」
「…………」
「今の話の真偽なんてどうでもいいじゃない。こんな話は、すぐにあなたの頭から消え去る程度のものなのよ」
メイドはドアノブに手を掛け、扉を開いた。
「お嬢様の機嫌がよかったら、まだいてもいいわよ。丁度よく食材を調達したばかりだし、夕食くらいなら御馳走できるわ」
言い残して扉を閉め、メイドは廊下へと消えていった。
まぁ、同じ女性とはいえ、年齢を聞くというのは野暮なものだろう。
いや、実際にはその『少女』は年をとっていないことになるのだろうか。時間が変わる概念というのは、やはりよくわからない。
「…………」
いや、結局そうやって、門番にも騙されたのだ。同じ手はくわないようにしないと。
確かにメイドの言った通り、『少女』があのメイドであってもなくても、私にとっては何かの影響があるわけでもないわね。話をすぐに忘れるつもりはないけど。
とりあえず私は、皿に残っているケーキの一欠片を口にした。
「…………」
『魔女狩り』って、いつの文化なのかしら。
何故魔女狩りの時代から設定されているんだ?
あまりにも設定が飛び抜け過ぎている(前々作の設定も含めて)。
少しは自重したほうがよろしいかと。
でも面白かったので、最後までお付き合いいたします。