「憑かれたぜ…………五月苗なんだぜ」
ソファーの上は冷たくなかったから珍しく片付いているテーブルの上でごろごろする。何が面白いのか知らんけど、私の金髪を人差し指でいじくり回しながらアリスは微笑んだ。
「何言ってんの、今はもう七月。それを言うのなら五月病でなくて夏バテでしょう? 」
全くだ、憑かれたのなら早いとこクソ不味いデスペルを一気飲みするか霊夢の所にお祓いして貰いに行くべきなんだ。理屈では解っているんだけど四節に鉛でも結び付けられたみたいに動くのがしんどい。
「あ、ほんとに生えいてるわ。珍しい憑きものね、でも正式名称はナツバテ草よ」
そういうと、徐にアリスはカイワレ大根みたいな植物を私の髪の毛から引き剥がし始めた。ああ、やる気が出ない……何か画期的な弾幕を思いつたような気がするけど……どうでもいいや。
「アリス、くすぐったい。やめて~」
「嫌なら、もっと激しく抵抗しなさい。ほれほれ……」
低脂肪で健康的な脚をもじもじ動かして、気のない返事を上げるので精一杯だ。それ以上何もする気が起きなかった。そして、憑かれからくる漠然とした不安だとか閉塞感が私の内面に向き合えと嗾ける。そんな私小説の主人公みたいなしんどいことやりたくないから問題意識を無理やり外部に向けた。
「ああ……何だか幻想郷の行く末が心配だぜ」
「は?」
そういう事にしておいた。…………最近霊夢がぴりぴりしている…………駄目だ、これじゃあインパクトに欠ける。もう少し過剰にしてみよう……そう、紫の度を越したストーキング行為により妖怪排斥運動に走りそうな位…………博麗霊夢は思いつめている。もし、霊夢の頭がおかしくなったら……まずは「あんた金髪でウエーブの掛ったロングヘアーだから紫の若い頃に似てる」って言いがかりに近い理由で私は妖怪退治の練習用標的に抜擢されるだろう。そして退治後には二階級特進の上、シリウス勲章が授与されるに違いない。ああ、どんどん現実とか事実からズレた悲観的なビジョンが浮かんでくるぞ。
「魔理沙、髪引っ張られて痛くない?」
「いんや、大丈夫だ。それよりも左のこめかみが少しかゆい」
「そういう時はあんまり触らない方がいいわ。余計に悪くなるから」
「そうか……」
友達から浴びせられる激しい殺意の中、私を生き存えさせたのは、ある疑問だった。私の見た霊夢の胸は紫の云うような絶壁ではなく、私のと同くほんの少し膨らんでいた。既にストーキングの目的は失われていたのだ。だが、この馬鹿げた仲間割れ自体が八雲紫の目的だったとしたら……。
「どうしたの魔理沙?」
「…………いや、なんでもない。少し空想の世界に耽っていた。月ニ栄光アレ 地球ニ慈悲アレ……だぜ!」
うん、どうせ途中で馬鹿馬鹿しくなっていつも通りの弾幕ごっこの後には二人でお茶飲んでいるだろうな。そんでもって、覗き趣味の妖怪を懲らしめて異変は終わりだ。そうして結論が出て悩む事が無くなってしまった。同じところをぐるぐる回り続ける妖精みたいな頭だったら良かったのに。再び憑かれから来る漠然とした不安感が圧し掛かってきた。
「無駄毛みたいなもんなんだから早く処理しなきゃ。だらしないわ」
「そーなのか…………なぁ、今度アリスの実家に泊まりに行っていいか?」
もしも、本当に気が狂った霊夢の相手をして彼女まで巻き込まれ、憑かれてしまったら誰が私の晩御飯を毎日作るのか? これはとても重要な問題だ。だから予め幻想郷からおさらばしておけばアリスの負担が少しは軽くなるだろうと見越してのお願いだ。
「だ、駄目駄目駄目駄目!」
「…………そうか、それは残念だ」
アリスは顔を真っ赤にしながら捲し立てた。親元にアリスを貰いに行くには大分気が早かったようだ。折角、霊夢を悪者にしてまでお願いする理由を作ったのに……盛大に空回りしてしまった。そうしてここまで友人の事を悪く考えられる自分の頭を疑ってみたりする………今は何だかマイナス思考だしそもそも頭を使う気も起きない。さっきみたいに変に捻くれた考えが浮かんだらめんどくさそうだ。これだけ無遠慮な振る舞いが出来るという事はそれなりにあいつのことを私は信頼しているし、あいつもそれなりに私を信頼してくれている。結論はこんなところでいいだろう。相も変わらず私の髪を弄っている。しかし、これは良い…………長い事会ってない母さんに頭を撫でられているような心地良さがある。
「アリスはいいよな、年中元気そうで……なぁ、アリスは何で生えないんだ?」
「魔法使いだから。妖怪植物は人間にしか生えないのよ」
「それだけ?」
「うん」
「…………」
会話終了。アリスは人形の手入れをする時みたいに黙々と作業を続けている。余分な事を考えたくなかったからもっと色々な蘊蓄を聞きたかったのに。………………………………ところで箒だけ飛んで行って爆散するブレイジングスターってどうだろうか。先端に六次元連結した劣化ウランを埋め込んだら綺麗な燈色で光りそうだし、夢想封印中の霊夢の集中力をある程度削ぐ事ができそうな気がするんだぜ。ホーミングは霊夢ほど上手くはないが魔法でどうにかなるとして……。
「推進剤の原料を永遠亭に買いに行くのがめんどくさいぜ」
「それで何を作るつもりなのよ…………そういえばそろそろ、試薬補充しないと実験出来ないんじゃない?」
「アリス、買ってくれ~」
「ちゃんと代金は立て替えてくれるのならいいわよ?」
「……………………………………………………人形関係の本で手を打ってくれ」
「駄目よ、それ図書館から盗んだやつでしょ? 」
「だめなのかー」
「うん」
「…………ありす」
「何?」
話しかけたはいいが、段々と口を動かすのも億劫に成ってきた。けれども、ここで口を閉じたら最早物言わぬ路傍の石ころへとクラスダウンしそうで怖くもあった。何か言え、自分。ほら何か言うんだ、話しかけろ。
「…………呼んだだけ」
「そう……」
「…………アリス、椎茸って美味いよな?」
「そうね、通信費が有料でなければもっと便利なハードだったのにね」
「…………アリス、好きなマジックマッシュルームのフレーバーは?」
「まだ人間なんだからあんまり過激な物はよしなさい。悪い子にはお仕置きよ!」
アリスは頬っぺたに人差し指を押し付けて輪を書くように動かし始めた。話題がキノコの事しか浮かばない程度には消耗しているから、されるがままにしている。人形趣味のアリスちゃんはマグロ少女が気に召したのか上機嫌だ。
「魔理沙、何時ものアイスティーと麦茶どっちがいい?」
「…………麦茶、属性魔法でキンキンに冷えたやつ」
言うや否やすぐさままるで自分の家みたいに人形達がキッチンへと無遠慮に入って行った。慎ましさがもう少し欲しいところだ。ふと、アリスの手が私の頭髪を漁るのを止めた。
「はい、全部採れたわよ。今晩のおかずはナツバテ草のサラダと焼き魚でいいかしら?」
「ちょっと待て、それ食えるのか?」
「ええ、魔理沙の元気を一杯吸い取って育ったから、マンドラゴラとかウコンだとか其処らの薬草より効く筈よ?」
「けれど、発電にはエネルギーのロスがつきものだぜ。結局、私はマイナスじゃないか」
「私は元気になるわ」
「なんてこった…………アリスに食われた。この人食い妖怪め」
のそのそと、まだ気だるい身体を動かして体勢を変える。アリスの脇をくすぐった。楽しそうに身体をよじる彼女の体温は、やや低めでなんだか心地良かった。
「マルチタスクだからもっと発熱しているものだと思ってたぜ」
「残念、冬場の暖には向いていないようね」
「いんや、適温さ」
緩慢な動きでソファに座るアリスの方へ、膝の上から抱きついて好きなだけ堪能することにした。
「魔理沙、暑いわ」
「うん、私も熱い………………ありすぅ…………」
徐にフリフリの付いたリボンに手を掛ける。弾幕の事を考えるのも魔法の事を考えるのも疲れた。身体を求めあっている時はその事だけ考えていればいい。アリス、私を塗りつぶしてくれ……。
「…………痛っ!」
「明るいうちは嫌……」
人形に槍で突かれてしまった…………残念。別に、ブン屋が写真を撮りに来る訳でもないのに何をそんなに恥ずかしがっているのか。それに撮りに来たらそれはそれで見せつけてやればいいのだ。………………今さらりととんでもないこと考えたぞ、私のブレイン。なんてこった、私は露出趣味の変態少女だったのか。ああ、駄目だ…………頭に変な虫が湧いている。明日はリグルを退治しに行かないと。
「…………」
そして会話が無くなった。不味いぞ、これは不味い…………アリスの機嫌を更に損ねてしまった。少なくとも頬に赤みが差す程度には怒っているようだ。
「シャンハーイ?」
上海がお盆に麦茶を二つ持って台所から戻って来た。
「おお、ありがとう上海!」
礼を言って氷でガチャガチャ音を鳴らしながら自分の分を受取った。ぼやっと靄が掛った頭を冷たさがはっきりさせていく。そして、冷えた麦茶は私の不手際を抉り出した。今私は誰に礼を言ったか…………上海にである。しかし、例えばにとりがのびーるアームでコーラを渡してくれたとする。そこで私はのびーるアームに礼を言う。これでは筋が通らない。
「んくんく……ぷはぁ…………」
たった今、ゆるい角度でグラスを傾けたアリスに労いの言葉を掛けてやるべきだったのだ。
「うう、……疲かれた。私は駄目人間なんだぜ」
ああ、スーパー自己嫌悪タイムリスタート。私は駄目な奴だ…………この前神社でやった二人闇鍋大会、何故か私ばかり痺れキノコに当たった。霊夢に当たる様に配置したのに、畜生……霊夢も何かイカサマしたに違いない。そして相当入念に準備しておいて弾幕以外でも負けた私はやっぱり駄目な奴なんだ。
「生まれ変わったらキノコになりたい」
ぽこぽこ種が弾けて芽吹く感触が私の頭髪から、完治したと思っていたけどまんまと騙された。畜生、ナツバテ草め。
「魔理沙、膝枕!」
促されるままにアリスに膝枕して貰う。そしてまた、ちまちまと夕飯の材料を取り除き始めた。
「がっかりだ、治ったと思ったのに」
「しょうがないわよ。ぶり返し易いんだから」
「どうでもいいけど早苗って、今の時期梅雨の雨水と夏の日差しのダブル効果でその辺の草みたいに元気そうじゃね?」
「多分、あの娘は今頃妖力スポイラーで元気ビンビンよ」
「マジか、年中台風みたいなテンションの秘密は人の元気横取りしてたからか!」
「いやいや、常識的に考えてそれはないから。弾幕ごっこ以外の常習犯なら霊夢に退治されているわ」
「いや、あいつを常識という尺度で評価してはいけない」
「そうね、緑色だし彼女は植物系女子なのよ。増えすぎたCO2を上手に取り込んでいるのよ」
などと、取りとめのない会話を交わしていると少しずつ気分が上向いてきたように感じる。良い傾向だ、やっぱり気持ちが沈んだら変な薬よりもアリスミンの大量摂取に限る。
そんでもって何時の間にか籠一杯のナツバテ草が溜まっていた。
「うん、ナツバテ草はポン酢が良く合うわ」
「…………」
これまた何時の間にか用意していた小皿にアリスはポン酢を垂らして、シャキシャキと景気のいい咀嚼音を刻んでいる。
「むぐむぐむぐ…………美味しぃ……魔理沙も食べなよ?」
「う~ん、それじゃあ私も」
自分の身体から出た物を食べる……というのは若干躊躇われた。しかし、結局は好奇心と食欲が勝った。重たく感じる身体を起こして台所から箸とポン酢を注いだ小皿を持って来る。
「おお、これは…………」
アリスと同じように口に運んでみた。食感は要するにカイワレ大根である。ポン酢が良く合うさっぱりした歯応えだ。しかし、口の中で咀嚼するたびに危ない薬をキメたみたいに気持ちが高揚する。
「もぐもぐ…………それは魔理沙の元気の味よ。変な物は入ってないから大丈夫」
「成程、私の元気ってこんな味がするのか。ナツバテ草も悪くないな……」
「でも、これの為に毎年魔理沙が精神的に不健康に成る事に賛成できないわ」
「………………大丈夫だ、人間憑かれる時は憑かれるもんさ。無理はしてないから」
「嘘吐き……去年の今頃はもっと元気だったわ。絶対知らない所で無茶したでしょ?」
「私は閻魔でもべた褒めするような正直者だぜ」
「やっぱり魔理沙は嘘吐きだ。何かあるのなら全部吐いちゃいなさい」
「私は正直者だ……しかし、美味いなこれ」
普段からキノコでバットトリップしていれば毎朝のご飯の御供にできるだろうか。いや、それよりもカイワレ大根に例のキノコの粉末を振り掛けた方が精神衛生上好ましいか。いやいや、待て……薬で飛ぶのと元気を貰うのだとやっぱり違うだろう。
「…………」
二人でもしゃもしゃと黙ってナツバテ草を食んでいた。ナツバテ草うめー。
「なんだかお腹いっぱいね。魚は燻製にでもしておけばいいかしら?」
「それで頼む、今日はもう食えない」
先程の珍味の余韻を惜しみつつも、ソファーに二人で身体を沈ませてただひたすらぼーっとしている。
「……魔理沙、とても美味しかったわ」
ぽつりと、アリスが漏らす。要は唯の野菜なのだが、自身の一部を美味い言われてなんと反応すればいいのか正直言ってよく分からなかった。
「ああ……」
口から漏れ出たのは如何とでも取れる感嘆詞だった。そうだ、あれは分泌物だったのだ。垢とか涎とか、母乳とか……。
「アリス、エロすぎる」
「何がどうしてそうなるのよ!」
何の脈絡もなくスケベ呼ばわりされてムッとしたらしく、細い眉毛を釣り上げて睨みつけてきた。
「やれやれ……付き合いも長いんだし、そろそろそういうのは察して欲しいな」
「な、にゃによ……んむぅ」
少々強引であるがアリスの淡い桃色の唇に自分のものを重ねた。舌が絡み合ってお互いの体液が交換される。さっきまでごろごろしてたから睡眠欲は充分だ。満腹だし、胞子まみれの私のブレインは三第欲求最後の一つを発散させよとが鳴りたてる。
「ありす……」
「ま、待ってよ……」
体重を掛けてソファーの上に押し倒す。抵抗は無かった。
「だって、アリスは私を受け入れたじゃないか。アリスの中に私がいるんだぜ?」
「それはそうだけど、もっと雰囲気ってものを大切にしなさいよ。野菜じゃなんだか味気ないわ」
「じゃあ、逆に聞こう。雰囲気さえ間違ってなければ押し倒されていいのか?」
「あう、そ、それは……その」
アリスは口をぱくぱくさせたり、目を忙しそうに泳がせたしてそれ以上何も言わなかった。さて、沈黙は同意かそれとも否定か…………自分の都合のいいように解釈した。改めてアリスの胸元のリボンに手を掛ける。
「ふひひ、それじゃあアリス…………私の前に全てをさらけ出し…………」
「嫌ぁ、やっぱり嫌よ…………嫌だ、まりさぁ………………」
コカインみたいなカイワレ大根の効果もあってなのか、なんだか胸に込み上げてくるものがある。
「………………………………………………………………」
「…嫌だぁ…………………………うっ……ああ………」
「………………………………………………………………」
「………………………………………………魔理沙? 」
「…………げえええええぇぇぇええぇぇぇぇ…………オヴェエエエエエエエエエエエ………………」
「ちょ、嫌ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
図らずも今日、私の手札に新しいスペルカードが追加された。『逆流「マスターリバース」』である。
「魔理沙の馬鹿……」
それだけ言って湯船に鼻先まで漬かった。ぷくぷくと泡を出しながらアリスは拗ねている。
「いや、でもアリスさっき全部吐いていいって言ったじゃないか。話が違うぜ」
スポンジで身体を擦るのを中断して我ながら意味不明な言い訳をする。うう、こんなんだったら調子に乗って食べ過ぎるんじゃなかった。
「…………アリス、本当にごめん」
「………………」
「なあ、アリス…………機嫌を直してくれよ…………埋め合わせだったら何でもするからさ……」
「…………フェがいい」
ぽつりと、湯船から肩までのろのろと出てきたアリスは漏らした。
「へ?」
「Berry Berry Happyのデラックスイチゴパフェ奢ってくれたら考えてあげるわ」
なんだその、頭の悪そうな名前の店は……待てよ、確かそれってこの前文々。新聞にオープン記念フェアの広告入ってた滅茶苦茶高い店じゃないか。
「アリス……そこは得盛りアイスクリームで手を打ってくれないか?」
「………………ぶくぶくぶく」
「………………」
「………………」
「………………了解したぜ」
「よろしい……ほら……」
アリスはバスタブから片手を突き出した。私も小指を絡めて応じた。
「ゆ~びきりげんまん、嘘付いたら~の針千本の~ます。ゆびっきった!」
「いやいや、待て……」
「縫い針なら家に一杯あるから大丈夫よ。足りなかったら退魔針飲ませるから」
「マジでさっきはすまんかった。ごめんなさい」
アリスはそれ以上取り合ってくれなかった。私のお財布大丈夫かな……。
でも、縫い針千本は嫌だな…………。
まあ、実際はお財布に無茶させて大正解だった。
美味そうにパフェを頬張るアリスを見られたし、良い店なだけあってけちりにけちりまくって普通のアイスクリーム頼んでも相当な満足感を味わえた。飾りのミントとアイスクリームがあんなにも合うなんて、あそこに食べに行かなければ一生知らなかっただろうな。あまりにも幸せそうに食べるもんだからちょっとだけアリスに味見させて貰ったデラックスイチゴパフェの味も忘れられそうにない。
「ふーん…………それでこの前は日曜日なのに弾幕ごっこに来なかったんだ」
「おう、神社で中年オヤジみたいに酒瓶を傾けるのもいいけど、霊夢も偶にはステレオタイプな女の子ぽいとこに出掛けてみたらどうだ?」
「そうね…………いいなぁ、デートねぇ…………それに大盛りのパフェか……」
「そういう訳だから霊夢、今月のお賽銭はなしだ。もう蝦蟇口に残っているのは自分の食費だけなんだぜ」
「…………」
霊夢は何事かを視線に込めて訴える。え、その辺のキノコでも拾って食えばいいって? うん、キノコは美味しいぜ。
でもな、食物繊維だけじゃパワーが出ないんだぜ。ところで、新しいスペルが完成したから次の日曜日は前回のリターンマッチな。
分かったらとっと帰れ、来月にはちゃんと…………うわ、何をする……やめ…………。
ソファーの上は冷たくなかったから珍しく片付いているテーブルの上でごろごろする。何が面白いのか知らんけど、私の金髪を人差し指でいじくり回しながらアリスは微笑んだ。
「何言ってんの、今はもう七月。それを言うのなら五月病でなくて夏バテでしょう? 」
全くだ、憑かれたのなら早いとこクソ不味いデスペルを一気飲みするか霊夢の所にお祓いして貰いに行くべきなんだ。理屈では解っているんだけど四節に鉛でも結び付けられたみたいに動くのがしんどい。
「あ、ほんとに生えいてるわ。珍しい憑きものね、でも正式名称はナツバテ草よ」
そういうと、徐にアリスはカイワレ大根みたいな植物を私の髪の毛から引き剥がし始めた。ああ、やる気が出ない……何か画期的な弾幕を思いつたような気がするけど……どうでもいいや。
「アリス、くすぐったい。やめて~」
「嫌なら、もっと激しく抵抗しなさい。ほれほれ……」
低脂肪で健康的な脚をもじもじ動かして、気のない返事を上げるので精一杯だ。それ以上何もする気が起きなかった。そして、憑かれからくる漠然とした不安だとか閉塞感が私の内面に向き合えと嗾ける。そんな私小説の主人公みたいなしんどいことやりたくないから問題意識を無理やり外部に向けた。
「ああ……何だか幻想郷の行く末が心配だぜ」
「は?」
そういう事にしておいた。…………最近霊夢がぴりぴりしている…………駄目だ、これじゃあインパクトに欠ける。もう少し過剰にしてみよう……そう、紫の度を越したストーキング行為により妖怪排斥運動に走りそうな位…………博麗霊夢は思いつめている。もし、霊夢の頭がおかしくなったら……まずは「あんた金髪でウエーブの掛ったロングヘアーだから紫の若い頃に似てる」って言いがかりに近い理由で私は妖怪退治の練習用標的に抜擢されるだろう。そして退治後には二階級特進の上、シリウス勲章が授与されるに違いない。ああ、どんどん現実とか事実からズレた悲観的なビジョンが浮かんでくるぞ。
「魔理沙、髪引っ張られて痛くない?」
「いんや、大丈夫だ。それよりも左のこめかみが少しかゆい」
「そういう時はあんまり触らない方がいいわ。余計に悪くなるから」
「そうか……」
友達から浴びせられる激しい殺意の中、私を生き存えさせたのは、ある疑問だった。私の見た霊夢の胸は紫の云うような絶壁ではなく、私のと同くほんの少し膨らんでいた。既にストーキングの目的は失われていたのだ。だが、この馬鹿げた仲間割れ自体が八雲紫の目的だったとしたら……。
「どうしたの魔理沙?」
「…………いや、なんでもない。少し空想の世界に耽っていた。月ニ栄光アレ 地球ニ慈悲アレ……だぜ!」
うん、どうせ途中で馬鹿馬鹿しくなっていつも通りの弾幕ごっこの後には二人でお茶飲んでいるだろうな。そんでもって、覗き趣味の妖怪を懲らしめて異変は終わりだ。そうして結論が出て悩む事が無くなってしまった。同じところをぐるぐる回り続ける妖精みたいな頭だったら良かったのに。再び憑かれから来る漠然とした不安感が圧し掛かってきた。
「無駄毛みたいなもんなんだから早く処理しなきゃ。だらしないわ」
「そーなのか…………なぁ、今度アリスの実家に泊まりに行っていいか?」
もしも、本当に気が狂った霊夢の相手をして彼女まで巻き込まれ、憑かれてしまったら誰が私の晩御飯を毎日作るのか? これはとても重要な問題だ。だから予め幻想郷からおさらばしておけばアリスの負担が少しは軽くなるだろうと見越してのお願いだ。
「だ、駄目駄目駄目駄目!」
「…………そうか、それは残念だ」
アリスは顔を真っ赤にしながら捲し立てた。親元にアリスを貰いに行くには大分気が早かったようだ。折角、霊夢を悪者にしてまでお願いする理由を作ったのに……盛大に空回りしてしまった。そうしてここまで友人の事を悪く考えられる自分の頭を疑ってみたりする………今は何だかマイナス思考だしそもそも頭を使う気も起きない。さっきみたいに変に捻くれた考えが浮かんだらめんどくさそうだ。これだけ無遠慮な振る舞いが出来るという事はそれなりにあいつのことを私は信頼しているし、あいつもそれなりに私を信頼してくれている。結論はこんなところでいいだろう。相も変わらず私の髪を弄っている。しかし、これは良い…………長い事会ってない母さんに頭を撫でられているような心地良さがある。
「アリスはいいよな、年中元気そうで……なぁ、アリスは何で生えないんだ?」
「魔法使いだから。妖怪植物は人間にしか生えないのよ」
「それだけ?」
「うん」
「…………」
会話終了。アリスは人形の手入れをする時みたいに黙々と作業を続けている。余分な事を考えたくなかったからもっと色々な蘊蓄を聞きたかったのに。………………………………ところで箒だけ飛んで行って爆散するブレイジングスターってどうだろうか。先端に六次元連結した劣化ウランを埋め込んだら綺麗な燈色で光りそうだし、夢想封印中の霊夢の集中力をある程度削ぐ事ができそうな気がするんだぜ。ホーミングは霊夢ほど上手くはないが魔法でどうにかなるとして……。
「推進剤の原料を永遠亭に買いに行くのがめんどくさいぜ」
「それで何を作るつもりなのよ…………そういえばそろそろ、試薬補充しないと実験出来ないんじゃない?」
「アリス、買ってくれ~」
「ちゃんと代金は立て替えてくれるのならいいわよ?」
「……………………………………………………人形関係の本で手を打ってくれ」
「駄目よ、それ図書館から盗んだやつでしょ? 」
「だめなのかー」
「うん」
「…………ありす」
「何?」
話しかけたはいいが、段々と口を動かすのも億劫に成ってきた。けれども、ここで口を閉じたら最早物言わぬ路傍の石ころへとクラスダウンしそうで怖くもあった。何か言え、自分。ほら何か言うんだ、話しかけろ。
「…………呼んだだけ」
「そう……」
「…………アリス、椎茸って美味いよな?」
「そうね、通信費が有料でなければもっと便利なハードだったのにね」
「…………アリス、好きなマジックマッシュルームのフレーバーは?」
「まだ人間なんだからあんまり過激な物はよしなさい。悪い子にはお仕置きよ!」
アリスは頬っぺたに人差し指を押し付けて輪を書くように動かし始めた。話題がキノコの事しか浮かばない程度には消耗しているから、されるがままにしている。人形趣味のアリスちゃんはマグロ少女が気に召したのか上機嫌だ。
「魔理沙、何時ものアイスティーと麦茶どっちがいい?」
「…………麦茶、属性魔法でキンキンに冷えたやつ」
言うや否やすぐさままるで自分の家みたいに人形達がキッチンへと無遠慮に入って行った。慎ましさがもう少し欲しいところだ。ふと、アリスの手が私の頭髪を漁るのを止めた。
「はい、全部採れたわよ。今晩のおかずはナツバテ草のサラダと焼き魚でいいかしら?」
「ちょっと待て、それ食えるのか?」
「ええ、魔理沙の元気を一杯吸い取って育ったから、マンドラゴラとかウコンだとか其処らの薬草より効く筈よ?」
「けれど、発電にはエネルギーのロスがつきものだぜ。結局、私はマイナスじゃないか」
「私は元気になるわ」
「なんてこった…………アリスに食われた。この人食い妖怪め」
のそのそと、まだ気だるい身体を動かして体勢を変える。アリスの脇をくすぐった。楽しそうに身体をよじる彼女の体温は、やや低めでなんだか心地良かった。
「マルチタスクだからもっと発熱しているものだと思ってたぜ」
「残念、冬場の暖には向いていないようね」
「いんや、適温さ」
緩慢な動きでソファに座るアリスの方へ、膝の上から抱きついて好きなだけ堪能することにした。
「魔理沙、暑いわ」
「うん、私も熱い………………ありすぅ…………」
徐にフリフリの付いたリボンに手を掛ける。弾幕の事を考えるのも魔法の事を考えるのも疲れた。身体を求めあっている時はその事だけ考えていればいい。アリス、私を塗りつぶしてくれ……。
「…………痛っ!」
「明るいうちは嫌……」
人形に槍で突かれてしまった…………残念。別に、ブン屋が写真を撮りに来る訳でもないのに何をそんなに恥ずかしがっているのか。それに撮りに来たらそれはそれで見せつけてやればいいのだ。………………今さらりととんでもないこと考えたぞ、私のブレイン。なんてこった、私は露出趣味の変態少女だったのか。ああ、駄目だ…………頭に変な虫が湧いている。明日はリグルを退治しに行かないと。
「…………」
そして会話が無くなった。不味いぞ、これは不味い…………アリスの機嫌を更に損ねてしまった。少なくとも頬に赤みが差す程度には怒っているようだ。
「シャンハーイ?」
上海がお盆に麦茶を二つ持って台所から戻って来た。
「おお、ありがとう上海!」
礼を言って氷でガチャガチャ音を鳴らしながら自分の分を受取った。ぼやっと靄が掛った頭を冷たさがはっきりさせていく。そして、冷えた麦茶は私の不手際を抉り出した。今私は誰に礼を言ったか…………上海にである。しかし、例えばにとりがのびーるアームでコーラを渡してくれたとする。そこで私はのびーるアームに礼を言う。これでは筋が通らない。
「んくんく……ぷはぁ…………」
たった今、ゆるい角度でグラスを傾けたアリスに労いの言葉を掛けてやるべきだったのだ。
「うう、……疲かれた。私は駄目人間なんだぜ」
ああ、スーパー自己嫌悪タイムリスタート。私は駄目な奴だ…………この前神社でやった二人闇鍋大会、何故か私ばかり痺れキノコに当たった。霊夢に当たる様に配置したのに、畜生……霊夢も何かイカサマしたに違いない。そして相当入念に準備しておいて弾幕以外でも負けた私はやっぱり駄目な奴なんだ。
「生まれ変わったらキノコになりたい」
ぽこぽこ種が弾けて芽吹く感触が私の頭髪から、完治したと思っていたけどまんまと騙された。畜生、ナツバテ草め。
「魔理沙、膝枕!」
促されるままにアリスに膝枕して貰う。そしてまた、ちまちまと夕飯の材料を取り除き始めた。
「がっかりだ、治ったと思ったのに」
「しょうがないわよ。ぶり返し易いんだから」
「どうでもいいけど早苗って、今の時期梅雨の雨水と夏の日差しのダブル効果でその辺の草みたいに元気そうじゃね?」
「多分、あの娘は今頃妖力スポイラーで元気ビンビンよ」
「マジか、年中台風みたいなテンションの秘密は人の元気横取りしてたからか!」
「いやいや、常識的に考えてそれはないから。弾幕ごっこ以外の常習犯なら霊夢に退治されているわ」
「いや、あいつを常識という尺度で評価してはいけない」
「そうね、緑色だし彼女は植物系女子なのよ。増えすぎたCO2を上手に取り込んでいるのよ」
などと、取りとめのない会話を交わしていると少しずつ気分が上向いてきたように感じる。良い傾向だ、やっぱり気持ちが沈んだら変な薬よりもアリスミンの大量摂取に限る。
そんでもって何時の間にか籠一杯のナツバテ草が溜まっていた。
「うん、ナツバテ草はポン酢が良く合うわ」
「…………」
これまた何時の間にか用意していた小皿にアリスはポン酢を垂らして、シャキシャキと景気のいい咀嚼音を刻んでいる。
「むぐむぐむぐ…………美味しぃ……魔理沙も食べなよ?」
「う~ん、それじゃあ私も」
自分の身体から出た物を食べる……というのは若干躊躇われた。しかし、結局は好奇心と食欲が勝った。重たく感じる身体を起こして台所から箸とポン酢を注いだ小皿を持って来る。
「おお、これは…………」
アリスと同じように口に運んでみた。食感は要するにカイワレ大根である。ポン酢が良く合うさっぱりした歯応えだ。しかし、口の中で咀嚼するたびに危ない薬をキメたみたいに気持ちが高揚する。
「もぐもぐ…………それは魔理沙の元気の味よ。変な物は入ってないから大丈夫」
「成程、私の元気ってこんな味がするのか。ナツバテ草も悪くないな……」
「でも、これの為に毎年魔理沙が精神的に不健康に成る事に賛成できないわ」
「………………大丈夫だ、人間憑かれる時は憑かれるもんさ。無理はしてないから」
「嘘吐き……去年の今頃はもっと元気だったわ。絶対知らない所で無茶したでしょ?」
「私は閻魔でもべた褒めするような正直者だぜ」
「やっぱり魔理沙は嘘吐きだ。何かあるのなら全部吐いちゃいなさい」
「私は正直者だ……しかし、美味いなこれ」
普段からキノコでバットトリップしていれば毎朝のご飯の御供にできるだろうか。いや、それよりもカイワレ大根に例のキノコの粉末を振り掛けた方が精神衛生上好ましいか。いやいや、待て……薬で飛ぶのと元気を貰うのだとやっぱり違うだろう。
「…………」
二人でもしゃもしゃと黙ってナツバテ草を食んでいた。ナツバテ草うめー。
「なんだかお腹いっぱいね。魚は燻製にでもしておけばいいかしら?」
「それで頼む、今日はもう食えない」
先程の珍味の余韻を惜しみつつも、ソファーに二人で身体を沈ませてただひたすらぼーっとしている。
「……魔理沙、とても美味しかったわ」
ぽつりと、アリスが漏らす。要は唯の野菜なのだが、自身の一部を美味い言われてなんと反応すればいいのか正直言ってよく分からなかった。
「ああ……」
口から漏れ出たのは如何とでも取れる感嘆詞だった。そうだ、あれは分泌物だったのだ。垢とか涎とか、母乳とか……。
「アリス、エロすぎる」
「何がどうしてそうなるのよ!」
何の脈絡もなくスケベ呼ばわりされてムッとしたらしく、細い眉毛を釣り上げて睨みつけてきた。
「やれやれ……付き合いも長いんだし、そろそろそういうのは察して欲しいな」
「な、にゃによ……んむぅ」
少々強引であるがアリスの淡い桃色の唇に自分のものを重ねた。舌が絡み合ってお互いの体液が交換される。さっきまでごろごろしてたから睡眠欲は充分だ。満腹だし、胞子まみれの私のブレインは三第欲求最後の一つを発散させよとが鳴りたてる。
「ありす……」
「ま、待ってよ……」
体重を掛けてソファーの上に押し倒す。抵抗は無かった。
「だって、アリスは私を受け入れたじゃないか。アリスの中に私がいるんだぜ?」
「それはそうだけど、もっと雰囲気ってものを大切にしなさいよ。野菜じゃなんだか味気ないわ」
「じゃあ、逆に聞こう。雰囲気さえ間違ってなければ押し倒されていいのか?」
「あう、そ、それは……その」
アリスは口をぱくぱくさせたり、目を忙しそうに泳がせたしてそれ以上何も言わなかった。さて、沈黙は同意かそれとも否定か…………自分の都合のいいように解釈した。改めてアリスの胸元のリボンに手を掛ける。
「ふひひ、それじゃあアリス…………私の前に全てをさらけ出し…………」
「嫌ぁ、やっぱり嫌よ…………嫌だ、まりさぁ………………」
コカインみたいなカイワレ大根の効果もあってなのか、なんだか胸に込み上げてくるものがある。
「………………………………………………………………」
「…嫌だぁ…………………………うっ……ああ………」
「………………………………………………………………」
「………………………………………………魔理沙? 」
「…………げえええええぇぇぇええぇぇぇぇ…………オヴェエエエエエエエエエエエ………………」
「ちょ、嫌ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
図らずも今日、私の手札に新しいスペルカードが追加された。『逆流「マスターリバース」』である。
「魔理沙の馬鹿……」
それだけ言って湯船に鼻先まで漬かった。ぷくぷくと泡を出しながらアリスは拗ねている。
「いや、でもアリスさっき全部吐いていいって言ったじゃないか。話が違うぜ」
スポンジで身体を擦るのを中断して我ながら意味不明な言い訳をする。うう、こんなんだったら調子に乗って食べ過ぎるんじゃなかった。
「…………アリス、本当にごめん」
「………………」
「なあ、アリス…………機嫌を直してくれよ…………埋め合わせだったら何でもするからさ……」
「…………フェがいい」
ぽつりと、湯船から肩までのろのろと出てきたアリスは漏らした。
「へ?」
「Berry Berry Happyのデラックスイチゴパフェ奢ってくれたら考えてあげるわ」
なんだその、頭の悪そうな名前の店は……待てよ、確かそれってこの前文々。新聞にオープン記念フェアの広告入ってた滅茶苦茶高い店じゃないか。
「アリス……そこは得盛りアイスクリームで手を打ってくれないか?」
「………………ぶくぶくぶく」
「………………」
「………………」
「………………了解したぜ」
「よろしい……ほら……」
アリスはバスタブから片手を突き出した。私も小指を絡めて応じた。
「ゆ~びきりげんまん、嘘付いたら~の針千本の~ます。ゆびっきった!」
「いやいや、待て……」
「縫い針なら家に一杯あるから大丈夫よ。足りなかったら退魔針飲ませるから」
「マジでさっきはすまんかった。ごめんなさい」
アリスはそれ以上取り合ってくれなかった。私のお財布大丈夫かな……。
でも、縫い針千本は嫌だな…………。
まあ、実際はお財布に無茶させて大正解だった。
美味そうにパフェを頬張るアリスを見られたし、良い店なだけあってけちりにけちりまくって普通のアイスクリーム頼んでも相当な満足感を味わえた。飾りのミントとアイスクリームがあんなにも合うなんて、あそこに食べに行かなければ一生知らなかっただろうな。あまりにも幸せそうに食べるもんだからちょっとだけアリスに味見させて貰ったデラックスイチゴパフェの味も忘れられそうにない。
「ふーん…………それでこの前は日曜日なのに弾幕ごっこに来なかったんだ」
「おう、神社で中年オヤジみたいに酒瓶を傾けるのもいいけど、霊夢も偶にはステレオタイプな女の子ぽいとこに出掛けてみたらどうだ?」
「そうね…………いいなぁ、デートねぇ…………それに大盛りのパフェか……」
「そういう訳だから霊夢、今月のお賽銭はなしだ。もう蝦蟇口に残っているのは自分の食費だけなんだぜ」
「…………」
霊夢は何事かを視線に込めて訴える。え、その辺のキノコでも拾って食えばいいって? うん、キノコは美味しいぜ。
でもな、食物繊維だけじゃパワーが出ないんだぜ。ところで、新しいスペルが完成したから次の日曜日は前回のリターンマッチな。
分かったらとっと帰れ、来月にはちゃんと…………うわ、何をする……やめ…………。
それはそれで良いかと思いますが、あまり面白味がなかったのでこの点数で
その上で微グロ?や甘い場面をいれても何か盛り上がらない。
故にもう少し校正を考えたほうがよろしいかと思います。
個人的には結構好みです。