やれやれ、神社に茶をたかりに行ったら先客が三人。
女三人寄れば弾幕しい、と言いたいところだけれど、女五人では些かの人数余りで弾幕には至らず。
せっかくなので、姦しく恋バナ、と洒落込みたい。
幻想郷は恋愛に対してフリーダムだ。
どんな夢想もノープロブレム、ノーサプライズ。
性別、種族、そんな常識に囚われてはいかんとはいえ、皆々節操が無い。
かくいう私もその一人でしてね。
んでもって最近思うのさ。
『お前ら、先に死ぬの?』
そりゃあ、全員で首を縦にふるさ。
でも、先に死んだらお相手が悲しむんじゃないか?
霊夢曰く、彼女は私よりもずっと長い間生きていて私以外にも恋をしてそして失ってきたんでしょう。だから心配することないわ、と。
咲夜曰く、お嬢様と私はどのような場面においても関係を喪失することはないから、心配などしていない、と。
妖夢曰く、私が居なくなったら、明日の夕飯の準備に嘆くのではないでしょうか、と。
早苗曰く、あのお二人ならきっと三日で忘れると思うし、と。
いやいや、実に多様な反応でありながら、誰一人お相手を慮っていやがらない。これは素晴らしき人間思考。
どういうことだ。
人間と人間以外の恋愛ってこんなんでいいのか。
今さえ楽しければ、良ければいいのか。
『死ぬ身が心配したってしょうがないじゃない』
って確かにそうだけれど。
『それよりあんたの部屋にある見られて困るものを心配したほうがいいんじゃない?』
って余計なお世話だ。
人外も人外だ。人間は人外より早く死ぬかもしれない、いや、死ぬだろう。
だから諦めていやがるんだ。
嘆くよりも今を楽しんで、将来的に思い出にすがって生きてみようってな。
その思い出もそのうち美化されて幸せなものになるのだから、次のお相手見つけるまでハッピーハッピー。その頃には私の顔は今よりもずっと美人になってるだろう。伝説の美女扱いになってもおかしくない。ブン屋のカメラですら残せない妖怪の中の人間に乾杯。
いや、それならそれでいいんだ、ハッピーハッピー? 望むところだ、笑っていてくれ、私という記憶で。
『いいじゃないですか。先に死ぬ身なんて、気楽で』
冗談じゃない!
あいつの長い一生の中で本当にちょっとの間しか一緒に過ごすことができないとしても、私の責任であいつを泣かせてしまってはこの霧雨魔理沙、一生の悔いになるだろう。
うん、その時はもう一生を終えてるわけだけれども。
強くたって泣く時はあるし、強い絆ほど失った時に悲しむし、日常が崩壊するほどの関係なら尚更、三日後に笑顔になるとしても二日は泣かせるんだ、悲しませるんだ。
私たちは単純に死から目を背けてる。
愛する人がいるからこそ今が楽しくて、終わる事を考えたくはない。
愛しているからこそ、終わった後の事を考えたくない。
死にたくない。もっと一緒にいたいんだ!
残念なことに妖怪と人間は、知能の差異はあれども対話の出来る関係であったから、恋をすることもできてしまった。
種族を越えたって恋愛はできる。それは幼い頃から信じていることで、何故って、そりゃあ前例が常に目の前にあったのだからな。
でも見てきたのは実は恋愛の産物でしかなくて、クリエイターの存在は見たことないし、見ないふりしてたのだ。
『大丈夫ですよ、人間と妖怪だって子供を残す事ができます』
そうさ、残すことはできた!
だから私達は安心していたんだ。
あいつらと恋する事は間違いじゃない、と。
子孫を残すことができると。
……あぁ、オマエは不審な顔をするね。
私の望みは子供は3人。女、男、男で頼みたい。
出来れば母親はあいつでいてほしいのだが、一人は私が産みたい。
色々とオカシイと思われるかもしれないが、オマエがオカシイと思うその思考は正常だ。
だがここは幻想郷だ。
常識の裏側が現実になる、ここは幻を想う郷。
なると思えば何にだってなれる。オマエも疑う前に信じて見ろよ。
『あーだこーだと。じゃあ、残される側になりたいの?』
んなわけない!
それこそあってはいけない話だ。残されてたまるか。
あいつは老いずとも、何かあれば死ぬ身だ。私よりも多少は環境や病に強いかもしれないけれども、物理的に生を止められてしまえば、それは生物と何一つ変わらない終わりを迎える。
私が泣くのは構わない。
いくらでも泣くさ、それこそ、私の残り人生を全て捧げてもな。
人間の人生は短いんだ。だからあいつが託すあいつの人生は私には重すぎるんだ。
私よりも先に死んではならないんだ。
あいつの死から一分後、いや一秒後に私が死のうと、あいつは私より先に死んじゃいけないんだ。
愛する人に私よりも早く死ねなんて誰が言える。
私よりも一分一秒長く生きろ!
なんだかんだで、誰も人間であることを捨てようとしないのだから、いやいや、げに素晴らしき人間思考。
私が死ぬまでの間、私はお前の何一つを悲しませたくない。
その心に嘘も偽りもないんだ。
どうしたらいい、どうしたらお前が悲しまず、私も悲しまず全てを終わらせる事ができる?
結局棚上げするしかないんだ、私とお前の今後については。
その結果が人間思考なんだ。
会いたい。何となく、今すぐに。
死ぬまで一緒に居たいと思う。
飾る言葉が見当たらないんだ。不恰好な直球だけれど、私の言葉なんだからお前にだって悪くはないだろう。
どうしても伝えたいんだ。
って、やっぱりお前を目の前にしたら恥ずかしくて言葉にならなかったから、五十一秒程まごまごしてから、ノーモーションでマスタースパークを撃った。
見事に直撃し、これはやったと確信したのだが、放った光の柱の中から大江戸人形が二十三体ほど降り注ぐ。
いやぁ、参った。確かに大江戸人形なら多少目測を誤っても、その爆風に巻き込めばダメージになる。
今回は私の作戦負けだ。
マスタースパークの砲台となって固定された私の頭上で、小さな大江戸人形たちは素敵な花火を散らしてくれた。
あぁ、儚い命だ、大江戸爆薬からくり人形。お前と私がダブって見えるぜ。
幸せかい?
幸せさ。
飛び散る大江戸人形はどこか笑って見えた。
全く、燃えるように熱い恋だ。
本当に、身も心も、文字通り燃えてしまうわ。
主に身のほうがな。
こんな私でも、お前が笑ってくれるから、私も嬉しくなるんだ。
愛してるぜ、アリス。
女三人寄れば弾幕しい、と言いたいところだけれど、女五人では些かの人数余りで弾幕には至らず。
せっかくなので、姦しく恋バナ、と洒落込みたい。
幻想郷は恋愛に対してフリーダムだ。
どんな夢想もノープロブレム、ノーサプライズ。
性別、種族、そんな常識に囚われてはいかんとはいえ、皆々節操が無い。
かくいう私もその一人でしてね。
んでもって最近思うのさ。
『お前ら、先に死ぬの?』
そりゃあ、全員で首を縦にふるさ。
でも、先に死んだらお相手が悲しむんじゃないか?
霊夢曰く、彼女は私よりもずっと長い間生きていて私以外にも恋をしてそして失ってきたんでしょう。だから心配することないわ、と。
咲夜曰く、お嬢様と私はどのような場面においても関係を喪失することはないから、心配などしていない、と。
妖夢曰く、私が居なくなったら、明日の夕飯の準備に嘆くのではないでしょうか、と。
早苗曰く、あのお二人ならきっと三日で忘れると思うし、と。
いやいや、実に多様な反応でありながら、誰一人お相手を慮っていやがらない。これは素晴らしき人間思考。
どういうことだ。
人間と人間以外の恋愛ってこんなんでいいのか。
今さえ楽しければ、良ければいいのか。
『死ぬ身が心配したってしょうがないじゃない』
って確かにそうだけれど。
『それよりあんたの部屋にある見られて困るものを心配したほうがいいんじゃない?』
って余計なお世話だ。
人外も人外だ。人間は人外より早く死ぬかもしれない、いや、死ぬだろう。
だから諦めていやがるんだ。
嘆くよりも今を楽しんで、将来的に思い出にすがって生きてみようってな。
その思い出もそのうち美化されて幸せなものになるのだから、次のお相手見つけるまでハッピーハッピー。その頃には私の顔は今よりもずっと美人になってるだろう。伝説の美女扱いになってもおかしくない。ブン屋のカメラですら残せない妖怪の中の人間に乾杯。
いや、それならそれでいいんだ、ハッピーハッピー? 望むところだ、笑っていてくれ、私という記憶で。
『いいじゃないですか。先に死ぬ身なんて、気楽で』
冗談じゃない!
あいつの長い一生の中で本当にちょっとの間しか一緒に過ごすことができないとしても、私の責任であいつを泣かせてしまってはこの霧雨魔理沙、一生の悔いになるだろう。
うん、その時はもう一生を終えてるわけだけれども。
強くたって泣く時はあるし、強い絆ほど失った時に悲しむし、日常が崩壊するほどの関係なら尚更、三日後に笑顔になるとしても二日は泣かせるんだ、悲しませるんだ。
私たちは単純に死から目を背けてる。
愛する人がいるからこそ今が楽しくて、終わる事を考えたくはない。
愛しているからこそ、終わった後の事を考えたくない。
死にたくない。もっと一緒にいたいんだ!
残念なことに妖怪と人間は、知能の差異はあれども対話の出来る関係であったから、恋をすることもできてしまった。
種族を越えたって恋愛はできる。それは幼い頃から信じていることで、何故って、そりゃあ前例が常に目の前にあったのだからな。
でも見てきたのは実は恋愛の産物でしかなくて、クリエイターの存在は見たことないし、見ないふりしてたのだ。
『大丈夫ですよ、人間と妖怪だって子供を残す事ができます』
そうさ、残すことはできた!
だから私達は安心していたんだ。
あいつらと恋する事は間違いじゃない、と。
子孫を残すことができると。
……あぁ、オマエは不審な顔をするね。
私の望みは子供は3人。女、男、男で頼みたい。
出来れば母親はあいつでいてほしいのだが、一人は私が産みたい。
色々とオカシイと思われるかもしれないが、オマエがオカシイと思うその思考は正常だ。
だがここは幻想郷だ。
常識の裏側が現実になる、ここは幻を想う郷。
なると思えば何にだってなれる。オマエも疑う前に信じて見ろよ。
『あーだこーだと。じゃあ、残される側になりたいの?』
んなわけない!
それこそあってはいけない話だ。残されてたまるか。
あいつは老いずとも、何かあれば死ぬ身だ。私よりも多少は環境や病に強いかもしれないけれども、物理的に生を止められてしまえば、それは生物と何一つ変わらない終わりを迎える。
私が泣くのは構わない。
いくらでも泣くさ、それこそ、私の残り人生を全て捧げてもな。
人間の人生は短いんだ。だからあいつが託すあいつの人生は私には重すぎるんだ。
私よりも先に死んではならないんだ。
あいつの死から一分後、いや一秒後に私が死のうと、あいつは私より先に死んじゃいけないんだ。
愛する人に私よりも早く死ねなんて誰が言える。
私よりも一分一秒長く生きろ!
なんだかんだで、誰も人間であることを捨てようとしないのだから、いやいや、げに素晴らしき人間思考。
私が死ぬまでの間、私はお前の何一つを悲しませたくない。
その心に嘘も偽りもないんだ。
どうしたらいい、どうしたらお前が悲しまず、私も悲しまず全てを終わらせる事ができる?
結局棚上げするしかないんだ、私とお前の今後については。
その結果が人間思考なんだ。
会いたい。何となく、今すぐに。
死ぬまで一緒に居たいと思う。
飾る言葉が見当たらないんだ。不恰好な直球だけれど、私の言葉なんだからお前にだって悪くはないだろう。
どうしても伝えたいんだ。
って、やっぱりお前を目の前にしたら恥ずかしくて言葉にならなかったから、五十一秒程まごまごしてから、ノーモーションでマスタースパークを撃った。
見事に直撃し、これはやったと確信したのだが、放った光の柱の中から大江戸人形が二十三体ほど降り注ぐ。
いやぁ、参った。確かに大江戸人形なら多少目測を誤っても、その爆風に巻き込めばダメージになる。
今回は私の作戦負けだ。
マスタースパークの砲台となって固定された私の頭上で、小さな大江戸人形たちは素敵な花火を散らしてくれた。
あぁ、儚い命だ、大江戸爆薬からくり人形。お前と私がダブって見えるぜ。
幸せかい?
幸せさ。
飛び散る大江戸人形はどこか笑って見えた。
全く、燃えるように熱い恋だ。
本当に、身も心も、文字通り燃えてしまうわ。
主に身のほうがな。
こんな私でも、お前が笑ってくれるから、私も嬉しくなるんだ。
愛してるぜ、アリス。
ドツボに嵌りました
内容はとても好きです。