暗闇の中、声が聞こえる。
重く、暗く、深い男性の声。
「お前には無理だ」「お前にはできない」「あきらめておとなしく――」
――
「やめろ!」
魔理沙はベッドから飛び起きる。
周囲を二、三回見渡して、先ほどの声が夢であることに気づいた。
「親父め……」
魔理沙はぐい、とシーツを握りしめ、既に顔もあまり覚えていない父を思い出して顔をしかめた。
寝室の扉が急に開かれる。
「魔理沙、どうしたの!? すごいうなされてたわよ」
「アリス?」
魔理沙は突如現れたアリスを不思議そうに眺める。
(ああそうか、今はアリスと魔法の共同研究をしてるんだった……)
魔理沙はすぐに思い出す。魔法の共同研究のためにアリスが魔理沙の家に泊りに来ていたのだ。
「朝食できてるわよ。すぐに来られそう?」
「うん、行くよ」
魔理沙はベッドから立ち上がり、アリスとすれ違って扉を出る。
アリスは魔理沙を見送りながら、心配そうな表情をする。
(魔理沙……)
朝食を食べた後、二人は魔法の森に実験の材料を探しに出かけた。
二人は薄暗い獣道を歩いている。
「研究に必要な材料がすぐに手に入るのが、魔法の森に住むメリットだよな」
「そうね」
アリスが何かに気づく。
「魔理沙、あれは……?」
魔理沙はアリスが指す方向を見る。空間に大きな隙間が開いている。隙間の先は暗く、混沌としてどこにつながっているのかわからない。
「紫の仕業か……?」
魔理沙が隙間に近づく。
「うわっ!」
突如、魔理沙が隙間に吸い寄せられる。アリスはとっさに魔理沙の腕をつかむ。
「魔理沙!」
吸い込む力は徐々に強くなり、二人はじりじりと隙間に引き寄せられていく。
「アリス、手を離せ!」
「何言ってるの!」
ついに二人の足は地面から離れ、隙間の中に二人の身体は吸い込まれる。
◆
魔理沙は目を覚まし、起き上がる。魔理沙の視界に、外の世界の日本の都市の光景が映る(http://bit.ly/GPa8FD、渋谷。魔理沙たちはスクランブル交差点の中央(http://bit.ly/RSL3IA、ストリートビュー)に落ちた)
(数コマの間、JR渋谷駅ハチ公口(http://bit.ly/H0hqDL)、QFRONTビル&大盛堂書店ビル(http://bit.ly/K25DDU)、109(http://bit.ly/GLrZIJ)、を映す。読者に「ここは外の世界」と認識させる)
魔理沙(ここは……?幻想郷にこんな場所が……?)
「魔理沙……」魔理沙の下から声がする。魔理沙が下を向くと、アリスがいた。魔理沙はアリスの上に乗っかっていたのだ。そして魔理沙の手はアリスの間違いなく美乳でCカップの胸に置かれていた。アリスは恥じらいの表情を浮かべ、顔を赤らめる。
魔理沙「アリス……怪我ないか?」
魔理沙は特に驚くことなく、アリスを見つめている。
アリス「大丈夫……それより、手をどけて……」アリスはさらに顔を赤らめる。
魔理沙(かわいい)
魔理沙はアリスの胸を軽くもむ。ぷにっと音がして、アリスが「ひゃんっ!」と思わず大きな声をあげる。
魔理沙「元気そうだな」
アリス「ばかぁ!」アリスは真っ赤になった顔を腕で隠しながらそう言った。
「あなた達もこっちに来たのね」声が聞こえる。魔理沙は立ち上がって、声のする方を向く。
魔理沙「紫か」
紫が日傘を持ってアリスも立ち上がり、紫に問いかける。
アリス「紫、ここはどこなの?あなたならわかるでしょう」
紫「ここは外の世界よ」
魔理沙が突如空に飛び上がる。渋谷スクランブル交差点の俯瞰(ルビ)(http://bit.ly/H0Gmtz)が映る。平日の昼間なのに、人が一人もいない。紫とアリスが空を飛んで追ってくる。
魔理沙「たいそうな建物が並んでるが、人っ子一人いないのはどういうことだ?」
紫が悲しそうな顔をする。紫はすっと、空に向かって手をあげ、指差す。魔理沙は紫が指さしている方向を見上げる。
(こんな感じでおっきい星が空に見えるhttp://bit.ly/Q3Mp6O)
魔理沙「うわっ!な、なんなんだよあのでっかい星は!」
魔理沙が空中を後退りしながらそう言った。
「隕石(ルビ)よ」背後から声が聞こえる。霊夢が早苗と咲夜を連れて飛び近づいてきていた。
魔理沙「霊夢に、早苗。それに咲夜」
(霊夢、早苗、咲夜にそれぞれ一こま使い、そのコマで魔理沙がそのキャラの名前を呼ぶ。こうすることによって、東方を知らない人でも、名前とキャラの対応が瞬時に理解できる)
三人が空中に静止する。
早苗「あれが落ちてくる、って大騒ぎになって、ほとんどの人は逃げちゃったみたいです」
咲夜「私達もここに来たのはついさっきだから、紫からの伝聞だけどね」
魔理沙「私達は変なスキマに吸い寄せられてこっちに来たんだぜ」
アリス「スキマ……呼び出したのは紫、貴女なの?」
霊夢「紫」
紫は霊夢の方を向く。
紫「わかってるわ、霊夢。彼女たちにも話をするわ。場所を変えましょう」
◆
場所:渋谷QFRONTビルスターバックス(参考http://bit.ly/H19f7x)
人物:早苗、霊夢、紫、魔理沙、アリス、咲夜(左からこの順番に、窓際の席に座っている)
早苗と咲夜がみんなの分の飲み物を持ってくる。
早苗は両手に二つカップを持ち、咲夜はお盆に4つカップを乗せて持ってくる。
早苗「霊夢さん!オレンジブリュレフラペチーノです!豆乳もトッピングしてまろやかですよ~どうぞ!」
早苗はそう言いながら霊夢の隣の席に座る。
霊夢「……どうも」
はしゃいでいる早苗とは対照的に、咲夜は瀟洒(ルビ)な様子で淡々とカップをそれぞれの席に置く。
最後までカップを置き終わったら、咲夜はそのまま一番右の席に座る。
魔理沙「あれが落ちてくる。だからここの奴らは逃げた。それはわかった」
アリス「だから紫は私たちを呼び寄せたの?」
紫「違うわ。この国から人が出て行って、日本という国自体が忘れ去られて行くことによって、幻想郷と外の世界の境界があいまいになった。あなたたちは境界の穴が開いた部分から、こちらの世界に引き込まれたのよ」
咲夜「私と早苗は、博麗神社を訪ねていたときに霊夢と一緒に引きこまれたの。魔理沙たちは?」
魔理沙「魔法の森にいた」
霊夢「たまたまそこの境界が緩んでたのね」
早苗「運が悪かったですねー」
アリスが窓の外の隕石(ルビ)を見る。
アリス「……あれが落ちるとどうなるの?」
紫「……」
紫はうつむいて黙りこむ。
霊夢「紫」
霊夢が発言をうながす。
紫「……日本列島の95%は、衝突のエネルギーで粉々になるわ……」
魔理沙「……幻想郷は?」
紫「共に消滅するわ」
魔理沙は隕石(ルビ)をにらみつける。
魔理沙「幻想郷の他の奴らを紫の能力で呼べないか?」
紫「……残念だけど、私にはもうその力は残ってないの。私は幻想郷と共に生きる存在。この国が衰退し、幻想郷の存続が危うくなっている今、スキマでつなぐことはできないわ……」
アリス「魔理沙、何をするつもりなの?」
魔理沙「あれを破壊する」
紫「そんな……無理よ!」
魔理沙の脳裏に「お前には無理だ」と言っている父の姿(影がかかっている)が浮かぶ。
魔理沙「どうしてだよ!」
魔理沙は勢い良く席を立ち上がる。手を大きく広げ、全員に(暗に読者への含む)向かって語りかける。
魔理沙「まだ日本はあるじゃないか!まだできることはあるじゃないか!どうしてそれをやろうともせずに、あきらめてしまうんだよ!」(衰退した日本を立て直そうという読者へのメッセージ)
辺りがシーンと静まり返る。やがて、アリスが立ち上がり、すぅ、と手の平を上に向けて開く。ぽん、と一体の人形が出てくる。
咲夜「それは……?」
アリス「ゴリアテ人形よ」
早苗「ゴリアテ人形って、巨大ロボ並に大きかったじゃないですか!」
早苗の背後に巨大なゴリアテのビジョンが映る。
アリス「魔力で小型化してるの。魔力を開放すれば、元のサイズに戻るわ。……ゴリアテなら、あの隕石(ルビ)を押し返せるかもしれない」
魔理沙「アリス……!」
霊夢が立ち上がる。
霊夢「幻想郷がなくなっちゃあ巫女(ルビ)は商売上がったりだしね。私が結界を作って、この土地の霊力を集めてあげるわ。それなら足りるんじゃない?」
魔理沙「霊夢!」
早苗が突然立ち上がる。
早苗「私だって巫女(ルビ)です!霊夢さんのお手伝いくらい、できます!」
魔理沙「早苗」
咲夜が立ち上がる。
咲夜「隕石(ルビ)の周囲の時空間に干渉すれば、重力を弱めることができるから、多少は落下速度が落とせると思うわ」
魔理沙「咲夜!」
紫「あなたたち、本気で……」
霊夢「あんたも手伝いなさいよ。幻想郷が消えれば、あんたも一緒に消えちゃうんでしょう?たまには必死にあがいてみなさい。人間みたいにね」
魔理沙「力はなくても、知恵はあるだろう。それを貸してくれ、頼む」
紫「……」
紫はしばし考える。
紫「わかったわ。一つ案があるの。説明するから、外に出ましょう」
◆
場所:渋谷スクランブル交差点中央部分
人物:魔理沙、アリス、紫、咲夜、早苗、霊夢
状況:紫がみんなを連れて作戦会議。
巨大なゴリアテ人形がスクランブル交差点の中央にそびえ立っており、魔理沙たちはそのふもとにいる。
紫「ゴリアテで隕石を地球の重力圏外まで運ぶのは無理よ。だから、隕石を完全に破壊するしかない」
魔理沙「どうやって?」
紫「ゴリアテで隕石を大気圏まで押し返す。霊夢と早苗が展開した結界から土地の霊力を得れば、これは可能よ。その後、ゴリアテを爆破して、隕石を細かい破片にする。破片は大気圏の熱で燃え尽きる」
アリス「ちょっと待って。大気圏まではなんとか押し返せたとしても、ゴリアテを大江戸爆薬からくり人形みたいに爆破するのは無理よ」
紫はスキマを開き、そこに手を入れる。爆弾(http://bit.ly/sTqJ4G http://bit.ly/IEe7zp を参照)が取り出される。
早苗「ホンモノだ……!」
紫「日本中から火薬と爆発物をありったけ取り寄せるわ。充分足りるはずよ。点火は魔理沙のスペルカードでいける。派手にやってちょうだい」
紫は爆弾をスキマにぽいっ、と投げてしまう。早苗が爆発するのではないか、と驚く。
紫「私に残された力を使い切るわ。作業を終えたら、私は退場。あとは皆に任せるわ」
紫(全てを終えても、この子たちを外国に逃がすぐらいの力なら残る……)
アリス「隕石がやってくるのはいつになるの?」
紫「隕石は21時に大気圏を突入するわ」
咲夜「リハーサルしてる余裕はなさそうね」
霊夢「私と早苗が結界を展開し終えるのに必要な時間はどんなに長くても45分かな」
アリス「ゴリアテの調整には30分あれば充分よ」
魔理沙「私のスペカの準備は5分で終わるぜ」
咲夜「空間操作は隕石が実際に来ないとできないから、私には時間は要らないわ」
早苗は時計を見る。14:05だった。
早苗「……提案なんですけど、20時まで自由行動にしませんか?」
霊夢が早苗の方に振り向く。
早苗「いや、あの、そういう場合じゃないってのはわかってるんですけど、予行練習はそもそも無理だし、時間もあるし、20時まではは皆さん好きに過ごして、それから戻ってきてやればいいかなあと思って……」
魔理沙「早苗」
早苗「わ、私、ずっと東京に来たかったんです!!それがかなう前に幻想郷に移っちゃって……こんな形になっちゃったけど、最後かもしれないし、東京を見て回りたいんです……!」
咲夜がぽん、と早苗の頭をなでる。
咲夜「だったら、自由行動は19時までにして、19時から皆で一緒に食事をしましょう。私が食材を買ってくるわ。皆、それでいいかしら?」
皆はうなずく。
早苗「やったー!」
早苗は笑顔になって喜び、霊夢の片腕を両手を回して霊夢に抱きつく。
早苗「霊夢さん、原宿に行きましょう!行きたいお店があるんです!」
霊夢「え?ま、まあいいけど」
魔理沙「私はここにとどまるよ。アリスはどうする?」
アリス「私もそうするわ」
咲夜「これだけ建物が多ければ、いい食材も見つかりそうね」
紫「私は早速作業に入るわ……それと皆、両方の手のひらを前に出して」
皆は手のひらを前に出す(こうするhttp://bit.ly/HyA4ou)。スキマが開いて、iPhone4S(http://bit.ly/Q3MDe8 色はブラック)が皆の手のひらに落ちる。
早苗「スマホだ! ずっと欲しかったんです!」
(iPhoneの操作方法に関してはhttp://bit.ly/HMrrkB を参照)
紫「携帯型の通信機よ。画面の『連絡先』を押してみて」
アリス「画面がそのままボタンになってるの?面白いわね」
霊夢「皆の名前が入ってるわ」
紫「人の名前を押すと、その人の情報が出てくるわ。情報画面の11桁の数字を押せば、その人に通信できる。何か緊急の用件があれば、それを使って」
魔理沙「わかったぜ」
咲夜「それじゃあ、一旦解散と言うことで」
アリス「ええ。また後でね」
◆
霊夢と早苗:ラフォーレ原宿 とある店
早苗が霊夢に可愛い服を着せて楽しんでいる。
霊夢「……あんた、自分の服を見に来たんじゃなかったの?」
早苗は霊夢の話を聞いていない。
早苗「霊夢さんかわいいです!お持ち帰りしたいです!!」
霊夢はうっとおしそうな顔をする。
霊夢「あんたねぇ……ひゃっ!」
早苗が後ろからメジャーを回して霊夢のバストサイズを測ろうとする。
早苗「えー、トップが83……えっと、アンダーは……」
(殴るシーンは描かない)
早苗が霊夢にげんこつをくらって倒れている。
霊夢「なにすんのよっ!」
早苗「サラシだと型くずれしちゃうから、ブラジャーしないとだめですよぉ」
霊夢は早苗の手を取って、立ち上がるのを手伝う。
霊夢「余計なお世話よ!全く……」
霊夢の頭にある考えが浮かび、霊夢はニヤリと笑う。
霊夢「早苗、私ばっかりじゃ悪いから、あんたのも選んであげるわ」
(場所移動)
場所:更衣室
人物:下着姿(ブラジャーとパンツ)の早苗
状況:早苗が服を脱いで、霊夢が洋服を持ってくるのを待っている。
早苗「霊夢さ~んまだですか?寒いですよぉ」
霊夢「待たせたわね。はいこれ」
(早苗を映す。この時点では霊夢が持ってきた服は見せない構図にする)
早苗「これって……!」
場所:更衣室の外
人物:霊夢(服はさっき早苗が着せたもののまま)
状況:早苗をwktkして待っている
霊夢「着替え終わった?」
早苗「今出ます~」
更衣室のカーテンが開き、早苗が出てくる。
(ロリータ衣装の早苗の全身を縦半ページ使って映す。衣装は好みで、なるべく普通は着ないような不思議ちゃんが着るようなものを描く。他に描きたいのがあるならロリータじゃなくてもいい)
霊夢「よく似あってるわよぉ、早苗」
霊夢はニヤニヤしながら全身鏡を早苗の前に置く。
早苗「わ~……わたし、すてき……!」
霊夢「えっ」
早苗は霊夢の両手を握る。
早苗「私、ずっと自分に自信が持てなくて、無難なファッションばっかりだったんです……霊夢さんのおかげで、新しい自分が見つかった気がします!ファッションも常識に囚われてはいけないのですね!( ・`ヮ・´)」
霊夢「……ま、まあ、多少はね?」
早苗が霊夢の両肩に手を回して抱きつく。(こんな感じhttp://bit.ly/HCNOf6)
霊夢「ん」
早苗「……」
早苗が震えている。霊夢は早苗の髪をなでる。
霊夢「どうしたの、早苗」
早苗「わたし……霊夢さんと一緒に東京に来れて嬉しいです」
霊夢「私もよ」
早苗「でも……やっぱり違うんです。ここは私が来たかった東京じゃない……。ところどころに人がいて、電車が三分置きに走ってて、がやがやと騒がしい、そういうのが東京なんです」
霊夢「人がいるから国がある。人が想うから、国は続いていく。決して逆ではないわ」
早苗がぐすっ、ぐすっと泣き出す。
早苗「霊夢さん……わたし、霊夢さんが好きです。神奈子様も、諏訪子様も好きです。幻想郷が好きです。東京が、日本が好きです……この国を守りたいです……!」
霊夢「私も早苗のこと好きよ」
早苗の感情が爆発し、身体をがくがくと震わせながら大粒の涙をこぼす。
早苗「うっ、ひっぐ、うわああ……」
霊夢「私がついてるから。一緒に頑張りましょう、早苗」
スマホが鳴り、二人を呼び出す。しかし二人は電話に出ずに抱き合っている。
(抱き合っている二人を俯瞰しつつ、次第にカメラが遠のいていく。これによって、霊夢と早苗のシーンが終わったことを表現し、次の咲夜のシーンに映る)
場所:渋谷区東のスーパーライフ
人物:咲夜
概要:咲夜は食料と飲み物の調達に来ていた。
咲夜が買い物かごを持って、店内を歩いている。
かごの中には2リットル飲料水が3本、果物、豆腐、サラダのパックなど調理不要で食べられるものが入っている。
咲夜が人の姿を見つける。ジーンズを履いて、厚めの上着を着込んで、帽子を深くかぶっていた(万引きする高校生のイメージ。女性だが、ここでは中性的に描く)。
少女のかごにはチョコレート、シュークリーム、ケーキ、コーヒー牛乳など甘いもので山盛りにされていた。
咲夜「ちょっと、あなた……」
少女「なによ。『万引きするな』とでも言うつもり?」
少女は咲夜の方を振り向く。少女はまじまじと咲夜のいでたちを眺める。
少女「……コスプレ?東方の咲夜の?」
咲夜「……なぜ私の名を知ってるの?」
咲夜は落ち着いた表情で答える。少女はくすっ、と笑い出す。
少女「ははっ。まあいいんじゃない、そういうのも。最後だし」
少女は笑うが、すぐにその笑いは乾き、最後には沈んだ表情になる。
咲夜「あなたは……逃げ遅れてしまったの?」
少女「飛行機も船も、もう残ってない。どうやって国外に逃げろっていうのよ」
咲夜「……あなたはこれからどうするの?」
少女「友達のマンションで過ごすの。あそこはまだ水も電気も、ネットもつながってるし」
咲夜「……」
少女「最後だっていうのに、結局いつもとやることあんまり違わないんだ。あはは。……私の人生、何だったんだろうな……」
咲夜は少女に歩み寄り、腰を下ろして少女と同じ高さに目線をあわせる。
咲夜「私が隕石(ルビ)を止めるわ」
少女「……無理よ」
咲夜が少女の両手を握る。
咲夜「信じて」
しばらくの間。少女はうつむいてつぶやくように口を開く。
少女「……私、絵を描くのが好きなの。……だから、レミリアお嬢様や、パチュリーや、フラン様の絵を描くわ。そうすれば、咲夜も元気が出るでしょう」
咲夜は結んだ手を解いて、少女の頭を撫でる。
咲夜「ありがとう。描いたのは、後でぜひ見せてね」
スマホが鳴り、咲夜がすぐに出る。
咲夜「もしもし。……ん、大丈夫。これから戻るわ」
咲夜は電話を切る。
咲夜「そろそろ私、行かなきゃ」
少女「うん。咲夜、がんばってね」
咲夜「ありがとう。あなたもお友達と良い時間を過ごせますように」
咲夜は懐中時計を取り出す。
咲夜「ごきげんよう」
ふっ、と咲夜の姿が消える。少女は驚いてびくっと後ずさる。
少女「……本物!?」
(場面切り替え。ライフの外。咲夜は駅に向かって飛んでいる)
咲夜は懐中時計を開く。懐中時計をの蓋の裏に、レミリアの肖像画が描かれている(吸血鬼は写真に写らないため肖像画)
咲夜「お嬢様……私に力を貸してください」
場所:渋谷ハチ公前緑電車上(http://bit.ly/HkbRNA)
人物:魔理沙、アリス
状況:夕方。赤い日が周囲を照らしている。二人で並んで緑電車の上に座って語り合っている。
魔理沙「……アリスは、これでよかったのか?」
アリス「何が?」
魔理沙「逃げることだってできたのに」
アリス「これもみんなの為だからね。……魔理沙は、どうして逃げなかったの?」
魔理沙の表情がこわばる。
魔理沙「……大人はいつも、子供に対して偉そうなことを言う。自分たちは立派で、世の中を支えていると言う」
魔理沙は周囲を見る。誰もいない。
魔理沙「でもいざとなったらこの有様だ。自分たちの国が駄目になろうとしているのに、それに立ち向かおうとも、受け入れようともせずに逃げた。それがこの国の大人たちだ」
魔理沙は拳を握る。
魔理沙「……大人たちは『可能性が低い』と言うだろう。『あきらめろ』と言うだろう」
魔理沙はアリスの方を向く。
魔理沙「でもそうじゃないんだ!自分たちの居場所が駄目になろうとしている!私は最後まで、自分の生まれた場所を守るために、自分ができることをしたい!それだけなんだ……!」
アリスは震える魔理沙をきゅっと抱きしめる。
アリス「私は……『アリス・マーガトロイド』は、それでいいと思うし……そういう人は好きよ」
魔理沙「アリス……!」
アリス「あなたは独りじゃないわ。私がついてる」
魔理沙はアリスを抱きしめ返す。
アリスは抱き合ったまま空を見る。巨大な隕石が浮かんでいる。アリスはそれを厳しくにらみつける。
電話が鳴る。アリスはそれを握り締める。
◆
場所:渋谷スクランブル交差点中心
状況:地べたに絨毯を敷き(マルナン洋装生地から拝借)、みなで食事をし終わった。
人物:紫、早苗、霊夢、魔理沙、アリス、咲夜
モノローグ:19時30分
空になった土鍋、カセットコンロ、開封されたパックうどんの袋、野菜の欠片が残ったザル、おわんにいくつにも重なる鶏卵の殻、などを映す。(つまりすき焼きを食べたことがわかればいい。適度にGoogle画像検索を使う)
わずかに残った建物や街灯の明かりが、周囲を照らしている。
魔理沙はiPhoneを見る。
魔理沙「あと30分で20時か」
アリス「そうね……」
霊夢「何かやっておきたいことがあったら、今のうちにしといた方がいいわよ」
魔理沙は腕を組む。
魔理沙「そうは言ってもなあ……あっ」
アリス「どうしたの?」
魔理沙「髪を黒く染めたいなあ」
紫「それだと外の世界の人間たちとおそろいになるわね」
咲夜は先ほどであった少女のことを思い出す。
魔理沙「そうそう。本来日本人は黒髪ばっかりなんだろ? 私もそうしてみたくて」
早苗「ふっふっふ!こんなこともあろうかと!」
早苗はドヤ顔で黒のヘアーカラースプレーを取り出す。
(シーン切り替わり。)
早苗は魔理沙にスプレーを吹きつけて髪を黒く染めていく。
魔理沙「どっからもらってきたんだ?」
早苗「ちゃんとお金置いて来ましたよ!魔理沙さんじゃあるまいし!」
アリスと咲夜は距離を置いてそんな二人を眺めている。
咲夜「魔理沙って体型は典型的な外の世界の日本人よね」
アリス「染めたらもう見分けがつかないわ」
(魔理沙に視点が戻る)
魔理沙は手鏡で自分の顔と髪を見る。
魔理沙「おー!良い感じ!」
早苗「似合ってますよ~魔理沙さんかわいいです!」
霊夢「早苗。19時45分よ。そろそろ準備を始めるわ」
早苗は真剣な面持ちになる。
早苗「……はい」
魔理沙「……そろそろだな」
◆
場所:渋谷スクランブル交差点中心
状況:準備完了、隕石にまさに立ち向かうとき
人物:紫、早苗、霊夢、魔理沙、アリス、咲夜
(状況描写)
霊夢と早苗はスクランブル交差点の中央部分に手をつないで立っている。センター街は五芒星(http://bit.ly/LvvqZi)の結界が霊夢と早苗を中心として展開されており、周囲の霊力を効率良く集めている。五芒星の大きさはスクランブル交差点の白線の外側をちょうど包み込んでしまう程度。
霊夢・早苗の後方と結界の外側との間に魔理沙は立っている。位置的には霊夢・早苗の後ろに当たる。魔理沙は自分の周り16箇所に直径10cm程度の小型魔方陣を展開している。小型魔方陣の上1cmにはスペルカード・シュートザムーンが浮かんでおり、合図すれば即発動できる(イメージ:http://bit.ly/dgGmeX)
霊夢・早苗の前方と結界の外側との間にはアリスがおり、その眼前にはゴリアテ人形が立っている。ゴリアテの内部には大量の爆弾が詰まっている。隕石が一定の距離に近づいたら、ゴリアテを発動させる。
咲夜はアリスの前方、結界の外側ぎりぎりのラインにいる。
紫は魔理沙の後方、結界の外側ぎりぎりのラインにいる。
隕石に近い順に咲夜、アリス、霊夢・早苗、魔理沙、紫 となる。
(説明する描写はしないが、作戦は以下である。まず隕石が一定距離(大気圏を超えたところ)まで近づいたら、紫が合図をし、合図に従って咲夜が隕石付近の空間を歪め重力を逆転させ、隕石の落下を遅くする。直後、アリスはゴリアテを発動させ、隕石を大気圏外まで押し出す。大気圏まで押し返したら、魔理沙が16箇所全てのシュートザムーンを発動、ゴリアテもろとも隕石を攻撃し、ゴリアテの中に詰まった爆弾が大爆発を起こす。爆発の衝撃で隕石は砕け散り、破片は大気圏で燃え尽きる。これにより、隕石は大気圏に三度突入するので、効率良く隕石にダメージを与えることができる。霊夢と早苗はその間、霊力を五芒星の中に集中させ、全員が全力を出し続けられるようにサポートする。紫はすべての力を使いきっているので、計算に基づいて指示をすることに専念する。全員は距離があるのでiPhoneで連絡を取りあっている。iPhoneはアリスの持ってきた人形たちが皆の代わりに持ち、耳元に当てている)
咲夜「来た……!」
咲夜の眼前に大きく広がる赤く燃えた隕石。
表面は大気圏の大気に追突し、激しく燃え上がる。
アリス「紫、まだ?」
紫「まだよ。まだ早い……」
早苗「う、熱い……」
霊夢「早苗!気を抜かない!」
早苗「は、はいっ!」
結界の力が強まり、霊夢から紅、早苗から緑の光が出て結界全体を包む。
霊夢「まだなの、紫!?」
紫「まだよ」
周囲が夕焼けに照らされたように紅く染まっていく。
隕石はどんどん大きくなっていく。
魔理沙「紫、まだか!?」
紫「まだ……」
地面が割れて、コンクリートの破片が宙を浮かび始める。
おびただしい熱風が少女たちの服を揺らす。
紫「今よ、咲夜!」
咲夜「世界『ザ・ワールド』!!」
(http://bit.ly/lWd9cp 35秒ぐらいの時間静止演出を参考)
隕石の落下が止まる――が、すぐにゆっくりと落下が再開される。
咲夜「ううっ……さすがにこれだけ巨大だと……!」
紫「アリス、ゴリアテを出して!」
アリス「ゆけっゴリアテ!」
(アリスは左手薬指以外にマリオットリングをつけている。にがもん式アリス参考 http://bit.ly/J9E38u http://bit.ly/naY2vE)
アリスは両手を左右に動かすと、細い魔法の糸が光に反射して一瞬見え、ゴリアテがズズンとゆっくり発動する。ゴリアテはゆっくりと隕石に近づき、隕石に激突する。
アリス「行って!」
ゴリアテはゆっくりと隕石を押し返していく。隕石は再び大気圏に侵入し、激しく燃え上がる。
紫「魔理沙、撃って!」
魔理沙「光撃『シュート・ザ・ムーン』!」(イメージ:http://bit.ly/naY2vE)
16本の光の束が隕石とゴリアテ人形に向かって飛んでいく。光のうち数本がゴリアテに命中し、ゴリアテの内部の爆弾が大爆発を起こす。
魔理沙「うわっ!」
アリス「きゃっ!」
爆風が起こり、思わず全員が目を両手で覆う。
風が落ち着き、魔理沙が覆った手を離す。
魔理沙「……そんな」
隕石は割れていた。しかし、半分が大きな欠片になって、なお地表に向かってきていた。
紫「……失敗ね。爆発力が足りなかった……」
紫は隙間を作ろうと手を挙げる。
魔理沙「ふざけるな! まだだ、まだ終わってない!」
魔理沙が急に飛び立つ。
アリス「魔理沙!?」
アリスが魔理沙の後を追う。しかし、魔理沙のスピードにどんどん距離を離されていく。
魔理沙「恋符『マスタースパーク』!」
魔理沙がマスタースパークを撃つ。隕石の落下が弱まる。隕石が少しずつ崩れ始める。
魔理沙「このまま破壊し尽くしてやる……!」
紫は動かずに、魔理沙の放つマスタースパークを見つめている。
紫「魔理沙……」
(場面切り替え)
マンションの一室が映る。
「うっ……ううっ……」
すすり泣く少女の声が聞こえる。
「レミリア……フラン……美鈴……パチュリーに小悪魔……」
少女は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、とりつかれたようにペンタブで絵を描いている。
ディスプレイにはレミリア・フランドール・美鈴・パチュリー・小悪魔が集合した絵が描かれている。
「咲夜を助けてあげてよぉ……みんな……」
ディスプレイがわずかに紅く光る。
少女「……え?」
ディスプレイが紅く輝き始める!
少女「うわっ!」
(場面切り替え)
魔理沙「魔力が……!」
魔理沙の魔力が減り、マスタースパークが徐々に細くなっていく。マスタースパークがついには消える。隕石が魔理沙に向かって落ちてくる――
美鈴「気符『地龍天龍脚』!」(http://bit.ly/ISiiaM 1:20からの足技 元ネタ南斗獄屠拳http://bit.ly/KzQm29)
魔理沙「なにっ!」
美鈴の蹴りが隕石に命中する。美鈴の背中の上にはフランドールが乗っている。
フラン「ねえ美鈴、これって私がきゅっとしてドカーンしちゃおうか?」
美鈴は隕石を蹴り壊しながら答える。
美鈴「駄目ですお嬢様!!細かく砕かないと大きな破片が地面に落ちて大変なことになります!!!アチャー!!!」
フラン「ふ~ん……」
フランドールは美鈴の背中から離れる。
フラン「禁忌『フォーオブアカインド』!」
フランが四人に分裂する。
フラン「「「「じゃあちょっとずつ弾幕で壊すよ!」」」」
美鈴「よろしくお願いしまっす!!ほあちゃあ!」
(場面切り替え)
咲夜「美鈴!?なぜここに……ハッ!」
砕けた隕石のかけらが数個、咲夜に向かって飛んでくる。空間操作をしている咲夜には抗う術がない。
突如、紅い矢(http://bit.ly/KfcCeL)がかけら全てに突き刺さる。
レミリア「咲夜、ツメが甘いんじゃなくって?」
咲夜「お嬢様、なぜここに……!?」
パチュリーが魔導書を手に持って歩いて現れる。
小悪魔が後ろに伴って歩いてくる。
パチュリー「紅い光に誘われたの。火符『アグニシャイン』!」
火球が落ちてくる隕石を燃やし尽くす。
パチュリー「とても暖かくて……人の心って、ああいうものなのかしらね」
咲夜「人の心……?」
(場面切り替え)
早苗と霊夢の周囲に紅白い光が漂っている。
早苗「霊夢さん……!」
霊夢「ええ、わかってるわ。はるか遠くから、人の意志が集まってきてる」
紫「日本中から霊力が……?何が起こっていると言うの」
霊夢「これは……私達がこっちに引きこまれた力と同じ……?」
(場面切り替え)
同人ショップ。同人誌から、妖夢と幽々子が飛び出してくる。
(場面切り替え)
秋葉原改札前広告(参考http://bit.ly/Jbsjmo)。広告からさとりとこいしが飛び出してくる。
(場面切り替え)
道端に落ちているスマートフォン。射命丸とはたて、椛の動画が再生されている。三人が飛び出してくる。
(場面切り替え)
ビッグサイト(http://bit.ly/KJOnmp)様々なキャラが飛び出してくる。
(場面切り替え)
紫「こんなことが……!」
(多数のキャラが紫の背後から飛んできて集まってきている絵を2ページ使って描く)
萃香「勇儀!」
勇儀「あいよ!」
勇儀が萃香を隕石に向かって投げつける。萃香はパンチをする姿勢で隕石に激突し、隕石に大穴が空き、大量のかけらが飛んでくる。
幽香が傘を開く。傘の先端からレーザーが飛び、飛んできたかけらを粉々に砕く。
幽香「鬼は野蛮でエレガントさが足りないわね」
(場面切り替え)
天子「はぁっ!」
天子が地面を緋想の剣で貫くと、地面が盛り上がり破れ四本の尖った岩が出てきて、隕石に突き刺さる。隕石の動きが止まる。
天子「しばらく食い止めるから、後は誰か何とかしなさーいっ!」
魔理沙「隕石が止まった……!」
魔理沙は八卦炉を握り締める。
魔理沙「くそっ、マスタースパークさえもう一度使えれば……!」
(場面切り替え)
パチュリー「この結界は私が維持するわ……あなた達は他にやるべきことがあるでしょう?」
霊夢「恩に着るわ!」
霊夢と早苗は紫に駆け寄る。
紫「日本中の人の心の力が、集結している……!」
霊夢「紫。今すぐ魔理沙が持ってる通信機を、世界中につないで!」
早苗「ムービー機能で撮影した動画を、世界に共有するんです!紫さんならできるはず!」
霊夢「あんたが残しておいた力を使うのよ」
紫「霊夢……気づいてたの?」
霊夢「勘よ」
紫「やってみるわ」
紫は携帯で魔理沙に話しかける。
魔理沙「んっ」
魔理沙は携帯が鳴ってるのに気づいて出る。
紫「魔理沙、今からあなたの通信機で、世界中に語りかけられるようにするわ。今ここにあふれているのは、日本に残った人たちの意志の力。世界中に散らばった日本人たちの力を、あなたが集めるのよ」
魔理沙「わかった、つないでくれ!」
魔理沙「わっ」
魔理沙のiPhoneが大きくなり、iPadになる。地球の姿がiPadに移り、「全世界放映中」と映る。
紫「いいわよ、魔理沙!」
魔理沙「えー……聞こえるか?」
(場面切り替え)
台北・台北アリーナ(http://bit.ly/Jctly2)。台湾に避難していた蓮子とメリーは、ディスプレイに魔理沙が映るのを見る。
魔理沙「……今、私たちは日本に落ちてきた隕石を破壊しようとしている」
メリー「……あれは、幻想郷の住人……!」
蓮子「メリー、私のケータイにも映ってるわ!」
蓮子はiPhoneを取り出す。岩が突き刺さった隕石がでかでかと映る。
魔理沙「人は、一人では大きなことはできない。みんなはがゆい思いをしていると思う。……私もそうだ」
(場面切り替え)
インド、ニューデリー。
妖忌「失礼」
妖忌が近くにいた日本人ビジネスマンからiPhoneをかすめ取る。
魔理沙「それでも私たちは思い続けないといけない。私たちが望む何かに向かって」
妖夢が隕石を剣で弾いている姿がiPhoneに映る。妖忌はうっすらと微笑む。
妖忌「大きくなったな……」
日本人ビジネスマン「返してくださいよぉ~」
妖忌「もうちっと待ってくれ」
魔理沙「国というのは私たちの可能性だ。今、それが滅びようとしている」
(場面切り替え)
注意:アメリカは昼
ニューヨーク・自由の女神の麓
夢美(http://bit.ly/mswNWx)が座っており、浮かんだiPadを水平に眺めている。
夢美のマントが風でバタバタなびいている。
魔理沙「大それたものは要らない。今できるだけでいいんだ。私たちがまた、明日を目指していけるように、みんなの力を貸してくれ……!」
夢美「あの時の子が、言うようになったわねえ」
ちゆり(http://bit.ly/LFd6x4)が後ろから現れる。
ちゆり「……若干キャラがかぶってるんだぜ」
夢美が立ち上がる。
夢美「ちゆり、あれが見える?」
夢美がニューヨーク港の方角の空を指す(参考http://bit.ly/KCzDvf)。紅白い光が空をゆっくり伝ってふわふわと飛んでいる。
ちゆり「あれが、人の意志の力?」
夢美「そうよ。生命と世界を慈しむ心の力」
(場面切り替え)
視点が宇宙に映る。(http://bit.ly/KCAFav)
地球の様々な地点から、紅白い光が東京に集まっていく。
視点がズームアップして、日本が映る。(http://bit.ly/akjpja)
視点がズームアップして、東京が映る。
視点がズームアップして、魔理沙が映る。
魔理沙の体が紅白く光る。
魔理沙「来たっー!!!」
魔理沙はミニ八卦炉を隕石に向ける。
魔理沙「今回は私がやる。次からは、自分たちでこの国を守っていくんだぜ……!」
魔理沙「魔砲『ファイナルマスタースパーク』」
紅白いマスタースパークが隕石に突き刺さる。
魔理沙「ちいっ!」
衝撃の強さで、魔理沙の服がところどころ破れ、肌に切り傷がつく。
魔理沙「聖みたいに身体を強化しておけばよかったかな。これが終わるまででいい、もってくれよ……!」
衝撃はますます強くなり、魔理沙は反動で吹き飛ばされる。
魔理沙「うわっ!」
後ろにいたアリスが魔理沙を抱き止める。
魔理沙「アリス!」
アリス「まったく、ずいぶんと力任せな弾幕だこと。所詮、あなたは野魔法使いね」
魔理沙「ふふん、温室魔法使いよりはよくないか?」
アリス「都会派魔法使いよ」
二人は顔をあわせて笑う。
魔理沙「さあアリス、さっさとこの異変を解決しちまおう」
アリス「ええ。研究の続きをしたいものね」
アリスは魔理沙の後ろで肩の上から手を出して、八卦炉と魔理沙を支える。
マスタースパークの出力はさらに強くなる。
ついに、隕石をマスタースパークが貫き、大爆発を起こす。
魔理沙「やったのか!?」
爆発で生じた激しい発光が周囲を包む。
魔理沙「あ……光が!……広がっていく……」
(画面真っ白)
◆
場所:幻想郷、魔法の森
状況:光に吸い込まれて少しの間気を失っていた魔理沙とアリス。魔理沙はアリスの上に乗っかっている。
魔理沙(ここは……?幻想郷に戻ってきたのか……?)
「魔理沙……」魔理沙の下から声がする。魔理沙が下を向くと、アリスがいた。魔理沙はアリスの上に乗っかっていたのだ。そして魔理沙の手はアリスの間違いなく美乳でCカップの胸に置かれていた。アリスは恥じらいの表情を浮かべ、顔を赤らめる。
アリス「……あんたわざとでしょ」
魔理沙「違うって」魔理沙はアリスの胸を軽くもむ。ぷにっと音がして、アリスが「ひゃんっ!」と思わず大きな声をあげる。
アリス「揉むなぁっ!」アリスは魔理沙を殴る。
紫「おーっほっほっほ!!」
紫がどこからともなく盛大に現れる。
魔理沙とアリスはハイテンションな紫をポカンと眺めている。
アリス「紫……よね?」
紫「あら、そうですわよ。タヌキかキツネに見えて?」
魔理沙「隕石はどうなったんだ」
紫「かんっぜんに!粉々になったわ!お陰で私の力も元に戻ったことですわよ!」
紫は力が戻ったと言わんばかりにところどころに隙間を開けてみせる。
魔理沙「しかし」
紫が手で魔理沙の言をさえぎる。そして、落ち着いた表情と口調で話し始める。
紫「確かに、隕石の接近で東京の建物の半分以上が使い物にならなくなった。それ以前の集団国外移住の影響も大きいから、復興には何十年もかかるでしょうね。……でも、それは大したことじゃないわ。今の外の人間の技術があれば乗り越えられる。その意志も十分見せてもらったことですし」
紫は隙間に下半身を入れる。
紫「私は結界の修復作業があるから、これで。あなた達もお疲れ様。そこで存分にいちゃついてていいわよ」
アリス「いちゃつかないわよっ!」
アリスが顔を赤くして答える。
紫は隙間の中の暗い空間で考える。
(幻想郷は外の世界から忘れられたモノたちが行き着く場所。この国から忘れ去られた者たちが、外の世界の危機を救った……あの子たちが呼び出されたのは必然だったのかもしれない)
魔理沙、アリス、咲夜、早苗、霊夢が日常に戻っていく様子を描きつつ、モノローグを入れる。
「日本は救われた」
「しかし、東京の半壊と長期間の経済活動の中止により、日本経済は完全に破綻した」
「今後、日本国民は長い間苦難の時を過ごすことになる」
「それでも大多数の人は、活力にあふれていた」
「あの光を見たから」
「自分たちが世界を大切にできることを知ったから――」
(終わり)
重く、暗く、深い男性の声。
「お前には無理だ」「お前にはできない」「あきらめておとなしく――」
――
「やめろ!」
魔理沙はベッドから飛び起きる。
周囲を二、三回見渡して、先ほどの声が夢であることに気づいた。
「親父め……」
魔理沙はぐい、とシーツを握りしめ、既に顔もあまり覚えていない父を思い出して顔をしかめた。
寝室の扉が急に開かれる。
「魔理沙、どうしたの!? すごいうなされてたわよ」
「アリス?」
魔理沙は突如現れたアリスを不思議そうに眺める。
(ああそうか、今はアリスと魔法の共同研究をしてるんだった……)
魔理沙はすぐに思い出す。魔法の共同研究のためにアリスが魔理沙の家に泊りに来ていたのだ。
「朝食できてるわよ。すぐに来られそう?」
「うん、行くよ」
魔理沙はベッドから立ち上がり、アリスとすれ違って扉を出る。
アリスは魔理沙を見送りながら、心配そうな表情をする。
(魔理沙……)
朝食を食べた後、二人は魔法の森に実験の材料を探しに出かけた。
二人は薄暗い獣道を歩いている。
「研究に必要な材料がすぐに手に入るのが、魔法の森に住むメリットだよな」
「そうね」
アリスが何かに気づく。
「魔理沙、あれは……?」
魔理沙はアリスが指す方向を見る。空間に大きな隙間が開いている。隙間の先は暗く、混沌としてどこにつながっているのかわからない。
「紫の仕業か……?」
魔理沙が隙間に近づく。
「うわっ!」
突如、魔理沙が隙間に吸い寄せられる。アリスはとっさに魔理沙の腕をつかむ。
「魔理沙!」
吸い込む力は徐々に強くなり、二人はじりじりと隙間に引き寄せられていく。
「アリス、手を離せ!」
「何言ってるの!」
ついに二人の足は地面から離れ、隙間の中に二人の身体は吸い込まれる。
◆
魔理沙は目を覚まし、起き上がる。魔理沙の視界に、外の世界の日本の都市の光景が映る(http://bit.ly/GPa8FD、渋谷。魔理沙たちはスクランブル交差点の中央(http://bit.ly/RSL3IA、ストリートビュー)に落ちた)
(数コマの間、JR渋谷駅ハチ公口(http://bit.ly/H0hqDL)、QFRONTビル&大盛堂書店ビル(http://bit.ly/K25DDU)、109(http://bit.ly/GLrZIJ)、を映す。読者に「ここは外の世界」と認識させる)
魔理沙(ここは……?幻想郷にこんな場所が……?)
「魔理沙……」魔理沙の下から声がする。魔理沙が下を向くと、アリスがいた。魔理沙はアリスの上に乗っかっていたのだ。そして魔理沙の手はアリスの間違いなく美乳でCカップの胸に置かれていた。アリスは恥じらいの表情を浮かべ、顔を赤らめる。
魔理沙「アリス……怪我ないか?」
魔理沙は特に驚くことなく、アリスを見つめている。
アリス「大丈夫……それより、手をどけて……」アリスはさらに顔を赤らめる。
魔理沙(かわいい)
魔理沙はアリスの胸を軽くもむ。ぷにっと音がして、アリスが「ひゃんっ!」と思わず大きな声をあげる。
魔理沙「元気そうだな」
アリス「ばかぁ!」アリスは真っ赤になった顔を腕で隠しながらそう言った。
「あなた達もこっちに来たのね」声が聞こえる。魔理沙は立ち上がって、声のする方を向く。
魔理沙「紫か」
紫が日傘を持ってアリスも立ち上がり、紫に問いかける。
アリス「紫、ここはどこなの?あなたならわかるでしょう」
紫「ここは外の世界よ」
魔理沙が突如空に飛び上がる。渋谷スクランブル交差点の俯瞰(ルビ)(http://bit.ly/H0Gmtz)が映る。平日の昼間なのに、人が一人もいない。紫とアリスが空を飛んで追ってくる。
魔理沙「たいそうな建物が並んでるが、人っ子一人いないのはどういうことだ?」
紫が悲しそうな顔をする。紫はすっと、空に向かって手をあげ、指差す。魔理沙は紫が指さしている方向を見上げる。
(こんな感じでおっきい星が空に見えるhttp://bit.ly/Q3Mp6O)
魔理沙「うわっ!な、なんなんだよあのでっかい星は!」
魔理沙が空中を後退りしながらそう言った。
「隕石(ルビ)よ」背後から声が聞こえる。霊夢が早苗と咲夜を連れて飛び近づいてきていた。
魔理沙「霊夢に、早苗。それに咲夜」
(霊夢、早苗、咲夜にそれぞれ一こま使い、そのコマで魔理沙がそのキャラの名前を呼ぶ。こうすることによって、東方を知らない人でも、名前とキャラの対応が瞬時に理解できる)
三人が空中に静止する。
早苗「あれが落ちてくる、って大騒ぎになって、ほとんどの人は逃げちゃったみたいです」
咲夜「私達もここに来たのはついさっきだから、紫からの伝聞だけどね」
魔理沙「私達は変なスキマに吸い寄せられてこっちに来たんだぜ」
アリス「スキマ……呼び出したのは紫、貴女なの?」
霊夢「紫」
紫は霊夢の方を向く。
紫「わかってるわ、霊夢。彼女たちにも話をするわ。場所を変えましょう」
◆
場所:渋谷QFRONTビルスターバックス(参考http://bit.ly/H19f7x)
人物:早苗、霊夢、紫、魔理沙、アリス、咲夜(左からこの順番に、窓際の席に座っている)
早苗と咲夜がみんなの分の飲み物を持ってくる。
早苗は両手に二つカップを持ち、咲夜はお盆に4つカップを乗せて持ってくる。
早苗「霊夢さん!オレンジブリュレフラペチーノです!豆乳もトッピングしてまろやかですよ~どうぞ!」
早苗はそう言いながら霊夢の隣の席に座る。
霊夢「……どうも」
はしゃいでいる早苗とは対照的に、咲夜は瀟洒(ルビ)な様子で淡々とカップをそれぞれの席に置く。
最後までカップを置き終わったら、咲夜はそのまま一番右の席に座る。
魔理沙「あれが落ちてくる。だからここの奴らは逃げた。それはわかった」
アリス「だから紫は私たちを呼び寄せたの?」
紫「違うわ。この国から人が出て行って、日本という国自体が忘れ去られて行くことによって、幻想郷と外の世界の境界があいまいになった。あなたたちは境界の穴が開いた部分から、こちらの世界に引き込まれたのよ」
咲夜「私と早苗は、博麗神社を訪ねていたときに霊夢と一緒に引きこまれたの。魔理沙たちは?」
魔理沙「魔法の森にいた」
霊夢「たまたまそこの境界が緩んでたのね」
早苗「運が悪かったですねー」
アリスが窓の外の隕石(ルビ)を見る。
アリス「……あれが落ちるとどうなるの?」
紫「……」
紫はうつむいて黙りこむ。
霊夢「紫」
霊夢が発言をうながす。
紫「……日本列島の95%は、衝突のエネルギーで粉々になるわ……」
魔理沙「……幻想郷は?」
紫「共に消滅するわ」
魔理沙は隕石(ルビ)をにらみつける。
魔理沙「幻想郷の他の奴らを紫の能力で呼べないか?」
紫「……残念だけど、私にはもうその力は残ってないの。私は幻想郷と共に生きる存在。この国が衰退し、幻想郷の存続が危うくなっている今、スキマでつなぐことはできないわ……」
アリス「魔理沙、何をするつもりなの?」
魔理沙「あれを破壊する」
紫「そんな……無理よ!」
魔理沙の脳裏に「お前には無理だ」と言っている父の姿(影がかかっている)が浮かぶ。
魔理沙「どうしてだよ!」
魔理沙は勢い良く席を立ち上がる。手を大きく広げ、全員に(暗に読者への含む)向かって語りかける。
魔理沙「まだ日本はあるじゃないか!まだできることはあるじゃないか!どうしてそれをやろうともせずに、あきらめてしまうんだよ!」(衰退した日本を立て直そうという読者へのメッセージ)
辺りがシーンと静まり返る。やがて、アリスが立ち上がり、すぅ、と手の平を上に向けて開く。ぽん、と一体の人形が出てくる。
咲夜「それは……?」
アリス「ゴリアテ人形よ」
早苗「ゴリアテ人形って、巨大ロボ並に大きかったじゃないですか!」
早苗の背後に巨大なゴリアテのビジョンが映る。
アリス「魔力で小型化してるの。魔力を開放すれば、元のサイズに戻るわ。……ゴリアテなら、あの隕石(ルビ)を押し返せるかもしれない」
魔理沙「アリス……!」
霊夢が立ち上がる。
霊夢「幻想郷がなくなっちゃあ巫女(ルビ)は商売上がったりだしね。私が結界を作って、この土地の霊力を集めてあげるわ。それなら足りるんじゃない?」
魔理沙「霊夢!」
早苗が突然立ち上がる。
早苗「私だって巫女(ルビ)です!霊夢さんのお手伝いくらい、できます!」
魔理沙「早苗」
咲夜が立ち上がる。
咲夜「隕石(ルビ)の周囲の時空間に干渉すれば、重力を弱めることができるから、多少は落下速度が落とせると思うわ」
魔理沙「咲夜!」
紫「あなたたち、本気で……」
霊夢「あんたも手伝いなさいよ。幻想郷が消えれば、あんたも一緒に消えちゃうんでしょう?たまには必死にあがいてみなさい。人間みたいにね」
魔理沙「力はなくても、知恵はあるだろう。それを貸してくれ、頼む」
紫「……」
紫はしばし考える。
紫「わかったわ。一つ案があるの。説明するから、外に出ましょう」
◆
場所:渋谷スクランブル交差点中央部分
人物:魔理沙、アリス、紫、咲夜、早苗、霊夢
状況:紫がみんなを連れて作戦会議。
巨大なゴリアテ人形がスクランブル交差点の中央にそびえ立っており、魔理沙たちはそのふもとにいる。
紫「ゴリアテで隕石を地球の重力圏外まで運ぶのは無理よ。だから、隕石を完全に破壊するしかない」
魔理沙「どうやって?」
紫「ゴリアテで隕石を大気圏まで押し返す。霊夢と早苗が展開した結界から土地の霊力を得れば、これは可能よ。その後、ゴリアテを爆破して、隕石を細かい破片にする。破片は大気圏の熱で燃え尽きる」
アリス「ちょっと待って。大気圏まではなんとか押し返せたとしても、ゴリアテを大江戸爆薬からくり人形みたいに爆破するのは無理よ」
紫はスキマを開き、そこに手を入れる。爆弾(http://bit.ly/sTqJ4G http://bit.ly/IEe7zp を参照)が取り出される。
早苗「ホンモノだ……!」
紫「日本中から火薬と爆発物をありったけ取り寄せるわ。充分足りるはずよ。点火は魔理沙のスペルカードでいける。派手にやってちょうだい」
紫は爆弾をスキマにぽいっ、と投げてしまう。早苗が爆発するのではないか、と驚く。
紫「私に残された力を使い切るわ。作業を終えたら、私は退場。あとは皆に任せるわ」
紫(全てを終えても、この子たちを外国に逃がすぐらいの力なら残る……)
アリス「隕石がやってくるのはいつになるの?」
紫「隕石は21時に大気圏を突入するわ」
咲夜「リハーサルしてる余裕はなさそうね」
霊夢「私と早苗が結界を展開し終えるのに必要な時間はどんなに長くても45分かな」
アリス「ゴリアテの調整には30分あれば充分よ」
魔理沙「私のスペカの準備は5分で終わるぜ」
咲夜「空間操作は隕石が実際に来ないとできないから、私には時間は要らないわ」
早苗は時計を見る。14:05だった。
早苗「……提案なんですけど、20時まで自由行動にしませんか?」
霊夢が早苗の方に振り向く。
早苗「いや、あの、そういう場合じゃないってのはわかってるんですけど、予行練習はそもそも無理だし、時間もあるし、20時まではは皆さん好きに過ごして、それから戻ってきてやればいいかなあと思って……」
魔理沙「早苗」
早苗「わ、私、ずっと東京に来たかったんです!!それがかなう前に幻想郷に移っちゃって……こんな形になっちゃったけど、最後かもしれないし、東京を見て回りたいんです……!」
咲夜がぽん、と早苗の頭をなでる。
咲夜「だったら、自由行動は19時までにして、19時から皆で一緒に食事をしましょう。私が食材を買ってくるわ。皆、それでいいかしら?」
皆はうなずく。
早苗「やったー!」
早苗は笑顔になって喜び、霊夢の片腕を両手を回して霊夢に抱きつく。
早苗「霊夢さん、原宿に行きましょう!行きたいお店があるんです!」
霊夢「え?ま、まあいいけど」
魔理沙「私はここにとどまるよ。アリスはどうする?」
アリス「私もそうするわ」
咲夜「これだけ建物が多ければ、いい食材も見つかりそうね」
紫「私は早速作業に入るわ……それと皆、両方の手のひらを前に出して」
皆は手のひらを前に出す(こうするhttp://bit.ly/HyA4ou)。スキマが開いて、iPhone4S(http://bit.ly/Q3MDe8 色はブラック)が皆の手のひらに落ちる。
早苗「スマホだ! ずっと欲しかったんです!」
(iPhoneの操作方法に関してはhttp://bit.ly/HMrrkB を参照)
紫「携帯型の通信機よ。画面の『連絡先』を押してみて」
アリス「画面がそのままボタンになってるの?面白いわね」
霊夢「皆の名前が入ってるわ」
紫「人の名前を押すと、その人の情報が出てくるわ。情報画面の11桁の数字を押せば、その人に通信できる。何か緊急の用件があれば、それを使って」
魔理沙「わかったぜ」
咲夜「それじゃあ、一旦解散と言うことで」
アリス「ええ。また後でね」
◆
霊夢と早苗:ラフォーレ原宿 とある店
早苗が霊夢に可愛い服を着せて楽しんでいる。
霊夢「……あんた、自分の服を見に来たんじゃなかったの?」
早苗は霊夢の話を聞いていない。
早苗「霊夢さんかわいいです!お持ち帰りしたいです!!」
霊夢はうっとおしそうな顔をする。
霊夢「あんたねぇ……ひゃっ!」
早苗が後ろからメジャーを回して霊夢のバストサイズを測ろうとする。
早苗「えー、トップが83……えっと、アンダーは……」
(殴るシーンは描かない)
早苗が霊夢にげんこつをくらって倒れている。
霊夢「なにすんのよっ!」
早苗「サラシだと型くずれしちゃうから、ブラジャーしないとだめですよぉ」
霊夢は早苗の手を取って、立ち上がるのを手伝う。
霊夢「余計なお世話よ!全く……」
霊夢の頭にある考えが浮かび、霊夢はニヤリと笑う。
霊夢「早苗、私ばっかりじゃ悪いから、あんたのも選んであげるわ」
(場所移動)
場所:更衣室
人物:下着姿(ブラジャーとパンツ)の早苗
状況:早苗が服を脱いで、霊夢が洋服を持ってくるのを待っている。
早苗「霊夢さ~んまだですか?寒いですよぉ」
霊夢「待たせたわね。はいこれ」
(早苗を映す。この時点では霊夢が持ってきた服は見せない構図にする)
早苗「これって……!」
場所:更衣室の外
人物:霊夢(服はさっき早苗が着せたもののまま)
状況:早苗をwktkして待っている
霊夢「着替え終わった?」
早苗「今出ます~」
更衣室のカーテンが開き、早苗が出てくる。
(ロリータ衣装の早苗の全身を縦半ページ使って映す。衣装は好みで、なるべく普通は着ないような不思議ちゃんが着るようなものを描く。他に描きたいのがあるならロリータじゃなくてもいい)
霊夢「よく似あってるわよぉ、早苗」
霊夢はニヤニヤしながら全身鏡を早苗の前に置く。
早苗「わ~……わたし、すてき……!」
霊夢「えっ」
早苗は霊夢の両手を握る。
早苗「私、ずっと自分に自信が持てなくて、無難なファッションばっかりだったんです……霊夢さんのおかげで、新しい自分が見つかった気がします!ファッションも常識に囚われてはいけないのですね!( ・`ヮ・´)」
霊夢「……ま、まあ、多少はね?」
早苗が霊夢の両肩に手を回して抱きつく。(こんな感じhttp://bit.ly/HCNOf6)
霊夢「ん」
早苗「……」
早苗が震えている。霊夢は早苗の髪をなでる。
霊夢「どうしたの、早苗」
早苗「わたし……霊夢さんと一緒に東京に来れて嬉しいです」
霊夢「私もよ」
早苗「でも……やっぱり違うんです。ここは私が来たかった東京じゃない……。ところどころに人がいて、電車が三分置きに走ってて、がやがやと騒がしい、そういうのが東京なんです」
霊夢「人がいるから国がある。人が想うから、国は続いていく。決して逆ではないわ」
早苗がぐすっ、ぐすっと泣き出す。
早苗「霊夢さん……わたし、霊夢さんが好きです。神奈子様も、諏訪子様も好きです。幻想郷が好きです。東京が、日本が好きです……この国を守りたいです……!」
霊夢「私も早苗のこと好きよ」
早苗の感情が爆発し、身体をがくがくと震わせながら大粒の涙をこぼす。
早苗「うっ、ひっぐ、うわああ……」
霊夢「私がついてるから。一緒に頑張りましょう、早苗」
スマホが鳴り、二人を呼び出す。しかし二人は電話に出ずに抱き合っている。
(抱き合っている二人を俯瞰しつつ、次第にカメラが遠のいていく。これによって、霊夢と早苗のシーンが終わったことを表現し、次の咲夜のシーンに映る)
場所:渋谷区東のスーパーライフ
人物:咲夜
概要:咲夜は食料と飲み物の調達に来ていた。
咲夜が買い物かごを持って、店内を歩いている。
かごの中には2リットル飲料水が3本、果物、豆腐、サラダのパックなど調理不要で食べられるものが入っている。
咲夜が人の姿を見つける。ジーンズを履いて、厚めの上着を着込んで、帽子を深くかぶっていた(万引きする高校生のイメージ。女性だが、ここでは中性的に描く)。
少女のかごにはチョコレート、シュークリーム、ケーキ、コーヒー牛乳など甘いもので山盛りにされていた。
咲夜「ちょっと、あなた……」
少女「なによ。『万引きするな』とでも言うつもり?」
少女は咲夜の方を振り向く。少女はまじまじと咲夜のいでたちを眺める。
少女「……コスプレ?東方の咲夜の?」
咲夜「……なぜ私の名を知ってるの?」
咲夜は落ち着いた表情で答える。少女はくすっ、と笑い出す。
少女「ははっ。まあいいんじゃない、そういうのも。最後だし」
少女は笑うが、すぐにその笑いは乾き、最後には沈んだ表情になる。
咲夜「あなたは……逃げ遅れてしまったの?」
少女「飛行機も船も、もう残ってない。どうやって国外に逃げろっていうのよ」
咲夜「……あなたはこれからどうするの?」
少女「友達のマンションで過ごすの。あそこはまだ水も電気も、ネットもつながってるし」
咲夜「……」
少女「最後だっていうのに、結局いつもとやることあんまり違わないんだ。あはは。……私の人生、何だったんだろうな……」
咲夜は少女に歩み寄り、腰を下ろして少女と同じ高さに目線をあわせる。
咲夜「私が隕石(ルビ)を止めるわ」
少女「……無理よ」
咲夜が少女の両手を握る。
咲夜「信じて」
しばらくの間。少女はうつむいてつぶやくように口を開く。
少女「……私、絵を描くのが好きなの。……だから、レミリアお嬢様や、パチュリーや、フラン様の絵を描くわ。そうすれば、咲夜も元気が出るでしょう」
咲夜は結んだ手を解いて、少女の頭を撫でる。
咲夜「ありがとう。描いたのは、後でぜひ見せてね」
スマホが鳴り、咲夜がすぐに出る。
咲夜「もしもし。……ん、大丈夫。これから戻るわ」
咲夜は電話を切る。
咲夜「そろそろ私、行かなきゃ」
少女「うん。咲夜、がんばってね」
咲夜「ありがとう。あなたもお友達と良い時間を過ごせますように」
咲夜は懐中時計を取り出す。
咲夜「ごきげんよう」
ふっ、と咲夜の姿が消える。少女は驚いてびくっと後ずさる。
少女「……本物!?」
(場面切り替え。ライフの外。咲夜は駅に向かって飛んでいる)
咲夜は懐中時計を開く。懐中時計をの蓋の裏に、レミリアの肖像画が描かれている(吸血鬼は写真に写らないため肖像画)
咲夜「お嬢様……私に力を貸してください」
場所:渋谷ハチ公前緑電車上(http://bit.ly/HkbRNA)
人物:魔理沙、アリス
状況:夕方。赤い日が周囲を照らしている。二人で並んで緑電車の上に座って語り合っている。
魔理沙「……アリスは、これでよかったのか?」
アリス「何が?」
魔理沙「逃げることだってできたのに」
アリス「これもみんなの為だからね。……魔理沙は、どうして逃げなかったの?」
魔理沙の表情がこわばる。
魔理沙「……大人はいつも、子供に対して偉そうなことを言う。自分たちは立派で、世の中を支えていると言う」
魔理沙は周囲を見る。誰もいない。
魔理沙「でもいざとなったらこの有様だ。自分たちの国が駄目になろうとしているのに、それに立ち向かおうとも、受け入れようともせずに逃げた。それがこの国の大人たちだ」
魔理沙は拳を握る。
魔理沙「……大人たちは『可能性が低い』と言うだろう。『あきらめろ』と言うだろう」
魔理沙はアリスの方を向く。
魔理沙「でもそうじゃないんだ!自分たちの居場所が駄目になろうとしている!私は最後まで、自分の生まれた場所を守るために、自分ができることをしたい!それだけなんだ……!」
アリスは震える魔理沙をきゅっと抱きしめる。
アリス「私は……『アリス・マーガトロイド』は、それでいいと思うし……そういう人は好きよ」
魔理沙「アリス……!」
アリス「あなたは独りじゃないわ。私がついてる」
魔理沙はアリスを抱きしめ返す。
アリスは抱き合ったまま空を見る。巨大な隕石が浮かんでいる。アリスはそれを厳しくにらみつける。
電話が鳴る。アリスはそれを握り締める。
◆
場所:渋谷スクランブル交差点中心
状況:地べたに絨毯を敷き(マルナン洋装生地から拝借)、みなで食事をし終わった。
人物:紫、早苗、霊夢、魔理沙、アリス、咲夜
モノローグ:19時30分
空になった土鍋、カセットコンロ、開封されたパックうどんの袋、野菜の欠片が残ったザル、おわんにいくつにも重なる鶏卵の殻、などを映す。(つまりすき焼きを食べたことがわかればいい。適度にGoogle画像検索を使う)
わずかに残った建物や街灯の明かりが、周囲を照らしている。
魔理沙はiPhoneを見る。
魔理沙「あと30分で20時か」
アリス「そうね……」
霊夢「何かやっておきたいことがあったら、今のうちにしといた方がいいわよ」
魔理沙は腕を組む。
魔理沙「そうは言ってもなあ……あっ」
アリス「どうしたの?」
魔理沙「髪を黒く染めたいなあ」
紫「それだと外の世界の人間たちとおそろいになるわね」
咲夜は先ほどであった少女のことを思い出す。
魔理沙「そうそう。本来日本人は黒髪ばっかりなんだろ? 私もそうしてみたくて」
早苗「ふっふっふ!こんなこともあろうかと!」
早苗はドヤ顔で黒のヘアーカラースプレーを取り出す。
(シーン切り替わり。)
早苗は魔理沙にスプレーを吹きつけて髪を黒く染めていく。
魔理沙「どっからもらってきたんだ?」
早苗「ちゃんとお金置いて来ましたよ!魔理沙さんじゃあるまいし!」
アリスと咲夜は距離を置いてそんな二人を眺めている。
咲夜「魔理沙って体型は典型的な外の世界の日本人よね」
アリス「染めたらもう見分けがつかないわ」
(魔理沙に視点が戻る)
魔理沙は手鏡で自分の顔と髪を見る。
魔理沙「おー!良い感じ!」
早苗「似合ってますよ~魔理沙さんかわいいです!」
霊夢「早苗。19時45分よ。そろそろ準備を始めるわ」
早苗は真剣な面持ちになる。
早苗「……はい」
魔理沙「……そろそろだな」
◆
場所:渋谷スクランブル交差点中心
状況:準備完了、隕石にまさに立ち向かうとき
人物:紫、早苗、霊夢、魔理沙、アリス、咲夜
(状況描写)
霊夢と早苗はスクランブル交差点の中央部分に手をつないで立っている。センター街は五芒星(http://bit.ly/LvvqZi)の結界が霊夢と早苗を中心として展開されており、周囲の霊力を効率良く集めている。五芒星の大きさはスクランブル交差点の白線の外側をちょうど包み込んでしまう程度。
霊夢・早苗の後方と結界の外側との間に魔理沙は立っている。位置的には霊夢・早苗の後ろに当たる。魔理沙は自分の周り16箇所に直径10cm程度の小型魔方陣を展開している。小型魔方陣の上1cmにはスペルカード・シュートザムーンが浮かんでおり、合図すれば即発動できる(イメージ:http://bit.ly/dgGmeX)
霊夢・早苗の前方と結界の外側との間にはアリスがおり、その眼前にはゴリアテ人形が立っている。ゴリアテの内部には大量の爆弾が詰まっている。隕石が一定の距離に近づいたら、ゴリアテを発動させる。
咲夜はアリスの前方、結界の外側ぎりぎりのラインにいる。
紫は魔理沙の後方、結界の外側ぎりぎりのラインにいる。
隕石に近い順に咲夜、アリス、霊夢・早苗、魔理沙、紫 となる。
(説明する描写はしないが、作戦は以下である。まず隕石が一定距離(大気圏を超えたところ)まで近づいたら、紫が合図をし、合図に従って咲夜が隕石付近の空間を歪め重力を逆転させ、隕石の落下を遅くする。直後、アリスはゴリアテを発動させ、隕石を大気圏外まで押し出す。大気圏まで押し返したら、魔理沙が16箇所全てのシュートザムーンを発動、ゴリアテもろとも隕石を攻撃し、ゴリアテの中に詰まった爆弾が大爆発を起こす。爆発の衝撃で隕石は砕け散り、破片は大気圏で燃え尽きる。これにより、隕石は大気圏に三度突入するので、効率良く隕石にダメージを与えることができる。霊夢と早苗はその間、霊力を五芒星の中に集中させ、全員が全力を出し続けられるようにサポートする。紫はすべての力を使いきっているので、計算に基づいて指示をすることに専念する。全員は距離があるのでiPhoneで連絡を取りあっている。iPhoneはアリスの持ってきた人形たちが皆の代わりに持ち、耳元に当てている)
咲夜「来た……!」
咲夜の眼前に大きく広がる赤く燃えた隕石。
表面は大気圏の大気に追突し、激しく燃え上がる。
アリス「紫、まだ?」
紫「まだよ。まだ早い……」
早苗「う、熱い……」
霊夢「早苗!気を抜かない!」
早苗「は、はいっ!」
結界の力が強まり、霊夢から紅、早苗から緑の光が出て結界全体を包む。
霊夢「まだなの、紫!?」
紫「まだよ」
周囲が夕焼けに照らされたように紅く染まっていく。
隕石はどんどん大きくなっていく。
魔理沙「紫、まだか!?」
紫「まだ……」
地面が割れて、コンクリートの破片が宙を浮かび始める。
おびただしい熱風が少女たちの服を揺らす。
紫「今よ、咲夜!」
咲夜「世界『ザ・ワールド』!!」
(http://bit.ly/lWd9cp 35秒ぐらいの時間静止演出を参考)
隕石の落下が止まる――が、すぐにゆっくりと落下が再開される。
咲夜「ううっ……さすがにこれだけ巨大だと……!」
紫「アリス、ゴリアテを出して!」
アリス「ゆけっゴリアテ!」
(アリスは左手薬指以外にマリオットリングをつけている。にがもん式アリス参考 http://bit.ly/J9E38u http://bit.ly/naY2vE)
アリスは両手を左右に動かすと、細い魔法の糸が光に反射して一瞬見え、ゴリアテがズズンとゆっくり発動する。ゴリアテはゆっくりと隕石に近づき、隕石に激突する。
アリス「行って!」
ゴリアテはゆっくりと隕石を押し返していく。隕石は再び大気圏に侵入し、激しく燃え上がる。
紫「魔理沙、撃って!」
魔理沙「光撃『シュート・ザ・ムーン』!」(イメージ:http://bit.ly/naY2vE)
16本の光の束が隕石とゴリアテ人形に向かって飛んでいく。光のうち数本がゴリアテに命中し、ゴリアテの内部の爆弾が大爆発を起こす。
魔理沙「うわっ!」
アリス「きゃっ!」
爆風が起こり、思わず全員が目を両手で覆う。
風が落ち着き、魔理沙が覆った手を離す。
魔理沙「……そんな」
隕石は割れていた。しかし、半分が大きな欠片になって、なお地表に向かってきていた。
紫「……失敗ね。爆発力が足りなかった……」
紫は隙間を作ろうと手を挙げる。
魔理沙「ふざけるな! まだだ、まだ終わってない!」
魔理沙が急に飛び立つ。
アリス「魔理沙!?」
アリスが魔理沙の後を追う。しかし、魔理沙のスピードにどんどん距離を離されていく。
魔理沙「恋符『マスタースパーク』!」
魔理沙がマスタースパークを撃つ。隕石の落下が弱まる。隕石が少しずつ崩れ始める。
魔理沙「このまま破壊し尽くしてやる……!」
紫は動かずに、魔理沙の放つマスタースパークを見つめている。
紫「魔理沙……」
(場面切り替え)
マンションの一室が映る。
「うっ……ううっ……」
すすり泣く少女の声が聞こえる。
「レミリア……フラン……美鈴……パチュリーに小悪魔……」
少女は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、とりつかれたようにペンタブで絵を描いている。
ディスプレイにはレミリア・フランドール・美鈴・パチュリー・小悪魔が集合した絵が描かれている。
「咲夜を助けてあげてよぉ……みんな……」
ディスプレイがわずかに紅く光る。
少女「……え?」
ディスプレイが紅く輝き始める!
少女「うわっ!」
(場面切り替え)
魔理沙「魔力が……!」
魔理沙の魔力が減り、マスタースパークが徐々に細くなっていく。マスタースパークがついには消える。隕石が魔理沙に向かって落ちてくる――
美鈴「気符『地龍天龍脚』!」(http://bit.ly/ISiiaM 1:20からの足技 元ネタ南斗獄屠拳http://bit.ly/KzQm29)
魔理沙「なにっ!」
美鈴の蹴りが隕石に命中する。美鈴の背中の上にはフランドールが乗っている。
フラン「ねえ美鈴、これって私がきゅっとしてドカーンしちゃおうか?」
美鈴は隕石を蹴り壊しながら答える。
美鈴「駄目ですお嬢様!!細かく砕かないと大きな破片が地面に落ちて大変なことになります!!!アチャー!!!」
フラン「ふ~ん……」
フランドールは美鈴の背中から離れる。
フラン「禁忌『フォーオブアカインド』!」
フランが四人に分裂する。
フラン「「「「じゃあちょっとずつ弾幕で壊すよ!」」」」
美鈴「よろしくお願いしまっす!!ほあちゃあ!」
(場面切り替え)
咲夜「美鈴!?なぜここに……ハッ!」
砕けた隕石のかけらが数個、咲夜に向かって飛んでくる。空間操作をしている咲夜には抗う術がない。
突如、紅い矢(http://bit.ly/KfcCeL)がかけら全てに突き刺さる。
レミリア「咲夜、ツメが甘いんじゃなくって?」
咲夜「お嬢様、なぜここに……!?」
パチュリーが魔導書を手に持って歩いて現れる。
小悪魔が後ろに伴って歩いてくる。
パチュリー「紅い光に誘われたの。火符『アグニシャイン』!」
火球が落ちてくる隕石を燃やし尽くす。
パチュリー「とても暖かくて……人の心って、ああいうものなのかしらね」
咲夜「人の心……?」
(場面切り替え)
早苗と霊夢の周囲に紅白い光が漂っている。
早苗「霊夢さん……!」
霊夢「ええ、わかってるわ。はるか遠くから、人の意志が集まってきてる」
紫「日本中から霊力が……?何が起こっていると言うの」
霊夢「これは……私達がこっちに引きこまれた力と同じ……?」
(場面切り替え)
同人ショップ。同人誌から、妖夢と幽々子が飛び出してくる。
(場面切り替え)
秋葉原改札前広告(参考http://bit.ly/Jbsjmo)。広告からさとりとこいしが飛び出してくる。
(場面切り替え)
道端に落ちているスマートフォン。射命丸とはたて、椛の動画が再生されている。三人が飛び出してくる。
(場面切り替え)
ビッグサイト(http://bit.ly/KJOnmp)様々なキャラが飛び出してくる。
(場面切り替え)
紫「こんなことが……!」
(多数のキャラが紫の背後から飛んできて集まってきている絵を2ページ使って描く)
萃香「勇儀!」
勇儀「あいよ!」
勇儀が萃香を隕石に向かって投げつける。萃香はパンチをする姿勢で隕石に激突し、隕石に大穴が空き、大量のかけらが飛んでくる。
幽香が傘を開く。傘の先端からレーザーが飛び、飛んできたかけらを粉々に砕く。
幽香「鬼は野蛮でエレガントさが足りないわね」
(場面切り替え)
天子「はぁっ!」
天子が地面を緋想の剣で貫くと、地面が盛り上がり破れ四本の尖った岩が出てきて、隕石に突き刺さる。隕石の動きが止まる。
天子「しばらく食い止めるから、後は誰か何とかしなさーいっ!」
魔理沙「隕石が止まった……!」
魔理沙は八卦炉を握り締める。
魔理沙「くそっ、マスタースパークさえもう一度使えれば……!」
(場面切り替え)
パチュリー「この結界は私が維持するわ……あなた達は他にやるべきことがあるでしょう?」
霊夢「恩に着るわ!」
霊夢と早苗は紫に駆け寄る。
紫「日本中の人の心の力が、集結している……!」
霊夢「紫。今すぐ魔理沙が持ってる通信機を、世界中につないで!」
早苗「ムービー機能で撮影した動画を、世界に共有するんです!紫さんならできるはず!」
霊夢「あんたが残しておいた力を使うのよ」
紫「霊夢……気づいてたの?」
霊夢「勘よ」
紫「やってみるわ」
紫は携帯で魔理沙に話しかける。
魔理沙「んっ」
魔理沙は携帯が鳴ってるのに気づいて出る。
紫「魔理沙、今からあなたの通信機で、世界中に語りかけられるようにするわ。今ここにあふれているのは、日本に残った人たちの意志の力。世界中に散らばった日本人たちの力を、あなたが集めるのよ」
魔理沙「わかった、つないでくれ!」
魔理沙「わっ」
魔理沙のiPhoneが大きくなり、iPadになる。地球の姿がiPadに移り、「全世界放映中」と映る。
紫「いいわよ、魔理沙!」
魔理沙「えー……聞こえるか?」
(場面切り替え)
台北・台北アリーナ(http://bit.ly/Jctly2)。台湾に避難していた蓮子とメリーは、ディスプレイに魔理沙が映るのを見る。
魔理沙「……今、私たちは日本に落ちてきた隕石を破壊しようとしている」
メリー「……あれは、幻想郷の住人……!」
蓮子「メリー、私のケータイにも映ってるわ!」
蓮子はiPhoneを取り出す。岩が突き刺さった隕石がでかでかと映る。
魔理沙「人は、一人では大きなことはできない。みんなはがゆい思いをしていると思う。……私もそうだ」
(場面切り替え)
インド、ニューデリー。
妖忌「失礼」
妖忌が近くにいた日本人ビジネスマンからiPhoneをかすめ取る。
魔理沙「それでも私たちは思い続けないといけない。私たちが望む何かに向かって」
妖夢が隕石を剣で弾いている姿がiPhoneに映る。妖忌はうっすらと微笑む。
妖忌「大きくなったな……」
日本人ビジネスマン「返してくださいよぉ~」
妖忌「もうちっと待ってくれ」
魔理沙「国というのは私たちの可能性だ。今、それが滅びようとしている」
(場面切り替え)
注意:アメリカは昼
ニューヨーク・自由の女神の麓
夢美(http://bit.ly/mswNWx)が座っており、浮かんだiPadを水平に眺めている。
夢美のマントが風でバタバタなびいている。
魔理沙「大それたものは要らない。今できるだけでいいんだ。私たちがまた、明日を目指していけるように、みんなの力を貸してくれ……!」
夢美「あの時の子が、言うようになったわねえ」
ちゆり(http://bit.ly/LFd6x4)が後ろから現れる。
ちゆり「……若干キャラがかぶってるんだぜ」
夢美が立ち上がる。
夢美「ちゆり、あれが見える?」
夢美がニューヨーク港の方角の空を指す(参考http://bit.ly/KCzDvf)。紅白い光が空をゆっくり伝ってふわふわと飛んでいる。
ちゆり「あれが、人の意志の力?」
夢美「そうよ。生命と世界を慈しむ心の力」
(場面切り替え)
視点が宇宙に映る。(http://bit.ly/KCAFav)
地球の様々な地点から、紅白い光が東京に集まっていく。
視点がズームアップして、日本が映る。(http://bit.ly/akjpja)
視点がズームアップして、東京が映る。
視点がズームアップして、魔理沙が映る。
魔理沙の体が紅白く光る。
魔理沙「来たっー!!!」
魔理沙はミニ八卦炉を隕石に向ける。
魔理沙「今回は私がやる。次からは、自分たちでこの国を守っていくんだぜ……!」
魔理沙「魔砲『ファイナルマスタースパーク』」
紅白いマスタースパークが隕石に突き刺さる。
魔理沙「ちいっ!」
衝撃の強さで、魔理沙の服がところどころ破れ、肌に切り傷がつく。
魔理沙「聖みたいに身体を強化しておけばよかったかな。これが終わるまででいい、もってくれよ……!」
衝撃はますます強くなり、魔理沙は反動で吹き飛ばされる。
魔理沙「うわっ!」
後ろにいたアリスが魔理沙を抱き止める。
魔理沙「アリス!」
アリス「まったく、ずいぶんと力任せな弾幕だこと。所詮、あなたは野魔法使いね」
魔理沙「ふふん、温室魔法使いよりはよくないか?」
アリス「都会派魔法使いよ」
二人は顔をあわせて笑う。
魔理沙「さあアリス、さっさとこの異変を解決しちまおう」
アリス「ええ。研究の続きをしたいものね」
アリスは魔理沙の後ろで肩の上から手を出して、八卦炉と魔理沙を支える。
マスタースパークの出力はさらに強くなる。
ついに、隕石をマスタースパークが貫き、大爆発を起こす。
魔理沙「やったのか!?」
爆発で生じた激しい発光が周囲を包む。
魔理沙「あ……光が!……広がっていく……」
(画面真っ白)
◆
場所:幻想郷、魔法の森
状況:光に吸い込まれて少しの間気を失っていた魔理沙とアリス。魔理沙はアリスの上に乗っかっている。
魔理沙(ここは……?幻想郷に戻ってきたのか……?)
「魔理沙……」魔理沙の下から声がする。魔理沙が下を向くと、アリスがいた。魔理沙はアリスの上に乗っかっていたのだ。そして魔理沙の手はアリスの間違いなく美乳でCカップの胸に置かれていた。アリスは恥じらいの表情を浮かべ、顔を赤らめる。
アリス「……あんたわざとでしょ」
魔理沙「違うって」魔理沙はアリスの胸を軽くもむ。ぷにっと音がして、アリスが「ひゃんっ!」と思わず大きな声をあげる。
アリス「揉むなぁっ!」アリスは魔理沙を殴る。
紫「おーっほっほっほ!!」
紫がどこからともなく盛大に現れる。
魔理沙とアリスはハイテンションな紫をポカンと眺めている。
アリス「紫……よね?」
紫「あら、そうですわよ。タヌキかキツネに見えて?」
魔理沙「隕石はどうなったんだ」
紫「かんっぜんに!粉々になったわ!お陰で私の力も元に戻ったことですわよ!」
紫は力が戻ったと言わんばかりにところどころに隙間を開けてみせる。
魔理沙「しかし」
紫が手で魔理沙の言をさえぎる。そして、落ち着いた表情と口調で話し始める。
紫「確かに、隕石の接近で東京の建物の半分以上が使い物にならなくなった。それ以前の集団国外移住の影響も大きいから、復興には何十年もかかるでしょうね。……でも、それは大したことじゃないわ。今の外の人間の技術があれば乗り越えられる。その意志も十分見せてもらったことですし」
紫は隙間に下半身を入れる。
紫「私は結界の修復作業があるから、これで。あなた達もお疲れ様。そこで存分にいちゃついてていいわよ」
アリス「いちゃつかないわよっ!」
アリスが顔を赤くして答える。
紫は隙間の中の暗い空間で考える。
(幻想郷は外の世界から忘れられたモノたちが行き着く場所。この国から忘れ去られた者たちが、外の世界の危機を救った……あの子たちが呼び出されたのは必然だったのかもしれない)
魔理沙、アリス、咲夜、早苗、霊夢が日常に戻っていく様子を描きつつ、モノローグを入れる。
「日本は救われた」
「しかし、東京の半壊と長期間の経済活動の中止により、日本経済は完全に破綻した」
「今後、日本国民は長い間苦難の時を過ごすことになる」
「それでも大多数の人は、活力にあふれていた」
「あの光を見たから」
「自分たちが世界を大切にできることを知ったから――」
(終わり)
しかし、写真入れないで表現できなかったのでしょうか?
色々と不評ですが個人的には素晴らしいと思います。
テンポが抜群なのと悪ノリがきちんとした悪ノリなのがいいと感じました。
寝言は寝ていいなさい
後、話しは面白いが、読みにくい。
普通に二次小説を書け。