命蓮寺の朝は早い。
朝五時には皆おぼろげに瞼を開け、人一倍早起きの山彦妖怪による朝の挨拶で一気に覚醒する。
寺中に響き渡る「おはようございます!!」の大号令と共に、住人達は一斉に布団から抜け出し身支度を始める。
衣服を整え、髪をとかし、顔を洗い終えると居間に集まり、その日の当番に従ってそれぞれの仕事に向かう。
「今日は説法会だね。ご主人と私は人里で参加の呼びかけか」
「私は食事当番か。雲山、今日は何がいいかしらね」
「カレー」
「村紗、昨日食べたばかりじゃないですか」
「星の言う通りよ、だいたい一輪は雲山に聞いたんじゃん?」
「カレー」
「響子もそこだけ繰り返すでない」
神霊騒ぎの頃から新たな仲間が加わり、ちょっとだけ賑やかさが増した命蓮寺。
その一日の始まりは実に賑やかなものだった。
「……あれ? ところで姉さんは?」
「それならきっとあれじゃよ。ほら、最近習慣になっとる……」
ふと、この寺のリーダの姿が見えないことに気づいた一輪がキョロキョロと周囲を見回す。
どことなく不安そうな表情の一輪に、マミゾウはカラカラと笑いながら答える。一輪をはじめ古くからの命蓮寺の住人達は聖のことになるとやや神経質になってしまう。
「あぁ、そうなのね。ありがとうマミゾウさん。それならもうじき帰ってくるわね」
「一輪は心配性すぎるのよ。みっともないったら」
「なにおう」
「騒がしいね君たちは。おっと、噂をすれば帰ってきたみたいだよ」
小突き合いを始めた一輪とぬえに呆れていたナズーリンが、玄関の物音に気づいた。
どうやら我らが命蓮寺のリーダーが戻ってきたようだ。
「迎えにいってくるよ」
ナズーリンはそう言い残すと風呂場へと向かった。清潔なタオルを手に取りそのまま玄関へと向かう。
玄関に着くと、目当ての人物は靴を脱いでいる最中だった。
脱ぐのに少々手間取っているようだ。床に腰を掛けて、もぞもぞとしている背中に声をかける。
「おかえり聖。タオルを持ってきたよ。今日はどうだった?」
「ありがとうナズーリン。ただいま戻りました。えぇ、今日も素晴らしいジョギング日和でしたよ」
命蓮寺の朝は早い。
朝の五時には寺の住人達は皆一斉に目を覚まし、賑やかな一日が始まる。
そんな命蓮寺の朝、人一倍早起きの山彦妖怪よりもさらに早起きの人物が一人だけいる。
聖白蓮は目を覚ますと他の皆を起こさぬよう、静かに身支度を整えて外に出た。
外はまだ薄暗いものの雲はかかっておらず、空は徐々に青みを増している。
今日は良い天気になりそうだ。
少し肌寒さの残る朝靄の中、大きく息を吸う。
「うん。楽しく走れそうです」
聖が早朝にジョギングを始めるようになったのはつい最近のことだ。
特にきっかけらしいきっかけもないのだが、春を迎えるにあたり何か新しい事を始めてみようと思ったのだ。
さて何をしようと考えていた時に、たまたまダイエットと称し外を走っていた山の巫女――東風谷早苗に出会った。
もともと体を動かすことが好きな聖は、その様子に刺激を受け「ジョギングも良いかもしれませんね」などと早苗に話しかけた。
すると、早苗は突然満面の笑みを浮かべてすごい勢いで聖に迫ってきたのだ。
「それなら良いものがあります!! どうせ誰も使わないし、差し上げますので一緒にダイエット頑張りましょう!!」
どうやら聖をダイエット仲間だと勘違いした早苗は、何やら見慣れぬ道具を譲ってくれた。
その時早苗が着ていたのと同じ、見慣れぬ形の衣服と河童達が好きそうな機械のようなものだ。
「ジャージ(白)と短パン(黒)、それからストップウォッチです」
外の世界の運動着と、走った時間を計測する機械だという。両方とも楽しく走るのには欠かせない道具らしい。
とりあえずダイエットとは違う旨を説明し、貰ってしまってよいものかと困惑する聖に対し、どちらにせよ寝かせておくよりは使ってもらった方が良いと早苗は笑った。
それが決め手となり、聖はジョギングを始めることにしたのだ。
ジョギングを始めて一か月。
最初は慣れぬジャージ(白)と短パン(黒)姿を恥ずかしがっていた聖だが、今ではすっかりその姿も板に付いている。
後ろで束ねた髪と相まって実に健康的な装いだ。
入念に準備運動をこなすと慣れた手つきでストップウォッチを操作する。
「それでは……よーい、ドン!!」
ピッというストップウォッチの音を合図に、勢いよく命蓮寺を出発した。
走る。紺色の空の下を豪快なフォームで走る。
身体能力を上げる魔法を研究していたこともあり、聖は人間の体についてある程度の知識を有している。
本格的に体を動かす訓練をしていたわけではないが、無意識のうちに体が動き、走る姿はそれなりに様になっていた。
朝特有の静けさの中、妖怪の山の麓を風のように駆け抜ける。
やがて守矢神社に続く山道に差し掛かると、聖はそこに意外な人物を見つけた。
「魔理沙さーん」
「ん、聖か。おはよう」
山道から降りてきたのは魔法使い仲間の霧雨魔理沙だった。
走るスピードを若干緩め、手を振りながら駆け寄る。
魔理沙は聖の姿に一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに何をしているのか察した様子でニヤリと笑う。
「ジョギングってやつか? 朝からよくやるなぁ。しかも……大迫力だ」
「大迫力? 何がですか?」
「あぁ、いや忘れてくれ。それより、いつもこんな朝っぱらから走っているのか?」
「楽しいですよ。魔理沙さんは珍しいですね、山に用事が?」
「昨日はにとり――河童の発明を一日中手伝っていたんだよ。熱中してしまってね。徹夜明けなんだ」
「まぁ、それは感心しないですよ」
今から帰って寝るのだろう。魔理沙は目の下にくっきり隈を作っており、いかにも眠いですといった表情だ。
聖は思わず足を止めて説経してしまった。
眩しいくらいに健康的な聖の姿に魔理沙は苦笑いを浮かべるしかない。
「規則正しい生活ってやつか。ふわわ、まぁその通りだぜ。眠いったら」
「眠気覚ましに一緒に走ります?」
いたずらっぽく笑う聖の勧誘に、魔理沙は勘弁してくれと慌てて手を振る。
「私は箒で駆け回る方が性にあうぜ。私よりパチュリーでも誘ってやれ、あいつのがよっぽど不健康だ」
「あら残念。では気が変わったらぜひ声をかけてくださいね」
眠たそうな魔理沙をこれ以上引き留めるのも可愛そうだと思い、聖はそこで話題を打ち切ると再び走り出した。
魔理沙は聖の後ろ姿をぼうっと見送り、よろよろと箒に跨る。
「本当によくやるよ、私には真似できんな」
そう呟き、自分の胸を見つめる。
「……あの迫力もな。それとも、あれが規則正しい生活の恩恵なのか?」
ジャージの上からでも伝わってくるあのボリューム感。
或いは、早寝早起きを心がければ自分もああなるのだろうか。
霧雨魔理沙から、霧雨『大迫力』魔理沙へとランクアップできるのだろうか。
「今日は早く寝よう」
そう心に誓って自宅へと飛び立った。
妖怪の山を横切って更に走ると、今度は巨大な湖が姿を現す。
妖精達がよく遊び場にしている湖だ。
今の時間は妖精達も眠っているようで、普段の賑やかな様子は見られなかった。
ほんの少しだけ姿を見せた始めた太陽の光を浴び、湖面がきらきらと輝いている。
この時間に見る湖は幻想郷でも指折りの美しさだ。
聖はその景色に大いに感動し、興奮する。自然と体にも力がみなぎってくるようだった。
「夏になったら皆で泳ぎに来ましょうか」
ようやく春を迎えたばかりで気が早いのは承知だが、湖を眺めているとどうしても楽しみになってしまう。
そういえば皆は泳げたかしら、水着はどんなのが似合うかしら、妖精達とも仲良く遊べるかしらと次々と妄想が膨らむ。
そして、妄想に気を取られ過ぎたせいか若干注意力の落ちていた聖は、自分の進行方向にたたずむ人影に気づくのが遅れた。
「ん? おっと!!」
「え? きゃ!?」
間一髪。衝突直前に聖は目の前の人影を避けた。
「申し訳ありません!! お怪我はありませんか!?」
小柄な人影に大慌てで駆け寄る。
しかしその人物はたいした動揺も無く、落ち着いた態度で聖を制した。
「少し驚いたけれど問題無い。おや、誰かと思えば妖怪寺の……」
「あぁ、レミリアさん。おはようございます。誠に申し訳ありません。ぼうっとしておりました」
目の前の人物――紅魔の吸血鬼、レミリア・スカーレットに向けて頭を下げる。
どうやら夢中になって走るうちに、いつの間にか紅魔館の門前まで来ていたらしい。
よく見るとレミリアの数メートル後ろでは門番妖怪がぐっすり眠っているではないか。
レミリアと会っていなければ、危うくあの無防備な妖怪を踏みつけていたかもしれない。
大惨事になるところだった。改めて自分の不注意を反省する。
「あまり気にしなくていいよ。私も夜の散歩から今帰ってきたところでね。自分の家の前だからと気が緩んでいたよ」
吸血鬼の主な活動時間は夜だと聞く。
もっとも、このレミリアは博麗の巫女達との付き合いのために活動時間をずらすこともままあるようだが、今日は夜型の日だったのだろう。先ほど会った魔理沙と同じく、眠そうな顔をしていた。
「それよりも、貴方は何をしていたの? 随分と変わった姿だけれど」
なおも申し訳なそうにもじもじする聖を見かねたのか、レミリアが話題を変える。
気遣いに感謝しつつ、ジョギングしている旨を話す。
「へぇ。私にはちょっと楽しさが理解できないけれど。まぁ、体を動かすのは悪いことではないわね」
「レミリアさんも御一緒にどうですか、今の時間ならまだ日も昇りきっていませんし」
聖からの誘いにレミリアは一瞬きょとんとする。
が、すぐに威厳たっぷりの表情を浮かべるとくつくつと笑い出した。
「素敵な提案だが遠慮するよ。朝から健康的にジョギングする吸血鬼なんて、いささか滑稽だよ」
聖は想像する。ジャージ姿で一生懸命走るレミリアの姿を。
十分有りな気がした。
「とても可愛いと思いますが」
「……可愛いとか、そういう問題では無い」
「とても可愛いと思いますが」
「れ、連呼しないでよ、もう。とにかく私の柄ではないよ」
「残念です」
「そうだね。代わりにうちの魔女でも誘ってやってくれよ。あれは不健康すぎていけないわ」
「先ほど魔理沙さんにも同じようなこと言われました、今度誘ってみます」
「ククク、よろしく。私からも一声かけておくよ」
それでは失礼するわ、とレミリアは聖に向けて軽く会釈をすると館の中へと消えた。
聖は可愛らしくも終始優雅なレミリアの振る舞いに関心し、注意散漫になっていた自分を改めて戒めた。
よし、と気合を入れなおし再度スタートを切る。
それにしても門番さんは放置で良いのかしら、と若干の疑問を残したまま。
湖と紅魔館のエリアを抜けると魔法の森に差し掛かった。
魔法の森は聖が一番好きなジョギングコースだった。
この森の空気はとても心地良かった。体中に力がみなぎり、まるで身体強化の魔法を使ったときのような感覚になるのだ。
絶好調の聖は徐々にペースを上げ、鬱蒼と茂った森の中を夢中で走る。
荒れ模様の道を進んでいくと、やがてこじんまりとした可愛らしい外観の洋館が見えてきた。
魔理沙と同じく、魔法の森に住まう魔法使い――アリス・マーガトロイドの家だ。
同じ魔法使いの家でも外にまで『宝物』が溢れている魔理沙宅とは違い、アリスの家はきちんと庭まで手入れされている。
彼女はよくここの庭でティータイムを楽しむらしいが、それはとても絵になる光景だろう。
そういえば来週はここでお茶会の予定だったな、と庭を横目に走っていると玄関の方からガチャリという音が聞こえた。
「うーん。いい朝ね。おはようございます!!」
玄関から出てくるなり満面の笑みで空に向かって挨拶をしたのは、ネグリジェ姿のこの家の主人だ。
聖は驚いて、思わず足を止める。
「……あの、おはようございます」
反射的に挨拶を返してしまった聖に、アリスは見上げた顔をぎちぎちと聖に向ける。
しまった。見なかったことにすれば良かったと思ったが、すでに遅かった。
「……」
「……」
「……おやすみなさい」
「待ってアリスさん!! ゆっくりと扉を閉めないで!!」
慌てて駆け寄った聖を無視して家の中に引っ込むアリス。
ドア越しにアリスのくぐもった声が聞こえてくる。
「静かにして。寝る。私は寝る。今日はもう寝る」
「さっき起きたばかりですよね!? 大丈夫、気持ちの良い朝は誰でもテンション上がっちゃいます!!」
「それにしたってうっかりネグリジェ姿で外に出て、あまつさえ大声で叫ぶような馬鹿はいないわ!!」
「う、うちの響子ちゃんも似たようなことやりますよ!!」
「それはそれで問題でしょうに!!」
「う……可愛いから大丈夫です!! アリスさーん、出てきて下さいー!!」
早くも一日を終了させる勢いの人形遣いを、聖は必死に説得する。
直接の責任は無いとはいえ、ここでアリスをほったらかすのは気の毒だと思った。
アリスの名前を連呼しながら扉を叩いていると、しばらくして顔を真っ赤に紅潮させたアリスが再び姿を現した。
どうやら身だしなみを整えてきたらしい、いつもの洋服姿になっていた。
「やれやれ、とんだ赤っ恥だわ。おはよう聖。ジョギング中?」
「おはようございます、アリスさん。気持ちの良い朝ですね」
「ネグリジェ姿で外に飛び出すまではね。もう、わりと死にたくなるわ」
「あはは……」
アリスの恨めしそうな瞳にたじろぐ聖。
全く持って自業自得なのだが、アリスとしては照れ隠しをせずにはいられないのだろう。
聖は胡乱下な笑顔を浮かべたまま、視線を逸らす。
「そ、そうだ。どうですか。アリスさんも一緒に走りませんか?」
「誤魔化されないわよ。誓って、さっきのことは誰にも言わないと」
「言いません、言いません。それに誤魔化してるわけではないですよ。せっかくだし一緒に走りませんか?」
なおも聖をじとりと睨んでいたアリスだがやれやれと溜息を吐くと、申し訳なさそうに首を横に振る。
「せっかくだけど遠慮するわ。寺の人達は一緒じゃないの?」
「皆はこの時間、まだ寝ていますので……早苗さんとも時間が合いませんし」
「私も普段はまだ寝ているわ、今日はたまたま早起きしただけ。それに朝は人形劇の準備とか何かと忙しいのよ」
「残念です」
「パチュリーでも誘ったら。彼女、鍛えがいがありそうじゃない」
「魔理沙さんとレミリアさんにも言われました。今度誘うつもりです」
「そう? ふふふ、愛されているわねパチュリーは」
「そうですね。私も一緒に走るのが楽しみになってきました」
「まぁ、私も気が向いたら付き合うわ。おっと、いけない。そういえばパンを焼いていたのだわ」
「それでは失礼しますね。あらら、私ももう少しペースをあげないと」
ストップウォッチで時間を確認すると時計の針は五時に近づいていた。そろそろ寺の皆が起きる時間である。
今日は色々と立ち話をしたこともあっていつもよりペースが遅い。このままだと朝食に遅れてしまいそうだった。
少し急ごうと走り出した聖の背中に、アリスから声援が贈られる。
「気を付けてね、焦って怪我するんじゃないわよ!!」
「はい。ありがとうございます!!」
「気を付けてね、ネグリジェ絶叫のこと誰かに言ったらただじゃおかないんだから!!」
「……はい。気を付けます」
「おかえり聖。タオルを持ってきたよ。今日はどうだった?」
「ありがとうナズーリン。ただいま戻りました。えぇ、今日も素晴らしいジョギング日和でしたよ」
アリスと別れた後はこれといったアクシデントも無く、ジョギングは順調に進んだ。
普段より若干遅れたものの、少し本気を出した甲斐もあってなんとかいつも通りのコースを走破できた。
タオルで顔を拭いていると他の住人達もぞろぞろと玄関に集まってくる。
「お帰りなさい姉さん。少し遅かったので心配しました。ねぇ村紗」
「といっても、いつもより二、三分遅いくらいだけどね」
「その様子だと良いジョギングだったようですね。ぬえ、あなたも走ってみては?」
「ぬへぇ。勘弁してよ星」
「ぬへぇ……じゃなかった。おかえりなさい!! おはようございます!!」
帰りを待っていた住人達に、聖はあっという間に囲まれる。
ゴールした瞬間に出迎えてくれる人がいるのはとても嬉しい事だ。
ジョギングの疲労はどこへやら、聖は満面の笑顔で皆との会話を楽しんだ。
「ほいほい皆の衆。いつまでも取り囲んでいては聖も一息つけん。朝食の支度に戻ろうではないか」
しばらく談笑した後、なかなか解放されない聖を見かねたマミゾウがぽんぽんと手を叩いた。
それもそうだと、皆素直にその場から立ち去り居間へと散る。
玄関には聖とマミゾウだけが残された。
「お疲れさん。にしてもよくやるわい」
「ありがとうございます、マミゾウさん」
「まぁ、健康的なのは結構よの」
「マミゾウさんもどうです? ぬえはあまり乗り気じゃなかったようですけれど」
「……わしにはちと無理じゃよ。それよりほれ、お前さんもさっさと汗を流してこい」
「そうですね、では失礼します」
「あぁ、その『すとっぷうぉっち』は水っ気に弱いんじゃろ。こっちで片付けておいてやるから」
「すみません。何から何まで」
慌てて時計を外した聖はマミゾウの気遣いに感謝しつつ、ぱたぱたと風呂場へと向かった。
「やれやれ、敵わんの」
慌ただしい聖の後ろ姿を見送り、マミゾウは思わず苦笑いを浮かべる。
手にはつい先ほどまで聖が使っていた『すとっぷうぉっち』。
仕組みはよくわからなかったがこの機械には今、聖がジョギングに費やした時間が表示されている。
マミゾウはその数字を眺め、もう一度やれやれと呟く。
マミゾウは知っている。聖のジョギングコースが山から地底にまで及び、距離にして四十キロ以上になることを。
マミゾウは見抜いている。聖は気合が入ると、無意識に身体強化の魔法を発動させてしまうことを。
マミゾウは気づいている。聖が皆より『三十分』早く起きていることを。
いつもより二、三分遅れたという本日の走破タイム。機械に表示された時間は『三十四分と〇七秒』
「……四十キロを三十分ちょいで走り切るジョギングなぞ、とても付き合いきれんよ」
我らがリーダーに秘められた計り知れないポテンシャルに背筋を強張らせつつ、居間へと向う。
「げに恐ろしきは魔法使い。といったところかの」
『すとっぷうぉっち』をぎこちない手つきで操作する。ピッという音がして、数字はリセットされた。
命蓮寺の朝は早い。
朝の五時には寺の住人達は皆一斉に目を覚まし、賑やかな一日が始まる。
そんな命蓮寺の朝、人一倍早起きの山彦妖怪よりもさらに早起きの人物が一人だけいる。
聖白蓮の朝は誰よりも速かった。
マチョリーフラグをそっと置いておきますね。
単純計算で時速80キロで走るのかひじりん…… いや、立ち話もしてるんだからもっとか
でも、パチェさんは許してあげて!100mで力尽きるから!
パチェは心配されすぎw
超逃げてー(笑)
とりあえずパッチェさん逃げて、全力で逃げて。速攻で追い抜かれるだろうけどw
パチュリーは身体強化の魔法を教えてもらわないと生き残れませんね…
あぁ思い出した。100キロババa(ry
そこには聖と元気に走り回るマチョリーの姿が!!
……うん、綿月姉妹の妹さんなら応じてくれると思うよ。
あとアリスとの会話の下りで「気持ち良いの朝」とありますが「気持ちの良い朝」では?
後書きwwww
100km/時ババアがいるなら100kgババアもいるかな?