私は、自分で言うのはアレだが都会派だ。クールで、あまり他人に興味が無く、世間体を大事にし、毎日の紅茶を欠かさず、お人形の手入れなんかもしちゃうシティ派魔法使いだ。迷子の人間を家に泊めて案内したり、妖精にもお茶を振る舞ったりと、私のイメージは常にフラットから揺らいでいない。今日だって、ミスティアに頼まれて、古くなった暖簾の修復をしていた。裁縫仕事をしてお金稼ぎとか、都会派だ。
そうなるように、日々の努力を怠らなかったからこそ、私は都会派というレッテルを保ち続けてこれた。
だというのに。
「どうしよう、どうしよう、どうしようっ」
倒れたティーカップ、食べかけのクッキー、戸惑う人形たち。机に突っ伏して眠るのは、波打った金髪の美幼女。そう、幼女だ。童女でも良い。呼び方がどれにせよ、現実は揺るがないのだから。
「すぅ、すぅ、えへへ、もうたべられないんだぜ、むにゃむにゃ」
人の気も知らないで寝こける幼女に、ああもういいや、魔理沙に頭を抱える。なにがどうしてこうなったかって私もそんなつもりじゃなかったんです閻魔様。じゃなくて!
魔理沙の飲んだ紅茶、その茶葉は魔界の実家から送られてきた特製の茶葉。その名も“あの頃のアリスちゃん”だ。若返り薬なんか魔法使いに意味ないのに。
それを棚に入れて、気がついたらラベルが剥がれ――そう巧みな仕掛けが施してあった――て、なんだかわからず紅茶として出してしまったのだ。当然、私も若返った。五年ほど。だが、当然ながら五年程度でどうにかなるほど若くはない。
代わりに、一緒に飲んだ魔理沙が若返ってしまったが。
「こんな、こんなところ、誰かに見られたら……」
ああ、見える。児童保護の御旗の下にしょっぴかれ、臭い飯を食べる私の姿が。世間からのレッテルは都会派からペド派へ。母との面会で恨み言、泣かれるかも知れないがアンタのせいだ。
意図的に幼女にしてなにをするつもりだった。そうか、ナニかとかカツ丼を前に親父ギャグ飛ばされたら、流石の私もアーティファクルサクリファイスで汚い花火と化すのも厭わないことだろう。
「落ち着け、落ち着くのよアリス! そう、そうよ、まずは解決策よ!」
カーテンを閉め切り、手当たり次第に本を漁り、対処法を探す。すると、自棄になって開いたグリモワールオブアリスから解決策が出て来た。流石幼女でも使える究極の魔法だ。御しきれなかったけど。
「えぇーと……“時間が解決してくれる。紳士淑女の皆様は、それまで手を出さないように”」
あっさりと見つかった解決策に、ほっと一息。なんだやれば出来るじゃないか、私。もうさもしいとは言わせない、そんな都会派に舞い戻れたようだ。
そうとわかれば話は早い。寝かせておいて起きて勝手に出歩かれると私の沽券に関わることになってしまうだろうし、起こして事情だけでも説明しよう。
「魔理沙、魔理沙、ほら起きて。魔理沙」
耳元でぱんぱんと手を叩いてやると、魔理沙はアーモンド型の瞳をぱっちりと開いた。それから目元をぐしぐしと拭いながら、大きく欠伸をする。なんで仕草まで幼くなっているのよ。ただの若返り薬じゃなかったのかしら。
「ふわぁ、ぁれ?」
「寝坊助さんね。まぁいいわ、状況を説明するけど」
「おねえちゃん、だれだぜ?」
「そういうの良いから。本当に良いから、お願いだから良いから。ね?」
まったく魔理沙も如何にもわからないという顔してくれちゃって何時もに増して小憎たらしいあんちくしょうね本当もうこちらを困らせてナニが面白いんだかおっと何がだったわねこの私としたが都会派らしくないミスをするなんてもう本当に本当に。
「……魔理沙、私の名前、わかるわよね?」
「え? えーと、あれ? えへへ、わかんないんだぜ?」
「はふぇ?!」
やばい、変な声出た。違う、聞きたいのはそんなんじゃなくていやあってるけど聞きたい事はそうだし答えたから褒めて褒めてって顔してやがる、こほん、いるから頭の一つでも二つでも三つでも十三でも撫でてあげるけど、そうじゃなくて!
「マジで?!」
「ま、まじ?」
「おほほほ、私は都会派、私は都会派…………本当に? お、おうちは?」
「おうち……あれ? おねえちゃん、しってるのぜ?」
ぜって、小さい頃は魔理沙の語尾的マイブームだったのかしら。だったら、今の少年っぽい口調は黒歴史の名残ね。覚えておきましょう。って、そうでもなくて!
くぁと欠伸をし、魔理沙は寝足りないのか目元をぐにぐにと擦る。まるで猫が顔を洗っているかの動作は実に愛くるしい。今日からここが貴女の家よ……って、いやいやいや。
「そそそ、それじゃあ、キノコ、わかる?」
「きのこ? わかるぜ! きのこすきなんだぜ!」
幼くなってもキノコはわかるとはなんというキノコ愛。だったら私の名前も覚えておけってそれは違うわ何を言っているのよ私は。いやいや頭の中は信仰の自由がって、それももう良いから!
なんにしてもこれで、霧雨魔理沙偽物説はなくなった。いや、うん、現実逃避で聞いたんじゃなくて。
再びぱらぱらとグリモワールをめくると、だいたい一日くらいで魔法が切れる、とあった。なら、今日一日魔理沙をここから出さないようにすれば解決だ。
「おねえちゃん、きのこはー?」
「あー、はいはい。しいたけ使って茶碗蒸しくらいなら作ってあげるから――」
「ほんとに?!」
きらきらした眼でぶかぶかの服の袖を振り回す魔理沙を、とりあえず禿げ上がるんじゃないかってくらい撫で撫でする。これは、そう、躾けよ。決して愛情表現なんかじゃないわ。
「あわわわわ」
「――そう、だから、夜まで良い子にしてなさい」
「うんっ」
今日一日、今日丸一日魔理沙を隠し通せばミッションコンプリート。相変わらず自分のブレインには惚れ惚れするわ。さて、とりあえずクッキーでも与え直してご機嫌取りでもしようかしら。
そう、席を立った時……こんこん、とノックの音が響いた。
「アリスさんいらっしゃいますかー? 約束の、ストロードールの取材に来ましたー」
忘れてたァッ!?
そうだ。今日は射命丸が訊ねてくるという予定があったんだったわね。魔理沙が不幸な事故で縮んだせいで忘れていた。まずい……。
「魔理沙、お姉ちゃんお仕事があるから部屋で上海と遊んでいて欲しいの」
「おしごと? ……うんっ! わかった!」
上海に導かれて、魔理沙を家の一番奥の部屋へ連れて行かせる。あとは、予定をさっさと終わらせるだけだ。
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と、射命丸を招き入れた私は、早速藁人形講座スタート。誰か呪いたい人でも居るんだろうか。だったら藁人形の一つや二つ、作ってあげるんだけど。
そう訊ねたら、引きつった顔で首を振られた。失礼なヤツだ。
「では、誰かを呪いたくて作っている訳じゃないのですね」
「当たり前じゃない。人形制作の一環よ」
言いつつ、紅茶を啜る。うん、今の私は最高に都会派ね。ふふん。射命丸も私のクールな仕草に納得してるし、今日はこのままやり過ごす。
そう、薄めを開けてふと視線を廊下側、射命丸の背後に目を遣り――
「ぶふぅっ!?」
「うっきゃぁっ!? な、なにするんですか?!」
――射命丸の顔に紅茶を吹き出した。
視界の端で、上海に追いかけられる魔理沙の姿。なにやってんだあの白黒め。
「ごほっ、ごほっ、ごほっ」
「だ、大丈夫ですか?」
「えふっ、えふっ、だ、大丈夫よ」
「は、はぁ」
身を乗り出して私の背を摩ってくれる射命丸。やばい、惚れそうだわ、うん、やっぱり私はロリコンじゃない。
そう上目遣いで射命丸を見た瞬間、私の視界に飛び込む黄金。ホップステップでこちらに走り寄る魔理沙を見て、思わず射命丸に飛びかかった。
「ありがとう射命丸貴女の優しさは忘れないわ!」
「な、なんですか、急に」
顔を引きつらせる射命丸の視点を私に固定、魔理沙を見られないように私しか視界に移らないように調整。もしすっぱ抜かれでもしたら一環の終わりだ。“美人人形遣い、幼女を人形扱い!?”だなんて見出しが公表されでもしたら立ち直れない。
今の内にと糸を飛ばして魔理沙を絡めて放り投げる。射命丸の耳に魔理沙の小憎たらしい悲鳴が聞こえないように、両手で塞ぐのも忘れない。
「あ、ああああ、アリスさん?!」
急に掴んだから驚いたのか、慌てる射命丸を解放する。それから、再び両手を掴んだ。なにこの子けっこう繊細で柔らかい手ね。
「ありが――「おねえちゃん」――ぶるぁぁぁぁぁっ」
「今何か聞こえ――きゃぁぁぁっ」
身体を起こしてユニバース。叫びながら射命丸を抱き締める。視界に誰も入れさせないっ。とくに、こう、上海を抱きかかえて私に声をかけ、部屋に戻っていく白黒の後ろ姿とかッ!
「あ、アリスさん? ななな、なにを」
「貴女は私だけ見ていればいいの」
「え、えぇぇっ?! で、でも私、そんな、困ります」
「イヤなら突き飛ばせばいいわ――」
そう突き飛ばしてくれれば、とりあえず微妙にセクハラっぽい体勢が解かれるし。もう魔理沙もいないだろうと目を遣れば、何かに思い至って振り向く魔理沙。
ロリコン必殺の笑みを携えて、上海片手にマジックミサイル人形投げ。ああそう私にお人形返してくれるのねちくしょう何でその優しさがたった五年で消滅するのよ!
「――逃がさないけど」
「あ、あぅ」
腕に力を込めた射命丸を、再びぎゅっと抱き締める。よし、大人しくなった! 夢子さん直伝の“後が面倒だけど確実に大人しくなる術”!
ふふふ、なんで後が面倒なのか正直わかってないけど、まぁ良いでしょう。なんにしても、ロリコンの汚名は晴らせた!
とりあえず、上海を回収して再び魔理沙に吶喊させながら、射命丸の意識を逸らす。マルチタスクは魔法少女の必須技能って神綺さまがいってたから身につけたけ、七色二乗の特技の一つだ。
「答え、聞かせて貰える?」
「わ、わたし、は」
なんだかロリコンとはまた別の汚名が挽回されているような気がするけれど、きっとロリコンよりはマシだ。人形師がロリコンとか、小さな女の子が欲しいから人形を集めてる見たいに思われてしまうじゃないか。
どうでもいいけど私今日、何回ロリコンっていったんだろうか。ロリコンってすっぱ抜かれたら語尾はロリにしよう。それで大道芸人を目指そう。自己紹介乙。
「さぁ、射命丸――」
――ガチャ
ふと聞こえる、ドアを開く音。
「あのー、アリスさんいらっしゃいますかー? 約束の暖簾を取りに来ましたー」
そう告げながら、ぱたぱたと廊下を走り、近づいてくる音。
ノックくらいすればいいのにそういえばまだ約束在ったわねミスティアに仕事を頼まれてたんだった……。
仕事は終わってるけど、まずい。何が不味いって、タイミングが悪い。
「あ、いたいた。アリスさん……あ、れ? もしかして、まずい?」
部屋の入り口で固まるミスティア。何故か真っ赤な顔で動こうとしない射命丸。ミスティアの後ろで全裸の魔理沙が走り、私はなにも出来ず――って待て待て待てッ。
「ししし、失礼しまし――」
今、後ろを振り向かせる訳にはいかない。けれど、射命丸が離さないから同じ手は取れない。そこから導き出される答えは、一つ!
「混ざりたいの? ミスティア」
「――はい?」
「いいえ、混ざりなさい」
「ふぇっ?!」
いやいやいや、ただ混ざれ! だけだと何が何だかわからないか。ここはやはり人形遣いらしく人形に絡めて、そう、羽毛を用いたぬいぐるみとか、うん。
「貴女の羽も堪能したいわ」
「あ、アリスさん、私のことは身体目的だったんですか?!」
「て、天狗も一緒にだなんて、不潔です!」
ええい、人聞きの悪いことを。私を突き放そうとする射命丸を、未来文楽。自慢だけど人型を操る事には一日の長がある。生き物でも、縛り付けるだけなら問題ない。
あれこれひょっとしなくても緊縛プレイという言葉が頭を過ぎったので、そのまま頭の外まで過ぎらせる。気にしたら負けよアリス・マーガトロイド!
「身体も中身も全部一緒に、二人とも欲しい。貴女たちが欲しいの、文、ミスティア」
身体だけゲットしても、心で同意してくれなければぬいぐるみ作成なんてもってのほかだ。咄嗟にしてはいい機転だろう。ふふふ、都会派を名乗るのならこれくらい当然よ。
とりあえず動かない射命丸に満足して、ミスティアを見る。すると彼女は、意を決した表情で近づいて来た。
「ああ、でも、やっぱり――」
躊躇うミスティの背後、走り回って上気した頬の魔理沙。
「――きゃぁぁっ」
ミスティを糸で引き寄せて、射命丸と一緒に抱き締める。よし! これで私にロリコンのレッテルは貼られないはずだ。
「な、なにを」
「いや?」
「そんな、言い方――ずるい」
私の腕の中で顔を伏せるミスティア。ふぅ、危なかった。彼女の屋台の噂話で森の人形遣いはペドだとでもいわれたら、即座に広がって人形裁判。映姫様に“ロリ人形を弄びし少女有罪”とか小粋なギャグを飛ばされたら、思わず手込めにするまで自暴自棄が有頂天になるところだった。
ふふふ、自重、自重よアリス。むしろ自嘲した方がいい気もするけど。まぁ、いいわ。このまま、今日一日は誤魔化せれば、ステージクリア。決死結界張りすぎて、ボム(気力)が残っていない気もするけど。
「また、明日の夜に来て欲しいの。準備とかあるからね」
『!?』
夜なら確実に治っていることだろう。そうしたら改めて、羽毛のぬいぐるみについて同意を得れば一石二鳥だ。文字どおり。
私が二人の瞳を真っ向から覗き込むと、彼女たちはほぼ同時に頷いた。それにしても顔が赤いわね。強く抱き締めすぎたかしら。
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二人を見送ると、漸く一息吐いた。どうしても脱げてしまうようならと魔理沙に年相応の服を着せ、茶碗蒸しを作る。なんだか、どっと疲れる一日だった。
「ねぇ、魔理沙」
「はふはふ、うまうま……なんだぜ?」
グーでスプーンを握る魔理沙に、話しかける。相変わらず仕草がペドい。
「どうして、名前も知らないお姉ちゃんと一緒に居て、怖がらないの?」
普通、もっと怯えて良いはずだ。自分の家がわからないと言ったときには既に、ここが見知らぬ場所だと気がついていたはずだろうに。なのに魔理沙は、私の言うことを良く聞いてくれる。
「うーんと、だって――」
「だって?」
スプーンを握ったまま、魔理沙が考える。言葉を探してはいるが、云わんとすることに迷いがあるようには見えなかった。
「――おねえちゃんといると、すっごくむねがあったかくなるんだ!」
満面の笑みでそう告げる魔理沙に、私は目を瞠る。ああ、なんだ。そう言うことなんだ。魔理沙は私が思っていたよりもずっと、私の近くに立っていてくれた。
たった、それだけのことなんだ。
「ふふ、もう、そう言われると、ロリでもいい気がしてきたわ」
「ろり?」
「なんでもないわ。今日は、一緒に寝ましょうか」
「うんっ、えへへ、おねえちゃんといっしょにおふろとねんねだぜ」
「あー、お風呂、お風呂ね。ふふ、まぁいいわ」
わかったわよ、もう。今日はまる一日、この小さなお姫様の為に尽力しましょうかね。お風呂に入って、ベッドで温め合って、一緒に過ごすのも良いかもしれない。
たまにはこんなのも、魔理沙とゆっくり過ごすのも悪くないし、ね。
「おねえちゃん」
「なに?」
「これからも、ずっと、いっしょにいてほしい」
「そうね。ええ、貴女が覚えていたら、それでもいいわ」
王道的に、この期間のことは覚えていないことだろう。身体どころか精神も逆行させているのだ。もう一度大きくなったとき、覚えていないのも当たり前と言える。
だったら今だけは、こんな約束をしてあげるのも良い。どうせ何もかも、明日の夜までには元どおりになるのだから。
ええ、本当に――こんな日々も、悪くないわ。
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私が考えていたよりもほんの僅かに早く、魔理沙は元に戻った。ベッドの隣ですやすやと眠る魔理沙の横顔に、思わず頬が綻ぶ。元に戻っても魔理沙は魔理沙だ。白いシーツにくるまれて寝息を立てる姿は、可愛らしかった。
「さて、ああもう、どうしよう、本当に」
今気にしなければならないのは、昨日の二人のことだ。混乱した頭でやってしまった訳だが、あれはどう考えても口説いてる。しかも同意を得てる。どうしよう、本当に。というか夢子さんは私にあれを教えてどうしたかったのだろうか。いやでもあの人もジゴロな気が……うん、考えないようにしよう。
まぁ、でも、ここは昨日の事情も踏まえて説明するしかないだろう。スペルカードの連発くらいなら、いくらでも受けるという覚悟で。
――こんこん、こん
そんな風に考えていたら、寝室のドアをノックされた。玄関はスルーか。
「はいはい、誰よ、もう」
そう思ってドアを開けると、そこには射命丸とミスティアの姿があった。枕を抱きかかえてもじもじしている、二人の姿に、覚悟も忘れて固まる。あれ? 早くない?
「その、やっぱり夜まで待てなくて」
「そそ、そ、そうなの」
「ご迷惑でしたか?」
「そんな、こと、ないわよ?」
落ち着け、落ち着くのよアリス・マーガトロイド。夜から朝まで、予定が繰り上がっただけだ。今から説明しても、なんら変わらない。まずは魔理沙を起こして説明に巻き込んで――
「ふわ、ぁ、あれ? もう朝か」
「――ああ、魔理沙、ちょうどよかっ……へ?」
シーツから起き上がった魔理沙は、みすぼらしい布を身体に巻き付けているだけだった。大事なところだけ隠して全裸。これはもう半裸とは言えない。全裸だ。紛うことなく全裸だ。
大きくなれば、そりゃあ子供用の服なんかはち切れるか。でも足が冷えるといけないからとあげた伸縮性のある靴下だけは穿いているから、全裸靴下だ。なにそれマニアック。
「アリスさん」
「どういうことですか」
忘れてた。
「あれ? 射命丸にミスティアか。なんだよ? 私はアリスとずっと一緒に居るって約束したんだぜ」
忘れてなかった。
射命丸が私の腕を掴み取り、ミスティアが私の腰に抱きつき、魔理沙が全裸のまま近づいてくる。
なにか、なにか、この場を退ける天啓を! と、そう願った私の脳裏に、神綺様の笑顔が映り込んだ。何の用だ元凶。
――孫が見たいな、お母さん♪
頭の奥で、何かが切れる音が聞こえた。
「アリスさん!」
「いったい誰を」
「選ぶんだぜ?」
ああ、もういい、わかった。わかったわ。ペドでなければ性犯罪者になれって事ね? いいわよ。ええ、私だって偶には狼さんよ。
「ふん、全員纏めてかかって…………って、ちょッ!? はぶっ」
云うまでもなく私に襲いかかる、三人の姿。床に引き倒され軽く頭を打って変な声が出た。
ずるずると引き摺られながら見た、窓の外。その日の太陽は、何故だか何時もより黄色く感じた事を、私は生涯忘れることはないだろう。狼も群れならハンターでも、山猫の群れに襲われたら餌と化す。
私はそう、現実逃避をしながら、そっと群がる少女達を糸で縛り上げてベッドに放り込んだ。罠に掛けてしまえばたった一匹の狼でも、山猫の群れを食べてしまえると、教えてあげる必要がある。
「うわっ」
「きゃぁっ」
「ひゃんっ」
ふふふふふ、もう良いわ。ええ、良いですとも。思う存分、可愛がってあげるから。怯える少女たちの瞳に宿る、期待の色に答えてあげる。それが今の私にできる最大限の罪滅ぼしなのだと、そう――身体に刻み込んであげないと、ね。
・
・
・
この日のことを後悔するのは、これよりずっと先のこと。元幻想郷現神聖アリス帝国として魔界に宣戦布告をする日に、漸く、この忙しない日々の発端を悔やむ。
どうしてこの先、生涯訪れることの無かったであろう“受け”を、享受しなかったのだろうと。
私はにゃんにゃんと鳴く三人の少女を前に、そう、考えるのであった。
――了――
紫<えっ
夢子さんが解決策を教えていなかったらどうなってたのか
色々ぶっ飛んでてニヤニヤするというよりは笑いがやばかったです
良いぞ、もっとやれ。
アリス可愛いよアリス
みすちー可愛いよみすちー
文可愛いよ文
魔理沙可愛いよ魔理沙
さあ、次は誰を糸で絡めとるんですか!?
なかなか珍しい組み合わせで楽しかったです。
最高です
けしからん・・・もっとやりたまへ!!
ところで孫の顔はまだですか
え?その予定はない?……くっ
そんなことよりアリス総攻めとか、私の新しいツボが開拓されました。
マリアリをダシにしたギャグものかと思えば、何ですかこのハーレムED。
傷口を広げ続けるアリスに2828が止まらなかったです。
それで、あの、つd
文ちゃん可愛いよ文ちゃん。
みすちー可愛いよみすちー。
誰かこれ漫画で(ついでにその日の夜のことを)!!
間違いなくこの業はお母さん似と見た
アリス帝国コワイワーw
魔界と戦っても負ける気がしないんだぜ?
帝国建国3部作と帝国打倒3部作くらいでwww
都会派恐るべしwww
個人的には1000点入れたいところです。
ところで続きry