※一応、前作の「私にそんな趣味はねぇ!」の続きとして書きましたが、前作は読まなくても大丈夫な内容になってます。多分。ただ、本作中の「一ヶ月前のアレ」は前作参照。
※最初ちょっとだけ痛いかも。百合的な意味で。
……む。
……むむ。
……むむむ。
頭の中に、霧がかかっている。
存在している、実感が無い。
あれ、なんだコレ。
「ねぇ魔理沙」
……ルーミアがいる。
「私、魔理沙とずっと一緒にいたい」
「……ん、ああ」
……あれ?
「魔理沙はどう?」
え~と、状況理解状況理解……
「私、魔理沙のことが好きなの」
「……えええ!?」
「キスして」
「……いやちょっと待て待て唐突になんだなんだ」
「ダメなの?」
「いや、ダメってワケじゃ……いやいやダメだって」
「なんで?」
「なんでって……おい、ちょっ、やめ」
ちょっ……ルーミア!顔近づけ……
「まりさ~!」
……やめろ離れろなんでこんなに積極的なんだ。
……大体ここはどこだ私は何をしているちょっやめ。
……おい、だから離れろって!
まったく同じ状況をどっかでみたことあるぞ!
コレはなんだ!夢かなんかか!
「まりさ~」
……。
「まりさまりさまりさぁ~」
かわいい……
コレが夢だとしたら。
絶対補正がかかってるって。
私の耐久力なんか余裕でオーバーキル……!!!
「……ルーミア!!」
「魔……ん、んむ、ちゅ……」
ルーミアの唇。
ルーミアの口の中。
ルーミアの舌……
……るぁぁぁぁぁちょっと待てぇぇぇぇぇ
「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」
自分は叫んだのだろうか。
目に最初に飛び込んできたのは……天井。
っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ……
……反射的に飛び起きたらしい。
いやいやいやダメだろ私。
馬鹿だろ私。
頭おかしいんじゃないのか私。
かんっぜんに目が覚めたよ。嫌な意味で……
――――――――――――――――――――
さて、落ち着いてきたので反省タイム。
一日が始まった瞬間に反省するってのもどうかとは思うが……
なんだよ、さっきの夢。
確かに夢の中では何してもいいかもしんないけど。
私にそんな趣味は……
いや、ルーミアはかわいいよ?それは認めるけど。
いや、その、アレはダメだろ。なんというか、ダメだろ。
……ってか夢の中とか展開速すぎだろ。
身体の自由が利かなかったような気がする。
きっと夢の中では自我が無いんだな、自制がきかないんだな。
つまり、私ではないということだ。
そうでも思わないと……いや、そうなんだ。うん。
しっかしなんでああなるんだよ……しかも一ヶ月前のアレを思い出させるような内容……
最近、多いんだよなぁ。
何でこんな夢ばっかり見るんだ私。
約一ヶ月前のアレは本当に思いだしたくない。
……ちょうど今日で一ヶ月か。
「ん?」
……一ヶ月前。
……一ヶ月前は、えーと……七月七日。
……今日は、八月七日……
「やばい!今日七夕だった!」
かんっぜんに忘れてた。
まじか。まじかよ。
こんな夢見てる場合じゃないぞ私。
見るならもうちょっと暇なときに……いやそういう問題じゃねぇ。
いや、でも見たいかも……あ、ああああああもう!ちげぇ!
準備!準備だ!今すぐ取り掛かる!
あああ動揺しすぎだ私!
よし、大きく深呼吸。
すーはー。
すーはー。
すー……ぶっ……
噴出しそうになったのは何故だろうか……
――――――――――――――――――――
さて、作ろうか。
作る作ると言いながらも、結局ほったらかしにして、今日か……
時の流れは存外速いものだ。
さて、早速取り掛か……
「な~にしてるの?魔理沙」
「ぅおっ!?」
いきなり視界がさえぎられ……
……ルーミアか。
今日もなんだか家に来たな。
一体どこに住んでるんだろう。
「どうしたの?魔理沙、ちょっとだけ顔赤いよ?」
「な、なんでもないぜ」
……朝の夢を思い出してしまった。
……いやいやいやアレは夢だ。夢の世界だ。
どーせ夢の世界だから何してもよかったんだから関係な……
「じゃなくてじゃなくてあーもう私……」
「どーしたの?」
「どーもしないぜ!」
「……そーなのかー」
ああ、ダメだ。なんかまともに顔見れねぇ。
べつになんてことはない。妖怪と人間が友達ってだけだ。
そう、友達。友人。仲間。
友達。
友人。
仲間。
大体そんな感じだ!きっと!
決してなんでもない!
……ってか、そこまで考える必要も無いか。
ルーミアは、ルーミアだ。
……ちょっと落ち着いてきたかな。
あ、友達と友人は同じだ。
さっぱり気がつかなかった。
ちょっとまだ動揺してるかもしれない。
「ねぇ魔理沙、何作ってるの?」
「ん?ああ、コレか」
ルーミアが指差しているのは、私が取り掛かろうとしていた物体。
……の元。まだ出来上がりの形すら思いつかない原料の状態。
「ええと……そうだな」
「何か作ってるの?」
「ああ、聞いたことは無いと思うが……花火ってヤツだ」
「花火?」
「ああ、綺麗で派手で大きな音がして……」
「……?」
「なんて言えばいいかな……」
私も資料でしか見たこと無いので何と言えばいいか分からない。
資料を見せるべきか……
「でも、それをこれから作るんでしょ?」
「まぁ、そうだな」
「じゃあ見れるね」
「……そうだな、楽しみにしてろ」
あるのは香霖からもらった外の世界の花火の本……つまり、さっき言ってた資料。
それと、それに必要な色々な原料やら何やら。
……正直、私の作り方は、外の世界の花火の作り方とは、まったく違うだろう。
そもそも外の世界の本なので、字がほとんど読めない。分かるのは、香霖が頑張って解読した一部だけ。
だから、正攻法で行くよりは、ここに載ってるサンプル画像を元に、それに似せた魔法をイメージして作り出す方法の方が簡単だと思った。
……というかその方法以外でははっきり言って無理だ。
「こんな無茶、するんじゃなかったかな……」
「どうしたの?魔理沙」
……考えてることが口に出てしまった。
「なんでもないぜ」
「わかった~」
色々考えてても仕方が無いな。
「よーし、じゃあ早速とりかかるか」
「横で見てていい?」
「ああ、別にいいぜ」
期限は今日の夜。
それまでには絶対に仕上げないと……
――――――――――――――――――――
「ふぅ……大体終わったな」
作業は約8割を終えた。
結構大変な作業だったが、ほぼ手探りの状態からのスタートだけあって、やりがいというものはあるものだ。
まだ完成はしていないが、この花火は作り出した、というよりも創り出した、という言葉の方が似合うだろう。
完成したときが、楽しみだ。
ただ、残りの2割に問題があるんだよな……
「ん?」
……時の流れは速いものだ。
もう、昼過ぎだぜ。
昼飯を食わなきゃ。
って朝飯すら食ってないな……
あれ?なんか忘れてるような……
「……あ、ルーミア!」
そういえば作業を始めてからずっとほったらかしにしていた気がする。
何かに集中すると周りのことに目が行かなくなるのは私の悪い癖だ。
今後改めていかないと……
多分ルーミアもう帰ったんじゃ……
……と思ったんだが。
寝てた。
すぐ横で。
まぁ、そうだろうな。
帰るんなら、一言かけていくだろう。
一言かけていったとして、それを私が聞いていたかどうかは微妙だが。
「おい、ルーミア、起き……」
……。
……。
……ヤバい。唐突だけど……
ルーミアが可愛すぎる……
いや、もうコレ趣味とかそういう次元じゃないって。
そうか、寝てる状態のルーミアはじっくりと見たことが無かったが……
相当な破壊力だぜ……
多分、1000人が今の状態のルーミアを見れば1000人……
いや、限界だって超えるさ。10000人の人が絶対に可愛いと思う。
それくらい可愛い。
「おかしいだろ……」
いつから私はこうなってしまったのか。
……いや、霊夢だってアリスだってこの状況に立ってみれば絶対に分かる。
そういう状況だ。
私は悪くない。何も変わっていない。
もう、何でもいい。
むしろ、ルーミアさえいれば……
いつもは元気にはしゃぎまわってるルーミア。
今聞こえてくるのは、寝息だけ。
ってかルーミアほんと可愛い。
ああ、もう、勢いだ。
こっからはもう本能に任せよう。
私の本能は。
ルーミアの後頭部側に手を回し。
ゆっくりと顔を近づけて……
「な~にやってんのよ」
……多分、射命丸もびっくりなくらいの速さで。
私は後ろ側に吹っ飛ぶくらいの跳躍を見せ。
最後に見えたのは家に入ってきたアリス―――
――――――――――――――――――――
「……」
「……」
沈黙が痛い。
どうやらあの後思いっきり後方に飛んだ私は、壁に頭をぶつけ、軽い脳しんとうを起こし、5分間くらい気絶していたらしい。
アリスはルーミアのことを知っている。
それだけダメージも深い。
「なぁ……」
「なんでしょうか、変態魔理沙さん」
「お、おい……」
「なんでしょうか、変態魔理沙さん」
「いや、まずその呼び方を……」
「何かご不満でも?変態」
……アリスの一つ一つの言葉が胸に刺さる。ってか最後の一言が一番きつい。
まぁ、な。
アリスの視点になってみれば、な。
私は、そこに関しては反論の一つも出来ないワケで。
「大体アリスもよ……」
「何よへんた」
「だからそれはもういいって!」
「……何よ」
「いきなり家に入ってくる方もどーかしてると思」
「何回もノックしたわよ」
「……」
「魔理沙ー!って何回も呼んだわよ」
「……」
何かに集中すると周りのことに目が行かなくなるのは私の悪い癖だ……
「だ、だからって……」
「だからって、何?」
「……なんでもないです……」
アリスの目が、なんだか怖い。
一体どんな目で、私を見てるんだろうか……
「変態行為に及んでいたことについての言い訳は?」
「……そんなことしてねぇ!」
「じゃあ何しようと思ってたの?」
「……」
「何がしたかったの!」
「……ア、アリスだってあの場にいたら多分同じことしてたって!」
「私は変態じゃないのでそんなことしません。するのは魔理沙だけ」
「だ、だから違う!誤解だ!」
とんでもないことをしてしまったのかもしれない。
……いや、したのだろう。
もしかしたら、私ってそういう趣味なのかな。
……。
……。
……いやいやいや違う!絶対に違う!
私にそんな趣味は……
今日はちょっと……そう、疲れてただけだ!
「あ、アレだ。アリス」
「何よ」
「人間っていうのはな、疲れてると何をしでかすか分からない生き物なんだ」
「……」
「お前には分からないと思うが、そういうことなんだ」
「……言いたいことはそれだけ?」
「うっ……」
信じてねぇー。
ま、そりゃあ仕方ないよな……
どうしよう、アリスの中では私は変態確定ですか。
「アリス、頼む、忘れてくれ……」
「さぁどうでしょうね」
「いや頼む、ほんと頼む、一生のお願いっ!」
「へぇーそーなのかー」
おちょくってやがる……こいつ……
もう、ヤケクソだ。
「……お前なんかと友達になったのが間違いだった」
「……え?」
「出てけ!お前なんか!もう!」
「いや、魔理沙、ちょっとちょっと」
「アリスなんか嫌いだぜ!ちきしょー!」
「……!?」
アリスを無理やり家から押し出す。
「い、いや、魔理沙、分かった、分かったから」
「……」
「アレは何かの間違い、そういうことでいいのね?」
「……」
「私は何も見なかった」
「……さんきゅ」
「だから、その……」
……何だ?
「嫌い、とか、言わないで……」
……なんだか、アリスまで可愛く見えた。
私は本当におかしいのかもしれない。
――――――――――――――――――――
ずずず。
ずずずずず。
「……ふぅ」
さっきの様子とは一変して。
部屋に広がるのは私とアリスがお茶をすすってる音だけ。
……私は普段、お茶なんか飲まないので、一応客だけどアリスが淹れてくれた。
ちなみにルーミアはまだ寝ている。
あの騒ぎの中でもまだ眠っているとは……
「平和なヤツだぜ……」
「……どうしたの?」
「いや、なんでもない」
今見ているルーミアは凄く可愛い。
でも、変な気を起こそうとまでは思わない。
やっぱり、疲れてるだけだったんだ。
そう、思いたい。いや、そうなんだ。そうなんだよ。絶対。
「で……」
アリスが口を開いた。
「今日来た用件なんだけど……」
「……そういえばまだ話を聞いてなかったな」
「たいした用も無いのに……あんなことしてた魔理沙が悪いんじゃない」
「な、なんだよ!忘れてくれるんじゃなかったのか!」
「……脳裏に焼きついて離れないわよ」
「まぁ、そうだよな……」
アリスが誰にも話さなければいいが……
「それで、用件」
「ああ……」
「コレ」
「……なんだ、コレ?」
アリスが手渡してきたのは、一冊の本。
「えーと……題名が読めない……」
「そりゃそうでしょ、外の世界の本なんだから」
「……なんでそんなもの、アリスが持っているんだ?」
「香霖さんに渡されたのよ」
……香霖?
「この前、面白いものがたくさんあるから行ってみな!ってあなたが言ってたじゃない」
「……そんなことあったっけか」
「まったく……人に言っといて自分はすぐに忘れるんだから」
「……いや、確かにあったような気がする。多分」
「適当なこと言わないでよ」
えーと、香霖の本だから……
「何の本だ?」
「はぁ……」
うわ、ため息かよ。
香霖になんか頼みごとでもしてたっけか……
「……まぁいいわ。それ、キノコの本よ」
「キノコ……」
……ああ、思い出した。
あの一ヶ月前のアレがあった後、なんのキノコなのか気になって気になって、香霖に頼んだんだ。
外の世界のキノコの本を探してくれ、って。
後々考えると、無茶な頼みだったなぁと反省した気がする。
理由とかまったく言ってないし。
……でも、流石香霖だな。
「で、寄ったついでに香霖に手渡されたワケか」
「魔理沙に渡してくれ、ってね」
「ふーん……」
「こんなことになるなら、魔理沙の友達ですとか言わなきゃよかったわ」
「こんなこと?」
「魔理沙が変態行為に」
「だからそれはもう言うなって!」
どこまで引っ張る気だよコイツ。
私だって反省してるんだから……
「いいわね魔理沙は」
「なんだよ……」
「あんな妖怪ともあんな仲になれるんだから」
「あんな仲って……ルーミアは、ただの友達だぜ」
「ふ~ん……」
「なんだよ……ひょっとしてお前、妬いてるのか?」
……あれ、顔赤い。
「妬、妬いてなんかいないわよ!」
「そうか?お前は友達いないからな、もうちょっと友達を増やした方がいいぜ」
……あれ、戻った。
「言葉の使い方間違ってると思う……」
「え?」
「と、とにかく、余計なお世話よ」
なんだか今日のアリスは全体的に変な気がしてきた。
……いや、私が変なだけか。
「そ、そういえばさ」
「なんだ?」
「魔理沙は、何をしてたの?」
「いや、だからその話は……」
「そーじゃなくて!」
アリスが指を指した方向は。
私が朝から作って……もとい、造っていたもの。
花火。
「あぁ、アレか」
「そう、さっきから気になってるんだけど……」
「えーと……なんて言えばいいかな」
「……?」
「花火ってヤツなんだが……」
「花火?」
「あぁ、なんて説明すればいいか……」
「花火って、あの花火でしょ?」
……え?
「お前、知ってるのか?」
「うん、ちょっと昔にね、色々あって」
「色々?」
「うん。あんまり話せないけど……そのときに、本物じゃないけど魔法で作り物の花火を見せてもらったの」
「おお……」
なんという幸運。
「じゃあアリス、手伝ってくれ!」
「え、え、何?」
強引に作業場へアリスを引っ張っていく。
「ちょうど悩んでたんだよ、そこだけ」
「え、何が?」
「お前、花火見たことあるんだろ?」
「うん、さっき言ったとおり……」
「じゃあ、イメージしてくれ」
一度見たことがあれば、それは簡単にイメージできる。
資料だけでは分からないことも多い。
それが花火となれば、なおさらだと思う。見たことは無いが。
目で見て、耳で聞いて、肌で感じる。
それをやったことがあるアリスなら……
「……なるほど、魔理沙の言いたいことは分かったわ」
「流石アリス、言わなくても分かったか」
「要するに、あなた、花火見たこと無いんでしょ?」
「ああ」
「で、イメージできないと」
「そういうことだぜ」
色々あったけど。
今日はアリスが家に来て良かった。
「私に、任せなさい」
さっきは可愛く見えたアリスが、今度はとても頼もしく見えた。
――――――――――――――――――――
「アリス、大丈夫か?」
「うん……そういう魔理沙こそ、大丈夫?」
「大丈夫だぜ……」
「本当に、起動装置はスイッチ一つで大丈夫?」
「後で準備するのも面倒だろ」
「間違って押しちゃったときに危ないと思うんだけど……」
「大丈夫だ」
作業は終わった。
アリスのイメージどおりになったのかは分からない。
でも、多分上手くいったと思う。
「……まぁ、お疲れさん」
「……あなたもね」
ふふっ、と二人して笑いあう。
予想以上に疲れる作業だった。
流石に花火だけあってスケールが大きい。イメージだけで時間もかかった。
外を見ると、もう日が暮れかけていた。
「何かに集中すると周りのことに目が行かなくなるのはお前の悪い癖だな」
「何言ってるのよ、魔理沙でしょ?」
「いいやアリスだな」
「魔理沙よ」
「アリスだろ」
「魔理沙」
「アリス」
「魔理沙」
「アリス」
「魔理沙」
「アルィ……ぅえっ舌噛んだ……」
「……ふふっ」
さっきとは打って変わったこの状況。
なんだか幸せだ。
ルーミアもだけど、アリスだって私の大切な友達だ。
「なぁ、アリス」
「何?」
「今日は花火、一緒に見るか?」
「……いいの?」
「ああ、お前も一緒に作ったんだ、当然だろ?」
「魔理沙……」
アリスの笑顔がはじけ……
とそのとき。
ずしっ、と背中になんか重いものが。
「魔理沙~」
「お、今頃起きたのか、ルーミア」
「おはよ~」
「花火は出来たぜ」
「そーなのかー」
そういえば、ルーミアもいるんだったな。
「一緒に見ようぜ」
「うん、魔理沙と一緒に見る~」
ふと、アリスのほうを見ると。
残念そうな顔をしていたように見えた。
「……ええ、そうね。三人で行きましょう」
のは気のせいだろう。
「ああ、三人で行こう」
「楽しみね」
「ねぇねぇ魔理沙、この人だれ?」
そういえば、初対面か。
まぁ、ルーミアには以前からアリスの話はしてるから……
「ルーミア、この人は私の友達で、アリスだ」
「ありす?」
「ああ、アリス・マーガ……なんだっけ」
「魔理沙、友人の名前を忘れるとはいい度胸じゃない」
「えーと、えーと……」
「ねぇ魔理沙、アリスって、この前私に話してくれた人?」
「あぁ、そうだぜ」
「マーガトロイドじゃなかった?」
……。
「そう、それだ。流石ルーミア」
「なんでルーミアが知ってて魔理沙が知らないのよ!」
「いや、すまんすまん」
「ってかルーミアに話したときは覚えてたんでしょ?あなた、わざとやってない?」
「いやいや、そんなことは無いぜ」
「怪しい」
「単なるド忘れだ。別にからかってるつもりは……」
「ねぇねぇアリスって可愛い名前だよね」
いきなりルーミアが一言。
「え、そうかしら……?」
「……ふふふ」
「な、何よ魔理沙」
「いや、なんでもない」
「……と、とりあえず!」
「とりあえず?」
「……そういえば」
……?
「何で花火なんて作ってるの?」
「……ああ、そういえば、説明してなかったな」
「なんでこの時期に花火なんだか……」
「うーん、説明すると長くなりそうだな……」
外を見てみる。
もう日は暮れていた。
「もうコレを使う時間が近い」
「え?今日やるの?」
「外を歩きながら、話すよ」
「……そうね」
とりあえず。
私達は、魔法で出来た花火を持って外に出た。
向かう先は、博麗神社だ。
――――――――――――――――――――
「それで、作った理由って?」
「ああ、順を追って説明してくか……」
歩いているのは、私とルーミアとアリス。
なかなか無い組み合わせだと思う。
ルーミアは、私の説明などどうでもいいのか、前をずんずん歩いている。
「まず、今日が何の日か知ってるか?」
「え、八月七日……」
「そう、八月七日だ」
「特に、何も……なんかあったかしら?」
「ああ」
一呼吸おいて、告げる。
「七夕だ」
七夕。
織姫と彦星が一年に一回会えるという行事。
のはずだったが。
「七夕……って、何?」
「まぁ、簡単に言うと、外の世界の行事だ」
「なるほど」
「織姫と彦星が天の川っていうところで一年に一回だけ会える……っていう話らしい」
「織姫、彦星って?」
「星だ、多分」
「……ふーん、よくわかんないけど、ロマンチックなのね」
「……そうだな」
ただ、一つ矛盾してることは……
「……七夕は、今日で、今年三回目だ」
「……は?」
「六月七日と、七月七日にもあった」
「あった、って……一年に一回じゃないの?」
「まぁ普通はそうなんだけどさ……」
「おかしいじゃない」
「まぁ、七夕を作ったの霊夢だしな」
「え、霊夢?」
「ああ」
もともと七夕なんて行事は幻想郷には無い。
大体、星同士が一年に一度会うなんて。
月にウサギが住んでることが分かっている世界だしな。
そんな変な想像、だれもしないだろう。
「霊夢が、外の世界の文献見つけて、七夕やろうって言い出したらしい」
「よく読めたわね、霊夢」
「そこら辺は色々あったらしいが……とにかく、外の世界では場所によって七夕の日付が違う」
「ふーん、じゃあ幻想郷も一つに絞ればいいじゃない」
「まぁ、そこには霊夢なりの深いワケがある」
「確かに、霊夢にも七夕をやる意味があるわよね」
ここでもう一度一呼吸。
「霊夢は、宴会がやりたいだけ」
「なるほど納得」
まぁ、理由はそんだけだ。
なんか行事があると、あいつはそれにかこつけて宴会をやりだす。
ちなみに外の世界では六月七日に七夕は無い、と言う噂がある。
つい最近では、霊夢が勝手に作った説が濃厚らしい。
あいつはどれだけ暇なんだろうか……
「でも、それがあなたが花火を作る理由と何の関係が?……あ、ただの余興で作ったの?」
「いやいや私もそこまで暇じゃない」
「じゃあなんで?」
「それが……」
……あんまり言いたくないけどな。
仕方ないか……
「七夕の宴会、一回目と二回目のときに私は行ってないんだ」
「……」
「で、なんでこなかったんだ!と」
「招待はされたの?」
「……まぁ、されたっちゃあされたかな」
「……?どういうこと?」
……。
「……ポストの中に、招待状が入ってたんだ」
「ポスト?あなたの家に……確かにあったわね」
「気付いたのは、七月十日」
「……」
「午前中に、霊夢と会ったときに、何でこなかったのよ!って言われた」
「そりゃああなたのミスね……」
「で、帰ってポストを開けてみたら入ってた」
「……」
「まさか手紙なんか来ると思ってなくてな……一年くらい開けてなかった」
「馬鹿じゃない……」
「別件のも含めて十枚くらい入ってた、流石に反省してる」
いろいろガサツだとは言われているが。
最近はこれでも気にするようにしてるんだぜ……
「霊夢とは、六月七日以前、会ってなかったの?」
「いや、会ってる」
「じゃあ、霊夢も会ったときに言えばいいのに」
……それは私も思った。
が。
「会ったときに限ってそういうのは、言うの忘れちゃうんだってさ」
ワケわかんねぇよな。
「……分かるわ、その気持ち」
「分かるのかよ……」
「うん」
「……」
「ま、まぁいいじゃない!そのおかげで、今コレがあるんだからさ」
「……そうだな」
私の持っている花火。
ある意味、新しい魔法を編み出すよりもいい仕事が出来たかもしれない。
こんなの作ったの、久しぶりだし。
「……で、何で作ったの?」
「ああ、そんでもって、罰として三回目の今日に、なんか見世物をしろといわれたんだ」
「それで花火なのね」
「見世物どうしよう、と考えながら香霖の店に行ったら、花火の本を見つけてな」
「なるほど」
「運命を感じちゃったワケだ」
「ふーん」
「はい、以上、説明終わり」
長々としゃべってるうちに、博麗神社にもう近づきつつある。
宴会はもう、始まってることだろう。
「ねぇ魔理沙~おなかすいた~」
「そうか、もうすぐ着くから待ってろ」
「そうね、私もおなかが空いたわ」
そういえば、私も朝から何も食べていない。
よく動けるな、私。
「よし、まずは腹ごしらえだな」
「早く行きましょう」
「んじゃ、飛んでいくか」
説明のために歩いていたが、ひとっ飛びしていくことにした。
「それにしても」
「……なんだ?」
「一回目の七夕が終わった後に言えばいいのにね。なんでこなかったんだ!って」
「……まったくだぜ」
行ったら霊夢に文句の一つでも言ってやろう。
「よし、善は急げだ!行くぞ!」
……善かどうかは微妙だが。
――――――――――――――――――――
「うわ……結構人いるな……」
「ほとんど妖怪じゃない」
「すごーい」
博麗神社に着いて、まず目に飛び込んできたのは、外で宴会をしている妖怪たちだった。
「意外と広いんだな、博麗神社」
「霊夢はどこかしら?」
「わ~、お酒がいっぱい~」
ルーミアが妖怪の方に寄っていく。
「まぁ、人型の妖怪ばっかだな」
「流石に霊夢も危ない妖怪は連れてこないでしょ」
「ねぇねぇ魔理沙~飲んでもいい?」
話聞いてないなルーミア……
……う~ん。
酒飲むと、こいつが危ない妖怪になりそうな気が……
「ダメだな」
「え~」
「ルーミアが酒飲むとどうなるのか分からん」
「あら、いいんじゃない?別に」
「……とりあえず霊夢に会おうぜ」
「え~」
酔っ払った状態のルーミアを思い浮かべてみる。
……想像が、一ヶ月前のアレになりそうだったので、止めておくことにする。
さて、霊夢だ。
しばらく会ってなかったし、文句も言わなきゃいけない。
「さて、霊夢霊夢と……」
「ねぇ魔理沙」
「ん、なんだアリス」
「ルーミア、別に大丈夫かしら?」
ふと、ルーミアの方を見てみる。
どこにおいてあったものかは知らないが、骨付き肉のようなものを豪快にかじっていた。
「……まぁ、いいんじゃないか?」
肉食ってる分には別にいいだろう。
勢いで酒まで飲んじまわないか心配だが。
「さ、霊夢霊夢……」
正直、ルーミアが酔っ払っているのをちょっと見てみたいというのもあったりして。
「あ、魔理沙~!」
霊夢は簡単に見つかった。
……というか普通にそこにいた。
「今度はちゃんと来たのね」
「当たり前だ」
「なんか連れもいるみたいね」
「ああ、アリスだ。お前も会ったことあるだろ?」
「こんばんは、霊夢」
「……こんばんは」
「霊夢……お前、なんか不機嫌そうだな」
「別に」
「今日はあいつもいるぜ」
ルーミアのほうを指し示す。
「ふ~ん」
「んじゃ、見世物の方を……」
「三人分」
「……は?」
「お金」
「……」
「代金」
「……まじか」
金取る気かよ。
考えてみりゃあ霊夢の金だけでどうにかなるとも思えない。
なるほど、そういうことか。
「残念ながら持ってないぜ」
「じゃあ帰れ」
「……お、おい、ひどいな。そこは親友のよしみで何とか……」
なんとかならんかな~。
……ってか、ここにいる妖怪は全員払ってるのか?
「分かったわ」
「お、流石霊夢、話の分かる……」
「仕方ないからツケといてあげるわ」
「……結局払うのかよ!」
「3人分ね」
「お、おい、ルーミアはともかくなんでアリスの分まで」
「頼んだわよ魔理沙」
「お、おい!アリス!」
「で、見世物って何なの?」
「無視すんな!」
こいつら、人権というものをもう少し考えろ……
見世物とかそういう場合じゃ……ん?
待てよ?
「いいこと思いついちゃったぜ……」
「……魔理沙?」
「ああ、霊夢、ちょっとその見世物なんだが」
よし……!
「ちょっとした賭けをしようか」
「賭け?」
そう、賭け。
「私は今から持ってきた見世物を披露しよう」
「……それで?」
「それを……凄いと感じたらチャラにしてくれ」
「……は?」
「もちろん、たいしたものじゃないと感じたら払ってやるよ。三人分な」
「なるほどね」
もちろん、霊夢に判定をさせたら不公平が生じる。
「判定は、霊夢じゃダメだ。他のヤツにさせる」
「……誰にさせるの?」
「どっかそこら辺の適当なヤツ……」
辺りを見回してみる。
花火のよさが分かりそうな妖怪はいないものか……
「その役目、私が引き受けたわ」
後ろから声がした。
声のした方向へ、振り向いてみると―――
「……レミリア!?」
「久しぶりね」
「……ああ」
うってつけなヤツが来た。
なんか優雅そうでプライドがあって。
見栄っ張りで芸術のことなんか一ミリも分からなさそうなヤツ。
今日の私は人に恵まれている。
「何でお前が来てるんだ?」
「……ちょっと、暇つぶしにね」
「珍しいな」
「年に一回の七夕……ってパチュリーに聞いたのよ」
……うーん。
パチュリーも微妙に間違えてるな。
正確には日付やら霊夢の話やら理由やら色々あるけど……
まぁ、いいか。
「よし、いいな?霊夢」
「異論は無いわ」
「よし、じゃあ見てろよ霊夢」
「すぐに見れるの?」
「準備がある。三十分くらい待ってもらおうか」
霊夢にギャフンと言わせてやろう。
なら、すぐに……
「よし!アリス、ルーミア、行くぞ!」
「え、ちょ、ちょ、ちょっと!」
「……ああ、私のお肉ー」
近くで話を聞いていたアリスと、いまだに肉にかじりついているルーミアを引っ張っていき。
私は神社の横の方にそれて進み、夜の闇に消えた。
……いちおう近くにあった大皿は、丸ごと持ってきた。
――――――――――――――――――――
「よし、準備に取り掛かるか」
博麗神社から約20m程離れた森の中。
あんまり近くで見るといけないので、セットしたら神社に戻るつもりだ。
「ねぇ魔理沙」
「……なんだ?ルーミア」
「食べなくていいの?」
……そういえば、腹ごしらえすると言っていながらしてなかったな。
よく動けるな、私。
「とりあえず、食うか……」
持ってきた大皿には、よく分かんないでかい肉が乗っている。
……肉しかないのか?
流石霊夢、仕事が雑だな……
「まぁいいか」
腹が減ってるときは何を食ってもおいしいものだ。
腹を満たせれば何でもいい。
肉にむしゃぶりつく。
「えと、ルーミア?」
「……アリス?だったっけ?」
うーん、なかなかおいしい。
アリスにも勧めよう思ったが、なんだかルーミアに話しかけてるみたいだ。
「あのさぁー」
「なぁに?」
「魔理沙に、変なことされなかった?」
「ぶほぁーーー!」
盛大に吹いた。
「げほっ、げほっ……お、おい、アリス!何聞いて」
「変なことってなぁに?」
「体触られたりとか、その……キスしてきたりとか」
「えーとね……」
「おい!アリス!そんなこと私はしてな」
「された~」
「おい!ルーミア!」
ちょちょちょ待て待て待て待て待て。
「魔理沙!」
「いやいやいやアリス!誤解誤解!誤解だって!」
「見損なったわー!」
「おい、ルーミア!私はそんなことしてないぞー!」
「え~……一ヶ月前くらいに……」
……あ。
アレか……。
「他に何かされなかったの~?」
「おい!アリス!」
「う~んとね、他に……」
「おい!ルーミア!やめろ!」
「脱がされ……むぐぐ」
お前は勝手に脱ぎだすだろが!
余計なことしゃべるんじゃ……
「……今よシャンハイ!今こそ魔理沙の秘密を明かすとき~」
「こいつ……いつからそんなもの……」
ダメだ、やばい。
なんか人形出てきた。
絶体絶命。
アリスがこんなことしてくるとは夢にも思わなかった。
一体、なぜ……
「……顔が赤い」
「さぁ、行くのよしゃんはーーーい!」
「……酒かーーーー!」
いつの間にか、酒を飲んでたようだ。
酔ってる。結構酔ってる。
「うわーーー!ちきしょーーー!」
「シャンハーイ」
「むぐぐぐぐむがが」
「いけー!」
カチッ
「……ん?」
なんか、悪い予感がする。
とりあえず、手を離す。
「……ぷはっ」
「あら、あっけないわね」
持ってきた花火の方を見た。
こういうときの勘って言うのは必ず当たるもので―――
「魔法が発動してる……」
「どうしたの?」
「あら、魔理沙?」
……。
「お、おい!逃げるぞーーー!」
ルーミアとアリスを抱えて逃げる。
アリスの忠告を聞いて、準備は後にしておけばよかった。
「うおーーーーーーーーーーーーーーーー!」
箒にまたがり最大速度で飛ばし、博麗神社の方へ向かう。
ルーミアは何がなんだか分かってないようだ。
アリスは―――
瞬間、轟音。
「のわぁーーーーーーーーーーーーーーー!」
「きゃーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「うみゃーーーーーーーーーーーーーーー!」
大体5mほど飛んだところで強い風が自分をたたきつけた。
……反動で三人とも箒から落ち、地べたに倒れこむ形になる。
「……あ」
魔法、しかも作り物なので、私が作った花火は少し粗い。
そのため発射するときに周りに大きな火花が飛び散る。
だから逃げなきゃいけないワケだが……
忘れていた。
結界を張って森が燃えるのを防ぐ必要が―――
「しまっ―――」
ひゅるひゅるひゅる、と言う花火の音が聞こえる。
あわてて森の方を見返してみるが……
「……あれ?」
森には……何も変化は無い。
ついでに花火の音も聞こえない。
「結界、なんとかしたわ」
「……アリス?」
酔いからさめたのか。
しかし、これは?
「魔理沙の声を聞いたとき、ただ事じゃないと感じたのよ」
「……それで?」
「火花が散った瞬間に人形使って、前々からセットしていた結界を使っただけ」
「……さんきゅー、アリス」
相変わらず、切り替えの早いヤツだ。
こういうところでは、一生アリスには勝てないだろう。
「だから準備は後にしておけばよかったのに……」
「……過ぎたことだ、忘れろ」
「花火も、急遽使った結界の影響でおかしくなったみたいね」
「……なんだって!?」
「大丈夫、一発目だけみたいだから」
……安心した。
花火が全てパーになったら私の努力は何だったのか分からなくなる。
「ねー魔理沙ー」
「あ、ルーミア!」
すっかり忘れてた。
「何があったのー?」
「……えーと」
「ほら、魔理沙!二発目よ!」
「……え!」
「ねぇ魔理沙ー」
「ほら、ルーミアも!上見ろ!」
先ほどのような轟音は無い。
聞こえてくるのは、花火が上に上がっていく音。
そして―――――
花火の出す轟音。
そして綺麗な星型の輝き。
「すげぇ……」
「綺麗……」
「わぁぁ……」
今日あった色々なことが全て吹っ飛んでしまうくらいの衝撃。
「凄い……私が見たときよりも……」
「流石、私だな」
「あら、イメージしたのは私よ?」
「そうだな」
さっきまでの空気はまったく無い。
自動的に、三発目の花火が打ち上げられる。
「博麗神社から見ようぜ」
「そうね」
「戻るの~?」
「ああ、ルーミア早く来い」
「あ~あ、魔理沙のせいで服が汚れちゃったわ」
「お前らのせいでもあるだろ」
「魔理沙が変態なせいだと思う」
「おい!またその話かよ!」
「冗談よ、ふふ」
「まったく……」
もう一度空には綺麗な花火。
こんなことまで言われているけど。
私はとても幸せだった。
――――――――――――――――――――
「おーい、霊夢戻ったぞー」
「あ!すごいすごいすごーい!」
「……こりゃあ一本とられたわねー」
「ねぇ霊夢!凄いよ今の見たー?」
「あ、うん……」
レミリアが霊夢に絡んでいる。
相当酔っ払ってるぽいな。
……あいつ、酒飲めたのか?
「あ、魔理沙」
「どうだ?霊夢、すごいだろ」
「うんうん凄い凄いー!」
「レミリア、お前には聞いてな……判定はお前か」
「最高ねー」
「よっしゃ!」
アリスに向かってガッツポーズ。
あ、ちょっと苦笑いしてる。
そこにもう一発。なぜかルーミア型の花火。
「ああ、こんなのもイメージしてたっけ……」
「え、アレ私?」
「……多分そうだぜ」
実は、花火は百発もある。
これから、もっと楽しめそうだ。
「良かったぜ、こんなに綺麗なものをアリスと見れて」
「私も、魔理沙と一緒に見れて良かった」
「ねぇねぇ私はー」
「ああ、もちろんルーミアもだぜ」
もう一発、打ち上げられた花火。
今度は、ハート型の花火だった。
※最初ちょっとだけ痛いかも。百合的な意味で。
……む。
……むむ。
……むむむ。
頭の中に、霧がかかっている。
存在している、実感が無い。
あれ、なんだコレ。
「ねぇ魔理沙」
……ルーミアがいる。
「私、魔理沙とずっと一緒にいたい」
「……ん、ああ」
……あれ?
「魔理沙はどう?」
え~と、状況理解状況理解……
「私、魔理沙のことが好きなの」
「……えええ!?」
「キスして」
「……いやちょっと待て待て唐突になんだなんだ」
「ダメなの?」
「いや、ダメってワケじゃ……いやいやダメだって」
「なんで?」
「なんでって……おい、ちょっ、やめ」
ちょっ……ルーミア!顔近づけ……
「まりさ~!」
……やめろ離れろなんでこんなに積極的なんだ。
……大体ここはどこだ私は何をしているちょっやめ。
……おい、だから離れろって!
まったく同じ状況をどっかでみたことあるぞ!
コレはなんだ!夢かなんかか!
「まりさ~」
……。
「まりさまりさまりさぁ~」
かわいい……
コレが夢だとしたら。
絶対補正がかかってるって。
私の耐久力なんか余裕でオーバーキル……!!!
「……ルーミア!!」
「魔……ん、んむ、ちゅ……」
ルーミアの唇。
ルーミアの口の中。
ルーミアの舌……
……るぁぁぁぁぁちょっと待てぇぇぇぇぇ
「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」
自分は叫んだのだろうか。
目に最初に飛び込んできたのは……天井。
っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ……
……反射的に飛び起きたらしい。
いやいやいやダメだろ私。
馬鹿だろ私。
頭おかしいんじゃないのか私。
かんっぜんに目が覚めたよ。嫌な意味で……
――――――――――――――――――――
さて、落ち着いてきたので反省タイム。
一日が始まった瞬間に反省するってのもどうかとは思うが……
なんだよ、さっきの夢。
確かに夢の中では何してもいいかもしんないけど。
私にそんな趣味は……
いや、ルーミアはかわいいよ?それは認めるけど。
いや、その、アレはダメだろ。なんというか、ダメだろ。
……ってか夢の中とか展開速すぎだろ。
身体の自由が利かなかったような気がする。
きっと夢の中では自我が無いんだな、自制がきかないんだな。
つまり、私ではないということだ。
そうでも思わないと……いや、そうなんだ。うん。
しっかしなんでああなるんだよ……しかも一ヶ月前のアレを思い出させるような内容……
最近、多いんだよなぁ。
何でこんな夢ばっかり見るんだ私。
約一ヶ月前のアレは本当に思いだしたくない。
……ちょうど今日で一ヶ月か。
「ん?」
……一ヶ月前。
……一ヶ月前は、えーと……七月七日。
……今日は、八月七日……
「やばい!今日七夕だった!」
かんっぜんに忘れてた。
まじか。まじかよ。
こんな夢見てる場合じゃないぞ私。
見るならもうちょっと暇なときに……いやそういう問題じゃねぇ。
いや、でも見たいかも……あ、ああああああもう!ちげぇ!
準備!準備だ!今すぐ取り掛かる!
あああ動揺しすぎだ私!
よし、大きく深呼吸。
すーはー。
すーはー。
すー……ぶっ……
噴出しそうになったのは何故だろうか……
――――――――――――――――――――
さて、作ろうか。
作る作ると言いながらも、結局ほったらかしにして、今日か……
時の流れは存外速いものだ。
さて、早速取り掛か……
「な~にしてるの?魔理沙」
「ぅおっ!?」
いきなり視界がさえぎられ……
……ルーミアか。
今日もなんだか家に来たな。
一体どこに住んでるんだろう。
「どうしたの?魔理沙、ちょっとだけ顔赤いよ?」
「な、なんでもないぜ」
……朝の夢を思い出してしまった。
……いやいやいやアレは夢だ。夢の世界だ。
どーせ夢の世界だから何してもよかったんだから関係な……
「じゃなくてじゃなくてあーもう私……」
「どーしたの?」
「どーもしないぜ!」
「……そーなのかー」
ああ、ダメだ。なんかまともに顔見れねぇ。
べつになんてことはない。妖怪と人間が友達ってだけだ。
そう、友達。友人。仲間。
友達。
友人。
仲間。
大体そんな感じだ!きっと!
決してなんでもない!
……ってか、そこまで考える必要も無いか。
ルーミアは、ルーミアだ。
……ちょっと落ち着いてきたかな。
あ、友達と友人は同じだ。
さっぱり気がつかなかった。
ちょっとまだ動揺してるかもしれない。
「ねぇ魔理沙、何作ってるの?」
「ん?ああ、コレか」
ルーミアが指差しているのは、私が取り掛かろうとしていた物体。
……の元。まだ出来上がりの形すら思いつかない原料の状態。
「ええと……そうだな」
「何か作ってるの?」
「ああ、聞いたことは無いと思うが……花火ってヤツだ」
「花火?」
「ああ、綺麗で派手で大きな音がして……」
「……?」
「なんて言えばいいかな……」
私も資料でしか見たこと無いので何と言えばいいか分からない。
資料を見せるべきか……
「でも、それをこれから作るんでしょ?」
「まぁ、そうだな」
「じゃあ見れるね」
「……そうだな、楽しみにしてろ」
あるのは香霖からもらった外の世界の花火の本……つまり、さっき言ってた資料。
それと、それに必要な色々な原料やら何やら。
……正直、私の作り方は、外の世界の花火の作り方とは、まったく違うだろう。
そもそも外の世界の本なので、字がほとんど読めない。分かるのは、香霖が頑張って解読した一部だけ。
だから、正攻法で行くよりは、ここに載ってるサンプル画像を元に、それに似せた魔法をイメージして作り出す方法の方が簡単だと思った。
……というかその方法以外でははっきり言って無理だ。
「こんな無茶、するんじゃなかったかな……」
「どうしたの?魔理沙」
……考えてることが口に出てしまった。
「なんでもないぜ」
「わかった~」
色々考えてても仕方が無いな。
「よーし、じゃあ早速とりかかるか」
「横で見てていい?」
「ああ、別にいいぜ」
期限は今日の夜。
それまでには絶対に仕上げないと……
――――――――――――――――――――
「ふぅ……大体終わったな」
作業は約8割を終えた。
結構大変な作業だったが、ほぼ手探りの状態からのスタートだけあって、やりがいというものはあるものだ。
まだ完成はしていないが、この花火は作り出した、というよりも創り出した、という言葉の方が似合うだろう。
完成したときが、楽しみだ。
ただ、残りの2割に問題があるんだよな……
「ん?」
……時の流れは速いものだ。
もう、昼過ぎだぜ。
昼飯を食わなきゃ。
って朝飯すら食ってないな……
あれ?なんか忘れてるような……
「……あ、ルーミア!」
そういえば作業を始めてからずっとほったらかしにしていた気がする。
何かに集中すると周りのことに目が行かなくなるのは私の悪い癖だ。
今後改めていかないと……
多分ルーミアもう帰ったんじゃ……
……と思ったんだが。
寝てた。
すぐ横で。
まぁ、そうだろうな。
帰るんなら、一言かけていくだろう。
一言かけていったとして、それを私が聞いていたかどうかは微妙だが。
「おい、ルーミア、起き……」
……。
……。
……ヤバい。唐突だけど……
ルーミアが可愛すぎる……
いや、もうコレ趣味とかそういう次元じゃないって。
そうか、寝てる状態のルーミアはじっくりと見たことが無かったが……
相当な破壊力だぜ……
多分、1000人が今の状態のルーミアを見れば1000人……
いや、限界だって超えるさ。10000人の人が絶対に可愛いと思う。
それくらい可愛い。
「おかしいだろ……」
いつから私はこうなってしまったのか。
……いや、霊夢だってアリスだってこの状況に立ってみれば絶対に分かる。
そういう状況だ。
私は悪くない。何も変わっていない。
もう、何でもいい。
むしろ、ルーミアさえいれば……
いつもは元気にはしゃぎまわってるルーミア。
今聞こえてくるのは、寝息だけ。
ってかルーミアほんと可愛い。
ああ、もう、勢いだ。
こっからはもう本能に任せよう。
私の本能は。
ルーミアの後頭部側に手を回し。
ゆっくりと顔を近づけて……
「な~にやってんのよ」
……多分、射命丸もびっくりなくらいの速さで。
私は後ろ側に吹っ飛ぶくらいの跳躍を見せ。
最後に見えたのは家に入ってきたアリス―――
――――――――――――――――――――
「……」
「……」
沈黙が痛い。
どうやらあの後思いっきり後方に飛んだ私は、壁に頭をぶつけ、軽い脳しんとうを起こし、5分間くらい気絶していたらしい。
アリスはルーミアのことを知っている。
それだけダメージも深い。
「なぁ……」
「なんでしょうか、変態魔理沙さん」
「お、おい……」
「なんでしょうか、変態魔理沙さん」
「いや、まずその呼び方を……」
「何かご不満でも?変態」
……アリスの一つ一つの言葉が胸に刺さる。ってか最後の一言が一番きつい。
まぁ、な。
アリスの視点になってみれば、な。
私は、そこに関しては反論の一つも出来ないワケで。
「大体アリスもよ……」
「何よへんた」
「だからそれはもういいって!」
「……何よ」
「いきなり家に入ってくる方もどーかしてると思」
「何回もノックしたわよ」
「……」
「魔理沙ー!って何回も呼んだわよ」
「……」
何かに集中すると周りのことに目が行かなくなるのは私の悪い癖だ……
「だ、だからって……」
「だからって、何?」
「……なんでもないです……」
アリスの目が、なんだか怖い。
一体どんな目で、私を見てるんだろうか……
「変態行為に及んでいたことについての言い訳は?」
「……そんなことしてねぇ!」
「じゃあ何しようと思ってたの?」
「……」
「何がしたかったの!」
「……ア、アリスだってあの場にいたら多分同じことしてたって!」
「私は変態じゃないのでそんなことしません。するのは魔理沙だけ」
「だ、だから違う!誤解だ!」
とんでもないことをしてしまったのかもしれない。
……いや、したのだろう。
もしかしたら、私ってそういう趣味なのかな。
……。
……。
……いやいやいや違う!絶対に違う!
私にそんな趣味は……
今日はちょっと……そう、疲れてただけだ!
「あ、アレだ。アリス」
「何よ」
「人間っていうのはな、疲れてると何をしでかすか分からない生き物なんだ」
「……」
「お前には分からないと思うが、そういうことなんだ」
「……言いたいことはそれだけ?」
「うっ……」
信じてねぇー。
ま、そりゃあ仕方ないよな……
どうしよう、アリスの中では私は変態確定ですか。
「アリス、頼む、忘れてくれ……」
「さぁどうでしょうね」
「いや頼む、ほんと頼む、一生のお願いっ!」
「へぇーそーなのかー」
おちょくってやがる……こいつ……
もう、ヤケクソだ。
「……お前なんかと友達になったのが間違いだった」
「……え?」
「出てけ!お前なんか!もう!」
「いや、魔理沙、ちょっとちょっと」
「アリスなんか嫌いだぜ!ちきしょー!」
「……!?」
アリスを無理やり家から押し出す。
「い、いや、魔理沙、分かった、分かったから」
「……」
「アレは何かの間違い、そういうことでいいのね?」
「……」
「私は何も見なかった」
「……さんきゅ」
「だから、その……」
……何だ?
「嫌い、とか、言わないで……」
……なんだか、アリスまで可愛く見えた。
私は本当におかしいのかもしれない。
――――――――――――――――――――
ずずず。
ずずずずず。
「……ふぅ」
さっきの様子とは一変して。
部屋に広がるのは私とアリスがお茶をすすってる音だけ。
……私は普段、お茶なんか飲まないので、一応客だけどアリスが淹れてくれた。
ちなみにルーミアはまだ寝ている。
あの騒ぎの中でもまだ眠っているとは……
「平和なヤツだぜ……」
「……どうしたの?」
「いや、なんでもない」
今見ているルーミアは凄く可愛い。
でも、変な気を起こそうとまでは思わない。
やっぱり、疲れてるだけだったんだ。
そう、思いたい。いや、そうなんだ。そうなんだよ。絶対。
「で……」
アリスが口を開いた。
「今日来た用件なんだけど……」
「……そういえばまだ話を聞いてなかったな」
「たいした用も無いのに……あんなことしてた魔理沙が悪いんじゃない」
「な、なんだよ!忘れてくれるんじゃなかったのか!」
「……脳裏に焼きついて離れないわよ」
「まぁ、そうだよな……」
アリスが誰にも話さなければいいが……
「それで、用件」
「ああ……」
「コレ」
「……なんだ、コレ?」
アリスが手渡してきたのは、一冊の本。
「えーと……題名が読めない……」
「そりゃそうでしょ、外の世界の本なんだから」
「……なんでそんなもの、アリスが持っているんだ?」
「香霖さんに渡されたのよ」
……香霖?
「この前、面白いものがたくさんあるから行ってみな!ってあなたが言ってたじゃない」
「……そんなことあったっけか」
「まったく……人に言っといて自分はすぐに忘れるんだから」
「……いや、確かにあったような気がする。多分」
「適当なこと言わないでよ」
えーと、香霖の本だから……
「何の本だ?」
「はぁ……」
うわ、ため息かよ。
香霖になんか頼みごとでもしてたっけか……
「……まぁいいわ。それ、キノコの本よ」
「キノコ……」
……ああ、思い出した。
あの一ヶ月前のアレがあった後、なんのキノコなのか気になって気になって、香霖に頼んだんだ。
外の世界のキノコの本を探してくれ、って。
後々考えると、無茶な頼みだったなぁと反省した気がする。
理由とかまったく言ってないし。
……でも、流石香霖だな。
「で、寄ったついでに香霖に手渡されたワケか」
「魔理沙に渡してくれ、ってね」
「ふーん……」
「こんなことになるなら、魔理沙の友達ですとか言わなきゃよかったわ」
「こんなこと?」
「魔理沙が変態行為に」
「だからそれはもう言うなって!」
どこまで引っ張る気だよコイツ。
私だって反省してるんだから……
「いいわね魔理沙は」
「なんだよ……」
「あんな妖怪ともあんな仲になれるんだから」
「あんな仲って……ルーミアは、ただの友達だぜ」
「ふ~ん……」
「なんだよ……ひょっとしてお前、妬いてるのか?」
……あれ、顔赤い。
「妬、妬いてなんかいないわよ!」
「そうか?お前は友達いないからな、もうちょっと友達を増やした方がいいぜ」
……あれ、戻った。
「言葉の使い方間違ってると思う……」
「え?」
「と、とにかく、余計なお世話よ」
なんだか今日のアリスは全体的に変な気がしてきた。
……いや、私が変なだけか。
「そ、そういえばさ」
「なんだ?」
「魔理沙は、何をしてたの?」
「いや、だからその話は……」
「そーじゃなくて!」
アリスが指を指した方向は。
私が朝から作って……もとい、造っていたもの。
花火。
「あぁ、アレか」
「そう、さっきから気になってるんだけど……」
「えーと……なんて言えばいいかな」
「……?」
「花火ってヤツなんだが……」
「花火?」
「あぁ、なんて説明すればいいか……」
「花火って、あの花火でしょ?」
……え?
「お前、知ってるのか?」
「うん、ちょっと昔にね、色々あって」
「色々?」
「うん。あんまり話せないけど……そのときに、本物じゃないけど魔法で作り物の花火を見せてもらったの」
「おお……」
なんという幸運。
「じゃあアリス、手伝ってくれ!」
「え、え、何?」
強引に作業場へアリスを引っ張っていく。
「ちょうど悩んでたんだよ、そこだけ」
「え、何が?」
「お前、花火見たことあるんだろ?」
「うん、さっき言ったとおり……」
「じゃあ、イメージしてくれ」
一度見たことがあれば、それは簡単にイメージできる。
資料だけでは分からないことも多い。
それが花火となれば、なおさらだと思う。見たことは無いが。
目で見て、耳で聞いて、肌で感じる。
それをやったことがあるアリスなら……
「……なるほど、魔理沙の言いたいことは分かったわ」
「流石アリス、言わなくても分かったか」
「要するに、あなた、花火見たこと無いんでしょ?」
「ああ」
「で、イメージできないと」
「そういうことだぜ」
色々あったけど。
今日はアリスが家に来て良かった。
「私に、任せなさい」
さっきは可愛く見えたアリスが、今度はとても頼もしく見えた。
――――――――――――――――――――
「アリス、大丈夫か?」
「うん……そういう魔理沙こそ、大丈夫?」
「大丈夫だぜ……」
「本当に、起動装置はスイッチ一つで大丈夫?」
「後で準備するのも面倒だろ」
「間違って押しちゃったときに危ないと思うんだけど……」
「大丈夫だ」
作業は終わった。
アリスのイメージどおりになったのかは分からない。
でも、多分上手くいったと思う。
「……まぁ、お疲れさん」
「……あなたもね」
ふふっ、と二人して笑いあう。
予想以上に疲れる作業だった。
流石に花火だけあってスケールが大きい。イメージだけで時間もかかった。
外を見ると、もう日が暮れかけていた。
「何かに集中すると周りのことに目が行かなくなるのはお前の悪い癖だな」
「何言ってるのよ、魔理沙でしょ?」
「いいやアリスだな」
「魔理沙よ」
「アリスだろ」
「魔理沙」
「アリス」
「魔理沙」
「アリス」
「魔理沙」
「アルィ……ぅえっ舌噛んだ……」
「……ふふっ」
さっきとは打って変わったこの状況。
なんだか幸せだ。
ルーミアもだけど、アリスだって私の大切な友達だ。
「なぁ、アリス」
「何?」
「今日は花火、一緒に見るか?」
「……いいの?」
「ああ、お前も一緒に作ったんだ、当然だろ?」
「魔理沙……」
アリスの笑顔がはじけ……
とそのとき。
ずしっ、と背中になんか重いものが。
「魔理沙~」
「お、今頃起きたのか、ルーミア」
「おはよ~」
「花火は出来たぜ」
「そーなのかー」
そういえば、ルーミアもいるんだったな。
「一緒に見ようぜ」
「うん、魔理沙と一緒に見る~」
ふと、アリスのほうを見ると。
残念そうな顔をしていたように見えた。
「……ええ、そうね。三人で行きましょう」
のは気のせいだろう。
「ああ、三人で行こう」
「楽しみね」
「ねぇねぇ魔理沙、この人だれ?」
そういえば、初対面か。
まぁ、ルーミアには以前からアリスの話はしてるから……
「ルーミア、この人は私の友達で、アリスだ」
「ありす?」
「ああ、アリス・マーガ……なんだっけ」
「魔理沙、友人の名前を忘れるとはいい度胸じゃない」
「えーと、えーと……」
「ねぇ魔理沙、アリスって、この前私に話してくれた人?」
「あぁ、そうだぜ」
「マーガトロイドじゃなかった?」
……。
「そう、それだ。流石ルーミア」
「なんでルーミアが知ってて魔理沙が知らないのよ!」
「いや、すまんすまん」
「ってかルーミアに話したときは覚えてたんでしょ?あなた、わざとやってない?」
「いやいや、そんなことは無いぜ」
「怪しい」
「単なるド忘れだ。別にからかってるつもりは……」
「ねぇねぇアリスって可愛い名前だよね」
いきなりルーミアが一言。
「え、そうかしら……?」
「……ふふふ」
「な、何よ魔理沙」
「いや、なんでもない」
「……と、とりあえず!」
「とりあえず?」
「……そういえば」
……?
「何で花火なんて作ってるの?」
「……ああ、そういえば、説明してなかったな」
「なんでこの時期に花火なんだか……」
「うーん、説明すると長くなりそうだな……」
外を見てみる。
もう日は暮れていた。
「もうコレを使う時間が近い」
「え?今日やるの?」
「外を歩きながら、話すよ」
「……そうね」
とりあえず。
私達は、魔法で出来た花火を持って外に出た。
向かう先は、博麗神社だ。
――――――――――――――――――――
「それで、作った理由って?」
「ああ、順を追って説明してくか……」
歩いているのは、私とルーミアとアリス。
なかなか無い組み合わせだと思う。
ルーミアは、私の説明などどうでもいいのか、前をずんずん歩いている。
「まず、今日が何の日か知ってるか?」
「え、八月七日……」
「そう、八月七日だ」
「特に、何も……なんかあったかしら?」
「ああ」
一呼吸おいて、告げる。
「七夕だ」
七夕。
織姫と彦星が一年に一回会えるという行事。
のはずだったが。
「七夕……って、何?」
「まぁ、簡単に言うと、外の世界の行事だ」
「なるほど」
「織姫と彦星が天の川っていうところで一年に一回だけ会える……っていう話らしい」
「織姫、彦星って?」
「星だ、多分」
「……ふーん、よくわかんないけど、ロマンチックなのね」
「……そうだな」
ただ、一つ矛盾してることは……
「……七夕は、今日で、今年三回目だ」
「……は?」
「六月七日と、七月七日にもあった」
「あった、って……一年に一回じゃないの?」
「まぁ普通はそうなんだけどさ……」
「おかしいじゃない」
「まぁ、七夕を作ったの霊夢だしな」
「え、霊夢?」
「ああ」
もともと七夕なんて行事は幻想郷には無い。
大体、星同士が一年に一度会うなんて。
月にウサギが住んでることが分かっている世界だしな。
そんな変な想像、だれもしないだろう。
「霊夢が、外の世界の文献見つけて、七夕やろうって言い出したらしい」
「よく読めたわね、霊夢」
「そこら辺は色々あったらしいが……とにかく、外の世界では場所によって七夕の日付が違う」
「ふーん、じゃあ幻想郷も一つに絞ればいいじゃない」
「まぁ、そこには霊夢なりの深いワケがある」
「確かに、霊夢にも七夕をやる意味があるわよね」
ここでもう一度一呼吸。
「霊夢は、宴会がやりたいだけ」
「なるほど納得」
まぁ、理由はそんだけだ。
なんか行事があると、あいつはそれにかこつけて宴会をやりだす。
ちなみに外の世界では六月七日に七夕は無い、と言う噂がある。
つい最近では、霊夢が勝手に作った説が濃厚らしい。
あいつはどれだけ暇なんだろうか……
「でも、それがあなたが花火を作る理由と何の関係が?……あ、ただの余興で作ったの?」
「いやいや私もそこまで暇じゃない」
「じゃあなんで?」
「それが……」
……あんまり言いたくないけどな。
仕方ないか……
「七夕の宴会、一回目と二回目のときに私は行ってないんだ」
「……」
「で、なんでこなかったんだ!と」
「招待はされたの?」
「……まぁ、されたっちゃあされたかな」
「……?どういうこと?」
……。
「……ポストの中に、招待状が入ってたんだ」
「ポスト?あなたの家に……確かにあったわね」
「気付いたのは、七月十日」
「……」
「午前中に、霊夢と会ったときに、何でこなかったのよ!って言われた」
「そりゃああなたのミスね……」
「で、帰ってポストを開けてみたら入ってた」
「……」
「まさか手紙なんか来ると思ってなくてな……一年くらい開けてなかった」
「馬鹿じゃない……」
「別件のも含めて十枚くらい入ってた、流石に反省してる」
いろいろガサツだとは言われているが。
最近はこれでも気にするようにしてるんだぜ……
「霊夢とは、六月七日以前、会ってなかったの?」
「いや、会ってる」
「じゃあ、霊夢も会ったときに言えばいいのに」
……それは私も思った。
が。
「会ったときに限ってそういうのは、言うの忘れちゃうんだってさ」
ワケわかんねぇよな。
「……分かるわ、その気持ち」
「分かるのかよ……」
「うん」
「……」
「ま、まぁいいじゃない!そのおかげで、今コレがあるんだからさ」
「……そうだな」
私の持っている花火。
ある意味、新しい魔法を編み出すよりもいい仕事が出来たかもしれない。
こんなの作ったの、久しぶりだし。
「……で、何で作ったの?」
「ああ、そんでもって、罰として三回目の今日に、なんか見世物をしろといわれたんだ」
「それで花火なのね」
「見世物どうしよう、と考えながら香霖の店に行ったら、花火の本を見つけてな」
「なるほど」
「運命を感じちゃったワケだ」
「ふーん」
「はい、以上、説明終わり」
長々としゃべってるうちに、博麗神社にもう近づきつつある。
宴会はもう、始まってることだろう。
「ねぇ魔理沙~おなかすいた~」
「そうか、もうすぐ着くから待ってろ」
「そうね、私もおなかが空いたわ」
そういえば、私も朝から何も食べていない。
よく動けるな、私。
「よし、まずは腹ごしらえだな」
「早く行きましょう」
「んじゃ、飛んでいくか」
説明のために歩いていたが、ひとっ飛びしていくことにした。
「それにしても」
「……なんだ?」
「一回目の七夕が終わった後に言えばいいのにね。なんでこなかったんだ!って」
「……まったくだぜ」
行ったら霊夢に文句の一つでも言ってやろう。
「よし、善は急げだ!行くぞ!」
……善かどうかは微妙だが。
――――――――――――――――――――
「うわ……結構人いるな……」
「ほとんど妖怪じゃない」
「すごーい」
博麗神社に着いて、まず目に飛び込んできたのは、外で宴会をしている妖怪たちだった。
「意外と広いんだな、博麗神社」
「霊夢はどこかしら?」
「わ~、お酒がいっぱい~」
ルーミアが妖怪の方に寄っていく。
「まぁ、人型の妖怪ばっかだな」
「流石に霊夢も危ない妖怪は連れてこないでしょ」
「ねぇねぇ魔理沙~飲んでもいい?」
話聞いてないなルーミア……
……う~ん。
酒飲むと、こいつが危ない妖怪になりそうな気が……
「ダメだな」
「え~」
「ルーミアが酒飲むとどうなるのか分からん」
「あら、いいんじゃない?別に」
「……とりあえず霊夢に会おうぜ」
「え~」
酔っ払った状態のルーミアを思い浮かべてみる。
……想像が、一ヶ月前のアレになりそうだったので、止めておくことにする。
さて、霊夢だ。
しばらく会ってなかったし、文句も言わなきゃいけない。
「さて、霊夢霊夢と……」
「ねぇ魔理沙」
「ん、なんだアリス」
「ルーミア、別に大丈夫かしら?」
ふと、ルーミアの方を見てみる。
どこにおいてあったものかは知らないが、骨付き肉のようなものを豪快にかじっていた。
「……まぁ、いいんじゃないか?」
肉食ってる分には別にいいだろう。
勢いで酒まで飲んじまわないか心配だが。
「さ、霊夢霊夢……」
正直、ルーミアが酔っ払っているのをちょっと見てみたいというのもあったりして。
「あ、魔理沙~!」
霊夢は簡単に見つかった。
……というか普通にそこにいた。
「今度はちゃんと来たのね」
「当たり前だ」
「なんか連れもいるみたいね」
「ああ、アリスだ。お前も会ったことあるだろ?」
「こんばんは、霊夢」
「……こんばんは」
「霊夢……お前、なんか不機嫌そうだな」
「別に」
「今日はあいつもいるぜ」
ルーミアのほうを指し示す。
「ふ~ん」
「んじゃ、見世物の方を……」
「三人分」
「……は?」
「お金」
「……」
「代金」
「……まじか」
金取る気かよ。
考えてみりゃあ霊夢の金だけでどうにかなるとも思えない。
なるほど、そういうことか。
「残念ながら持ってないぜ」
「じゃあ帰れ」
「……お、おい、ひどいな。そこは親友のよしみで何とか……」
なんとかならんかな~。
……ってか、ここにいる妖怪は全員払ってるのか?
「分かったわ」
「お、流石霊夢、話の分かる……」
「仕方ないからツケといてあげるわ」
「……結局払うのかよ!」
「3人分ね」
「お、おい、ルーミアはともかくなんでアリスの分まで」
「頼んだわよ魔理沙」
「お、おい!アリス!」
「で、見世物って何なの?」
「無視すんな!」
こいつら、人権というものをもう少し考えろ……
見世物とかそういう場合じゃ……ん?
待てよ?
「いいこと思いついちゃったぜ……」
「……魔理沙?」
「ああ、霊夢、ちょっとその見世物なんだが」
よし……!
「ちょっとした賭けをしようか」
「賭け?」
そう、賭け。
「私は今から持ってきた見世物を披露しよう」
「……それで?」
「それを……凄いと感じたらチャラにしてくれ」
「……は?」
「もちろん、たいしたものじゃないと感じたら払ってやるよ。三人分な」
「なるほどね」
もちろん、霊夢に判定をさせたら不公平が生じる。
「判定は、霊夢じゃダメだ。他のヤツにさせる」
「……誰にさせるの?」
「どっかそこら辺の適当なヤツ……」
辺りを見回してみる。
花火のよさが分かりそうな妖怪はいないものか……
「その役目、私が引き受けたわ」
後ろから声がした。
声のした方向へ、振り向いてみると―――
「……レミリア!?」
「久しぶりね」
「……ああ」
うってつけなヤツが来た。
なんか優雅そうでプライドがあって。
見栄っ張りで芸術のことなんか一ミリも分からなさそうなヤツ。
今日の私は人に恵まれている。
「何でお前が来てるんだ?」
「……ちょっと、暇つぶしにね」
「珍しいな」
「年に一回の七夕……ってパチュリーに聞いたのよ」
……うーん。
パチュリーも微妙に間違えてるな。
正確には日付やら霊夢の話やら理由やら色々あるけど……
まぁ、いいか。
「よし、いいな?霊夢」
「異論は無いわ」
「よし、じゃあ見てろよ霊夢」
「すぐに見れるの?」
「準備がある。三十分くらい待ってもらおうか」
霊夢にギャフンと言わせてやろう。
なら、すぐに……
「よし!アリス、ルーミア、行くぞ!」
「え、ちょ、ちょ、ちょっと!」
「……ああ、私のお肉ー」
近くで話を聞いていたアリスと、いまだに肉にかじりついているルーミアを引っ張っていき。
私は神社の横の方にそれて進み、夜の闇に消えた。
……いちおう近くにあった大皿は、丸ごと持ってきた。
――――――――――――――――――――
「よし、準備に取り掛かるか」
博麗神社から約20m程離れた森の中。
あんまり近くで見るといけないので、セットしたら神社に戻るつもりだ。
「ねぇ魔理沙」
「……なんだ?ルーミア」
「食べなくていいの?」
……そういえば、腹ごしらえすると言っていながらしてなかったな。
よく動けるな、私。
「とりあえず、食うか……」
持ってきた大皿には、よく分かんないでかい肉が乗っている。
……肉しかないのか?
流石霊夢、仕事が雑だな……
「まぁいいか」
腹が減ってるときは何を食ってもおいしいものだ。
腹を満たせれば何でもいい。
肉にむしゃぶりつく。
「えと、ルーミア?」
「……アリス?だったっけ?」
うーん、なかなかおいしい。
アリスにも勧めよう思ったが、なんだかルーミアに話しかけてるみたいだ。
「あのさぁー」
「なぁに?」
「魔理沙に、変なことされなかった?」
「ぶほぁーーー!」
盛大に吹いた。
「げほっ、げほっ……お、おい、アリス!何聞いて」
「変なことってなぁに?」
「体触られたりとか、その……キスしてきたりとか」
「えーとね……」
「おい!アリス!そんなこと私はしてな」
「された~」
「おい!ルーミア!」
ちょちょちょ待て待て待て待て待て。
「魔理沙!」
「いやいやいやアリス!誤解誤解!誤解だって!」
「見損なったわー!」
「おい、ルーミア!私はそんなことしてないぞー!」
「え~……一ヶ月前くらいに……」
……あ。
アレか……。
「他に何かされなかったの~?」
「おい!アリス!」
「う~んとね、他に……」
「おい!ルーミア!やめろ!」
「脱がされ……むぐぐ」
お前は勝手に脱ぎだすだろが!
余計なことしゃべるんじゃ……
「……今よシャンハイ!今こそ魔理沙の秘密を明かすとき~」
「こいつ……いつからそんなもの……」
ダメだ、やばい。
なんか人形出てきた。
絶体絶命。
アリスがこんなことしてくるとは夢にも思わなかった。
一体、なぜ……
「……顔が赤い」
「さぁ、行くのよしゃんはーーーい!」
「……酒かーーーー!」
いつの間にか、酒を飲んでたようだ。
酔ってる。結構酔ってる。
「うわーーー!ちきしょーーー!」
「シャンハーイ」
「むぐぐぐぐむがが」
「いけー!」
カチッ
「……ん?」
なんか、悪い予感がする。
とりあえず、手を離す。
「……ぷはっ」
「あら、あっけないわね」
持ってきた花火の方を見た。
こういうときの勘って言うのは必ず当たるもので―――
「魔法が発動してる……」
「どうしたの?」
「あら、魔理沙?」
……。
「お、おい!逃げるぞーーー!」
ルーミアとアリスを抱えて逃げる。
アリスの忠告を聞いて、準備は後にしておけばよかった。
「うおーーーーーーーーーーーーーーーー!」
箒にまたがり最大速度で飛ばし、博麗神社の方へ向かう。
ルーミアは何がなんだか分かってないようだ。
アリスは―――
瞬間、轟音。
「のわぁーーーーーーーーーーーーーーー!」
「きゃーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「うみゃーーーーーーーーーーーーーーー!」
大体5mほど飛んだところで強い風が自分をたたきつけた。
……反動で三人とも箒から落ち、地べたに倒れこむ形になる。
「……あ」
魔法、しかも作り物なので、私が作った花火は少し粗い。
そのため発射するときに周りに大きな火花が飛び散る。
だから逃げなきゃいけないワケだが……
忘れていた。
結界を張って森が燃えるのを防ぐ必要が―――
「しまっ―――」
ひゅるひゅるひゅる、と言う花火の音が聞こえる。
あわてて森の方を見返してみるが……
「……あれ?」
森には……何も変化は無い。
ついでに花火の音も聞こえない。
「結界、なんとかしたわ」
「……アリス?」
酔いからさめたのか。
しかし、これは?
「魔理沙の声を聞いたとき、ただ事じゃないと感じたのよ」
「……それで?」
「火花が散った瞬間に人形使って、前々からセットしていた結界を使っただけ」
「……さんきゅー、アリス」
相変わらず、切り替えの早いヤツだ。
こういうところでは、一生アリスには勝てないだろう。
「だから準備は後にしておけばよかったのに……」
「……過ぎたことだ、忘れろ」
「花火も、急遽使った結界の影響でおかしくなったみたいね」
「……なんだって!?」
「大丈夫、一発目だけみたいだから」
……安心した。
花火が全てパーになったら私の努力は何だったのか分からなくなる。
「ねー魔理沙ー」
「あ、ルーミア!」
すっかり忘れてた。
「何があったのー?」
「……えーと」
「ほら、魔理沙!二発目よ!」
「……え!」
「ねぇ魔理沙ー」
「ほら、ルーミアも!上見ろ!」
先ほどのような轟音は無い。
聞こえてくるのは、花火が上に上がっていく音。
そして―――――
花火の出す轟音。
そして綺麗な星型の輝き。
「すげぇ……」
「綺麗……」
「わぁぁ……」
今日あった色々なことが全て吹っ飛んでしまうくらいの衝撃。
「凄い……私が見たときよりも……」
「流石、私だな」
「あら、イメージしたのは私よ?」
「そうだな」
さっきまでの空気はまったく無い。
自動的に、三発目の花火が打ち上げられる。
「博麗神社から見ようぜ」
「そうね」
「戻るの~?」
「ああ、ルーミア早く来い」
「あ~あ、魔理沙のせいで服が汚れちゃったわ」
「お前らのせいでもあるだろ」
「魔理沙が変態なせいだと思う」
「おい!またその話かよ!」
「冗談よ、ふふ」
「まったく……」
もう一度空には綺麗な花火。
こんなことまで言われているけど。
私はとても幸せだった。
――――――――――――――――――――
「おーい、霊夢戻ったぞー」
「あ!すごいすごいすごーい!」
「……こりゃあ一本とられたわねー」
「ねぇ霊夢!凄いよ今の見たー?」
「あ、うん……」
レミリアが霊夢に絡んでいる。
相当酔っ払ってるぽいな。
……あいつ、酒飲めたのか?
「あ、魔理沙」
「どうだ?霊夢、すごいだろ」
「うんうん凄い凄いー!」
「レミリア、お前には聞いてな……判定はお前か」
「最高ねー」
「よっしゃ!」
アリスに向かってガッツポーズ。
あ、ちょっと苦笑いしてる。
そこにもう一発。なぜかルーミア型の花火。
「ああ、こんなのもイメージしてたっけ……」
「え、アレ私?」
「……多分そうだぜ」
実は、花火は百発もある。
これから、もっと楽しめそうだ。
「良かったぜ、こんなに綺麗なものをアリスと見れて」
「私も、魔理沙と一緒に見れて良かった」
「ねぇねぇ私はー」
「ああ、もちろんルーミアもだぜ」
もう一発、打ち上げられた花火。
今度は、ハート型の花火だった。
アリスの呼び方がおかしかったんで気になっちゃいました
……なるほど。
こーりんの名前は知ってます。一応他の方の過去作品を見直して、こーりんの呼び方を調べてみたら、香霖がよく使われているっぽかったので、こうしました。
ただ、アリスの呼び方まで考えてなかったな……修正まではしませんが、ご指摘、ありがとうございました。(次あたりでなんか理由付けするかも)
こうやって評価してくれる人がいる限りは、もっと頑張ってみたいと思います。