Coolier - 新生・東方創想話

コイバナで飯3杯!

2011/05/26 18:04:38
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あれ?


扉の外に気配を感じ、霊夢はフイと振り返った。

彼女の視線の先には、粗末な木の扉が静かに佇んでいる。香霖堂の店の扉だ。

(誰か居る?)

店内には、能天気なトーンで魔理沙と早苗のバカ笑いがこだましていた。


今日も森近霖之助を冷やかしに来ているのは、ひとえに暇つぶしの為。
居合わせた魔理沙と早苗の三人で、霖之助をネタに話が盛り上がってきた矢先の事である。

「でさぁ、香霖たらバカなんだぜ? 『見ろ、人がゴミの様だ』なんて言ってやんの!」
「うわー! サイッテーですね! サイッテーです!」
「誰もそんな事言ってないだろう……」

げらげらと笑い転げる魔理沙と早苗の二人をよそに、霊夢は目線の先の扉をぼんやりと眺め続けている。
ついさっきまで自分もその輪の中にいたのだが、ふと感じた扉の向こうの気配に、気持ちが完全に逸れてしまっていた。

「ん? 霊夢、どうかしたのか?」

霖之助はいつもどうりやれやれと言った体で弁明していたが、あらぬ方向に顔を向けている霊夢に気がついた様だ。

「霖之助さん、誰か来てるわよ?」
「ん? そうか?」

霊夢がそう言うと、霖之助はメガネを直しながら顔を上げる。お客さんだと思ったのだろう。
ばんと弾かれたように扉が開いたのは、ほぼ同時だった。

「どうも~!! 文々。新聞です~!!」

勢い良く開いた扉の向こうで、射命丸文がいつも通りの笑顔を振りまきながら立っていた。




「どうもあやしいなぁ」

神社の縁側で魔理沙が腕を組んでいる。
その傍らでは、魔理沙と早苗の他、紫とアリスもやってきて霊夢にお茶をたかっていた。神社で繰返される、いつもの日常の風景だ。

「はあ? どうしたのよ? いきなり」

何の前触れも無いフリに、霊夢は首を傾げる。

「昨日の文の事だよ」
「文の?」
「ああ、何かおかしくなかったか?」
「ん、ああ……」

霊夢はぼんやりと、昨日の香霖堂での出来事を思い出した。
大した出来事ではなかったのですっかり忘れてしまっていたが、文のちょっとおかしな行動に霊夢は首を傾げたのだ。

「文がどうかしたの?」

霊夢の足元のお盆に、アリスの手が伸びる。自前のクッキーを摘む為だ。

「ああ、昨日ね。文が香霖堂に新聞を届けに来たんだけど、その時の様子がちょっと変だったのよ」
「変?」

怪訝に首を傾げる紫。

「なんか店の前で、しばらく様子を伺ってたような気がするのよねぇ。配達なら直ぐに渡せばいいのに……」

何となしに、霊夢はぼんやりと空を見上げた。
雲の少ない平凡な空を、霊夢の瞳が無感情に写した。

「特別な用があるならまだしも、配達だけしてさっさと帰っちまったもんなぁ、……どうも変だぜ」
「しかも、霊夢さんが気づいたとたん出てきた様な感じでした。何か見つかったから出てきたみたいな不自然さがありましたね」

耳に入ってくるのは、魔理沙と早苗の上ずった声色だ。

「へぇぇ~~」

紫は何やら顔にいやらしげな笑みを浮かべている。
その笑みは、いつもの胡散臭い大妖のものとは少し違う。人間臭い、好奇に満ちた口元だった。紫はそれを扇で隠して、ぬらりと身を乗り出している。

「それってもしかしてぇ……」
「好きなのかもしれないなぁ。香霖のこと」
「やっぱりっ!?」

魔理沙のセリフを待っていた様に、早苗がひときわ大きな声を上げた。

「やっぱり魔理沙さんもそう思います!? 思います!?」

早苗は嬉々とした表情で、魔理沙にずいずい詰め寄っている。

「なんか、香霖が話しかけても逃げるように帰っちまったもんな~」
「そうそう! そうですよね!? 変でしたよね!? 絶対キョドッてましたもんね!?」

早苗はやたらとハイテンションで騒ぎ始める。他人のこういう、いわゆる「恋話」はどツボなのだろう。目をキラキラさせながら身を乗り出し、魔理沙の手なんか握っている。

「は~! いいですねぇ! これはご飯が要りますよ! 霊夢さん! すぐにご飯を炊きましょう! お赤飯でもいいです!」
「はぁ? なんでご飯がいるのよ?」
「私コイバナ大好きなんですよ!! もうこれだけでご飯が何杯でもいけるんです!」

ハイテンションで騒ぎまくる早苗に、霊夢はため息をついた。ただ、彼女は彼女で、こんな生き物をまともに相手していたら米がいくらあっても足りないと、何かズレた事を考えているのだった。

「ホント? それってホントなの!?」

紫も縁側に身を乗り出して食いついている。
アリスは一見クールを装っているが、傍らの人形達がパンクな表情でエアギターを演技しまくっている。やはり興味があるのだろう。

「好きなんですかね!? 文さん! 好きなんでしょうか!?」
「私は少なくともそう感じたぜ、昨日の反応を見る限りはな」

紫は扇で顔を隠して、乙女の様にきゃーきゃーやっている。傍らで霊夢が冷やかな視線を送っているが動じるそぶりは無い。大妖は得してこう言う所が図太い。

「しっかし香霖ねぇ~~。どこがいいのかね? あんなやつの」
「あれ? 魔理沙、霖之助さんの事好きじゃないの?」

霊夢のセリフに魔理沙は、ごぶっと茶を噴き出した。

「ごほっ、ごほ! な、なんだよ藪から棒に!?」
「私、魔理沙は霖之助さんの事好きなのかと思ってたわ」
「そうねぇ~そういう話は良く聞くわね」

なんだそりゃあ、と魔理沙は咳き込みながら、エプロンに散った茶をごしごしと拭う。
気づけば紫と早苗の好奇の目線が射るように注がれている。
それとは別に物凄い怨念も感じるのだが、それは今は全力で無視だ。

「あ、あいつの事は確かに好きだけどなあ。そんな恋愛対象になんて思ったことも無いぜ」
「なんだそうなの?」
「ビックリするぜ……いきなり。お前らそんな風に思ってたのか……」

魔理沙は頭をガシガシと掻いた。周りの思わぬ誤解に戸惑っている様だ。

「ん~……ホントっぽいですね……おしいな~。三角相関図が出来上がりつつあったのに」

早苗が聞き捨てなら無い事を言っているが、魔理沙はスルーした。
何よりも別方向から迫って来る、七色の暗雲がカラッと晴れたから、そちらの方がほっとしたのだ。

「あいつは兄貴分だよ。確かに肉親並のものを感じちゃあいるが、それまでだぜ」
「まあ、そうよね、霖之助さんだもんね」

霊夢はそういってあっはっはと笑った。
どうやら霊夢は、霖之助を男として相当低く見ているらしいという事が分かったが、早苗はあえてそれには突っ込まなかった。

「いやいや、ああいうタイプはコアなファンがいるものです」
「うわぁ!!??」

突然後ろでした声に、全員が飛び上がった。

「こんにちわ、永江衣玖です」

霊夢にすら気付かれずに背後に現れた竜宮の使いは、テレビのお天気お姉さんの様に恭しく頭を下げた。

「ちょ、おま……忍びか!」
「忍びではありません。……『竜宮の使い』です」

衣玖はそういって、シャキーン!とポーズを決める。

「い、いつの間に湧いてきたのよ!?」
「ついさっき、空気を読んで」

霊夢の足元のお盆からクッキーを拝借しつつ、衣玖は行儀良くまた頭を下げた。

「話は全てお聞きしました」
「いや、勝手に聞いてんじゃ無いわよ……」
「人の好みは十人十色。事に森近さんは、あれでなかなか優しいところがあります。ドギュュゥンとくる女性がいても何ら不思議ではありません。私はそう思います」

衣玖は唖然とする周囲をよそに、勝手に持論を展開していく。「うん、これはなかなか」とか呟きながら、どんどんクッキーにも手を伸ばしていく。

「こ、香霖が? そうかなあ?」
「それにどちらかと言うとイケメンの部類にも入ります……モグモグ」
「ん、ん~、まあ……そう、ですね……」

早苗が首をひねらせながらも納得する。彼女的にはK点ギリギリなようだ。

「それにあの薀蓄はソの気がある女性には堪らないでしょう。ことに文さんは天狗です。天狗達は一見他を見下している様に見えて、実は人間や妖怪の知識人に憧れに近い感情を秘めているものです。憧れが転じて恋愛感情に変化するのは良くある事。文さんもその例にもれないという事は十分に考えられるのです」
「はあ……」

突然にして現れた衣玖の薀蓄に、少女達は呆然として聞き入っている。

「あ、でも、ハイ」
「早苗さん」

手を挙げる早苗を衣玖は指差す。
場の空気をいつの間にか衣玖が掌握していた。恐るべきは「空気を読む程度の能力」

「でも、霖之助さんはこう言っては悪いですけど、結構抜けたところがありますよ? 知識はありますが、インテリというのとは少し違う気がするんですが……」
「確かにそうね。霖之助さん結構バカだもんね」

霊夢は何気に攻撃力のある発言をする。
いったい香霖のことをどう思っているんだと、魔理沙はそっちの方が気になった。

「それは妖精が人間に憧れて、飲めもしない珈琲を嗜む様なものです。強い憧れがあれば相手が何を言ってもかっこよく見えるものです」
「は? はあ……」
「確かに森近さんはたまに薀蓄がハァ?みたいな方向に向く事が多々ありますが、そう言うものに弱い女性から見れば、それも結構格好良く見えてしまうものなのです。文さんはああ見えて純粋な女性です。なんだか良く分からないけど、この人頭いいかも、でそれが恋愛感情に変化するのは、言わば生徒が教師に恋をするようなもの。純粋無垢な文さんが盲目的に恋に落ちるのは、なんら不自然ではないのです」

衣玖の言葉に一同は口を開けて相槌を打つ。紫やアリスなどはいつの間にか正座になっていた。

「モグモグ……ウマス」
「じ、じゃあ、どうすれば……」

紫がおろおろと不安げな目線を彷徨わせている中、衣玖は無表情でクッキーを摘み続けている。

「セッティングしてみるとかはどうかしら?」

アリスはド真剣な表情で具体案を出している。その横で、これも真剣な顔でうんうんと頷いている早苗。

「そうですね、それはいい考えですが、まだ早計でしょう。先ずは文さんの心の内を確認するのが先決です」
「な、なるほど、そうね……」
「確かにな……私は好きなんじゃないかって言ったが、それはあくまで憶測に過ぎないものな……」

魔理沙はやや自信がないのか、慎重な表情で腕を組んでいた。

「あさっての宴会に文誘ってみたらいいじゃん」
「それですっ!」

衣玖は霊夢をズバリと指差した。

「その宴席で、尋問では無いですが、文さんにカマを掛けてみましょう。そこで確証が得られれば、はじめて次の段階に移行するのです」
「なるほど……隙を生じない二段構えと言うわけね」
「そこで紫さんにお願いです」
「へ? わ、私?」

いきなりのフリに紫は素っ頓狂な声を上げた。
衣玖は紫の肩に力強く両手を置いて言う。

「文さんとの折衝役をやってもらえませんか?」
「ええ? 私が!?」
「いや、とはいっても普通に会話するだけでいいのです。その中に、幾つかの質問項目を盛り込んでおいて、それを会話の流れで出すのです」
「おお、そりゃあなかなかおもしろそうだな!」
「その時の文さんの反応で、私達が判断するわけです。どうでしょう? お願いできますか?」

衣玖は紫の目を真っ直ぐ見つめている。紫は不安げに視線を彷徨わせて震えている。

「で、出来るかしら…… 私に、そんな大役……」
「大丈夫です。私達もすぐ横で会話に加わります。いざとなればフォローも出来るのです。安心して下さい」
「そ、そう、それなら……」

横にいる早苗が、不安な表情を浮かべる紫の手を握ってあげていた。

「宴会には肝心の文さんは当然呼んでありますね?」
「さあ、どうだったかしら? いつも通りなら来るんじゃないの?」
「それではいけない。文さんには是が非でも来てもらわなければ。……魔理沙さん」
「おう」

魔理沙は得たりとばかり進み出る。

「あさっての宴会に是非とも文さんを連れて来てください。彼女が来なければ作戦はすべて意味をなさないのですから」
「ああ分かった。身の引き締まる思いだぜ……」

そう言って魔理沙は緊張した表情で頷いた。
平和な昼下がりの神社の縁側。少女達は異様に興奮した面持ちで、あさっての宴会のウラ計画を進めていった。






星々の輝く夜空の下、博麗神社に乾杯の声がこだました。

皆、何に乾杯するわけでもなく、ただ意味も無くグラスをぶつけるだけの乱暴な宴席だ。
たちまち辺りににぎやかな笑いが広がっていく。

「そうなんですよー! ビックリしちゃいますよねー」

射命丸文もいつもの様に、大きなジョッキを片手に笑顔で談笑している。
ただ、文は自らのテーブルが、異様な緊張感を充満させている事に全く気づいていなかった。
彼女の周りには、文の恋路をリサーチする為に集結した、幻想郷の少女達がズラリと脇を固めていた。
その視線は秘密工作員のように隙なく、文の一挙動に狩人の様な神経を研ぎ澄ませている。

「ところで何かいいネタはありませんかね~? 最近ネタ不足で困ってるんですよー」

文はそうとも知らず、ご機嫌の表情で、口癖の様ないつものセリフを吐く。

(きたっ!!)

文の台詞を聞いた少女達にドギュュュュンと緊張が走った。

(文さんは宴席で必ず新聞のネタの話を振ってくる筈です。それを開始の合図としましょう)

そうあらかじめ取り決めがされていたのだが、まさかしょっぱなからそのゴングが鳴らされるとは思っても見なかったのだ。
機先を制された折衝役の紫は完全に動揺した。

「え……? そ……そうね……アハ、あははは……」
(紫ぃぃ!! 今よぉぉ……!!)

霊夢とアリスは鬼の様な形相で紫に合図を送る。
だが紫は完全に怖気づいていた。
今にも泣き出しそうな引きつった笑顔で、周りの面々に助けを求めている。

「ね、ねえ……そ、それより遊戯王カードの話でもしない……? あ、は、は」
(ぶ! ちょぉぉ!!)
(こ、このへタレ!!)

予定にない紫の逃走ぶりに、守矢の二柱が酒を噴き出す。
早苗と同じく彼女達も他人の色恋沙汰で米が3杯はいけるクチだ。早苗に話を聞きだして、呼んでも無いのにしゃしゃり出てきたのだ。

「そういえば、この間香霖堂にいった時に面白い話を聞いたわ」

瀟洒に話の軌道を戻すのは、紅魔館の十六夜咲夜。

(ナイスクリアだ! 咲夜!)

館の主が、グラスに視線を落としたままくわりと目を見開いた。
彼女達は魔理沙に話を聞きだして、やはり呼んでもないのにしゃしゃり出てきていた。

「へー、それはどんな?」

やはりそうとは知らない文は、興味深そうに咲夜に向かって身を乗り出している。
文は気づいていないが、テーブルの全員の全神経が文の言動に集中していた。

「ええ、料理の話をね。男のする料理って興味あるじゃない」
「ほー、なるほどなるほど?」

咲夜は霖之助から聞いた、オリジナル料理の話を文にしている。これは、まあ、実話であった。
前に実際に香霖と話した事を、ここで披露しているだけだ。咲夜の気転であった。

(ふむぅ、なかなかのポーカーフェイスですね……)
(だね。店主の話題を振るくらいではボロは出さない様だ……)

寅丸星とナズーリンが小声で話し合っている。その横で、輝夜と妹紅が言い争っている振りをして、やはり全力で文の言動を気にしていた。
これもアリスや霊夢に話を聞いて……以下同文。

「しかし店主さんたら、料理なんかして、誰に食べてもらうつもりなのでしょうねえ?」
(ば、バカな! 白蓮……!?)

攻め時と見たのか、命蓮寺の聖白蓮が横から鋭い突き入りを見せる。さすがガンガンいく僧侶。

「だれか好きな人がいるのかもしれませんよぉ!?」
「ギゃーーーーーー!!!!!!」

気を読む美鈴がこれに油を注ぐ。
大胆な展開に周りの少女達は悲鳴を上げた。一見恋話に照れているように見えるが、本気の悲鳴だ。

「え?」

文は一瞬表情をとめた。

(―――魔理沙さん)
(ああ―――)

衣玖と魔理沙は鋭い目線を交わす。
文の目尻に若干の狼狽の色が見て取れたのだ。

「え、そうなんですか?」
「だって、香霖だって男だよぉ? 気になる女の一人や二人いてもおかしくないじゃないか~」
「そうですね、あり得ることですわ」

ハラハラしている神奈子の横から、諏訪子が悪そうな顔で流し目線を送ってくる。
鍋の中を強引にかき混ぜたように、場の空気は急展開を見せ始めていた。

「も、もう……私……私…………」

そうなると、この場の急激なプレッシャーに耐え切れない者も出てくる。早苗だ。
早苗は顔を紅潮させ、目をぐるぐる回しながらふらふらと立ち上がる。

「あ、ぁぁ文さん!!」
「うわ! 何ですか?? 早苗さん!?」

早苗はついに堪りかねた様に、その場から飛び出した。

(さ、早苗ぇ……!)

予想外の事にまわりの少女達に動揺が奔る。

「あ……ああ文さんてて……! り、りりり霖之助さんのことぉ……!」
「い、いかんっ! 早苗!! 暴走はマズイ!!」
「咲夜ぁぁ!!」

レミリアが怒鳴った。


――時よ、止まれ
ドオオォォォーーーーーン…………!!


ほぼ同時のタイミングで、咲夜の能力が発動していた。

ビックリした表情で早苗を見上げる文。口をいっぱいにあけて怒鳴っているレミリア。
驚きの表情で膝を立てる守矢の二柱の姿が止まっていた。
咲夜は永遠の孤独と静寂の時の中、一人ゆっくりと腰を上げる。

「よいしょっ、と」

文の肩を掴んで目を回している早苗を担いで、神社のウラの林に連れ出す。
更にアリスの横で口を覆っている人形達を掴んで、それも神社のウラに運び出す。

「ふう」

咲夜は一息ついて額の汗を拭う。
咲夜は早苗の持っていたジュースを一杯飲んで、落ち着きを取り戻してからおもむろに手をかざした。


――時は、動き出す
ズバアアァァァァーーーーーー…………!!


「……とっ!……え?……アレ??」

文はたたらを踏んできょろきょろしていた。
ついさっきまで早苗が目の前に居た様な気がするのだが、いつの間にか居なくなっている。

「しかし興味深い話ですわ」

早苗のいた場所には咲夜が居た。咲夜はチーズを摘みながら、何事も無かったように喋っている。

「アレ? い、今、早苗さんが居たような??」
「あら? 文ったらもう酔ったのかしら?」

アリスがやれやれと言った風に、咲夜の向こうで肩を竦めている。

「へ? い、いえ……早苗さんは……」
「早苗? 早苗がどうかしたの?」
「早苗ならトイレじゃないか?」

魔理沙もとぼけた顔で首をかしげている。
その頃早苗は、神社のウラで凶暴化したアリスの人形達にヤキを入れられていた。

「はむっ! うぶっ! えうっ!」

ガス、ドカと言う鈍い音が木々の間にこだましているが、それは宴会の騒ぎに紛れて届かない。

「悪・即・斬ですわ」

恋路のリサーチを邪魔立てする者は、たとえ現人神といえども制裁は免れない。幻想郷超こわい。

「ねえ文もそう思うでしょ?」
「え? ああ、すみません。何の話だったでしょうか?」
「いやねぇ、霖之助さんの事よ」

霊夢がそう言うと、文はまたもピクリと肩を震わせた。

「て、店主さんの事です、か?」
「そうそう、私の勘だけど、アイツ誰か好きなヤツがいると思うんだよねー」

霊夢が大胆にそう言うと場はしいんと静まり返る。
輝夜と妹紅も、お互いの顔を撫でるようにぺしぺし叩きながら、全神経をこちらに向けている。
「霊夢の勘」は信憑性がかなり高い。
文は半笑いの様な表情で、ごくりと生唾を飲み込んでいる。

「へ、へー……それは、い、いったい誰なんでしょうねー……」

抑揚の無い文の声。完全に無関心を装っている演技だ。

「それはぁぁ……」

霊夢は意地悪そうにゆっくりとテーブルの面々を嘗め回す。
ごくり、と何故か周りの少女達も、雰囲気に釣られて緊張している。

「おまえだぁぁっ!!」
「きゃあ!?」

霊夢はガバリと文に抱きつく。文はびっくりして悲鳴を上げた。

「あははは! な~んてっ!!」
「……へ?」
「もう、やあねえ文ったら! 緊張してんのー!」

そういって霊夢は文を指差して笑う。かなり遠い所で、多々良小傘が腰をぬかしていた。
文は最初あっけにとられた風だったが、やがてあわてたように取り繕い始めた。

「も、もう! 霊夢さんたら! い、いやあ……! おお、脅かさないで下さいよー!」
「ごめんごめん冗談よ! ジョウダン!」

霊夢もあははと屈託の無い笑みを浮かべて、文に酒を注いでやる。
周りの面々からも「な~んだ」とばかりに、安堵のため息と笑みがこぼれている。
衣玖も柔らかな微笑を湛えながら、文に酒をついであげる。場に和やかな空気が流れ始めた。

「あ、すみませんねぇ永江さん」
「いえいえ。しかし、アレですよね。実際の所、文さんは森近さんの事どう思います?」

ピキィィィーーーーーーーーー…………ン!!
緩まっていた場の空気が一転して凍りついた。

(本題っ!?)

捻りも何も無い直球の質問に、少女達はぶぁっと酒を噴き出す。

「……え?」

安心して虚をつかれた文は完全に固まってしまった。
注いでもらった酒に手を付けることなく、笑顔のままで硬直している。

「テンションを上げて下げた所で一気に核心をつく……。空気を読む衣玖ならではの大胆なセットプレーだわ」
「ホントかよ……」

輝夜がじと目で永琳に突っ込んだ。

「いえ、森近さんはあれで結構イイ男じゃないですか。さっき魔理沙さんと話してたんですよ。ねえ?」
「ああ、あいつとは長い付き合いだが結構優しい所もあるしな。案外モテるんじゃないかって思うんだ」
「そ、そうですか」
「文さんは森近さんの事どう思いますか?」
「い、いやあ、私は……良くわかりませんねぇ、ハ、ハハ……」

文は引きつった笑いを浮かべながら、なんとか話をかわしている。

「だって新聞とってくれてるんだろ? 話とかしないのか?」
「え、まあ……」
「感想とかは聞かないのですか?」
「もっとこうしたらいいとかは……言ってくれる時があります……」
「具体的には?」

アリスがド真剣な顔でぐいと割り込んでくる。

「え、ええと……間違いを指摘してくれたり……次のネタの、ヒントをくれたり……」
「フンフン!」

いつの間にやら復帰した早苗も首を突っ込んでくる。人形達がスカートに引っ付いてぽかぽかやっているが全く動じない。
この執念には正直あやかりたい。早苗は強い娘だった。

「あと、お茶をごちそうしてくれた、り、とか」
「ほおおぉ~~」
「イイ感じになってんじゃ~~ん」

因幡てゐが後ろから文の背中をぐりぐりと抉っている。
文は赤い顔で、もじもじしながら俯いてしまった。

普段の明るい態度と違い、文の乙女な反応に周りの少女達は驚き、同時に歓喜した。

「妖夢!! ご飯よ~~~~!! ご飯を用意してええぇぇぇぇ~~~~~!!!!!」

テーブルの向かいで、西行寺幽々子がたまらんとばかりに噴火した。

「わ! 私もっっ!!」

「こ! こっちにも!! 『ご飯大』3つだああああ!!!」

それに釣られて、少女達は各所で叫び声をあげる。
たちまち宴会場に熱々のご飯がポンポン飛び交い始める。

「取材はしないのかしら?」
「え? 取材、ですか? ……ええと、何の……」
「香霖の取材にきまってんだろっ」

魔理沙がジョッキをだんと置いた。文の肩が少しだけびくっとはねた。

「香霖堂の……取材……」
「そうだよ? 何だ今まで一度もしたことがないのかぁ?」
「あ、えと……ハイ」
「それは薄情だねぇ」

諏訪子が酒を仰ぎながら割り込んだ。帽子の目がなんだかものすごく悪そうな目付きになっているが、文は気づかない。

「せっかく新聞読んでくれて、アドバイスもくれるのにお礼の一つもしてないのかい?」
「あ」

文ははっとした顔になった。後ろで、また大盛りのご飯がぽーんと宙を舞う。

「それはあまりに無礼じゃないか。私ならお礼にお店の宣伝をかねて取材の一つでもしてあげるよ」
「それは確かにそうです! 諏訪子様のおっしゃる通りです! 取材すべきだと思います! うん! うん!」
「で、でも……」

文はもにょもにょと言いながら小さくなった。
明らかに挙動がおかしい。森近霖之助に特別な感情を抱いているのは、誰の目から見ても明らかだった。

「でも何だい。何か問題でもあるのかい……」
「い、いえ……そんな事は……」
「私だったらお礼に『ドガガガアアアアン!』くらいなことはしますけどねえ?」
「ぶふぉ!!!」

聖人、聖白蓮が柔和な笑顔でダイナマイトを炸裂させた。

ナズーリンや星や命連寺の仲間達が、酒を噴き出して真っっ白な灰になっている。

「……びゃ!! 白蓮さんっっ!! あ、あああなた! なななな、なんて事ををを!!??」
「まあ『ギュインギュインギュイン……ビガーーー!!』くらいは当然だろうねえ」
「ごはん大私にもぉぉぉおおぉぉぉ~~~~!!」「シャンハァァーーーーイ!!」

そして祟り神の波動砲が炸裂する。
爆風の中、大盛りのご飯が狂ったように飛び交い、変人人形遣いの嬌声がこだました。

「これはいけない!!」

たちまち充満し始める桃色の爆風に、衣玖は顔をしかめながら叫ぶ。

「慧音先生! お願いします!!」
「ええい! 全く……っ!!」

衣玖からバトンを渡された慧音が飛び出した。

ウオオオォォォーーーーーーーーン! とワーハクタクの咆哮が夜空にこだまする。

バクンッと慧音の口が裂けた。
真っ赤な口と林立するおそろしいキバが露になる。
周りの少女達がぎょっとして目を剥く。

ドグシャャャ…………ッッ!!

慧音は時間を喰いちぎった。

…………

「香霖堂の……取材……」
「そうだよ? 何だ今まで一度もしたことがないのか?」
「あ、えと……ハイ」
「それは薄情だねぇ」

ほんの数秒前に時間が戻っていた。

「せっかく新聞もとってくれて、アドバイスもくれるのにお礼の一つもしてないのかい?」
「あ……」
「そうだな、お礼に取材の一つでもしてあげれば、店主殿も喜ぶんじゃないのかな?」

再び変な話題が繰り返されない様、フォローも忘れない。
すべての事実といかがわしい瘴気は、ハクタクの胃の腑の中に葬られていた。

(また、つまらぬ歴史を喰ってしまった……)

慧音は胸の内で一人呟く。

「そ、そうでしょうか?」

慧音の提案に、文は光が射した様な表情で見つめ返して来る。慧音はその眼差しの中に、純粋無垢な恋する乙女の輝きを見た気がした。
にっこりと微笑んで、里の守護者は頷いた。

「そうとも。お店の宣伝もかねてね。きっと喜ぶと思うよ」

本来諏訪子が言う筈だった「お店の宣伝」と言う言葉に、文は納得したようだ。
何度も頷いては、思い詰めた様な表情になって俯いている。

「お! そりゃあいいぜ。さっそく明日にでも取材に行けよ!」
「それは確かにそうです! 魔理沙さんの言う通りです! 取材すべきだと思います! うん! うん!」
「 ハフハフ……!! ガツガツガツッッ!!」

強引にそれに同意する魔理沙と早苗の傍らで、アリスと紫が鼻息を荒げながら白米を凄い勢いでぱくついていた。

「う……うう」文は言葉にならない呻きをもらすが、話は瞬時に周りにつたわってしまっていた。

やれ次の新聞は香霖堂特集だとか、店主の連載小説が始まるだとか、勝手に話が広がっていくばかりだ。
どうやら明日は香霖堂に取材に行く以外選択肢は残されていない様だ。
文は重くなる気持ちを吐き出す様にため息をついた。手にしたジョッキが、何故かいつもの何倍にも重たく感じるのは不思議だった。





ドバンッ

と凄い勢いで店の扉が開いた。

ガラリガラリと店のベルが本来ありえない様な音を奏でている。

「こら、魔理沙。扉が壊れてしまうだろ」

魔理沙は文句をたれる霖之助をまるで気にするそぶりは無い。
店の入り口でガツッとホウキの柄を引っかけ、店内の大壷に足の小指をぶつけて一人で痛がっている。

ゴイイイインン……………… 

壷はくぐもった音を店内に響かせていた。

「お、お……おい! 香霖!!」
「なんだよ? どうしたんだ……?」
「おおお前! 文とけつ……けつ……結婚してやれっ!!」

魔理沙は怒った様な顔をして、霖之助を指差しずんずん近づいて来る。

「ええ? なんだっていうんだイキナリ!?」
「南田も神田も無いっ! 今日しろ! すぐしろ!」

突きつけられた指のハラに、魔理沙の真っ赤な顔が隠れた。

「ちょ、ちょっと落ち着いてくれ魔理沙! 話が全然見えてこない」
「いいな! わ、私はちゃんと言ったからなっ!」

魔理沙は真っ赤な顔でそう言うと、『ごしゅうぎ』とヘタクソな字で書かれた封筒をばんと置いて出て行ってしまった。
帰り際に壷でもう片方の足の指を打ち付け、悲鳴を上げながら扉をまた乱暴にならして、魔理沙は行ってしまった。

ゴイイイイン………………と言う音と、グランごわんと言うベルの耳障りな音の中、霖之助は一人取り残された。

「な……なんなんだ……? いったい……」

霖之助は唖然としてたたずんだ。
封筒の中には小銭が450円分と、『このたびはごしゅうげんおめでとうございます魔理沙』と書かれた紙が入っていた。

「全く、魔理沙と言い、霊夢と言い…… 一体なんだって言うんだ?」

今日は朝早くから、衣玖がやってきたのを最初に、霊夢や紫、咲夜、アリス、早苗、幽々子、輝夜、てゐ、白蓮、阿求……ええとそれから……とにかく大勢の人物が店を訪れていた。
開店以来記録的な来客だが、売り上げが1銭も無いのはどういう事だろう。
皆口々に「今日はがんばって」とか「どうか優しく接してあげてほしい」とか「だいじにしてやってほしい」とか勝手な事を言って去っていくのだ。

確かに今日は文が取材に訪れる日のはずだった。

昨日の夜中に、突然矢文がとどいたのだからたぶん間違いないだろう。
夜中に店を閉まっていると、イキナリ首筋を矢が掠めたのだ。もうあと1ミリ程で首に風穴が開くところだった。
青と赤の派手な柄の矢に、今日は文が取材に行くから何処にも行かずに待っておく様に書いていたのだ。もし1秒でも店を空ければ、次は首を射抜くとも書かれていた為、おっかなくて何処にも行く気にもなれない。

「全く……これじゃあ完全に脅しだ」

霖之助は泣きそうになりながら、仕方なく番台に腰を下ろした。
読みかけの本を開き、そのままいつもの様に読書の世界に没頭していくのであった。

昼も過ぎた頃。

カ、ラン……  

店の扉が控えめに開いた。

「ん?」

霖之助はふと顔を上げた。
扉のすぐ前に、射命丸文が立っている。

「ど、どうも……」

文は、なんだか複雑な笑顔を浮かべてそこに立っていた。
霖之助は口のなかで、小さくああと頷く。
読書に没頭していたせいで、取材の事をすっかり忘れていたのだ。

「ああ、文、すまないね。今日はわざわざ」

霖之助は忘れていた事をごまかす様に立ち上がった。

「い、いえ……」

文は小さくそういって霖之助から目を反らす。
霖之助なんだか様子が変だなと思ったが、とにかく文を奥の居間に上げる事にする。

「さあ、あがって。こっちにおいでよ。お茶でも入れよう」

突っ立っているのも何だと言うヤツだ。
文は一瞬何か言おうと逡巡した様だが、おとなしく彼の言う事に従う。
文はやはり引きつった様な笑顔で、おじゃましますと小さく言った後、下駄を脱いで居間のちゃぶ台の前に座った。



「お、おい……どうなってるんだよぉ……よく見えないよ」

香霖堂の店の裏に、道具を保管しておく倉庫がある。

「もっと頭さげてくれよ……」
「ちょっと押さないで。ただでさえ狭いんだから!」

倉庫の中に幻想郷の少女達がすし詰めになってたむろしていた。
オンボロの倉庫の薄い壁にはスキマの空間が開き、その向こうに博霊神社の景色が見えている。
薄暗い中、道具と道具の間に、30人くらいの少女達が嵌め絵の様になって息をひそめていた。

「む、むぎぎ……」

魔理沙とアリスと霊夢が頬を押し合う様にひしめき、その横の棚の上に紫が潜んでいる。
背の低いレミリアは美鈴に肩車され、フランドールは両手で抱き上げられている。
輝夜が壁に手をつき踏ん張りながら、妹紅にぎゅうぎゅうと顔を押されていた。

彼女達は壁に映し出されたスキマの映像に食い入る様に見入っていた。

「ちょと紫ぃ……これもうちょっと画質よくならないのかよお……」
「むちゃ言わないでよ……あんまり魔力を込めたら、文に気づかれちゃうじゃない……」

棚の最上段の紫が、下の段に潜む萃香に向かって呟いている。

「じれったいねえ……! い、いっそ、き、ききききキッスの一つぐらい、す、すりゃあいいんだよ……!」
「ちょっ! 神奈子様! イキナリそれはフライングすぎです……!!」

神奈子の上に乗った早苗が突っ込んでいるのを、その上にいる諏訪子がにしにし笑って見ている。守矢一家は仲良くブレーメンの音楽隊だ。

「文……、随分緊張している様ですわ……」

暗視スコープを装着した咲夜が脚立の上で瀟酒に実況中継する。

「い、いい言うのかな? す、すす好きって言うのかな?」
「しーっ 声が大きい! 店に聞こえるじゃない!」

天井からぶら下がったヤマメが、柱に捕まっているパルスィに向かってあわあわやっているが、嫉妬するのも忘れるほど真剣なパルスィには取りつく島も無い。その下で壷から目だけを出したキスメがモノも言わずに映像に見入っていた。

「……そもそも僕が道具屋をはじめたのは……」

店内の二人は、そんな倉庫の様子など知る由も無い。
自分の生い立ちについて一方的に語り始める霖之助に、やや硬い表情の文がそれを聞く格好で、取材が始まっていた。

「……その大旦那のところで、長く修行をしたのさ。魔理沙ともこの時出会っている。ただ、この大旦那という人がまた変わった人で……」

ぺらぺらと喋り続ける霖之助の前で、文は固い正座の姿勢を崩さないまま、じっと赤い顔で俯いている。ただ、時折チラチラと霖之助を盗み見る様に視線を送っている。少女達は、そんな文の細かい一挙動を、固唾を呑んで見守っていた。

『うう……ど……どうしよう……! て、 店主さんと二人きりなんて…… 』
「うわああ!!??」

突然耳元で響いた文の心の声に、倉庫の中の少女達は悲鳴を上げた。

「…………っっ!!」

思わず大声を出してしまい、全員一斉に口を押さえて、押し黙る。
スキマに映った二人は彼女達の悲鳴に気づくそぶりは無い。倉庫の中に安堵のため息が広がった。

『はああ……! 困ったなあ……話が頭に入ってこないじゃないですか……ううっ……』

倉庫の板壁に聴診器の様なものを押し当てて、古明地さとりが文の心の声を実況していた。

(ちょ……! おどかさないでよっ!!)

傘立てに潜んだ小傘が、押し殺した声で怒鳴る。
倉庫にすし詰めの様にたむろしていた少女達の驚きの視線の中、古明地さとりとこいしの姉妹が、気さくに片手をあげていた。

「コイバナと聞いて」
「ちゃおー」
「どっから湧いてきたのよ! アンタ達!」

紫が棚の上からドキドキした表情で、声を抑えて怒鳴っている。

「ハイ、ついさっき、あそこから」

さとりは壁に開いたスキマを指差し、こいしは横の魔理沙に笑顔を振りまいている。
霊夢はあきれて悪態をつこうとするが、

「シッ! 静かに! ミッションはまだ始まったばかりです」

有無を言わさずさとりの手がビシリとそれを制する。
そして、さとりはド真剣な表情で、再び壁に聴診器をあてた。なにやってんの地霊殿。

「ちなみに実況はお姉ちゃんのモノマネだよ」
「あやややや。こんにちは。清く正しい射命丸です」

さとりはくそ真面目な表情で得意の声帯模写を披露する。
「に、似てる……っ!」輝夜が口元を抑えて驚愕している。どうでもいい特技だ。

「なあ文? さっきからどうしたんだい?」

画面の中で霖之助が文に怪訝な表情を向けている。
さっきから押し黙っている文に気を遣っている様だ。

「気分でも悪いのか?」
「い、いえいえいえいえ!! そんな事はないですよ!!?? あは! あははは!!」
『ヤバイです! ち、近い! 近いですって……!! ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ!!』

二人の声に混じってさとりの冷静なモノマネの声が倉庫に響く。
文の緊迫した心情を代弁するかの様な迫真の演技力だ。何のかは分からないが、ある意味プロフェッショナルである。

「そうかい? なんだか顔が赤いようだが……」
「あぁうぅいう……」
『あぁうぅいう……』
「あ、今は思ってることも同じなんだ……」

霊夢の冷めた声が薄暗い空間に響く。

「ね、ねえ、紫…… 私、なんだかご飯が欲しくなってきちゃったわあ……」
「幽々子もそう? 実は私もなのよ……!」

天井の梁に絡まった幽々子が、もじもじしながら紫の帽子によだれを垂らしている。
すかさず動いたのは咲夜だった。

「そう思って……こちらに」

咲夜は大きな炊飯器を取り出すと、がぱりとそのフタをあけた。ちなみに炊飯器は倉庫にあった店の商品だ。
中には湯気を上げる熱々の白いご飯が。

「おお~流石は咲夜」
「ありがたや~ありがたや~」
「わたしにも『大』を」

少女達は手をすり合わせながらご飯を受け取る。さとりが壁に向かったまま手を後ろに差し出している。

「奥の人に回してあげて」

狭い倉庫の中で、リレーでご飯が皆にいき渡った。

「う~ん、このつやと香り、秋田こまちだね~」
「流石はお米マイスター」

満足げな表情の死神を、暗視スコープを装着した咲夜がビシリと指差す。死神の彼岸での本業は……当然サボり中だろう。

「そ、それより……! ど、道具に関する薀蓄なんか聞きたいんですけど!!」
「なんだそうか! それならそうと先に言ってくれ」

皆が白米に気を取られている間。文は何とか旨く霖之助を言いくるめた様だ。

「この茶碗は由緒ある品でね。さる大昔の茶人が……」

古臭い茶碗について語り始めた霖之助は、とどまる所を知らないように喋り続ける。

「何だよぉ……香霖のやつー! ちっとも色気の無い話ばっかりしちゃって……」

にとりがつまらさそうな声を上げた。
天井から吊り下げたハンモックの中で、双眼鏡を覗き込みながら画面に向かって不満をこぼす。
画面の霖之助はさも嬉しそうな表情で、店の道具についてあれこれと薀蓄を語り続けている。
ついには彼は、文を店の中に連れ出して道具の説明を続ける有様だ。
倉庫の少女達の中からたちまちブーイングの嵐が起こった。

ぶー~~--!! ぶーー~~~ーーー!!

「何だい何だい! 店主のヤツ。せっかくあんなかわいい娘が目の前にいるのに、指一本触れやしないじゃないか」

星熊勇儀が不満そうに愚痴をこぼせば、アリスもそれに激しく同調した様に頷く。

「そうね、正直がっかりだわ。店主さんてもっと甲斐性ある男性だと思ってたわ」

守矢のブレーメン隊もご不満の表情だ。

「それっ! そこだよ! 文が後ろ向いてる今がチャンスじゃないかぁ!! ……あぁ! もう! ダメだなぁ!」
「そ、そうですよ! そ、そそそそのまま、う、うう後ろから抱きしめてあげて!! こ、殺し文句でひぃぃ、一言刺すだけでイイんですよ!! それで全ては終るんです!!」
「ぶっ!! 早苗ぇ! あああアンタ、な、何いって……!!」

明らかに少女コミックの読みすぎである。

「文さんも文さんですねぇ。これではせっかくのご飯がおいしくありませんねぇ」

白蓮が古着の間から残念そうな表情を見せる。
この聖人はより過激な展開を熱望していたのであろうが、従者達にはその胸の内の魔物を引き出せる勇気が無かった。

「い、いっそ紫のスキマで店主にこの『魔人X』を注射してもらおうかしら? そ、そしたらよりデンジャラスでハッピネスな展開に……!!」
「ぶっ! ししょー!! ドーピングはダメですって!!」

倉庫内で、少女達の不満が爆発しそうになっていた。
その時である。

――お待ちなさい

凜とした声が倉庫内に響き渡った。
皆一斉に声がした方向に向き直る。

倉庫の天井の隅で、永江衣玖がスパイダーマンの様に手足を踏ん張って少女達を見下ろしていた。
帽子の触覚の部分に、炊飯器のコンセントが巻きついている。

「衣玖サン!」「イクサン!!」

少女達は狭い倉庫の中で、口々に声をあげた。
おとついの神社での談合以来、衣玖の呼び名がいつの間にか「さん」付けになっていた。ゴンさんばりのカリスマである。

「諦めるのはまだ早いです。見てください」

衣玖はそう言って片手を離してスキマを指差した。

「な、なんだよ? ……相変わらずつまらない会話をしてるだけじゃないか」
「魔理沙さん。貴方の目は節穴ですか? もっとよく見てください。文さんの表情を!」

衣玖の声に少女達はばっと画面に向き直った。

「あ! あれは!?」

ガタン!と紫が顔を上げた。
霖之助の横でずっと話に耳を傾けている、射命丸文の表情に驚きの声をあげたのだ。
文の表情は、当初のおどおどした頼りないものではなく、まばゆいばかりのキラキラとしたものに変わっていた。
文は薀蓄を語り続ける霖之助の顔を真っ直ぐ見上げ、その言葉にうんうんと相槌を打っている。

「おおーー!?」
「こ、これは!!」

その表情はまさに恋する乙女そのものだ。

「い……いったいどういう事だ……!? こんなつまらない話の何処がいいって言うんだ!?」
「まさか!?」

魔理沙の横で霊夢がはっと声をあげた。

「そう、そうのまさか。さあ、古明地さん。文さんの心の声を皆に聞かせてあげて下さい。何故さっきから黙っているのです」

衣玖に指摘されたさとりに全員の視線が集まる。
彼女達は気がついた。霖之助が薀蓄をたれ始めてから、さとりの実況が聞こえなくなっていた事を!

「フッ……流石は永江衣玖。空気を読む程度の能力……」

さとりは皆に背を向けたまま、くつくつと背中を振るわせ、笑っていた。
さとりの声色が不意に変わった。

『好きです』
「ええーーーーーーっっ!!??」

そう、それは射命丸文の声そのもの。
つまりは文の心の声そのものだ。少女達は画面に急いで目線を移す。
文が喋り続ける霖之助の目を真っ直ぐ見つめていた。その頬はうっすらと紅く染まっている。

『私は貴方が好きです……あなたのその一生懸命な所が。好きなものに一生懸命で、それに本気になっているその姿が。……ちょっと朴念仁で、全然人の気持ちも分かってないけど、例え振り向いてくれなくっても、この気持ちが伝わらなくっても、100年でも、1000年でも、私は…………貴方の事を……』

そこまで言って、さとりは壁から聴診器をはずした。
頬を赤く上気させたまま、フッと笑い口を開く。

「流石に、これ以上ははばかられますね」
「愛だわ……」

アリスがキラキラした表情で呟いた。

「そう、愛……まさしくその通りです。文さんは森近さんのインテリに憧れたのではなく、森近霖之介そのものを愛していた。彼の道具にかける一途な思いに惹かれ、その一生懸命さを愛したのです」

衣玖がそう呟くと、少女達にたちまち感動の波が広がっていった。

「見てください、あの二人の様を! まるでデート中のカップルの様ではありませんか!!」
「おおおおおーーーーーーーーー!!!!!」

狭い倉庫から歓声が上がった。
確かに場所こそ色気の欠片もないが、楽しそうに話す霖之助とそれを見つめる文の姿は、なんたること! まるでショッピングを楽しむ恋人同士の様ではないか!

「空気を読めるこの私も、恋する乙女の胸の内は読めなかった。……と、いった所でしょうか……」

衣玖はなんだか物凄く旨い事を言うと、世界一男前の表情でフッと笑った。

「うおおおおおおおおオオオォォォッッッッ~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!」

紫が棚の上で、蹲ったまま歓喜の雄叫びを上げた。

「ブゥラボオオオォォォゥゥゥゥオオオオオッッッッ~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!」

守矢のブレーメン隊が、泣きながら悦びの歌を叫ぶ。
それを合図に、ぎゅうぎゅうの倉庫の中で、少女達の暑苦しい魂の鼓動が爆発した。

「愛!! これこそ万世の珍味に勝るご飯のお供!! 究極のおかずはここにあったのよおおおおぉぉぉおおおおぉぉぉ~~~~~~!!!!!!」
「文! 可愛いよっ!! 輝いてるよ!!! 今まで私が見た中で一番キレイだよぉぉぉぉ~!!!!!!!!」」

幽々子と萃香が狂ったようにご飯を掻き込み始める。
少女達は喚き散らしながら、皆涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにさせ、熱々のご飯に貪りついていた。

「まことに甘美で! 全米感涙である!! ううおおぉぉーーーー!!! いざ南無三ーーーーー!!!!!!!」

白蓮が超人的な勢いでご飯を掻っ込んでいく。その横では、唸りをあげて仲間達が号泣しながら米にがっついている。
衣玖は感涙にむせび泣きながら怒号を張り上げる。

「愛っっ!! それは即ち!!」

狭い倉庫の中で、全員の心がひとつになった。

「フィィィィバアアアアアアアアァァァァァアァァアアアァァーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

七色の光が満ち、全員が指を突き上げた。

「全! 世! 界!! ナイトフィィィバァァァァァ!!!!!!」
「フィィィバアァだぜぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」

全員が郷中に届けとばかり声を張り上げる。

この感動を幻想郷中に、いや外の世界にも!
いやいや全世界に!!
いやいやいやいや! 全宇宙に!!!



「届け!! 愛の歌!!!」



ガラッ!!

デスメタ系ライブハウスと化した倉庫に、突然乱暴な日の光が差し込んだ。
少女達は一斉に金縛りにあった様に膠着する。
まるで、夜中に箱を飛び出してエアギターを乱舞していたおもちゃ達が、お父さんに見つかってしまったかの様なまぬけさだ。

倉庫の入り口に射命丸文の笑顔があった。

膠着した少女達のまぬけな顔を、外の光が空しく照らし出している。
スキマの画面は誰も居ない閑散とした店内を映し出していた。

文の後ろで、青紫色した霖之助の魂の抜けたような顔が見える。

「なるほどなるほど」

文は弾けんばかりの笑顔で呟いた。

「なるほどなるほどなるほど……」

文の呟きとともに、幻想郷の空を黒い雲が覆い始めた。
風が強くなっていき、あたりの木々がざわざわと音を立て始めた。

「あ……ああ…………あ……」

風が倉庫の薄い板壁を叩き、木々の葉を巻き上げ出した時、はじめて少女達は己の生命の危機に気付いた。

「こういう事だったんですね~、面白そうな事してるじゃないですか~、私も混ぜてくださいよ~」

文が満面の笑顔で誰にともなく語りかけてくる。
突然、咲夜がばっと手を振りながら叫びはじめた。

「……ああ! 文っ! ちち、違うのよ!! わ、私はおお、お嬢様に『来ないと血ぃ吸うぞ』ってお、脅されて……っ!!」
「ぶっ!! なんだそりゃ咲夜ぁーー!! アア、アンタ……何自分だけ……!!」

咲夜が眼をひん剥いているレミリアの横で必死になって弁明しているが、額に持ち上げている暗視スコープが説得力をマイナスまで引き下げていた。
つられたように、周りの少女達はわっと一斉に叫び始める。

「わ、わわ! 私は悪くないのよ!!?? 私は! 妹紅に『来ないと殺すぞ』て脅されてっっ!!」
「おいっ!! なんだそりゃあ!! 違うぞ文っっ!! わ、私だってコイツに誘われてだなあ!!」
「わ、私も何だか訳が分からないウチに地底から呼び出されて……!! つ、つい今来た所なのですよっ!! ホントです!! だから私はわるく」
「おお、お前ぇぇ!! さっきまでノリノリで実況してたじゃないかーーーっっ!!!」

心を一つにして叫んでいた少女達は、わが身可愛さのあまり、口々に醜い言い訳を始めている。

「あ……あわわ……!! い……いい、今のうちに……」

壁に開かれたスキマの近くにいた、うどんげとてゐが震えながら逃げ込もうとするが、

バンッッ!!!
「ひっ……!!」

突風が板壁をスキマごと軽々と吹き飛ばしていった。
風は少女達の帽子を巻きあげ、髪を引っ張らんばかりにうねり始める。
ガチガチガチガチガチと歯鳴りの音が回りに伝染していく。

文は羞恥と怒りで真っ赤に紅潮した顔を爆発させた。

「くぅおのおおぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!! 下衆どもおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!!!!!」

バリバリバリッッ!!!

グワシャァァァ!! と言う音と共に倉庫の天井がはがれた。同時に轟音と共に天井に巨大な落雷が直撃する。

「ギイイヤァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

天井にいた幽々子やヤマメや、雷を操る衣玖までもが、どこぞの暗黒皇帝の様な悲鳴を上げて竜巻にのまれていった。
強力な妖怪達をあっと言う間に葬り去った彼女の怒りに、少女達はガタガタと恐れおののいた。

「あ……あわわわわ……あわわわわ……!!!」

残された少女達は、子犬のように身を寄せ合い、震えながら幻想郷屈指といわれた天狗の怒りを目の当たりにした。


人の恋路を邪魔するヤツは―――


涙と鼻水にまみれ、ガクガクと打ち震える紫の脳裏に、何処かで聞いた故事がぼんやりと思い浮かんでいた。

後日、永遠亭は半死半生の少女達で溢れかり、幻想郷ではしばらく異変の起きる余地すら無かったと言う。


(了)
慧音「無常だ……」



テスト明けって何だか全てを許せそうな気分になる。  お嬢様
アタイ最強的テンションですわ。           冥途蝶
ひさびさ?のギャグ話です。なんか長くなりましたけど・・。文さん好きな人はどうか怒らないで下さい・・。   超門番

※「霖之助」直しました!ありがとうございました!ま、またやっちゃったぁ・・・ お嬢様
 お蝶のパートだけ見事に間違ってなかったですね。。ごめんなさい・・    超門番    
お嬢様
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コメント



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1.無評価名前が無い程度の能力削除
>霖之介
霖之助
2.80名前が無い程度の能力削除
メシウマー
4.90名前が無い程度の能力削除
コーリン ウラヤマシス
6.80名前が無い程度の能力削除
あきたこまちは美味しいよね
実は既に文が香霖堂のこと記事にしてるってことは、まぁどうでもいいか
9.90名前が無い程度の能力削除
good
11.100名前が無い程度の能力削除
霖之介の誤字が多すぎ。それがなかったら200点だったのにな。というわけでこの点数です。
文ちゃんかわいいよ文ちゃん。
13.100奇声を発する程度の能力削除
激しいな…
14.100名前が無い程度の能力削除
面白かった。
16.100特にないです削除
>アリスは一見クールを~
もしかしてハードこあですか
21.100名前が無い程度の能力削除
甘あああああい!恋する文が可愛すぎてぼかぁもう!
…所々挟まれるごはん描写見てたらなんか腹減ってきた。米を食おう。
23.100名前が無い程度の能力削除
あややかわいすぎ
26.100名前が無い程度の能力削除
これはやばい
ここまでやってくれるとは•••
30.100名無し程度の能力削除
3杯いけますよ
イクさんかっこいい
31.100名前が無い程度の能力削除
このご飯は甘過ぎる。
食べられないよ(美味しんぼ)

誰だよまったく、俺の夜食の美味い棒をスニッカーズにしたのは……。
35.100名前が無い程度の能力削除
文の恋は本物だったので、実は勘違いオチというありがちネタじゃなかったのもよい。
楽しかった。イクさん!かっこいいですwww
36.100名前が無い程度の能力削除
これだけの数なのにみんなキャラ立ってて面白いでした
女の子は恋話題大好きですよねー
37.90名前が無い程度の能力削除
結局最初、衣玖さんは何しにきたんw
さとりもモノマネが上手いとか謎のスキルw
39.100名前が無い程度の能力削除
うん。みんな大好きだよね、コイバナ。
私も大好きでげす。
42.100名前が無い程度の能力削除
いやー面白かったwwリアルで声出そうだった
44.100名前が無い程度の能力削除
ご飯が炊けたら、もう一回読みます
45.100名前がない程度の能力削除
メシウマですね!!思わず叫びたくなりました!!!
46.100名前が無い程度の能力削除
何故か『こじゅうぎ』の件で数分間笑ってたwwww
48.100名前が無い程度の能力削除
やっている事は「超」がつく程おバカなのに猛烈な勢いで描かれているせいなのか、謎の感動が。
いや~、笑わせて頂きましたw
49.100名前が無い程度の能力削除
文は好き。でも許す(キリッ
50.100名前が無い程度の能力削除
あややかわいい!
あとキスメさんは桶に入って更に壷に入ってたんでしょうか。想像するだに可愛い。
53.90名前が無い程度の能力削除
え?っえ?ええええええええええ!
55.100名前が無い程度の能力削除
恋バナ好き大杉www
あぁでもこういう時にさとりんは便利だw
60.90名前が無い程度の能力削除
ニヤニヤさせていただきました。
欲を言えば、天狗仲間の椛とはたても出して欲しかったのでこの点数に。
61.100がま口削除
今日も元気だコイバナだ。明日も元気だメシがうまい!
いやー、相変わらず勢いが最高です。いつも他人の醜聞ばかり追いかけている文が、逆にパパラッチされるという状況が面白かったです。
でもやっぱり口述しておくべきは、乙女の様にしおらしい文というギャップでリアルにご飯3杯食べられるという大発見ですね!
こりゃー近いうちに、家の米びつどころか米蔵がスッカラカンになりそうだ(キリッ)
62.100名前が無い程度の能力削除
要所要所でアリスがいいキャラしすぎてるっw
脇役のキャラが皆いい感じで動いてました。
65.100名前が無い程度の能力削除
まことに美味で! 全米震撼である! うおーー!! いざr(hwr
夜中なのにテンション上がったw
68.90名前が無い程度の能力削除
ぐるめ
かんけいない
いや、恋もグルメも千差万別、それぞれの好みとかで盛り上がってる話にはグルメ泥棒タグは必須なのか…?むむむ
それはそれとしてコイバナで盛り上がる幻想郷女子の皆様はとてもよろしゅうございました
79.80桜田ぴよこ削除
毎度飽きさせない工夫が感じられる話作りでシリーズの追っかけ甲斐があります。面白かった。
84.100名前が無い程度の能力削除
いやー、このシリーズは最近知ったのですが、面白いですねwww
文章に勢いがあって、とても読みやすいです。

そんな事より腹が減った。米を食べよう。
85.100武蔵削除
登場するキャラクターが良い味を出してる。とくに年増組が面白い。紫と神奈子の乙女成分でゴハン一杯。話の全体でゴハン四杯はいける。いいオカズでした。こう書くとエロくなるけどそんな意図はないですよ(笑)
87.無評価お嬢様・冥途蝶・超門番削除
1番様    どうもありがとうございました!またやっちゃった・・・ お嬢様
2番様    メッシウマーー!! お嬢様
       召し馬でございます 冥途蝶
       飯ウンマーーー!! 超門番
4番様    だって他に男キャラいないんだもんww もっと出ればいいのにね~     お嬢様
       奇妙な雑貨屋さんしてるお兄さんってあこがれです・            超門番
6番様    何だってぇーー!?www まぁ、いいかww 読んでくれてありがとう!  お嬢様
       私の家は五穀米っていうムギとかが入った栄養米です。オススメでございます 冥途蝶
9番様    グラッツェ!!読んでくれて! お嬢様
       でぃ・モールト・グラッツェ! 超門番
11番様   ご、ごめんなさい!!ww 200点ほしかったよぉー!!ww 紳士だね! お嬢様
       文ちゃんは今回はずれクジの様な気がするのですが・・           冥途蝶
奇声を様   奇声をさんこんにちわ!久々の勢いギャグな気がする・ 誤字多かったけど読んでくれて
       ありがとうね!今回パートは少なかったけどお蝶のところだけ正しい「霖之助」さんの字
       になってたよね。さすがだわ!                        お嬢様
       私に隙はありませんでした。でも執筆中はお嬢様の邪魔しまくってたので反省です 冥途蝶
14番様   ありがとう! 誤字多いけどね・・ 次はがんばる  お嬢様
       「霖之助」さんの間違い前もあったんですよねぇ・・ 超門番
特にないです様 これは誤字のことかな?そうだよね~wホント気をつけます。  お嬢様
        ハードこあではなくパンクロックでございますw        冥途蝶
21番様   あま==い!!ww 文のもじもじ具合が旨く書けてたみたいでよかった!今日は米3杯てい
       うか米3倍だね!              お嬢様
       甘すぎますよ文さぁ~~ん!てやつですねぇ! 超門番
23番様   文のかわいさが伝わってよかた!結構貧乏くじ引いたからどうかな~、ておもってたんだけどね。                                                             お嬢様
26番様   読んでくれてありがとう! ちょっとヘンテコな感じになっちゃったけど結果オーライかな?
       グラッツェ!!                              お嬢様
       ありがとうございます。やりすぎない様にがんばってテンション抑えたつもりでございます。
                                            冥途蝶
名無し様   衣玖さんはお姉さんキャラだよね~。私は扱いやすいから時々出てもらってるww
       カッコいいでしょ!  お嬢様
       フィーバー!シャコーン   超門番
31番様   うまいい棒!私はサラダ味派!! お嬢様 私はチーズ味派でございます。 冥途蝶
       私はホームランバー・・ 超門番
35番様   実は本当は真面目な恋愛モノを書きたかったんだよね・ww まあ、いつか一人でやるかも?
                                               お嬢様
       フィバありがとうございます                           冥途蝶
36番様   ありがとう!皆でわいわい系がやっぱり書いてておもしろいww 皆個性派ぞろいだから書く
       の楽だったりする。良かったら次回もよろしく! お嬢様
       私もコイバナで丼3杯は余裕でございます。   冥途蝶
37番様   何しにきたんだろう?www さとりのモノマネ好きはいつかやってみたかったのよ。 お嬢様
       うん、確かに何しにきたんですかねぇ・・www  超門番
39番様   「げす」!!??www すごい!只者じゃないね!ww コイバナで盛り上がるのは男女関係
       ないでしょ!私ももちろん・  お嬢様
       ニュータイプ現るですわ。   冥途蝶
42番様   声だして笑って良し!! 我慢はよくないよ!ww 読んでくれてどうもありがとう! お嬢様
       やっぱ楽しいお話が一番ですね! 超門番
44番様   ご飯炊けた?ww ご飯のお供にこのお話を・。 お嬢様
       私は出来たてのものより、少し時間の空いた粒の立ったご飯の方が好きです。関係ないですね!                                                                 超門番
45番様   めしうまーっ!! 叫ぼう! 周りに変な目でみられてもね。 お嬢様
       飯馬ー!! コイバナさーいこーう! 超門番
46番様   そこ??独特のツボに触れちゃったみたいだねww 嬉しいけどさ! お嬢様
       自分達の考えたお話で笑ってもらえるって最高ですよね!ありがとうございます! 超門番
48番様   ありがとう!笑ってもらえて光栄よ!最近マジメなお話も書いてたけど、やっぱ楽しいのが一番
       だね。書いててもおもしろかったし。 お嬢様    
       おばか最高でございますフィーバー! 冥途蝶
49番様   おこられるかと思ってハラハラしてたけど、受け入れてもらってよかったww お嬢様
       文さん好きですね。いつか続きもやりたいんですけどね~          超門番
50番様   その考えは全くなかったわ!!ww なんてこった!ww でも、かわいいんならそう言う事に
       しておいて・・         お嬢様
       どんな状態だよ!て感じですわ。 冥途蝶
53番様   キマッタ! お嬢様 ビシッ!! 冥途蝶 シャキーン! 超門番
55番様   コイバナは心のメインデッシュ!ww 私もモチロン!!                 お嬢様
       さとりさんのキャラ付けは私達の願望です。連れ回していろんな人の心を読んでほしいですわ 冥途蝶
60番様   椛はホントは出る筈だったんだよね~・ けずっちゃったww 天狗ズだけのお話もいいね!ちょっと
       考えてみよっと! お嬢様  
       ニヨニヨニヨニヨ・・    冥途蝶
がまさん   がまさんこんにちわ!ちょっと!ww 今日も元気だ~・て23時55分に言う言葉じゃないよね!!
       まあ明日も~てつづいてるけどさ!www (キリッ)とされても困るんだけど!www     お嬢様
       これ超ウケしましたww 「今日終るじゃん!」て一斉に突っ込みました。なむさん・・   超門番
       文のキャラ的な構図に注目してくれた人はいませんでした。流石でござます。        冥途蝶
62番様   アリスは実は大事なスパイスだったんだよ!!ww 気付いてくれてうれしい!  お嬢様
       アリスちゃん好きですね!? 超門番
65番様   ホンッと夜中だよね!!もう完全に真夜中!!丑三つ時じゃん! なんて時に読んでんの!? お嬢様
       すごい時間によんでますねぇ・・ 私は完璧夢の中で大冒険中でしたよ。 超門番
68番様   ぐるめとは何か!?て話よ!食欲に留まらないグルメの可能性について(ry お嬢様
       そこ!突っ込んじゃだめ! 超門番
桜田ぴよこ様 私達もぴよこさんの新作待ってるよー!今ヒマな時だからガンガン読めるよ~!       お嬢様
       誤字また見つけた・・一旦お話出来上がると見直ししにくいんですよねぇ・・いつも押し付け合ってます
                                                  超門番
       ありがとうございます。3人寄らば・で、ネタは溢れるほどあるんですが・・        冥途蝶
84番様   そうやって見知ってもらって光栄よ! 84番さんに飽きられない様にがんばるから、どうかこれからも
       よろしくね~。                                    お嬢様
       ありがとうございます。始めましてです!すっごい文章力の無いメンバーの集まりですけどがんばります!
       どうかよろしくおねがいします!                            超門番
武蔵様    あ!名前のカッコイイ武蔵さん!ありがとー!読んでくれたんだねー。年増組みかあ・・wwwスキマに
       送られるよ??ww そういえば5人だっけ?全員出てるね・。今気づいた・・       お嬢様
       エロイ意図があっても私は構いません!コイバナに過激派は必ずいるものです!シャキーン!    冥途蝶
       
90.90名前が無い程度の能力削除
ウマーーーーーwww
でも誤字が・・・
>百蓮
白蓮
92.無評価お嬢様・冥途蝶削除
90番様  う・・まただ・・なんか悲しくなってくるなあ・・。でもでもちゃんと評価してくれて
      ありがとう!全っ然気が付かないんだよねぇ・・             お嬢様
      猛反省でございます。ウマーーー!! もうちょっと真面目に見直すべきですね・  冥途蝶 
93.100名前が無い程度の能力削除
何故だっ!?何故だれも五右衛門慧音に突っ込まない?
さあー、ご飯を炊こう。
94.100名前が無い程度の能力削除
文かわいいですね!!
あと文章も読みやすくてよかったです。
95.100名前が無い程度の能力削除
ワロタ
97.無評価お嬢様・冥途蝶・超門番削除
94番様   文章うまくかけてたかな?自分達じゃ分からないんだよね~。文のこと怒る人がいなく
       てよかったよww 読んでくれてありがとうね!              お嬢様
       「文がかわいい」ていう意見がけっこう意外なんですよねぇ・・ 分からないものです
       よね~                                 超門番
95番様   ヤッタ! お話は楽しいのが一番て思ってる! 次もよろしく!       お嬢様
       ヨシャ!                                  冥途蝶
99.100名前が無い程度の能力削除
恋バナで盛り上がる様子を見てるとそー言えばみんな少女だったんだなぁと思いました、
101.無評価お嬢様・超門番削除
100番様   どうもありがとう! 
        そりゃあ少女だって!まさか変なオヤジの集団なわけないじゃん。おもしろいけどww お嬢様
        オヤジの集団だった、ていう話で誰かに書いてもらいたい・・            超門番
103.100紅川寅丸削除
エラく遅うなってしまいました。メンゴ!(ふっる~)

会話と、場面の展開の速度、真似ができません。
感性の差を思い知らされます。

・三角相関図ってスゴそう。
・衣玖の登場タイミング、その後の恋愛マイスターっぷりが素敵。
・K点ギリギリ、辛そうな評価ですが、よくわかりませんな(笑)
・「あ、でも、ハイ」「早苗さん」手を挙げる早苗を衣玖は指差す。なにこの仕切り。
・「で、出来るかしら…… 私に、そんな大役……」なんだか終始、情けない紫。
・くわりと目を見開いた→レミリア、要所でかっこいいなぁ。
・早苗、いろいろと頑丈だな、私も次回は彼女メインだ!
・守矢一家は仲良くブレーメンの音楽隊だ→こういった表現がシャレ乙だよなー。

現役の恋する乙女が描く恋バナに、ただひれ伏すのみでございます。
104.無評価お嬢様・冥途蝶・超門番削除
寅丸先生    (ふっる~)ていわれてもその古さが分からないから大丈夫!ww
        センセイお久し~。センセイ忙しいからって分かってるから大丈夫だよ~ww
        暇で暇で死にそうな時に読んでくれたらいいからw でも時々お話は書いてよねっ!
                                         お嬢様
        現役の恋する乙女って言われても私達の学校は女しかいないので恋もしようがあり
        ません。半ば願望に近いお話になっているような気がします。イエス!   冥途蝶
        おひさしです!先生忙しいんですね。これから暑くなりますけどお仕事がんばって
        ください。駅のサラリーマーの人を見ると哀愁すら感じちゃいますw  超門番
105.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです!
でもあやや好きが発狂しないかが、完成度が高い故にただただ心配です!
106.無評価お嬢様・超門番削除
105番様   それは私も心配だったんだなあww 文は結構好きなキャラ。使いやすいもん
        ね。読んでくれてどうもありがとう!              お嬢様
        完成度・・最初はめちゃ低だったのは内緒です。
        文さんみたいなタイプが実際恋愛沙汰には弱そうなきがしますよね。もじもじ
        具合が旨く伝わってよかったです!               超門番
        
109.100名前が無い程度の能力削除
皆色々と飢えすぎでしょうw
あ、だからご飯なのか(違
112.100名前が無い程度の能力削除
物凄いテンションにやられました
113.無評価お嬢様・冥途蝶削除
109番様  やっぱそこは絶えず飢えていたいっ!ww 
       男女共学の学校がうらやましいなんて思ってないからっ! (泣)   お嬢様
       そう、それはまさに平野を疾駆する飢えた狼のように・・       冥途蝶

112番様  ありがとう!このテンションこそ私らのテイスト! レッツ!ご飯!  お嬢様
       夏休みで飯10杯です。レッツ10合!               冥途蝶
115.100ぺ・四潤削除
素晴らしい。なんて素敵なチームワークの幻想郷オールスターズだ。
責任の擦り付け合いっぷりも素敵過ぎる。
乙女なゆかりんも可愛いし最後時を止めて逃げることすら忘れるほどテンパった咲夜さんも可愛い。
なにより文ちゃんが可愛すぎる。いやいやとにかく全員可愛いんだ。
116.無評価お嬢様・冥途蝶削除
ヨン様   ヨン様ダーーー!!!www
      あ、ありがとう!まさかまたヨン様が見てるれるなんて・・・!
      これ門さんに「ちょっとキャラウザくない?」て言われてたんだけど、かわいく書けてる
      みたいでホッとしてる。ヨン様は夏休みエンジョイしてる?私は忙しくてお話書いてる暇
      がないよ。主にあそびでね!でもカキコーは普通にあるから二重に大変!ww
      新作もがんばっちゃうよ!                         お嬢様
      咲夜ちゃんには時間を止めて逃げる手段があったんですね・・。
      最近執筆が停滞していますけどコメントはチラチラ見ているんです・・。ありがとうございます。
      アハハ!キラキラ!・ってしているウチに7月が終ってしまいましたね・・   冥途蝶
122.100リペヤー削除
カオスwwwwwwwww
文が可愛すぎて悶えましたww
勘違いオチでなかったのも良かったです
123.無評価お嬢様削除
リペヤー様   カオスってるでしょww このお話のネタはまた書きたいんだよね。
        今度は霖之介さんとのデートネタとか!ライバル出現とか!        お嬢様
124.100名前が無い程度の能力削除
ドキドキ
125.無評価お嬢様・超門番削除
124番様   バクバク・・・!                           お嬢様
        ドカン!バコン!                           超門番
130.90幻想削除
恋愛は相手を純粋に思う気持ちが生み出します。
これがおかずにならないわけがないですね。
メ シ ウ マ
133.無評価お嬢様・冥途蝶削除
幻想様   ごめんなさい気づかなかったよぉ。恋愛モノはまた書きたいな。だって一番楽しんで書けるんだよ~。やっぱ文ちんに
      再登場してもらおうかなぁ・・・                               お嬢様
      幻想様フィーバーですね。本当にグラッツェです。恋愛ネタは3人いると脱線が多くて制御が難しいのです。でも本当はまたやりたい
      のです。その辺の心のせめぎ合いがあるのです。                               冥途蝶
145.100名前が無い程度の能力削除
隠密行動中に騒ぎ過ぎだろう…………