Coolier - 新生・東方創想話

魔理沙が大変なものを盗られていきました ~Magic of Love~

2010/10/08 21:31:54
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朝起きたらこんな書置きがあった。

『こういうのは私の趣味じゃないんだけど・・・図書館から無断で本を盗っていくあなたに、少しお仕置きをすることにしたわ。あなたが大切にしているミニ八卦炉をいただいていく。返してほしければ、紅魔館の図書館に来なさい。 By 怪盗ナイトフロラ』

・・・何だこれ?
寝ぼけた頭では、理解するのに時間がかかった。
しかし、その意味を理解した瞬間、私は青ざめた。

私が命の次に大切にしている宝物、ミニ八卦炉。
魔法鍋を使うときの火を起こしたり、食事を作る時の火のもとであったり・・・
様々な用途に使っていたが、私にとって何よりも重要なことがある。

マスタースパークが撃てない。

これは、私のアイデンティティーに関わることだ。
マスパが撃てなきゃ私じゃない。
弾幕はパワーだぜ!

私はすぐに紅魔館に向かった。


紅魔館の門の前には、いつも通り美鈴がいた。
いつもなら苦労する相手ではないんだが・・・

「おや?魔理沙さん、今日はいつもとは様子が違いますね?」

「ぐっ・・・事情は知ってるんだろ?私は図書館に用があるんだ。ここを通してもらうぜ。」

「いいえ、そう簡単にここを通すわけにはいきません。私は門番ですからね。通りたければ、私と勝負して勝ってから通ればいいんです。でも、魔法が使えない今のあなたに、勝負ができるとは思えませんが。」

「・・・たとえ魔法が使えなくっても、スペルカードを見切れば勝ちだぜ! さあ、撃ってこいよ! 全部避けてやるぜ!」

・・・美鈴とのスペルカード対決は、私の勝利に終わった。
昔、幻想郷最速を名乗ったのは伊達じゃないんだぜ。

「・・・そんな・・・攻撃もされずに負けるなんて・・・罠だ! これは罠だ! 誰かが私を貶めるために仕組んだ罠だ!」

叫ぶ門番を後に、私は紅魔館に入って行った。


図書館までの道のりは特に問題なく、私は目的の場所にたどりついた。
扉を開けて主を呼ぶ。

「パチュリー! 来たぜ! ミニ八卦炉を返せ!」

「・・・図書館では静かにしなさい。それがマナーというものよ。」

今はそんな一般論は重要ではない。
私の宝物を返してもらうことが一番大事なことだ。

「勝手に人のものを持っていくのは泥棒なんだぜ! あるんだろ? ミニ八卦炉! 早く出せ!」

「勝手に人のものを持っていってるのはどっちよ・・・」

「私は盗ったんじゃない! 死ぬまで借りてるだけだぜ! いいから早く返せ!」

ため息をつくパチュリー。
少しの間をおいて、彼女は話し出した。

「ミニ八卦炉が、あなたにとって大切なものだというのはよくわかったわ。でも、ただで返すわけにもいかないわ。それなりの交換条件を飲んでもらわないと。あなたの誠意を見せてちょうだい。どんな形でもいいから、私があなたを認めることができたら、ミニ八卦炉は返してあげる。」

私はこの条件に対してこう答えた。

「・・・スペルカード対決だ! 一番強いスペルカードを見切ってやる! それができれば、私の力を認めてくれるだろう? さあ! 勝負だ!」


結果は・・・
火水木金土符「賢者の石」の前に、私は見事に敗れ去った。

自身があった。
絶対勝てると思っていた。
しかし、私は見切れなかった。

これでもう、私の宝物は帰って来ない。
目に涙が浮かんできた。
悲しさを抑えることができない。
気がつくと、声をあげて泣き出していた。


泣きじゃくる私に、パチュリーが近づいてくる。
そして・・・


何かを目の前に差し出した。
私の宝物。
ミニ八卦炉だった。

私は驚いてパチュリ-を見る。

「・・・私は、あなたに誠意を見せてと言ったわ。あなたは今、大切なものを失うことの悲しみを全身で表現していた。それで充分。あなたの誠意は、痛いほど伝わってきたわ。」

涙でぐしゃぐしゃになった顔で、もう一度パチュリーを見る。
パチュリーは無言でうなずいていた。
次の瞬間、私はパチュリーに抱きついていた。

「もう・・・これからは、勝手に本を持っていこうなんて考えちゃだめよ。一言いってくれれば、貸してあげることくらいはできるんだから。」

「・・・パチュリー・・・ありがとう・・・大好きだぜ・・・」

「・・・ばか」

パチュリーの顔が紅く染まる。
それを見て、私に笑顔が戻ってくる。

私はミニ八卦炉を盗られた。
なんだかんだでそれは戻ってきたのだが、
もうひとつ、
大切なものを盗られてしまったかもしれない・・・
少し前に書いたものですが、某ロードショーで例の城の話をしていたので、ふと思い出して挙げてみました。
いくつかの続きものの話の中の1話だったのですが、これだけでも十分なように細部を調整しています。

読んでいただいた方、ありがとうございます。
kirisame
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コメント



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15.30のりたま削除
短いなぁ薄いなぁ、というのが第一印象でした。
事件のきっかけ、内容ともに明解なのですが、進行の部分がいかんとも……
短編はそれひとつで完成されているべきなのに、なんだか抜き出し要約の文を読んでいた気分でした。
地の文をもっとふくらませて、状況・弾幕勝負・心情をもっと描写して欲しいです。

執筆お疲れ様でした。次回を楽しみにさせていただきます。
20.無評価彩雨削除
個人的に、魔理沙とパチュリーのコンビの話が好きなのでこういった話が投稿されるのは嬉しいです。

でも、もう少し長いほうが内容的にも、入りやすい話になったと思います。