朝起きたらこんな書置きがあった。
『こういうのは私の趣味じゃないんだけど・・・図書館から無断で本を盗っていくあなたに、少しお仕置きをすることにしたわ。あなたが大切にしているミニ八卦炉をいただいていく。返してほしければ、紅魔館の図書館に来なさい。 By 怪盗ナイトフロラ』
・・・何だこれ?
寝ぼけた頭では、理解するのに時間がかかった。
しかし、その意味を理解した瞬間、私は青ざめた。
私が命の次に大切にしている宝物、ミニ八卦炉。
魔法鍋を使うときの火を起こしたり、食事を作る時の火のもとであったり・・・
様々な用途に使っていたが、私にとって何よりも重要なことがある。
マスタースパークが撃てない。
これは、私のアイデンティティーに関わることだ。
マスパが撃てなきゃ私じゃない。
弾幕はパワーだぜ!
私はすぐに紅魔館に向かった。
紅魔館の門の前には、いつも通り美鈴がいた。
いつもなら苦労する相手ではないんだが・・・
「おや?魔理沙さん、今日はいつもとは様子が違いますね?」
「ぐっ・・・事情は知ってるんだろ?私は図書館に用があるんだ。ここを通してもらうぜ。」
「いいえ、そう簡単にここを通すわけにはいきません。私は門番ですからね。通りたければ、私と勝負して勝ってから通ればいいんです。でも、魔法が使えない今のあなたに、勝負ができるとは思えませんが。」
「・・・たとえ魔法が使えなくっても、スペルカードを見切れば勝ちだぜ! さあ、撃ってこいよ! 全部避けてやるぜ!」
・・・美鈴とのスペルカード対決は、私の勝利に終わった。
昔、幻想郷最速を名乗ったのは伊達じゃないんだぜ。
「・・・そんな・・・攻撃もされずに負けるなんて・・・罠だ! これは罠だ! 誰かが私を貶めるために仕組んだ罠だ!」
叫ぶ門番を後に、私は紅魔館に入って行った。
図書館までの道のりは特に問題なく、私は目的の場所にたどりついた。
扉を開けて主を呼ぶ。
「パチュリー! 来たぜ! ミニ八卦炉を返せ!」
「・・・図書館では静かにしなさい。それがマナーというものよ。」
今はそんな一般論は重要ではない。
私の宝物を返してもらうことが一番大事なことだ。
「勝手に人のものを持っていくのは泥棒なんだぜ! あるんだろ? ミニ八卦炉! 早く出せ!」
「勝手に人のものを持っていってるのはどっちよ・・・」
「私は盗ったんじゃない! 死ぬまで借りてるだけだぜ! いいから早く返せ!」
ため息をつくパチュリー。
少しの間をおいて、彼女は話し出した。
「ミニ八卦炉が、あなたにとって大切なものだというのはよくわかったわ。でも、ただで返すわけにもいかないわ。それなりの交換条件を飲んでもらわないと。あなたの誠意を見せてちょうだい。どんな形でもいいから、私があなたを認めることができたら、ミニ八卦炉は返してあげる。」
私はこの条件に対してこう答えた。
「・・・スペルカード対決だ! 一番強いスペルカードを見切ってやる! それができれば、私の力を認めてくれるだろう? さあ! 勝負だ!」
結果は・・・
火水木金土符「賢者の石」の前に、私は見事に敗れ去った。
自身があった。
絶対勝てると思っていた。
しかし、私は見切れなかった。
これでもう、私の宝物は帰って来ない。
目に涙が浮かんできた。
悲しさを抑えることができない。
気がつくと、声をあげて泣き出していた。
泣きじゃくる私に、パチュリーが近づいてくる。
そして・・・
何かを目の前に差し出した。
私の宝物。
ミニ八卦炉だった。
私は驚いてパチュリ-を見る。
「・・・私は、あなたに誠意を見せてと言ったわ。あなたは今、大切なものを失うことの悲しみを全身で表現していた。それで充分。あなたの誠意は、痛いほど伝わってきたわ。」
涙でぐしゃぐしゃになった顔で、もう一度パチュリーを見る。
パチュリーは無言でうなずいていた。
次の瞬間、私はパチュリーに抱きついていた。
「もう・・・これからは、勝手に本を持っていこうなんて考えちゃだめよ。一言いってくれれば、貸してあげることくらいはできるんだから。」
「・・・パチュリー・・・ありがとう・・・大好きだぜ・・・」
「・・・ばか」
パチュリーの顔が紅く染まる。
それを見て、私に笑顔が戻ってくる。
私はミニ八卦炉を盗られた。
なんだかんだでそれは戻ってきたのだが、
もうひとつ、
大切なものを盗られてしまったかもしれない・・・
『こういうのは私の趣味じゃないんだけど・・・図書館から無断で本を盗っていくあなたに、少しお仕置きをすることにしたわ。あなたが大切にしているミニ八卦炉をいただいていく。返してほしければ、紅魔館の図書館に来なさい。 By 怪盗ナイトフロラ』
・・・何だこれ?
寝ぼけた頭では、理解するのに時間がかかった。
しかし、その意味を理解した瞬間、私は青ざめた。
私が命の次に大切にしている宝物、ミニ八卦炉。
魔法鍋を使うときの火を起こしたり、食事を作る時の火のもとであったり・・・
様々な用途に使っていたが、私にとって何よりも重要なことがある。
マスタースパークが撃てない。
これは、私のアイデンティティーに関わることだ。
マスパが撃てなきゃ私じゃない。
弾幕はパワーだぜ!
私はすぐに紅魔館に向かった。
紅魔館の門の前には、いつも通り美鈴がいた。
いつもなら苦労する相手ではないんだが・・・
「おや?魔理沙さん、今日はいつもとは様子が違いますね?」
「ぐっ・・・事情は知ってるんだろ?私は図書館に用があるんだ。ここを通してもらうぜ。」
「いいえ、そう簡単にここを通すわけにはいきません。私は門番ですからね。通りたければ、私と勝負して勝ってから通ればいいんです。でも、魔法が使えない今のあなたに、勝負ができるとは思えませんが。」
「・・・たとえ魔法が使えなくっても、スペルカードを見切れば勝ちだぜ! さあ、撃ってこいよ! 全部避けてやるぜ!」
・・・美鈴とのスペルカード対決は、私の勝利に終わった。
昔、幻想郷最速を名乗ったのは伊達じゃないんだぜ。
「・・・そんな・・・攻撃もされずに負けるなんて・・・罠だ! これは罠だ! 誰かが私を貶めるために仕組んだ罠だ!」
叫ぶ門番を後に、私は紅魔館に入って行った。
図書館までの道のりは特に問題なく、私は目的の場所にたどりついた。
扉を開けて主を呼ぶ。
「パチュリー! 来たぜ! ミニ八卦炉を返せ!」
「・・・図書館では静かにしなさい。それがマナーというものよ。」
今はそんな一般論は重要ではない。
私の宝物を返してもらうことが一番大事なことだ。
「勝手に人のものを持っていくのは泥棒なんだぜ! あるんだろ? ミニ八卦炉! 早く出せ!」
「勝手に人のものを持っていってるのはどっちよ・・・」
「私は盗ったんじゃない! 死ぬまで借りてるだけだぜ! いいから早く返せ!」
ため息をつくパチュリー。
少しの間をおいて、彼女は話し出した。
「ミニ八卦炉が、あなたにとって大切なものだというのはよくわかったわ。でも、ただで返すわけにもいかないわ。それなりの交換条件を飲んでもらわないと。あなたの誠意を見せてちょうだい。どんな形でもいいから、私があなたを認めることができたら、ミニ八卦炉は返してあげる。」
私はこの条件に対してこう答えた。
「・・・スペルカード対決だ! 一番強いスペルカードを見切ってやる! それができれば、私の力を認めてくれるだろう? さあ! 勝負だ!」
結果は・・・
火水木金土符「賢者の石」の前に、私は見事に敗れ去った。
自身があった。
絶対勝てると思っていた。
しかし、私は見切れなかった。
これでもう、私の宝物は帰って来ない。
目に涙が浮かんできた。
悲しさを抑えることができない。
気がつくと、声をあげて泣き出していた。
泣きじゃくる私に、パチュリーが近づいてくる。
そして・・・
何かを目の前に差し出した。
私の宝物。
ミニ八卦炉だった。
私は驚いてパチュリ-を見る。
「・・・私は、あなたに誠意を見せてと言ったわ。あなたは今、大切なものを失うことの悲しみを全身で表現していた。それで充分。あなたの誠意は、痛いほど伝わってきたわ。」
涙でぐしゃぐしゃになった顔で、もう一度パチュリーを見る。
パチュリーは無言でうなずいていた。
次の瞬間、私はパチュリーに抱きついていた。
「もう・・・これからは、勝手に本を持っていこうなんて考えちゃだめよ。一言いってくれれば、貸してあげることくらいはできるんだから。」
「・・・パチュリー・・・ありがとう・・・大好きだぜ・・・」
「・・・ばか」
パチュリーの顔が紅く染まる。
それを見て、私に笑顔が戻ってくる。
私はミニ八卦炉を盗られた。
なんだかんだでそれは戻ってきたのだが、
もうひとつ、
大切なものを盗られてしまったかもしれない・・・
事件のきっかけ、内容ともに明解なのですが、進行の部分がいかんとも……
短編はそれひとつで完成されているべきなのに、なんだか抜き出し要約の文を読んでいた気分でした。
地の文をもっとふくらませて、状況・弾幕勝負・心情をもっと描写して欲しいです。
執筆お疲れ様でした。次回を楽しみにさせていただきます。
でも、もう少し長いほうが内容的にも、入りやすい話になったと思います。