Coolier - 新生・東方創想話

SWEET SWEET SWEET

2010/08/07 21:19:55
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「こんにちは、霊夢。今日も暑いわね」
「いらっしゃい、アリス」
「私もいるぜ」
「昨日ぶりね、魔理沙」

 蝉の声を聞きながら、朱塗りの鳥居をくぐる。じりじりと肌を焼く、真夏の陽射し。境内に敷き詰められた玉砂利の白さが目にまぶしい。地上近くによどんだ熱気が、重たく手足にまとわりつく。黙っていても、汗がじわりと浮いてくる。とにかく暑い。溶けてしまう。

 霊夢は縁側で、のんびりと団扇を使っていた。連れ立って歩いてくる私とアリスを見つけて、のんきに手を振る。
 アリスがよそ行きの笑顔で、和菓子屋さんの紙袋を掲げてみせた。

「霊夢、頼まれていたお人形が出来たから、持ってきたわ。それと、お土産の水羊羹よ」
「わあ、嬉しい!」

 霊夢がぴょこんと立ち上がって、紙袋に手を伸ばす。それを見たアリスは、霊夢の手が届かないところへ、ひょいと袋を遠ざけてしまう。頭いっこ分の高さを活用して、アリスはちょっと意地悪な笑みを浮かべた。

「ねえ霊夢、嬉しいのは私の手作りのお人形?それとも買って来た水羊羹?」
「決まってるじゃない。両方よ」

 霊夢は悪びれずに答えて、すいと宙に浮く。高く持ち上げたアリスの両手に、簡単に届いてしまった。

「さあ、座って待ってて。アリスと私の分の水羊羹、切り分けてくるからね」
「……ちょっと待て。魔理沙さんの分はどこ行ったんだよ?」
 
 聞き捨てならない台詞に、私は思わず声を上げる。
 霊夢は慌てず騒がず、手のひらを差し出してくる。

「そういう魔理沙のお土産は?」
「ふん、アリスにとっておきの和菓子屋さんを推薦したのは、私だぜ。つまりその水羊羹は、半分私のお土産って寸法だ」

 胸を張って言うと、アリスが肩をすくめて、霊夢と顔を見合わせる。
 あ、何だよ、その悟ったような表情。
 以心伝心なんです、っていう雰囲気。

「まあ、そういう訳だから。魔理沙の分も切ってやって。……うっすく、ね」
「よし、腕によりをかけて薄切りにしてあげるわ。向こう側が透けて見えるくらいにね。記録に挑戦するわよ、腕が鳴るわ」
「霊夢っ、次は食べられるもの持ってくるから、せめて一口分は!」


◇  ◆  ◇


「水羊羹を切る間、お茶の番をお願いね」

 そう言って、霊夢は氷出しの緑茶を運んできた。
 アリスは珍しそうに、和風の茶器を眺めている。

「氷で淹れる緑茶なんて、初めて飲むわ」

 硝子の器の中で、透き通った氷が熱視線に耐え切れず、じわりと溶けた。
 溶けた氷は、緑茶の層を通って、翠色に色づいたしずくとなり、器の底に滴る。
 ピトン、ピトン。
 アリスはじっと耳を澄ます。しばらく耳をそばだてたかと思うと、子どもみたいに無邪気なことを言う。

「……しずくが歌ってる」
「雨だれみたいに?」
「うん、そう。私、雨って好き」
「霧雨も?」

 さりげなく尋ねたつもりだったのに。
 アリスは横目をちらりとくれた。目があうとパッと視線をそらす。一瞬の沈黙に、ちりん、と風鈴が鳴る。

「……あーあ、今日はほんとに、蒸し暑くて嫌になる。うっとおしい黒のワンピースを見てるせいかしら?」

 それじゃあ、アリスの白い頬が、ほのかに色づいているのは、真夏日のせい? 
 そういう事にしておいて、はぐらかされた話の流れに乗ってやる。

「黒は魔女の正装なんだぜ」
「なるほど、こだわりなのね。でも、魔女の端くれなら、色の原理くらい知ってるでしょ。黒は一番光を吸収する色よ。吸収された光は熱に変わる。本当なら、夏は光をはじく白の方が涼しいのよ。あんたは好き好んで、暑さを招いてるって訳」

 どうだ、と得意げにアリスが笑う。
 私たちはいつだって、冗談まじりにお互いの揚げ足を取る方法を探している。
 でも今日ばかりは、一時休戦したい気分だ。だって暑い。
 青い畳にだるい素足を投げ出して、お姉さん風に横座りしたアリスの足をかるく蹴る。

「いいんだよ、好きでやってるんだから。美意識を取るか、実用性を取るか。それなら、私は美意識を貫くぜ」
「ご立派なやせ我慢ね。……にしても、よ。同じ黒でも、もっと風通しのいい素材なら、ましなのに。夏服は、薄く、軽くが基本よ。裏地は極力省く!」

 お節介なアリスの指が、黒いワンピースのふくらんだ半そでをつまむ。
 そういえば、こいつは細かい手仕事が得意だった。
 自分の洋服はおろか、人形たちの小さな服まですべて手作りという、筋金入りだ。
 
「そういうことなら話が早い。アリスが私に涼しい夏服を作れば、万事解決だぜ」
「はあ、暑くてやる気が起きないわ。気が向いたらね」
「おいおい、夏が終わっちまうぜ」
「そりゃ困ったわね。魔理沙が」
「アリスは?」
「私は暑くないもんね」

 ケープを脱いで、袖なしワンピース姿のアリスは、舌を出してみせた。にくったらしい。

「つれない事、言うなよ。だったら魔理沙さんが、暑さをおすそ分けしてやるぜ」
「いらないったら。ちょっと、こっち来ないでよ。くっつくな。こら、暑い、暑いってば!」

 私はいまだに、アリスとの関係をなんと名づけるべきか迷ってる。
 甘ったるくて、近づくのも遠ざかるのも勿体無いような、くすぐったい距離。
 アリスにとって私は何なんだ?お隣さん、友達、ライバル、腐れ縁。どの言葉をあてはめても、しっくり来ない。
 なあ、アリス。おまえは私のこと、どう思ってるんだよ。いくら目を凝らしたって、心なんて見えやしない。


◇  ◆  ◇


「お待たせ、二人とも。水羊羹様のおなりですよ~」

 笑顔の霊夢がふすまを開く。とたんに顔をしかめて、手のひらで顔をあおいだ。

「何、この部屋。すごく暑いんだけど」

 明らかに嫌味だ。部屋の中では、私がアリスを捕まえようとして、逃げられたところだった。
 人ん家でいちゃいちゃすんな、と霊夢が目で語る。
 私にとっては文句より、待ちかねた水羊羹が、お盆に載って目の前に到着したことの方が大事だった。
 電光石火。私はすばやく竹串をかすめとって、一番大きな羊羹に突き刺す。

「いただきっ!」
「あっこら、先に食べるんじゃない!」

 とっときの店をすすめた甲斐があって、水羊羹はとても美味しかった。
 小豆のあっさりした甘さで、いくらでも口に入る。
 保冷の魔法をかけて持ってきたから、羊羹はひんやりと冷えていた。
 口に入れると、しつこくない甘味とつるんとした涼味が、すうっと広がる。
 ああ、幸せ。

「おかわり!」
「ずるい、私も!……って、あと2つしか無いじゃないの」
「おい霊夢、ちゃんと人数分切れよ」
「魔理沙の分はお情けなの。あとは私とアリスの分。ってことで、おかわりは我慢しなさい」
「嫌だ嫌だ。ひんやり水羊羹を食べなけりゃ、私は暑さで溶けちまう」
「いっそ溶けなさいよ、うるさくないから」

 皿の上の羊羹は、あと2つ。
 食べ盛りの少女は3人。
 ちゃぶ台の上で視線が火花を散らす、と思いきや。

「……私はいいわ。二人とも、食べちゃいなさいよ」

 呆れ顔のアリスが、大人の余裕を見せて譲ってくれた。

「さっすがアリス、話のわかるいい女だぜ」
「あんたはちょっと反省しなさい。……悪いわね、アリス」
「いいのよ。甘いものを欲しがるほど、子どもじゃないもの。あんたたち、甘いものごときでよくそんなに騒げるわねえ」

 何でもないように言うと、アリスは端正なしぐさでお茶を飲んだ。
 すぐ、驚いたように口許を押さえる。

「あ、美味しい。この緑茶、ぜんぜん苦くないのね」
「でしょ?低い温度で淹れるとね、苦味が出ずに甘味や旨味が出てくるの。その代わり、時間かかるけど。ちなみにそのお茶は、一晩氷で冷やしたのよ」
「そんなに。でも、こんなに甘いなら、待った甲斐があるわね。霊夢、お茶淹れるの上手ね」
「褒めても何も出ないわよ、二煎目のお茶以外はね。アリスこそ、紅茶淹れるの上手じゃない」
「ふふ、ありがと。そういえば紅茶でも、水出しアイスティーが作れるのよ。ちょっと香りの強いフレーバードティーが、水出しにすると上品ですっきりした風味になるの。トロピカルフルーツの香りなんて、夏向けかも」
「うう、話聞いてると飲みたくなってきたわ」
「じゃあ今度、作ってあげるわね」

 お茶談義に花を咲かせる二人の横で、私は水羊羹を大事に味わっていた。口にものを入れたまま喋るなんてお行儀が悪い、と前に叱られたから。いくら日にあたっても抜けるように白いままの、アリスの横顔を眺める。
 アリスにとって、私は霊夢やその他大勢と同じ、友達の一人でしか無いのかな。そんなことを考えると、心のどこかがきしんだ。かけがえのない、特別な誰かだって信じたい。それは、ただの幻想なのかな。


◇  ◆  ◇


 雨上がりの夜空を飛ぶのは、気持ちがいい。
 水と土の匂い、森の匂い。雲の隙間に輝く星たち。しっとりと濡れた夜風が、金色のくせっ毛をなびかせる。
 梢の向こうに、とんがり屋根が見えてきたら、アリスの寝室の窓に目を凝らす。
 カーテンごしに、やわらかな明かりが漏れていた。まだ、寝てないみたいだ。よかった。

 藍色ににじむ夏の夜空から、流れ星になったつもりで窓辺に降り立つ。
 片手には、あまりの暑さにアリスが脱いだまま、神社に忘れたお気に入りのケープ。

「魔女の宅急便が、忘れ物をお届けにあがったぜ」

 挨拶がてら、窓をくぐると。
 今まさに、口を開けてビスケットを頬ばろうとしていたアリスが固まった。

 ナイトテーブルを埋め尽くす、お菓子の数々が目に飛び込む。
 冷たい桃のコンポート。ココナッツのビスケット。チョコミントのアイスクリーム。フルーツと生クリームをたっぷり飾ったプディング。赤ワインのグラニテ。ふるふるのオレンジゼリー。ほろ苦いティラミス。
 それぞれがつやつやと輝いて、ひんやりと涼しげで、……とても美味しそうだった。

 私は腕組みして、所狭しと並ぶ皿をひとしきり見回す。
 心なしか冷や汗を浮かべて硬直しているアリスへ向けて、一言。

「太るぞ」
「……うるさい」

 アリスはポスン、と枕に顔をうずめてしまう。少女趣味のベッドは、あざやかな色の端切れや、レースの切れ端であふれていた。その中に丸くなるアリスの赤くなった耳が、なんだか小動物みたいで可愛らしい。  

 さて、ここで問題。
 どうしてアリスは、夜中に一人で、食べきれないほどのお菓子に囲まれてるのでしょう?
 検証開始。
 
「アリスって、甘いもの苦手なのかと思ってた」
「……女の子は誰だって、甘いものが好きなんです」
「昼間は水羊羹のおかわり、いりませんって言ったくせに」
「……和菓子は苦手なんです」
「ショーケースの中、熱心にのぞいて何がいいかなって悩んでたくせに?」
「……霊夢に喜んでほしかっただけです」

 あくまでも抵抗するアリスに、私は息を吸う。ズバリと切り出す。
「ほんとは、食べたかったんだろ?」
「……何の話?」
「昼間の水羊羹」
「……どうして、そうなるの」
「大人ぶって、水羊羹のおかわりを我慢してみたアリス。しかし霊夢も私も美味しい、美味しいって食べてるの見てると、自分も食べたくなってきた。でも言い出せなかった。……なあアリス、素直になっちゃえば、楽だぜ」
「……黙秘権を行使します」
「ほんとは、甘いものが大好きなんだろ。だから、夜中にこんなにお菓子作って、独り占めしてる」

 私は結論する。
「アリスの見栄っ張り」

「うるさいって、言ってるでしょ!」
 アリスは跳ね起きて、枕を投げつけてきた。乙女の顔面を狙って飛来した枕を、あやうくキャッチ。アリスのやつ、本気で沈めるつもりで投げたな。枕に詰められたラベンダーのポプリが、甘く香る。あ、アリスの顔、真っ赤。……かっわいい。

「拗ねるなよ。よしよし」
「子ども扱い、しないでよ」
「甘いものが好きなやつって、味覚が子どもなんだぜ」
「うう。子どもに子どもって言われるほど、屈辱は無いわ。なんで、こんなときに限って来るのよ。魔理沙のばか」

 駄々をこねるアリスの姿に、ちょっと笑ってしまった。持ってきたケープをかけてやると、頭からすっぽりくるまってしまう。みの虫みたいだ。夜中にこっそりお菓子を食べる場面を見られた。それだけで、ここまで恥ずかしがるなんて。
 アリスの理想とする、クールで優雅な都会派魔法使い。それは甘党ではつとまらない、ハードな役らしい。

「夜中に食べると太るぞ?」
「捨虫の魔法を心得る魔法使いには、太るなんて悩みは関係ないのです」
「……何それ、ずるい。いいなあ」

 思わず皮肉も忘れて、うらやましがる。
 ちょっとは本気で、種族魔法使いを目指してみようか。
 ケープの中から、アリスがちょこんと顔を出す。

「……なあに、太るの怖いの?」
「馬鹿言え。夜中にお菓子食べたって、動けばすぐに消化しちゃうぜ」
「夜中に食べたものって、お肉になりやすいのよ。それに、夏は誤魔化しのきかない季節よ。お子さまはただでさえ、手や頬がぷにぷになのに。これ以上、余計なものを増やしたくないのね?」

 アリスは意地悪そうに青い瞳をきらめかせ、指先で私の頬をつっつく。少女らしい丸みを帯びた頬が、ふに、と柔らかく沈んだ。ふいを突かれて、私は猫みたいに毛を逆立てて威嚇する。

「おまえ、人が気にしてることを……!」
「ほら、さっさと食べちゃいましょうよ。冷たいのが逃げちゃうわ」
「……うう。私はちょっとでいいぜ」
「だいじょうぶよ。魔理沙は可愛いもの」

 仕返しして気が済んだのか、アリスはシャリシャリと氷菓子をくずす。
 一口食べて、ん~、歯がキンキンする、と幸せそうに笑った。
 適当なこと、言いやがって。
 でも、今夜だけは、だまされてあげることにした。
 ちょっとだけ、嬉しかったから。可愛い、かあ。アリスの目からみて、私は可愛いのかな。そうだといい。

 スプーンを手にとる。色とりどりのデザートが、テーブルからきらきら輝いて、食べてみてよと誘ってくる。
 何から食べようかな。初めの一口に迷うのは、楽しい悩みだった。
 チョコミントのアイスクリーム。ふるふるのオレンジゼリー。ほろ苦いティラミス。冷たい桃のコンポート。

 アリスの手作りお菓子は美味しかった。
 ……美味しすぎた。


◇  ◆  ◇


「……おかしい。手が止まらない」

 見る見るうちに、皿からデザートが消えていく。
 どう見つもっても、胃の容量を超えている。
 止まらないスプーンに、焦りがつのる。

「……さてはアリス、おまえ隠し味を入れただろ。なんかこう、ヤバイやつ」

 半分、言いがかりのつもりだった。それなのに、アリスは目を上げて、意味ありげに笑ってみせる。

「あら、わかった?魔理沙にしては鋭いじゃない」
「ちくしょう、何を入れやがった。駄目だ、これ以上食べるんじゃない。私の右手よ、とまれ」
「ふふふ……油断したわね、魔理沙。あなたは力尽きるまで食べるのをやめられないわ」
「何だ、何を入れたアリスぅ……ああもうお腹いっぱいだ」
「教えてあげる」

 そう言って、アリスが選んだのは、生クリームとフルーツでおめかしをした、カスタード・プティングだった。
 スプーンですくいあげると、ふるん、と柔らかく揺れた。

「あーん、して?」

 にっこり微笑むアリスと、さしだされるお菓子の誘惑。
 この組み合わせは、卑怯だな。逆らえないものを感じて、素直に口をあける。
 口の中に広がるバニラの風味、卵のまあるい味。
 生クリームが体温でとろりと溶けて、噛んだフルーツが、甘酸っぱいアクセントを添える。
 アリス手作りのお菓子は、甘くて、ひんやりと冷たくて。とまらない。

 得意げに、アリスが片目をつぶってみせた。

「究極の隠し味、その名も愛情よ」
「……やられた。アリスの愛が詰まってるなら、食べざるを得ないじゃないか」
「無理しなくていいのよ、魔理沙。私の愛は、今のあなたには重すぎるわ……」
「うう……愛の試練だぜ」

 くだらない冗談を言い合って。
 顔を見合わせた後、二人して吹き出した。

「もう。ばーか」

 アリスの唇からつむがれる「ばか」は、お菓子よりも甘く響く。
 もしかしたら、アリスに優しく叱られたくて、私はふざけてしまうのかもしれない。

「でも、これであんたも共犯よ。夜中にお菓子食べたこと、誰にも内緒にしといてね」

 ホッとしたようなアリスの声を聞きながら、口止め料のプディングを味わう。
 真夜中の甘いお菓子と、ほんの少しの見栄っ張り。 
 満腹のお腹を押さえて、涙目になっているアリス。
 目があうと、心配そうに小首をかしげた。

「……美味しい?」

 かわいいひと。


◇  ◆  ◇


「じゃあ、邪魔したな」
「ほんとに邪魔だったわね」
「文句は聞かない。おやすみ」

 楽しい時間は瞬く間にすぎていく。雲の残っていた夜空は、あざやかに晴れ渡っていた。夏の星座を見ながら帰ろう。

「あ、待って」

 呼び止められて振り返る。アリスが珍しく言いよどんでいた。

「あの、えーと、突然のお願いで変に思うかもしれないけどね」
「何だよ。単刀直入に言えよ」
「えっとね」
「三秒以内に言わないと聞いてやんない。はい、さん、に、いち」
「ちょっ、ひど、ぎ、ぎゅってして、いい?」
「……はい?」

 思わず耳を疑った。何だ、今晩のアリスは。おかしなものでも食べたか?魔法の森のお隣さんって、こんなに可愛い生き物だったっけ。アリスはやぶれかぶれになったみたいで、目をつぶって一気に喋った。

「だから、お別れのハグをしていいかって聞いてるのよ。三秒以内に答えなさい霧雨魔理沙。さん、に、いち」
「う、うん……いいよ」

 勢いに押されて、気づいたらうなずいていた。しまった。
 アリスは青い瞳を開いた。はにかんで、花が開くみたいに笑った。一瞬、世界が色づくような感覚がした。
 腕を広げて、ふわって抱きついてきた。
 やわらかい。あったかい。いい匂いがする。アリスそのものがお菓子みたいな、甘い匂い。腕を回して、私をきゅっと抱きしめる。そんなにくっつかれると、困る。ドキドキしてる心臓の音がばれちゃうかも。

「……気をつけて帰るのよ」
 そう言って、アリスはすぐ離れた。
 ちょっと残念。いや残念って何だよ。気を紛らわすために軽口を叩く。

「何だ、一人がさびしかったのか?おばけが出そうで怖いのか?」
 
 早く早く、いつもみたいに冗談にしてしまわないと。どうしてか焦って、下手な言葉しか出なかった。
 アリスは困り顔で答えを濁す。

「そんなんじゃないわ。ただちょっと……」
「ちょっと、何かね?」

 追及してやると、アリスは赤くなって、ぷいと顔をそらした。

 ……あ。これはもしかして。ひょっとして。にぶい私でもさすがに気づく。
 アリスって、私のこと好きなんじゃ。
 思いついたことに、のどまで出掛かってた言葉が止まる。

 ほんとにそうだったら、どうしよう。
 嫌じゃないことが、どうしよう。ほんのちょっぴり、嬉しいかもしれない。だってアリスは、なんて可愛い。
 ああ、何を考えてるんだろう。自分で自分がわからない。ごちゃごちゃに混線した頭を、とりあえず冷やそうと背をむける。

「……じゃあな」
「待って」

 ふんわりと膨らんだ半袖を、ツンと引かれた。
 振り返ると、上目遣いの青い瞳にぶつかった。ほんのりとばら色に上気した頬。恥ずかしそうな、囁き声。

「あのね。明日……魔理沙の家に遊びに行ってもいい?」

 とくん、と鼓動が大きく跳ねた。


◇  ◆  ◇


 散らかり放題だった部屋を、超特急で片付けた。
 腕まくりをして、床に積みあがっていた本の山を屋根裏部屋に移した。後はてきとうに、机の引き出しに放り込む。整理しきれなかった場所は、星座を描いた布をかけて、隠してしまう。
 荷物をどけてみると、部屋がこんなに広かったのか、と感心した。しばらく見ていなかった床の赤茶けた色と、再会を懐かしむ。それから箒と雑巾をフル活用した。埃をかぶっていた椅子もチェストも、ぴかぴかに磨き上げた。
 
 おかしなところ、無いかな。
 何度も何度も確認したくせに、飽きもせずに鏡をのぞく。きちんとアイロンをかけた、真っ白なシャツとエプロン。魔女の正装である、黒のワンピース。くせっ毛の金髪が気になって、三つ編みのリボンを結び直す。

 アリス、まだかな。
 ちらり、また時計を見る。いつもと同じ午後のはずなのに、秒針の進みがやけに遅いような気がする。

 一人でぼんやり座っていると、しぜんと昨日のことが思い出された。
 ゆうべは抱きつかれて、今日は家に遊びに来て。
 けっこう積極的だな。
 遊びに来たいだなんて、何の用事だろう。いや、本当は心のどこかでわかってる。雲の上を歩くみたいに、妙に足元がふわふわするだけ。二人きりの午後。あ、愛の告白、なんてされちゃったりして。
 うわあ。
 想像するだけでむずがゆい。床のクッションに、ぼすんと顔から倒れこむ。クッションを抱えて、一人で転がりまわった。
 ごろごろ転がった拍子に、チェストの角に足の小指をぶつけた。ものすごく痛い。声にならない声を上げて、またひとしきり、転げまわって悶絶する。

 ……座ってるから変なこと考えるんだ。
 立ち上がって、そわそわと部屋の中を歩き回った。しぜんと、窓の方に足が向く。二階の窓から森を眺める。
 アリス、もう家を出たかな。

 ぽやっと眺めていると、小道の先に、青いワンピースの影が見えた。緑の梢の影から姿を現したアリスは、手に包みを抱えてた。お土産に、お菓子でも持ってきてくれたのかな。まったく、気配り上手なんだから。

 頬がへらりと緩むのを、ペチンとひっぱたいて気合を入れる。階段を駆け下りて、ドアにくっつく。ぴっとりと耳をあてた。さあ来い、いざ来い。準備は万端、いつでも来やがれ。抱きしめてやるぜ。

「魔理沙、いる?」

 きたっ!
 すぐ扉を開けようとして、まあ待てよ、と自分に言い聞かせる。待ってたみたいで、わざとらしいだろ。まあ、待ち伏せしてたんだけど。少しだけ間を置いて、扉を開けた。
 とっておきの笑顔をつくる。

「よく来たな、アリス」
「お邪魔します。……わあ、綺麗にしてるのね」
「いつもこんなもんだぜ」
「すぐばれる嘘をつくのはやめなさいよ」
「うーん、お見通しか」
「どれだけ一緒にいると思ってるのよ」
「うん、頑張った。……褒めて?」
「はいはい」
 
 あきれた口調に優しさをにじませて、髪を撫でる手が心地よい。
 陽だまりの猫のようにとろんとしてきて、……いかん。しっかりしろ、気持ちを強く持て。
 ぷるぷると首を振って我に返ると、アリスが綺麗にラッピングされた包みをさしだした。

「よかったら、これ、魔理沙に」
「おっ、何かな。開けてみていいか?」
「どうぞ」

 青いリボンを解くと、ワンピースが現れた。さらさらした手触りの生地は、黒地に白の水玉が散りばめられている。ふくらんだ半そでと、たっぷりとドレープをとった裾に、涼しげに透けるレースがあしらわれている。お姫様みたいなワンピース。

「……私のために作ってくれたのか?」
「もちろん」

 簡単そうに言ってのけるアリスに、胸が熱くなった。
 私の記憶が確かなら、夏服が欲しいって話をしたのは昨日のはず。

「昨日の今日で?」
「たいしたことじゃないわ」
「アリスは嘘、下手だな。目のふちが赤くなってる」
「何でそんなとこばかりよく気がつくのかしら。見られたくないところばっかり、魔理沙には見られちゃう」
「いいよ。怒ってるのも、恥ずかしがってるのも、嬉しいのも。いろんなアリスの顔、いっぱい見せてくれよ」

 それはたぶん、いつも隣にいる人の特権だ。誰かに譲りたくないなあ、と思う。かわいいひと。独り占めしちゃいたい。友達のままでは、無理な願いごと。だから、私は背伸びをする。

「よく頑張りました」

 伸ばした手で、頭いっこ分背の高いアリスの頭を、撫でてやる。恥ずかしそうに目を伏せたアリスは、まんざらでも無さそうにじっとしていた。その事に気をよくして、笑いかけてみる。

「ほら、たまには甘やかされるのも、いいもんだろ?」
「……たまには、ね。それよりワンピース、よかったら着てみせてよ」
「いいのか?じゃ、早速着てくる」

 なにしろ、アリスの手作りだ。
 弾む心を抑えて、部屋の扉をそっと閉めた。鏡の前で、ワンピースを体にあててみる。黒と白、私のイメージカラー。さらさらの黒の生地に、白い泡がソーダみたいに弾けて、水玉模様を描いている。
 アリスが私のために、布を選んで、その手で一針ずつ縫ってくれた。思わずワンピースを抱きしめて、くるくる回る。嬉しい、うれしい。ハッと我に返って、思わず周りを見回した。何をやってるんだろう。

 でも、これで確信した。他愛無い我がままを聞いて、すぐにワンピースを作ってくれた。たぶん、夜遅くまでかかって仕上げてくれた。愛のなせるわざだな。アリスはきっと、私のことが……。

 思わず、ゆるんだ笑みが浮かぶのを止められない。ああ、告白されたらなんて答えようかな。アリスのハートにがつんと来るようなやつがいいな。もっともっと、好きになってほしいから。

 でもその前に、早く会いたい。アリスの青い瞳を見て、胸がはちきれそうに嬉しいって、この気持ちを伝えたい。
 そそくさと着替えて、扉を開ける。
 振り返ったアリスの目は、期待にきらきらと輝いていた。ワンピースの裾を持ち上げて、聞いてみる。

「……どうかな?」
「とっても可愛いわ!」
「……照れるなあ」
「丈は大丈夫かしら。肩や腰周りで、苦しいところ無い?」
「ん、不思議なくらい、ぴったりだぜ」

 そこで、おかしなことに気づく。

「……今まで、アリスに服を作ってもらったこと、あったっけ?」
「無いから心配だったの。でもよかった、昨日恥をしのんでお願いして、測らせてもらったおかげね」

 あれ?なんだかちょっと、雲行きがあやしくなってきた。
 アリスは純粋に嬉しそうにニコニコしてて、そこに恋する少女の恥じらいは見当たらない。

「……いつ、サイズなんか測ったっけ」
「昨日の別れ際、ぎゅって抱きついたときにね。突然ごめんね。びっくりしたでしょ?でも、出来上がるまでどうしても秘密にしたかったから」

 ……あれかあああ!
 昨日、急に抱きついてきたのって、ワンピースを作るために私のサイズを測るのが目的だったのか。
 ……恥ずかしい。どこでもいいから、今すぐ穴を掘って埋まりたい。ああ、でもここは部屋の中。掘るべき土も、スコップも無い。どこだ、私はどこに埋まればいい。とりあえず心に深い穴を掘った。がけっぷちからダイブ。
 心の中で落ち込みの沼にずぶずぶと沈んでいく私も知らず、アリスは浮き浮きと両手を組んで喋っている。

「せっかく夏物のワンピースを作るんだもの。夏が終わっちゃう前に、いっぱい着て欲しくて」

 恥ずかしくって、目の前のアリスの顔をまともに見られない。
 一人で勘違いして、舞い上がって、ドキドキして。ちくしょう、私のときめきを返せ。

 ……まあ、私の空回りなんだけどさ。はあ。
 結局アリスは、私のこと、何とも思ってない訳か。むなしい。
 しゅんと肩を落としてしまった私に、アリスが焦りはじめるのがわかった。

「……あの、やっぱり嬉しくないかしら?」
「嬉しくない訳、無いだろ。せっかくアリスが作ってくれたんだ」
「だって、私が勝手に作っちゃったから。魔理沙は冗談のつもりだったのに、私が本気にして、親切のつもりで押し付けたかなって……ごめんね」

 ああ、私のばか。悲しい顔なんて、させたくなかった。私はアリスを、いつだって笑顔にしてやりたかったのに。
 体ごとぶつかるように、ぎゅっと抱きついた。また顔を上げたら、いつもみたいに不敵に笑ってみせるから。今だけは、顔を見ないでほしかった。
 華奢な体を、腕の中に抱きしめる。はずむ鼓動が聞こえるくらい、温度を上げていく私の熱が移るくらいに。

「魔理沙?どうしたの、急に?」
「アリスへのあふれる感謝の気持ちを、全身で表現しようと思ってな」
「そんなに喜んでくれるなんて、嬉しい。ゆうべ遅くまで頑張って作った甲斐があったわ」

 頭をなでなでされた。まるで子ども扱いだ。妹みたいに思われてるのか。
 体じゅうの勇気をかき集めて抱きついたのに、なんでだ。私に魅力が足りないのか。
 アリスの胸の中で、すん、と鼻をすすりあげて笑った。
 ……鈍感アリス。 
 せめて、感謝の気持ちを込めて、かかとを浮かせる。

「ワンピース、ありがと」

 女の子はいつだって、とっておきの魔法を隠し持ってる。
 頬を寄せて、一瞬だけ、やわらかな感触を味わった。

 目を閉じて、開けば。
 ほら、あなたは私に恋をする。

「……アリス、大好き」

 耳元で囁くと、アリスは目を瞬いて、不思議そうに頬を押さえて。
 ポッと赤くなった。
 心まで、恋の色で染め上げて。

 かわいいひと。
 今はこれくらいで、勘弁してやる。
 同じくらい赤くなった頬で、にっと笑って、手を離す。

 アリスは真っ赤な顔を隠すように、くるりと背中を向けた。
 火照った頬をしずめるように手のひらで挟んで、うつむいてしまう。
 やりすぎたかな、と思った。でも、いつもみたいに冗談にしてしまうのは嫌だった。

 そのとき、アリスが肩越しに振り向いた。
 瞳にうっすらと涙を浮かべて、ちょっと怒った顔で私を睨む。

 油断してた。
 アリスは、夜中に食べる秘密のお菓子の味よりも、甘かった。

「……ばかね。きっと、私の方が魔理沙のこと、好きよ」
あっまーい。

そんなマリアリが書きたかったんです。

ここまで読んでくださった方、ありがとう。
お口直しに塩昆布、どうぞ。

◆追記
うわわ、たくさんのコメントと評価を頂けて、とても励みになります。
ちょっとでもニコニコしてもらえたら、幸せです。
ラー油にハバネロ、塩昆布に梅干、辛いのしょっぱいの酸っぱいの、どんと持ってってください。
ちなみに私が今食べたい甘いものは、マリアリです。懲りないね。

誤字と改行を修正しました。
ご指摘、それからご感想ありがとうございます。
嬉しさのあまり、何度も読み返してます。

読んでくださった方へ、心からの感謝を!
aoi
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コメント



0.3770簡易評価
3.100名前が無い程度の能力削除
あっまーい
甘味は正義!
4.100名前が無い程度の能力削除
塩昆布じゃ足りない。食べるラー油を一瓶お願いします。ライス抜きで。
10.100名前が無い程度の能力削除
誰かハバネロもってこい!
19.100名前が無い程度の能力削除
秒速8kmぐらいの勢いで口から砂糖を噴出した
20.100煉獄削除
はぁ……甘くて良いですねぇ。 氷で淹れたお茶って美味しいっていいますよねぇ……博麗神社での会話や
アリスの家で魔理沙がお菓子を食べる場面や、アリスとの会話とか面白いお話でした。
21.100名前が無い程度の能力削除
あれ、俺砂糖水用意した覚えないんだけどな。
22.100名前が無い程度の能力削除
食べてるポテチが甘くなったんだけど。
23.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです
24.100名前が無い程度の能力削除
糖尿病で死ぬかと思った
32.100名前が無い程度の能力削除
色んな意味で甘かった。
凄くよかったです。
34.100名前が無い程度の能力削除
最高の甘さで最強です
こんなマリアリ大好きッ!!
35.100名前が無い程度の能力削除
暑い日はやっぱり甘いものだな!
36.100名前が無い程度の能力削除
糖分補給完了。ご馳走様でしたー!!
41.100山の賢者削除
甘い以外になんといえばよいのやら
 
誤字報告
>>捨て虫の魔法を心得る魔法使いには
「捨て虫の魔法」の「て」が余計だと思います。
43.100名前が無い程度の能力削除
甘くてもいくらでも食べられる、そんな感じ。ご馳走様でしたー。
47.100名前が無い程度の能力削除
実に甘くて素晴らしいジャスティスでした

あ、塩昆布お代わりいいですか? ダースで
48.100名前が無い程度の能力削除
甘すぎるっ!!最高だ!!
49.100名前が無い程度の能力削除
二人ともかわいいなぁ
51.100名前が無い程度の能力削除
びっくりするくらい甘いお菓子ですけどおいしいです^q^
54.100名前が無い程度の能力削除
くそおおおおおおおおお!
梅干しじゃ中和しきれない!
これが・・・アリマリか・・・
55.100遷都山削除
こんな…こんなマリアリをまっておりました!
こう、付き合う前のじれったい感じが大変おいしかったです。
それにしても口から出てくるこの甘い粉は一体何なんでしょうか。
57.90名前が無い程度の能力削除
やべえ二人とも可愛すぎる。糖分の過剰摂取で死んでしまう。しかもお腹まで空くなんて!
60.100名前が無い程度の能力削除
甘い。甘すぎる。
魔理沙とアリスのもどかしさによる甘さがMaxcoffeeを思い出させます。
マリアリ、恐るべし。
64.100名前が無い程度の能力削除
初投稿から見てましたが、氏のマリアリには何か光るものがありますな。
今後も大いに期待させて頂きます。
66.100名前が無い程度の能力削除
自分は甘党だから、まだまだ余裕で摂取できるぞ。
だがその前に輸血を頼む。血が、血が止まらないんだ・・・
・・・鼻から。
67.100名前が無い程度の能力削除
おもわず糖死しそうになった。
……そのまま死んでもいいかもしれない。
68.100次郎長削除
食べてたマンゴープリンに更に粉砂糖を振りかけたような激甘っぷり…美味しく頂きました。当分甘味は控えようと思います。

ちょっと~誰か塩持ってきて~!
69.100名前が無い程度の能力削除
口の中が甘ったるいです
70.80名前が無い程度の能力削除
あんまァァァァいッ!説明不要ッッッ!
73.100紳士的ロリコン削除
あまいよあまいよ
76.80とーなす削除
甘……い……。

文章の流れが綺麗で、素敵でした。甘くてロマンチック。
77.80名前が無い程度の能力削除
ふふ、途中まで読んでブラックコーヒーを用意した私に隙はなかった!!
ん、あれ?このコーヒーいつの間にこんなに砂糖が?
あんまーいマリアリありがとうございました。
78.100名前が無い程度の能力削除
糖尿の俺に死角はなかっ…………あれ?
朝から悶えてしまいました。美味しかったです。
87.100名前が無い程度の能力削除
あまっ
88.100糸目削除
不足してきた糖分を補給しに来ると毎回過剰摂取してしまう。
90.100名前が無い程度の能力削除
あまい!
95.100名前が無い程度の能力削除
なんとすばらしい。
作者に敬意と感謝を。100点では足りない。
97.100名前が無い程度の能力削除
ビターチョコをおくれ……俺には甘過ぎる
101.100名前が無い程度の能力削除
あっまーい!!
103.無評価名前が無い程度の能力削除
塩昆布じゃ足りぬえ!もっとハバネロを!
110.100名前が無い程度の能力削除
誰かブラックコーヒー下さい。萌え死んだ。
119.100名前が無い程度の能力削除
あ…やばい…誰か…俺の周りが気温上昇、地球温暖化促進。甘すぎて俺の家がお菓子の家