少し短すぎないかしら、と彼女は問いかけて、夏が来ればちょうどいいわ、と彼女は答えて、二人は夏を、待っていました。
○
空を見上げていた。青い空は数日に渡って頭上から消え去って、六月の神社の縁側にはじめりとした雨の気配が漂い続けている。博麗神社の石畳の上で、雨粒はぴちぴちと音を立てて弾け、ぶらりと縁側から垂らした足へと風に運ばれた水気がまとわりついた。
「止まないわね」
「そうね」
梅雨だというのなら空から梅酒でも降らしてはどうなのか、とそんなことを思う。そうすれば定期的(定期的にしているつもりもないのだが)な宴会の酒代は飛躍的に安上がりになるだろう。酒の好みにうるさい輩もいるが、たいていの連中は飲んで、酔って、飲んで、酔ってと出来ればそれでいいのだ。文句はあまり出ないだろう。文句のある奴は自分で酒を持ってくればいい。
「ねえ?」とちょうど背後にいる、酒にうるさい連中の一人である紫へと声をかける。
「こら、頭を動かさないの」
「あいた」
ぺしりと、平手打ち一つで窘められる。今は普段付けている紅と白の大きな髪留めはしておらず、肩甲骨を過ぎる程までに伸びた髪は無造作に垂らされていた。
「私が鋏の扱いを間違えたら、あなたの髪の命はないわよ」
「あのね、紫。そんなことになったら、どうなるかわかっているのかしら」
「わかっておりますわ、お客様」
よろしい、と紫の答えに納得して真っ直ぐに前を見つめる。
しかしふと、気になったことがあった。
「今まで、紫は誰かの髪を切ったことはあるの?」
「……一人だけよ」
聞いてよかったような聞かぬ方がよかったような、微妙なところだった。
しばらく伸ばしっぱなしにしていた髪を切ってくれるよう、そう頼んだのは自分からではなかった。紫はおどけたようでありながら大まじめな目つきをして、「髪、切ってあげるわ」と言った。その強い口調に押し切られてしまった。毎度おなじみのすきまから取り出した大きな布を首もとに巻き付けられ、縁側へ足を投げ出すように座らせられた。
ちょきり、ちょきりと、静かな金属のこすれる音が雨に消される。
緑の葉に溜まった幾つもの雨粒、鞠のような弾力で雨粒を跳ね返す小さな葉、虫に食われた葉の穴を雨がすり抜ける。青々としていた。夏が来るなと、そんなことを思った。
「夏が、近いわね」
「そうかしらね」
夏は遠くない。雨ばかりが今は降っているけれど、もう数日もすれば太陽ばかりが空に浮かび、雨が毎日恋しくなるのだろう。焼け付くような太陽、黒々と落ちる木陰、山間の稜線に立ち上る入道雲。些細な夕立すらも、きっと気持ちよく感じてしまうのだ。
「ねえ、紫」
「何かしら?」
「私以外の」と、一度言葉を区切った。
「今までの博麗の巫女にも、髪を切ってあげていたの?」
規則的な鋏の音が止まり、――カシャリと、高く澄んだ同じ鋏の音がした。「紫」と尋ねても返事はなく、右側へと首を向けると木目の床に落ちた銀色の鋏の刃先が見えた。
「落ちてるわよ?」
鋏にぷつりぷつりと、風に乗って雨粒が付き始める。
紫? ともう一度、声をかけた。
○
「紫?」
怪訝そうな声で問いかけ直す。神社に訪れる参拝客(客などと呼べない輩も多いし、そもそも参拝もしていないが)の中でも珍しく人間である彼女は、「そんなに不審に思われなくても」と呆れたような驚嘆したような声を出した。
「ただ、最近はお会いしていないと思ったので。霊夢さんなら何か知っているのではないかと思って聞いただけですよ」
「私も知らないわよ」ため息を一つついて、肩を竦める。「紫の居場所なんて、あいつの式だって知らない気がするわ」
それもそうですね、と阿求は微笑む。梅雨に入り、珍しく博麗神社は神社らしい静けさを取り戻していた。常日頃居座っている魔理沙も、おそらくは箒で飛ぶと雨をもろに被るため、家を出てこないのだろう。他の妖怪やその他諸々も似たり寄ったりな考えに違いない。みんな、ぼんやりとした雨の下で夏を待っている。
阿求は数刻前に平素通りの着物を身につけ、薄紫色の散った傘を差して神社にやってきた。冷えた麦茶と阿求の持ってきた羊羹を並べ、霊夢たちは縁側に腰をかけた。雨は降り続いていた。「昨日も一昨日もですね」と阿求は言い、「明日も明後日も、きっとね」と霊夢は微苦笑を浮かべる。
「今しっかりと雨が降れば、日照りに困ることはありませんから」
「今までの幻想郷で日照りになったことなんてあるの?」
「いえ、なかったようです」
「まあ」と霊夢は曇り空を見上げる。「雨天と晴天の境界をいじればいいだけなのかしらね」
「どうなのでしょうか」
霊夢に続いて、阿求も空を見上げる。雨足は強まることも弱まることもない。蝸牛の這う音が聞こえてきそうな気がした。
「便利よね」「大変そうですね」
お互いに視線を空から戻し、無表情に見つめ合う。見解の相違ですね、と少しだけ面白そうに阿求は笑った。「あの力を便利と思えるなんて。霊夢さんは、紫様と本当に仲がよろしいんですね」
「みんな思ってるわよ、きっと」
だいたい、どうしてそれが仲がよいということになるのか。
「そんな風に当然の力だと受け入れられるのは、霊夢さんと、一握りの強大な妖怪の方々だけですよ」
「いよいよ私も妖怪なのかしら」
「優しい妖怪ですね」
「ほめ言葉、でいいのかしら?」
はい、と阿求は小さく頷く。毒気のない口調だ。いや、おそらくは阿求も腹に一つでは済まない重荷を抱えているのだろうが、それを表に出す機会は限られているのだろう。そうでなければ、ちょこちょことであれ紫の相手も、文字通りに生業である稗田家の勤めも、果たすことは出来ないように思える。
「あ、阿求、ちょっと動かないで」
霊夢は左に座る阿求の動きを止めて、その首筋に気配を消して手を伸ばした。阿求は普段のように髪を垂らしておらず、後ろ髪を一つにまとめ上げて、そこに紫陽花の模様の付いたかんざしを差していた。花の茎のように細く、そして白い首筋が惜しげもなく晒されている。遠目にもきめ細かなその肌は、触れたら指が吸い付いてしまいそうな気さえする。
霊夢はその肌には触れず、産毛を撫でるようにその表面すれすれを摘んだ。ゆっくりとうなじから手を戻し――人差し指と親指の間には、一匹の蚊が捕まえられていた。他の出鱈目な面々ならばともかく、阿求の肌に蚊を押し潰すのは気が引けた。
「もう夏ね」そう言いながら、霊夢は蚊を外へと投げ出した。しとしとと降る雨の中、蚊はふらりと茂みに消えていった。
「涼しそうね」と霊夢は今度は阿求の首に触れた。「それ、可愛いわ」
「ありがとうございます」
紫陽花のかんざしを押さえながら、嬉しそうに阿求は笑みを浮かべ、それから静かに無表情に落ち込んだ。思案するような、気後れした表情に変わる。
「これは、数代前の私、阿七がしていたかんざしなのだそうです」
ふるりと吹いたそよ風が、雨の匂いを濃厚に二人の周りにもたらした。
「……そう」
紫様が、そう仰っていましたと、阿求は微かに呟いた。
霊夢が少し、難しそうに眉を寄せたことに気がついたのだろう。阿求は取り繕うような、けれどはっきりと明るい雰囲気を口元に見せて、「霊夢さん」と名前を呼んだ。
「紫様も淋しいのではないかと、私は思うのです」
「紫が?」
「はい」
霊夢には少し、考えの及んでいないことだった――と言っては嘘になるのだろう。ただそれは、紫がそう思っていたらいい、というような利己的にも近い考えではあった。
幻想郷の始まりには彼女の姿があっただろう。そんな彼女の長い物語の中の――紫と誰かが出会って繰り返す中の――自分はその先端に現れた点のようなものだ。人間の身からすれば時の流れすらないに等しい、悠久の真ん中で、紫は何を忘れるのだろうか。誰が、紫について行けるのだろうか。
竹林の中で永久をたゆたう蓬莱の彼らですら、すでに現世とは隔離しているようなものだ。紫の式たちとて、彼女たちはあくまで式だ。そして霊夢や阿求は、ただの人間だ。
霊夢と阿求の物語には始めから終わりまで紫の姿があるようなものでも、紫は違う。
「私たちが人間で、紫様が妖怪であるのだから、当然のことではあるのでしょうけれど」
紫を忘れる前に、紫の存在を記憶に抱えたままに人々は消えて、紫は生き続ける限りその人々を忘れ続ける。それは、仕方のないことだ。紫もいつかはきっと滅びるのだろうが、どうしてか、その想像を結ぶのは酷く難しかった。
「紫様も淋しのでは――と言いましたが、少し違いますね」
恥ずかしがるように、阿求は頬に手を当てた。「私が、紫様に忘れられてしまうのが、きっと淋しいのです。せいぜい、私の代はあと十五年ほど。阿礼乙女として生まれ変わっても、今の私はおりませんから」
霊夢は答えを返すことはできなかった。沈黙の中で二人はきっと、似た思いを抱えていた。
右手を後ろに回し、すっと阿求はかんざしを抜き取った。開いた両手の上に載せて、慈しむようにその表面を撫でる。阿七はいつもこのかんざしをして、紫様と会っていたのでしょうかと、言葉をこぼす。
遠い過去の名残と延長線が、阿求の手の平の上で静かに眠っていた。
○
博麗神社を背に、石造りの階段を一歩一歩踏みしめるように阿求は降っていた。薄い霧の海に潜っているような雨模様で、傘に落ちる雨も音が無い。
少し、意地を悪くし過ぎてしまったかもしれない。俯きがちに歩きながら、阿求はそう考えた。
あいつの居場所なんて知らない――と彼女は本気で言ったのか。きっと、そうなのだろう。……本気で言ったのだろう。八雲紫の居場所がどこにあるのか、彼女は本当に知らないつもりなのだ。
彼女と彼女の居場所は博麗神社に。
それならば自分は、家に帰ろう。稗田の家に。それが正しいのだ、きっと。
しばらく歩いたところで、阿求は足を止めた。足下の小さな水溜まりに微かな波紋が広がった。左手には道祖神らしき地蔵が置かれ、その頭には苔が所々に繁茂していた。穏やかな表情をしていたと思われる地蔵の形は、風雨と時の経過が削り取ってしまっていた。
地蔵の足下には、まだ瑞々しさを持った紫陽花の花が置かれていた。紫色が空を映して、少しくぐもった色を露わにしている。近づこうとそちらに足を踏み出したところで「阿求」と声を聞いた。
「……紫様。お久しぶりです」
「久しぶり、かしらね」
「少なくとも、近頃はお会いしていませんでした」
「それもそうね」
言葉少なに、二人は対峙した。二人の傘の広がりが、そのまま二人の距離になって開いていた。「どうしたの、阿求」と紫はその隙間を飛び越えて、静寂を含んだ言葉を投げかける。
「あれは、紫様が?」
阿求の指さした先の紫陽花を、紫は一瞥しただけだった。「何のことかしら」ととぼけたようにも、本当に知らないようにも窺える声で、返事をする。
「……その内また、稗田の家に来てくださいますか?」
「ええ、もちろん」
阿求に――あなたに、会いに行くわ、と紫はささやいた。
お待ちしています、と阿求はいじらしく小首を傾げて答えた。
○
「紫、でしょう」
霊夢は振り返ることなく、縁側に座ったまま後ろに声をかけた。それまでは潜ませていた足音が現れ、霊夢の方に緩やかに近づいてくる。阿求とは違う、けれどどうしてか似た心地を感じる足音。阿求は少し前に雨の中をゆったりと帰っていった。
「背中に目なんてつけない方が可愛いわよ、霊夢」
「あんたの気配だけは、どうしてかわかるのよ」
「それはそれは」紫は霊夢の隣には座らず、その背中に膝をぶつけるように背後に座った。「素敵なことね」
「なにすんのよ」
暑苦しい、と霊夢は頭を左右に振る。紫は後ろに座ったまま、霊夢にしなだれかかるように、霊夢の身体を背後から抱きすくめていた。黒々とした髪に顔を埋め、すんすんと鼻を鳴らす。
「霊夢と、雨の匂いがするわ」
「雨が降っているからしょうがないでしょ」
「そうね」
「いい加減、本当にむしむしするから離しなさいよ」
「……反応が淡泊でつまらないわ」
本当に、心底、つくづくつまらないといった風情に紫は拗ねた声を出した。
「さっきまで阿求が来てたのよ」
「あら、そうだったの」
しらじらしい、とは口には出さなかった。「どうせ見ていたくせに、よく言うわ」
ぱちりと、紫が扇子を開き、閉じる音がした。雨は細かな霧雨に変わり、音もなく世界を濡らしていた。太陽は幾重にも重なった薄雲に隠れ、わずかな光を降らせるばかりだった。
「結構、髪伸びちゃったわ」
「……そうね?」
予想が外れたのか、霊夢の不意な言葉に紫は首を傾げた。
水の気配も混ざってか、艶やかな黒髪だった。霊夢の髪は腰元近くまで伸び、後ろで紅と白の髪飾りでまとめているとはいえ、この時期には少し暑そうな感じがした。座った今の状態では、軽く毛先が床の上に広がっているほどだ。紫は霊夢の髪の一房に軽く触れる。霊夢が気がついた様子はなかった。
「ねえ、紫」と霊夢は言った。
「今までの、博麗の巫女の姿を、紫は覚えてるの?」
「……覚えている子もいるし、忘れてしまった子もいるわ」
霊夢はようやく振り返り、紫を見た。
「それなら、私の髪、紫が切ってくれないかしら」
「どうして?」
「いいから」
霊夢は強く紫を押し切った。すきまから鋏を取り出させ、そのまま縁側で霊夢は髪を切られるのを待った。紫も観念したのか、切られて落ちる髪を巫女装束に付かないようにするため、大きな布を霊夢の首もとに巻き付けた。
紅と白の髪飾りを外して、霊夢の髪に紫は両手で触れる。細く、柔らかな髪が紫の手の中にあふれた。雨の香りを吸っていながらも、さらりさらりと音のしそうな髪だった。
「私、誰かの髪を切るなんて初めてよ」
覚悟はしてるわ、と霊夢は目を瞑った。
○
紫、と彼女は紫にもう一度声をかけた。紫の落とした鋏に手を伸ばし、持ち手の方を紫に渡す。紫は数秒の間をおいてから、その鋏を受け取った。
「危ないじゃない。慣れないことなら、無理にしてもらわなくてもいいのに」
「ごめんなさいね」
紫の表情は窺えず、少し上擦ったような声音だけが耳に響いた。
「……髪を切ってあげるのは、約束だったのよ」
「約束?」
紫は頷いたようだった。その気配が紫の触れる髪を通して、彼女にも伝わってきた。彼女には、紫と約束を交わした覚えなど、まるでなかった。
「霊夢との約束よ」
「れいむ?」
そう言ったきり、紫は再び鋏を動かし始めた。
ちょきりちょきりと、鋏のこすれる音だけが、博麗の、彼女の耳元に響いた。
○
ちょきりちょきりと、鋏は音を鳴らしながら霊夢の髪を切り落としていた。
「切り始めてから言うのもなんだけれど、どういう髪型にしたいとか注文はあったのかしら」
「本当に今更ね」
そうね、と言葉を止めて、霊夢は逡巡する。紫も返事を待つために、動かしていた鋏を空中で止め、手持ち無沙汰そうに空振りさせる。今までは練習のように毛先を切っていただけなので、霊夢の髪型は見た目は何も変化していなかった。
「私だけの髪型に、して」
「どういう意味かしら」
「覚えている限りでいいから。今までのどの博麗の巫女とも違う、髪型がいいわ」
「どうして今日はそんなことばかり言うのかしら」
「今日でも明日でも、言うことは変わらないわよ。次の巫女に代わっても、紫が決して忘れることなく、ずっと記憶に残るようなら、それでいいのよ」
忘れられたら悔しいじゃない、と霊夢は言った。
「……そう」
「あ、あともう一つ」霊夢は振り返って紫を見た。
「これから先の巫女の髪は、紫が切ってあげてくれるかしら。絶対、私と髪型が被ることのないようにね」
決して他のどの記憶とも同じではなく、積もり行く時の中で褪せないような、いつまでも彼女についていける姿であれればいい。
紫はしばらく目をそらし、霊夢の目を見ようとしなかった。霊夢が右手を紫に伸ばし、前髪に触れてようやく、紫は重いため息をこぼした。
「わかったわ」
「約束よ?」
霊夢は伸ばしていた右手を紫の目の前で掲げ、小指を差し出す。おずおずといったまるで少女のような仕草で、紫の小指が霊夢の小指と絡み合う。融け合うようなほのかな温もりが、二人の指を結びつけていた。調子を取るように手を上下させて、霊夢はゆっくりと唄を紡ぐ。
――ゆび、きった。
しばらくして、どちらともなく二人の絡めた指は離れていった。
霊夢は前に向き直り、続きを待った。雨の気配は気がつけば消えていて、薄雲を染め抜くようにうっすらと太陽も顔を出していた。束の間の晴れ間のようだった。
「……ところで」と、紫は今度は少しからかうような口調で言う。
「手っとり早いのは、霊夢の髪を剃髪してしまうことなのだけれど」
「……紫?」
「あなたは巫女なのだし、ちょうどよいんじゃないかしら?」
「冗談、よね?」
さて、どうかしらん、とそんな風に紫は細々とした口笛を吹く。ちょきりちょきりと、口笛に合わせて鋏の擦れる音が鳴らされる。「ちょ、ちょっと、紫?」
そもそも、巫女に剃髪も何も関係あったものではないはずだ。たぶん。きっと。
ほどよく慌てる霊夢を尻目に、思わせぶりな吐息を落としてから、紫は小さく吹き出した。
「嘘に決まってるでしょう。私好みに、可愛く、切ってあげるわ」
「あんたねえ……それなら、まあ、いいんだけど」
夏に向けてイメチェンね、と紫が言い、(橙がどうかしたのかしら?)と考えてしまうくらい霊夢には何を言っているのかよくわからなかったが、とりあえずは「そうね」と頷いておいた。
「人間で私のことをあんたなんて呼ぶのは、後にも……先にも、霊夢くらいなものだと思うわ」
ありがとう、と紫が呟いたように、霊夢には聞こえた。
○
二人は揃って、母屋の縁側に腰掛けて、六月の空を見上げていた。
夏を、待っていた。
梅雨の度にきっと、今日のことを思い出すのだろうと、そう思った。
でも、今このときだけは、世界はふたりのものでしょう。
しかし、ぱっと見の雰囲気は変わらなくても、違うものなのですね。
気付いた瞬間の、穴を風が通り抜けるような暴れ回る感覚が、愛しくも切なかったです。
阿求さんも、本当、乙女っすな……。
話の区切り方と描写が非常に上手です。
阿求の霊夢と紫を引き立てる脇役としての出し方も良いアクセントになっています。
自分は特に欠点らしい欠点を感じませんでした。
多少の好みの違いはあれど誰の目からも良作に映る作品だと思います。
こういうセンチメンタルな雰囲気大好きだわ。
何かきゅっとなるような感覚を覚えつつも、優しい気持ちになれました。
こうやって、歴代の巫女の髪を切ってあげていって、その数だけ記憶していくんだね…。
ちょっと酷な約束なのかもしれないけど…。
素敵なゆかれいむでした。
もう少しお話の余韻に浸っていたいので、この辺で失礼します。
しっとりとしたとても良いお話でした。
過去と未来が交差してごちゃ混ぜになった世界観が、夢を見ているみたいで幻想的でした。
しっとりとした雰囲気が印象的で素敵。
霊夢と巫女でそれぞれいたんだな、お見事!
場面描写とゆったりした雰囲気作りが素敵な作品だ
今までとはまた違う感動を感じた、良い作品でした。