霊夢には敵がいない。
霊夢は無敵である。
故に、霊夢は最強であった。
霧雨魔理沙は、霊夢のことを気に入っていた。
上品な猫の様につんとしているかと思えば、お酒やお菓子一つでころっと態度も表情も変わってしまう所。何者よりも幼く、面倒くさがりのくせに諦めるということだけはしない所。成し遂げると決めたら、どれだけ辛い道のりでも一人でずんずんと歩いていく勇敢で無謀な所。そして、誰にだって親しいようで、誰とも特別近い存在にならない所。感謝の言葉はどこか偉そうだが、決して無駄な意地は張らず詫びも感謝も素直に告げる所。
そういった懐かない癖にすり寄ってくる愛玩動物じみた部分が、なんとなくだが、魔理沙の庇護欲を的確に刺激していた。
そんなわけで、魔理沙は霊夢の所によく出かけた。
甘やかしに往くわけでもないし、可愛がりに往くわけでもない。
喧嘩もするしからかうし邪魔もするし悪戯もする。そういう感じだ。
そんなある日、異変が起こった。
霊夢が紅い霧へ向かっていく。
魔理沙はそんな霊夢に同行した。
いざとなったら、倒される前に守ってやろう。この諦めの悪い巫女を。そんなことを考えて。
そして、二人は協力して紅魔館を攻略した。
高出力の魔法と追尾弾。
魔理沙が薙ぎ払い、漏らしを霊夢が倒す。霊夢が主の様に針を投げれば、魔理沙はその周囲にマジックミサイルを撃った。
感謝されないように。挑発するように。
そんな微妙な距離を置きながら、魔理沙は霊夢を支えていた。
やがてその主と対峙することになる。
霊夢はその吸血鬼に針を突きつけた。
吸血鬼は面白がって霊夢を襲おうとした。しかし、霊夢は無防備という姿勢で、いや、本当に無防備なまま挑み掛かった。魔理沙は咄嗟に八卦炉を取り出そうとしたが、遅かった。
鋭く紅い爪が霊夢の額に触れる寸前、そこで吸血鬼は動きを止めた。
ここの人間を襲ってはいけないというルールがあった。だから攻撃が出来なかった。だがそれ以前に、この無防備すぎる少女に、興味を持ってしまったのであった。
レミリア=スカーレットは、霊夢のことを気に入っていた。
自分を少しも恐れない人間は少ない。だが、それどころか霊夢は妖怪と人との区別がつかないかのように、馴れ馴れしく接してくる。あの魔法使いでさえ少しは怯んだというのに、初めてあった場であの巫女は何も考えていないように漫然と足を進めた。
少しだけゾッとした。あの時の感覚が、レミリアには新鮮で、楽しかった。
だから、レミリアは霊夢に近寄った。
神社を訪れ、側で観察をした。
この巫女がどうして自分を恐怖しなかったのか、警戒さえしなかったのか。
そして触れ合って、なんとなく理解した。
この巫女は、他者に興味がないのだ。
自身に関わる物には反応するが、それ以外、相手の地位も感情も力も理念も、何一つ興味がない。
だから、彼女は誰かを恐れない。恐れる理由が生まれない。
そう思うと、レミリアは面白そうに笑った。
変な子だ。変な子だと。
それから、この咲夜以上に変わった少女に一層の興味を持った。
やがて、季節が変わらない異変が起きた。
巫女と魔女が解決へ向かったらしいと聞くと、レミリアは咲夜に指示を出しその後を追わせた。
咲夜は咲夜で、あぶなっかしい霊夢と魔理沙へ庇護欲が湧き、三人は霊夢を中心に包み込むように異変解決へと向かっていった。
そしてその一連の事件の解決後、元より霊夢に興味を持っていた大妖怪が、霊夢に接触を図った。
八雲紫は、霊夢のことを気に入っていた。
博麗の巫女は結界の管理をおこなう為、八雲紫にとっては大事な存在であった。
その中で、この巫女は特別異質だった。歪といっても良い。
行動に深い疑問も持たず、ただ思い付いたことをそのまま実行していく。
危なっかしいと思った。突いたら壊れると思った。
だから、見ていたくなった。
紫は、壊れやすい物が好きだった。
ガラス細工や竹細工のように、迂闊にちょいと力を加えるだけで歪んで壊れてしまうものが好きだった。
壊したいわけではない。ただ、壊れてしまうギリギリのものがどうにか留まっている状態が好きだったのだ。
だから、紫は霊夢を間近で触れて、支えようとした。
となれば、魔理沙とレミリアは面白いわけもない。
二人はどうにか紫と、そしてお互いを出し抜けて霊夢の隣に行こうと考えた。
そこで、永夜の異変が起きる。
霊夢の隣にいる紫をどうにかしようと、二人はお互いパートナーを誘い霊夢の後に続いた。
計六名。
永遠亭へ殴り込み。
楽しいが、それぞれ霊夢を庇い、霊夢を支え、地味にお互いを牽制し合う素敵な関係。
気付かぬは霊夢一人。
こうしていつの間にやら、竹林で起こった一つの異変は解決してしまったのであった。
この時、竹林の奥にいる兎たちは、暴れる人妖の中で一人落ち着いて兎を無視した霊夢に、興味を持ったのであった。
かの様に、霊夢は人を惹き付けた。
理由はない。ただ、なんとなく異質で、人の目に映った。
か弱く、可愛く、無邪気で、怠惰で、褒められる点ばかりじゃないが、とにかく目立った。
そして誰しも、この幼い少女を守りたいと思ってしまうのであった。
霊夢は大勢に好かれた。
だから霊夢には敵がいない。
つまり霊夢は無敵である。
故に、霊夢は最強なのである。
そして…あとがきもまた素晴らしいものですw
無敵とは敵を作らない事である
とかまぁ置いといて、霊夢かわいいよ霊夢
本文も後書きも全て真理でございますっ!
ございますともっ!
霊夢が好きで、何より東方が好きな身として。
さぁ…守られ、愛されている霊夢は風以降の出来事にどう動き、周囲はどうカバーしていったんだろう。
なんか霊夢がヴァッシュっぽいと思ったのは私だけでいい。
皆が彼女に惹かれていったり本人だけが気づいてなかったりとか良いですね。
プロージット!
100点じゃ足りんぜ
なるほど。弾を撃たずとも霊夢は最強な訳ですね。
霊夢! 霊夢! 霊夢!
東方に、神主に、魂の同胞たちへ、乾杯!!
私も霊夢が一番好きだーーーー!!
なんだかんだ言って最強な霊夢のなぞが解けた
しかしあとがきwww
やはり最後には霊夢に行き着きますよねww
だが霊夢はやらん
そんな阿呆共ごまんと集まる此処こそが楽園だ!
霊夢を取り囲む人妖達のヒト垣はこれからも大きくなり続けるだろう
このSSを読んで確信した