Coolier - 新生・東方創想話

それぞれの信念

2010/06/02 22:27:50
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「今回は私の勝ちだな」

 魔理沙はそう言うと今まで戦っていた相手に笑顔を向ける。
相手は少しだけ不満そうな顔をしたがすぐに表情を柔らげ答える。

「まぁ、そうね」
「でも、もうちょっと本気で掛かってきても損はないぜ? アリス?」
「これでいいのよ、遊びでしょ」

 と答えるとさっさと家に入ってしまう。
魔理沙も服の汚れを落とすと追いかけるようについていく。
すでにお茶の準備が整っている事を確認すると椅子に腰掛ける。
人形がカップにお茶を注ぐ、魔理沙はお茶請けのクッキーを手に取りアリスに問う。

「なぁ、おまえといい霊夢といいもうちょっと本気って奴を見せてみたらどうだ?」
「私はこれでいいのよ、あなたとだって今でも十分戦えてるつもりだけど?」

 そうなのである、魔理沙がやる気を出せばそれに合わせた様にアリスも同じようなレベルに合わせる
まるで底を見せない癖にこちらの気配を読んで合わせて来る、それが魔理沙には納得いかない。
その証拠に戦跡は49勝50敗と狙ったような戦跡である。

「アリス! 次こそ本気で戦ってもらう……もちろん私が勝つけどな」
「はいはい、楽しみにしておくわよ……っと、お茶くらい落ち着いて飲みなさい」
「いいじゃない……ごほっ、ごほ……」
「まったく……そんなんじゃまだまだよ」

 咳き込む魔理沙の背を妹をあやす姉のように摩る、魔理沙はようやく落ち着くとまた熱く語りだした。

…………

「次はもっと強力な魔法を見せてやるからな、覚悟してろよアリス」
「あなたなら問題ないでしょうけど、魔法は気をつけないと駄目よ」
「誰に言ってるんだ? 私は霧雨魔理沙だぜ」
「あなただから言うのよ」

 二人の会話は終わり魔理沙は飛び立つ、アリスはそれを何時もとは違う胸騒ぎを感じつつ見送った。



◆    ◆    ◆     ◆    ◆    ◆    ◆     ◆



 それは数日後に起こった。
アリスは博麗神社で霊夢とお茶をしている時だった。

「そういえば、魔理沙、あなたに本気で戦わせるために新しい魔法を見つけるとか言ってたけどどうなの?」
「それを言うなら、霊夢、あなただって同じだと思うけど」
「私が本気? そんな面倒なの嫌よ」
「私だって同じような物よ」
 
 と他愛のない話をしながらゆっくりと時間が過ぎていくはずだった。

……
…………

「魔理沙のところに行ってみる?」
「……そうね、たまにはこっちから会って見るのも良いわね」

……
…………

 魔理沙の家に着くと二人は何かが違う事に気がついた。

「ねぇ、霊夢……これって変じゃない?」
「……そうね、ちょっと普通じゃないわね」

 そう言うと霊夢はドアに手をかけるが開かない、と見ると

「私のキャラじゃないから、魔理沙、弁償はしないわよ」

 と言い切るとドアを吹き飛ばし家に飛び込む。 
家の中は魔術書などが乱雑に積み上げられており、その奥に魔理沙を見つけた。

アリスは魔理沙に近づくとその異常さを感じ取る。

「霊夢、永遠亭に飛んでもらえない……これは……私達じゃ無理」
「……解った、あなたはここにいるのよ」
「……ええ、任せるわ……」

 霊夢はそう言うと背を向けて飛び立つ、肩をかすかに震わせるアリスにこの場を任せ。

……
…………

 霊夢に連れられて永琳が魔理沙宅に着くのはほとんど時間が掛からなかった。
 
 
「……これは、魔理沙は何をしたの……」
「多分……魔理沙はこの魔法を試したと思う」

 そこには魔力を上げる為の術式が記してある書物が広げてあった。

「それでこんな事に?」

永琳は魂が抜けて人形のようにピクリとも動かない魔理沙をベッドまで運ぶとアリスに尋ねる。

「恐らく、その術式を行い取り込まれたのよ……魔理沙はね」
「助ける方法はあるの?」
「永琳、あなたも解るように魔理沙は魂が完全に取り込まれていて体が朽ちる……時間はすでにほとんどない」
「ええ、魂がない体が持つ事はない……魂が戻るにしても体が朽ちては遅い」
「打つ手ならある……あなたの所で魔理沙の時を止めるのよ」
「姫様なら……でも、それだけじゃ魔理沙は戻らない」

 アリスはそこまで言うと魔術書を手に取り言い放つ。

「私がこの世界に入り魔理沙を連れ戻せばいいのよ」
「一つ間違えればあなたも取り込まれてしまうのよ、医師として言うなら許可できない」

 二人のやり取りを見ていた霊夢が口を開く。

「永琳、あなたの人としての意見はどうなの?」
「! ……それは」
「決まったでしょう、とっとと魔理沙を連れて行くわよ……アリス、出来るわね?」
「出来る、じゃないわ……あの向こう見ずを叱りに行くだけ、ついでに連れ戻すくらいね」
「そうね……なら戻ってきたら私はどうしようかしらね」

……
…………

 アリスは霊夢達が去った後魂を入れる器である人形を用意して、術式を組み始めた。
術式自体は極めて簡単ではあるが問題がある。
人間ならばさらに違う術式が必要であった、魔理沙はこれを読み違えていたのだろう。
アリスはだから気をつけろといったのにと呆れながらもまだまだねと心で思った。

 アリスは術式を組み上げ発動させる。
あえて完璧ではなく魔理沙の取り込まれた空間に飛び込む歪を作り出していた。
狙い通りの空間にアリスは引き込まれ見たことがない場所に飛ばされる。

「ここかしらね、魔理沙が居るところは?」

 アリスはあたりを警戒しつつ進んでいくと見覚えのある魔力を蓄えた魂を見つける。

「魔理沙? あなた魔理沙なの?」
 
 そう問いかけるとその魂ははっきりした姿を見せた。

「よう、アリス」
「……はぁ? 魔理沙……あなた、今の状況解ってる?」
「解るといえば解るけど、どこだここ?」

 どうも術式を使い、自らの力を高める事に失敗した事どころかその術式事態覚えていないようだった。

「丁度いい、アリス、ここで勝負はどうだ?」
「……何を言ってるの? 魔理沙」

 魔理沙は自分の状況も解っていないのに戦いを仕掛けてきた。
この時、アリスはこの魔理沙の魂が魔理沙であって魔理沙でないことを見抜いた。
だが、相手がもし魔理沙の魂であるならむやみに傷を付けられない、それが隙となる。

「ははっ、アリスも大した事ないな、これで終わりなんてな!!」
「魔理沙っ! いまそれどこじゃないでしょ」

 アリスは魔理沙の放つ攻撃をかわし説得を続けるがまったく聞く気がない。
そしてついに魔法がアリスを捕らえた……と思われた瞬間。
横から放たれた光弾が魔法とぶつかり消滅する。

「アリス!! そいつは私じゃない!」
「!! 魔理沙?」

 そこにはもう一人の魔理沙、と言うより本人が叫ぶ。

「私の力を元に作られた魔力の集合体だ」
「……なるほど、ね……なら倒しても問題ないわよね?」
「いや、正直私より数段強い、お前じゃ危ない」

 魔理沙は本気でそう言っているようだったが、アリスの纏ういつもとは違う力に思わず後退る。

「魔理沙、ちょっと予定と違うけど見せてあげるわよ……私の本気をね」

 そうアリスが言い放つと偽魔理沙に魔法を打ち放つ。
大小の光弾が偽魔理沙に次々と叩き込まれ、偽魔理沙は防御魔法が追いつかず地面に叩きつけられる。
偽魔理沙はなんとか体勢を立て直すと、得意のスピードを使って回り込もうとするが
アリスはそれを難なく捕らえ、加減なく攻撃を叩き込む。
魔力を集めてアリスに放てば、その力を受け流しその隙に強力な攻撃を入れる。
まるですることが解っているが如く合わせて来る。
とうとう、偽魔理沙はその力を全て散らされ光となって弾け飛ぶ。

「……こんな物よね、偽者なんて」

 勝負は終わった、近くで見ていた魔理沙ですらこの圧倒的な差を認めざる得なかった。

「あ、アリス? 今のがお前の本気か?」
「……ふぅ、まぁ、そうね……」
「なんでそんなに力があるのに見せないんだよ……」

 魔理沙は助けられたこともあるがこれだけの力があって加減されている事が悔しく、呟く。

「こんな力使い続けられる訳ないでしょ、それにね、あなたは力だけじゃない」
「……え?」
「今戦った魔理沙はあなたのような狡猾さはない、力だけじゃあなたには勝てない、本気だって色々な形があるのよ」
「……でも、納得できないぜ」

 と言いつつも表情の暗さは消えていた。

「さて、魔理沙」
「なんだ?」
「あなたの魂を戻さないと、あなたの体が死ぬのよ、ここは解る?」
「あぁ、大体解ってた」
「でね、あなたの魂を入れる器がここにあるからさっさと入って」
「解った、と言いたいところだが……その人形はなんだ?」
「これに入れって言うのよ」
「聞いてないぜ!!」

 その後しばらくやり取りがあったがしぶしぶ納得したようであった。

◆    ◆    ◆     ◆    ◆    ◆    ◆     ◆


「戻ったよう……ね?」

 霊夢は魂の器たる人形魔理沙を見たとき、思わず吹き出しになった。

(まったくどういうことだよ、これ)
「良い出来でしょう? 魔理沙そっくりの手乗り人形よ」
「確かに良い出来ね、戻すのが惜しくなってくるわ」
(それはないぜ、霊夢、早く戻してくれ)
「戻ったら戻ったでどうなるか解ってるでしょうね?」
(な!? なんなんだぜ? この寒気は)
「まぁ、覚悟する事よ魔理沙」
「そうそう、魔理沙、アリスとの本気の勝負はどうするの?」
(いや、まだ私じゃ無理だ、だけどな……いつか本気にさせて見せるぜ!)
「ふ~ん、まっ、私の知ったことじゃないわね」
(霊夢、お前だって何時か本気で勝負させて見せる)
「魔理沙、魔法は力だけじゃない、解るわね」
(いや、やっぱり魔法はパワーだぜ、これは譲れないぜ)

 二人はしばらくこのまま人形で反省させるのも良いかと思い始めていた。

「いつになったら戻ってくるのかしらね、アリスと魔理沙」

 永遠亭では輝夜と永琳が月を眺めながら呟く。
久々に投稿させていただきました。
風月灯篭
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コメント



0.830簡易評価
16.80名前が無い程度の能力削除
このアリスさんは本気出したらきっとEXクラス。