箱が開く。物語が始まる。
私の名前は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだ。
私は、あの憎きアリス・マーガトロイドに命より大事なものを壊された!
だから私はアリスを殺すための旅に出させてもらう。
私が正義で、向こうは悪。勧善懲悪のこの世界。悪は滅されなければならぬ。
私の武器はこの陳腐な八卦炉とこの使い古された正義の心だけだ。
ちっと頼りないが、今まで私と一緒に戦ってきた心強き仲間達だ。
そうだよな、八卦炉?
八卦炉「ああ!当たり前さ魔理沙」
そうか、それなら良かった。正義の心、お前はどうだ?
心「めんどい」
まあ私も正直面倒だ。だけど、この世には絶対に忌むべきものがある。
それは、自分の利益のために人の大事なものを壊して平気な顔をしてる奴だ。
アリスだけは、絶対に許せない!!
八卦炉「アリス反対!NO MORE ARISU!」
そう、お前の言うとおりだ。私の周りには非アリス三原則が今発動されつつある。
アリスを作ってはいけない。持ち込んではいけない。買ってはいけない。
さて、そろそろ旅に出よう。善は急げと言うやつだ。
「魔理沙!」
この、鈴を鳴らしたような声は……霊夢か。
「そんな大切なものを奪われたなんてくだらない理由で殺すなんて間違ってるわ。
考え直しなさいよ、アリスと縁を切るなり方法は幾らでもあるでしょ!?」
無い、奴を殺して罪を償わせる。それが私の望みであり、生きる意味だ。
それを止めるならば、霊夢!友達であるお前とて私の敵だ。
「あなたと戦うつもりは毛頭無いわ。そもそも私の方が強いしね!」
霊夢はそう言って、札をどこからともなく取り出して私のほうへと投げてきた。
私はそれをさっと避けて、八卦炉を構えて臨戦体制に入る。
霊夢、やはり口ではそう言ってても体は正直じゃないか。
「そんな嫌らしい表現をしないで頂戴。私は友人として貴方に助言しているのよ。
今はまだこうやって友人同士として楽しくお話をお遊びができるけど、
もしあなたがアリスを殺しなんかしたら私は幻想郷の秩序の統率者(ガーディアン・オブ・オーダー)として貴方を倒すわ」
霊夢はそう言って今までとは違う種類のオーラを身に纏って私に殺気を飛ばしてくる。
私は、只ならぬ霊夢の様子に気圧されながらも精一杯正義の心で強がりを言う。
だけどな、霊夢!私は命と同じ、あるいはそれより大事な物を壊された!
それはつまり私にとっては殺人罪と同じ、だから私は自らの正義に基づいてあいつに殺人罪を食らわしてやる。
これだけは絶対に譲れない。もしここで今お前に殺されても絶対に幽霊になって呪い殺す!
私の台詞が終わると、霊夢はオーラを沈めた。そして、ため息を付きながら言った。
「そう、あなたがそう言うなら止めないわ。だけど、覚悟しておきなさい。
どう足掻いても貴方はアリスを殺した時点であいつと同じ罪を背負うことになるとね」
霊夢はそれだけいうと、「じゃあね」と言って飛び立って行った。
私は、霊夢の言葉を胸に刻み込んでアリスの家へと飛び立った。
昔々、ある所に一人の魔法使いと一人の人形遣いが居た。
人形遣いは、魔法使いと友達なりたくて、色々考えた結果、彼女に人形劇をやって見せることにした。
その物語の主人公は、魔法使いの女の子だった。
人形遣いは、手作りの人形を手に人形劇を始めた。
私は、アリスの家に向かって飛び続ける。
雲が、森が、空気が私の後ろにひゅんひゅん通り過ぎていく。
そこに、突然人の姿が割り込んできた。私は、勢い良く急ブレーキをかけた。
「魔理沙さん!霊夢さんから話は聞きましたよ!」
なんだ早苗か、話を聞いたなら私の目的はわかってるだろう。そこをどいてくれ。
「そういう訳には行きません!駄目ですよ人殺しなんて、間違ってます!考え直してください」
そういうわけにはいかないと、霊夢にも何度も話した。霊夢はわかってくれたぜ。
「霊夢さんは少しドライ過ぎます。やっぱり人殺しはいけません」
例えばだ早苗、私がRPGの主人公だとしよう。
私は勇者、私は世界を恐怖の渦へと落としめんとする魔王を倒すのが使命だ。
その状況で命は大事です!私には魔王は倒せません!なんて言えると思うか?いや言えない。
「そんな御伽噺のような例えで誤魔化さないでください。あなたは勇者でも何でもありません。
ただの恨みに突き動かされてる復讐者ですよ!やめてくださいよ……魔理沙さん」
泣き落とそうとしたって無駄だね。別の私の言ったことはたとえ話でも何でもない。
私は私の正義を持ってアリスを裁く、それが私の生きる使命なんだ。
別に、他人からどう思われようと構いはしないぜ。
「魔理沙さん、貴方の壊された大事なものって何なのですか?一体何が貴方をそこまで揺り動かすのですか?」
そうだな、強いて言うならば、私の魂とか、命とかそのもの。
私は、そいつを壊された時点でアリスに殺されたも同然だった。
「魔理沙さん……わかりました。私はここで黙って応援することにします」
早苗はそう言うとすっと息を吸い込んで、歌を歌い始めた。
私は、その早苗の歌に励まされながらアリスの家への道を飛び始めた。
人形劇は、毎週のように行われた。魔法使いが楽しんでいたので、人形遣いも必死にアイデアを考えて、執り行った。
やればやるほど、魔法使いは人形劇に惹かれていくようだった。
それを、人形遣いは自分自身への好意と勘違いして、一層気合を入れて人形劇をした。
しかし、魔法使いは自分の人形しか見ていなかった。
「来たのね、魔理沙」
あいつは、家の前に立っていた。既に人形を大量に展開して、いつでも私と戦うことが出来る体制にあった。
さて、ラスボスのお出ましと言うわけだ、アリス。
「別に貴方のことなんて私は正直どうでもいいのだけど、殺されるならば正当防衛させて頂くわ」
正当防衛?お前が先に私を殺したようなもんだろ?絶対に私はお前を許さない。
さて、私の一方的な復讐の始まりだ。さよならアリス。
「ちょっと待ちなさいよ。そもそも、貴方が私の事を見てくれなk」
私は、何か話そうとしたアリスに向かってマスタースパークを叩き込んだ。
私の魂を込めた一撃はアリスの体を吹っ飛ばして、さらにアリスの家の大部分を破壊することに成功した。
終わった。
私の長い復讐の旅は遂に終わりを告げたのだ。これで、ついに私の使命は果たされた。
ラスボスを倒して、ゲームならエンディングが流れ始めてスタッフロールが始まる頃である。
始まる頃である。
私の目的は終わって、あれ。
私はこれからどう生きれば良いのだっけ?
人形遣いは、ある日とうとう気付いてしまった。
魔法使いが見ているのは、私ではなく人形劇だけ、それも彼女の人形だけを見ているのであると。
多分、魔法使いにとってはその劇の中での自分が羨ましくて、
その憧れがいつの間にか一般的に恋と言われる感情に摩り替わっていたのだろう。
あるいは、何らかのナルシズムの表現だったのかもしれない。
理由はともかく、魔法使いは人形劇の中の自分の背徳的な恋心を抱いた。
だけど、人形遣いはそれが許せなかった。
だから、人形遣いは自分だけを見てもらえるように、人形劇で使っていた人形を燃やしてしまった。
それを聞いた魔法使いはまるで自分の半身を失ったように怒った。
そして、何度も何度も人形遣いを殴った。
そこへ悲鳴を聞いた私が通りかかって二人を引き離して話を聞かせてもらって、私は二人の関係を一番良い方法で解決したのよ。
一体どうしたんですか?
二人とも、人形劇の世界に叩き込んできたわよ。どっちかが壊れれば最初からやりなおすようにしてね。
それって幸せなんですかね?
当たり前じゃない。魔法使いは主人公で居られる世界、人形遣いは思い人が自分だけを見てくれる世界を手に入れた。
これが、ハッピーエンドと言わずして何と言うのかしら。
私の名前は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだ。
私は、あの憎きアリス・マーガトロイドに命より大事なものを壊された!
だから私はアリスを殺すための旅に出させてもらう。
私が正義で、向こうは悪。勧善懲悪のこの世界。悪は滅されなければならぬ。
私の武器はこの陳腐な八卦炉とこの使い古された正義の心だけだ。
ちっと頼りないが、今まで私と一緒に戦ってきた心強き仲間達だ。
そうだよな、八卦炉?
八卦炉「ああ!当たり前さ魔理沙」
そうか、それなら良かった。正義の心、お前はどうだ?
心「めんどい」
まあ私も正直面倒だ。だけど、この世には絶対に忌むべきものがある。
それは、自分の利益のために人の大事なものを壊して平気な顔をしてる奴だ。
アリスだけは、絶対に許せない!!
八卦炉「アリス反対!NO MORE ARISU!」
そう、お前の言うとおりだ。私の周りには非アリス三原則が今発動されつつある。
アリスを作ってはいけない。持ち込んではいけない。買ってはいけない。
さて、そろそろ旅に出よう。善は急げと言うやつだ。
「魔理沙!」
この、鈴を鳴らしたような声は……霊夢か。
「そんな大切なものを奪われたなんてくだらない理由で殺すなんて間違ってるわ。
考え直しなさいよ、アリスと縁を切るなり方法は幾らでもあるでしょ!?」
無い、奴を殺して罪を償わせる。それが私の望みであり、生きる意味だ。
それを止めるならば、霊夢!友達であるお前とて私の敵だ。
「あなたと戦うつもりは毛頭無いわ。そもそも私の方が強いしね!」
霊夢はそう言って、札をどこからともなく取り出して私のほうへと投げてきた。
私はそれをさっと避けて、八卦炉を構えて臨戦体制に入る。
霊夢、やはり口ではそう言ってても体は正直じゃないか。
「そんな嫌らしい表現をしないで頂戴。私は友人として貴方に助言しているのよ。
今はまだこうやって友人同士として楽しくお話をお遊びができるけど、
もしあなたがアリスを殺しなんかしたら私は幻想郷の秩序の統率者(ガーディアン・オブ・オーダー)として貴方を倒すわ」
霊夢はそう言って今までとは違う種類のオーラを身に纏って私に殺気を飛ばしてくる。
私は、只ならぬ霊夢の様子に気圧されながらも精一杯正義の心で強がりを言う。
だけどな、霊夢!私は命と同じ、あるいはそれより大事な物を壊された!
それはつまり私にとっては殺人罪と同じ、だから私は自らの正義に基づいてあいつに殺人罪を食らわしてやる。
これだけは絶対に譲れない。もしここで今お前に殺されても絶対に幽霊になって呪い殺す!
私の台詞が終わると、霊夢はオーラを沈めた。そして、ため息を付きながら言った。
「そう、あなたがそう言うなら止めないわ。だけど、覚悟しておきなさい。
どう足掻いても貴方はアリスを殺した時点であいつと同じ罪を背負うことになるとね」
霊夢はそれだけいうと、「じゃあね」と言って飛び立って行った。
私は、霊夢の言葉を胸に刻み込んでアリスの家へと飛び立った。
昔々、ある所に一人の魔法使いと一人の人形遣いが居た。
人形遣いは、魔法使いと友達なりたくて、色々考えた結果、彼女に人形劇をやって見せることにした。
その物語の主人公は、魔法使いの女の子だった。
人形遣いは、手作りの人形を手に人形劇を始めた。
私は、アリスの家に向かって飛び続ける。
雲が、森が、空気が私の後ろにひゅんひゅん通り過ぎていく。
そこに、突然人の姿が割り込んできた。私は、勢い良く急ブレーキをかけた。
「魔理沙さん!霊夢さんから話は聞きましたよ!」
なんだ早苗か、話を聞いたなら私の目的はわかってるだろう。そこをどいてくれ。
「そういう訳には行きません!駄目ですよ人殺しなんて、間違ってます!考え直してください」
そういうわけにはいかないと、霊夢にも何度も話した。霊夢はわかってくれたぜ。
「霊夢さんは少しドライ過ぎます。やっぱり人殺しはいけません」
例えばだ早苗、私がRPGの主人公だとしよう。
私は勇者、私は世界を恐怖の渦へと落としめんとする魔王を倒すのが使命だ。
その状況で命は大事です!私には魔王は倒せません!なんて言えると思うか?いや言えない。
「そんな御伽噺のような例えで誤魔化さないでください。あなたは勇者でも何でもありません。
ただの恨みに突き動かされてる復讐者ですよ!やめてくださいよ……魔理沙さん」
泣き落とそうとしたって無駄だね。別の私の言ったことはたとえ話でも何でもない。
私は私の正義を持ってアリスを裁く、それが私の生きる使命なんだ。
別に、他人からどう思われようと構いはしないぜ。
「魔理沙さん、貴方の壊された大事なものって何なのですか?一体何が貴方をそこまで揺り動かすのですか?」
そうだな、強いて言うならば、私の魂とか、命とかそのもの。
私は、そいつを壊された時点でアリスに殺されたも同然だった。
「魔理沙さん……わかりました。私はここで黙って応援することにします」
早苗はそう言うとすっと息を吸い込んで、歌を歌い始めた。
私は、その早苗の歌に励まされながらアリスの家への道を飛び始めた。
人形劇は、毎週のように行われた。魔法使いが楽しんでいたので、人形遣いも必死にアイデアを考えて、執り行った。
やればやるほど、魔法使いは人形劇に惹かれていくようだった。
それを、人形遣いは自分自身への好意と勘違いして、一層気合を入れて人形劇をした。
しかし、魔法使いは自分の人形しか見ていなかった。
「来たのね、魔理沙」
あいつは、家の前に立っていた。既に人形を大量に展開して、いつでも私と戦うことが出来る体制にあった。
さて、ラスボスのお出ましと言うわけだ、アリス。
「別に貴方のことなんて私は正直どうでもいいのだけど、殺されるならば正当防衛させて頂くわ」
正当防衛?お前が先に私を殺したようなもんだろ?絶対に私はお前を許さない。
さて、私の一方的な復讐の始まりだ。さよならアリス。
「ちょっと待ちなさいよ。そもそも、貴方が私の事を見てくれなk」
私は、何か話そうとしたアリスに向かってマスタースパークを叩き込んだ。
私の魂を込めた一撃はアリスの体を吹っ飛ばして、さらにアリスの家の大部分を破壊することに成功した。
終わった。
私の長い復讐の旅は遂に終わりを告げたのだ。これで、ついに私の使命は果たされた。
ラスボスを倒して、ゲームならエンディングが流れ始めてスタッフロールが始まる頃である。
始まる頃である。
私の目的は終わって、あれ。
私はこれからどう生きれば良いのだっけ?
人形遣いは、ある日とうとう気付いてしまった。
魔法使いが見ているのは、私ではなく人形劇だけ、それも彼女の人形だけを見ているのであると。
多分、魔法使いにとってはその劇の中での自分が羨ましくて、
その憧れがいつの間にか一般的に恋と言われる感情に摩り替わっていたのだろう。
あるいは、何らかのナルシズムの表現だったのかもしれない。
理由はともかく、魔法使いは人形劇の中の自分の背徳的な恋心を抱いた。
だけど、人形遣いはそれが許せなかった。
だから、人形遣いは自分だけを見てもらえるように、人形劇で使っていた人形を燃やしてしまった。
それを聞いた魔法使いはまるで自分の半身を失ったように怒った。
そして、何度も何度も人形遣いを殴った。
そこへ悲鳴を聞いた私が通りかかって二人を引き離して話を聞かせてもらって、私は二人の関係を一番良い方法で解決したのよ。
一体どうしたんですか?
二人とも、人形劇の世界に叩き込んできたわよ。どっちかが壊れれば最初からやりなおすようにしてね。
それって幸せなんですかね?
当たり前じゃない。魔法使いは主人公で居られる世界、人形遣いは思い人が自分だけを見てくれる世界を手に入れた。
これが、ハッピーエンドと言わずして何と言うのかしら。
名前がローマ字とは八卦炉もお茶目だ。
早苗もお茶目だ。
誤字も少し混じっているけど、その指摘は他の人にまかせよう。
内容は少々物足りないかな。
自分の出演したドラマや映画を見るんだろう。
わざとらしい言い回しが多いのは「人形劇」っぽさを演出するためでしょうか?
いやわからない、理解力が無くて申し訳ない
どう解釈していいのやら、難しいです
66.6666…点を入れたいのですが、そんな方法ないので切り上げで。
個人的には、もう少し練れば化けそうな印象。
という冗談は置いといて、なかなか興味深い着想だと思いました。
しかし、どうしても強い違和感が拭いきれなかったのでこの点で。
サラッとネタばらしの形で述べられている経緯からしっかり語られていればもっと良かったかもしれません。
どうでしょう。かなり鼻につくと思いませんか?
正直、私がこの作品から受ける印象はこんな感じなんですよね。
お話も、難解というよりは説明不足なだけだと思いますし。
ギャグか!
世にも奇妙な物語を思わせるSSでございました。