Coolier - 新生・東方創想話

旧都の宴会

2010/04/23 16:34:01
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魔法使いと旧都に向かう。
荷物があるからゆっくりだが、それでも少しずつ灯が大きくなり、耳に喧騒が響き始める。
地下に長い間居るというのにどうしてこんなに明るいのだろうか。
旧都は活気に満ち溢れ、妖怪達が楽しそうに過ごしている、妬ましい。

「それにしても、こっちは祭りみたいだな」

不意に魔法使いが口を開く、似たような事を考えていたようだ。

「毎日毎日よく飽きないわ」

「毎日……よくやるよ」

「本当」

何か嫌な思い出でもあるのか少し表情を崩す、地上でも似たようなことをしているのだろうか?
人間からいや私からみても祭りや宴会は、たまにやるから良い物だと思う。
毎日やっていたら有難身や楽しみが判らなくなってしまうだろう。

「鬼の頭には宴会しかないのか」

「貴方達人間との力比べも喜んで引き受けるわよ」

「酒と喧嘩が好きか、迷惑な奴らだ」

「困ったものよ」

もう少しで橋を渡り終え、旧都に辿り着く頃だ。
視線を横から前に戻すと見知った顔が橋にもたれながら盃を傾けていた。

「あー、美味い!」

どうやって持って来たのか、と思うような数の徳利を周囲に転がせながら酒を呑む鬼が一人。
どれだけ呑んだのか数えようとしたがやめておこう。
想像しただけで気分が悪くなる。

「ん……?あぁ、誰かと思えば来てくれなかったパルスィと何時の間にか抜け出してた魔理沙か」

「どうしてここにいるんだ勇儀、あと抜け出してない」

「場所が変わったら案内役が必要だろう?」

「それでこんな所で一人でお酒呑んでたの?」

「良い暇つぶしにはなったよ」

そこで言葉を切り私を見る。
何かを言いたそうだが、予想が出来るため敢えて無視をする。
しかし、そんな抵抗を気にしないでにやにやしている。

「さて、揃ったことだし行くか」

「行くのはいいが、これどうするんだ?」

「気にしなくてもいいわ、この酔っ払いが片付けるから」

「あはははは!酔っ払いとは言ってくれるねまだまだ酔ってないぞ」

「なら普段から酔ってるのね」

「パルスィは相変わらず厳しいな」

ひょいひょいと軽々徳利を重ねて、高く積み上げる。
あっと言う間に背よりも高く、手が届かない高さに達した。
そしてまだ転がってる徳利を掴み、頂点に向かって放り投げた。

「は……?」

魔法使いが声を上げた、それに笑いながら応え続け様に放り投げる姿を見て引きつっていく。
何で割れないのか、何故見ていないのに積み上がるのか、そんな疑問を抱く気持ちは判るがそれは無意味だ。
鬼は、いやこの鬼はそういう物として見た方がいい、考えるだけ時間の無駄なのだから。



積み重ねた徳利を両手に一つずつ持ち上げ振り返る。

「待たせたね、もういいよ」

「もういいよって……」

「貴方が案内してくれないと判らないのだけど?」

「あー、そうだったねついてきなこっちだ」

徳利を持ち上げたまま先導する。
後に続こうとしたところでふと変な光景を見た。
一見命名決闘をしているように見えるのだが
かなりの速度で、相手に近づいてボムをしてまた離れる。
近づくためにボムをするのか、近づいてからボムをするのか。
誰がやっているのかは見えないが、あれほど近くに寄られたら悔しいだろう。

「おーい、どうしたー?」

「何でもないわ、今行くから」

少し歩いた後、店の前で勇儀が止まる。
両手が塞がっているので、さすがに戸を開けるのが出来ないのだろう。
変わりに開ける事にする、徳利を置きながらお礼を言われたが、置いた所で戸よりも高いため入れない。
店内を見渡してみる、見知った顔……は居るが今日呼んだと言う面子が居ない。

「いないぞ」

「あれ?おっかしいな」

「聞き間違えたんじゃないの?」

「そんな筈はないと思うけどな……ちょっと待っててくれ」

店の奥に入って行くのを見送り、魔法使いに問いかける。

「そういえば今日は誰を呼んだの?」

「異変に関わった皆を誘ったって聞いたけど、来て無いやつもいる」

「そう、ありがとう」

「すまんすまん、間違えた」

「おいおい、しっかりしてくれよ」

「なら何処なの?」

「判らん」

「「は?」」

いや、確かにここだと聞いたはずなんだがと頭を掻きながら言う。
道案内をする為に待ってたと言っていたのに、場所を勘違いしてるなんて困ったものだ。

「違うならとりあえず出ようぜ」

「あ、ちょっと待ってくれ」

「どうしたの?」

「これ置いてくる」

そう言って徳利を持ち上げまたもや奥に消えた。
我が道を行く酔っ払いに呆れつつ外に向かう。
店の外に出ると謎の集団が上を見ながら騒いでいた、何事かと同じように宙を見るとまた誰かが命名決闘をしているらしい。
さっき見た近づいて離れるという荒業をやっていることから同一人物なのだろうか?
姿から想像するに天狗と地霊殿のペットのように見える。
天狗が避けた光の塊がこちらに向かってくる、突然の出来ごとに私は驚き。
魔法使いは何かを取り出そうとしたが間に合わない、何も出来ないまま目を瞑る。

「危ないな、何してるんだ」

目を開けると勇儀が塊を消し飛ばしていた。
そして天狗がガラスの付いた小さな箱を持って降りてくる。

「これは大変失礼しました……」

「鴉相手に写真撮ってたのか」

「そんなところです」

「文」

「はい……」

天狗の目が泳いでいる、視線を反らして必死に逃げているようにも見えた。

「目を反らすな、こっちを見ろ」

「はい」

「写真ってのを撮るのはいいが、誰かに迷惑をかけるな、お前達大丈夫か?」

「私達は大丈夫よ」

「すみませんね、そんなつもりは全く無かったのですがつい熱中してしまい……」

天狗が頭を下げる、久しぶりに会った上司から注意をされ焦っているのだろう。
何時も飄々としてる天狗からは想像もできない姿だ。

「全く、次から気をつけろよ」

「すいません、失礼します」

「困ったもんだ」と鬼。

「追いかけないのか?」と魔法使い。

「何で追いかけるんだ?」と不思議そうな顔をする鬼。

「今の地上の天狗でしょ」と私。

今気付いたような顔をして宙に浮かび上がる。
目的を直ぐ忘れるなんて妖精じゃあるまいし勘弁してほしい。
追いかけるがさすが天狗。無駄に速い。
しかし決闘しながらの為追いつくことが出来た。
ふと下を見ると地面に座り此方を眺める巫女と視線が交わる、ような気がした。

「アンタ達何処行ってたの?」

「ちょっと迷子になっててな、ところでこの有様はどうしたんだ?」

「騒がしかったのよ」

ボロボロになって地面に倒れている小鬼と猫。
お酒臭い河童とヤマメとキスメが青白い顔で唸っているのに理由があるのだろうか?
参加者の半数が脱落していた。

「折角見つけたのにお開きになりそうだね」

「参加するなら今からでも遅くないんじゃない?上も終わったことだし」

「いやー今日はたくさん撮れましたよ」

「負けた……、あれ、お燐どうしたの?」

「騒がしかったから」

「疲れて寝ちゃったの?もうお燐ってばだらしないなあ」

「確かにだらしないわね」

「……随分嬉しそうだね文、私も相手してやろうか?」

「えっ……」

「待て待て勇儀、私達が相手してやるよ、こっちはまだ見せてないしな」

そう言って、星が描かれたスペルを取り出す。
……私達?

「二対一か、面白い……ところで博麗、一対一じゃなくてもいいのか?」

「互いが納得しているのなら構わないわよ」

「納得させたことはないけどな」

「納得した覚えもないのだけど?」

「楽しそうだしいいじゃないか、さあかかっておいで」

何時の間にか巻き込まれていた、この二人にはペースを乱される。
しかしもうどうにでもなれ。

「夜空を照らす彩りを見せてやるぜ」

「地を染める彩りを見せてあげるわ」

「そいつは楽しみだ、だが私の嵐は天空の星も地上の花も全て吹き飛ばす!」

「「(もしかして見てたの……?)」」
こんにちわ、如月翔です。
これは地底を彩る花と星の続きなので後に読むことをお勧めします。
量が足りないとか続きが読みたいと言われたのでやってみました。

えーっとですね、本来はここまでやる予定だったのですが。
嫉妬の日に間に合わないので前回の分で切りました。
そうしたらコメントで足りないと言われたのでね。
続きが見たいとか言われたらやるしかないですよね?
今回も言われたら……今の私にはどうしようもないので勘弁してください。
如月翔
http://mirage921.blog105.fc2.com/
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コメント



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3.70名前が無い程度の能力削除
あれ?
パルスィは?
7.70ずわいがに削除
なんでしょう、場面が把握しにくいです。誰のセリフかわからなくなることがあったので、も少し地の文での情景描写が欲しかったですかね。

今回は勇儀の姐御が活躍でしたね。器用で気が利いて力持ち――どんだけー!
8.無評価如月翔削除
>>3
誰が喋っているか、分からなくなってしまいました。

>>ずわいがにさん
セリフ多すぎた……、姉御はチートです。

ようやく自分の失敗が分かるLvになりました。