むくり
幻想郷に日が沈み、里に住む人々が家路に着き始める、そんな普段と変わらない夜。
ここ、紅魔館では、一人の吸血鬼、レミリア・スカーレットが目を覚ました。
チリン チリン
「しゃくや~」
…………。
チリン チリン
「う~ん、咲夜ぁ、いないのか~?」
枕元にあるベルを鳴らしながら、虚空に向け、従者である十六夜咲夜の名を呼ぶが、応答がないようだ。
「まったく、一体何をしているんだ」そう独りごちりながらも、一つ欠伸をし、
半分程閉じかけた目を擦り、覚醒を試みるが、まだ眠い為か、座りながらも再び寝息を立て始める。
コンコン ガチャリ
突然のノックと扉を開く音に反応し、一瞬体をビクつかせ覚醒したレミリアは
それを隠すかのように、溜息を吐き、目を伏せながら、遅く出向いた従者に声を掛ける。
「はぁ、私の呼び掛けには直ぐ応える様言っているでしょう」
「…」
「そもそも、いつもこの時間には起きるのだから、それを見通して、傍で待ってるなりしなさい」
「…」
「これでは、完全で瀟洒な従者の名折れになるわよ」
「…」
「…ねぇ、咲夜、聞いているの?」
直ぐ傍にまで近づいて来た咲夜が、自分の言葉に反応しない事に、ふと違和感を覚え。
レミリアは伏せていた顔を上げた。
開け放たれた扉からの明かりだけで、薄暗い部屋ではあったが、レミリアの目は
ベッドの足元に浮かび上がるシルエットを捉え、半ば呆然と呟いた。
「……何で、お前がここにいるの?」
「…お、おはようございます…お嬢様…」
恥ずかしそうに目を泳がせ、短いスカートに落ち着かない様子の、咲夜――――
の普段着ているメイド服を身に纏った〝七色の人形遣い〟アリス・マーガトロイドがそこに立っていた。
* * * * * * * * * * * * * * * *
その日の日中、アリスは紅魔館にある大図書館に訪れていた。
新たな魔法の研究に必要な魔道書を、何冊か見繕い、図書館の中央に位置する丸テーブルに戻り。
数時間ほど本を読む事に集中していると、ふいに鼻腔に、ふわりと華やかな紅茶の香りが流れる。
「パチュリー様もアリスも、少し目を休まれてはどうですか? ちょうどお茶の時間ですし」
丸テーブルを挟んだ、アリスとパチュリーの隣に、突然現れた咲夜は、そう言いながら
今淹れたばかりの紅茶を二人に渡していく。
「ありがとう、咲夜。それにしても、あなたは本当に急に現れるわねぇ」
「ん、ありがと…私もアリスも、本を読み始めると没頭するタイプだから、そんな時間に経っているなんて気が付かなかったわ」
本から視線を外した二人は、咲夜の方に見て軽く礼を言いつつ、淹れてくれた紅茶を啜る。
三人で談笑する穏やかな空気を感じながら、アリスは思った。
(あぁ、やっぱりこういう時間は良いわね…)
(何と言うか…少しくすぐったいけど、落ち着くような…)
(幻想郷に来た時の私からしたら、考え付かないんだろうけど…)
魔界から単身で来たアリスは、元々ひきこもりがちで、自宅で自律人形の研究に勤しむ毎日だったが
霊夢や魔理沙の影響、数々の異変後に行われる宴会を経て、たくさんの知り合いができた。
最初は尖った氷塊の様だった心も、少しずつ、少しずつ、流水で洗われるかの様に溶けていった。
特に、頻繁に訪れる、紅魔館の皆とは良好な関係にあると言えるだろう――――
だからこそ――――
アリスは、心に浮かんだ人物へ思っていることが、つい口に出てしまった。
「……レミリアは…私の事が嫌いになったのかしら…」
突如呟いたアリスの言葉に、目を大きく見開き驚いたパチュリーと咲夜は、会話を止め
顔を見合わせてから、再びアリスの方へと向き直ると、その言葉への疑問を投げた。
「いきなりどうしたのよ?」
「お嬢様がアリスを嫌う? 何故そう思うの?」
「えっ!? あっ、いや…何でもないの! 忘れて!」
アリスの方も、口に出していた自分に驚き、戸惑いつつもシラを切ろうとするのだが
パチュリーは、そんな様子を見ながら、呆れたように溜息をつき、肩を竦めた。
「はぁ…あのねぇ、突然そんなこと呟いて、慌てて取り繕ったりしても、気になるに決まっているでしょう? 私からすれば“聞いてください”って態度にしか見えないわ」
「うっ! でも…本当に、ほんの少し思っただけだし…」
「だから、私達はその“ほんの少し思った”って言う、そこが何故なのかを聞きたいのよ。ねぇ、咲夜」
「ええ、お嬢様の沽券に関わるかもしれない事ですし…良ければ教えてくれないかしら」
「うぅ~」
どうやら二人は見逃す気がないようだ、と感じたアリスは、視線のプレッシャーにも負け。
一度大きく溜息をつくと、仕方なしに訳を話していく。
「ここ最近なんだけど……レミリアと、宴会の時に目が合っても、直ぐに反らされるし…
このテーブルを一緒に囲んでも、パチュリーや咲夜の方ばかり向いて話して、いつも私には背を向けているのよね…だから嫌われたんじゃないかと思って……」
「……可笑しいわね……レミィはアリスの事を気に入っていたと思うのだけど」
「そうかしら…」
「ええ、以前、アリスに人形を作って貰ったと、お嬢様は大変喜んでいたわ」
「そういえば、その頃から態度が冷たくなった気がするわ……人形が気に入らなかったのかしら」
あぁ、なるほど――――何かに納得したかのように、呟くパチュリー。
目の前に座る、意気消沈のありさまの鈍感人形遣いに対し、再び呆れ顔でパチュリーは言った。
「だからあなたは未熟なのよ、魔法と同じで、一方からでなく、もっと全容を捉えなさい」
「意味が分からないわ」
「言葉や態度の裏に隠されたモノも判断の材料にしなさい、ということよ」
「隠されたモノ…ね」
「レミィは意地っ張りな所もあるけれど、根はとても素直なのよ、あなたにも分かる筈だわ」
「…あなたや咲夜は、一緒に住んでいるから分かるでしょうけど……私には難しいわ」
アリスの返答を聞いて、何か思うところがあったのか、パチュリーは一度大きく目を見開き。
顎に手を当て、ほんの数秒ほど思案に耽ると、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。
その顔を見た咲夜の方は――――。
これからアリスの身に起こるであろう事を案じ、心の中で十字を切った。
「アリス…今日一日、レミィの専属メイドになりなさい!」
* * * * * * * * * * * * * * * *
「そ、そう、咲夜が…」
パチュリーのでっち上げた嘘の理由である――――
『アリスとパチュリーの魔法実験に、偶然いた咲夜が巻き込まれ、24時間目が覚めない睡眠状態になってしまった為、責任としてアリスが一日咲夜の代わりとしてメイドを勤める事になった』
という経緯を、レミリアに話し終えたところである。
パチュリーの口車に乗せられたとはいえ、レミリアの事をもっとよく知り、仲直りするには
アリス自身も、今日一日、紅魔館で過ごすというのは賛同にあった――――――
“あった”のだが、まさか本当にメイド服を着せられるハメになるとは露にも思わず。
そして、その姿を今まさにレミリアに見られていると思うと、恥ずかしさから、顔に熱が溜まるのを
抑えられないアリス。
幸いな事は、まだ灯りを点けず、部屋が薄暗い為、顔の赤みを気付かれない事だろうか。
しかし、それが幸いしたのは、アリスだけでなく、レミリアの方にとっても言えるのだが――――――。
しばし無言の、気まずい空気が流れる中、アリスは必死にレミリアに掛ける言葉を考えていた。
咲夜のメイドとしての姿を見ているとはいえ、それは自分を客人として扱う時の態度であり
レミリアと二人でいる時は、一体どんな事をすればいいのか分からなかったからだ。
そんなアリスの考えを余所に、レミリアが沈黙を破る。
「…ねぇ、アリス」
「は、はい、お嬢様、なんでしょうか?」
「その“お嬢様”というのはやめて、後、敬語も…」
「そうね、私も言ってて、むず痒くなったわ、咲夜の代理って事だから、何となく使ったけど」
「……」
「……」
「え~と、と、取り敢えず、灯りを点けるわね!」
「えっ!? ちょっと待っ…」
気まずい空気を打破する為にと焦ったアリスは、レミリアの静止の声も耳に入らず。
壁際に掛けられた蝋燭に、魔法で次々に灯りを点していく。
部屋全体が明るくなり、ベッドの中央に座るレミリアに向き直るアリス――――――。
その目には、可愛いらしいネグリジェ姿で、パタパタと羽を揺らす、恥ずかしそうなレミリアの顔と
レミリアが大事そうに抱えている、自分の作ったゴーレム人形が映った。
“嫌われている”と思っていたアリスにとって、その光景は喜ばしい事で、思わず呟くように問いかけた。
「人形…大事にしてくれてるのね?」
ピクッ
「…い、いや、これは…そう! たまたま隣に在った物を引き寄せたら、これだったの!」
「でも、レミリアの部屋に置いといて貰えているなら、それだけでも嬉しいわ」
パタ
「そ、そうか…まぁ、アリスが嬉しいって言うなら、仕方ないから、これからも置いとくさ」
「あら?じゃあ、この部屋を埋めてしまうぐらい、たくさん作って来ようかしら」
パタパタ!
「それは困るわねぇ、せめて私の寝るスペースぐらいは空けて貰わないと♪」
「そうねぇ…折角だし、紅魔館の住人の分も作ろうかしらね」
シュン
「………それは……いらないんじゃない?」
「そうかしら? う~ん、せめてフランドールの分だけでも作ろうと思ったんだけど」
ヘナヘナヘナ~
「フ、フランには咲夜が作ってあげてるから平気よ! だから、アリスは私の分を……」
「分かったわ、またレミリアにだけ、飛び切り可愛いのを作って来てあげるわね」
パタパタパタ!!
「う~♪ じゃあ、今度はゾンビ人形が良いわね!」
「いや、それは可愛くないでしょ…」
(良かった嫌われてる訳じゃないのね)そう安堵しながら、アリスは可笑しくて嬉しくて、思わず笑みがこぼれる。レミリアは不思議そうな顔をしていたが、それがまた可笑しくて、アリスは目尻に涙を溜めながら、レミリアへの不安を吹き飛ばすかのように、笑った。
「な、何っ? なにが可笑しいのよ?」
「アハハ、ううん、何でもないの、レミリアと久しぶりに話せたのが嬉しかったのよ…」
「あっ!? その…悪かったわね…避けてるみたいな事して…」
「いいのよ、もう。嫌われてるんじゃないって分かって良かったわ」
「アリスの事は…その…割と好きよ」
「私もレミリアの事、好きだわ」
パタパタパタパタ!!
そう、正にパチュリーの言った通りだ――――――
アリスは図書館でのやり取りを思い返しながら、再びレミリアの顔と、二の腕越しに見える羽を見やると
(『意地っ張りな所もあるけど、根が素直』ねぇ…この場合は『羽根』が素直と言った方がいいのかしら?)
と思いながら「ふふっ」とまた笑った――――――。
と、そんな和やかな雰囲気をぶち壊すかの様に、上機嫌になったレミリアが問いかける。
「ねぇ、アリス? そういえば咲夜の代理に、今日一日、私の世話をするのよね?」
「えっ!?」
アリスにとって見れば、レミリアと仲直りする事が重要な目的で、それが早々と達成できた今は
すっかりその事は忘れていたのだが――――――
その事を知らないレミリアからしたら、アリスが一日自分専属のメイドである事。
そして何よりも最重要な部分は、『好き』という言葉に『好き』で返された事である。
「さて、それじゃ早速、メイドに要望を出そうかしら?」
「…レミリア? え~と、これは…その…ね」
いつの間にかベッドの中央から、アリスの立つ片端まで寄ってきたレミリアは、アリスの腕を掴むと
グイッと引っ張り、ベッドの上に転がすと、そのまま両腕を掴んで組み敷いた。
「ちょ、ちょっと! あの…レミリア?」
「ふふふ、私は寝起きで、喉が渇いてるのよねぇ」
「…それじゃ、紅茶を用意するわ」
「それは後で貰うわ、今は別のモノが飲みたいの」
「ふ、ふ~ん、それでこの体勢の意味は?」
「あら?分かってる癖に」
「はぁ………さっきまでの、しおらしさは何処にいったのよ」
「女心と秋の空ってやつよ」
「……それ用法違うと思うわ」
先程までと打って変わって、普段の傲慢さを見せるレミリアの態度に、アリスは溜息を吐いて呆れつつも
大して抵抗しようとは思わなかった。
見上げるレミリアの表情が、本当に楽しそうな笑顔で、その向こうに見える、パタパタと嬉しそうに揺れる羽根が可愛いらしく――――――。
アリスは愛しさを感じていた――――――。
「抵抗しないってことは、了承と見ていいのかしら?」
「今さら何言ってんのよ…飲むなら早くしなさいよね」
「平気よ、私は少食だし、すぐ終わるわ」
「ふふっ、それは安心していいのかしら」
「……ね、ねぇ、アリス…出来れば目を閉じていてくれないかしら?」
軽口を叩き合う二人だったが、レミリアが急に変な要望を持ち出す。
「うん?そりゃ、言われなくても、吸われる時は思わず目を瞑るわよ?」
「いや、そうじゃなくて…最初から目を閉じてて欲しいの」
「?」
「とにかく、ほら! 目を閉じなさい!」
「はいはい、分かったわよ」
取り敢えず、レミリアの言われるままに目を閉じたアリスは
首筋に来るであろう、吸血時の衝動に、身を少し強張らせながら、その時を待った。
ハラリ
アリスの頬に、レミリアの髪が触れる。
レミリアの顔が、下まで降りてきた事を感じたアリスは、閉じていた目をさらにきつくした。
そして、次の瞬間――――――――――――。
アリスの首筋にくると予想していた、レミリアの唇は――――――――――――。
水っぽくも、蜜っぽくもある、可愛らしい音とともに――――――――――――。
アリスの唇を奪った。
「ちゅっ」
* * * * * * * * * * * * * * * *
「ズズッ」
本来、温かい飲み物を、音を立てて飲む事はマナーが悪いとされているのだが、特に咎める者もなく。
ましてや、勝手知った自分の居場所なので、パチュリーは少なくなった紅茶を、再び音を立てて啜った。
「あれから数時間経ちますけど…お嬢様とアリスは大丈夫ですかね?」
パチュリーの隣に立っていた咲夜は、二人の事を心配し、何気なく問いかけた。
「平気でしょ、レミィが乗り込んでくる訳でも、アリスが泣きついてくる訳でもないしね…
小悪魔には妹様の事は任せてあるし、美鈴には『今日は誰も通すな』と伝えてあるもの
二人の邪魔をする者は今日一日誰もいない…これで上手く行ってなかったら、お手上げよ」
しれっ、と答えるパチュリーを、訝しげに見ながら咲夜は溜息をつくと、パチュリーの飲み終わった
ティーカップを下げ、新しく蒸らしていた紅茶を注ぎながら言う。
「パチュリー様も人が悪いですね、お嬢様の気持ちを知ってらっしゃったのですね?」
「いえ、確信に変わったのは、先刻アリスと話した時よ」
「確信に変わったと言うことは、それまでも、何か感じるものはあったのですか?」
「ええ、翌々考えたら、レミィは図書館に来る度、いつも同じ事を言うのよね……
私への挨拶と、一緒くたにされているから、気が付かなかったわ」
「いつも言う事…ですか?」
「そう、決まってこう言うのよ…『やぁ、パチェ! アリスは今日来ないのかしら?』って」
咲夜は苦笑しながら、パチュリーに紅茶を差し出す。
「ん、ありがと、でも、これで二人が上手くいったら紅魔館も安泰ね」
「アリスがここに住んだら…という事ですか?」
「そう、咲夜並に手先が器用で、紅茶の淹れ方も上手、綺麗好きで家事も得意そうだし
時間操作は出来ないけど人形を操って分担できるしね…図書館の空間操作は私が何とかするわ」
「確かにメイドとしては、打って付けな人材ですね」
「ええ、咲夜も、安心して逝けるんじゃないかしら?」
「そうですわね…アリスになら、お嬢様達を任せられますわ」
そう言って微笑む咲夜を見ながら、熱い紅茶をパチュリーは一口啜ると、意地悪な口調で――――――
だけども、とても優しそうな微笑みを浮かべて、咲夜に告げる。
「まぁ、一番の安泰は、アリスがレミィに愛想が尽きる前に、あなたが転生して帰って来る事ね」
「フフッ、善処しますわ」
幻想郷に日が沈み、里に住む人々が家路に着き始める、そんな普段と変わらない夜。
ここ、紅魔館では、一人の吸血鬼、レミリア・スカーレットが目を覚ました。
チリン チリン
「しゃくや~」
…………。
チリン チリン
「う~ん、咲夜ぁ、いないのか~?」
枕元にあるベルを鳴らしながら、虚空に向け、従者である十六夜咲夜の名を呼ぶが、応答がないようだ。
「まったく、一体何をしているんだ」そう独りごちりながらも、一つ欠伸をし、
半分程閉じかけた目を擦り、覚醒を試みるが、まだ眠い為か、座りながらも再び寝息を立て始める。
コンコン ガチャリ
突然のノックと扉を開く音に反応し、一瞬体をビクつかせ覚醒したレミリアは
それを隠すかのように、溜息を吐き、目を伏せながら、遅く出向いた従者に声を掛ける。
「はぁ、私の呼び掛けには直ぐ応える様言っているでしょう」
「…」
「そもそも、いつもこの時間には起きるのだから、それを見通して、傍で待ってるなりしなさい」
「…」
「これでは、完全で瀟洒な従者の名折れになるわよ」
「…」
「…ねぇ、咲夜、聞いているの?」
直ぐ傍にまで近づいて来た咲夜が、自分の言葉に反応しない事に、ふと違和感を覚え。
レミリアは伏せていた顔を上げた。
開け放たれた扉からの明かりだけで、薄暗い部屋ではあったが、レミリアの目は
ベッドの足元に浮かび上がるシルエットを捉え、半ば呆然と呟いた。
「……何で、お前がここにいるの?」
「…お、おはようございます…お嬢様…」
恥ずかしそうに目を泳がせ、短いスカートに落ち着かない様子の、咲夜――――
の普段着ているメイド服を身に纏った〝七色の人形遣い〟アリス・マーガトロイドがそこに立っていた。
* * * * * * * * * * * * * * * *
その日の日中、アリスは紅魔館にある大図書館に訪れていた。
新たな魔法の研究に必要な魔道書を、何冊か見繕い、図書館の中央に位置する丸テーブルに戻り。
数時間ほど本を読む事に集中していると、ふいに鼻腔に、ふわりと華やかな紅茶の香りが流れる。
「パチュリー様もアリスも、少し目を休まれてはどうですか? ちょうどお茶の時間ですし」
丸テーブルを挟んだ、アリスとパチュリーの隣に、突然現れた咲夜は、そう言いながら
今淹れたばかりの紅茶を二人に渡していく。
「ありがとう、咲夜。それにしても、あなたは本当に急に現れるわねぇ」
「ん、ありがと…私もアリスも、本を読み始めると没頭するタイプだから、そんな時間に経っているなんて気が付かなかったわ」
本から視線を外した二人は、咲夜の方に見て軽く礼を言いつつ、淹れてくれた紅茶を啜る。
三人で談笑する穏やかな空気を感じながら、アリスは思った。
(あぁ、やっぱりこういう時間は良いわね…)
(何と言うか…少しくすぐったいけど、落ち着くような…)
(幻想郷に来た時の私からしたら、考え付かないんだろうけど…)
魔界から単身で来たアリスは、元々ひきこもりがちで、自宅で自律人形の研究に勤しむ毎日だったが
霊夢や魔理沙の影響、数々の異変後に行われる宴会を経て、たくさんの知り合いができた。
最初は尖った氷塊の様だった心も、少しずつ、少しずつ、流水で洗われるかの様に溶けていった。
特に、頻繁に訪れる、紅魔館の皆とは良好な関係にあると言えるだろう――――
だからこそ――――
アリスは、心に浮かんだ人物へ思っていることが、つい口に出てしまった。
「……レミリアは…私の事が嫌いになったのかしら…」
突如呟いたアリスの言葉に、目を大きく見開き驚いたパチュリーと咲夜は、会話を止め
顔を見合わせてから、再びアリスの方へと向き直ると、その言葉への疑問を投げた。
「いきなりどうしたのよ?」
「お嬢様がアリスを嫌う? 何故そう思うの?」
「えっ!? あっ、いや…何でもないの! 忘れて!」
アリスの方も、口に出していた自分に驚き、戸惑いつつもシラを切ろうとするのだが
パチュリーは、そんな様子を見ながら、呆れたように溜息をつき、肩を竦めた。
「はぁ…あのねぇ、突然そんなこと呟いて、慌てて取り繕ったりしても、気になるに決まっているでしょう? 私からすれば“聞いてください”って態度にしか見えないわ」
「うっ! でも…本当に、ほんの少し思っただけだし…」
「だから、私達はその“ほんの少し思った”って言う、そこが何故なのかを聞きたいのよ。ねぇ、咲夜」
「ええ、お嬢様の沽券に関わるかもしれない事ですし…良ければ教えてくれないかしら」
「うぅ~」
どうやら二人は見逃す気がないようだ、と感じたアリスは、視線のプレッシャーにも負け。
一度大きく溜息をつくと、仕方なしに訳を話していく。
「ここ最近なんだけど……レミリアと、宴会の時に目が合っても、直ぐに反らされるし…
このテーブルを一緒に囲んでも、パチュリーや咲夜の方ばかり向いて話して、いつも私には背を向けているのよね…だから嫌われたんじゃないかと思って……」
「……可笑しいわね……レミィはアリスの事を気に入っていたと思うのだけど」
「そうかしら…」
「ええ、以前、アリスに人形を作って貰ったと、お嬢様は大変喜んでいたわ」
「そういえば、その頃から態度が冷たくなった気がするわ……人形が気に入らなかったのかしら」
あぁ、なるほど――――何かに納得したかのように、呟くパチュリー。
目の前に座る、意気消沈のありさまの鈍感人形遣いに対し、再び呆れ顔でパチュリーは言った。
「だからあなたは未熟なのよ、魔法と同じで、一方からでなく、もっと全容を捉えなさい」
「意味が分からないわ」
「言葉や態度の裏に隠されたモノも判断の材料にしなさい、ということよ」
「隠されたモノ…ね」
「レミィは意地っ張りな所もあるけれど、根はとても素直なのよ、あなたにも分かる筈だわ」
「…あなたや咲夜は、一緒に住んでいるから分かるでしょうけど……私には難しいわ」
アリスの返答を聞いて、何か思うところがあったのか、パチュリーは一度大きく目を見開き。
顎に手を当て、ほんの数秒ほど思案に耽ると、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。
その顔を見た咲夜の方は――――。
これからアリスの身に起こるであろう事を案じ、心の中で十字を切った。
「アリス…今日一日、レミィの専属メイドになりなさい!」
* * * * * * * * * * * * * * * *
「そ、そう、咲夜が…」
パチュリーのでっち上げた嘘の理由である――――
『アリスとパチュリーの魔法実験に、偶然いた咲夜が巻き込まれ、24時間目が覚めない睡眠状態になってしまった為、責任としてアリスが一日咲夜の代わりとしてメイドを勤める事になった』
という経緯を、レミリアに話し終えたところである。
パチュリーの口車に乗せられたとはいえ、レミリアの事をもっとよく知り、仲直りするには
アリス自身も、今日一日、紅魔館で過ごすというのは賛同にあった――――――
“あった”のだが、まさか本当にメイド服を着せられるハメになるとは露にも思わず。
そして、その姿を今まさにレミリアに見られていると思うと、恥ずかしさから、顔に熱が溜まるのを
抑えられないアリス。
幸いな事は、まだ灯りを点けず、部屋が薄暗い為、顔の赤みを気付かれない事だろうか。
しかし、それが幸いしたのは、アリスだけでなく、レミリアの方にとっても言えるのだが――――――。
しばし無言の、気まずい空気が流れる中、アリスは必死にレミリアに掛ける言葉を考えていた。
咲夜のメイドとしての姿を見ているとはいえ、それは自分を客人として扱う時の態度であり
レミリアと二人でいる時は、一体どんな事をすればいいのか分からなかったからだ。
そんなアリスの考えを余所に、レミリアが沈黙を破る。
「…ねぇ、アリス」
「は、はい、お嬢様、なんでしょうか?」
「その“お嬢様”というのはやめて、後、敬語も…」
「そうね、私も言ってて、むず痒くなったわ、咲夜の代理って事だから、何となく使ったけど」
「……」
「……」
「え~と、と、取り敢えず、灯りを点けるわね!」
「えっ!? ちょっと待っ…」
気まずい空気を打破する為にと焦ったアリスは、レミリアの静止の声も耳に入らず。
壁際に掛けられた蝋燭に、魔法で次々に灯りを点していく。
部屋全体が明るくなり、ベッドの中央に座るレミリアに向き直るアリス――――――。
その目には、可愛いらしいネグリジェ姿で、パタパタと羽を揺らす、恥ずかしそうなレミリアの顔と
レミリアが大事そうに抱えている、自分の作ったゴーレム人形が映った。
“嫌われている”と思っていたアリスにとって、その光景は喜ばしい事で、思わず呟くように問いかけた。
「人形…大事にしてくれてるのね?」
ピクッ
「…い、いや、これは…そう! たまたま隣に在った物を引き寄せたら、これだったの!」
「でも、レミリアの部屋に置いといて貰えているなら、それだけでも嬉しいわ」
パタ
「そ、そうか…まぁ、アリスが嬉しいって言うなら、仕方ないから、これからも置いとくさ」
「あら?じゃあ、この部屋を埋めてしまうぐらい、たくさん作って来ようかしら」
パタパタ!
「それは困るわねぇ、せめて私の寝るスペースぐらいは空けて貰わないと♪」
「そうねぇ…折角だし、紅魔館の住人の分も作ろうかしらね」
シュン
「………それは……いらないんじゃない?」
「そうかしら? う~ん、せめてフランドールの分だけでも作ろうと思ったんだけど」
ヘナヘナヘナ~
「フ、フランには咲夜が作ってあげてるから平気よ! だから、アリスは私の分を……」
「分かったわ、またレミリアにだけ、飛び切り可愛いのを作って来てあげるわね」
パタパタパタ!!
「う~♪ じゃあ、今度はゾンビ人形が良いわね!」
「いや、それは可愛くないでしょ…」
(良かった嫌われてる訳じゃないのね)そう安堵しながら、アリスは可笑しくて嬉しくて、思わず笑みがこぼれる。レミリアは不思議そうな顔をしていたが、それがまた可笑しくて、アリスは目尻に涙を溜めながら、レミリアへの不安を吹き飛ばすかのように、笑った。
「な、何っ? なにが可笑しいのよ?」
「アハハ、ううん、何でもないの、レミリアと久しぶりに話せたのが嬉しかったのよ…」
「あっ!? その…悪かったわね…避けてるみたいな事して…」
「いいのよ、もう。嫌われてるんじゃないって分かって良かったわ」
「アリスの事は…その…割と好きよ」
「私もレミリアの事、好きだわ」
パタパタパタパタ!!
そう、正にパチュリーの言った通りだ――――――
アリスは図書館でのやり取りを思い返しながら、再びレミリアの顔と、二の腕越しに見える羽を見やると
(『意地っ張りな所もあるけど、根が素直』ねぇ…この場合は『羽根』が素直と言った方がいいのかしら?)
と思いながら「ふふっ」とまた笑った――――――。
と、そんな和やかな雰囲気をぶち壊すかの様に、上機嫌になったレミリアが問いかける。
「ねぇ、アリス? そういえば咲夜の代理に、今日一日、私の世話をするのよね?」
「えっ!?」
アリスにとって見れば、レミリアと仲直りする事が重要な目的で、それが早々と達成できた今は
すっかりその事は忘れていたのだが――――――
その事を知らないレミリアからしたら、アリスが一日自分専属のメイドである事。
そして何よりも最重要な部分は、『好き』という言葉に『好き』で返された事である。
「さて、それじゃ早速、メイドに要望を出そうかしら?」
「…レミリア? え~と、これは…その…ね」
いつの間にかベッドの中央から、アリスの立つ片端まで寄ってきたレミリアは、アリスの腕を掴むと
グイッと引っ張り、ベッドの上に転がすと、そのまま両腕を掴んで組み敷いた。
「ちょ、ちょっと! あの…レミリア?」
「ふふふ、私は寝起きで、喉が渇いてるのよねぇ」
「…それじゃ、紅茶を用意するわ」
「それは後で貰うわ、今は別のモノが飲みたいの」
「ふ、ふ~ん、それでこの体勢の意味は?」
「あら?分かってる癖に」
「はぁ………さっきまでの、しおらしさは何処にいったのよ」
「女心と秋の空ってやつよ」
「……それ用法違うと思うわ」
先程までと打って変わって、普段の傲慢さを見せるレミリアの態度に、アリスは溜息を吐いて呆れつつも
大して抵抗しようとは思わなかった。
見上げるレミリアの表情が、本当に楽しそうな笑顔で、その向こうに見える、パタパタと嬉しそうに揺れる羽根が可愛いらしく――――――。
アリスは愛しさを感じていた――――――。
「抵抗しないってことは、了承と見ていいのかしら?」
「今さら何言ってんのよ…飲むなら早くしなさいよね」
「平気よ、私は少食だし、すぐ終わるわ」
「ふふっ、それは安心していいのかしら」
「……ね、ねぇ、アリス…出来れば目を閉じていてくれないかしら?」
軽口を叩き合う二人だったが、レミリアが急に変な要望を持ち出す。
「うん?そりゃ、言われなくても、吸われる時は思わず目を瞑るわよ?」
「いや、そうじゃなくて…最初から目を閉じてて欲しいの」
「?」
「とにかく、ほら! 目を閉じなさい!」
「はいはい、分かったわよ」
取り敢えず、レミリアの言われるままに目を閉じたアリスは
首筋に来るであろう、吸血時の衝動に、身を少し強張らせながら、その時を待った。
ハラリ
アリスの頬に、レミリアの髪が触れる。
レミリアの顔が、下まで降りてきた事を感じたアリスは、閉じていた目をさらにきつくした。
そして、次の瞬間――――――――――――。
アリスの首筋にくると予想していた、レミリアの唇は――――――――――――。
水っぽくも、蜜っぽくもある、可愛らしい音とともに――――――――――――。
アリスの唇を奪った。
「ちゅっ」
* * * * * * * * * * * * * * * *
「ズズッ」
本来、温かい飲み物を、音を立てて飲む事はマナーが悪いとされているのだが、特に咎める者もなく。
ましてや、勝手知った自分の居場所なので、パチュリーは少なくなった紅茶を、再び音を立てて啜った。
「あれから数時間経ちますけど…お嬢様とアリスは大丈夫ですかね?」
パチュリーの隣に立っていた咲夜は、二人の事を心配し、何気なく問いかけた。
「平気でしょ、レミィが乗り込んでくる訳でも、アリスが泣きついてくる訳でもないしね…
小悪魔には妹様の事は任せてあるし、美鈴には『今日は誰も通すな』と伝えてあるもの
二人の邪魔をする者は今日一日誰もいない…これで上手く行ってなかったら、お手上げよ」
しれっ、と答えるパチュリーを、訝しげに見ながら咲夜は溜息をつくと、パチュリーの飲み終わった
ティーカップを下げ、新しく蒸らしていた紅茶を注ぎながら言う。
「パチュリー様も人が悪いですね、お嬢様の気持ちを知ってらっしゃったのですね?」
「いえ、確信に変わったのは、先刻アリスと話した時よ」
「確信に変わったと言うことは、それまでも、何か感じるものはあったのですか?」
「ええ、翌々考えたら、レミィは図書館に来る度、いつも同じ事を言うのよね……
私への挨拶と、一緒くたにされているから、気が付かなかったわ」
「いつも言う事…ですか?」
「そう、決まってこう言うのよ…『やぁ、パチェ! アリスは今日来ないのかしら?』って」
咲夜は苦笑しながら、パチュリーに紅茶を差し出す。
「ん、ありがと、でも、これで二人が上手くいったら紅魔館も安泰ね」
「アリスがここに住んだら…という事ですか?」
「そう、咲夜並に手先が器用で、紅茶の淹れ方も上手、綺麗好きで家事も得意そうだし
時間操作は出来ないけど人形を操って分担できるしね…図書館の空間操作は私が何とかするわ」
「確かにメイドとしては、打って付けな人材ですね」
「ええ、咲夜も、安心して逝けるんじゃないかしら?」
「そうですわね…アリスになら、お嬢様達を任せられますわ」
そう言って微笑む咲夜を見ながら、熱い紅茶をパチュリーは一口啜ると、意地悪な口調で――――――
だけども、とても優しそうな微笑みを浮かべて、咲夜に告げる。
「まぁ、一番の安泰は、アリスがレミィに愛想が尽きる前に、あなたが転生して帰って来る事ね」
「フフッ、善処しますわ」
レミアリを書いてくださってありがとうございます。
貴方とはいい酒が飲めそうです。
アリスは紅魔館の住民になっても違和感がないな~ アリス総受けの次回を期待してます。
と言おうと思ったものの、そんなに珍しくもないのかしらん?
とりあえず私は初見でした。なんか世界広がりました。
レミアリ! そういうのもあるのか!
レミアリってあまり見かけないから凄く嬉しいです!
チューした後が気になるなぁ……
読者の口の中を砂糖まみれにしおって!
罰として書き続けたま いや書き続けて下さいお願いします
即ち、アリス総受けはジャスティス!
皆様の素敵なコメントにコメ返しさせていただきます
>ないとわんさん
言動ではなく、どうやったら可愛いレミリアを表現できるかで、羽根を頼りました
なので…そのこだわった部分を「可愛いかった」と言って貰えたのが
嬉しくて堪りません!!
レミアリ設定で、続編っぽいもの書こうかとも思ってるので、良かったらまた見てください^^
自分も、ないとわんさんと酒を酌み交わしたいですぅぅ!
一番最初の評価ありがとうございます!!
>2さん
ちゅーの後はですね…【レミリアの部屋で24時間二人っきりだった】って事です
そりゃあ、もう…この先は削除されるので言えませんw
>無休さん
こちらこそ、評価とコメに、たくさんのありがとうです!!
自分は紅魔館勢が好きなので、次回は、その中の誰かとアリスになるかもしれません
アットホームな感じでほのぼのさせたいですね。
>喚くさん
自分も絵師様の描いたモノは見かけますが…レミアリSSは読んだ事がないです。
そんな訳で「無ければ自分で書いてしまえ~」とノリで書きましたw
喚くさんの世界を広げられたのでしたら、これ幸いです!
ありがとうございました^^
>20さん
そこを拾って下さる方がいるとは!?
緋想天・非想天則でレミリアが言っていた「ゴーレム人形」に対抗するのは
「ゾンビ人形」かなぁと…安直でしたが、笑って貰えて嬉しいです( ´艸`)
>奇声を発する程度の能力さん
レイアリ・嘘々話と続けて、評価ありがとうございますっ!!
本当に感謝の気持ちでいっぱいです・゚・(ノД`;)・゚・
アリス総受けで、もっともっと色々書いていきます!
レミアリは俺も見かけたこと無いので、自分以外に書いてくれる人いないかなぁと少し期待しておりますw
>26さん
おぉ!レミアリを良い組み合わせと言って下さるとは~
今の脳内だと、次回もレミアリ話で、今回絡ませられなかった三人を交えたいと思っております
評価ありがとうございました!
>31さん
その一言が貰えただけで、書いて良かったと心底思えます!
ありがとうございました^^
>37さん
お嬢様は可愛く!アリスも可愛く!!
可愛さを表現したかった作品なので、とても嬉しいです!!
>41さん
もっと甘い感じですね!リクエストと受け取って、次回レミアリ書く時は
甘くてラブラブな二人にしようと思います!w
チューの後は…むふふ( ´艸`)
それも、次回入れられる様頑張りますねww
>52さん
罰は喜んで受けようと思いますw
もっとけしからん感じに書けるかは分かりませんが…
糖分過多で読者さまを病院送りにするまで書き続けようと思います!!
ありがとうございました^^
>60さん
もう!すんごい似合うと思います!!
出掛ける時はいつもの格好で、紅魔館にいる時はメイド服がデフォな感じで…
評価ありがとうございました~。
>67さん
アリスのキャラポジションは正に万能ですよね。
振り回されつつも「はぁ、仕方ないわねぇ」って言って流されちゃうアリス可愛いよアリス
アリス総受けの同志に大感謝です!
遅れながらも、ありがとうございました。
>ずわいがにさん
ほっこりですかww
そんな、ずわいがにさんのコメントに、自分がほっこりしました。
ありがとうございます♪
>86さん
うおぉぉぉ!
レミアリ応援して下さるなら、全力で頑張ります!
ちと、次回作はレミアリとは違った形になってしまいましたが……
また甘~い二人の関係を書けたらと思います。