「霊夢、一本くれ。」
休日の昼下がり、いや幻想郷に休日などという概念があるのかは分からないが世間では休日の昼に4人が机を囲っていた。
博麗の巫女の博麗霊夢に霧雨魔理沙、そしてアリス・マーガトロイドにチルノである。
霊夢は机の上に置いてあった煙草の箱を魔理沙に渡す。
その中から一本抜き取り、ポケットからマッチを取り出して火をつける
「あら?魔理沙って煙草吸えたの?」
アリスはちょっと驚きながら魔理沙を見る
トンッ
「あっ本当だ!あたいにも一本頂戴よ!」
トンッ
「ダメだぜ、あっそれ貰い。」
カチッ
4人が先程からやっているもの、それは一つの机と牌
麻雀
この麻雀卓は前の異変の時に落ちてきた物で、それをそのままにしているだけ
で、参拝客が来る訳のない神社で霊夢は妙案?を思い付いたのだ。
そしてそれを魔理沙に伝えた霊夢。
翌日、魔理沙と一緒に来たアリスとそこらに居たチルノを捕まえて始めた。
既に東3局で魔理沙の親
前局ではチルノが親だったが、あっさりと流れた。
「しっかしこの卓おかしいよな、能力が使えなくなってるとかさ。」
魔理沙はチルノから鳴いた牌を横にスライドさせながら言った
「というか今まで放置してた私が驚きよ・・・そりゃ参拝客も来ないわ」
「何でその暇つぶしを私が付き合わないといけないのよ。」
「だってアリス、お前暇だろ?」
霊夢が捨て、アリスが牌を取る。
「失礼ね、これでも忙しいのよ。」
(魔理沙と一緒に来るって事は暇じゃないのかしら・・・)
そう霊夢は思ったが決して口には出さなかった。
暇だろうけどそれを言わない霊夢の優しさだろう
「え?人形遣いっていつも暇じゃないのか?」
だがその霊夢の親切もチルノの一言でかき消された。
空気が凍る
牌を捨てながらアリスはチルノの方を向く。
「何の事か分からないわね。」
「だってお前いっつも森のなかで・・・」
「それローーーン!!!」
空気に耐えきれなかった霊夢が叫ぶ
確かに上がれてはいるが安い、もうちょっと粘れば高得点も狙える配牌だった。
「2、2000点よ。」
息を少し乱しながら手を差し出す
魔理沙はというとふーと煙草の煙で遊んでいた。
チルノはキョトンとして何が起きてるのか分からない状態である。
「ん~はい2000、にしてもそんな安い点でよく上がったわね。」
(誰のせいだと!?)
2000点を自分のハコに収めながら思う霊夢
「それにしても驚いたぜ、まさか霊夢から麻雀しようとはな。」
煙草に火を付けてから霊夢は3人を見る。
「ってかあんたら分かってんでしょうね?この勝負は」
「はいはい分かってるわよ。霊夢が勝てばお賽銭、魔理沙が勝てば全員でキノコ狩りでしょ?」
「あたいが勝ったらアイス10本ね!!」
「アリスが勝てば研究の手伝いか・・・面倒だぜ」
そう、ただ楽しい麻雀を打ってるのではない。
賭け麻雀
1位の者の要望を応えるという賭けだ
どれもこれもちっぽけなものだが、それでも面倒だと言う心なのか自分が1位という感情の方が強かった。
「ふふん!あたいの要望なんてアンタ達のに比べたら圧倒的すぎるわね!」
「あぁお前の要望が叶ったら霊夢の財布が可哀想な事に」
悲しい目で霊夢を見る魔理沙
「ちょっちょっと私はそこまで酷くないわよ」
「昨日私があげたシチュー美味しかった?上海も一緒に手伝ったのよ。」
「とっても!!」
・・・・・
一同が黙る
「霊夢・・・」
「いい、魔理沙。悲しくなるから」
東4局
1局2局と流局して3局で霊夢が2000点でトップ
既に灰皿にはたくさんの吸いがらが山を築いていた。
「しっかしつまらないレベルだな、普通ならもっと満貫!とか甘い!!天和!!とか出るだろ?」
魔理沙は吸い終わった煙草を灰皿に押しつぶしながら牌を切る
「そんなもんコロコロ出てたら勝負じゃなくてただの能力対決よ。」
ため息を吐きながら思案する霊夢
そして牌を切り煙草を吸う
「今更だけど私の要望が一番ダメな気がしてきたわ・・・」
「何で?」
「魔理沙はともかく二人に魔法関係なんて無理でしょ。」
「あたい魔法分かるぞ!あれだろ?こうしゅびびーん!でばばーん!な」
「近いわね。」
「近くないわよ!」
チルノのボケに悪ノリする霊夢。
いやチルノは本当にそう思ってるのかもしれないのだから怖ろしい。
「まぁこういうのが麻雀よ、何も箱にすればいいってもんじゃないでしょ?」
二人につっこみ疲れたアリス
そのまま取った牌をそのまま切る
「でもまぁ一度は見てみたいよな、こう役満だ!どんっ!!てな感じを。」
「そう簡単に出ないから役満なのよ・・・」
アリスはため息を吐きながら牌を切る
「お・・・んー?」
その切った牌と自分の牌を見直すチルノ
「どうしたチルノ?」
いち早く気付いた魔理沙
何処か遠くを見ながら煙草の煙を吐いてた霊夢も気付く。
そしてアリスの捨てた牌を取って自分の手牌に入れるチルノ
「んー3個ずつ3個ずつ・・・出来た!」
そう言って牌を倒すチルノ
「なっ!?」
全員が驚愕した。
確かに簡単には出ないとアリスは言った。
しかしこの役はその数ある役の中でも比較的出やすい役
だが、一方でもう一つの役が・・・
四暗刻 大三元
チルノはダブル役満を上がっていた。
「これ何点!?何点なんだ!」
「さ・・・32,000点だぜ・・・」
「これは参ったわね、まさか私が箱になるなんて。ふぅ・・・貴女の勝ちよチルノ」
そう言ってチルノに全部の点棒をあげるアリス
その点棒が自分の箱いっぱいになるのを見て喜ぶチルノ
「それにしても驚いたぜ、なっ霊夢・・・な!?」
煙草を落とし、真っ白な状態の霊夢。
まさか雀の涙程度しかない自分の全財産をチルノのアイスに使うとは思ってなかったからだ。
何故チルノを選んだのかと言うと弱そうだから
コイツはバカだから大丈夫でしょと思ったが、まさか運で役満。しかもダブル役満を上がられるとは思ってなかった。
「はは・・・あたしの全財産・・・」
「おおい!霊夢!こっちに帰ってこい!」
そのまま崩れ落ちる霊夢
崩れた霊夢に駆け寄る魔理沙
「やったー!それじゃアイス10本ね!!あたい、湖で待ってるから。」
そう言ってチルノは湖の方に消えていった
それを見送るアリスと倒れた霊夢を介抱する魔理沙
ふと卓に目を向けるアリス
「ダブル役満とは恐れ入ったわ・・・」
上がった牌を見てそう呟いた
「くくく、あの阿呆共め。まんまとあたいの罠に嵌まるとはね」
湖の近くの木の上にチルノは寝そべっていた
「能力が使えなくてもあたいには牌のかすかな汗で出来た指紋が見える、それを覚えて自分の手牌を有利にすればいいじゃない。積み込みも万全だったけどまさかあそこまで見事にあがれるとはねククク」
先程までの素直さが消え、どう見ても悪にしか思えない顔になっていた。
そう、チルノは最初からサマを使っていたのだった。
ガン牌
指紋や傷などで見分ける方法だが、チルノはその指紋で牌を覚えていたのだ。
「まったく、あたいを⑨とか言ってくるあのおバカさん達にはいいお灸だったんじゃないかねぇ。おっとあいつらが来たようだ」
森の向こうから3人がやってくる
アリスト魔理沙は楽しそうに会話をしているが霊夢は死んだような目をしていた
「さてっとまた⑨のふりでもしとこうか・・・ん?おい、そこにいるお前ら。いいかい?サマはバレないからサマなんだ、バレちまうようなバカにはなるんじゃないよ。」
おわり
休日の昼下がり、いや幻想郷に休日などという概念があるのかは分からないが世間では休日の昼に4人が机を囲っていた。
博麗の巫女の博麗霊夢に霧雨魔理沙、そしてアリス・マーガトロイドにチルノである。
霊夢は机の上に置いてあった煙草の箱を魔理沙に渡す。
その中から一本抜き取り、ポケットからマッチを取り出して火をつける
「あら?魔理沙って煙草吸えたの?」
アリスはちょっと驚きながら魔理沙を見る
トンッ
「あっ本当だ!あたいにも一本頂戴よ!」
トンッ
「ダメだぜ、あっそれ貰い。」
カチッ
4人が先程からやっているもの、それは一つの机と牌
麻雀
この麻雀卓は前の異変の時に落ちてきた物で、それをそのままにしているだけ
で、参拝客が来る訳のない神社で霊夢は妙案?を思い付いたのだ。
そしてそれを魔理沙に伝えた霊夢。
翌日、魔理沙と一緒に来たアリスとそこらに居たチルノを捕まえて始めた。
既に東3局で魔理沙の親
前局ではチルノが親だったが、あっさりと流れた。
「しっかしこの卓おかしいよな、能力が使えなくなってるとかさ。」
魔理沙はチルノから鳴いた牌を横にスライドさせながら言った
「というか今まで放置してた私が驚きよ・・・そりゃ参拝客も来ないわ」
「何でその暇つぶしを私が付き合わないといけないのよ。」
「だってアリス、お前暇だろ?」
霊夢が捨て、アリスが牌を取る。
「失礼ね、これでも忙しいのよ。」
(魔理沙と一緒に来るって事は暇じゃないのかしら・・・)
そう霊夢は思ったが決して口には出さなかった。
暇だろうけどそれを言わない霊夢の優しさだろう
「え?人形遣いっていつも暇じゃないのか?」
だがその霊夢の親切もチルノの一言でかき消された。
空気が凍る
牌を捨てながらアリスはチルノの方を向く。
「何の事か分からないわね。」
「だってお前いっつも森のなかで・・・」
「それローーーン!!!」
空気に耐えきれなかった霊夢が叫ぶ
確かに上がれてはいるが安い、もうちょっと粘れば高得点も狙える配牌だった。
「2、2000点よ。」
息を少し乱しながら手を差し出す
魔理沙はというとふーと煙草の煙で遊んでいた。
チルノはキョトンとして何が起きてるのか分からない状態である。
「ん~はい2000、にしてもそんな安い点でよく上がったわね。」
(誰のせいだと!?)
2000点を自分のハコに収めながら思う霊夢
「それにしても驚いたぜ、まさか霊夢から麻雀しようとはな。」
煙草に火を付けてから霊夢は3人を見る。
「ってかあんたら分かってんでしょうね?この勝負は」
「はいはい分かってるわよ。霊夢が勝てばお賽銭、魔理沙が勝てば全員でキノコ狩りでしょ?」
「あたいが勝ったらアイス10本ね!!」
「アリスが勝てば研究の手伝いか・・・面倒だぜ」
そう、ただ楽しい麻雀を打ってるのではない。
賭け麻雀
1位の者の要望を応えるという賭けだ
どれもこれもちっぽけなものだが、それでも面倒だと言う心なのか自分が1位という感情の方が強かった。
「ふふん!あたいの要望なんてアンタ達のに比べたら圧倒的すぎるわね!」
「あぁお前の要望が叶ったら霊夢の財布が可哀想な事に」
悲しい目で霊夢を見る魔理沙
「ちょっちょっと私はそこまで酷くないわよ」
「昨日私があげたシチュー美味しかった?上海も一緒に手伝ったのよ。」
「とっても!!」
・・・・・
一同が黙る
「霊夢・・・」
「いい、魔理沙。悲しくなるから」
東4局
1局2局と流局して3局で霊夢が2000点でトップ
既に灰皿にはたくさんの吸いがらが山を築いていた。
「しっかしつまらないレベルだな、普通ならもっと満貫!とか甘い!!天和!!とか出るだろ?」
魔理沙は吸い終わった煙草を灰皿に押しつぶしながら牌を切る
「そんなもんコロコロ出てたら勝負じゃなくてただの能力対決よ。」
ため息を吐きながら思案する霊夢
そして牌を切り煙草を吸う
「今更だけど私の要望が一番ダメな気がしてきたわ・・・」
「何で?」
「魔理沙はともかく二人に魔法関係なんて無理でしょ。」
「あたい魔法分かるぞ!あれだろ?こうしゅびびーん!でばばーん!な」
「近いわね。」
「近くないわよ!」
チルノのボケに悪ノリする霊夢。
いやチルノは本当にそう思ってるのかもしれないのだから怖ろしい。
「まぁこういうのが麻雀よ、何も箱にすればいいってもんじゃないでしょ?」
二人につっこみ疲れたアリス
そのまま取った牌をそのまま切る
「でもまぁ一度は見てみたいよな、こう役満だ!どんっ!!てな感じを。」
「そう簡単に出ないから役満なのよ・・・」
アリスはため息を吐きながら牌を切る
「お・・・んー?」
その切った牌と自分の牌を見直すチルノ
「どうしたチルノ?」
いち早く気付いた魔理沙
何処か遠くを見ながら煙草の煙を吐いてた霊夢も気付く。
そしてアリスの捨てた牌を取って自分の手牌に入れるチルノ
「んー3個ずつ3個ずつ・・・出来た!」
そう言って牌を倒すチルノ
「なっ!?」
全員が驚愕した。
確かに簡単には出ないとアリスは言った。
しかしこの役はその数ある役の中でも比較的出やすい役
だが、一方でもう一つの役が・・・
四暗刻 大三元
チルノはダブル役満を上がっていた。
「これ何点!?何点なんだ!」
「さ・・・32,000点だぜ・・・」
「これは参ったわね、まさか私が箱になるなんて。ふぅ・・・貴女の勝ちよチルノ」
そう言ってチルノに全部の点棒をあげるアリス
その点棒が自分の箱いっぱいになるのを見て喜ぶチルノ
「それにしても驚いたぜ、なっ霊夢・・・な!?」
煙草を落とし、真っ白な状態の霊夢。
まさか雀の涙程度しかない自分の全財産をチルノのアイスに使うとは思ってなかったからだ。
何故チルノを選んだのかと言うと弱そうだから
コイツはバカだから大丈夫でしょと思ったが、まさか運で役満。しかもダブル役満を上がられるとは思ってなかった。
「はは・・・あたしの全財産・・・」
「おおい!霊夢!こっちに帰ってこい!」
そのまま崩れ落ちる霊夢
崩れた霊夢に駆け寄る魔理沙
「やったー!それじゃアイス10本ね!!あたい、湖で待ってるから。」
そう言ってチルノは湖の方に消えていった
それを見送るアリスと倒れた霊夢を介抱する魔理沙
ふと卓に目を向けるアリス
「ダブル役満とは恐れ入ったわ・・・」
上がった牌を見てそう呟いた
「くくく、あの阿呆共め。まんまとあたいの罠に嵌まるとはね」
湖の近くの木の上にチルノは寝そべっていた
「能力が使えなくてもあたいには牌のかすかな汗で出来た指紋が見える、それを覚えて自分の手牌を有利にすればいいじゃない。積み込みも万全だったけどまさかあそこまで見事にあがれるとはねククク」
先程までの素直さが消え、どう見ても悪にしか思えない顔になっていた。
そう、チルノは最初からサマを使っていたのだった。
ガン牌
指紋や傷などで見分ける方法だが、チルノはその指紋で牌を覚えていたのだ。
「まったく、あたいを⑨とか言ってくるあのおバカさん達にはいいお灸だったんじゃないかねぇ。おっとあいつらが来たようだ」
森の向こうから3人がやってくる
アリスト魔理沙は楽しそうに会話をしているが霊夢は死んだような目をしていた
「さてっとまた⑨のふりでもしとこうか・・・ん?おい、そこにいるお前ら。いいかい?サマはバレないからサマなんだ、バレちまうようなバカにはなるんじゃないよ。」
おわり
麻雀をネタとして書くのなら、もう少し深く掘り下げて書いたら面白くなるかも。
卓上の、4人の牌パイ、捨て牌、今の状況はどうなのか、4人は何を考えながら打っているのか、とか。
ただ文章で麻雀するとすごく説明くさくなりそうだ……。
腹黒チルノ……アリですね。
あとは文から場面がちょっと想像できなかったな
他の話を書いたらおもしろい物を書けそうな、そうでないような。
うーむ、他の話も見てこようかな。
まあ一般論でね