Coolier - 新生・東方創想話

アリスとメディスン ~魔理沙の来訪~

2010/03/10 17:39:37
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※前回の小説の後日談のようなものです。
 前回はこちら。
http://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1267531635&log=103



鈴蘭畑の一件からメディスンはアリスを姉と慕い、アリスの家に住んでいる。
なぜ彼女がアリスの家に住んでいるのか。
メディスンいわく
「家なんて無かったし、何よりお姉ちゃんと一緒に眠ったりしたかったから」
…だそうだ。
というわけで、あれから毎日メディスンはアリスと一緒に食事をとったり、入浴したり、眠ったりしていた。
「ねえ、メディ」
ある日の夕食の時間。
アリスはメディスンに声をかけた。
「なぁに、お姉ちゃん」
「実は明日は私のお友達が来るの」
「うん、それで?」
「魔理沙っていうんだけど、仲良くできるかしら?」
メディスンは笑顔で答えた。
「もちろん!」
「それならいいわ。メディはいい子ね」
アリスはメディスンの頭を軽くなでながら褒めた。
「それじゃあ、今日は明日に備えて早く寝ましょうか」
「うん、そうする!」
メディスンは無邪気に笑った。

「よーっす、来たぞー!」
魔理沙の声が外からする。
「あ、来たわね」
アリスは椅子から立ち上がり、ドアに向かう。
「今、開けるわ」
ドアを開けると魔理沙がドアの前に立って笑っていた。
「久しぶりだな。そういえば噂で聞いたんだけど、家族が増えたんだって?」
「ええ、彼女がそうよ。メディ、挨拶して?」
メディスンは魔理沙の前にパタパタと小走りでやってきてお辞儀をした。
「こんにちは、メディスン・メランコリーっていいます!」
「お、こんにちは。メディスンっていうのか。よろしくな!」
魔理沙はメディスンの頭をぐしゃぐしゃとなでてやる。
アリスに比べると乱暴ななで方だったが、メディスンは嫌だとは思わなかった。
「それじゃあ、お邪魔させてもらうぜ」
「ええ、どうぞ。今お茶を入れるわ。メディ、手伝ってくれるかしら?」
「わかった」
そう言いながら台所へ向かうアリスの後ろをメディスンは来た時と同じようにパタパタと小走りでついていく。

紅茶とお菓子を載せた小さなお盆をメディスンはテーブルへと持っていく。
「はい、どうぞ!」
「お、ありがとな。それにしてもよく働くな」
「ええ、お姉ちゃんの役に立てますから」
「はっはっは! アリスより働き者かもしれないな!」
そう言った魔理沙の頭にこつん、とアリスの拳が当たった。
「全部聞こえてるわよ…?」
「おお、すまんすまん。まさかこんな近くにいるとは思わなかったんでね」
そんな二人のやり取りを見ながらメディスンはふふ、と微笑んだ。
「それで、最近あなたはどう?」
「ああ、特になーんも無いな。変わったことといえば神社の賽銭箱に賽銭が入っていたことくらいだ」
「へえ、一体いくら?」
「たったの数十円だ。それなのに霊夢ときたら『やったわ!』とか大げさに喜んでやがる」
「そ、そう…」
アリスは苦笑しながら紅茶を一口飲む。
メディスンも一口飲んでみた。
口の中にふんわりと茶葉の香りが広がる。
「お、新しい茶葉か?」
魔理沙がアリスに聞いた。
「ええ、買い物に行ったときに売っていたからついでに買ってきたのよ」
「ふーん、今度私も買ってみようかな」
「欲しかったら私の茶葉を少し分けてあげるわよ」
「え? いいのか?」
「別に構わないわ。持っていって」
メディスンはそんな二人を見ていて心の中に小さな闇が出来るのがわかった。
この二人の関係を許せない。
お姉ちゃんは私のものなのに…お姉ちゃんに近づく魔理沙が許せない。
メディスンはそう思っていた。

「ちょっと、手を洗ってくるね」
メディスンはそう言って、ゆっくりと洗面所のほうへと向かった。
「で、この間な…」
魔理沙は会話に夢中で後ろを通過しようとしているメディスンに全く気づいていない。
魔理沙の後ろを通過しようとした時、彼女はわざと足を椅子の足に引っ掛けた。
「うおっ!」
椅子がガタッ、と揺れて魔理沙は椅子から落ちそうになったが何とか踏みとどまり、落ちずに済んだ。
「あ、ごめんなさい!」
メディスンはそう謝ったが、もちろん心から謝ったわけではない。
「あ、いいよいいよ。それより、お前は大丈夫か?」
「はい」
「メディ、気をつけなさいよ?」
アリスも魔理沙もメディスンがわざとやったことに気づかずに心配する。
(魔理沙さん、あなたはお姉ちゃんと仲がいいみたいだけど、お姉ちゃんは私のものなんだからね!)
心の中でメディスンはそう呟いた。

「あら、お菓子がなくなったわね。メディ、悪いけどお菓子を持ってきてくれない?」
「わかったわ」
メディスンは皿を持って台所へ向かい、お菓子を皿にのせる。
「…」
魔理沙の分のお菓子にメディスンは気づかれないように毒をかけた。
毒といっても死にはしない。
単に苦味を感じるだけである。
「これでよし…」
お菓子に毒をかけたメディスンは二人の待つテーブルへとお菓子を持っていく。
「お姉ちゃん、お菓子持って来たよ」
「あら、ありがとう…その上配膳までしてくれるのね」
「よく出来た子だな。うちにも来て欲しいぜ」
「無理よ、この子は私の妹みたいな存在なんだから」
「そうか、お前はメディスンのことを心から愛しているんだな」
「ええ」
メディスンはアリスの言葉をありがたく思いながらお菓子を配膳していく。
もちろん毒をかけたお菓子をしっかりと魔理沙の前に置くのも忘れない。
アリスは早速お菓子に手をつけた。
メディスンもそれに続いてお菓子を一口食べる。
それを見て魔理沙もお菓子を口に運んだ。
「もぐもぐ…うっ!」
魔理沙は悶絶して椅子から落ちた。
「ど、どうしたの魔理沙!?」
アリスは急いで魔理沙へと駆け寄った。
「こ…このお菓子、ものすごく苦いぞ!」
「え!?」
「それにしても苦すぎて気絶するかと思ったぜ…」
(…気絶すればよかったのに)
メディスンは心の中で舌打ちした。
アリスはテーブルの上から紅茶のカップを取って魔理沙に渡している。
「とりあえずこれ飲んで」
「わ、悪いな…」
(お姉ちゃんもお姉ちゃんよ。私の気持ちに気づいてよ…)
二人を睨みながらメディスンは一人、心の中で叫んだ。

「む、そろそろ帰らないといけない時間だな。」
「あら、そう? だったら外まで送るわ」
魔理沙が椅子から転げ落ちてから、メディスンはずっと黙ったままだった。
そんなメディスンは魔理沙が帰宅すると聞いて喜んだ。
(これで、私とお姉ちゃんの二人だけの時間が戻ってくるわ)
「おっと、そういえばあのこと考えてくれたか?」
魔理沙はいきなり振り返ってアリスを見た。
「え、あ、あれは…」
「いいだろ? 減るもんじゃないし」
「だ、だけど…」
「あー、もうじれったいな!」
頭をかきながら魔理沙はアリスへと近づいていく。
その会話を聞いていたメディスンは無意識のうちに魔理沙を突き飛ばしていた。
「おわっ…」
「な、何をするの、メディ!?」
「駄目よ! お姉ちゃんは、お姉ちゃんは私だけのものなんだから!」
メディスンはアリスと魔理沙の間に立って叫んだ。
「お姉ちゃんに変なことをするなんて…許さないんだから!」
魔理沙は何を言っているのかわからないといった顔でメディスンを見た。
「メディ…! 魔理沙に謝って」
アリスはメディスンの肩をつかんで、こちらを向かせた。
「…嫌」
「嫌、じゃないの。ほら、謝って」
「嫌ったら嫌!」
パシン!
アリスはメディスンの頬をはたいた。
「謝りなさい!」
今まで見たことがないくらいにアリスは怒っている。
「…馬鹿」
メディスンは小さく呟いた。
「お姉ちゃんの馬鹿! 私がお姉ちゃんのことをどれだけ思っているかも知らないで!」
そう泣きながら叫ぶと、メディスンは外に飛び出していってしまった。
「し、しまった…つい頭に血がのぼって…魔理沙! メディを追いかけるのを手伝って!」
「あ、ああ! わかった!」
魔理沙にそう言ってからアリスも後を追って外に飛び出した。
しかし、アリスが外に出たときにはメディスンの姿はどこにもなかったのだった…

「ぐすっ…お姉ちゃんの馬鹿…」
これで何回「お姉ちゃんの馬鹿」と言っただろうか。
メディスンは森の中で一人泣いていた。
あたりは少しずつではあるが暗くなってきている。
アリスに会う前なら何回も一人で暗い中で過ごしたためにこのくらい大丈夫であった。
しかしアリスに会ってからはずっと二人で過ごしてきたために、一人で暗いところにいることがとても怖く感じられた。
「…そろそろ戻ろうかな。お姉ちゃんも心配しているかもしれないし…」
戻ってしっかりと謝れば許してくれるはずだと思い、家に帰ろうとする。
「…あれ? …私、どっちから来たっけ…」
あたりが暗くなってきたこともあり、メディスンは帰り道を完全に見失ってしまっていた。
「ど、どうしよう…」
さっき拭ったはずの涙がまた溢れてきた。

「どう!? メディはいた!?」
「いや、こっちにはいなかった!」
その頃二人は家の周りを探していた。
「ど、どうしよう…」
「もしかしたらあいつ、道に迷ってるかもしれないぜ…」
「そ、そんな…」
「おまけに少しづつ暗くなってきてる。これじゃあ、見つけようがない…明日まで待ってみないか?」
「駄目よ! あの子、今頃恐怖で震えているに違いないわ! 早く見つけてあげないと…」
アリスはその場に座り込んでしまう。
「私のせいだわ…あそこで私があの子を叩いてしまったから!」
「泣くのは後にしてくれ。それより、私に考えがある」
魔理沙はスカートからミニ八卦炉を取り出した。
「こいつを明かり代わりにすればかなり明るいはずだ。こいつを使って、森の中を探してみよう!」
「…わかったわ」
アリスは立ち上がって、魔理沙とともに暗くなった森の中を走る。

「こっち…かな…」
メディスンは適当に森の中を歩いていた。
そのため、完全に森の中に迷い込んでしまった。
「だ、駄目だ…」
肉体的にも精神的にも限界を迎えつつあったメディスンはその場にへたり込んでしまった。
「私、このままここで一人さびしく死んじゃうのかな…」
そんなことを考えているとまた涙が溢れてくる。
「死ぬのは別に構わない…でも死ぬのならお姉ちゃんと魔理沙さんにしっかり謝ってから死にたいよ…」
ぼろぼろと涙をこぼしながらそう呟いたその時だった。
「…メディ」
「…お姉ちゃん?」
遠くから声が聞こえた気がした。
耳を澄ませてみる。
「…メディ!」
今度ははっきりと聞こえた。
しかもこちらへと近づいているようだ。
声のするほうを向くと遠くに明かりが見えた。
「お、お姉ちゃん!」
メディスンは叫んだ。
「メディ! いるの!?」
「お姉ちゃん、こっちよ!」
メディスンがアリスを呼ぶと明かりがこちらの方へ近づいてくる。
「メディ!」
「お姉ちゃん!」
お互いの姿がはっきりと見えた時、二人は駆け出して抱き合う。
「お姉ちゃん、ごめんなさい…!」
「いいえ、私こそ悪かったわ…」
お互いに泣きながら謝る。
「やれやれ、やっと見つかったか…さて、帰るぞ」
魔理沙は八卦炉を手に持ちながら笑っていた。

三人は仲良く手をつなぎながら、家へと向かう。
「魔理沙さん…あの…」
「ん? なんだ?」
「さっきは…ごめんなさい」
「ああ、気にするな。お前はお姉ちゃんを他の人に取られたくなかったんだろ?」
「…」
「誰だって大切な人を取られたくはないよな。それは私にもわかるよ」
「ごめんなさい」
メディスンはまた謝った。
「それにしても、アリスもお前のことをすごく大切だと思っているみたいだぞ?
 一緒にお前を探している時も『あの子に何かあったら私、生きていけないわ』なんて…」
「ま、魔理沙! それは言わないでよ! 恥ずかしいわ!」
アリスは真っ赤になりながら反論した。
メディスンはアリスをじっと見つめている。
「メディもそんな目で見ないで…」
「ありがとう」
「は?」
「こんな私のことを大切に思ってくれて、ありがとう!」
アリスはさっきより真っ赤になって黙ってしまった。
「くくく、照れるな照れるな!」
笑いながら魔理沙はアリスの肩をバンバン叩く。
「そういえば…これって…家族みたいね」
ぽつりとメディスンは呟いた。
「か、家族!? 馬鹿言わないでよ、こ、こんな奴と…」
「そ、そうだ…私だってこんな奴と…」
メディスンの呟きに二人は真っ赤になる。
アリスはさっきから赤くなりっぱなしである。
二人とも否定しているが、メディスンにははっきりとわかっていた。
アリスも魔理沙も相手のことが好きだということを。
「そ、それはそうと魔理沙。今日は泊まっていって! 遅くなっちゃったし!」
「そうだな。それじゃあ、お言葉に甘えるとしようか!」
「それじゃあ、三人でお風呂に入って三人で仲良く寝るわけね」
「まあそんなことに…なるか…」
「三人でお風呂なんて恥ずかしいけど…たまにはいいかな…」
アリスも魔理沙もまんざらでもないようだ。
「それじゃあ、早く帰ろう!」
「あ! こら! そんなに急ぐと危ないわよ!」
「やれやれ、疲れているのかと思えばまだまだ元気じゃないか」
メディスンは二人を引っ張って家に急いだ。

家に着いてから夕食を食べて、三人で風呂に入った。
そして、三人は今ベッドの中である。
「お姉ちゃん…」
「何?」
「これからも…一緒にいてくれるよね?」
「ええ、もちろんよ」
アリスは微笑みながら答えた。
「魔理沙さんも…これから仲良くしてくれる?」
「ああ、もちろんだ」
「ありがとうございます」
魔理沙も笑いながら答える。
「二人とも、おやすみなさい…」
その夜、メディスンは夢を見た。
詳しいことは忘れてしまったが、三人が家族のように仲良く暮らす夢だったということは覚えている。
次の日メディスンは、夢のようにこれから楽しく暮らせればいいなと思った。
前回は最後のあたりをもう少し書けばよかったのでは?
と言われたり、その直後にネタが思いついたのもありましたので続きみたいなものを書いてみました^^;

今回はメディスンがマリアリに嫉妬するという話にしてみましたがどうでしたでしょうか?
ちなみに自分はマリアリ派ですw
双角
[email protected]
http://blogs.yahoo.co.jp/soukaku118
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コメント



0.700簡易評価
12.70名前が無い程度の能力削除
メディスンは捨てられた人形だから独占欲とか捨てられたくないという気持ちが強そうだ。
13.無評価双角削除
>>12
ですね。
そしてヤンデレ化すると・・・w
16.80ずわいがに削除
シスコンからマザコンになってしまいましたなww
17.無評価双角削除
シスコンからマザコン・・・
確かにそうですね^^;