星砲

○月×日

「ねぇ魔理沙、流星群ってどんな感じなの？」
私は読んでいた魔導書から顔をあげて魔理沙に聞く。
「流星群か…確かそのうち四年に一度の大流星群の日だったはずだぜ。」
「四年に一度？」
「ああ、四年に一度だけ夜空のほとんどの星が流れ星になるんだ。あれは一度見たら忘れられないくらい見事だぜ!!」
私はその光景を想像してみた。
澄み切った、雲一つない星空で、一つ、また一つと星が流れ始めてどこを向いても流れ星だらけだ。
「願い事叶え放題だぜっ。」
「もう、そこまで子どもじゃないわよ。」
と笑いながら彼女にそう言うがきっと私は笑顔に違いない。
「確か三日後だったはずだから、三日後の夜に迎えに来るぜ。」

○月△日

そして、三日後
その日は朝から雨が降っていた。
「はぁ、…夜までに晴れてくれれば良いけど…」
ため息が私の口からこぼれ出る。
だが、私の願いもむなしく、雨は夜になっても降り続けた。
「コンコン」
誰だろうか？魔理沙はノックなどせずに入って来るのに。
私は
「はぁーい、ちょっと待ってください」
と言い窓から離れてドアに向かう。
ドアを開けると、そこにいたのはずぶ濡れの魔理沙だった。
「魔理沙…雨が降ってるわよ…」
私はたぶん暗い顔で言った。
とりあえず魔理沙をうちに入れようとする。
すると、突然魔理沙に手首を掴まれて外に連れ出される。
「キャッ!?」
予想もしていなかった魔理沙の行動につい声が出るが
「魔理沙、見てわかる通り外は雨があがりそうにないわ…」
と、私はあきらめ気味に言えた。
「まあ、待てアリス。私は霧雨魔理沙だぜ!?」
と不敵な笑みを浮かべてミニ八卦炉を取り出した。
こんなときのために新しいスペルカードを作っておいたんだ。
そう言われてミニ八卦炉を見てみると、今まで見たことのないお札が裏に貼られていた。
「いくぜ…星砲『スターダスト・スパーク』!!」
と、ミニ八卦炉を天に向けて魔理沙はスペル名を叫んだ。
その光があまりにも眩しくて手で光を遮る。
一瞬の間に闇夜を切り裂くように光の柱が空へと伸びる。
だが、どう見ても普段の10倍太いだけのマスタースパークに見えた。
「魔理沙、マスタースパークとどう違うの？」
と私が聞くと、返事代わりに
「弾けろ!!」
と一言宣言した。
すると、極太マスタースパークの柱が、大量の流れ星になって拡散し、雲をかき消した。
「キレイ…」
私はそうとしか言えなかった。
魔理沙の流星群が雲をかき消して本物の流星群も現れる。
「私は、約束を必ず守る女だぜ!!」
確かに魔理沙は約束をしっかりと約束を守ってくれた。
「さあアリス、願い事叶え放題だぜ。」
と魔理沙は満面の笑みで言った。
だが、願い事はもうどうでも良かった。
何故なら、もう叶ったからである。
「ありがとう、魔理沙。」
と言って私は魔理沙の頬にキスをした。
「お、おい…恥ずかしいぜ」
と言ってもう片方の頬をポリポリと掻いた。
私はこの日に見た二つの流星群を一生忘れられないだろう。
（本当にありがとう、魔理沙）
と心の中でつぶやいた。



「ま、魔理沙。あ、あんたなんで人の日記なんか読んでるのよ!!」
「いや～ここにある本はほとんど読み終わったからそこらへん漁ってたら出てきたもんでな。」
「うっ…」
悪びれずに言う彼女の笑顔が本当にいとおしくて言葉に詰まるが
「何でもいいから返しなさい!!」
手を伸ばすがギリギリ日記に届かない。
「ほらほらアリス～」
「仕方ないわね…上海！」
人形を操りやっとのことで取り返したが
「また来るぜ～」
早くも魔理沙は逃げている。
「もう二度と来るな～!!」
遠ざかる魔法使いは一切聞いていない。
「もう…バカ…」
小さくなっていく背中を見つめながらそう呟いた。

二作目です。勿忘草(わすれなぐさ)と申します。
読んだ後に(どっかでこんな話を読んだな…)と思ったらそれは創想話です。
作者が未熟な為、こんな状態です。何か問題があれば消しますので…
何かご意見、ご感想、批判等あれば気軽にコメントにお願いします。
それでは、最後まで読んでくださった皆様、真にありがとうございました。