「……」
部屋の中、金髪の少女は机に向かっていた。
彼女が作業を始めてから、すでに4時間は経過している。
その後ろ姿を、ずっと眺めている人影が一つ。
おや…。こんにちは。
いや…。この方は集中力がありますね…。私、ずっと待っているのに、まったく気付いてくれないんですよ。
ストーカー?
人聞きの悪いことを言わんでください。
断じてそんなものではありません。
え…?ふむ…。
私の正体ですか……。
まぁ、人間ではないですね。えぇ。
私は少なくとも、1000年はこの世界にいますから。
っと……私の正体などどうでもいいのです。
今優先すべきは、彼女のことなんですから。
…あ、どうでも良いですけど、自分男です。ハイ。
「ふぅ…」
と、彼女が息をはいたような音が聞こえた。
丁度良いところのようですね。
それでは、行きましょうかね……。
「お嬢さん」
「!!」
ビクッ。と、少女…アリスの肩が震えた。
それと同時。周りに鎮座していた人形の1つ1つが、意思を持ったように男に襲い掛かる。
「え?ちょっ!うわぁ!?」
それは情けない声を上げながらも、人形からの攻撃をヒラヒラと避けた。
「危ないですねー。何するんですか!いきなり!」
「何って…!いきなり人の家に上がりこんで、何でそんな常識的なこと言ってるのよ!」
アリスの声が終わると同時に、人形からの攻撃が再開された。
「いやっ!だから…!ちょっと…!話を…!あーもう!」
男は攻撃を避けながら、アリスに近寄った。
「いやっ!」
驚いたアリスが男を突き飛ばそうとする。
「話を聞いてくださいってば!」
その手を掴み、男はずい、とアリスに詰め寄った。
「な…何よ!」
手を掴まれてる以上、さすがに攻撃するのはマズいと考えたのだろう。
アリスは人形を動きを止め、一応話を聞く姿勢を見せた。
まぁ、武器を持った人形が男の頭上をクルクルと回っているとこを見ると、敵意は消えていないようだが。
「あなたの背中、押しましょう」
「………へ?」
【背中を押されて】
「で、結局何?」
「いやだから、あなたの背中を押しますと…」
あれから30分程経過しただろうか。
今。アリスと男は、向かいあって、アリスが淹れた紅茶を啜っている。
とりあえず、敵意はないと言う事で、客人として男を持て成すことにしたらしい。
もちろん。不法侵入には変わりないので、罰として人形からの攻撃を後頭部に一発ヒットさせたようだが…。
「マッサージなら、間に合っているわ」
「いえそうではなく…」
男はしばらくウンウン唸り…。
「魔理沙さんとの仲を応援しますよ、と」
「――ゲホゲホッッ!!」
思わぬ言葉に、アリスは咳き込んだ。
「い、いきなり何を言うのよ!!」
「はぁ…まぁ、話せば長くなるのですが…」
~男説明中~
「つまり…あなたはどこかの紅い屋敷に住んでる吸血鬼みたいに運命を操れる。それを使って私と魔理沙をくっつけようって事?」
「あぁ、いえ。私は運命を操れる訳じゃなくてですね…」
男は紅茶を1口飲み、続ける。
「私は『運命が見える程度の能力』を持ってるんですよ。運命そのものを作り出せるわけじゃありません。ただ、運命と、それに至る過程が見れるだけです」
「…で。私と魔理沙をくっつけるって所は否定しないのね?」
「あなたが望むのなら」
「望むのならって…。確かに魔理沙とは結ばれたいけど…。でもそういうのって、人に頼ったりするものじゃなというか…。でも、私1人じゃ…」
(最後の方は良く聞き取れませんでしたが…。やっぱり、アリスさんは魔理沙さんとくっつきたいみたいですね…)
「さて…どうしますか?」
男がそう問うと、アリスは顔を朱で染めながら…。
「その…お願いします…」
と、ギリギリ聞こえる声で呟いた。
その姿は、3第欲求を全く持っていない私でも、胸を高鳴らせるほどだった。
~翌日~
Alice side
今、私は魔理沙の家の前にいる。
そして、私の手には昨日の男からもらった2枚の紙が握られていた。
その…一般的に遊園地と呼ばれてる娯楽施設の入場チケットだ。
…って。…なんで説明するだけで照れてるのかしら…私。
「というか…誰に説明してるのよ…」
そう独りごちて、深呼吸。
「……よし!」
意味もなく気合を入れて、魔理沙の家のドアのノックする。
『いまいくぜー』
と、聞きなれた声が耳に届いた。
それだけで、心臓が口から飛び出しそうなくらいドキドキする。
「どちらさま~って、アリスじゃん。どうした?」
「え、えっと…」
「?」
言わなくちゃ。
そう思っても、口がうまく動いてくれない。
「おい、大丈夫か?顔真っ赤だぞ?」
その原因の張本人が何言ってるのよ~!
「すぅ…はぁ…。魔理沙!」
「お、おう!?」
「これ!行ってみない!!?」
そう言って、私はチケットを魔理沙に渡した(押し付けたともいう)。
「何だこれ……。おお!面白そうじゃん!」
チケットを見た魔理沙の目が輝きを見せる。
「いいじゃん!行こうぜ!よし!準備してくる!」
そう言って、魔理沙は家の中に戻っていった。
取り残された私は、しばらく呆然としていたが…。
「や…やった…!」
と、小さくガッツポーズをとった。
~少女移動中~
「うわー!ひっれーーー!」
「本当…広いわね…」
「よし!行こうぜ!」
「!!??!?」
突然、左手を柔らかな感触が包み込んだ。
それと同時に、顔が急激に熱くなる。
「って、どうした?」
「な、何でもないわ!」
「そうか」
と、狙ったのか素なのか分からない眩しい笑顔で、魔理沙は私を引っ張って走り出した。
転ばないように必死で足を動かす。
魔理沙の暖かさをその手に感じて…。
とりあえず、結果から言うと…。
「つ、疲れた…」
まさか、ほぼ全部のアトラクションを制覇するなんて思わなかった。
ちゅー、と先程購入した飲み物を吸う。
妙に値段が高かったが、気にしない。
「いや~楽しかったな~」
私よりはしゃいでいた筈なのに、魔理沙は隣でピンピンしている。
無邪気に笑うその笑顔を見ただけで、なんだか疲れが飛んで行った気がした。
「さて…。時間的にも、後1つ位は乗れるけど、何か乗りたいものとかある?」
「ん~…。いや、最後くらいはアリスに任せることにするぜ」
「そう。それじゃ、あれに乗りましょうか」
そう言って私が指差したのは…。
「かん……らんしゃ?」
「まぁ。最後はのんびりと行きましょ」
それに…大切な話もあるし…ね?
最初は微妙な顔をしていた魔理沙だったが、しばらく考えた後。
「まぁ、それもいいか!」
と、いつもの笑顔で笑ってくれた。
「うおー!人がゴミのようだぜ!」
「なんて事を言うのよ…」
「いや…分からないならいいぜ」
「?」
「……」
「……」
沈黙がこの空間を支配する。
心臓がどんどん高鳴ってくる。
言わないと…。
そう思っても、中々言葉が出てこない。
「……なぁ、アリス」
「な、何?」
「今日…楽しくなかったか?」
「…え?」
予想外の言葉。
それを理解するのに、少しの時間が必要だった。
「そんなことないわよ?」
「じゃあ、何でそんな辛そうな顔してるんだよ…」
「私、辛そうな顔なんて…」
「してるよ!」
魔理沙が叫んだ。
そして、そこで初めて気付いた。
魔理沙が……泣いている。
「私……アリスに遊園地に誘われて……うれしくて…舞い上がって…。でも、テンションあげすぎて…。アリスに嫌われたくなくて…」
魔理沙はメチャクチャな言葉を紡いだ。
「ゴメン…アリス…」
「何で…謝るのよ…」
謝らないといけないのは…私なのに…。
自分で勝手に迷って…。魔理沙を傷つけて…。
「わかんないけど…ゴメン…」
「…魔理沙……!」
私は耐え切れず、魔理沙に抱きついた。
「ゴメン…!ゴメン…、魔理沙ぁ…」
「アリス…?」
「私……私……」
今まで言えなかった言葉…。
それをこんなわけの分からないタイミングで言うのか?
もっと、雰囲気とか、そういうのがあるんじゃないか?
さまざまな葛藤が頭の中を駆け巡る。
それでも…。
「私…!あなたが好き…!」
言う。
「ずっと、ずっと好きだった!でも、言えなくて…。だから、今日、絶対に言おうと思ってて…」
「アリス…」
「魔理沙…」
お互い、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら…。
その涙で濡れた唇に、己のそれを重ねた…。
?? side
成功…したようですね…。
元々相性も良かったようですし、今回の結果は必然なのかもしれませんね。
…おや?
あなたいつからそこに…?
…まぁ、良いです?
ここに人くるなんて、滅多にありませんし。
もし、よろしければ…。
あなたの背中、押しましょうか?
部屋の中、金髪の少女は机に向かっていた。
彼女が作業を始めてから、すでに4時間は経過している。
その後ろ姿を、ずっと眺めている人影が一つ。
おや…。こんにちは。
いや…。この方は集中力がありますね…。私、ずっと待っているのに、まったく気付いてくれないんですよ。
ストーカー?
人聞きの悪いことを言わんでください。
断じてそんなものではありません。
え…?ふむ…。
私の正体ですか……。
まぁ、人間ではないですね。えぇ。
私は少なくとも、1000年はこの世界にいますから。
っと……私の正体などどうでもいいのです。
今優先すべきは、彼女のことなんですから。
…あ、どうでも良いですけど、自分男です。ハイ。
「ふぅ…」
と、彼女が息をはいたような音が聞こえた。
丁度良いところのようですね。
それでは、行きましょうかね……。
「お嬢さん」
「!!」
ビクッ。と、少女…アリスの肩が震えた。
それと同時。周りに鎮座していた人形の1つ1つが、意思を持ったように男に襲い掛かる。
「え?ちょっ!うわぁ!?」
それは情けない声を上げながらも、人形からの攻撃をヒラヒラと避けた。
「危ないですねー。何するんですか!いきなり!」
「何って…!いきなり人の家に上がりこんで、何でそんな常識的なこと言ってるのよ!」
アリスの声が終わると同時に、人形からの攻撃が再開された。
「いやっ!だから…!ちょっと…!話を…!あーもう!」
男は攻撃を避けながら、アリスに近寄った。
「いやっ!」
驚いたアリスが男を突き飛ばそうとする。
「話を聞いてくださいってば!」
その手を掴み、男はずい、とアリスに詰め寄った。
「な…何よ!」
手を掴まれてる以上、さすがに攻撃するのはマズいと考えたのだろう。
アリスは人形を動きを止め、一応話を聞く姿勢を見せた。
まぁ、武器を持った人形が男の頭上をクルクルと回っているとこを見ると、敵意は消えていないようだが。
「あなたの背中、押しましょう」
「………へ?」
【背中を押されて】
「で、結局何?」
「いやだから、あなたの背中を押しますと…」
あれから30分程経過しただろうか。
今。アリスと男は、向かいあって、アリスが淹れた紅茶を啜っている。
とりあえず、敵意はないと言う事で、客人として男を持て成すことにしたらしい。
もちろん。不法侵入には変わりないので、罰として人形からの攻撃を後頭部に一発ヒットさせたようだが…。
「マッサージなら、間に合っているわ」
「いえそうではなく…」
男はしばらくウンウン唸り…。
「魔理沙さんとの仲を応援しますよ、と」
「――ゲホゲホッッ!!」
思わぬ言葉に、アリスは咳き込んだ。
「い、いきなり何を言うのよ!!」
「はぁ…まぁ、話せば長くなるのですが…」
~男説明中~
「つまり…あなたはどこかの紅い屋敷に住んでる吸血鬼みたいに運命を操れる。それを使って私と魔理沙をくっつけようって事?」
「あぁ、いえ。私は運命を操れる訳じゃなくてですね…」
男は紅茶を1口飲み、続ける。
「私は『運命が見える程度の能力』を持ってるんですよ。運命そのものを作り出せるわけじゃありません。ただ、運命と、それに至る過程が見れるだけです」
「…で。私と魔理沙をくっつけるって所は否定しないのね?」
「あなたが望むのなら」
「望むのならって…。確かに魔理沙とは結ばれたいけど…。でもそういうのって、人に頼ったりするものじゃなというか…。でも、私1人じゃ…」
(最後の方は良く聞き取れませんでしたが…。やっぱり、アリスさんは魔理沙さんとくっつきたいみたいですね…)
「さて…どうしますか?」
男がそう問うと、アリスは顔を朱で染めながら…。
「その…お願いします…」
と、ギリギリ聞こえる声で呟いた。
その姿は、3第欲求を全く持っていない私でも、胸を高鳴らせるほどだった。
~翌日~
Alice side
今、私は魔理沙の家の前にいる。
そして、私の手には昨日の男からもらった2枚の紙が握られていた。
その…一般的に遊園地と呼ばれてる娯楽施設の入場チケットだ。
…って。…なんで説明するだけで照れてるのかしら…私。
「というか…誰に説明してるのよ…」
そう独りごちて、深呼吸。
「……よし!」
意味もなく気合を入れて、魔理沙の家のドアのノックする。
『いまいくぜー』
と、聞きなれた声が耳に届いた。
それだけで、心臓が口から飛び出しそうなくらいドキドキする。
「どちらさま~って、アリスじゃん。どうした?」
「え、えっと…」
「?」
言わなくちゃ。
そう思っても、口がうまく動いてくれない。
「おい、大丈夫か?顔真っ赤だぞ?」
その原因の張本人が何言ってるのよ~!
「すぅ…はぁ…。魔理沙!」
「お、おう!?」
「これ!行ってみない!!?」
そう言って、私はチケットを魔理沙に渡した(押し付けたともいう)。
「何だこれ……。おお!面白そうじゃん!」
チケットを見た魔理沙の目が輝きを見せる。
「いいじゃん!行こうぜ!よし!準備してくる!」
そう言って、魔理沙は家の中に戻っていった。
取り残された私は、しばらく呆然としていたが…。
「や…やった…!」
と、小さくガッツポーズをとった。
~少女移動中~
「うわー!ひっれーーー!」
「本当…広いわね…」
「よし!行こうぜ!」
「!!??!?」
突然、左手を柔らかな感触が包み込んだ。
それと同時に、顔が急激に熱くなる。
「って、どうした?」
「な、何でもないわ!」
「そうか」
と、狙ったのか素なのか分からない眩しい笑顔で、魔理沙は私を引っ張って走り出した。
転ばないように必死で足を動かす。
魔理沙の暖かさをその手に感じて…。
とりあえず、結果から言うと…。
「つ、疲れた…」
まさか、ほぼ全部のアトラクションを制覇するなんて思わなかった。
ちゅー、と先程購入した飲み物を吸う。
妙に値段が高かったが、気にしない。
「いや~楽しかったな~」
私よりはしゃいでいた筈なのに、魔理沙は隣でピンピンしている。
無邪気に笑うその笑顔を見ただけで、なんだか疲れが飛んで行った気がした。
「さて…。時間的にも、後1つ位は乗れるけど、何か乗りたいものとかある?」
「ん~…。いや、最後くらいはアリスに任せることにするぜ」
「そう。それじゃ、あれに乗りましょうか」
そう言って私が指差したのは…。
「かん……らんしゃ?」
「まぁ。最後はのんびりと行きましょ」
それに…大切な話もあるし…ね?
最初は微妙な顔をしていた魔理沙だったが、しばらく考えた後。
「まぁ、それもいいか!」
と、いつもの笑顔で笑ってくれた。
「うおー!人がゴミのようだぜ!」
「なんて事を言うのよ…」
「いや…分からないならいいぜ」
「?」
「……」
「……」
沈黙がこの空間を支配する。
心臓がどんどん高鳴ってくる。
言わないと…。
そう思っても、中々言葉が出てこない。
「……なぁ、アリス」
「な、何?」
「今日…楽しくなかったか?」
「…え?」
予想外の言葉。
それを理解するのに、少しの時間が必要だった。
「そんなことないわよ?」
「じゃあ、何でそんな辛そうな顔してるんだよ…」
「私、辛そうな顔なんて…」
「してるよ!」
魔理沙が叫んだ。
そして、そこで初めて気付いた。
魔理沙が……泣いている。
「私……アリスに遊園地に誘われて……うれしくて…舞い上がって…。でも、テンションあげすぎて…。アリスに嫌われたくなくて…」
魔理沙はメチャクチャな言葉を紡いだ。
「ゴメン…アリス…」
「何で…謝るのよ…」
謝らないといけないのは…私なのに…。
自分で勝手に迷って…。魔理沙を傷つけて…。
「わかんないけど…ゴメン…」
「…魔理沙……!」
私は耐え切れず、魔理沙に抱きついた。
「ゴメン…!ゴメン…、魔理沙ぁ…」
「アリス…?」
「私……私……」
今まで言えなかった言葉…。
それをこんなわけの分からないタイミングで言うのか?
もっと、雰囲気とか、そういうのがあるんじゃないか?
さまざまな葛藤が頭の中を駆け巡る。
それでも…。
「私…!あなたが好き…!」
言う。
「ずっと、ずっと好きだった!でも、言えなくて…。だから、今日、絶対に言おうと思ってて…」
「アリス…」
「魔理沙…」
お互い、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら…。
その涙で濡れた唇に、己のそれを重ねた…。
?? side
成功…したようですね…。
元々相性も良かったようですし、今回の結果は必然なのかもしれませんね。
…おや?
あなたいつからそこに…?
…まぁ、良いです?
ここに人くるなんて、滅多にありませんし。
もし、よろしければ…。
あなたの背中、押しましょうか?
もっと自然な流れになるよう心掛けながらボリュームを増やしていけばもっと良いものが書けると思います、これから期待させて頂きます。
将来結ばれる運命だったなら手を出す必要ないし、結ばれない運命だったなら「見える」程度で変えられるのかな、と思いました。
レミリアの能力との違いが良く分からなかった
設定をちゃんと飲み込めていないので評価はフリーレスで。
……すんません調子乗りました。