※注意!
この作品はカオスというよりはクズです。
そんなもん見たくねーわ!というお方は今すぐ戻るをクリック、自分のお気に入り作家さんの作品で気を紛らわしてください。
それでも見るというお方は早苗さんの様に常識に囚われない大らかな心を持って何もかも許すという姿勢でお読みになってください。
……警告はしましたからね?
夏の暑さがまだ少し残る九月の始め。
私、霧雨魔理沙は白玉楼に泊まりに来ていた。
理由は二つ。一つは暑くて寝苦しいから涼しい此処に来た。
もう一つは物の借り過ぎで家の床が抜けたからだ。
そして今、私は部屋が並ぶ長い廊下を妖夢と一緒に歩いていた。
「何でこんなに部屋が多いんだ?」
「私も詳しくは知らないです」
「ふーん……お?」
「どうかしましたか?」
私は一つの部屋の前で止まった。部屋の名前は「枝垂れの間」。
その部屋は、何となく他の部屋とは違う『何か』を感じた。
「よーし、此処で寝るぜ!」
扉を指しながら言う。
つられて部屋の名前を見た妖夢は、血相を変えて突っかかってきた。
「だ、駄目です駄目です!この部屋は絶対に駄目!」
「何でだ?掃除してないのか?」
「掃除はしてますけど……とにかく駄目なんです!」
「理由も無いのに止められるのは好きじゃないぜ。私は止まらないぜ!」
言って、扉に手を掛ける。
「駄目です!その部屋は絶対に駄目なんです!」
「そんな事は知らん!」
「らめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!!!」
妖夢の叫び声も虚しく、扉は私の手によって開け放たれた。
「おー結構綺麗な所なんだな」
今言った通り、部屋は綺麗で普通の部屋と大差無い。
「……当たり前です。掃除は毎日してますから」
「ほーそうなのか」
「あのー……魔理沙さん?」
「ん、何だ?」
振り返ると、妖夢が何か言いたそうな顔をしていた。
少しの間そんな顔でもごもごしてたが、やがて口を開いた。
「本当にこの部屋でいいんですか?」
「おう」
「他の部屋もありますよ?」
「今更移動するのも面倒だぜ」
「本当にこの部屋でいいんですね?」
「何だその反応?何かあるのか?」
「えーっとその……言いにくいんですけど」
「何だ何だ?早く言えよー」
「こ、この部屋は、お化けが出るんですよ!!!」
「……ハァ?」
素っ頓狂な声が出た。そりゃあそうだろう。半分お化けの奴がお化けが出るからこの部屋はやめろと言ってるんだ。
「だ、だから早く行きましょう!」
「あのなー妖夢。此処は冥界だぜ?お化けの一匹や二匹普通にいるだろ?」
「で、でも此処のお化けは違うんですってぇ!」
「ふん、そんな奴が出てきたらマスパで焼き払うだけだぜ」
「あぅう~……も、もう知りませんっ!」
言って、妖夢は部屋を飛び出した。ご丁寧に扉も閉めて。
「お化け、ねぇ……」
妖夢はお化けが怖いらしい。幽霊や亡霊は大丈夫なのにお化けが怖いって何なんだ?
でも肝試しの時は嫌々ながら参加してたアイツがあそこまで怖がるお化け、か……ふふ。
「どんな怖い奴なんだろうな」
多分香霖の店に置いてあった「りんぐ」とかいう映画に出てくる妖怪ぐらいか、それ以上か。
上等だ。霊夢程じゃあないが、私も妖怪退治で名が知れ渡ってるぐらいには力はある。
お化けなんか滅してやればいい。そうすれば妖夢に恩が売れる。
敵わないぐらいの強い奴だったら逃げればいい。幻想郷で一ば……二番目に早いんだ。瞬間移動でもしてこない限り逃げ切る事ぐらいは出来るだろう。
そんな事を考えていると、『それ』は突然やってきた。
「……ん?」
何かの気配を感じた。
扉の反対側にある障子の向こうに、一つ。
「(幽霊か?)」
いや、私の様子を見に来た妖夢の可能性もある。幽々子もあるか。
下手に動いたら駄目だな。中に入ってくるのを待つか。
そして、『それ』は『大きな音』とともにやって来た。
『ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!(ハァ~~~~~~~~~~~~~~~アアア!!!フンッ!!!!!)』
「!!!???」
耳を劈(つんざ)く様な高い音と、理解しがたい奇声が部屋の中に響いた。
何かが来たのだろう。それと同時に障子の向こうにいる影に動きがあった。
そして、障子の向こうの影が、勢いよく障子を開け放ち部屋へと入ってきた。
「――――――!!!???」
理解が出来なかった。
『そいつ』は全身白の死に装束を着て、頭にはいかにもな幽霊の三角の布。
腕を香霖の店にあった『機関車』の車輪に付いてる板みたいな動かし方をしていて、常に軽快なステップを踏んでいる。そしてやたらとテンションが高い。
――これは、お化けじゃない。
正直な感想がそれだった。
というか、これって……
そんな事を考えていると、目の前のお化けとはとても呼べない霊が、やたらと高いテンションのまま第一声を発した。
「あたしゃここにいるよーーーーッ!!!」
そう、これってお化けと言うよりは……悪霊。
私の魔法の師匠にして初代カリスマ、魅魔様だ。
「ハッハッハァ!!!」
「魅魔……様……?」
軽快な音楽が流れる中、魅魔様はステップを踏み続けながら腕を回して微妙に前に進む。時々後ろに回しては回した数と同じだけ下がり、片方だけ回してはその方向に回っている。
あのカリスマは何処へいったんだぜ魅魔様。フランに精神でもキュッとされたのか?
幻想郷を旅してるって噂で聞いたけどその間に何があったんだぜ?
「ハッハッハァ!」
「魅魔様!私だぜ、魔理沙だぜ!!」
そう言っても、魅魔様はハッハッハァと笑い続けている。
「魅魔様!私です!魔理沙です!!!うふ、うふ、うふふふふふふふ!!!」
思い出すのも嫌な黒歴史を掘り起こしても、魅魔様はハッハッハァと笑うばかり。
「魅魔様……やっと、やっと会えたと思ったら、何でこんな事になんてるんだぜぇ……」
ありえない現実を目の当たりにして力が抜け、立っていられなくなりその場に座り込んだ。
「ハッハッハァ!!!」
「……ん?」
顔を上げると、魅魔様が私の目の前に皿を置いた。
「ハッハッハァ!!!」
「……?」
そして、皿の上に串に刺さった三色団子を置き、懐から何かを取り出した。
「ハッハッハァ!」
「え?」
取り出したのは何の変哲も無いただの白い布。
それを私の目の前に広げる。位置関係は団子の向こう側に布がある構図。
そして魅魔様はその布を少しヒラヒラさせると、一気に取り払った。
「!!!」
「……?」
反対側から見れば、団子が布で隠れてまた布から団子が出てきたみたいな事をする魅魔様。何がしたいのかわからないんだぜ……
「あ……あぁあ……!」
「み、魅魔様?」
見ると、ついさっきまで高らかに笑ってた魅魔様が人が変わったみたいにうろたえていた。
そして、部屋の端まで全速力で走っていった。
『ZU――――――――――N』
魅魔様が部屋の橋にスライディング正座を決めたと同時に、そんな効果音と共に部屋の光が全部消えた。
いや、一つだけ灯りはあった。魅魔様のいる端の方だけ不気味に明るい。
そして部屋にヴァイオリンの音が響く。音をたどると魅魔様のいる端の対角の端にルナサが居た。
「おい!何やってるんだぜ!」
「………………」
ルナサは答えない。ムカツク。殴っていいか?
「ァァァァァァァァァァァ……」
「み、魅魔様……?」
魅魔様がこっちを向く。
怖い。
さっきの陽気さは何処にいったんだと思うぐらい怖い。
不気味な明るさも手伝って二割増で怖い。
「ァァァァァァァァァァァ……!」
凄い形相だ。……謝った方がいいのか?
「ご、ごめんなさい……!」
私が謝ると、魅魔様は「ァ……」と一言呟くと、勢いよく立ち上がった。
「うん!!!!!」
立ち上がって放った第一声がそれだった。
その瞬間、ヴァイオリンの音は消え、最初に鳴った耳を劈く高音と理解できない奇声が響く。
そしてその後に軽快な音楽が続き、魅魔様はまた踊りだす。ルナサは何時の間にか消えていた。
「ハッハッハァ!!!」
「魅魔様ぁ~……何があったのぜ……」
私の呟きは無視して魅魔様はまた布を取り出す。
そして団子の向こう側に広げてひらひらさせ、取り払う。何がしたいんだぜ……
「あ……あぁあ……!」
「魅魔様……?」
また部屋の端に全力ダッシュ。そしてスライディング正座。
『ZU―――――――――――――N』
またそんな音が響き、何処からとも無く現れたルナサが再びヴァイオリンを弾き鳴らす。
「ァァァァァァァァァァァ……!」
「ご、ごめんなのぜ魅魔様……」
「ァ……」
飛び起きる魅魔様。消えるヴァイオリンの音。
「うん!!!!!」
そして再三響き渡る高音と奇声。
「ハッハッハァ!!!」
「何がしたいんだぜ魅魔様ぁ~!」
また団子の向こう側で布をひらひらさせる魅魔様。
……もしかして。
「食べればいいのか……?」
「ハッハッハァ!!!」
魅魔様を見ると、笑いながらも頷いている。正解らしい。
団子を手に取り、頬張る。
表面に若干の乾きがあるけど、普通に美味しい。何処にでも売ってるような普通の団子。
「ぁむ……んむ……」
一串だからそれ程時間は掛からない。あっと言う間になくなってしまった。
串を皿の上に置くと、魅魔様は勢いよく布を除けた。
向こうから見ていれば団子は布で隠れて見えず、布がなくなると団子はなくなっている様に見えるのだろう。
「ふぉほほぉーーーーー!!!」
魅魔様は何が楽しいのか、手を叩いて大喜び。何で私この悪霊に弟子入りしたんだ?
「ハッハッハァ!!!」
「どうしたらいいんだぜ……」
笑う魅魔様。もうこの笑い声絶対夢に出てくるぜ……
「ハッハッハァ!!!」
「……!?」
笑いながら魅魔様が持ってきたのは、団子。
皿の上に乗せ、何処かに行く。
「ハッハッハァ!!!」
「!?」
魅魔様が持ってきたのは、団子。
それもかなりの量。幽々子なら一瞬で平らげそうな量だが、私からすればかなりの量だ。
それを十本単位で皿の上に乗せていく魅魔様。
目の前が団子で一杯になっていく。
そして魅魔様が取り出したのは、さっきの物よりはるかに大きい布。
「ま、まさか……?」
魅魔様を見る。
「ハッハッハァ!!!」
笑いながら頷く魅魔様。
「無理だぜ!こんな量、幽々子でもない限り無理だぜ!!!」
「ハッハッハァ!!!」
私の言葉は無視して魅魔様は布を広げる。本当に、食べなきゃならんのか……
「えーい!やってやるぜ!」
夜も遅いからだ、まともに考えちゃ駄目だ!
魅魔様が居る、団子を食らう!この二つだ!!!
「んっ!むぐっ!はぐっ!」
可能な限りの速度で団子を胃袋に送り込んでいく。
一串ずつじゃ間に合わないぜ。二つ、いや、四つだ!!!
「むぐぅっ!!!」
口一杯に団子を頬張る。息苦しいがそんなの関係ねぇ!
「ハッハッハァ!!!」
魅魔様は笑う。何で此処に居るとか今まで何処にいたんだとか何がしたいんだとか他にも一杯聞きたい事はあるが、今はそれどころじゃない。
今はただ団子を食らう。これを食べれば魅魔様がまともに戻ってくれると信じて!
「ハッハッハァ!!!」
「むぐぅっ!??」
私が団子を胃袋へ強制送還してる途中だというのに、魅魔様は布を取った。
向こうから見てると、団子を口に詰め込んだ私がいるんだろうなぁ……
「ハッハッハァ!!!」
私が失敗?したのに魅魔様は走っていかない。ルナサも現れない。
魅魔様はずっとステップを踏んでいる。だがての動きは違った。
私に「立て」と指図している。それに従って団子を皿に戻して立ち上がる。
「ハッハッハァ!!!」
「……?」
魅魔様は私を見つめてずっとステップを踏んでいる。私もやれという事か?
「ハッハッハァ!!!」
「はっ……はっはっはぁ……?」
「ハッハッハァ!!!」
魅魔様は私のステップを見て満足したように頷くと、回れ右をし、腕を回して歩き出す。着いていった方がいいのか?
「ハッハッハァ!!!」
「はっはっはぁ!」
「ハッハッハァ!!!」
「ハッハッハァ!!」
魅魔様の笑い声を真似し、ぎこちないステップで魅魔様の後を追う。
入ってきた障子から出て行く魅魔様、私も着いて行く。
「ハッハッハァ!!!」
「ハッハッ……ハァ……あ」
その先に広がっていた光景、それは。
「オマエノシワザダタノカ!!!」
狂ったようにトランペットを吹き鳴らすメルランに、そんな叫び声と共に思わずとび蹴りを決めていた。
この作品はカオスというよりはクズです。
そんなもん見たくねーわ!というお方は今すぐ戻るをクリック、自分のお気に入り作家さんの作品で気を紛らわしてください。
それでも見るというお方は早苗さんの様に常識に囚われない大らかな心を持って何もかも許すという姿勢でお読みになってください。
……警告はしましたからね?
夏の暑さがまだ少し残る九月の始め。
私、霧雨魔理沙は白玉楼に泊まりに来ていた。
理由は二つ。一つは暑くて寝苦しいから涼しい此処に来た。
もう一つは物の借り過ぎで家の床が抜けたからだ。
そして今、私は部屋が並ぶ長い廊下を妖夢と一緒に歩いていた。
「何でこんなに部屋が多いんだ?」
「私も詳しくは知らないです」
「ふーん……お?」
「どうかしましたか?」
私は一つの部屋の前で止まった。部屋の名前は「枝垂れの間」。
その部屋は、何となく他の部屋とは違う『何か』を感じた。
「よーし、此処で寝るぜ!」
扉を指しながら言う。
つられて部屋の名前を見た妖夢は、血相を変えて突っかかってきた。
「だ、駄目です駄目です!この部屋は絶対に駄目!」
「何でだ?掃除してないのか?」
「掃除はしてますけど……とにかく駄目なんです!」
「理由も無いのに止められるのは好きじゃないぜ。私は止まらないぜ!」
言って、扉に手を掛ける。
「駄目です!その部屋は絶対に駄目なんです!」
「そんな事は知らん!」
「らめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!!!」
妖夢の叫び声も虚しく、扉は私の手によって開け放たれた。
「おー結構綺麗な所なんだな」
今言った通り、部屋は綺麗で普通の部屋と大差無い。
「……当たり前です。掃除は毎日してますから」
「ほーそうなのか」
「あのー……魔理沙さん?」
「ん、何だ?」
振り返ると、妖夢が何か言いたそうな顔をしていた。
少しの間そんな顔でもごもごしてたが、やがて口を開いた。
「本当にこの部屋でいいんですか?」
「おう」
「他の部屋もありますよ?」
「今更移動するのも面倒だぜ」
「本当にこの部屋でいいんですね?」
「何だその反応?何かあるのか?」
「えーっとその……言いにくいんですけど」
「何だ何だ?早く言えよー」
「こ、この部屋は、お化けが出るんですよ!!!」
「……ハァ?」
素っ頓狂な声が出た。そりゃあそうだろう。半分お化けの奴がお化けが出るからこの部屋はやめろと言ってるんだ。
「だ、だから早く行きましょう!」
「あのなー妖夢。此処は冥界だぜ?お化けの一匹や二匹普通にいるだろ?」
「で、でも此処のお化けは違うんですってぇ!」
「ふん、そんな奴が出てきたらマスパで焼き払うだけだぜ」
「あぅう~……も、もう知りませんっ!」
言って、妖夢は部屋を飛び出した。ご丁寧に扉も閉めて。
「お化け、ねぇ……」
妖夢はお化けが怖いらしい。幽霊や亡霊は大丈夫なのにお化けが怖いって何なんだ?
でも肝試しの時は嫌々ながら参加してたアイツがあそこまで怖がるお化け、か……ふふ。
「どんな怖い奴なんだろうな」
多分香霖の店に置いてあった「りんぐ」とかいう映画に出てくる妖怪ぐらいか、それ以上か。
上等だ。霊夢程じゃあないが、私も妖怪退治で名が知れ渡ってるぐらいには力はある。
お化けなんか滅してやればいい。そうすれば妖夢に恩が売れる。
敵わないぐらいの強い奴だったら逃げればいい。幻想郷で一ば……二番目に早いんだ。瞬間移動でもしてこない限り逃げ切る事ぐらいは出来るだろう。
そんな事を考えていると、『それ』は突然やってきた。
「……ん?」
何かの気配を感じた。
扉の反対側にある障子の向こうに、一つ。
「(幽霊か?)」
いや、私の様子を見に来た妖夢の可能性もある。幽々子もあるか。
下手に動いたら駄目だな。中に入ってくるのを待つか。
そして、『それ』は『大きな音』とともにやって来た。
『ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!(ハァ~~~~~~~~~~~~~~~アアア!!!フンッ!!!!!)』
「!!!???」
耳を劈(つんざ)く様な高い音と、理解しがたい奇声が部屋の中に響いた。
何かが来たのだろう。それと同時に障子の向こうにいる影に動きがあった。
そして、障子の向こうの影が、勢いよく障子を開け放ち部屋へと入ってきた。
「――――――!!!???」
理解が出来なかった。
『そいつ』は全身白の死に装束を着て、頭にはいかにもな幽霊の三角の布。
腕を香霖の店にあった『機関車』の車輪に付いてる板みたいな動かし方をしていて、常に軽快なステップを踏んでいる。そしてやたらとテンションが高い。
――これは、お化けじゃない。
正直な感想がそれだった。
というか、これって……
そんな事を考えていると、目の前のお化けとはとても呼べない霊が、やたらと高いテンションのまま第一声を発した。
「あたしゃここにいるよーーーーッ!!!」
そう、これってお化けと言うよりは……悪霊。
私の魔法の師匠にして初代カリスマ、魅魔様だ。
「ハッハッハァ!!!」
「魅魔……様……?」
軽快な音楽が流れる中、魅魔様はステップを踏み続けながら腕を回して微妙に前に進む。時々後ろに回しては回した数と同じだけ下がり、片方だけ回してはその方向に回っている。
あのカリスマは何処へいったんだぜ魅魔様。フランに精神でもキュッとされたのか?
幻想郷を旅してるって噂で聞いたけどその間に何があったんだぜ?
「ハッハッハァ!」
「魅魔様!私だぜ、魔理沙だぜ!!」
そう言っても、魅魔様はハッハッハァと笑い続けている。
「魅魔様!私です!魔理沙です!!!うふ、うふ、うふふふふふふふ!!!」
思い出すのも嫌な黒歴史を掘り起こしても、魅魔様はハッハッハァと笑うばかり。
「魅魔様……やっと、やっと会えたと思ったら、何でこんな事になんてるんだぜぇ……」
ありえない現実を目の当たりにして力が抜け、立っていられなくなりその場に座り込んだ。
「ハッハッハァ!!!」
「……ん?」
顔を上げると、魅魔様が私の目の前に皿を置いた。
「ハッハッハァ!!!」
「……?」
そして、皿の上に串に刺さった三色団子を置き、懐から何かを取り出した。
「ハッハッハァ!」
「え?」
取り出したのは何の変哲も無いただの白い布。
それを私の目の前に広げる。位置関係は団子の向こう側に布がある構図。
そして魅魔様はその布を少しヒラヒラさせると、一気に取り払った。
「!!!」
「……?」
反対側から見れば、団子が布で隠れてまた布から団子が出てきたみたいな事をする魅魔様。何がしたいのかわからないんだぜ……
「あ……あぁあ……!」
「み、魅魔様?」
見ると、ついさっきまで高らかに笑ってた魅魔様が人が変わったみたいにうろたえていた。
そして、部屋の端まで全速力で走っていった。
『ZU――――――――――N』
魅魔様が部屋の橋にスライディング正座を決めたと同時に、そんな効果音と共に部屋の光が全部消えた。
いや、一つだけ灯りはあった。魅魔様のいる端の方だけ不気味に明るい。
そして部屋にヴァイオリンの音が響く。音をたどると魅魔様のいる端の対角の端にルナサが居た。
「おい!何やってるんだぜ!」
「………………」
ルナサは答えない。ムカツク。殴っていいか?
「ァァァァァァァァァァァ……」
「み、魅魔様……?」
魅魔様がこっちを向く。
怖い。
さっきの陽気さは何処にいったんだと思うぐらい怖い。
不気味な明るさも手伝って二割増で怖い。
「ァァァァァァァァァァァ……!」
凄い形相だ。……謝った方がいいのか?
「ご、ごめんなさい……!」
私が謝ると、魅魔様は「ァ……」と一言呟くと、勢いよく立ち上がった。
「うん!!!!!」
立ち上がって放った第一声がそれだった。
その瞬間、ヴァイオリンの音は消え、最初に鳴った耳を劈く高音と理解できない奇声が響く。
そしてその後に軽快な音楽が続き、魅魔様はまた踊りだす。ルナサは何時の間にか消えていた。
「ハッハッハァ!!!」
「魅魔様ぁ~……何があったのぜ……」
私の呟きは無視して魅魔様はまた布を取り出す。
そして団子の向こう側に広げてひらひらさせ、取り払う。何がしたいんだぜ……
「あ……あぁあ……!」
「魅魔様……?」
また部屋の端に全力ダッシュ。そしてスライディング正座。
『ZU―――――――――――――N』
またそんな音が響き、何処からとも無く現れたルナサが再びヴァイオリンを弾き鳴らす。
「ァァァァァァァァァァァ……!」
「ご、ごめんなのぜ魅魔様……」
「ァ……」
飛び起きる魅魔様。消えるヴァイオリンの音。
「うん!!!!!」
そして再三響き渡る高音と奇声。
「ハッハッハァ!!!」
「何がしたいんだぜ魅魔様ぁ~!」
また団子の向こう側で布をひらひらさせる魅魔様。
……もしかして。
「食べればいいのか……?」
「ハッハッハァ!!!」
魅魔様を見ると、笑いながらも頷いている。正解らしい。
団子を手に取り、頬張る。
表面に若干の乾きがあるけど、普通に美味しい。何処にでも売ってるような普通の団子。
「ぁむ……んむ……」
一串だからそれ程時間は掛からない。あっと言う間になくなってしまった。
串を皿の上に置くと、魅魔様は勢いよく布を除けた。
向こうから見ていれば団子は布で隠れて見えず、布がなくなると団子はなくなっている様に見えるのだろう。
「ふぉほほぉーーーーー!!!」
魅魔様は何が楽しいのか、手を叩いて大喜び。何で私この悪霊に弟子入りしたんだ?
「ハッハッハァ!!!」
「どうしたらいいんだぜ……」
笑う魅魔様。もうこの笑い声絶対夢に出てくるぜ……
「ハッハッハァ!!!」
「……!?」
笑いながら魅魔様が持ってきたのは、団子。
皿の上に乗せ、何処かに行く。
「ハッハッハァ!!!」
「!?」
魅魔様が持ってきたのは、団子。
それもかなりの量。幽々子なら一瞬で平らげそうな量だが、私からすればかなりの量だ。
それを十本単位で皿の上に乗せていく魅魔様。
目の前が団子で一杯になっていく。
そして魅魔様が取り出したのは、さっきの物よりはるかに大きい布。
「ま、まさか……?」
魅魔様を見る。
「ハッハッハァ!!!」
笑いながら頷く魅魔様。
「無理だぜ!こんな量、幽々子でもない限り無理だぜ!!!」
「ハッハッハァ!!!」
私の言葉は無視して魅魔様は布を広げる。本当に、食べなきゃならんのか……
「えーい!やってやるぜ!」
夜も遅いからだ、まともに考えちゃ駄目だ!
魅魔様が居る、団子を食らう!この二つだ!!!
「んっ!むぐっ!はぐっ!」
可能な限りの速度で団子を胃袋に送り込んでいく。
一串ずつじゃ間に合わないぜ。二つ、いや、四つだ!!!
「むぐぅっ!!!」
口一杯に団子を頬張る。息苦しいがそんなの関係ねぇ!
「ハッハッハァ!!!」
魅魔様は笑う。何で此処に居るとか今まで何処にいたんだとか何がしたいんだとか他にも一杯聞きたい事はあるが、今はそれどころじゃない。
今はただ団子を食らう。これを食べれば魅魔様がまともに戻ってくれると信じて!
「ハッハッハァ!!!」
「むぐぅっ!??」
私が団子を胃袋へ強制送還してる途中だというのに、魅魔様は布を取った。
向こうから見てると、団子を口に詰め込んだ私がいるんだろうなぁ……
「ハッハッハァ!!!」
私が失敗?したのに魅魔様は走っていかない。ルナサも現れない。
魅魔様はずっとステップを踏んでいる。だがての動きは違った。
私に「立て」と指図している。それに従って団子を皿に戻して立ち上がる。
「ハッハッハァ!!!」
「……?」
魅魔様は私を見つめてずっとステップを踏んでいる。私もやれという事か?
「ハッハッハァ!!!」
「はっ……はっはっはぁ……?」
「ハッハッハァ!!!」
魅魔様は私のステップを見て満足したように頷くと、回れ右をし、腕を回して歩き出す。着いていった方がいいのか?
「ハッハッハァ!!!」
「はっはっはぁ!」
「ハッハッハァ!!!」
「ハッハッハァ!!」
魅魔様の笑い声を真似し、ぎこちないステップで魅魔様の後を追う。
入ってきた障子から出て行く魅魔様、私も着いて行く。
「ハッハッハァ!!!」
「ハッハッ……ハァ……あ」
その先に広がっていた光景、それは。
「オマエノシワザダタノカ!!!」
狂ったようにトランペットを吹き鳴らすメルランに、そんな叫び声と共に思わずとび蹴りを決めていた。
このまま幻想郷中を徘徊する二人組を幻視してしまった…
メルラン、この妄想を現実に!
ハッハッハァ!!
どんなカオスな光景ですかwww
メルランはボコボコにされましたから暫くは無理ですねw
>>エクシア 様
乾杯されちゃった。うふ、うふ、うふh(ry
>>奇声を発する程度の能力 様
ですよねー
呼んでくれた全ての方に感謝!
すごい力オスだww
…ようこそ?
ハッハッハァ!!
ですよねーww
>>華彩神護.K 様
良かったですか。
……来ましたよ?
読んでくれた全ての方に感謝!
それだけが気になりました。
その場のテンションと、そのテンションに乗せられた自身への戒めです……
えぇ、静岡です。
読んでくれた全ての方に感謝!