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第15回稗田文芸賞(終)

2018/02/13 21:21:03
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第7回パチュリー・ノーレッジ賞にドレミー・スイートさん

 スカーレット・パブリッシングは25日、第7回パチュリー・ノーレッジ賞受賞作が、ドレミー・スイートさんの『夢のような生活』(甘夢社出版)に決定したと発表した。
 選考委員のパチュリー・ノーレッジさんは、「筋立てそのものは夢の中で理想の人生を生き直すというストレートすぎるほどの願望充足小説で、文学的に評価するような類いのものではないわ。しかし本そのものにかけられたある種の魔法で登場人物の名前を自由に変更できるというアイデアと、さらに付属の安眠枕で作中の生活と同じ夢が見られるという商法の斬新さには感服したわ。幻想郷の文芸の未来を考えるとこういうのが増えるのは困るけれど、小説という媒体で何ができるかという可能性を思わぬ方向から追及した点は評価するに吝かではないわね。でもこの枕で寝ると毎回同じ人物が夢に出てくるんだけど……」とコメントした。
 パチュリー・ノーレッジ賞は第126季に設立。作家のパチュリー・ノーレッジさんが一年間に刊行された小説の中から既存の価値観では計り得ぬ作品をひとりで選定する。受賞作は「スイート安眠枕」という枕とセットで販売された小説。当該の枕は使うと夢の中に何度も同じ人物が登場するという都市伝説が囁かれている。

(文々。新聞 睦月26日号一面より)



鈴奈庵が営業再開

 店主の本居小鈴さんの失踪事件の影響で休業していた人間の里の貸本屋・鈴奈庵が、1日から通常通りの営業を再開した。営業再開は一ヶ月ぶりで、店内は営業再開を待ちわびた客で賑わいを見せた。
 先月1日から行方がわからなくなり、8日に博麗神社で保護された本居小鈴さんは、失踪事件に関しては現在も沈黙を保っており、詳細は不明である。昨日の営業再開の際には、店内で元気に客への応対をしており、健康面に問題はない模様。
 本紙の取材に対し小鈴さんは「この度は各方面にご迷惑をお掛けいたしました。こちらの都合で刊行の遅れていた『全て妖怪の仕業なのか』第六話もまもなく刊行できる見込みですので、今後ともよろしくお願いいたします」とコメントした。

(文々。新聞 卯月2日号一面より)



第7回八坂神奈子賞に霧雨魔理沙氏、アリス・マーガトロイド氏

 第7回八坂神奈子賞(鴉天狗出版部主催)は20日、守矢神社にて小説部門・ノンフィクション部門の選考が行われ、小説部門は霧雨魔理沙氏の『ファントム・ブック・コレクター』(博麗神社)、ノンフィクション部門はアリス・マーガトロイド氏の『曰く付きの人形物語』シリーズ(博麗神社)がそれぞれ受賞作に決定した。授賞式は来月4日、守矢神社にて行われる。
 霧雨魔理沙氏は、魔法の森に暮らす人間の魔法使い。寡作ながら『星屑ミルキーウェイ』『フェアリーウォーズ』など爽やかな青春エンターテインメントで幅広い人気を誇り、『いじわる巫女と三匹の妖精』で第10回稗田文芸賞を受賞している。受賞作は、危険な怪異が封じられたファントム・ブックを蒐集する少女の冒険を描いたホラー・アドベンチャー。選考委員の古明地さとり氏は、「本に封じられた怪異にまつわるひとつひとつのエピソードが面白く、それを蒐集する謎めいた主人公の造形も魅力的で、『幻よ、文字に還れ!』という決め台詞とともに繰り広げられる封印の儀の映像的な描写は卓越していました。主人公の意外な目的が明かされるラストも鮮烈で、傑作の名に恥じません。『星屑ミルキーウェイ』と並ぶ彼女の代表作でしょう」とコメントした。
 アリス・マーガトロイド氏は、魔法の森に暮らす人形遣い。マーガレット・アイリスのペンネームで小説も数多く発表しており、『ドールハウスにただいま』で第1回幻想郷恋愛文学賞を受賞している。『曰く付きの人形物語』シリーズは、タイトル通り様々な曰く付きの人形にまつわる伝承を蒐集・整理して紹介するノンフィクションシリーズで、現在までに五冊が刊行されている。選考委員の八坂神奈子氏は「このシリーズには完結はないだろうから、どのタイミングで賞をあげるかずっと悩んでたんだが、去年の第五巻がこれまでで最も充実した内容だったから、このタイミングがベストだと判断した次第だよ。これからもどんどん書き継いでいって欲しいね」と評した。
 小説部門受賞者には賞金六十貫文、ノンフィクション部門受賞者には賞金二十貫文がそれぞれ贈られる。

霧雨魔理沙氏の受賞の言葉
 はっはっは、当然だぜ!(記者註…と言いながら氏はほっとした顔をしていた) ……え、ノンフィクション部門の受賞者アリスなのかよ?

アリス・マーガトロイド氏の受賞の言葉
 あのシリーズはまだ書いてない話がいろいろあるから、ここで賞を貰うというのはなんだか変な感じだけれど、まあ、評価してもらえたことは感謝するわ。……え、小説部門の受賞者って魔理沙なの?

(花果子念報 卯月21日号より)



聖白蓮氏が稗田文芸賞と稗田児童文芸賞の選考委員を退任

 幻想郷文芸振興会は7日、聖白蓮氏が稗田文芸賞および稗田児童文芸賞の選考委員を退任し、稗田文芸賞には作家の黒谷ヤマメ氏が、稗田児童文芸賞には作家の蘇我屠自古氏がそれぞれ後任の選考委員に就任すると発表した。
 聖白蓮氏は命蓮寺の住職。稗田文芸賞選考委員を第11回より、稗田児童文芸賞選考委員を第1回より務めていたが、今回の退任については「寺の運営に集中したいというのもありますが、何より弟子の作品が候補になることが多く、私が選考委員に居続けては審査に公平性を欠くという判断からです。南無三」と語った。
 稗田文芸賞の後任となる黒谷ヤマメ氏は、地底に暮らす土蜘蛛。『土の家』で第8回稗田文芸賞を、『井戸の底にて空を見る』で第2回八坂神奈子賞を受賞している。選考委員就任については「いやあ、どうも最初はさとりに話が来たらしいんだけど、神奈子賞やってるからって私に話が回ってきてさあ。そりゃ貰った賞だから、今度は選ぶ方に回れって言われればやるけどねえ、選考委員って地上の大物ばっかりじゃん。私なんかが入っていいのかね?」と戸惑い気味に語った。
 稗田児童文芸賞の後任となる蘇我屠自古氏は、神霊廟の行者の亡霊。『かみなり母さん、化けて出る』で第3回稗田児童文芸賞を受賞している。選考委員就任については「太子様からお話が来たので……やってやんよ!」と語った。
 稗田児童文芸賞は葉月15日に、稗田文芸賞は師走24日にそれぞれ選考会が行われる。

(文々。新聞 水無月8日号三面文化欄より)



『全て妖怪の仕業なのか』最終巻の発売に長蛇の列

 アガサクリスQの人気ミステリー小説『全て妖怪の仕業なのか』の最終巻となる「第七話 消えた死体の秘密・解決編」が10日、鈴奈庵と霧雨書店にて同時発売され、両店の店先には買い求める読者が長蛇の列を作った。
 『全て妖怪の仕業なのか』は、正体不明の覆面作家・アガサクリスQによる連作本格ミステリー小説。名探偵Qが幻想郷の各地で起こる不可解な事件を解決する物語で、最終巻となる第七話は、第一話で解決されないままとなっていた死体消失事件の解決編となる。
 鈴奈庵店主・本居小鈴さんは「長らくお待たせしました。最終話では第一話の事件の解決のみならず、これまでの全ての事件がひとつに繋がり、驚くべき真相が立ち現れます。名探偵Qが解き明かす驚愕の真実は是非その目でお確かめください。あ、ネタバレはくれぐれも厳禁でよろしくお願いいたします」と語った。
 来月10日には第一話から最終話までを一冊にまとめた『[完本]全て妖怪の仕業なのか』が刊行される。また同時に著者が創作過程や本格ミステリーへの思いを語るエッセイ集『「Q」の哲学』も刊行予定で、覆面作家である著者の正体が明かされるのか否かにも注目が集まる。

(文々。新聞 文月11日号一面より)



第7回稗田児童文芸賞に永江衣玖さん

 15日、第7回稗田児童文芸賞(幻想郷文芸振興会主催)選考会が人里の寺子屋にて行われ、永江衣玖さんの『ダンス・ナイト・フィーバー』(天界舎)が受賞作に決定した。
 稗田児童文芸賞は、少年少女を対象とした児童文学作品の優秀作を表象する賞。選考委員は作家・歴史家の上白沢慧音、作家・数学者の八雲藍、作家の蘇我屠自古の三氏。受賞者には賞金二十貫文が贈られ、寺子屋にて推薦図書として生徒に配布される。
 受賞作の『ダンス・ナイト・フィーバー』は、ダンスに魅せられた少女が、幻想郷のトップダンサーを目指す青春小説。
 今回から新選考委員となった蘇我屠自古さんは、「夢を追いかけることの苦しさと厳しさ、夢の舞台に立つために必要な覚悟をしっかりと描きながら、躍動感のあるダンス描写で爽やかな読後感を与える。自分も踊ってやんよ! という気持ちになれる作品」と語った。
 受賞した永江衣玖さんは天界で龍神に仕える竜宮の使いで、児童文学作家。八坂神奈子賞の選考委員も務める。受賞については、「まさか他の賞の選考委員をしている私がいただけるとは……。空気を読んで辞退すべきかとも考えましたが、子供たちに夢を与える賞でそういうのもよろしくないかと思い、空気を読んで頂戴することにします」と語った。

(文々。新聞 葉月16日号一面より)



第7回幻想郷恋愛文学賞受賞作決定

 去る霜月12日、博麗神社にて第7回幻想郷恋愛文学賞の選考会が行われました。白岩怜(作家)、風見幽香(作家)、本居小鈴(鈴奈庵店主)の三氏による選考の結果、候補四作の中から、純狐さんの『倶に天を戴かずとも』(純化堂書店)が受賞作に決定しました。

◆各選考委員の短評
 白岩氏「う~ん、これを恋愛小説っていうのは個人的にちょっとどうかと思うんだけど~。私は小松町子さんの『風天娘は風まかせ』の方にあげたかったわ~」
 風見氏「極度に純化された憎しみは、その心が相手への思いだけに支配されてしまうから、もはや愛と変わらないという意味で、すさまじい純愛小説だと思うわ。夫を殺したあと、もうひとりの妻を永い永い時間をかけて殺そうとし続ける場面の壮絶な感情の迸りは、もう愛以外の何物でもないと思うの」
 本居氏「いや、まさかこれに受賞させられるとは……。誰かが『殺意の百合』って評してましたけど、元凶の夫そっちのけであんまり関係ないもうひとりの妻へ果てしない憎しみを抱き続ける様は確かに百合ですよね、百合」

◆受賞者プロフィール
 純狐(じゅんこ)…仙界に住む仙霊。受賞作が小説デビュー作となる。受賞作は、夫に息子を殺された女が、夫とその新たな妻を憎しみ抜いて殺害するまでに至るまでを描いた犯罪小説。

◆受賞のことば
 嫦娥よ、見てるか!? おい嫦娥! 見てるか! 見ろ! 嫦娥! 嫦娥!! おい嫦娥!!!!

(博麗神社月報 師走号より)

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