注意:美鈴の正体捏造 つまりいつもの俺設定です。
紅魔館広間
「美鈴さん、ここにいたんですか?」
昼のシフトが終わり館に戻ったところを小悪魔に声を掛けられた。
「あれ、こあちゃん何か用ですか?」
「実はケーキを作ったので味を見てもらおうと思って」
小悪魔が手にした籠にはカップケーキが数個は焼いて間もない良いにおいをさせていた。
「美味しそうに焼けてますね、頂いて良いんですか?」
「はい、その為に持ってきたんですから」
「では頂きます」
カップの紙を取ると、パクリと頬張った。
バターの香りとハーブか何かの香りがして美味しく仕上がっている。
「美味しく出来てますよ…ってこあちゃん?」
それを見ている小悪魔の顔は非常に複雑な、申し訳なさそうな表情だった。
何やら嫌な予感がする…
「えーと…もしかしてこのケーキ…」
「すいません!」
ケーキは特製だったらしい、何がというと『パチュリー様のお薬入り』ということだ。
この特製をもらうのは主にレミリアと美鈴が一番多い、理由はタフだかららしい。
「で、このケーキの効果は?」
「聞いてないんです、取りあえず食べさせたら戻るように言われているので、すいません!」
そう言うとダッシュで居間から立ち去って行った。
「えーどうなるんです~」
そうぼやいているとだんだん頭がぼんやりしてくる、急に眠気が襲ってきたのだ。
「あれ…凄くねむ…」
その眠気に抗えず倒れ込んでしまった。
○
館の主レミリアはフランと咲夜を伴って廊下を歩いていた。
美鈴の仕事もあがるので皆でお茶でもしようとフランに声を掛け居間に向かっている最中だった。
しかし、居間の前に差し掛かると開けた扉の前にパチュリーと使い魔の小悪魔が佇んでいた。
「パチェに小悪魔、何をしているの?」
「あら、レミィ」
「居間に何かあるんですかパチュリー様?」
そんな友人とその従者の質問に
「美鈴が一糸纏わぬ姿で床に転がっているのよ」
爆弾発言で答えた。
「いいいいいいっしまとわぬって!素っ裸!?」
あまりの事に頭がオーバーヒートしたレミリアはとにかく確認しようとダッシュした、ちょっと興奮で鼻息が荒い。
「ちょっと待ってください! お嬢様といえど私の美鈴の裸を見せるわけにはいきません!」
「あっちょっと咲夜邪魔しないで、従者なら控えてなさい!」
「それとこれは別問題です!」
「いや主ならしっかりと確認しないと!」
カリスマと瀟洒が争っているなかフランは気にもせずトコトコと近づくとヒョイと扉を覗いた。
「わードラゴンだー」
「「へ?」」
レミリアと咲夜が続いて覗くと居間には、翠色の竜がスヨスヨと寝息を立てて眠っていた。
「いや、確かに一糸纏わぬだけど…」
「嘘は言ってないわよ」
ちょっと拍子抜けな表情でパチュリーと会話するレミリアの横を通り過ぎ咲夜は眠る竜に近寄っていった。
「ちょっと美鈴、起きなさい」
竜の眉間あたりをペチペチと叩きながら声を掛けた。
すると美鈴と呼ばれた竜は大きな瞼をゆっくり開けて目を覚ました。
「くるぁ? きっるるぁくう?」
「いいから自分の姿見てみなさい」
「くう?…きゃうう!?」
「いいからわかる言葉で喋ってちょだい」
「きゅうー…あーあー本日もお日柄がよろしく」
「はいはい、それで何でこの姿になってたの?」
「…あーそうだ!パチュリー様のお薬だ!」
アレを口にしてから意識が無くなったのだ。
「パチェ何を飲ませたの?」
「本性が現れる薬」
「本性?」
「普段隠しているその人の心の本質をさらけ出す薬なんだけど」
「違うじゃない」
「そうね、本性というより正体を表しているわね」
「ねえお姉さま?」
「何フラン?」
「あれ美鈴なの?」
「そういえばフランは知らなかったわね?そうよ、ずいぶん大きくなったけど美鈴よ」
「近づいても平気?」
「大丈夫よ、大きくても中身はいつもの美鈴だから」
「わあー」
姉のお許しを得てフランは竜美鈴の元へ駆け寄った。
近くに寄ると本当に大きい、此処が居間ではなく個人の部屋だったら大変だったろう。
「大きいね美鈴」
「おや妹様この姿では初めましてですね?」
「声、いつもと違うね?」
「そうですね、ちょっといつもより低いですね」
「美鈴ってドラゴンなの?」
「うーん少し違いますかね? 私の姿ですが西洋のドラゴンとも東洋の龍ともいえない姿ですよね?その中間みたいな」
「うん」
確かに東洋の龍ほど胴は長くなく手足もしっかりしているが西洋のドラゴンほど体は太くない、
角は二本で首筋に鬣が生えている。そして翼はない。
「私は生まれが分からないんです、だから正確な正体が分からないんです。たぶん色々混じっているのかも知れませんが」
「そうなの」
「ええ、ドラゴンのような強力な力やブレスは無いし、龍のような神力があるわけでないですし、
あえて言うなら『竜の姿をした妖怪』ですかね? ちょっと見た目が怖いですけど」
「そんなこと無いよ、可愛いよ!」
「か、可愛いですか?」
「うん、ねえねえその姿で飛べる?」
「はい、普通に飛べますよ」
「じゃあさ、私を乗せて飛んでくれる?」
「妹様を乗せてですか? しかし妹様は飛べんるんじゃ」
「違うの、美鈴に乗るのに意味があるの! 本でね、主人公の少年がドラゴンに乗って冒険するお話があるの、
それみたいに美鈴に乗って空を駆けてみたいの!」
きっぱり言うフランは後には引かない雰囲気だ。
「えーと、お嬢様」
取りあえず主に視線をやる。
「まあ夜中なら少しくらい良いかしらね」
「わーい、お姉さまありがとう」
「美鈴、妹様をお連れするのいいけど人里には行かないようにね」
「分かっていますよ咲夜さん」
そして日がすっかり落ち、食事を済ませたフランと美鈴は夜中を待って空の散歩に出かけた。
「妹様、座り心地は大丈夫ですか?」
「大丈夫ー」
一応背中にはクッションと掴まるためのベルトがレミリアの命で付けられている。
「ねー、もっとスピード出してよー」
「えー危ないですよ」
「これじゃあつまんない」
「うーん、一寸だけですよー」
そういってグンッとスピードを上げた、夜の空気が塊のような感覚で顔を押してくる。
「うわーい、速いー」
「ちゃんと捕まってくださいよ」
捕まったのを確認すると、急上昇してそれから一気に急降下、フランは大喜びだった。
「凄い凄い! 本の中のシーンみたいだー」
「残念ながら本物のドラゴンではありませんけど」
「本物とかは別にいいの、ただお話の中のドラゴンは幸運を運んでくれるの、
美鈴はいつも私と遊んでくれたり楽しませてくれるし、今日はこんな素敵な事が出来たし、
だから美鈴は私にとっての幸運のドラゴンだよ」
「そうですか? なら嬉しいですね」
嬉しそうに喉をくるくる鳴らして答えた。
「それじゃあもう少し散歩を続けますか?」
「うん」
夜空の散歩はもう少し続きそうだ。
フランが可愛くてよかったです!!
いや、やってくださいまし
この二人、本当にお互いの良いところを引き出しあいますね
おもわず口元がほころびました
>お姉さんフランとちっさい美鈴も書いて見たいところです
こ、これは……想像しただけでも凄まじい破壊りょk(ピチューン
出身があの『果てしなき物語』じゃ、そりゃ生まれがわからないはずですね。
しかし美鈴の正体は本当になんなのだろう?
と、考えるのは野暮ってものかねぇw
あああ~~あああ~ああ~♪
いいなぁドラゴンと夜の空中散歩