百合成分有 糖分多め? ちっさいめーさくとは別です 秋だけど春ですよー
「秋ですね~」
「秋ね」
「秋と言えばスポーツの秋」
「あなた門の前で太極拳とか言うのいつもやっているじゃない」
「秋と言えば食欲の秋」
「一年中これでもかってぐらい食べてるじゃない」
「読書の秋?」
「今真っ最中じゃない」
「漫画ですけどね」
「漫画でも本よ」
「ですよねー」
だらだら
館の主であるレミリアの私室、絨毯に上に毛足の長いラグを敷き、主と門番はクッションを抱えて転がっている。
靴と靴下はとっくに脱ぎ捨てて、思い思いの格好で漫画を読みふけっているのだ。
「お嬢様これの続きは?」
「そこに積んである」
「取ってください」
「やだ」
「ケチィー」
「主に向かってケチって言うな」
「そう言いながらも取ってくれるお嬢様が素敵」
「黙っとけ」
だらだら
「美鈴、喉が渇いたからお茶入れてきて」
「咲夜さんじゃなくて私ですか?」
「咲夜に頼んでこの状態を見られたら私も美鈴も小言を貰う事になるけど」
「入れてきます」
「何かお茶菓子もお願い」
「はいはい」
美鈴がお茶を淹れにいき部屋に一人になる、そうなると少しだけ物足りなくなる。
本を読んでいるときはお互い無言でとっくに何も感じていなかったけれど、
一人でいるときと二人でいるときではずいぶん違って感じる。
時計の針の進む音が耳につき、そんなに直ぐに戻ってくる筈無いのについチラチラとドアに目をやってしまう。
「美鈴、早く戻ってこないかな…」
ぼそりと呟き…
「うんがっ!!」
持っていた漫画を放り投げ思わず叫んだ。
「何を言っているんだ私は?!乙女か?ああっ?!」
恥かしさのあまりクッションを抱えてゴロゴロ転げまわった。
「何しているんですかお嬢様?」
「うひゃい!」
変な声が出た
「美鈴?」
「はい」
「は、早かったわね」
「途中で咲夜さんがお茶を持って来てくれる所だったんでそのまま受け取ってきました」
「そうなの」
「部屋の惨状見られなくて良かったですね」
「そうね」
「…で、何してたんですか?」
「何でもないの、ちょっと同じ姿勢でいたから身体が痛くなってね、それで動かしていただけよ」
「はぁ」
「いいからお茶頂戴」
「はいはい」
「はぁ~咲夜さんのお茶は美味しいですね」
「そうね、で、でも美鈴の淹れたお茶も私は好きよ」
「そうですか?ありがとうございます」
「今日は暖かいですね、まさに小春日和です」
「こはるびより?」
「晩秋から冬の間の春のような陽気の日を言うんだそうですよ」
「ふーん」
「ですからお嬢様」
「うん?」
「春ということで読書の秋は中止して寝ましょう」
「はい?」
「『春眠暁を覚えず』です」
「いやいや、こじつけだろうがそれは?」
「お嬢様には抱き枕になって貰います!」
「はぁ!?」
あっという間に美鈴の長い手足にホールドされそのままラグの上に転がった。
顔面に柔らかい物が押し付けられるのがちょっと気持ちいい。
「離せコラ!」
「んーお嬢様抱き心地がいいですねー良い匂いだし」
「嗅ぐな!」
「私はお嬢様とお昼寝したいです、嫌ですか?」
「うっ(そんな捨てられて犬みたいな目で見るな)」
「じー」
「…じ、じゃあちょっとだけよ」
「わーい」
「ちょ、ちょっと苦しい!締めるな!」
そのまま美鈴はクッションを引き寄せて枕にし、レミリアの体を丁度良い位置に抱えなおした。
「抱き枕にはするのね?」
「勿論です、寧ろそれが目て…いえいえ何でもないです~」
「何よ?」
「さあ、寝ましょー」
寝ましょーといって直ぐ寝れるものかと思いもしたが、お腹はお茶で程よく温まり、
毛足の長いラグは素足に気持ちいい、オマケに美鈴の腕の中は暖かくて柔らかくてちょっと幸せになる感覚だ。
自然と瞼が下がってくる、頭の上ではすでに美鈴の寝息が聞こえる。
寝るの早くない?なんて考えながら眠りに落ちていった。
序盤のアットホームな感じもいいですが
後半部分の百合百合しいのも好きです
こういう主従関係もいいですね。
ごちそうさまでした
これぐらいの甘さの加減が大好きです。