Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

バンドをしよう。バンド名は・・・

2010/08/10 22:31:58
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「低気圧暗黒集団だ。」
「イヤだよ!そんな名前!?」

ここはプリズムリバー邸。
演奏好きの騒霊3姉妹が暮らす家。
「あのね、お盆にやる人里のお祭りの特別ライブだよ!?なにさ、その暗くてバッドなバンド名!?」
「リリカ、落ち着きなさい。」
「落ち着いてられるかぁーーー!」
言い争い(?)をしているのは長女・ルナサと三女・リリカ。
間近に迫った人里で行われるお祭りに、ライブをやる予定になっている。
曲は大体決まって、みんな本格的な練習に取り組んでいる最中、未だ決まってないバンド名を提案したルナサ。
「楽長は私だし。幽霊集団だし。」
「暗黒はどこから来た!?なんで幽霊=暗黒なのよ!?」
わいわい騒ぐ2人(主にリリカが)。

さて。
『プリズムリバー3姉妹』の名で通っている騒霊姉妹が、なぜここにきてバンド名を考えているかというと・・・。

「えーっと・・・。とりあえず、バンド名考えるより、もう1度全員で通してみませんか?ルナサさんたちはともかく、私たちは演奏には慣れていないので、まだ不安があるんですよ。」
そういうのは、妖夢。
「そうだよねぇ。私と妖夢はつい最近まで楽器にさえ触ったことなかったんだから。だいぶ弾けるようになったとはいえ、キャリアの差は歴然な訳なのよ。」
同意するのは、村紗。
何故、彼女たちまでいるかというと。
「そうよ、ルナ姉。それにリリカも。バンドなんだから全員が演奏を合わせれないとダメなんだから。ここらでもう1度演奏してみましょ?」
2人の間に割り込み、そう提案する次女・メルラン。

そう、この企画を提案したのはメルランであった。
『いつもと少し趣向を変えてみない?例えば、メンバーを増やしてみるとか・・・。』
慧音から依頼を受けた後、演奏について話し合っていた時に、メルランはそういった。
その案を残りの2人は受け入れ、ならメンバーにも統一性を持たせようと、同じ幽霊仲間を集めてきたのである。

ちなみに妖夢はドラム。
村紗はギターである。

ついでに、歌も入れてみない?ということで、ボーカルに選ばれたのは幽々子と魅魔だった。
え?
魅魔って祟り神なんじゃね、って?
いいじゃん、元悪霊なんだし。
そんな訳でデュエットをすることになった2人は別室で歌の練習中。
これが、中々上手い。
今も別室から美しい歌声が響いてきている。
作詞はメルラン。
最初、ルナサが作詞していたのだが、何を血迷ったのか切ない恋を綴ったようなバラードくさいモノを書こうとしていたところを、リリカに止められた。
何故お祭りのライブにバラードを歌わせようかと思ったのかは定かではない。
ともかく、テンションの上がる歌のほうがいいということで、メルランが書いた。
魅魔はともかく、のんびりした性格の幽々子がノリのいい歌をちゃんと歌えるかどうかが危惧されたが、杞憂に終わった。

「このドラムって、結構難しいんですよね。特にこのハイハットってやつですか。私のように背丈が低いと叩きづらくて・・・。」
「このギターってのも実際弾いてみると難しいわよ。なんとかコードは覚えたけど、指使いが・・・。」
そんな事を言っているが、この2人。
中々の上達ぶりである。
初めたのが2ヶ月前。
幻想郷でも珍しいだろうこの楽器を、今では何とか使いこなしている。
なにせ、特別この楽器に詳しい指導者がいなかったのだ。
プリズムリバー邸にあった初心者向けのマニュアル本を見ただけ、と考えると、その上達ぶりは相当なものである。

ちなみに、何故幻想郷のプリズムリバー邸にドラムやらギター、そしてマニュアル本があるのかは謎である。

「本番まで後3日・・・。うぅ、上手く叩けるでしょうか?」
妖夢が不安がるのも無理はない。
ドラムは演奏の基盤である。
テンポも、タイミングも、すべての楽器がドラムに合わせるのである。
いわば、演奏の裏のキーマン。
彼女がずれたり間違ったりしたら、演奏は崩れる。
さらに、このドラムという楽器、結構力と体力がいる。
今回は1曲だけだが、それでも妖夢の背丈で一定のリズムを刻みながら力強く叩くのは中々難しい。
「私も、両指が痛い・・・。」
左手は弦を弾くので当然なのだが、弦を押さえる右手も中々大変だ。
ギターの弦は、結構硬い。

「大丈夫。みんな頑張ってるからちゃんと上達している。」
「そうよ!自信持っていかないと、本番で成功できないわよ?」
「こんだけ練習したんだし、大丈夫!!」
3姉妹が励ましの声をかける。

それを聞いて、幾分か自信を取り戻した2人を見た3姉妹は、全員を集め、本日最後のアンサンブルに取り掛かった。



さて、プリズムリバー邸に集まった時は合同練習に取り組むものの、3姉妹以外のメンバーが普段どうやって練習をしているかというと。

まず、白玉楼。
居間で、幽々子が歌の練習をしている。
ボーカルの幽々子はいい。
妖夢はどうやって練習をしているかというと、残念ながらイメージトレーニングくらいしかない。
流石にドラムを1セット持ち運びは出来ないので、頭の中でドラムの配置をイメージしながら、幽々子の歌に合わせて畳を叩きながらリズムを合わせるといった練習をしている。
ドラムの何処を叩けばいいかさえ覚えれば、後は重要なのは如何に一定のリズムを取って叩けるかである。
ちなみに、魅魔も白玉楼で一緒に練習している。
メインの行動範囲が博麗神社なのだが、当然、そこには霊夢がいる。
なにより、あそこには弟子の魔理沙がよく遊びに来る。
2人が魅魔がライブに出ることは知っているし、当然、祭りにも来る。
特に魔理沙は相当楽しみにしていた。
なら、本番までネタばらしはしないほうが良いだろう。
そういうことで、どうせデュエットするなら一緒にやろうということで、白玉楼まで足を運んでいるわけである。

そして命蓮寺。
昼間は皆それぞれ仕事に就いている。
なので、寺の中での練習は流石にマズイ。
参拝客も来ているのだし、寺内でギターなぞ鳴らしていれば、迷惑がかかる。
なので村紗は、寺の裏にある小さな広場で練習をしている。
偶に暇ができるナズーリンが、『何か手伝うことはないかい?』と言ってきてくれたが、礼とともに断りをいれた。
当然、人里の祭りなので寺のメンバーは全員観に来る。
皆、楽しみにしていたこともあって、やはり本番で聴かせてあげたいという想いもあり、一人で練習することにした。



そして、本番の日。
人里には多くの人妖が集まっており、大賑わいとなっていた。
そんな会場の一角に、特設ステージがあった。
もうすぐ演奏が始まるということで、観客席はごった返し状態である。
そんな様子をステージ裏から覗いているのは、妖夢と村紗。
「こ、こんな大観衆の前で何かをするなんて、初めての経験ですよ・・・。」
「うん。妖夢の気持ちは凄く分かるよ。うわ!命蓮寺のみんな、最前列に座っているよ!め、目があったらどうしよう・・・。」
初めての経験で、この大人数である。
緊張するなというほうが無理だろう。
「大丈夫よ、妖夢。あなたは今まで頑張って練習してきたんだから、きっと上手くいくはずよ。私が付いてるんだから心配しなくてもいいのよ。」
「そうさ。観客なんてカボチャとでも思ってりゃいいさ。・・・ん?ジャガイモだっけか?まぁ、ともかく、最後の合同練習は成功したんだ。後は全力を出し切るのみさ。」
そう声をかけるのは、幽々子と魅魔。
流石である。
初めての舞台でありながら、余裕さえある。
「おー、来てる来てる。あ、魔理沙と霊夢たちだ。」
「あ、あそこの屋台おいしそうねぇ。妖夢、後で食べにいきましょ。」
2人も覗きながら、実に楽しそうに喋っている。
「ねぇ、妖夢。あの2人は何処からあんな余裕が出てくる訳?」
「やはり、ラスボスだからじゃないでしょうか?私たちとは貫禄が違うんだと思います。」
何の話だ。

「さて、いよいよ開始だ。」
全員で最後のミーティングを始める。
「最後の練習では上手くいった。もうここまできたら、自信を持ってやっていこう。気負いする必要は無い。」
皆を1人1人見つめ、ルナサが語りかける。
「だが・・・。」
と、今だ身体の堅さが抜けていないであろう、妖夢と村紗を横目でチラリと見た後、こう続けた。
「適度の緊張は必要だ。少し緊張したほうが上手くいく。なに、心配するな。もし何かあったら私がなんとかする。」
もちろん、本番中に違う楽器を扱う者のフォローなんて出来ないだろう。
だが、ルナサは続ける。
「メルランやリリカもいる。任せろ、私たちはプロだ。場数は踏んでいる。マリー・セレスト号(注:沈みません)にでも乗っている気持ちでいてくれたらいい。」
さすが楽長のルナサだ。
音楽のことにでもなると、いつもと違って(失礼な)頼もしく見える。
「で、最後に一つ。これが一番重要だ。」
そういって、薄い微笑みを浮かべ。
「楽しむこと。音楽は楽しいということ。これを忘れるな。私たちが楽しく弾けば、聴いてる方も楽しくなる。さすれば、皆、楽しくなる。そうだろ?」

そうだ。
練習は大変だったが、それでもこの3ヶ月間は確かに楽しかった。
それは、ここにいる皆が全員思っていることだ。
だから、本番も楽しく弾こう。
そして、その楽しさを集まってきた皆にも聴かせてあげよう。
そして、皆で楽しもう。
それができれば、それはきっとすばらしい事に違いない。

ルナサが、再度チラリと妖夢と村紗を見る。
・・・。
もう大丈夫。
そう思ったルナサは。
「さあ、行こう。」
そういって、ステージの上へと向かった。


メンバーがステージに現れると同時に、大きな歓声が起こった。
それぞれがポジションに着く。
ステージ前から見て、ボーカルが最前に、その少し後ろの両サイドにギターとヴァイオリン。
そして一番後ろにキーボード、ドラム、トランペット並んでいる。

言い忘れていたが、皆の服装について。
せっかくお祭りなのだし、浴衣でやることにした。
それぞれが色とりどりの浴衣を着ている。
・・・が、一人だけ少し違うのが妖夢だ。
ドラムは、ベースドラムとハイハット両方を足で踏まなくてはいけないため、どうしても両足を広げないといけない。
なので、普通の浴衣だと少しやりづらい。
そこで、妖夢の浴衣だけ丈を短くしてみましょう、という幽々子の提案により、膝より少し上まで丈が上がった。
流石に恥ずかしいと妖夢は抵抗したが、幽々子の説得により渋々承諾した。
大丈夫、ベースドラムが邪魔で誰にも見えやしない。

それはともかく。
皆が最終調整する間にも、様々な歓声が響く。

最前列の命蓮寺の面々。
特に聖が、「ムラサちゃん~、頑張って~!」など言いながら両手をぶんぶん振り回している。
それに続くように、他のメンバーも手を振りながら村紗に声をかける。
それを見て、少し顔を赤くしながら苦笑いした後、恥ずかしくて俯いてしまう村紗。

その近くにいるのは霊夢たち。
特に魔理沙が騒がしい。
「みーーまーーさーーまーーーー!!」と、大声で絶叫しながらはしゃぎまわる魔理沙に対して、すこし恥ずかしそうにしながら、うるさいわよ、と横腹に肘鉄をいれる霊夢。
それを微笑ましく見ながら手を振る魅魔。

プリズムリバー3姉妹の人気は特に凄い。
様々なところで演奏をやっているだけあって、ファンも多い。
「ルナサ様ー!!」だの、「めるぽぉぉぉぉぉおお(狂気)!!」だの、「リリカは俺のよm(ry!!」だの、実に煩い。
が、そんな歓声など慣れきっている3姉妹。
時々声援に応えながらも、音の調整を確認している。

普段は滅多に人里に現れない幽々子。
が、はっきし言って、おそらくメンバーの中ではトップクラスの美しさを持っている。
なので、初めて幽々子を目にした連中は、「か、神だ。神がおいでになすったぞ!」とか、「幽々子さまー、俺だー、結こn(ry!!」やら、「あ゛ーーーーーーーーー!!」などと騒ぎ始める。
それらのすべてを無視して、幽々子は観客の中にいる藍と橙、そして上空で観ている紫に向かって手を振る。

そして、妖夢。
よく人里に買い物などに訪れる妖夢は、当然、人里でも評判だ。
観客からの声援は大きい。
「妖夢ちゃーーーん!!愛してi(ry!!」と叫ぶものもいれば、なにやら無駄に達筆な字で『妖夢ちゃんファンクラブ』とか書かれた旗振ってる連中や、「ハァッ!ハァッ!!ハァッ!!!」と息を荒げているものなど、実に迷惑である。
そんな自分への声援に妖夢は、恥ずかしさを紛らすために、全神経を集中してドラムのチェックに勤しむ。
なので、その喧しいファンに向かって蝶のような形をした弾幕が飛んでいったのには、気付いていなかった。



さあ、演奏開始だ。
ルナサがヴァイオリンの弦を一回、強めに引く。
静まり返る会場。
メルランを、リリカを、幽々子、魅魔、村紗と順番に見ていき、妖夢と目を合わせる。
それを見た妖夢は、頷き、スティックを掲げる。
そして、1,2,3、4と叩く。
その合図と共に。
一夜限りのスペシャルライブ、幽霊たちによる演奏が始まった。


まず、前奏はキーボードとドラムから入る。
練習通りだ。
妖夢は一定のリズムを保ちながら叩き、それにリリカが合わせる。
そして、ボーカルが歌い始めると同時に、皆が一斉に演奏を始める。
ボーカルの歌声が会場に響く。
幽々子の澄んだ綺麗な声と、魅魔のアクセントの効いた力強い声が重なり合う。
二人とも上手くノっている。
今回のメインはボーカルの2人だ。
声を掻き消さないように、3姉妹が絶妙の音量で曲を盛り立てる。
村紗は、その3人に合わせるように、上手く調整をしていく。
ルナサは観客のほうを見る。
皆、立ち上がり、手拍子をしている。
観客もノっている。
出だしは好調。

演奏は続く。
歌の2番目に入り、サビが終わったところでボーカルは一旦休み。
ここからは演奏者の見せ場だ。
前半のメインはメルラン。
トランペット独特の高くて強い音が響く。
それをメインに、キーボードとギターが伴奏にまわる。
メルランのテンションの高い演奏が観客を盛り立てる。
リリカは、村紗をうまくサポートするようにリードしながら弾く。
それに合わせるようにギターが音色を奏でる。
よし、順調だ。
後半のメインはルナサだ。
そろそろ自分の番が回ってくるので、ヴァイオリンを肩に乗せ、弦に弓を当てようとしたその時。

トラブルが起きようとしていた。

「・・・っっ!!?」
異変は妖夢に起きていた。
右肘が痛い?
ハイハットを叩くために、少し肘を高めにしていたのが、ここに来て響いてきた。
それも仕方ない。
妖夢だけが、プリズムリバー邸での練習以外で、楽器が使えてなかったのだ。
ドラムは肘に負担がかかることがある。
特に背丈の関係で少し無理した形で叩いていた右が痛み始めていたのだ。
「・・・!!」
耐える妖夢。
ここで自分が崩れたら、演奏自体が崩れる。
唇をかみ締めながら、懸命に耐える。
最初、この提案を受けたときは、不安だった。
楽器なんて使ったこと無い。
でも、幽々子がやろうといったので、やることにした。
大変だった。
でも、楽しかった。
本番前にルナサがいった。
『楽しむこと』と。
そうだ。
妖夢は間違いなく、楽しんでいた。
皆も楽しんでいた。
そして。
いま集まってきている観客も楽しんでいる。
ここでそれを壊すわけにはいかない。
懸命にリズムを崩さないようにする妖夢。
あと少しだ。
ルナサの演奏が終わったら、あと一息だ。
だが。
孤独に耐えている妖夢。
次第に不安が押し寄せる。
ほんの少しづつ、ずれていくリズム。
叩く力も落ちてきた。
そして、ルナサの演奏に入る。

そこで。
ありえないことが起きた。

ルナサ最初の一発目。
観客に大きな違和感を与えない程度に、弓を大きく引いた。
練習のときよりも高めの音。
ルナサらしくないミス。
驚いた妖夢が顔を上げる。
その先には、こちらをチラリと振り返ったルナサ。
一瞬。
でも、その目は妖夢に語りかけていた。
『頑張れ』と。
いち早く妖夢の僅かな異変に気付いたルナサ。
だが。
ドラムの代わりなんていない。
ましてや演奏中だ。
突然交代なんてできない。
だが、ここで演奏を崩すことになると、傷つくのは妖夢だ。
なら。
目配せでもいい、励ますしかない。
メルランやリリカも、一瞬だけ妖夢のほうへ振り向く。
大丈夫、あなたは一人じゃない、と。
そう訴えかけるように。

それを見た妖夢に、力が戻った。
身体だけじゃない。
精神に、心に力が宿る。
大丈夫。
もう自分は大丈夫だ。
リズムに、音に安定感が戻る。
さあ、最後の締めだ。
最後まで、楽しんでいこう。



ボーカルの歌声が再び響く。
美しいヴァイオリンの調べ。
力強いトランペット。
軽快に響くキーボード。
最後の見せ場と言わんばかりにギターを掻き鳴らす。
そして。
最後の、ドラムから響くクラッシュシンバルの音。



終わった・・・。
全員がまるで呼吸を忘れていたかのように、大きく深呼吸。
その直後に。
会場から沸く拍手喝采。
それを聞いて、皆確信した。
演奏は、完璧だったと。
メンバー全員が前に立って一礼する。
そして思う。
どうか自分たちの演奏が、この後も続くお祭りの活力に繋がることを。


ステージ裏に戻る。
と、そこにはメンバーの身内(?)の方々が来ていた。
早いな。
「魅魔さまーーーー!!」
そう叫んで、おもいっきり抱きついてくる魔理沙。
「魅魔さまがこんなに歌が上手かったなんて初めて知ったぜ!なぁ、今度は私と一緒に歌おうぜ!私も練習するからさ!!」
「ははっ、それも楽しそうだな。じゃあ、今度機会があったら一緒に練習するか。」
ホント、仲の良い師弟である。
「確かに、魔理沙の言う通りね。まさかアンタがあそこまでやるとは思ってもみなかったわ。ま、観に来て損はしなかったわ。」
魔理沙と一緒に来た霊夢が言う。
「おぉ、霊夢。そうだったろ?アンタも今度一緒に歌うか?」
「遠慮しとくわ。」
そう苦笑する霊夢。

「ムラサちゃーん!すごく良かったわよぉ!あんなにカッコいいムラサちゃんは初めて見たわ~。」
「いや、あの、聖。褒めてくれるのは嬉しいんですが、ちゃん付けはやめてください。」
照れくさそうに村紗が言うのに対して。
「いやいや、中々聴きごたえのあるギターだったぞ、船長。僅かな練習期間であそこまでやれるとは感服した。」
「そうよ、やるじゃない水蜜。私は楽器や演奏についての知識なんてないけど、貴方の一生懸命さは十分伝わったわ。」
「そうですよ、村紗!あなたはステージの上で輝いて見えましたよ!!」
「ムラムラー!バンドってカッコいいね!?私にも今度ギター教えてよ!!」
そう、寺のメンバーが口をそろえて賞賛する。
「はは、いや、まあ・・・。皆に喜んで貰えて本当に良かったよ。練習した甲斐があった。」

「ふふっ、やるじゃない幽々子。普段ののんびりした貴方とは違った一面が見れて、本当によかったわ。」
「あら~、ありがとう。なら今度紫もやってみる?中々刺激的だったわぁ。」
紫の賛辞に楽しそうに応える幽々子。
「紫様の言うとおりですよ、幽々子様。ほら、橙もこんなに興奮して。」
「カッコよかったですよ、幽々子さま!演奏中、尻尾がビンビン反応しちゃいました!ねぇ、藍さま?私も練習したら歌上手になるかな?」
「はははっ、そうだな。きっと橙も練習すれば上手くなるさ。」
藍や橙も、実に楽しそうだった。



「・・・、皆を集めたのは正解だったわね、姉さん。」
「あぁ、メルランの意見を取り入れて良かったよ。」
「偶にはこういうのもいいよね~。」
少し離れたところから眺めていた3姉妹が口を揃える。
と、そこへ。
「あ、あの・・・。」
3姉妹が振り向いた先には、妖夢がいた。
「えっと・・・。なんと言ったらいいか。すみません。危うくせっかくの皆の努力を水の泡にしてしまうところでした。ル、ルナサさん。えっと、その・・・。」
申し訳なさそうな妖夢にルナサは。
「妖夢。」
そんなちょっとしたことなど、何でもなさそうに話しかける。
「君は頑張った。よく最後までやってくれた。妖夢がドラムで良かった。私が言えるのはそれだけだ。」
「そーだよねぇ。」
と、横からリリカ。
「ルナ姉てば、あんな凡ミスしちゃってさぁ。あーあ、どうなることかと思ったよ。」
「リリカ、うるさい。」
「まぁ、姉さんにも偶にはミスもあるわよ。いいんじゃない?演奏に支障があったわけじゃないし。」
なんか楽しそうに喋る3姉妹。
そんな様子を見た妖夢は。
「ルナサさん、メルランさん、リリカさん。」
彼女らを真っ直ぐ見つめ。
「今日は本当に素晴らしい日でした。ありがとうございます。」
そう言って、礼をした。
「まぁ、そうだな。今日は実に良かった。ありがとう。」
「さ、これから屋台でも見て回りましょう。花火もあるみたいだしね。」
「そうそう!お祭りはまだ長いよ!」
「そうよぉ、妖夢~。」
「うわっ!?」
いきなり、後ろから妖夢に抱きついてきたのは幽々子。
「ゆ、幽々子さま!?」
「妖夢~、私、お腹すいちゃった。さぁ、屋台で色々食べましょう。」
そう楽しそうに喋る幽々子の手が、妖夢の右肘に伸びる。
やさしく、いたわる様にさする。
「あ、えっと、幽々子さま?まさか気付いて・・・。」
「さぁ、行きましょう。まだまだ夜は長いわよぉ。ルナサ、メルラン、リリカ。今日は本当に楽しかったわ。また演奏を頼むときは、是非とも白玉楼においでなすってね~。あ、今度このメンバーで打ち上げでもしましょ?また連絡するわぁ。じゃあね~。」
ほんと、ありがとうね。
最後にそう付け加えると、楽しそうに妖夢と共にお祭りの喧騒の中へ消えていった。
それに続くように、他のメンバーも3姉妹に挨拶をして、楽しそうにお祭りへと向かっていった。



「・・・今日は、本当に楽しかったわね。」
「あぁ、そうだな。」
感慨深そうに本番のライブを思い返すメルランとルナサ。
今日は、本当に素晴らしい日だった。
「ねぇ、ルナ姉!メル姉!」
と、横からリリカが声をかける。
「いつまでもこんなところでボーっとしてないでさ。私たちもお祭りに繰り出すよ!ほらほら、まだ回ってない屋台もあるし、花火もあるんだよ!」
姉2人の手を引いて、待ちきれない様子でリリカがせかす。
そんな妹を見た姉2人は、クスッっと笑い。
3姉妹も、お祭りの喧騒の中へと消えていった。
昔やってた音楽全般の知識を必死に引っ張り出した結果がこれだよ。
こんなことなら音楽続けておけばよかった・・・。

というわけで、結構書くのに苦戦したエクシアです。

虹川で一番好きなのはルナサですね。優しくて、カッコいいというイメージを持ったのは何故だろう?
妖夢は東方で最初に好きになったキャラなんですよね。さて、どういう理由でだったか・・・。昔のことなので、思い出せません(笑。

ちなみに、本文中で出てきた、見える見えないの話ですが、大丈夫です。だって、『けい○ん!!』の某部長だって見えてないもん。
エクシア
コメント



1.地球人撲滅組合削除
おおぉぉ、幽霊仲間でアンサンブル! 大合葬!
ありそうでなかった、新鮮な組み合わせで面白かったです。
(カナが加われば幽霊パーフェクト狙えましたね)
ムラサのギターとか、魅魔・幽々子の共演とか、努力家妖夢とか、もう最高でした。
ハプニングには驚かされましたけどw

>虹川で一番好きなのはルナサですね。
ルナサ派ですか。確かに、優しくて格好いいイメージというのは分かる気がします。
彼女の落ち着いた雰囲気と、リーダー・長女という立場がそのイメージを確固たる物にしているのかもしれませんね。
(ちなみに自分がプリズムリバー姉妹で1番好きなのは末っ子レイラですね。
2.奇声を発する程度の能力削除
とても素晴らしいライブでした!!!
音楽系のお話が最近増えてきて本当に嬉しい!!!
3.名前が無い程度の能力削除
リリカは俺の嫁!
4.名前が無い程度の能力削除
本文よりもタイトルで思わず吹いた俺は異端
5.月宮 あゆ削除
私もタイトルで選んでしまいました。
てっきり、keyのリ○バスでくるのかと思いましたが全体的に楽しく読ませていただきました。
私も幽霊楽団は好きでそのために、もっと音楽関係の小説が増えてほしいです。