※何匹かゲームの猫が出ます。
むしろそれを望むならこのままスクロールしてください。
それが駄目な人はブラウザの戻るボタンを押す事をおすすめします。
さらにもの凄く展開が早いし、グダグダです。
ある昼下がり、妙な猫を見つけた。
二足歩行するし、ちゃんと喋る。
最初は化け猫の類かと思ったが、違うらしい。
とりあえず、幽々子様に見せてみよう。
「やぁん、可愛いー!」
「ニ゛ャ!?痛いニャー!離してくれニャー!」
すっかり幽々子様の玩具と化した五匹の猫。
“あいるー”とか言う種族らしい。
それにしてもこの猫、結構器用らしい。
人と同じように物も持てるし、物を作ることも出来るとか。
「ねぇ、妖夢、これ飼って良い?」
「駄目です、死ぬとすっごい泣くじゃないですか」
「でもぉー」
「駄目ったら駄目です」
「妖夢のいじわるー!」
むーっと頬を膨らませて怒っている。
・・・まぁちょっとは・・・良いかな?
「・・・はぁ、ちゃんと面倒みるんですよ?」
「わぁい!妖夢、ありがとー!」
ああ、そんなに強く抱きつかないで下さい。
苦しいですから、でも柔らかい・・・
「じゃぁ幽々子様、一匹ずつ名前を付けましょう」
「ニャ!名前ならあるニャー!」
「みんなついてるの?」
「ありますなのニャー!」
意外や意外、みんなちゃんと名前があった。
クリームのような色に、茶色の模様がヨシムネ。
濃い灰色に、白っぽい模様がシヴァ。
茶色に、焦げ茶色の虎模様がケン。
真っ白なのがシズカ。
そして真っ黒なのがココア。
模様が違うが、性格も違う。
ヨシムネとケンはよく喋る、しかしココアはなかなか喋らない。
シヴァが好奇心旺盛で元気だが、シズカは冷静である。
「妖夢さん妖夢さん、何かお手伝い出来ることは無いかニャー?」
「ん?ああ、ヨシムネ・・・でしたよね?」
「そうニャー、お料理とかお手伝い出来るかニャ?」
お料理・・・確かに白玉楼は大喰らいの主がいる。
調理中は猫の手も借りたいくらい忙しい。
手伝ってくれるなら、腋巫女だろうと白黒だろうと歓迎する。
当然答えは、
「お料理、手伝ってくれますか?」
手が器用と聞いたが、予想の遙か上を行く器用さだった。
魚を三枚に捌いたり、大根の皮を剥いたりと。
火吹き竹も普通に使ったりしている。
「妖夢さん、このお肉はどうするのニャ?」
「あ、それは煮込むので」
しかも言う事をしっかりと守る。
マグロは捌く、アユは塩焼きと味噌焼き、牛肉は焼く!などと早口で言っても覚えている。
おかげでどんどん料理が出来上がっていく。
「火力がよわいにゃぁ・・・」
シズカがおもいっきり火吹き竹を吹いた。
もの凄い勢いで燃え盛り、火力はかなりあがった。
が、
「あづい!あづいニャー!!」
シズカに引火していた。
「ニャ!?シズカ!?」
「み、みず!水を!」
私は慌てて桶一杯の水をかけた。
「た、助かったニャー・・・」
と、こんなハプニングがありながらも、普段より何倍も早く、すべての支度が終わった。
部屋に運び込み終わった時に、思わぬ来客が。
紫さんや、藍さん、それに橙さんまで。
「やっほー、幽々子ー・・・何、その猫は?」
「あら、この子達は、あいるぅって言うのよ」
「ニャ!初めましてなのニャ!」
「おお、ちゃんと喋れるのね、化け猫か妖怪の類かしら?」
「違うのニャ!ボク達は獣人族なのニャ!」
紫さんは、じゅうじんぞく?どんな妖怪だったっけ・・・と首を傾げながら思いだそう、もとい考えている。
そんな紫さんをよそに、橙さんが質問をした。
「あのー・・・元は猫なんですよね?」
「確かに元は猫ニャ、だけどそこらの猫とは全く違うニャ」
「ほぇー・・・なるほど」
そんな些細な事でも会話が弾んで行く。
さすが猫同士・・・
そんな状況で幽々子様が、いきなり喋りだした。
「それよりもうご飯食べたいわー、妖夢ぅ、まだなのー?」
「いや、訪問客の分も用意し終わったらです、少々お待ちを」
紫さん達が来るときは、大体ご飯食べにきた、と言う理由なので用意しなければならない。
幽々子様には辛いでしょうが、待っていただかないといけない。
正直、自分の心も痛む。
「ああ、妖夢さん、私たちは食べてきたから平気です」
そう、紫さんの式である、藍さんは言った。
それなら準備はしなくて良い、少しだけ助かった。
「そうですか、では幽々子様、どうぞお食べk・・・」
「いただきまーす!」
早っ!
まるで嵐の様な速度で、山のようなごはんとおかずが消えて行く。
唐揚げやお刺身、豚の角煮と、大皿一枚に山のように盛りつけたはずなのに。
これが幽々子様の本気か・・・!
「ごちそーさまー、おなか一杯だわぁ」
「あまり咀嚼し過ぎると、体に毒ですよ」
「亡霊だからあまり意味は無いけどね」
この言い訳は聞き飽きた。
何回言っても直さないので、半分諦めている。
「そういや紫、なんで来たの?」
そうですよ、幽々子様。
ご飯を集りに来た訳じゃないなら、一体何故来たのだろう。
「ここらへんに境界の歪みを作っちゃったのよ、何を思っていたのかは分からないわ、だってその時私、寝ぼけてたもの」
何故、寝ぼけてそんな事をするのか分からないが、とにかく、危ない事だとは分かった。
たまに他の世界と繋がって、龍や悪魔、時にはよく分からない生命体が入ってきてしまう。
とりあえず分かるのは、生命体が入ってきたら、高確率で害が出る。
人並みの知能があるものなら、害は出ないが、獣型などは、何人かは死人が出る。
酷いときには、村が一個消える。
「もしかすると、そのアイルーって猫が入ってきたのかもしれないわ」
それは、遠回しに“危険な生物”と言っているようなものだ。
「でも、全然害を出さないわよ?」
「それでも危ないわ、何者か分からないじゃない、そんなやつは調べないと・・・」
「待って下さい」
つい、声を出して止めてしまった。
言いたいことがある、それは当たり前。
しかし、止めた理由は他にもある。
聞いていると、胸が締め付けられる、こんなに優しく、器用で頭が良く、人懐っこいアイルー。
そんなのが害を出すはず無いのに、一方的に言われ続けると胸が苦しくなる。
「なにか?」
「このアイルー達を・・・」
「アイルー達をどうするの?元の世界にもどすの?」
「私達の監視下に置かせて下さい、もし、害が出れば、私が迷わず斬ります、だから置かせて下さい」
言ってしまった。
もう後戻りはできない。
後悔などしていない、なぜなら、本音だから。
「・・・分かったわ、妖夢ちゃん」
「!ありがとうございます!」
正直、OKが出るとは思っていなかった。
心配そうに見ていた幽々子様も、安堵の表情。
「ただし、被害が出れば、斬りなさい」
「はい!」
藍さんと橙さんと遊んでいた(遊ばれていた)アイルー達も、途中から聞いていた様で、被害を出せば斬られるが、出さなければ役に立てる、そう知って、みんな喜び、跳ねたり左右に飛びながら上機嫌をアピールしたりと、これはこれで可愛い。
橙さんも釣られて飛んだりしている。
そこへいきなり、
「どうもこんにちは!清く!正しく!射命丸 文です!突然ですが、何かn・・・」
射命丸さんが目にした光景は、きっとシュールだっただろう。
猫と飛び跳ねる白玉楼の主や、庭師、さらには八雲の大妖怪の式の式まで。
実に猫々しい光景である。
「こ、これは・・・ハッ!出てきた、出てきたぞぉ!見出しは“白玉楼、猫祭りか!?”!これは売れる!」
「ニャ?誰かいますにゃ」
シヴァの一言で、射命丸は遙か上空に飛ばされた。
猫は水やお風呂が嫌い。
てっきり、アイルーもお風呂が嫌いだと思ったが、正反対だった。
ただ綺麗好きだったのか、そう言う種族なのか分からないが、良かった。
幽々子様のわがままにも、付き合えた、それだけでも良いことだ。
幽々子様のわがまま、それは簡単な話。
アイルー達とお風呂に入りたい。
お風呂の時間になって、いきなり言われたのでびっくりした。
「さぁて、隅々まで洗っちゃうわよぉ」
「幽々子様、ずいぶんと上機嫌ですね」
「だって、自分の願望が叶ったのよ?それなのに、テンションが低かったらおかしいじゃない?」
確かにそうだが、いつもならお菓子で釣らないとなかなか髪などを洗わない位、めんどくさがりなのに、今日に限ってはアイルー全員の体を洗ってるのだ。
これはこれで怖い。
アイルー達も抵抗せず、むしろ気持ちよさそうに目を細めている。
「それより、妖夢の事も洗ってあげるわ」
「え!?いや、やめていただk」
「問答無用!うりゃー!」
幽々子様が飛んできて、頭をおもいっきり打った。
そこから記憶が、途切れた。
気づいたら、自分の部屋に居た。
たしかお風呂場で・・・駄目だ、思い出せない・・・
最後に見えたのはたしか・・・幽々子様の・・・桃?
「あ、気が付きましたかニャ」
一匹の虎猫、ケンがいた。
「ボクは基本、看病が得意なので、妖夢さんの容態を観ていて、と任されたニャ」
そう説明をしてくれた。
分かりやすく、だが省きすぎずに。
「えーっと・・・私は何故、ここに?」
「みんなが協力してくれたニャ、起きてくれただけでも一安心ニャ」
「他のみんなは・・・?」
「う・・・それは秘密ニャ・・・」
何故か、ケンの表情が曇った。
何か問題でも起きたのだろう、聞き出さなくては。
「なにか、起きてるのですか?」
「・・・はい、ですニャ」
やはり!
紫さんも帰り際にに、こう言っていた。
ーたぶん、他にも色々と来てるかもしれないから、気をつけなさい。と。
「なにが来たんですか!?教えてください!」
「・・・イャンクック、ニャ」
・・・いゃんくっくって、なんだろ?
「竜ニャ、そこまで強力じゃ無いけど、確かに竜ニャ」
「どこにいるの!?」
「庭に・・・いますニャ・・・」
「く・・・!」
私はとっさに、刀を握った。
しかし、ケンが止めてきた。
「駄目ですニャ!今の妖夢さんは一応けが人ですニャ!」
「そんなでは白玉楼どころか、幽々子様も守れません!」
「それでも・・・!」
私は、ケンを振り切り、庭へ急いだ。
相手は予想以上の大物だった。
軽く7メートル以上はある。
「ニャ!?妖夢さん!?」
「はぁ!」
出会い頭に、大きな耳の様なものに、一太刀浴びせた。
予想以上に食らったらしく、よろめいた。
「うう、妖夢さんを守るニャー!」
「「ニャニャー!」」
アイルー達が、かけ声を上げると、どっからともなく樽を出した。
それをイャンクックに投げつけた。
次の瞬間、ものすごい爆発が起きた。
きっと、アイルーの投げた樽は、爆弾だったのだろう。
樽爆弾(仮)をまともに喰らったイャンクックは、怯み、足を引きずりながら去ろうとした。
「逃がさない・・・!」
私は、イャンクックの前にでた。
そして、飛ばされた。
イャンクックが、火を吐いたのである。
火傷を負う位の温度だが、不思議と傷だけですんだ。
「ぐっ・・・」
しかし、予想以上に傷が多く、立ち上がった瞬間に激痛が全身を走った。
「ニャ!?みんな、イャンクックを引きつけるニャ!」
ヨシムネのその号令も遅く、尻尾で飛ばされた。
横腹に見事に入った為、一瞬だけ、呼吸が出来なかった。
「妖夢さん!!!」
「うう!ニャーーー!」
シヴァが全力で飛びかかった。
手に持っていた刀(何処から出てきたかは不明)で切りかかった。
そんなに利いた様子は無く、無意味に近かった。
そのとき、目の前に刀が落ちてきた。
真っ赤な刀が、二本。
なにか不思議な力があるのか分からないが、引きつけられるように、その二本の刀を握った。
そして、目の前に来たイャンクックに、その刀で飛びかかった。
「にゃぁぁぁぁーーーー!!」
不思議とそう叫んでしまった。
力一杯斬った、そして。
「秘技・・・!」
「ニャ!?」
「“二閃・妖式”!」
技名などは、本当は無い。
ただ右手の刀で袈裟斬りを放った後、流れに任せて回転しながら左右の刀で切りつけただけである。
正直、無我夢中だったため、叫べれば良かった。
ただ、その斬撃で倒せちゃったので、ちゃんとした技として覚えておく事にした。
「か・・・勝った・・・」
そこ後、力が抜けて倒れてしまった。
「・・・む・・うむ・・・」
誰かが呼んでる・・・?
「・・・ようむ・・・妖夢!」
意識がいきなりはっきりとした。
不安そうな幽々子様と、必死で看病、看病となにかを調合しているケンの姿が見える。
「あれ・・・?幽々子様、私は庭にいたはずじゃ・・・」
起きあがろうとしたが、体が動かない。
さらに鋭い頭痛も襲ってきた。
「ああ!無理しちゃ駄目ですニャ!」
ケンがそう言ってきた。
「私は・・・どうなったのでしょうか・・・?」
「イャンクックを狩った後に、いきなり倒れたニャ」
「あなた凄いわよー、妖夢、自分の三倍以上でっかいやつ倒したんだから」
幽々子様の表情が一変し、明るい表情になった。
ああ、あれは夢じゃないのか。
夢じゃないと分かった途端、誇りと恥ずかしさが自分を取り巻いた。
正直、恥ずかしさのほうが強い。
「かわいかったわよぉ、妖夢のにゃー」
「確かにあれはかわいかったですニャ」
「っっ!!!!!?」
きっと、今の自分の顔は真っ赤だろう。
真っ赤で思い出した、あの刀は何処へいったのだろう。
「いやまさか、これまで入ってきていたとはニャー・・・」
そう言いながら、ケンは私が振るった真っ赤な刀を出してきた。
「あ、その刀は・・・」
「ニャ?これですか?」
コクリと頷いたら、説明をしてくれた。
「これは、紅蓮双刃と言う双剣ニャ、二本持つ事によって、刀が互いの能力を高めあう性質を持つ不思議な双剣ニャ」
「なるほど・・・」
「竜殺しの武器でもあるニャ」
「!!」
竜殺しと聞いて、驚いた。
だから、私が惹かれるような魅力が有ったのか・・・
「でもこの刀の素材が竜ですから何でもいいんですけどニャー・・・」
難しいところニャー・・・とアイルーが唸っているが、一つ気になった事がある。
「その刀、どうするんですか・・・?」
「とっておくニャ、またあんな感じのが来るかも知れないから一応とっとくニャ」
「はぁ・・・」
「妖夢さんに使ってもらうため、ですけどニャー」
「でも、私はこんな状況ですよ?」
満身創痍、そうとしか言えない。
そんな状況で刀を振るうなんて不可能だ。
「そうだ、妖夢」
「なんでしょうか、幽々子様?」
「ついでだし、妖夢には当分休んでもらうわ」
・・・え?
何でそうなるの?
「だって最近の妖夢、修行に庭の手入れ、そしてお料理と、いろいろやりすぎだったじゃない、だからその怪我が完治するまで、妖夢はお休み、いいね?」
「でも、掃除とかは誰が・・・」
「ボク達に任せるニャ!」
アイルー達が、「任せるニャ!」やら「大丈夫ニャ!」などと言っている。
「でも・・・」
「妖夢さんは休んでていいニャ!ボク達が何とかするニャ!」
「いや、でも心配です・・・」
「お掃除にお洗濯、ボク達に不可能は無いニャ!」
「だから、妖夢は休んでてね?いい?」
「あ・・・はい・・・」
あまりにも凄い気迫に圧され、承諾してしまった。
普段なら、ものすごい後悔をいている筈なのに、全くしていない。
アイルー達を信用してるからだろうか、ただ疲れているからだろうかは、分からない。
「妖夢、あなた最近、忙しくてそんなに食べてないでしょ?」
「ええ、確かにそうですが・・・」
「できたニャー」
なにやら、食欲のそそられる、いい匂い。
どうやらアイルーが、お粥を作ってたらしい。
「ほら、妖夢も食べましょ?」
幽々子様、貴女も食べるのですか。
そんな事を無視するかのように、おおきなどんぶりと、中くらいのどんぶりに一つずつ、小さなお椀に五つと、お粥が盛られている。
見た目も香りも良く、入ってる野菜などのバランスも良い。
アイルーを侮ってはいけないと、知った、これなら平気だと、分かった。
「それじゃあ、食べようか?」
「・・・はい!」
その時に食べたお粥の味は、忘れられない。
あったかい、優しさの味だった。
...続くかな?
むしろそれを望むならこのままスクロールしてください。
それが駄目な人はブラウザの戻るボタンを押す事をおすすめします。
さらにもの凄く展開が早いし、グダグダです。
ある昼下がり、妙な猫を見つけた。
二足歩行するし、ちゃんと喋る。
最初は化け猫の類かと思ったが、違うらしい。
とりあえず、幽々子様に見せてみよう。
「やぁん、可愛いー!」
「ニ゛ャ!?痛いニャー!離してくれニャー!」
すっかり幽々子様の玩具と化した五匹の猫。
“あいるー”とか言う種族らしい。
それにしてもこの猫、結構器用らしい。
人と同じように物も持てるし、物を作ることも出来るとか。
「ねぇ、妖夢、これ飼って良い?」
「駄目です、死ぬとすっごい泣くじゃないですか」
「でもぉー」
「駄目ったら駄目です」
「妖夢のいじわるー!」
むーっと頬を膨らませて怒っている。
・・・まぁちょっとは・・・良いかな?
「・・・はぁ、ちゃんと面倒みるんですよ?」
「わぁい!妖夢、ありがとー!」
ああ、そんなに強く抱きつかないで下さい。
苦しいですから、でも柔らかい・・・
「じゃぁ幽々子様、一匹ずつ名前を付けましょう」
「ニャ!名前ならあるニャー!」
「みんなついてるの?」
「ありますなのニャー!」
意外や意外、みんなちゃんと名前があった。
クリームのような色に、茶色の模様がヨシムネ。
濃い灰色に、白っぽい模様がシヴァ。
茶色に、焦げ茶色の虎模様がケン。
真っ白なのがシズカ。
そして真っ黒なのがココア。
模様が違うが、性格も違う。
ヨシムネとケンはよく喋る、しかしココアはなかなか喋らない。
シヴァが好奇心旺盛で元気だが、シズカは冷静である。
「妖夢さん妖夢さん、何かお手伝い出来ることは無いかニャー?」
「ん?ああ、ヨシムネ・・・でしたよね?」
「そうニャー、お料理とかお手伝い出来るかニャ?」
お料理・・・確かに白玉楼は大喰らいの主がいる。
調理中は猫の手も借りたいくらい忙しい。
手伝ってくれるなら、腋巫女だろうと白黒だろうと歓迎する。
当然答えは、
「お料理、手伝ってくれますか?」
手が器用と聞いたが、予想の遙か上を行く器用さだった。
魚を三枚に捌いたり、大根の皮を剥いたりと。
火吹き竹も普通に使ったりしている。
「妖夢さん、このお肉はどうするのニャ?」
「あ、それは煮込むので」
しかも言う事をしっかりと守る。
マグロは捌く、アユは塩焼きと味噌焼き、牛肉は焼く!などと早口で言っても覚えている。
おかげでどんどん料理が出来上がっていく。
「火力がよわいにゃぁ・・・」
シズカがおもいっきり火吹き竹を吹いた。
もの凄い勢いで燃え盛り、火力はかなりあがった。
が、
「あづい!あづいニャー!!」
シズカに引火していた。
「ニャ!?シズカ!?」
「み、みず!水を!」
私は慌てて桶一杯の水をかけた。
「た、助かったニャー・・・」
と、こんなハプニングがありながらも、普段より何倍も早く、すべての支度が終わった。
部屋に運び込み終わった時に、思わぬ来客が。
紫さんや、藍さん、それに橙さんまで。
「やっほー、幽々子ー・・・何、その猫は?」
「あら、この子達は、あいるぅって言うのよ」
「ニャ!初めましてなのニャ!」
「おお、ちゃんと喋れるのね、化け猫か妖怪の類かしら?」
「違うのニャ!ボク達は獣人族なのニャ!」
紫さんは、じゅうじんぞく?どんな妖怪だったっけ・・・と首を傾げながら思いだそう、もとい考えている。
そんな紫さんをよそに、橙さんが質問をした。
「あのー・・・元は猫なんですよね?」
「確かに元は猫ニャ、だけどそこらの猫とは全く違うニャ」
「ほぇー・・・なるほど」
そんな些細な事でも会話が弾んで行く。
さすが猫同士・・・
そんな状況で幽々子様が、いきなり喋りだした。
「それよりもうご飯食べたいわー、妖夢ぅ、まだなのー?」
「いや、訪問客の分も用意し終わったらです、少々お待ちを」
紫さん達が来るときは、大体ご飯食べにきた、と言う理由なので用意しなければならない。
幽々子様には辛いでしょうが、待っていただかないといけない。
正直、自分の心も痛む。
「ああ、妖夢さん、私たちは食べてきたから平気です」
そう、紫さんの式である、藍さんは言った。
それなら準備はしなくて良い、少しだけ助かった。
「そうですか、では幽々子様、どうぞお食べk・・・」
「いただきまーす!」
早っ!
まるで嵐の様な速度で、山のようなごはんとおかずが消えて行く。
唐揚げやお刺身、豚の角煮と、大皿一枚に山のように盛りつけたはずなのに。
これが幽々子様の本気か・・・!
「ごちそーさまー、おなか一杯だわぁ」
「あまり咀嚼し過ぎると、体に毒ですよ」
「亡霊だからあまり意味は無いけどね」
この言い訳は聞き飽きた。
何回言っても直さないので、半分諦めている。
「そういや紫、なんで来たの?」
そうですよ、幽々子様。
ご飯を集りに来た訳じゃないなら、一体何故来たのだろう。
「ここらへんに境界の歪みを作っちゃったのよ、何を思っていたのかは分からないわ、だってその時私、寝ぼけてたもの」
何故、寝ぼけてそんな事をするのか分からないが、とにかく、危ない事だとは分かった。
たまに他の世界と繋がって、龍や悪魔、時にはよく分からない生命体が入ってきてしまう。
とりあえず分かるのは、生命体が入ってきたら、高確率で害が出る。
人並みの知能があるものなら、害は出ないが、獣型などは、何人かは死人が出る。
酷いときには、村が一個消える。
「もしかすると、そのアイルーって猫が入ってきたのかもしれないわ」
それは、遠回しに“危険な生物”と言っているようなものだ。
「でも、全然害を出さないわよ?」
「それでも危ないわ、何者か分からないじゃない、そんなやつは調べないと・・・」
「待って下さい」
つい、声を出して止めてしまった。
言いたいことがある、それは当たり前。
しかし、止めた理由は他にもある。
聞いていると、胸が締め付けられる、こんなに優しく、器用で頭が良く、人懐っこいアイルー。
そんなのが害を出すはず無いのに、一方的に言われ続けると胸が苦しくなる。
「なにか?」
「このアイルー達を・・・」
「アイルー達をどうするの?元の世界にもどすの?」
「私達の監視下に置かせて下さい、もし、害が出れば、私が迷わず斬ります、だから置かせて下さい」
言ってしまった。
もう後戻りはできない。
後悔などしていない、なぜなら、本音だから。
「・・・分かったわ、妖夢ちゃん」
「!ありがとうございます!」
正直、OKが出るとは思っていなかった。
心配そうに見ていた幽々子様も、安堵の表情。
「ただし、被害が出れば、斬りなさい」
「はい!」
藍さんと橙さんと遊んでいた(遊ばれていた)アイルー達も、途中から聞いていた様で、被害を出せば斬られるが、出さなければ役に立てる、そう知って、みんな喜び、跳ねたり左右に飛びながら上機嫌をアピールしたりと、これはこれで可愛い。
橙さんも釣られて飛んだりしている。
そこへいきなり、
「どうもこんにちは!清く!正しく!射命丸 文です!突然ですが、何かn・・・」
射命丸さんが目にした光景は、きっとシュールだっただろう。
猫と飛び跳ねる白玉楼の主や、庭師、さらには八雲の大妖怪の式の式まで。
実に猫々しい光景である。
「こ、これは・・・ハッ!出てきた、出てきたぞぉ!見出しは“白玉楼、猫祭りか!?”!これは売れる!」
「ニャ?誰かいますにゃ」
シヴァの一言で、射命丸は遙か上空に飛ばされた。
猫は水やお風呂が嫌い。
てっきり、アイルーもお風呂が嫌いだと思ったが、正反対だった。
ただ綺麗好きだったのか、そう言う種族なのか分からないが、良かった。
幽々子様のわがままにも、付き合えた、それだけでも良いことだ。
幽々子様のわがまま、それは簡単な話。
アイルー達とお風呂に入りたい。
お風呂の時間になって、いきなり言われたのでびっくりした。
「さぁて、隅々まで洗っちゃうわよぉ」
「幽々子様、ずいぶんと上機嫌ですね」
「だって、自分の願望が叶ったのよ?それなのに、テンションが低かったらおかしいじゃない?」
確かにそうだが、いつもならお菓子で釣らないとなかなか髪などを洗わない位、めんどくさがりなのに、今日に限ってはアイルー全員の体を洗ってるのだ。
これはこれで怖い。
アイルー達も抵抗せず、むしろ気持ちよさそうに目を細めている。
「それより、妖夢の事も洗ってあげるわ」
「え!?いや、やめていただk」
「問答無用!うりゃー!」
幽々子様が飛んできて、頭をおもいっきり打った。
そこから記憶が、途切れた。
気づいたら、自分の部屋に居た。
たしかお風呂場で・・・駄目だ、思い出せない・・・
最後に見えたのはたしか・・・幽々子様の・・・桃?
「あ、気が付きましたかニャ」
一匹の虎猫、ケンがいた。
「ボクは基本、看病が得意なので、妖夢さんの容態を観ていて、と任されたニャ」
そう説明をしてくれた。
分かりやすく、だが省きすぎずに。
「えーっと・・・私は何故、ここに?」
「みんなが協力してくれたニャ、起きてくれただけでも一安心ニャ」
「他のみんなは・・・?」
「う・・・それは秘密ニャ・・・」
何故か、ケンの表情が曇った。
何か問題でも起きたのだろう、聞き出さなくては。
「なにか、起きてるのですか?」
「・・・はい、ですニャ」
やはり!
紫さんも帰り際にに、こう言っていた。
ーたぶん、他にも色々と来てるかもしれないから、気をつけなさい。と。
「なにが来たんですか!?教えてください!」
「・・・イャンクック、ニャ」
・・・いゃんくっくって、なんだろ?
「竜ニャ、そこまで強力じゃ無いけど、確かに竜ニャ」
「どこにいるの!?」
「庭に・・・いますニャ・・・」
「く・・・!」
私はとっさに、刀を握った。
しかし、ケンが止めてきた。
「駄目ですニャ!今の妖夢さんは一応けが人ですニャ!」
「そんなでは白玉楼どころか、幽々子様も守れません!」
「それでも・・・!」
私は、ケンを振り切り、庭へ急いだ。
相手は予想以上の大物だった。
軽く7メートル以上はある。
「ニャ!?妖夢さん!?」
「はぁ!」
出会い頭に、大きな耳の様なものに、一太刀浴びせた。
予想以上に食らったらしく、よろめいた。
「うう、妖夢さんを守るニャー!」
「「ニャニャー!」」
アイルー達が、かけ声を上げると、どっからともなく樽を出した。
それをイャンクックに投げつけた。
次の瞬間、ものすごい爆発が起きた。
きっと、アイルーの投げた樽は、爆弾だったのだろう。
樽爆弾(仮)をまともに喰らったイャンクックは、怯み、足を引きずりながら去ろうとした。
「逃がさない・・・!」
私は、イャンクックの前にでた。
そして、飛ばされた。
イャンクックが、火を吐いたのである。
火傷を負う位の温度だが、不思議と傷だけですんだ。
「ぐっ・・・」
しかし、予想以上に傷が多く、立ち上がった瞬間に激痛が全身を走った。
「ニャ!?みんな、イャンクックを引きつけるニャ!」
ヨシムネのその号令も遅く、尻尾で飛ばされた。
横腹に見事に入った為、一瞬だけ、呼吸が出来なかった。
「妖夢さん!!!」
「うう!ニャーーー!」
シヴァが全力で飛びかかった。
手に持っていた刀(何処から出てきたかは不明)で切りかかった。
そんなに利いた様子は無く、無意味に近かった。
そのとき、目の前に刀が落ちてきた。
真っ赤な刀が、二本。
なにか不思議な力があるのか分からないが、引きつけられるように、その二本の刀を握った。
そして、目の前に来たイャンクックに、その刀で飛びかかった。
「にゃぁぁぁぁーーーー!!」
不思議とそう叫んでしまった。
力一杯斬った、そして。
「秘技・・・!」
「ニャ!?」
「“二閃・妖式”!」
技名などは、本当は無い。
ただ右手の刀で袈裟斬りを放った後、流れに任せて回転しながら左右の刀で切りつけただけである。
正直、無我夢中だったため、叫べれば良かった。
ただ、その斬撃で倒せちゃったので、ちゃんとした技として覚えておく事にした。
「か・・・勝った・・・」
そこ後、力が抜けて倒れてしまった。
「・・・む・・うむ・・・」
誰かが呼んでる・・・?
「・・・ようむ・・・妖夢!」
意識がいきなりはっきりとした。
不安そうな幽々子様と、必死で看病、看病となにかを調合しているケンの姿が見える。
「あれ・・・?幽々子様、私は庭にいたはずじゃ・・・」
起きあがろうとしたが、体が動かない。
さらに鋭い頭痛も襲ってきた。
「ああ!無理しちゃ駄目ですニャ!」
ケンがそう言ってきた。
「私は・・・どうなったのでしょうか・・・?」
「イャンクックを狩った後に、いきなり倒れたニャ」
「あなた凄いわよー、妖夢、自分の三倍以上でっかいやつ倒したんだから」
幽々子様の表情が一変し、明るい表情になった。
ああ、あれは夢じゃないのか。
夢じゃないと分かった途端、誇りと恥ずかしさが自分を取り巻いた。
正直、恥ずかしさのほうが強い。
「かわいかったわよぉ、妖夢のにゃー」
「確かにあれはかわいかったですニャ」
「っっ!!!!!?」
きっと、今の自分の顔は真っ赤だろう。
真っ赤で思い出した、あの刀は何処へいったのだろう。
「いやまさか、これまで入ってきていたとはニャー・・・」
そう言いながら、ケンは私が振るった真っ赤な刀を出してきた。
「あ、その刀は・・・」
「ニャ?これですか?」
コクリと頷いたら、説明をしてくれた。
「これは、紅蓮双刃と言う双剣ニャ、二本持つ事によって、刀が互いの能力を高めあう性質を持つ不思議な双剣ニャ」
「なるほど・・・」
「竜殺しの武器でもあるニャ」
「!!」
竜殺しと聞いて、驚いた。
だから、私が惹かれるような魅力が有ったのか・・・
「でもこの刀の素材が竜ですから何でもいいんですけどニャー・・・」
難しいところニャー・・・とアイルーが唸っているが、一つ気になった事がある。
「その刀、どうするんですか・・・?」
「とっておくニャ、またあんな感じのが来るかも知れないから一応とっとくニャ」
「はぁ・・・」
「妖夢さんに使ってもらうため、ですけどニャー」
「でも、私はこんな状況ですよ?」
満身創痍、そうとしか言えない。
そんな状況で刀を振るうなんて不可能だ。
「そうだ、妖夢」
「なんでしょうか、幽々子様?」
「ついでだし、妖夢には当分休んでもらうわ」
・・・え?
何でそうなるの?
「だって最近の妖夢、修行に庭の手入れ、そしてお料理と、いろいろやりすぎだったじゃない、だからその怪我が完治するまで、妖夢はお休み、いいね?」
「でも、掃除とかは誰が・・・」
「ボク達に任せるニャ!」
アイルー達が、「任せるニャ!」やら「大丈夫ニャ!」などと言っている。
「でも・・・」
「妖夢さんは休んでていいニャ!ボク達が何とかするニャ!」
「いや、でも心配です・・・」
「お掃除にお洗濯、ボク達に不可能は無いニャ!」
「だから、妖夢は休んでてね?いい?」
「あ・・・はい・・・」
あまりにも凄い気迫に圧され、承諾してしまった。
普段なら、ものすごい後悔をいている筈なのに、全くしていない。
アイルー達を信用してるからだろうか、ただ疲れているからだろうかは、分からない。
「妖夢、あなた最近、忙しくてそんなに食べてないでしょ?」
「ええ、確かにそうですが・・・」
「できたニャー」
なにやら、食欲のそそられる、いい匂い。
どうやらアイルーが、お粥を作ってたらしい。
「ほら、妖夢も食べましょ?」
幽々子様、貴女も食べるのですか。
そんな事を無視するかのように、おおきなどんぶりと、中くらいのどんぶりに一つずつ、小さなお椀に五つと、お粥が盛られている。
見た目も香りも良く、入ってる野菜などのバランスも良い。
アイルーを侮ってはいけないと、知った、これなら平気だと、分かった。
「それじゃあ、食べようか?」
「・・・はい!」
その時に食べたお粥の味は、忘れられない。
あったかい、優しさの味だった。
...続くかな?
妖夢可愛いよ、けどアイルーもかわいいよw
「にゃー」な妖夢が微笑ましい
イャンクックには随分とお世話になった記憶が
元大砲モロコシ使いだったあのころが懐かしい…
久々にやりたくなった。
>rapisuさん
マジカッコいいwwww
たしかに非常s・・・お供ができました
rapisu先生!アイルーがかわいいのはアイルーでは無く愛ルーだからだと思います!
大砲モロコシは剥いでたら撃たれて飛ばされた思い出しか・・・
≫奇声を発する程度の能力様
当たってレイアの即死コンボでぽっくりと
あの時は泣けました
≫3様
厨武器とは心外な!意外と傷つくんですよ、その言葉・・・
以上、コメントから失礼しました!
・・・そういえば、最近やったスニーキングなゲームにて、アイルーにつられて初めてモンスター狩りに行ってみましたが・・・・・・、正直、こう思いました。
「・・・これ、なんて無理ゲー?」と・・・orz
しかし7メートルっていうのはすげーな…。面白かったです。
アイルーほんとうにかぁいいよぉ
スニーキングなティガちゃんですか・・・最後はナイフしか残らない感じがしますねー・・・
モンハンでは大剣で振り向いて来たところで溜切りがスカッとします
≫ワレモノ中尉様
アイルーは癒しの神だと私は悟りましたね
7メートルは王冠ついちゃう記録ですねw
以上、コメントから失礼しました!