『管理者として操ってください』
はぁ?
意味が分からない。もう一度やってみる。
『管理者として操ってください』
・・・どうゆうこと。
ちょっと状況を整理してみましょうか。
私が朝起きて上海に命令を送ろうとしたら拒否された。
糸をいくら動かしても同じ、管理者がどうたらと糸を通じて返ってくるだけ。
以上
・・・なんで?
同じ要領で蓬莱を操ってみる。
「ホ~ライ!」
きちんと動くわね。
私の操作は間違っていないはず。
仕方がない。
糸を全部外して、もう一度繋ぎ直してみましょ。
上海はいつも糸を付けたままだったし、どこかでこんがらがったのかも。
一度糸を全部外して・・・
丁寧に一つ一つ確認しながら繋いて・・・
よし、問題無いわね。もう一度確認して・・・
よし本当に問題は無いはずよ。
それじゃ、動きなさい上海!
『管理者として操ってください』
・・・・・・・・・なぜにホワ~イ?
まずい。思考が飛びかけたわ。
魔法使いたるもの、現実から目を背けてはいけないわ。
ヒントは上海から送られてくるメッセージね。
管理者として操ってください。
要するに、私は管理者として操っていないってことよね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!
つまり・・・私は上海の管理者では無かったってこと?
そんなのおかしいわ。上海は私が作って、ずっと私だけが操ってきたはず。それなのに管理者じゃないって。
ん? 私が管理者じゃない。じゃあ・・・管理者って、誰?
そうよ、私が管理者じゃないってことは、私以外に管理者がいるってことじゃない!
私、上海の前で着替えたり、お風呂入ったり、寝たりしていたのよ。
・・・もしかして・・・全部・・・誰かに・・・ずっと・・・見られてた!?
い~~~や~~~~!!!!
落ち着け、落ち着くのよアリス。
素数を数えて落ち着くのよ。
1・・・2・・・4・・・8・・・16・・・32・・・64
って、これ2の乗数じゃない!
そんなことはどうでもいいわ。とにかく管理者を見つけないと。
人形は基本魔法で動くから、犯人は魔法が使える奴、要するに魔法使いね。
思い当たるのは3人、魔理沙にパチュリー、それと白蓮ね。
まず魔理沙・・・まあ、あり得ないわね。パワータイプで人形を操るような適正は無いはず。
その上、いままで私に気づかせないような真似、できるとはとても思えない。
次にパチュリー・・・技量的には可能性が一番高い。豊富な知識があり使い魔のバックアップも受けられる。
私が知らない人形制御系術式の1つや2つ、使えてもおかしくない。でも動機が無いのよね。
最後に白蓮・・・自身の強化を得意とするタイプで、人形遣いとしての適正はないと思う。
それに他人を盗み見するような人とはとても思えない。お母さんとも知り合いらしいし・・・んっ・・・お母さんと知り合い・・・
能力はともかく動機は十分じゃない。もし仮にお母さんになにか頼まれていたとしたら・・・
そのための術を教えて貰っていたとしたら・・・ありうるわ。
要するに・・・可能性があるのはパチュリーか白蓮ね。魔理沙は除外していいはず。
さて、どうしましょうか。
う~ん
いくら悩んでも答えはでないわね。
しょうがない。誰かに相談しましょ。
とはいえ、こんな相談魔法使い以外にできないし、誰に相談するか・・・
魔理沙・・・却下ね。候補から外れているから、一番相談しやすいけど、
上海を力任せに分解しようとして壊してしまいそうだわ。
パチュリー・・・能力はあるけど動機がない。一番妥当ね。
白蓮・・・一番可能性が高い所に、いきなり訪ねるのは気が引けるわね。
そういうわけでパチュリーにしましょ。彼女に解らなくても図書館で調べることもできるし、
そうと決まったらさっそく出かけますか。
「事情は解ったわ。ちょっと待ってなさい」
さすがパチュリー、話が早いわ。
「おまたせ、これを読んで」
なにこの本?え~と題名は・・・
『よくわかる! 魔界の窓,sなな』
「あなたO・S(お人形・制御術式)は自前のものじゃないでしょ」
当たり前じゃない。今の時代、O・Sや個々のパーツを自前で用意する人形遣いはよっぽどの趣味人ぐらいよ。
私も駆け出しの頃ならいざ知らず、今じゃ魔界ネットで取り寄せてるわ。
「その本の589ページを見なさい」
え~と、なになに・・・
管理者として実行する方法・・・右手中指の糸を引っ張って・・・上下にふって・・・3回回す・・・
「シャンハ~イ!」
うわっ、上海が動いた!
「あなた、最近O・Sをバージョンアップしたでしょ」
そういえば、昨日新しいバージョンが魔界ネットで送られてきたから、上海に組み込んだんだった。
すっかり忘れてたわ。
「仮にも一人前の人形遣いを自称するなら、O・Sの機能ぐらい把握しときなさい」
面目ない。
「あなたにしろ魔理沙にしろ、魔法使いとしての基本を疎かにし過ぎているわ」
返す言葉もありません。
「大体、知識を粗末に扱いすぎよ。知識に敬意を払うのなら、死ぬまで借りるなんて言葉でてくるわけないわ」
そんなの魔理沙ぐらい・・・はぁ、しばらく続きそうね。今日の所は甘んじて受けるしかないか。
それにしても、白蓮、お母さん、全ては私の未熟のせいでした。疑ってごめんなさい。
魔界某所
「ふう、アリスちゃんに気づかれたかと思って、ちょっと慌てちゃった」
「こんなことしてると、いつかは気づかれますよ」
「夢子ちゃんは心配しすぎ。さすがのアリスちゃんでも、
O・Sそのものに魔界への送信機能が仕込んであるなんて、夢にも思わないでしょ」
「このためにわざわざ新しいO・Sを作らせ、大々的にばら撒かせたんですか」
「そうよ。だってアリスちゃんにだけ新しいの渡したら、すぐに解っちゃうじゃない。
もちろん送信機能が作動してるのはアリスちゃんにあげたやつだけよ。
あと難点があるとすれば、秘匿のために出力を絞ってるから、白蓮ちゃんに中継してもらわないと届かないところかしら」
「よくこんなことに協力してくれましたね」
「言いくるめるのに苦労したわ」
「あなたという人は・・・どれだけ人を巻き込めば・・・」
「でへへ~~、アリスちゃ~ん、お母さんはいつも見守ってますからね~」
覗き魔界神www
windowsシリーズに監視プログラムが組み込まれていたら怖いなー
面白かったです
こういう話も面白いなぁ。