Coolier - 新生・東方創想話

150cmの

2007/03/17 01:27:12
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さて、本日は新しい人形のならしをしております。
新しいといっても、前の魔法の応用だけど。
とりあえず上海たちと同様に、お供のごとく一緒に飛行。
魔理沙に見せたら絶対にいじられるから見せられないわ。

「まぁあの図書館でいいかしらね」

魔理沙が来る可能性も無くはないけど、それを考えたらどこにも行けないわ。
なによりあそこは知識量なら、他所の比ではない。
隣を飛ぶ青紫の人形も、頷く。
でも氷精の方を向いて頷かれても、理解しているとは思えない。








というわけで、紅魔館にやってきました。
門番が多少たそがれているのは気にしないこと。
いつものことだし。

「こんにーちはー」
「え?あ、いらっしゃい?」
「何で疑問なのよ」

門番だというのに、意識をどこかへやっていたらしい。
まぁ、中の方が危険なんだけど。

「ちょっと図書館に用があるんだけど、いいかしら?」
「あ、えーと。ちょっと待ってください」

門番は懐から何かの符を取り出した。
どうでもいいんだけど、すごく均整の取れた体してるわね……。
羨ましくなんかない。

「はい。そうです。二人です。いえ、見たことない人ですけど白黒じゃないです」
「…………」
「強硬手段じゃない分、安全だと思いますけど。」
「………」
「あ、アリスさん。お連れの方のお名前は?」
「蓬莱」

どうやら通信用のスペルカードだったらしい。
たぶん、ここの魔女作だろう。

「お待たせしましたー。どうぞお通りくださーい。あ、一応通行証っぽいのを持っててくださいね」
「……っぽい?」
「いつもは使ってないので急造です」
「ご苦労様……なんで泣いてるの?」
「あああ、すいません。正門を通ってくれる客なんて久しくいなかったものですから……」

…………本当に、ご苦労様。

「あ、ところでそちらのお連れの方は妹さんですか?」
「んー、家族かもしれないけど妹ではないわ」
「……あ、お姉様ですか」
「違うわ」
「?」

理解してない門番を置いて、私は館の中へ。
理解してもらおうと思って言ったわけじゃないしね。






紅くて薄暗い廊下の途中。
遭遇した妖精メイドと普通のメイドに怪訝な顔をされた。
気にしないことにしておく。
まぁ、見たことが無い人が私と一緒に堂々と歩いているように見えれば当たり前か。
途中で廊下の奥にメイド長がいたけど、こっちに気づいてないようなのでスルー。

なんとなく覚えていた道順で、図書館に辿り着いた。
途中何度か行き止まりになったのは仕様というものだ。
皆には内緒で。

「お邪魔するわよー」

一応声をかける。
以前無断侵入したときは、突然大玉弾をもらったりした。
さらにはスペカも。




声をかけてしばらくして。
司書らしい赤毛の悪魔が奥から飛んできた。

「アリスさんでしたか。いらっしゃいませ」
「はい、いらっしゃいました」
「パチュリー様に御用ですか?」
「うーん。それもあるし、調べたいこともあるし……」
「それでは、先にパチュリー様の居場所だけ教えさせていただきますね」

小悪魔によると、今日は占術付近にいるとのこと。

「ところで、今日はお連れがいるようですけど、どなたですか?」
「新作……といっていいのかしら。やったこと自体は応用みたいなものだし」
「ということは人形さんですか。今回はまたずいぶんと精巧ですねー」
「実験をかねてるけどね。まぁお邪魔させてもらうとするわ」

手をひらひらと振って、小悪魔と別れる。
小悪魔は、また本の森に消えていった。
司書の仕事がどんなにきついかはわからないけど、この図書館に常にいるというのは少々羨ましい。
隣では、キョロキョロと辺りを見回している気配が。
……あ、この子連れてくるのは初めてだっけ?





「……何の用?」
「来客に対してはあんまりな言い方じゃない?」
「ようこそいらっしゃいやがったなこのやろう」
「より悪い」

図書館の主?のパチュリー・ノーレッジは珈琲と本を持ちながら、ジトい目で私を見る。
ジトいって何だろう。

「で、何の用?」
「特に用は無いけど、新しい子?のならしに」
「何で疑問系なのよ」
「うーん。基本的には今までの子と大差ないし」
「量産でも始めたの?……でも、それっぽい人形がいないけど」
「え?」

振り返る。
いない。
あれ?!
ほうらーい!!

「アリスさーん、迷子のお知らせでーす」

小悪魔が、ティーカップを持ってやってくる。
後ろには、本を読みながらついてくる人形。

「あぁ、ありがとう小悪魔!」

私の一週間が泡にならずに済んだ!
ほんとありがとう!

「……随分と大きい新作ね」
「今回はちょっと趣向を変えてね」
「手が取れて動いたり?」
「……しないわよ」
「それはただ大きくなっただけじゃない?」
「まぁそうなんだけど。」

中身もほとんど変わっていない。
というか変えていない
見れば、本人はまだ本を読んでいる。
よく見ると、上下逆。
直してあげた。
読んでないな。

「非効率じゃない?」
「まだ、うまいこといかないわね」

自我をつけようとしても、変な方向にいって本読んでるし。

「しかし、どこかで見たことある人形ね」
「あぁ、蓬莱をベースにして大きくしてみたの。というか、蓬莱そのものね」
「ああ、あの首吊ってたり口からレーザー出したりする人形ね」
「……微妙な印象しかないわね」

蓬莱はロープを取り出している。
いいから、吊らなくていいから。

「……まだそれ半自律よね?」
「残念ながらね」
「多少自律できてない?」
「……気のせいってことにしといて……」

自律というよりも、暴走。
魔理沙の魔砲ほどではないにしろ、それなりに問題があるから困りものだ。
それ以上に予想ができない。











で、図書館でお昼をご馳走になり。
パチュリーとは特に会話もなく、本を読んでいた。
蓬莱も本を読んでいたのだが、途中で飽きたらしい。
小悪魔と何かして遊んでいた。
何だったのかはわからない。
小悪魔から何か受け取っているが、後で聞くことにしよう。

「……そろそろお暇しようかしら」
「そう?せっかくなら夕食まで食べていけばいいのに」
「それも魅力的だけど、そろそろあの姉妹が起きる時間でしょ?」

姉のほうはまだしも、妹の興味を引けば蓬莱は一瞬で壊されてしまうかもしれない。
さらに魔理沙が来たら、強奪の上誘拐までも……!

「何、深刻な顔してるのよ」
「娘の安否が……!」
「……あなた子持ちだったのね」
「はっ?!」

違う!
私は未婚だし、実子はいないしそんなことは!

「とりあえず落ち着けば?」
「はーいノニジュースですよー」
「ああ、ありが……うぼぁっ」

不味い。

「はい、お水です」

この娘、超笑顔。
確信犯め……!

「……楽しくやってるところ悪いけど、妹様接近中」
「あ、あぁまずい。ありがと。蓬莱、帰るわよ」
「……」
「蓬莱?」

蓬莱は本を一冊持ったままだ。
表紙を見る限りでは外の本のようだ。
さっき読んでた本とは違い、胸に抱えるように持っている。


ふむ。


「パチュリー。これ一冊借りていっていいかしら?」
「それは外のだけど、魔術的なものは多分無いわよ?それでもいいなら貸してあげるわ」
「ありがと。そのうち返しに来る」

礼を言って早急に、館から出ることにした。
門のところで通行証っぽいものを門番に返し、そのまま空へ。
もう太陽は、西の空を紅く染めていた。










家について夕食をとった後。
上海と一緒に、今回の試行の記録をつける。
蓬莱(大)は後ろで本を読んでいる。
借りてきたのは人形についての本らしい。
蓬莱(小)も一緒にいて、作業をしながら気をかけているようだ。
同属というか、似たようなものが気になったのだろうか?


「んー……、まだまだ目標には遠いか」


ペンを置いて、後ろを振り返る。
動く人形全員が、蓬莱(大)の近くに集まって本を読んでいた。
なんか宿り木みたいになってる。
何の本なのかしら。

「上海」

上海は、内容の一部を報告してくれた。
外の人形の形状がいろいろ書いてあるらしい。
……こけし?
髪が伸びる人形……面白いかもしれない。
外の世界も、なかなか面白そうだ。




「ところで蓬莱」

二体反応した。

「あ、ごめん。大きい方」

蓬莱(小)がうなだれる。
悪気は無かったの……。

「さっき小悪魔から何をもらっていたの?」

そう言うと、蓬莱(大)は胸元から小瓶を取り出した。
そんなやらしいこと誰から……小悪魔ね。
取り出した小瓶のラベルを見る。


これに……何の意図が?
そして誰に使うのか。
この子だと、多分遊んでもらった小悪魔に使うんだろうな。
まさかカウンターを食らうとは思うまい。









それから、人形全員の手入れをして。
私が身と心の洗濯から戻ってくると、蓬莱(大)が私のベッドに寝ていた。
……寝るという表現があっているのか、わからないけど。
蓬莱(小)はその上で、申し訳なさそうな顔をしている。
私は苦笑ぎみに、気にするなと返した。
蓬莱(小)は、自分の待機場所へともどっていった。
自分の妹だと思っているのだろうか、先から面倒をよく見ているようだ。

「そういえば、この子の場所は用意してなかったか……」

仕方ない、明日作ることにしよう。
私は明かりを消して、布団に潜り込む。
誰かが同じ布団で寝てるって、案外落ち着かないというか、くすぐったい。






まぁ、たまにはこういうのもいいかもしれない。
今度は、この子を連れてどこに行こうか。




少し楽しみになった。
じゃ、そろそろ寝るとしましょうか。




「おやすみなさい」
何かをどこかで間違えた小宵です。

ホラーイ

アリスの新作はどこか幼稚というか幼児っぽい人形だったという話。
3歳くらいの子供連れて買い物してるお母さんは大変だよねアハハ。
図書館のアリスの慌てっぷりを楽しんでいただけたら幸いです。

小悪魔が何を蓬莱人形(大)に渡したのかはご想像にお任せします。
まぁ、小悪魔ですからあんなものやこんなものかもしれません。
お楽しみでしたねウフフ。
小宵
http://www.geocities.jp/snowtic_road/
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コメント



0.1910簡易評価
4.70名前が無い程度の能力削除
面白かったです。アリスの心配性がなんか母譲りっぽくてほほえましい。
でも150cmといったらお子様にしては少し大きいような・・・
それはさておきノニジュース・・・あのノニジュースか!!
私もとても飲めず側溝へ流した経験があります
11.40反魂削除
もう一歩結末が深くあれば良かったかなと思いますが、総じてテンポが非常に良く読みやすかったです。

誤字
・釣らなくて→吊らなくて
21.80名前が無い程度の能力削除
(大)と(小),それぞれかわいいです~
24.80名前が無い程度の能力削除
天然ホラーイ(大)可愛いよっ。マスターのベッドまで占領するとは、大物なヨカン
こちらは本来の蓬莱もちゃんと居るんですね。こう言うのもいいなぁ
でもこの大きさで吊られると、夢でうなされそうだ…;

そして、このホラーイのドタバタ劇をもっと、もっと読みたくっ
…一読者の勝手な意見ですが、ご一考頂けたら幸いですー
26.80削除
非常に可愛らしいし微笑ましいのですが、オチがもうひとつ薄くて、もう一日分くらい続くとちょうどいいのじゃないかと思いました。
27.90時空や空間を翔る程度の能力削除
楽しく読ませて頂きました。
30.無評価小宵削除
いつもオチが弱い小宵です。
レス評価ありがとうございます。

蓬莱(大)が不覚にも書きやすかったです。
もっと(小)と絡ませればよかった。
むしろ絡ませようか。


>>誤字
修正しますた(´'ω')
48.90名前が無い程度の能力削除
もっと早く読むべきだった
49.80名前が無い程度の能力削除
蓬莱(小)が可愛すぎるwww いや大きい方も可愛いけど。
アリスと二体の掛け合いがなんともいえずかわいい。
50.80名前が無い程度の能力削除
こんな日もいいね