Coolier - 新生・東方創想話

いっそ食べてしまいたい

2008/09/09 02:21:03
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「はぁ………」

こんにちは。私は永江 衣玖と申します。
事件が過ぎ去ってからというもの、とても平和な日々が続いており私も安穏な生活を送っております。
今日もいい天気で、自然と心が温かくなるようなポカポカとした日差しが私を包んでくれて、とてもいい気持ち。
しかし私の心は晴れ晴れとしたものではなく、どこか暗い影を落としています。

「はふぅ………」

先程から、こんな陽気に似つかわしくない溜め息まで出てしまう程なのです。
私は今この上なく思い悩んでいるのです。アンニュイな気分なんです……それもこれも…

「衣玖ー! 遊びに来たよー!」
「…総領娘様」

全てこの人の所為なのです。
彼女の名前は比那名居 天子。前の騒ぎの張本人なのですが、今回の話とは関係ありません。

「どうしたの? なんか元気無いね?」
「お…お顔が近過ぎます、総領娘様。私はいつも通りですよ」
「そう?」

ふぅ…離れてくれた……そんな不用意に私に顔を近づけないで下さい。
貴女が傍に居るだけで、私がどれ程我慢をしているのか分かっているのですか?
そんな無邪気に近寄られると…私の中の黒い感情が沸々と湧き上がってしまうのですよ…?

「そうです。それより、今日はどのような用件でいらしたのですか?」
「だから、遊びに来たって言ったじゃん。ねー何かして遊ぼうよー」
「…ですから、お顔が近過ぎます。もう少し離れてお話しして下さい」
「私と衣玖の仲じゃない。それとも私のこと嫌いなの?」
「いえ…そういう訳ではありませんが…」
「だったらいいでしょ」

あぁ…そんなに身を乗り出して私に接近されるなんて…
貴女が傍に寄る度に何とも甘い香りが漂って、それがまた私の理性を狂わせるのです…
出来ることなら今すぐにこの両の手で抱きしめて…欲望の赴くままに貪ってしまいたい…
でも相手は総領娘様だ。そんな無礼を働くなんて私にはとても出来ない。

「それより何して遊ぼうか?」
「何して…と申されましても、私には何も思いつきませんが…」
「えー、衣玖ったら役立たずねー」
「そう言われましても…総領娘様は何かやりたい事は無いのですか?」
「無いから衣玖の知恵を借りに来たの」
「ですが遊びなんて私には…」
「相変わらずの堅物ねー。もっと柔軟に生きないと禿げちゃうわよ?」
「総領娘様…」
「冗談に決まってるじゃない、真に受け過ぎよ。そんなだから堅物なのよ?」
「う…」
「けど困ったわね…衣玖の知恵が無いとなると、後出来ることといえば…」
「出来ることといえば?」
「こんなにいい天気だし…」
「いい天気だし?」
「お昼寝しかないわね」
「おひるね…ですか?」

どんな無茶な事が飛び出すのかと思ったら、お昼寝とは…
でもこれで彼女は自分の住家に戻ってくれることだろう。これ以上傍に居てもらっては私がもたない。

「という訳で、膝枕して」
「…はい?」
「膝枕よ、ひ・ざ・ま・く・ら。ほら早く」
「あの…帰ってお休みになられるのでは?」
「一人で寝ててもつまんないでしょ? それに、私は衣玖の膝枕がいいの」
「総領娘様…」

これで帰ってくれると思ったのに、どうやら彼女は今より接近するつもりらしい。
その上、事もあろうに今の私に一番無防備な姿を晒すつもりだと言うのだ…そんなことされたら…

「ねーえー、衣玖ぅー」
「わ…私などの膝より御自宅で休まれた方が疲れも取れますよ?」
「だからー、衣玖がいいのー。ねぇ早く座ってよー」
「ですが…」
「むぅ…思った以上に頑固ね。こうなったら…」
「…?」
「実力行使よ!」
「え…きゃあっ!?」
「えへへ~…衣玖はあったかいねー」
「そ…総領娘様…」

突然私の脚めがけてタックルを仕掛けてきたかと思えば、いつの間にやら総領娘様は膝の上に頭を乗っけていらっしゃいました。
どうやら逃げられない状況に追い込まれてしまったようです。彼女も私を逃がす気は無いようで、脚をがっちりホールドしています。

そしてタックルと同時にえもいわれぬ甘い香りが私の鼻腔をくすぐったのです。
もう止めて下さい…これ以上は本当に危険ですから……私、自分を抑えられる自信がありません…

「…申し訳ありませんが離れて頂けますか…?」
「………」
「総領娘様?」
「すー……すー………」

いくらなんでも寝るの速過ぎませんか? それともお疲れだったのですか?
どうしましょう…この方から回避するにはここから離れるのが一番なのですが、ここに置き去りにするなんて事はできませんし…
やはりこのまま総領娘様に付き合うしかないのでしょうか…しかしそれでは私が……

「んぅ……」

私の膝の上で彼女が寝返りを一つ。それと同時に甘い香りがふわり。
あぁ、何といい匂いなのでしょう…私の理性を容赦なく溶かしていく甘美な誘い…
極上の媚薬のような、蕩けるような香りに、私の体も自然と熱を持ってしまいます…
若干潤んだ瞳で私を狂わせる元凶に目をやると、見るからに瑞々しい張りのある肌が…
いつの間にか私の手はそこに伸びていました。後少しで触れる、そこまで来て私はピタリと手を止めました。

「駄目…触ってしまうと後戻りができなくなる…」

自分が…抑えられなくなる……それだけはいけない。
もし私がこのまま行動したなら、それはきっととてもいけない事だから…

「…ん…衣玖……」
「あっ……」

総領娘様が再び寝返りを打ったのです。その所為で、私の手はとうとうそれに触れてしまいました。
思った通りの手触り…丸みを帯び、美しく整ったフォルムが私の手に吸い付くようで……気持ちいい…
少し触れるだけでこれ程の悦楽だなんて…もしその全てに触れることができたなら、一体どれ程の快感が得られるのでしょう…

「すー……」
「…駄目、もう抑えきれない……そんなに無防備なのがいけないんですよ…?」

今ので私の心の箍が外れてしまいました。総領娘様には申し訳ないですが、もう…止まりません。
私は触れるだけでは飽き足らず唇を寄せることにしました。
恐る恐る顔を近づけてゆくと、今まで以上の香りが漂ってきたのです。本当に私を誘っているような…そんな感覚に陥りました。
誘われるがまま顔を近づけてゆき、とうとう唇が触れてしまい、その瞬間私の気持ちは有頂天まで達したのです。
想像をはるかに上回る芳醇な香りが私の頭を掻き回し、精神を淫靡に溶かし切りました。

「はぁ……はぁ………」

暫くして顔を離した頃には私の頬もすっかり上気して、息も荒くなっていました。
心臓の鼓動が自分でも分かるくらい速く、私を急かすかのようです…

「はぁ……もう…堪え切れません……我慢しなくても…いいですよね…?」
「…んふふ……いくぅ~……」

全てあなたが悪いのですよ…?
不用意に私に近づくばかりか、そのように無防備で悩ましげな姿を晒すから…
…そのように甘い香りで、私を…誘うから…

それでは…いただきます。

       ・
       ・
       ・
       ・
       ・
       ・

「……すめ様。総領娘様」
「…んぅ……衣玖…?」
「そろそろ起きて下さい。日も沈んできました」
「…あ、そっか…衣玖の膝枕で寝ちゃったんだっけ…」
「そうですよ。随分深く眠られていたようですが、そんなに私の膝は良かったのですか?」
「うん…すごく良かった…」

あったかくて気持ち良かったなぁ……出来ることなら毎日お願いしたいくらいだ。

「それは光栄です。ほら、早く起きて下さい。こんな所でいつまでも寝ていては風邪をひいてしまいますよ」
「うぅ~…わかったわよぅ……あれ?」
「どうしたのですか?」
「いや…なんか頭がいつもより軽いような…」
「…気のせいでしょう」
「そうかな……あれれ? 帽子の桃が一つ足りないよ?」
「……気のせいでは?」
「いやー、いくら私でもそれは無いよ。衣玖、何か知らない?」
「………いいえ、知りませんよ?」
「そっかー、衣玖が知らないならどうしようもないね」
「そうですとも」

うーん…本当にどこ行っちゃったんだろう……まぁいっか!

「じゃあ私帰るね。衣玖、バイバーイ!」
「はい、さようなら………けぷ…」
途中まで書き進めて、そのまま行かずに無理やり路線変更しました。
そしてこれが緋想天初書きです………orz
ちょっとオチがわかりやすかったかもしれません。途中で気付かれた方、私の力不足です。本当にごめんなさい…

ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました。

※誤字修正しました
お腹が病気
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コメント



0.1460簡易評価
1.80名前が無い程度の能力削除
コレは衣玖×桃か?
6.40名前が無い程度の能力削除
オチ読みやすすぎですね。はい
8.70名前が無い程度の能力削除
ズコー
俺のこの高ぶりをどうしてくれる
10.70煉獄削除
私は天子の帽子についてる桃のことを忘れていたからやられました。(苦笑)
なるほど……衣玖さんをも誘惑するほど食欲をそそる桃なわけですね。
面白かったです。
14.80名前が無い程度の能力削除
桃wwそして文章が無駄にエロいwww
15.90名前が無い程度の能力削除
どうやら衣玖さんは名前の通り若干エロスなようです。
18.80名前が無い程度の能力削除
『天子さんの体臭は桃の香り』党員としては、最後の一説まで何の問題も無くホンホンしてましたが何か。
桃のついでに本体を頂いたと解釈して問題ありませんか(えー
19.80名前が無い程度の能力削除
衣玖桃か・・・その発想は無かったwww
38.70削除
たしかに普通にいったら夜伽行きだが桃とはwww
41.100名前が無い程度の能力削除
こやつめ、ハハハ。

わかるかっ、こんなの。