Coolier - 新生・東方創想話

東方幻闘現 第三話 ~結界の役割って完全に解き明かされてないよね?~

2010/09/12 00:46:11
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「と~ちゃっく~」
「ぁぁぁぁぁぁぁああ嗚呼嗚呼!? おぶびべばっ!?」

神社の鳥居の下に猛スピードのまま滑り込み、足で急ブレーキをかける。その急激な緩急に付いていけなくなった輝が箒から吹っ飛ばされ、地面を10mほど転がる。

「ぐぶぁっ!? ……うぷっ……おぼろろろろろろろろろろろろろろろろ」
(もう……絶対に、のらねぇ……)

「ん~いい風だったぜ!」

砂埃を舞わせながらストップし、箒から降りた魔理沙は清々しい顔を浮かべながら伸びをする。
輝が魔理沙とは反対に顔を真っ青にしながらリバースしていた。

「おま…はや……すぎだ…馬鹿野郎……しかも、吹っ飛んだぞこの野郎……」
「何そんなとこで座ってんだ? さっさといこうぜ」
「ぶぎゅっ」

倒れた輝の襟をつかんで神社の前まで引っ張っていく。

「お~い、霊夢いるか~?」
「うるっさいわね~……なに? またお茶飲みにきたの? それならお賽銭いれなさいな」

魔理沙の呼びかけに奥から少女がだるそうに答えた。

「あ~、茶は飲むが今日は用事があるんだよ。ほら、輝もきな」
「お、おう」
(神社の主って言ったら普通神主で男だよな?)

輝は素朴な疑問を浮かべながら魔理沙のあとをついて行く。

「で、用ってなに? ああ、後ろの男関連ね。勘だけど」

縁側に座っている。頭に大きなヒラヒラのリボンをつけ、改造した巫女服?を着た黒髪のとても綺麗な少女がお茶を啜りながらこちらを見ていった。

(うわっめっちゃかわいいぞこの娘……なんか清楚って感じだなぁ。しかしこの改造巫女服‥‥脇がでているときたか…………アリだな)
「おお~、さっすが霊夢! 相変わらずいい勘してるな。妬ましいぜ!」
「あんたがその台詞使ったら駄目よ、作s‥‥誰かが叩かれるから」
「誰かって誰だよ? まぁそれはいいや、こいつ外来人みたいなんだよ、こういうことは霊夢の専門分野だろ?」
「外来人? おかしいわね‥ここ最近結界にゆらぎは起きなかったはずだけなんど‥‥。チッ、またあいつか……」

少女が少しの間独り言を呟いたあと、まさに不良娘という感じの舌打ちをした。

(前言撤回、清楚じゃなかった)
「ちょっとあんた、あ~その前に名前は?」
「冴島輝だ。あと質問もさせてもらっていいか? まずここはどこなんだ? そんで外来人っていうのは一体なんだ?」
「私の名前は『博麗 霊夢』よ。質問ねぇ、ホントはメンドくさいんだけど……」
「オイオイ、博麗の巫女がこれ関係でメンドくさがってちゃダメだろ?」


魔理沙が霊夢の一言に苦笑を浮かべる。

「はぁ。メンドくさいものはメンドくさいのよ……でもまぁ仕方ないわね。ここは幻想郷、そして外来人ってのは外、所謂あんたのいた世界の所からなんらかの理由で紛れ込んだ人のことを指すわ。輝、あんたいつこっちきたかわかる?あとわかるなら場所もお願い」
「確か……4日前だな、場所は竹林だったと思う。」
(う~ん、段々と第一印象からかけ離れてくなぁ……この娘は)
「竹林?ますます変ね‥‥普通は再思の道に降り立つはずなのに。」
「大方あのスキマ妖怪の仕業じゃないのか?」
「全ての可能性を潰しとくのが定石なのよ魔理沙。輝、あんたここに来る前に自殺しようとか考えてた?」

霊夢が魔理沙に返答したあと輝に質問する。

「はぁ? んなわけあるか、ルービックキューブを解いたらいきなり光り出してそれが分解したと思ったらいきなり周りが光に包まれて意識失ったんだよ。んで目が覚めたらいきなり周りが竹林にかわってた、それだけだ。自殺なんて誰が考えるか」

自殺、と言われて少し苛立った輝が、自分しかわからないような下手な説明をする。

「「「るーびっくきゅーぶ??」」」

通じるかどうか解らない輝の下手な説明にではなく、幻想郷で通用しない単語に、霊夢と魔理沙、そしていつのまにか霊夢の隣に座っていた射命丸が、同時に疑問の声を上げた。

「「「うわぉっ(わぁっ)!?」」」
「あ! 霊夢さんおじゃましてるよ~」

射命丸が驚いた三人をみて何かに気付いたような表情をうかべ霊夢に挨拶した。

「あ、あんたねぇ!! それは入ってくるときに言いなさいよ! あんたもいっつもいっつも神出鬼没でぇ! たまには普通に現れてみようとか思ったりしないの!?毎日毎日毎日毎日心臓に悪いったらありゃしないわよ!! いい加減にしないとしまうわよ(封印する)!! ていうか次からは絶対にしまうからねっっ!! わかった!?」

日ごろから鬱憤がたまっているのか、唐突に現れた射命丸に対して、霊夢がブチ切れた。

「コクコクコクコクコクコクっ!!」

その怒りの矛先を向けられている射命丸が、封印という単語、そして今までの霊夢との弾幕戦を思い出して、青ざめた顔に瞳に涙を浮かべながら、すごい勢いで顔を縦にふった。

「れ、霊夢落ち着けって、流石に文だって分かっただろうし! な!? ほら深呼吸深呼吸!! 吸って―、吸って―、吐いてー。吸って―、吸って―、吐いて―……」

 魔理沙が霊夢の剣幕に冷や汗をかきながら深呼吸、もといラマーズ法させる。

「ひっひっふーっひっひっふー‥って!?なっ。わ、私は出産間近の妊婦じゃない!! あっ、妊娠とかがどうとか思っているんじゃなくて‥こう、ほら……妊娠するって事はあれでしょ? って何言わせんのよ!! くっ、こ‥この、変態泥棒黒ずくめが!!」

自分のしている行為に気づき、若干頬に朱色がさした表情叫ぶ。そして叫んだ内容に自分で動揺し、勝手に空回りして、自分をはめた人間を殺意の籠った声色で脅す。

「くくくくっ、相変わらず妙な所でピュアだなぁ霊夢は、しかも自分で取り乱して恥ずかしゅぐぶぷぁ!!」

霊夢の殺意をスルーして笑っている魔理沙の頭に霊夢が踵落としを叩き込み、10cmほど畳に顔をめり込ませた。

「死ね、屑が……っぺ」

 畳に顔面がめり込んだ青年を、汚物を見るような目で見て唾を吐く。

(『美少女+悪い性格=めっさ残念』だったがそこに『下ネタで赤面ギレ』が加わるか…これは……アリだな)
「う、うわ~……ん? これはなんでしょうか、何々? ぶふぉっ!! 魔理沙さん……あんた漢だよ!」

 射命丸が、死体(魔理沙)の血だまりの脇に書き記された何かを読み取り、噴き出した。
 そこには、魔理沙が親指を立てている横に、血文字でこう書き記してあった。

「…………『しろのゆっくりみすち~~~~』…………」

「しろの、ゆっくりみすちー?? なんだそりゃ?」
「………っ!? この変態!!」

 その文字を輝が音読すると、霊夢が耳まで顔を赤らめて自らのスカートを抑え、魔理沙の腹を思い切り蹴り上げる。

「ぐぼぁっ!? あれ、小町何処行った??」

 べりっという音と共に畳からはがされ、顔全体に畳の痕が残った魔理沙が、キョロキョロ辺りを見回す。

「まりさ~、アタシねぇ、今もうあんたが指一本動かすことすら許せないの。だから一生封印されてなさい」

 大天狗ですら冷や汗をかくかのような壮絶な笑みを浮かべた霊夢が何処からか『封』と、書かれたお札が張られた瓶を出す。

「や、やめろおぉぉぉぉぉぉ!! 俺を封印するんじゃなあああぁぁぁぁァァ……」

 魔理沙がトイレの水が流される状況を彷彿とさせるような吸い込まれかたで、再度キレた霊夢に封印された。

「ふぅ、ふぅ……ふぅ…………」
「「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ」」

 霊夢が、笑みの裏に隠された鬼の形相で、魔理沙の事を封印した瞬間を見ていた輝と射命丸が、身を寄せ合って震えていた。

「しってる?封印用の瓶って作るのに1個30分くらいかかるの、私は面倒なことは好きじゃないからもうこれ以上手間をかけさせないで頂戴ね?」

 霊夢が二人に二コリ、と笑顔を見せて言った。

(こ、こえぇぇぇぇ!! さっきはアリだと思ったけどこれはねぇよ! めっちゃ怖いじゃん! つーか綺麗な顔でこの壮絶な笑みは恐ろしすぎる!! 天国のじいちゃん……俺、もしかしたらそっちに行くことになるかもしんねぇ)

 涙をにじませながら、十数年前に天寿を全うして天国に旅立った、祖父を思い浮かべながら目じりに涙を蓄えた輝だった。

                                         ~~~少女沈静化中~~~


「アハハハハハハハ……見ろよこれ‥‥綺麗だろう? この赤くて温かくて柔らかくてさ…元々が俺の一部だなんて信じらんねーだろ? でもさ、俺もこうみえて中身は綺麗だったんだよ。真っ赤で、暖かくて、ふんわりしててさ、これが俺の一部なんてしんじらんねーだろ?」
「オイ……あれほっといていいのか? なんかさっきからR指定になりそうなことを繰り返し言ってるんだが? つーか精神壊れてないか? ていうか俺、今の状況かなり怖いんだがどうすればいい?」

 輝と文の必死の説得のおかげで、封印の瓶から解放された魔理沙に、生気が微塵も感じられない様子を見て、若干挙動不審になりながちな輝が霊夢に尋ねた。

「さて、それじゃあ現状を整理するわよ。輝、あんたは向こうでそのるーびっくなんとか? ていうかそれはなんなのよ?」

 冷静になった霊夢が、改めて輝に尋ねた。

「え、何? 魔理沙の事はいいの? 放置しちゃうの?? それと俺の質問もスルーですか?」
「さて、それじゃあ現状を整理するわよ。輝、あんたは向こうでそのるーびっくなんとか? ていうかそれはなんなのよ?」

 冷静になった霊夢が、改めて輝に尋ねた。

「あっれー? なにこれRPGなの?? 台詞がリピートされてるんですけど?」
「ゴホン。さて、それじゃあ現状を整理するわよ。輝、あんたは向こうでそのるーびっくなんとか? ていうかそれはなんなのよ?」
 
 冷静になった霊夢が、改めて輝に尋ねた。

(霊夢の目が語っている!? 『これ以上脱線させたら駄目なのよ、もし、まだグダグダするようならこの物がたr』)
「んん!? んーとだな、四角い箱のパズルって言えばいいのか? ほら、ここをこうしてこうするパズルなんだけど。そんでこれを解いたらさっき言った通りになったんだよ」
(このまま同じこと繰り返していたら、話が先に進まなそうだし、何より霊夢さんの額に心無しか青筋が浮き出ている気がしてならないしな。ここは大人しく流れに乗っておこう。あとあのまま続けさせたらマズイ事になりそうだったしな)

 地面にルービックキューブの絵を描いて、霊夢と射命丸に説明する。

「ふむふむ‥‥でもいままでの話を聞くとどう考えてもそれが原因だよねぇ……」
「そうねぇ‥‥まぁ原因はともかくあんたはもとの所に帰れればいいんでしょ?」
「ん?まぁそうだな。つーかそれがベストだ」
(帰れんのかぁ~、いや~よかったぜ。このまま一生元に戻れないのかと思ってたから安心したな)
「分かったわ、それじゃあこっちにきて頂戴」

 霊夢が立ち上がり、東にある鳥居のほうに向かった。

「ここから帰れるからちょっと待ってなさい……あれ?うそっ!?」

 霊夢が鳥居に手をかざし、数秒たった後に、疑問と驚きの声を上げた。

「どうかしたんですかぁ?」
「い、いや。ちょっとまってもう一度…………ウソでしょ?そんなことってあり得るの?」
「お、おい。どうしたんだ?」

 霊夢の普通ではないような驚き方を見て、輝が戸惑いながら声をかけた。

「ごめん輝…………あんた、帰れないみたい‥‥」

 霊夢が頬を引き攣らせながらこちらを向いて衝撃の一言を言い放った。

「……………はぁあ!?」


                                        ~~~少年少女移動中~~~


「俺が帰れないってどういうことだよ!?」

 元の縁側に戻ってきた輝が、霊夢に詰め寄る。

「落ち着いて頂戴、あんたなにか手がかりになりそうなものとか持ってないの?」
「これが落ち着いてられるか!いきなり意味わかんねぇ所に来たと思ったら右腕吹っ飛ばされて、まるまる3日眠り続けて、暴走箒に振り回されて死ぬ思いして、ようやく帰れると思っていた所で「ごめんやっぱり帰れません」なんて聞かせられて落ち着いてられる人間がいるかっ!!」

 激昂し、縁側の柱を拳で叩く。

「それについては期待させて悪かったと思っているわ、でもね。当事者のあんたが取り乱していたら帰れるものも帰れないわよ」

 鋭い眼光で、縁側に座った霊夢を睨みつけながら叫んだ輝に、霊夢が一言謝罪したあと、声を一段低くして輝に忠告した。

「ちっ……わかったよ。」

 輝が舌打ちし、ぶっきらぼうに言葉を吐き捨て、どかっと縁側に座った。

「それにしても輝さんって眼光めちゃくちゃ鋭いねぇ。小妖怪に匹敵するくらいドスが効いてたよ?」

 場の空気を読まない射命丸がほぇ~、と力の抜けた感心したような声をあげた。

「チッ、これは生まれつきだ」

 自分のコンプレックスに触れられたせいか、舌打ちをする。

「まぁそれは置いておくとして、で? どうなの、あるの?」
「あぁ、手がかりになるかどうかはわかんねーけどこれがそのルービックキューブの欠片なんだが、どうだ? なんかわかるか?」

 輝がポケットの中から1cmくらいの透明な立方体を取り出した。

「パッと見なんの変哲もない透明な欠片ですねぇ」
「いや、これからなんかの波長が出ているわ。でもこんな小さな力じゃ、幻想郷の結界をどうこうするなんて出来るわけないし……」

 霊夢が難しい顔をしながら欠片を眺めていった。

「結界?」

 霊夢の言った単語に、疑問を覚えた輝が質問した。

「そ、結界。ほら、こっち来て。どうせ結界も知らないんだから説明するけど、一回しか言わないからちゃんと聞きなさいよ?」

 霊夢が輝にそう促しながら縁側の後ろにある障子を開け、和室にある卓袱台に座った。

「おう、悪いな」

 輝が霊夢のあとに続き和室に入った。

「あの~、私も入っていいかなぁ?」

 射命丸が遠慮がちに尋ねた
「だめ。って言いたいところだけど障子に穴でも開けられたらあとあと面倒だからいいわよ、許してあげる。入ん
なさい」
「いや~流石にそんなことはしないよ~。…………たぶん」
「さて、と。この幻想郷、私たちの住んでいる世界は、もともとあんたの住んでいた世界と地つながりで存在しているわ」

 霊夢が全員座った事を確認してから切り出した。

「はぁ? それってここが日本の中にあるっつーことか?」
「そうよ、でもここ幻想郷の周りには、二種類の結界【幻と実体の境界】と【博麗大結界】が張られていて、行き来出来ないようになっているの」
「こんな感じですね」

 射命丸が霊夢の説明を分かりやすくするために、自分の手帳から一ページはぎ取って、その紙に二重の円を描いて説明した。

「まず【幻と実体の境界】から説明するわね、これは500年以上前に幻想郷と呼ばれていた、数多くの妖怪がいた場所があったらしいわ。」
「らしい?」

 霊夢の曖昧な言い方に疑問を覚え、思わず口に出す。

「らしいっていうのは口伝だからよ。ここは妖怪たちにとっては楽園のような場所だったらしいわ。けれど時代の流れと共に日本の人間の人口が増え、優秀な武器や便利な科学技術?も段々と増えてゆき、妖怪の存在を畏れなくなっていった。」
「武力みたいな力、っていうより科学的に説明付いちまってるからな、向こうだと。そりゃ畏れなんて無くなって笑い話程度の存在になっちまうな。事実俺自身ここに来るまでそうだったし」
「じゃあ妖怪の存在理由って何かわかるかしら?」
「……そりゃあ人間を襲ったり、脅かしたり、攫ったりするんだから、人間に対して嫌な事をする。じゃないのか?」
「う~ん、まぁ合っているといえばそうなんだけど、厳密には人間から『畏れ』られる事なんだよ。他にも色々とあるけど、大体の大元の存在理由はここからきてるね」

 射命丸が霊夢の代わりに説明する。

「そう、文のいう通り妖怪っていう生き物は、人間に畏れられなければ自分たちの存在理由が失われていき、力も衰えていってしまう。そして、とうとう人間に存在自体忘れ去られてしまう妖怪まで出始めた。人間に忘れられたら妖怪はどうなるか、答えは簡単『存在自体が消える』のよ。」
「消えるたってこの世から消えるわけじゃないんだろう?」
「この世だけではなく、この世界から存在が『消える』のよ。そして、その事態に妖怪の楽園である、幻想郷の存在自体も危うくなってきてしまった。そこでこの状況を打破しようと、境界を操る力を持った妖怪が[妖怪拡張計画]っていうのを立案・実行したの。これは、幻想郷に〈外の世界に対して幻想郷を幻の世界と位置付けることで、勢力が弱まった外の世界の妖怪を自動的に幻想郷へと呼び込む〉といった作用のある【幻と実体の境界】っていう結界『境』を作り、幻想郷に人間に畏れられなくなり、弱体化した妖怪を幻想郷に引き入れ、科学が発達した人間でも畏れるような、人間にとって凶悪な妖怪の巣窟作ろうという意味を持った結界を作った。この段階ではまだ行き来は出来たらしいわ。これは確かな話よ、実行した本人から聞いたから。ちょっとお茶飲ませてね、のどかわいちゃった」

 後半一気にしゃべった霊夢がお茶を三人分湯呑にいれ、啜る。

「聞いたって・・・500年以上前の話なんだろ?どうやって聞いたんだよ?」
「生きている本人に聞いたのよ。妖怪って生き物はとても長生きなものなのよ」
「長生きにも程度ってもんがあるだろうが……文だってそんな生きてねーだろ?」

 若干妬みや羨望が混じった文句が口にでる。

「いやぁ、私これでも千年以上生きているんだけどねぇ。あっ、コレ玉露だ」

 射命丸が苦笑いを浮かべる。

「マジか…………」
「この外見で千歳超えてるってさ、明らかな年齢詐称よね。あ~やっぱり玉露は美味しいわね」
「さて、それじゃあ続きを話すわね。さっきも言った通り【幻と実体の境界】の段階じゃまだ幻想郷と外は行き来が普通にできたの。でも今から百数十年前に張られた【博麗大結界】によって外とここはほぼ完全に行き来出来なくなってしまった。まぁ、この結界の管理を代々任されている博麗神社の巫女は自由に開け閉めできるんだけどね。それでこの【博麗大結界】は〈常識の結界〉であり、外の世界と幻想郷の〈常識〉と〈非常識〉とを分け、外の世界の〈常識〉を幻想郷の〈非常識〉に、外の世界の〈非常識〉を幻想郷の〈常識〉の側に置くというものなの。」
「ちょい纏めさせてくれ。……それは全ての常識の定義をここと外で逆転させるって事でいいのか?いや、しかしそれだと生死の問題まで干渉しちまうし、生物の住める環境ではなくなる。いや、霊夢は『常識』と『非常識』と言ってたな、って事は精神、思想、要するに理性を持つものにしか作用しないな、それなら動物や植物に影響がない事もうなずける。だけどそれだけじゃまだ足りない……いや、的外れな事を言ってるな」
輝は脳内でここにたどりついてからの情報をピックアップしを始める。


恋符『マスタースパーク』、本物の兎耳、ありえないレベルの医療技術、生身のまま飛行、質量保存の法則を無視した弾幕ごっこ、妖精、妖怪、妖怪の楽園、科学技術の発達による妖怪に対する畏れの低下、結界、人間が忘れる、常識、非常識


(この情報から導き出せる答えはなんだ?……………そうか、わかったぞ)

「博麗大結界の役割は、妖怪にとって不都合な常識が侵入しないようにするために完璧に外と隔離し、人間が妖怪を畏れていた状態を半永久的に維持させる。更に、外の世界で妖怪とか所謂非常識の度合いが高くなればこっちの常識、妖怪とか向こうじゃありえない存在や現象が強固になる。そういう事か?」
「……そこまでは知らないわね」
「……見た目の割に中々頭いいんですね」

 二人はポカンとした間抜けな顔で輝を見る。

「いやいや、少し考えりゃわかるって。ああ、話そういえば途中だったな。続けてくれ」
「あ~、ええと。この結界も物理的なものじゃなく論理的な結界なんだけど非常に強力な結界で、妖怪でも簡単に通ることはできないものなの。そしてこの【博麗大結界】が作られたのには二つ説がある、一つは僧侶たちによって張られた結界を幻想郷側の妖怪たちが人間の侵入を防ぐために張り直したっていう説。もう一つは幻想郷にいた賢者と呼ばれた者たちが目的は分かってないんだけどとりあえずこの人たちが張ったっていう説なの。まぁ賢者が人間なのか妖怪なのかもわかってないんだけどね。と、まぁ結界についてはこんな所かしらね、どう?わかった?」

 語り終えた霊夢がお茶をコトリと卓袱台の上に置いて輝に聞いた。

「まぁ大体理解した………にしても俺の常識がだいぶ書き換えられたな、これが向こうの常識とこっちのと入れ替わるって事なのかもな」

 眉間に皺をよせながら輝が答えた。

「それは仕方がないわよ、だってそっちとこっちじゃ常識が違うんだもの。……そうね、ここで過ごすコツは【順応性を高めなさい、そしてあるがままを受け止めなさい】かしらね。」
「なんでお前その台詞知ってんだ??……まぁとにかく結界うんぬんはあらかた理解した。そんでこの二つの結界と
お前が結界を開けられなくなった理由ってのはなんだ?いまの落ち着きようだと大方予想はついているみたいだが?」

 輝が霊夢に問いかけた。

「よく予想がついているって解ったわね‥‥。まぁあんたの言うとおり大体予想は付いているわ。まずこの二つの結界が何らかの理由で異変が起きて強制的に閉じたってことは確実なの。予想出来るのはさっき言った【幻と実体の境界】を作った妖怪『八雲 紫』がこの結界をなんらかの理由で弄ったって事ね。むしろこれ以外に予想はできないわ」

 霊夢が軽い調子で言った。

「じゃあ、その八雲紫って妖怪にあって話をつければ帰れるって事か?」
「まぁそういうことになるわね、でも多分すぐには無理」
「なんでだ?」
「この間私の所に来て少しの間幻想郷を開けるからよろしくねっていってすぐ消えちゃったのよ」
「き、消えたって……場所は分からねーのか?」
「無理だと思うなぁ~八雲さんの行き先は八雲さん自身しか知らないし……」

 射命丸が苦笑いを浮かべながら輝に答えた。

「てことは……結局俺は当分帰れないと?」
「まぁ、そういうことになるわね。寝るとことご飯はうちで出してあげるしここなら妖怪の類も手を出さないから安心なさい」

 霊夢が相変わらずお茶をすすりながら答えた。

「ふっ…………」
(ここの常識はなんとなく予想はつく。予想がつくからこそ俺の本能は叫べと言っている、そう。今、俺は少しでも間違った行動をとれば、俺の命なんざケーキの上に刺さった蝋燭の火よりも一瞬で消えちまうって事がな。だから俺はこの幻想郷に対して最後のささやかな抵抗として一つだけ叫ばしてもらおうか)


「冗っ談じゃねぇぞ馬鹿野郎おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 幻想郷の雲一つないすがすがしい青空に輝の叫び声が響いた。

(父さん・・・母さん・・・兄貴・・・・俺、これからどうなるんだろう?)

 こうして冴島輝の幻想郷での物語が始まったのだった。
ええと、10日近辺っていったからこれセーフだよね?
え?セーフじゃない?マジで?

遅れてしまいマジですいませんでしたああああ嗚呼嗚呼!!!!(ダイナミック土下座)

はい、という事で皆さんオコバです!
今回も読んでいただき有難うございました^^
先に言わせてもらいましょう、輝くんは健全な男子高校生なので綺麗な女の子にはとても興味が惹かれてしまいます。よって決してタラシでもチャラ男でもありません。

一応今回も皆様のアドバイスを活かして書いたつもりなのですがどうでしょうか?
多少面白くなっているでしょうか?

あと魔理沙と輝くんは同い年と考えてください。
さて、これは独自解釈のオンパレードになってしまいましたが大丈夫でしょうか?作者的にはとてつもなく不安です。
更には輝君には出来るだけ頭がいいけど行動は馬鹿で変人で変態のキャラでいってもらう予定でした。
そして今回頭脳と変態を実践してみた結果ですが……

反省はしている、後悔もしている、しかし努力は続けるつもりだ

ハイ、すいませんでした……
ええと、話を戻してこの独自解釈に穴がある場合修正できる箇所はしていきたいので意見していただける方、どうかよろしくお願いします。
あとついでに今回の全体の注意点も上げてもらえると有難いです。

次回は9月下旬くらいですかね?
もっと早く上げるかもしれませんが。
それでは皆様、この第三話をお読みいただき有難うございました!
ナポちょー
[email protected]
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コメント



0.360簡易評価
4.60名前が無い程度の能力削除
待ってましたよ。十分にセーフです。
読者としては、拙速よりも巧遅の方が好ましいので。

今回は世界観の具体化と主人公の滞在場所の決定、いよいよ次回あたりから事件(新しい展開)などが起こり始める、といったところでしょうか。

以下、気になった点を。
>「ぁぁぁぁぁぁぁああ嗚呼嗚呼!? おぶびべばっ!?」
>「ぐぶぁっ!? ……うぷっ……おぼろろろろろろろろろろろろろろろろ」
このようなセリフ(連続した同じ文字の羅列、「おぶびべばっ」のようなもの、など)は、減らした方が良いかと思います。
この作品の場合はセリフだけでなく簡単な説明があるので、あまり酷くは感じませんが、どうも文章の質が低く思えてしまいます。(私の好みの問題かもしれませんが……)
代わりに、何か別の表現方法を考えてみるのも良いかもしれません。

もう少し地の文を増やすと良いと思います。
>「いやいや、少し考えりゃわかるって。ああ、話そういえば途中だったな。続けてくれ」
例えば私だったら、上のセリフを下のように地の文にいれてしまいます。

いやいや、少し考えれば分かるだろう。思わず呟いてしまったが、話の腰を折っても悪いので続きを促した。

地の文については他にも、小説は風景で心情を表す、というようなことも聞きますし、そのような点にも気をつけてみると良いかもしれません。
 
オリキャラについては、「工夫のない最強路線」にさえ乗せなければ大丈夫でしょう。
(ちなみに、「工夫した最強路線」でならば面白い作品を知っています)

次回も気長に楽しみに待っています。
5.無評価名前が無い程度の能力削除
所詮幻想入り
6.無評価名前が無い程度の能力削除
解釈とか男性化とかオリキャラとかの世界観は嫌いじゃない。
この設定で作りこんだら面白そうな気もするから、是非とも完走を目指して欲しいと思う。
けれども、今は作文を勉強してきてくれ。
最低でも下の二つは「お約束」なので、特別な理由が無い限り守らないといけない。

まず、同じ意味を持たせているリーダの表記は統一する。
沈黙や静寂を意味するリーダが、二点リーダと三点リーダの入り混じりで
その上に半角全角まで混ざっているのは、さすがにいただけない。
最初に「……」を使ったなら、リーダの表記は「……」で統一する。

そして、エクスクラメーションとクエスチョンも全角なら全角で
半角なら半角で統一(そもそも、半角使うのは珍しいけれど)する。
一つの作品内で「!」と「!?」を使ってはいけない。「!」と「!?」なら可。

作品は現段階では評価に値しない(導入部も終わってない)のでフリーレスで。
16.無評価ナポちょー削除
4さん>
読んでいただいて有難うございます!
アドバイス有難うございます!
なるほど……参考にさせてもらいます(汗
 
輝くんのバトルは少々手間取ると思いますが頑張っていきます^^
17.無評価ナポちょー削除
6さん>
読んで下さり有難うございます!
アドバイス有難うございます!
……と‥‥はチャレンジだったんですがいただけませんでしたか(汗
わかりました、今後は注意します。
全角、半角もわかりました、今後は注意していきます。
23.無評価ナポちょー削除
申し訳ございません!
リア事情で3月まで作品を進めることが出来なくなってしまいました(泣

なので次回の投稿は3月過ぎたころになると思います……

ご了承くださいませ(謝