あらすじ:腹立たしいほどに鈍感。でも、そこが魅力。
紅美鈴曰く、
今日は、お嬢様のご様子がおかしかったんですよ。
「巡回だ。たまには部下がサボってないか見張らんとな!」と仰りながら、門番詰所までお出でになったんですが、なかなか戻ろうとされないんですよね。
で、何かご用ですかと尋ねたら、お顔を真っ赤にされて、「な、何でも無いわよ! めーりんのバカーッ!」と叫ばれて、ノーカウントでグングニルを発動されたんです。ほら、この壁の大穴。見事なもんでしょう?
でも、とっさに机の中にしまって置いたチョコは、守りましたよ! 体を張りました!
……まぁ、衝撃で割れちゃったかもしれないけど、そこはご愛嬌ですよね。じゃ、勤務時間が終わったんで、お嬢様にこれを差し上げてきますんで。
――あははっ、そんな残念そうな顔をしないでくださいよ。はいこれ、咲夜さんの分。えへへ、忘れてなんかいませんよ。で、咲夜さんは私にくれないんですかー?
鈴仙優曇華院イナバ曰く、
今日は、師匠の様子がおかしかったよね。なんかな、師匠ってやっぱり天才だから、行動なんて読めないんだけど……今日は、なにかイライラしてるというか、ソワソワしているっていうか……。
まぁ、とにかく落ち着かなかったんだよね。いや、てゐなら何か知ってるかなーと思って。
……げっ、 私のせい? ちょ、そんなっ! 私、何もしていないよ!? てゐ、まさか私の振りして、師匠にいたずらしたんじゃないの?
してない? じゃ、なんで私のせい――って、なによ、その盛大なため息は!? そんなに肩をすくめて、「ワーオ、このウサギはバカデスネー」ってリアクションしないでよっ、失礼ね! いーえ、顔に書いてあるわよっ。なに、違うって? バカじゃなくて鈍感? どーゆー意味よ。
まぁいいわ。師匠は、別に怒ってるわけじゃないんだよね? これから師匠のところに行くけど、大丈夫だよね?
チョコは夕べのうちに作っておいたんだけど、今日は忙しくて日中にラッピング出来なくて。だから、これからチョコを渡そうと思うんだ。
……また、溜息ついた。ちょっと、無視して行かないでよ。はい、これはてゐの分ね。あなたと違って、私のチョコには何の細工も無いから安心して食べていいから。
痛っ! なんで蹴るのよ!? いいから師匠のところに行って、安心させてやれって? あー、今から行くから蹴らないでよ、もう……。
藤原妹紅曰く、
おいっすー。慧音、邪魔するよー。
……なんだい、一升瓶なんか小脇に抱えちゃって。里の人間が見たら、泣くよ? あーぁー、半分も空けちゃったのか。
今頃、なんの用かって? いやさ、こんな遅くに悪いとは思ったけど、今朝は永遠亭に行って、ちょっと輝夜とまたやってきてさ。アイツ、今日はもの凄く気合が入ってて、リザレクションするのに時間掛かっちゃったんだ。
あははっ、いや、初めは殺し合いなんかするつもり無かったんだよ? でも、アイツにチョコをあげたら、なんか火の玉みたいに真っ赤になってさ、なんか訳の分からない事口走りながら、攻撃してきたんだ。
慧音!? どうしたんだ、急に泣き出して! どこか痛いのか? 待ってろ、すぐに永遠亭に――違う?
……なんだよ、いきなり帰れなんてさ。こんな時間に来たから、怒ってるのかい? あぁ分かったよ、帰るからそんな泣かないでくれ。どうしたっていうんだ、一体……。せめて、帰る前にこれだけ、な? はい、これ。いや、「なんだこれは」と言われても。チョコだよ、バレンタインデーのチョコ。頑張って作ったんだぞ? 私は菓子なんて作らないから、紅魔館のメイドに頭下げて作り方を教わって――あぁぁあ、わかった、今すぐ出てくからそんな号泣しないでくれよ!
え、ちょ、慧音さん? 今日は満月じゃないのに、いきなりナンデスカ? ねぇ、そんな怒ってるの? Ex化するほど、ご立腹デスカ? ねぇ、なにか気に障ったんなら謝るから、とりあえず離してくれないかな。なんか鼻息が荒いんで――
……ふぅ。
バレンタインデーの様子を伺おうと、張り込んではみたものの。なんですか、この甘々っぷりと腹立だしい鈍感っぷりは。
べっ、別に悔しいわけじゃありませんからね!?
椛も、彼女らに勝とも劣らない鈍感ですからね。おまけに、石頭だし。だから、もしかしたらあんな調子で、私にチョコを渡すタイミングを逃している
んですよ。うん、きっとそうだ!
…
……
………ぐすん。
いいもん、今夜はミスティアさんの屋台に行って、ありったけの酒を空けてやります。えぇい、いざ往か「文様!」
わっ!? ……なんですか、椛。驚かさないで下さい、私のグラスハートが、ショックで止まったらどうするんです?
なんですか、そのげっそりした顔は。失礼ですね。それより、何の用ですか? 私はこれから、大事な用があ――
――これって? ちょ、ちょこれいとぉ!? 私にですかっ!?
あー、確かに今日は朝から留守にしていましたね。いや、取材ですよ。バレンタインデーの様子を記事にするため、あちこち飛び回っていましたから。
……それで、貴女は朝から私を探して回ってたんですか。チョコを渡すために? くくうぅぅっ! なんてかわいー事をっ! この射命丸文、なんたる不覚をっ! えぇ、もちろんありがたくチョコを頂きますとも! なんですか、そんな嬉しそうに。お礼を言うのは、私の方ですよ。あーもう、そんな嬉しそうな顔をしないで下さい。理性を保てなくなりそうじゃないですか。
それより。顔色が悪くないですか? まさか、具合でも――うわっ!? 椛っ!!
……ふうーっ。あのねぇ、あなたも天狗なんですから、急に墜落しないで下さい。間一髪のところでしたよ。こんな具合が悪いのに、なんで飛び回るんですかっ! 気分はどうですか? 今すぐ永遠亭に――寝不足ぅ!? 3日間寝てないって……ちょ、チョコを作るのに、なんでそんな時間をかけてるんですかっ!
あーもう、帰りますよ。いいから、大人しくしていなさい。いいんです、私にはあなたを抱っこして帰る義務もあれば、権利もあるんですから。
こういう美鈴とレミリアの関係は好きだw
妹紅と慧音の場面とか面白かったです。
とりあえず、おちつけーね
これで枕を高くして眠れるわ っとv
うどんげはまだ許せるとして後二人は察しろw
特に割れちゃった(おそらくハート型で真っ二つ)チョコをレミリアに渡す予定の美鈴の鈍感さは処刑レベルですね分かります
まあこの鈍感さがまたいいんだけどさ