「あの、文様。これってどういう」
「椛、無垢だったあのころを思い出して下さい」
「あのころってどの頃ですか?」
「……さあ、あー。2年位前?」
ζζζζζその倫理と秩序はまるで狂想する桜の木の下でζζζζζ
ζ←これ遠くから見るとなんかアレ、アレッぽくない?
『このサクヒンは無垢だったあの頃を思い出してっていうわけではな花』
:このサクヒンにレミリアは出てこないが、運命がどうとかはちらほら出てくることになるだろう:
:どんなに、レミリアが運命を操作とか読むことが出来たとしても、このサクヒンには一切関係無い:
:それは、月の満ち欠けで暦を知った人々とも全く関係ない。今宵もまたなんなんだろうこれは?by物部:
「出向・悶運なんども鑑定隊inマヨイガ方面から侵略成功、麗しの白玉楼! 今宵再びあの悪夢が蘇る!」
そして、形式美として宵に紛れ、白玉楼で騒いだものだから成仏出来ぬ幽霊や魑魅魍魎と言った妖が既にビンビンに集まってきている。宵と言ってもルーミアは出てこない。
暗く陽気な霊波動が今回の観客という事で、また再び始まるんだね。某番組を明らかに真似たサクヒンが。
「文様、悪夢ってなんですか?」
「その場の雰囲気でそれっぽい事言っただけですよ。椛鑑定師も何かそれっぽい事言って下さい。それとなんか自己紹介してください」
「え? あ、どうも、犬走ですよろしくお願いします。山で哨戒しています」
曰くテレビみたいな気分なので、パソコンの前にあなたへ向けてのご挨拶な気分で言っている。
「それだけですか? 椛鑑定師?」
ここで、面白い事言ったりやったりしないとすぐブラウザバックされちゃうんだ。ただでさえ、この糞作者のサクヒンの閲覧数が少ないってのにどうするっていうんだ。あ、ちょっと、やめて左上の矢印にカーソル持っていかないで!
「それだけ……えっと、じゃあ頑張ります!」
地文で何が起きてるなんて知らないし、特にそれっぽい事も思いつかなかった。
「違いますよ。皆に報告することあるじゃないですか!」
忘れちゃったんですかという感じに報告するように促している。
「報告?」
なんにも思い当たる事は無い。何にも無いんだ。
「ほら、私との赤……ほら赤」
それは、2人の運命が1つに交わった証といえるのではないか?レミリアは全く関係ない。
「その続き、赤ちゃんとか赤裸々な日々とかないですからね。まあその……の他人とも続きませんが」
そうは言ったものの、椛はお腹をかばうような動作をした。……そうだったら良いなって、射命丸は思う。上記の椛のセリフは妄想か現実かはもうそれは……あ、椛が冷たい眼でみてら。
「……まあ、良いでしょう今回はこれで、引いておきましょう。さて、そしてこの話も4回目となりましておなじみの鑑定師をもう1人紹介しましょう」
これ以上踏み込むと、送り烏が送られ狼に噛みつかれてしまう可能性があると判断したから今日はここまでだ。ここは次の流れに行こうってことでもう1人の鑑定師というわけだ。
「世に優れた水生生物あれど、河童の右に出るもの無しと自負します。にとり鑑定師今日は特に意味も無く、語尾にガスボンベが付きます」
実は最初から光学迷彩で背景に溶け込んでいた、にとりがその脅威を露わにしたのだった。
「やあやあ、にとりだよ! ガスボンベ! お前等ここから生きて帰れるとはって、おっとお前等皆死んでたね。ガスボンベ……めんどくさいから。ガスボンベを語尾にするのこれが最後だからねガスボンベ」
『お前等ここから生きて帰れるとはって、おっとお前等皆死んでたね』の下りは、にとりなりの渾身のギャグのつもりだった。
近くの河原でバーベキューしようとしたんだけど、ガスボンベを忘れて火が起こせなかったという怨念が、にとりに憑いていたのだろう。
近くに他の河童の群れが、楽しそうにわいわいしている。けれど、にとりとは全く関係ない赤の他人。人間は、盟友とか言って知らない間柄でも親しくできるけど、河童同士ではそんなことは出来ない。
これは同族嫌悪なのかな?本当は誰でも良い、一緒に笑って遊んでくれれば良いのに。ただし山童は除く。
「さて、自己紹介も済んだことなので、鑑定行ってみましょう」
「つまり今回の第一被害者が発生するって事ですね。あまり、被害が出なければよいのですが」
「まったく、椛は優しいのですね。しかし、だからと言って依頼人に手加減が出来るわけじゃないですよ! 生きることは戦いです」
自分の価値観と他人の価値観が一緒だと思い込んでいる依頼人に、非情なる現実を突きつける。いつまでも、夢の中に居られるほど、現実は優しくはないのだ。
……ドレミー・スイートという、うつくしい少女が夢で優しく傷ついた心を癒してくれるかもしれない。でも、そこに溺れて現実に眼を背けいつまでも夢うつつというわけにはいかないのだ。
「あ! 2人とも、見てあっちから亡霊姫が近づいてくるよ」
にとりがそう言って指さした方向には、事前に鑑定するからと出演を依頼して仕込んであった幽々子がまるでお化けのように現れた。
慕っていた男に裏切られ、酷い目に遭わされ無残に殺された女の怨念を演出している。乱れた衣服のコスプレ、これみよがしに乱れ髪を数本噛んでる。……その魂が悪霊の類となろうと裏切った男を呪い殺さなければ、その未練は祟(断?絶?)れることは無いだろう。
「ねえねえ、あなたたち。なんか鑑定してくれるみたいだから。これ持って来たんだけど。桜の木の下を掘ってたら見つけたの」
まあそんな演出してたけどすぐ飽きたらしく、依頼の品物を取り出した。それは、西行妖の下に埋まってた堀立てコワコワのしゃれこうべだった。なお、のが多い地文だが椛の弾幕ではない。西行妖の桜の木の下だ。
「価値のある物だったら、これに金箔を張り付けて器にしようと思うの! どっかの弾正みたいでしょ?」
雰囲気的に茶器やわびさびを大事にする業界人でもある幽々子である。床の間にでも金箔を貼りつけたしゃれこうべを飾っておけば、権威の象徴とか恐怖をそれっぽく演出できるじゃないかなって、なってる。
「文様、さすがにこれって、ちょっと、まずいんじゃないですか?」
「そういうこともありますよ。頑張って鑑定してくださいね」
桜の木、西行妖の下に埋まっているご遺体は、本人の知らない所では幽々子という説で落ち着いている。
その事実を本人は知らない。だって、誰も教えてくれなかったんだもん! プンプン!って、後日、本人が語ることになるんだろう。
「うーん、山で妖怪に喰われた後のしゃれこうべに似ているけど、こちらのしゃれこうべは喰われた感じじゃないね」
まずは、にとりがしゃれこうべを持って鑑定を始めた。山で見かけたしゃれこうべとはちょっと違うようだ。もしかしたら、これは他殺されたしゃれこうべではなく、自殺なのか?
「にとりさん、これが見つかったところを掘るとさらにご遺体の胴体が見つかるかもしれませんね」
頭だけじゃなくてご遺体本体が埋められているに相違ない。
「死体が埋められてるってことだね。事件のにおいがするね」
意味深な顔をして見せていれば良いんじゃないかな。そして、一通りの鑑定が終わった。
「おっと、鑑定師二人の推理が終わったみたいですね。ここで、幽々子さん本人的はどう思っています?」
この場合は依頼の品物が、幽々子である事についてなのか品物の価値についてなのかは宵闇に溶け込んだルーミアのみが知る事だろう。もちろん、レミリアは知らない。
「死を司る者として何かこれがすごい価値だったら。これを使って金杯でも作ったら皆怖がり威厳が出ると思うの」
人を集めたお茶会に振る舞い酒として、作った金杯で乾杯して逆らう者がこうなるっていう事を知らしめるに相違ない。
「かの有名な弾正……信長もやってましたからね」
あの有名なわびさびともに爆ぜた松永も弾正!素敵な本物の弾正に、幽々子はなれるか?
「それでは桜の木の下で見つけたしゃれこうべ! 驚きの鑑定結果は椛鑑定師お願いします」
果たして、幽々子が持って来たしゃれこうべは一体全体どういったものなのか?その真贋と価値はどういったものなのか?
驚きを禁じ得ない驚異の結果が鑑定結果と共に!
「えー、結果から言いますとこのしゃれこうべは本物の西行寺幽々子さんのご遺体という事が判定しました」
「え? 私がそのしゃれこうべ? でも私はここに」
それは晴天の霹靂だった。鑑定の結果を聞いた幽々子は自分の頭を触った。……しゃれこうべが自身の物だったら自分の頭の中に頭蓋骨が無い事になる。
「自身の能力を苦にした自殺かと、諸説ありますが今回は自殺と判明しました。そして、自殺という事なので犯人は幽々子さん! あなたです!」
さて、よく分からないが、椛は幽々子に近づいて持って居たしゃれこうべを憑き出した。鑑定探偵の新たなる領域に踏み入ったのであった。
「私が自殺の犯人? いったい。どういうこと?」
幽々子は呆けて憑き出されたしゃれこうべを胸に抱きその場に座り込んでしまう。それから、長い年月で忘れて居た己のここまでの童貞(道程)を思い出してごらんでござい。
あんなこと、こんなことあったねと。
「……そうか、私はあの時」
幽々子の瞳からはとめどなく涙が溢れて来た。それはなんの涙なのかは本人にすらもう分からない。ただ、その場で泣いた。
「自殺した者の末路だね。亡霊姫には時間が沢山あるのだから精々後悔するんだね」
なぜか、にとりがそれっぽい事を言ってその場を締めた。
「……あれ、幽々子様? ここで何をして? あれ何もって?」
そんなこんなしていると、次のターゲットが現れた。だが大丈夫安心して欲しい。既にネタは上がっている。烏天狗のネットワークを駆使してついさっきまでこのターゲットは永遠亭の優曇華と赤裸々だった事実をすbed確認済みである。
「おっと、これは、次の依頼人庭師の幼芽さんだ!」
ねえ、君。幼芽の噂を知ってる?
知らない?そうですか。
「文様、幼芽じゃありません。半人半霊の妖夢です」
幼芽の事を君は知らないかもしれないけれど、すでに君の隣には幼芽が居るかもしれないよ。
「そうその、魂魄トケース妖夢さんが次の依頼人でした!」
「なんで、わざと間違えるんですか?」
普段、射命丸と妖夢には接点が無いだろう。しかし、お互い顔も名前も知ってる。なのに何故頑なに間違えるのか?
「一種の哲学や美学の類ですね」
「哲学、美学?」
全く理解できぬ理由がその世界にはあって、その世界ではこういうことが哲学や美学となるらしい。
「幽々子様! 幽々子様!」
そんなくだらないやりとりをしている間に妖夢は、幽鬼の如くうなだれ哀れな主人に急いで駆け寄る。
「私は、私ですか? きちんと死んでますか? あの約束を覚えていますよ。いまでも、はい、私は私でした」
「お前等! 私の主幽々子様に何やった!」
妖夢がゆすっても、失礼だと思いながらも叩いても、幽々子は呆けたままぶつくさ何か言うだけだった。そして、その原因を作ったであろう連中に気が行って鋒鋩と怒りの言葉を投げつけたのだった。
「果たして、私達はいったいあなたのご主人様に何をやったのでしょうか? それが今回の依頼人の依頼でしょうか? それで品物は?」
何かやりましたかね?どうでしたかね?という感じで手でさぁ?って感じに挑発だ。
「まずはお前からだ! よくも!」
妖夢は抜刀しその切っ先を配置的に1番近くにいた椛に向けたのだった。
「なんと! 椛鑑定師を指定してきましたよ! いやぁさすが! 魂魄トケース妖夢さん見る眼がある! じゃあ、椛、鑑定してください」
「あ、椛ずるいなぁ! 同じ鑑定師として嫉妬しちゃうなぁ~。私が鑑定してあげよっか?」
おしゃべりしてる暇はないぞ、怒り狂った妖夢の攻撃が迫りくる!
「切潰す!」
「にとりさん! 呑気に鑑定なんかしてられませんよ!」
怒り襲い来る、妖夢に椛も剣を抜いて応戦だ。そのわきで未だに鑑定とか抜かしている、文が憎らしい。しかし、憎んでいる暇は思って居る以上に無いぞ。状況は深刻だ。妖夢の容赦ない剣戟がどんどん暇を奪って行く。
「……さあ! やってまいりましたね。真の犬歯を決める頂上決戦。解説は引き続き、にとり鑑定師とこの私、射命丸!」
そして、急に始まる鑑定という熾烈極まる今日の戦い。一瞬にして、なんだか変な試合方式が採用されているぞ、椛、気を付けろ。
「勝った方が正義(本物)負けた方が悪(贋作)簡単な構造だね」
にとりが急ごしらえに作られた解説席から今回の鑑定には特別ルールを適用している事を宣言したのである。
「倍率はどれくらいになりますか?」
なんでも、賭け事にしちゃうイギリス紳士淑女の悪い癖。とは関係ないかもしれないが、ここで諦めちゃだめだよ。何を?
「直前オッズは妖夢(可愛いけど今は怖い)の勝に1.2倍で我らが山の勇者椛(可愛いというと照れます)の勝に100倍ついてるよ」
やはり、妖夢の持って居る、楼観剣と白楼剣がギラギラして怖い。それに比べて、椛は鋭く立派な犬歯を持って居るが、これを使うと色々と道義的な問題が発生してしまう。真の犬歯を決定するはずが、剣で勝負の実質、剣士の頂上決戦だった。こうなると、下っ端天狗の持つ剣では勝ち目は薄いというのが下馬評だった。
「なんてことでしょう。これじゃあ、私が賭けた10万円が12万円にしかならないじゃないですか」
「あれだけ。椛、椛言っときながら、10万も妖夢に賭けたんだ」
「本当の勝利は、ここで負けて落ち込む椛を慰めて好感度あげることですから」
ちなみに、胴元がこの2人なのだからどっちが勝っても儲かるという。悪魔のようなシステムを採用しているのは内緒だぜ。
「それ、アンタにとってだよね?」
そのにやりとつり上がった口角を見て、もはや、にとりはあきれるしかない。
「頑張ってー! 妖夢!」
いつの間にか設けられている観客席からは、先ほどの精神的ダメージから辛くも立ち直った幽々子が妖夢に声援を送っている。
しかし、主人をやられたと思って興奮している妖夢はそれに気が付いて居ない。問題なく鑑定続行だ。
「切り捨てる!」
「文様、にとりさん! こうなっては、妖夢さんは止められません。私が時間稼ぎをしますから2人は逃げて!」
そして、椛も妖夢の雰囲気にのまれて周囲の事には気が付いてない様子だ。千里を見渡す眼も灯台下暗しだということである。
話している間も二刀流の連撃を右に左にたーくさん、椛はギリギリでかわしている。持ってる下っ端天狗の剣で受けると、剣ごと真っ二つにされる恐れがある。それが現実になれば観客の仲間入りだ。
「なんと、椛はここは任せて逃げろ的な格好良い事を言ってくれましたよ!」
感激感激大感激と感涙に咽びながら射命丸はどうにも惚れなおしたらしい。ハンケチを取り出して、涙をぬぐっている。
「いやまいったね、こりゃやっぱり。真の勇者鑑定師は椛って事だね」
そして、にとりもまた鑑定師としての器の違いを認めたのである。やっぱり椛は名鑑定探偵に違いない。
「2人とも早く!」
「おんどりゃー! よくも幽々子様を!」
何というか、結構ああだこうだ言いながら戦っているわけだけど、結構ピンチっぽい。
おっとせい刀の切っ先が椛の喉元を通り過ぎたぞ。当たっていたら、そそわに投稿できなくなるくらいの大参事になっていたところだった。R18は禁止されています。
「ねえ、椛の為にもここは逃げた方が、なんか健気なヒロインっぽくない?」
にとりは、電卓を知的に叩きながら損得勘定をして割り出した理論である。世の中数字を出してこその結果なのだ。
「なるほど、そうですね。見せ場という華を持たせるのもまた愛ですね」
「それが愛かどうかは知らないけど、じゃあ逃げるって事で良いね?」
「そうしましょう」
「ごめんね。今度、この砂利は返すから。それまでは、借りは借りとくね」
甲子園よろしく、敗退したので白玉楼に敷いてある砂利を帽子に詰めて河童の妖怪は川流れして行った。山で再び映姫を養い、この件を裁判にして妖夢を訴える。
「……うう。椛。ありがとう私の為に! 私はあなたのことが、す、好き。……いいんです。すぐに答えはいりません。次に会った時に答えを教えて下さい。それまでずっと思い出の場所で待ってますから」
よくわからない、しなを作ってから射命丸はそう言って顔を赤らめた。そして、自身がつけている香水の香りを風に乗せて椛に向けて流しその場を去ってった。
「しまった!」
逃げ出した二人の背後で椛の声と金属同士が当たる音が聞こえた。思わず二人は引き返しそうになるが、引き返しては椛のがその身を挺して逃がしてくれたのが無駄になってしまう。
涙をのんで元来た白玉楼の階段を急いで降り退却しなくてはならない。賭け事の途中で逃げ出したこともあり、お金を賭けてた紳士淑女の亡霊がJの形をしたステッキや2段重ねのあの日傘を振り回しながら追撃してくる。
紳士(お化け)符「ティータイム! ティータイム!」
淑女(お化け)符「フィッシュアンドチップス!」
とりあず、それら弾幕ごっこのスペルカード宣言の掛け声になってるらしく、アツアツの紅茶と冷めた魚料理を模した弾幕が後ろから襲ってくる。
「ちょ、何? 何の弾幕?」
「にとりさん、振り返る時間はありません。逃げましょう」
後ろから迫りくる弾幕を感覚でくぁ(かわ)して階段を駆け降りる。背後で弾幕が着弾したところが、英国領土になっていく。
もしも、これが東方のキャラクターに当たってしまえば、西〇projectに仲間入りという寸法だ。
弾正A符「人間五十年」
そんなこんなして何とか弾幕をかわしていると、今度は幽々子が最終的に背後に広げてくる扇子みたいなのを展開した、弾正Aというオリキャラも弾幕を討って来た。
弾正B符「三千大千世界の主」
そして、弾正Bも参戦だ。大仏、符、東方で検索椎茸の結果生えてたのがこの三千大千世界の主だったよ。
「なんか、弾幕が濃くなったよ。もう駄目だ」
「にとりさん……諦めたら」
「まったくアンタは試合終了って言いたそうな顔しやがって!」
余裕はないけど、女の子っておしゃべりが好きじゃない。だから、おしゃべりしちゃうんだね。
「にとりさん、後ろ!」
「うわぁ! ってそっちも!」
絶体絶命、2人の背後に迫りくる凶弾。このままままま被弾し敗北、弾幕ごっこで負けちゃうとお洋服が破けちゃうからヤダ。
もう駄目だってなった時だよ。そういう事が起きるべくして起きた。
所謂それは、『ゴギャーン! グギューン!』という音だった。背後でその音がしたと思ったら、迫りくる弾幕が全て消失したのだった。
「……二人とも! 大丈夫ですか!」
そして、その弾幕が消失した背後からあの、懐かしい椛の声がした。ついさっき、別れたばかりだけど懐かしいって言う表現をここで採用してみました。
「椛が全部倒したの?」
よく倒したねぇ。助かったよってかんじで、にとりはホッとした。
「背後ががら空きだったので簡単でした」
そう、紳士淑女の亡霊と弾正は全部、椛が1人で倒してくれました。
「もしかしてこれは、このパターンは白玉楼ですし所謂黄泉比良坂ですか?」
しかし、射命丸はそんな状況で疑いの眼を向けている。
神話で地獄に奥さん迎えに行ったら一緒に帰っても良いけど、振り返っちゃ駄目って言ったのに!って事になっちゃう話があるこの手法はそれに近い何かがある。
椛は椛じゃなくてなんだか犬走じゃないかも知れない。そんな疑いの眼差し。
「何を言っているんですか? 椛? ここは坂じゃ無くて階段ですよ?」
黄泉比良坂が何か知らないが、坂ではなく階段なのに何を言っているんだろうと、疑問に思う。
「魂魄ケース妖夢さんにやられたんじゃないですか?」
『しまった』って聞こえたし。もう駄目だと思って居た。
「やられてないですよ。剣をやられて真っ当に戦っても勝てそうも無かったので逃げてきました」
(なお妖夢は、ほどなく、幽々子が瘴気に戻っている事に気が付いたので妖夢が美味しくいただきましたので、妖夢は追いかけてきません)
椛はなんともなかったようだ。本当になんともなかったのか?
「……幽霊なんじゃないですか?」
怒った妖夢に捕まって、すごく怖い遠心分離機みたいなのにかけられて精神と肉体を分けられてとか恐ろしいことになって居るかもしれない。
「え? 幽霊?」
何を言ってるんだろうとこの人はっていう事あるよね。登場人物から地文は見えないし、この作者の文章力じゃあしょうがないよね。悲しいけどこれが現実なんだ。
「それは、本人がそう思って居るだけの、本人評価ですよね?」
真贋を鑑定しないと、安心できない。射命丸が安心して心を安らぐにはもはや椛を鑑定しなくてはならない。
「思うも何も私は幽霊じゃないです」
「……本日最後の、鑑定は椛さんあなたです」
射命丸はそう言いながらゆっくりと、椛に近づいてくる。
「私を鑑定ってどういうことですか? ……えっとこれは?」
質問には答えずに、射命丸は椛の腰に手を回しその身体を抱きしめた。椛も割と抵抗しないでそれを受け入れているあたりハッピーだね。
「あなたの体温を確かめて真贋を確かめます」
その体温を鑑定した結果は美奈様の想像で!
あ、にとりがその場で空気になってるが、それは気にしないお約束だぞ。
「椛、無垢だったあのころを思い出して下さい」
「あのころってどの頃ですか?」
「……さあ、あー。2年位前?」
ζζζζζその倫理と秩序はまるで狂想する桜の木の下でζζζζζ
ζ←これ遠くから見るとなんかアレ、アレッぽくない?
『このサクヒンは無垢だったあの頃を思い出してっていうわけではな花』
:このサクヒンにレミリアは出てこないが、運命がどうとかはちらほら出てくることになるだろう:
:どんなに、レミリアが運命を操作とか読むことが出来たとしても、このサクヒンには一切関係無い:
:それは、月の満ち欠けで暦を知った人々とも全く関係ない。今宵もまたなんなんだろうこれは?by物部:
「出向・悶運なんども鑑定隊inマヨイガ方面から侵略成功、麗しの白玉楼! 今宵再びあの悪夢が蘇る!」
そして、形式美として宵に紛れ、白玉楼で騒いだものだから成仏出来ぬ幽霊や魑魅魍魎と言った妖が既にビンビンに集まってきている。宵と言ってもルーミアは出てこない。
暗く陽気な霊波動が今回の観客という事で、また再び始まるんだね。某番組を明らかに真似たサクヒンが。
「文様、悪夢ってなんですか?」
「その場の雰囲気でそれっぽい事言っただけですよ。椛鑑定師も何かそれっぽい事言って下さい。それとなんか自己紹介してください」
「え? あ、どうも、犬走ですよろしくお願いします。山で哨戒しています」
曰くテレビみたいな気分なので、パソコンの前にあなたへ向けてのご挨拶な気分で言っている。
「それだけですか? 椛鑑定師?」
ここで、面白い事言ったりやったりしないとすぐブラウザバックされちゃうんだ。ただでさえ、この糞作者のサクヒンの閲覧数が少ないってのにどうするっていうんだ。あ、ちょっと、やめて左上の矢印にカーソル持っていかないで!
「それだけ……えっと、じゃあ頑張ります!」
地文で何が起きてるなんて知らないし、特にそれっぽい事も思いつかなかった。
「違いますよ。皆に報告することあるじゃないですか!」
忘れちゃったんですかという感じに報告するように促している。
「報告?」
なんにも思い当たる事は無い。何にも無いんだ。
「ほら、私との赤……ほら赤」
それは、2人の運命が1つに交わった証といえるのではないか?レミリアは全く関係ない。
「その続き、赤ちゃんとか赤裸々な日々とかないですからね。まあその……の他人とも続きませんが」
そうは言ったものの、椛はお腹をかばうような動作をした。……そうだったら良いなって、射命丸は思う。上記の椛のセリフは妄想か現実かはもうそれは……あ、椛が冷たい眼でみてら。
「……まあ、良いでしょう今回はこれで、引いておきましょう。さて、そしてこの話も4回目となりましておなじみの鑑定師をもう1人紹介しましょう」
これ以上踏み込むと、送り烏が送られ狼に噛みつかれてしまう可能性があると判断したから今日はここまでだ。ここは次の流れに行こうってことでもう1人の鑑定師というわけだ。
「世に優れた水生生物あれど、河童の右に出るもの無しと自負します。にとり鑑定師今日は特に意味も無く、語尾にガスボンベが付きます」
実は最初から光学迷彩で背景に溶け込んでいた、にとりがその脅威を露わにしたのだった。
「やあやあ、にとりだよ! ガスボンベ! お前等ここから生きて帰れるとはって、おっとお前等皆死んでたね。ガスボンベ……めんどくさいから。ガスボンベを語尾にするのこれが最後だからねガスボンベ」
『お前等ここから生きて帰れるとはって、おっとお前等皆死んでたね』の下りは、にとりなりの渾身のギャグのつもりだった。
近くの河原でバーベキューしようとしたんだけど、ガスボンベを忘れて火が起こせなかったという怨念が、にとりに憑いていたのだろう。
近くに他の河童の群れが、楽しそうにわいわいしている。けれど、にとりとは全く関係ない赤の他人。人間は、盟友とか言って知らない間柄でも親しくできるけど、河童同士ではそんなことは出来ない。
これは同族嫌悪なのかな?本当は誰でも良い、一緒に笑って遊んでくれれば良いのに。ただし山童は除く。
「さて、自己紹介も済んだことなので、鑑定行ってみましょう」
「つまり今回の第一被害者が発生するって事ですね。あまり、被害が出なければよいのですが」
「まったく、椛は優しいのですね。しかし、だからと言って依頼人に手加減が出来るわけじゃないですよ! 生きることは戦いです」
自分の価値観と他人の価値観が一緒だと思い込んでいる依頼人に、非情なる現実を突きつける。いつまでも、夢の中に居られるほど、現実は優しくはないのだ。
……ドレミー・スイートという、うつくしい少女が夢で優しく傷ついた心を癒してくれるかもしれない。でも、そこに溺れて現実に眼を背けいつまでも夢うつつというわけにはいかないのだ。
「あ! 2人とも、見てあっちから亡霊姫が近づいてくるよ」
にとりがそう言って指さした方向には、事前に鑑定するからと出演を依頼して仕込んであった幽々子がまるでお化けのように現れた。
慕っていた男に裏切られ、酷い目に遭わされ無残に殺された女の怨念を演出している。乱れた衣服のコスプレ、これみよがしに乱れ髪を数本噛んでる。……その魂が悪霊の類となろうと裏切った男を呪い殺さなければ、その未練は祟(断?絶?)れることは無いだろう。
「ねえねえ、あなたたち。なんか鑑定してくれるみたいだから。これ持って来たんだけど。桜の木の下を掘ってたら見つけたの」
まあそんな演出してたけどすぐ飽きたらしく、依頼の品物を取り出した。それは、西行妖の下に埋まってた堀立てコワコワのしゃれこうべだった。なお、のが多い地文だが椛の弾幕ではない。西行妖の桜の木の下だ。
「価値のある物だったら、これに金箔を張り付けて器にしようと思うの! どっかの弾正みたいでしょ?」
雰囲気的に茶器やわびさびを大事にする業界人でもある幽々子である。床の間にでも金箔を貼りつけたしゃれこうべを飾っておけば、権威の象徴とか恐怖をそれっぽく演出できるじゃないかなって、なってる。
「文様、さすがにこれって、ちょっと、まずいんじゃないですか?」
「そういうこともありますよ。頑張って鑑定してくださいね」
桜の木、西行妖の下に埋まっているご遺体は、本人の知らない所では幽々子という説で落ち着いている。
その事実を本人は知らない。だって、誰も教えてくれなかったんだもん! プンプン!って、後日、本人が語ることになるんだろう。
「うーん、山で妖怪に喰われた後のしゃれこうべに似ているけど、こちらのしゃれこうべは喰われた感じじゃないね」
まずは、にとりがしゃれこうべを持って鑑定を始めた。山で見かけたしゃれこうべとはちょっと違うようだ。もしかしたら、これは他殺されたしゃれこうべではなく、自殺なのか?
「にとりさん、これが見つかったところを掘るとさらにご遺体の胴体が見つかるかもしれませんね」
頭だけじゃなくてご遺体本体が埋められているに相違ない。
「死体が埋められてるってことだね。事件のにおいがするね」
意味深な顔をして見せていれば良いんじゃないかな。そして、一通りの鑑定が終わった。
「おっと、鑑定師二人の推理が終わったみたいですね。ここで、幽々子さん本人的はどう思っています?」
この場合は依頼の品物が、幽々子である事についてなのか品物の価値についてなのかは宵闇に溶け込んだルーミアのみが知る事だろう。もちろん、レミリアは知らない。
「死を司る者として何かこれがすごい価値だったら。これを使って金杯でも作ったら皆怖がり威厳が出ると思うの」
人を集めたお茶会に振る舞い酒として、作った金杯で乾杯して逆らう者がこうなるっていう事を知らしめるに相違ない。
「かの有名な弾正……信長もやってましたからね」
あの有名なわびさびともに爆ぜた松永も弾正!素敵な本物の弾正に、幽々子はなれるか?
「それでは桜の木の下で見つけたしゃれこうべ! 驚きの鑑定結果は椛鑑定師お願いします」
果たして、幽々子が持って来たしゃれこうべは一体全体どういったものなのか?その真贋と価値はどういったものなのか?
驚きを禁じ得ない驚異の結果が鑑定結果と共に!
「えー、結果から言いますとこのしゃれこうべは本物の西行寺幽々子さんのご遺体という事が判定しました」
「え? 私がそのしゃれこうべ? でも私はここに」
それは晴天の霹靂だった。鑑定の結果を聞いた幽々子は自分の頭を触った。……しゃれこうべが自身の物だったら自分の頭の中に頭蓋骨が無い事になる。
「自身の能力を苦にした自殺かと、諸説ありますが今回は自殺と判明しました。そして、自殺という事なので犯人は幽々子さん! あなたです!」
さて、よく分からないが、椛は幽々子に近づいて持って居たしゃれこうべを憑き出した。鑑定探偵の新たなる領域に踏み入ったのであった。
「私が自殺の犯人? いったい。どういうこと?」
幽々子は呆けて憑き出されたしゃれこうべを胸に抱きその場に座り込んでしまう。それから、長い年月で忘れて居た己のここまでの童貞(道程)を思い出してごらんでござい。
あんなこと、こんなことあったねと。
「……そうか、私はあの時」
幽々子の瞳からはとめどなく涙が溢れて来た。それはなんの涙なのかは本人にすらもう分からない。ただ、その場で泣いた。
「自殺した者の末路だね。亡霊姫には時間が沢山あるのだから精々後悔するんだね」
なぜか、にとりがそれっぽい事を言ってその場を締めた。
「……あれ、幽々子様? ここで何をして? あれ何もって?」
そんなこんなしていると、次のターゲットが現れた。だが大丈夫安心して欲しい。既にネタは上がっている。烏天狗のネットワークを駆使してついさっきまでこのターゲットは永遠亭の優曇華と赤裸々だった事実をすbed確認済みである。
「おっと、これは、次の依頼人庭師の幼芽さんだ!」
ねえ、君。幼芽の噂を知ってる?
知らない?そうですか。
「文様、幼芽じゃありません。半人半霊の妖夢です」
幼芽の事を君は知らないかもしれないけれど、すでに君の隣には幼芽が居るかもしれないよ。
「そうその、魂魄トケース妖夢さんが次の依頼人でした!」
「なんで、わざと間違えるんですか?」
普段、射命丸と妖夢には接点が無いだろう。しかし、お互い顔も名前も知ってる。なのに何故頑なに間違えるのか?
「一種の哲学や美学の類ですね」
「哲学、美学?」
全く理解できぬ理由がその世界にはあって、その世界ではこういうことが哲学や美学となるらしい。
「幽々子様! 幽々子様!」
そんなくだらないやりとりをしている間に妖夢は、幽鬼の如くうなだれ哀れな主人に急いで駆け寄る。
「私は、私ですか? きちんと死んでますか? あの約束を覚えていますよ。いまでも、はい、私は私でした」
「お前等! 私の主幽々子様に何やった!」
妖夢がゆすっても、失礼だと思いながらも叩いても、幽々子は呆けたままぶつくさ何か言うだけだった。そして、その原因を作ったであろう連中に気が行って鋒鋩と怒りの言葉を投げつけたのだった。
「果たして、私達はいったいあなたのご主人様に何をやったのでしょうか? それが今回の依頼人の依頼でしょうか? それで品物は?」
何かやりましたかね?どうでしたかね?という感じで手でさぁ?って感じに挑発だ。
「まずはお前からだ! よくも!」
妖夢は抜刀しその切っ先を配置的に1番近くにいた椛に向けたのだった。
「なんと! 椛鑑定師を指定してきましたよ! いやぁさすが! 魂魄トケース妖夢さん見る眼がある! じゃあ、椛、鑑定してください」
「あ、椛ずるいなぁ! 同じ鑑定師として嫉妬しちゃうなぁ~。私が鑑定してあげよっか?」
おしゃべりしてる暇はないぞ、怒り狂った妖夢の攻撃が迫りくる!
「切潰す!」
「にとりさん! 呑気に鑑定なんかしてられませんよ!」
怒り襲い来る、妖夢に椛も剣を抜いて応戦だ。そのわきで未だに鑑定とか抜かしている、文が憎らしい。しかし、憎んでいる暇は思って居る以上に無いぞ。状況は深刻だ。妖夢の容赦ない剣戟がどんどん暇を奪って行く。
「……さあ! やってまいりましたね。真の犬歯を決める頂上決戦。解説は引き続き、にとり鑑定師とこの私、射命丸!」
そして、急に始まる鑑定という熾烈極まる今日の戦い。一瞬にして、なんだか変な試合方式が採用されているぞ、椛、気を付けろ。
「勝った方が正義(本物)負けた方が悪(贋作)簡単な構造だね」
にとりが急ごしらえに作られた解説席から今回の鑑定には特別ルールを適用している事を宣言したのである。
「倍率はどれくらいになりますか?」
なんでも、賭け事にしちゃうイギリス紳士淑女の悪い癖。とは関係ないかもしれないが、ここで諦めちゃだめだよ。何を?
「直前オッズは妖夢(可愛いけど今は怖い)の勝に1.2倍で我らが山の勇者椛(可愛いというと照れます)の勝に100倍ついてるよ」
やはり、妖夢の持って居る、楼観剣と白楼剣がギラギラして怖い。それに比べて、椛は鋭く立派な犬歯を持って居るが、これを使うと色々と道義的な問題が発生してしまう。真の犬歯を決定するはずが、剣で勝負の実質、剣士の頂上決戦だった。こうなると、下っ端天狗の持つ剣では勝ち目は薄いというのが下馬評だった。
「なんてことでしょう。これじゃあ、私が賭けた10万円が12万円にしかならないじゃないですか」
「あれだけ。椛、椛言っときながら、10万も妖夢に賭けたんだ」
「本当の勝利は、ここで負けて落ち込む椛を慰めて好感度あげることですから」
ちなみに、胴元がこの2人なのだからどっちが勝っても儲かるという。悪魔のようなシステムを採用しているのは内緒だぜ。
「それ、アンタにとってだよね?」
そのにやりとつり上がった口角を見て、もはや、にとりはあきれるしかない。
「頑張ってー! 妖夢!」
いつの間にか設けられている観客席からは、先ほどの精神的ダメージから辛くも立ち直った幽々子が妖夢に声援を送っている。
しかし、主人をやられたと思って興奮している妖夢はそれに気が付いて居ない。問題なく鑑定続行だ。
「切り捨てる!」
「文様、にとりさん! こうなっては、妖夢さんは止められません。私が時間稼ぎをしますから2人は逃げて!」
そして、椛も妖夢の雰囲気にのまれて周囲の事には気が付いてない様子だ。千里を見渡す眼も灯台下暗しだということである。
話している間も二刀流の連撃を右に左にたーくさん、椛はギリギリでかわしている。持ってる下っ端天狗の剣で受けると、剣ごと真っ二つにされる恐れがある。それが現実になれば観客の仲間入りだ。
「なんと、椛はここは任せて逃げろ的な格好良い事を言ってくれましたよ!」
感激感激大感激と感涙に咽びながら射命丸はどうにも惚れなおしたらしい。ハンケチを取り出して、涙をぬぐっている。
「いやまいったね、こりゃやっぱり。真の勇者鑑定師は椛って事だね」
そして、にとりもまた鑑定師としての器の違いを認めたのである。やっぱり椛は名鑑定探偵に違いない。
「2人とも早く!」
「おんどりゃー! よくも幽々子様を!」
何というか、結構ああだこうだ言いながら戦っているわけだけど、結構ピンチっぽい。
おっとせい刀の切っ先が椛の喉元を通り過ぎたぞ。当たっていたら、そそわに投稿できなくなるくらいの大参事になっていたところだった。R18は禁止されています。
「ねえ、椛の為にもここは逃げた方が、なんか健気なヒロインっぽくない?」
にとりは、電卓を知的に叩きながら損得勘定をして割り出した理論である。世の中数字を出してこその結果なのだ。
「なるほど、そうですね。見せ場という華を持たせるのもまた愛ですね」
「それが愛かどうかは知らないけど、じゃあ逃げるって事で良いね?」
「そうしましょう」
「ごめんね。今度、この砂利は返すから。それまでは、借りは借りとくね」
甲子園よろしく、敗退したので白玉楼に敷いてある砂利を帽子に詰めて河童の妖怪は川流れして行った。山で再び映姫を養い、この件を裁判にして妖夢を訴える。
「……うう。椛。ありがとう私の為に! 私はあなたのことが、す、好き。……いいんです。すぐに答えはいりません。次に会った時に答えを教えて下さい。それまでずっと思い出の場所で待ってますから」
よくわからない、しなを作ってから射命丸はそう言って顔を赤らめた。そして、自身がつけている香水の香りを風に乗せて椛に向けて流しその場を去ってった。
「しまった!」
逃げ出した二人の背後で椛の声と金属同士が当たる音が聞こえた。思わず二人は引き返しそうになるが、引き返しては椛のがその身を挺して逃がしてくれたのが無駄になってしまう。
涙をのんで元来た白玉楼の階段を急いで降り退却しなくてはならない。賭け事の途中で逃げ出したこともあり、お金を賭けてた紳士淑女の亡霊がJの形をしたステッキや2段重ねのあの日傘を振り回しながら追撃してくる。
紳士(お化け)符「ティータイム! ティータイム!」
淑女(お化け)符「フィッシュアンドチップス!」
とりあず、それら弾幕ごっこのスペルカード宣言の掛け声になってるらしく、アツアツの紅茶と冷めた魚料理を模した弾幕が後ろから襲ってくる。
「ちょ、何? 何の弾幕?」
「にとりさん、振り返る時間はありません。逃げましょう」
後ろから迫りくる弾幕を感覚でくぁ(かわ)して階段を駆け降りる。背後で弾幕が着弾したところが、英国領土になっていく。
もしも、これが東方のキャラクターに当たってしまえば、西〇projectに仲間入りという寸法だ。
弾正A符「人間五十年」
そんなこんなして何とか弾幕をかわしていると、今度は幽々子が最終的に背後に広げてくる扇子みたいなのを展開した、弾正Aというオリキャラも弾幕を討って来た。
弾正B符「三千大千世界の主」
そして、弾正Bも参戦だ。大仏、符、東方で検索椎茸の結果生えてたのがこの三千大千世界の主だったよ。
「なんか、弾幕が濃くなったよ。もう駄目だ」
「にとりさん……諦めたら」
「まったくアンタは試合終了って言いたそうな顔しやがって!」
余裕はないけど、女の子っておしゃべりが好きじゃない。だから、おしゃべりしちゃうんだね。
「にとりさん、後ろ!」
「うわぁ! ってそっちも!」
絶体絶命、2人の背後に迫りくる凶弾。このままままま被弾し敗北、弾幕ごっこで負けちゃうとお洋服が破けちゃうからヤダ。
もう駄目だってなった時だよ。そういう事が起きるべくして起きた。
所謂それは、『ゴギャーン! グギューン!』という音だった。背後でその音がしたと思ったら、迫りくる弾幕が全て消失したのだった。
「……二人とも! 大丈夫ですか!」
そして、その弾幕が消失した背後からあの、懐かしい椛の声がした。ついさっき、別れたばかりだけど懐かしいって言う表現をここで採用してみました。
「椛が全部倒したの?」
よく倒したねぇ。助かったよってかんじで、にとりはホッとした。
「背後ががら空きだったので簡単でした」
そう、紳士淑女の亡霊と弾正は全部、椛が1人で倒してくれました。
「もしかしてこれは、このパターンは白玉楼ですし所謂黄泉比良坂ですか?」
しかし、射命丸はそんな状況で疑いの眼を向けている。
神話で地獄に奥さん迎えに行ったら一緒に帰っても良いけど、振り返っちゃ駄目って言ったのに!って事になっちゃう話があるこの手法はそれに近い何かがある。
椛は椛じゃなくてなんだか犬走じゃないかも知れない。そんな疑いの眼差し。
「何を言っているんですか? 椛? ここは坂じゃ無くて階段ですよ?」
黄泉比良坂が何か知らないが、坂ではなく階段なのに何を言っているんだろうと、疑問に思う。
「魂魄ケース妖夢さんにやられたんじゃないですか?」
『しまった』って聞こえたし。もう駄目だと思って居た。
「やられてないですよ。剣をやられて真っ当に戦っても勝てそうも無かったので逃げてきました」
(なお妖夢は、ほどなく、幽々子が瘴気に戻っている事に気が付いたので妖夢が美味しくいただきましたので、妖夢は追いかけてきません)
椛はなんともなかったようだ。本当になんともなかったのか?
「……幽霊なんじゃないですか?」
怒った妖夢に捕まって、すごく怖い遠心分離機みたいなのにかけられて精神と肉体を分けられてとか恐ろしいことになって居るかもしれない。
「え? 幽霊?」
何を言ってるんだろうとこの人はっていう事あるよね。登場人物から地文は見えないし、この作者の文章力じゃあしょうがないよね。悲しいけどこれが現実なんだ。
「それは、本人がそう思って居るだけの、本人評価ですよね?」
真贋を鑑定しないと、安心できない。射命丸が安心して心を安らぐにはもはや椛を鑑定しなくてはならない。
「思うも何も私は幽霊じゃないです」
「……本日最後の、鑑定は椛さんあなたです」
射命丸はそう言いながらゆっくりと、椛に近づいてくる。
「私を鑑定ってどういうことですか? ……えっとこれは?」
質問には答えずに、射命丸は椛の腰に手を回しその身体を抱きしめた。椛も割と抵抗しないでそれを受け入れているあたりハッピーだね。
「あなたの体温を確かめて真贋を確かめます」
その体温を鑑定した結果は美奈様の想像で!
あ、にとりがその場で空気になってるが、それは気にしないお約束だぞ。