注意 ・タグの通り紅魔郷のセリフバレがあります
・独自設定少々あり
・まだまだ修行中の身
それでもよろしければお付き合いお願いします
プロローグ
「では前々から話に上がっていた件、『スペルカードルール』を普及させる方法についてですが」
幻想郷のパワーバランスを担うものを全員集めた会議で八雲紫が徐に話し始めた。この会議は定期的に行われ、八雲紫を議長としてこの幻想郷をより良いものにするためにいろいろなことが話されている。そしてここ最近の話題は新しく作られた『スペルカードルール』をいかにして普及させるかということだった。
「やはり異変を通して普及させるのが一番と思われます。そしてその異変の記念すべき最初の首謀者は……レミリア・スカーレット、あなたにやってもらおうと思うのだけどどうかしら?」
「……え?私?なんで?」
会議で出されたお茶菓子に夢中になってるといきなり自分の名前が指名された。関係ないと思っていただけにかなり驚いた。
「一つ目の理由は『吸血鬼異変』よ。あの事件の首謀者がこのルールを守ることは今後の抑止につながると思うの。それにあなた達を幻想郷に受け入れるために必要なことだと思うから。
二つ目の理由は影響力。(妖怪としては)若いあなたが楽しそうに弾幕ごっこをしてれば他の若い子たちに馴染みやすいだろうし、紅魔館の主がこのルールを受け入れたなら頭の硬い年寄り連中も動かざるを得ない。
三つ目の理由はあなたの従者。あの子には将来異変を解決する側に回ってもらいたいから早めに博麗の巫女と繋がりを持っていて欲しいの。
四つ目の理由は……あなた一番って好きでしょ?」
異変を起こすことは別に嫌なわけじゃないし、理由も納得の行くものだった。それに私も自分の目論見を叶えるのに都合がいい。長年の野望が叶うかもしれない。
「いいだろう八雲紫。この誇り高き吸血鬼、レミリア・スカーレットが協力してやろう!」
「感謝するわレミリア。反対意見は……なさそうなので決定ね。じゃあこれから異変につおいて話すけど」
八雲紫からは異変の条件が決められた。
・最後には博麗の巫女(少なくても人間)が異変を解決すること
・極力死者は出さないこと
・巫女が動くレベルでありながら、あまり周りに迷惑をかけすぎない異変にすること
・あまり長い間異変を継続しないこと
・あまりひどいと『幻想郷の管理者』として八雲紫が出向く
というものだった。条件を見ても私の野望を叶える障害は見当たらなかった。
「じゃあみんなに説明するわ。私の起こす異変『紅霧異変』の概要を!」
「いいけど、その前に口元のあんこふいときなさい」
「……いつからついてた?」
「最初から」
本編
門番を倒し、魔女を倒し、メイドを倒しやっとこの館の一番奥にたどり着いた。初めての異変にしては順調だが流石に最後まで気を抜くつもりはない。異変の首謀者がここにいると私の勘が告げているからだ。
「そろそろ姿、みせてもいいんじゃない?お嬢さん」
「やっぱり、人間って使えないわね」
案の定赤いドレスの少女が出てきた。見た目からして吸血鬼なのだろうか、少なくても雰囲気などからもこいつが首謀者で間違いないだろう。ただものではないといった感じがするし、間違いなく強敵だ。
「さっきのメイドは人間だったのか」
「あなた、殺人犯ね」
「一人までなら大量殺人犯じゃないから大丈夫よ」
……え?さっきの奴人間だったの?!死んでないといいんだけど。人殺しとなっちゃますますお賽銭が少なくなる可能性がある。一人までなら間違えちゃったで許してもらえればいいんだけど。
「で?」
「そうそう、迷惑なのあんたが」
「短絡ね。しかも理由がわからない」
あんたを倒せばみんなが感謝してお賽銭をくれるかもしれない。それにこの天気じゃ作物の育ちが悪くなるのも目に見えている。野菜の値段が上がったら死活問題だ。日々生きるために私は必死なのである。
「とにかく、ここから出て行ってくれる?」
「ここは私の城よ?出ていくのはあなただわ」
「この世から出て行ってほしいのよ」
……あれ?今の私のセリフすごい悪役っぽくない?私はいいことをしてその結果お賽銭が増えるはずなんだけど、少し心配になってきた。
「しょうがないわね。今、お腹いっぱいだけど……」
「護衛にあのメイドを雇っていたんでしょ?そんな、箱入りお嬢様なんて一撃よ!」
「咲夜は優秀な掃除係。おかげで、首一つ落ちてないわ」
つまりあのメイドがいなかったらこの屋敷はそこら中に首が落ちていると。想像したらとんでもないわね。……ちょっとだけあのメイドがいたことを感謝したくなった。
「あなたはつよいの?」
「さあね。あんまり外に出して貰えないの。私が日光に弱いから」
「……なかなかできるわね」
目の前の吸血鬼の力がどんどん高まっていく。恐ろしくないといえば嘘になる。だが負ける訳にはいかない、主にお賽銭のために。緊張が高まっていき、鼓動が早くなる。もうすぐお喋りの時間は終わるだろう。本番はこれからだ。
「こんなに月も紅いから本気でこりょしゅわよ!」
「……え?今なんて言ったの?」
「えー、こほん……こんにゃっ……」
「もしかして、噛んだの?」
「……やっぱり、人間って使えないわね」
「使えないのわあんたよポンコツ吸血鬼!最初からやり直そうとすんな!え?何?あの緊迫の場面で自分の決め台詞噛んだの!?」
「うるさいわね!緊張したから噛んじゃったのよ!咲夜ーちょっと来てー!」
「なんでしょうかお嬢様」
「ちょっとこいつを屋敷の外まで追い出しといて」
「かしこまりました」
「え?ちょ」
◇
……メイドが突然現れて吸血鬼と話したかと思うと、いつの間にか私は屋敷の門の前にいた。メイドが時を止めたのだろうか、まさかのふりだしである。
「えーっとさっき通った巫女さんですよね?どうしたんですか?」
「私が聞きたいわよ……」
「ひょっとして門番の仕事はまだ終わってないんですか?勘弁して下さいよ……」
「それはこっちのセリフよ……」
苦労したが門番を倒し、喘息で倒れてる魔女に少し八つ当たりをした後、なんとかさっきの吸血鬼のいた場所までなんとかたどりついた。メイドがいなかったのは不幸中の幸いかもしれないがそれでもかなり疲れた。こんな調子であいつを倒せるのか心配していると
「お嬢様、かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこあわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ。はい 」
「かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこあわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ」
「にわの庭には二羽の鶏は鰐を食べた。はい」
「にわのにわにわにわのにわとりわわにおたべた」
「……東京特許許可局長今日急遽休暇許可拒否。はい」
「とーきょーとっきょ……きょひ……?」
「……少々心配ではありますがこれで大丈夫だと思いますよ、お嬢様」
「ありがとうね、咲夜。助かったわ」
「ところでお嬢様、先程からあちらで巫女が待っておりますが」
「え、うそ!」
……どうやらやっと気づいたらしい。正直今の間に不意打ちを食らわしても良かったと思うのだが、あまりにも一生懸命やってるのでなんか悪い気がした。早口言葉を練習してるくらいだし、多分もう一度あのくだりをしたほうがいいのだろう。
「……そろそろ姿、見せてもいいんじゃない?お嬢さん?」
「……せっかく付き合ってもらってるところ悪いんだけどちょっと待っててね?咲夜ーちょっと来てー!」
「なんでしょうかお嬢様?」
「私の部屋にパチェの作った台本があるからとってきてくれない?」
「かしこまりました」
なんかそんな気はしてたけど今までのセリフはやっぱり台本があったのかよ!だが少し気になることがある。こいつは私の台詞も含めた台本を用意していたということである。未来予知かなにか、それがおそらくこいつの能力なのだろう。なんにしてもこんどこそ手ごわい相手になりそうだ。メイドが台本を渡すとまた呼ばれることがあるかもしれないと思ったのだろうか、今度は隣に付き従った。
「これでしょうか?お嬢様」
「ありがとう咲夜。さて待たせたわね、では……。やっぱり人間って使えないわね」
……明らかに隣のメイドがぴくっと反応した。なんというかものすごい落ち込んでる。ちょっとこれはまずいんじゃないかと思ったが、吸血鬼の方は私のセリフを待っているようだ。
「あー……さっきのメイドは人間だったのか」
「あなた、殺人犯ね」
そのメイドは今あんたの隣でものすごい落ち込んでて今にも泣きそうなんだけど……。いや私は関係ないんだけど、さすがにこれはちょっと気まずい。
「えーっと……一人までなら大量殺人犯じゃないから大丈夫よ」
「で?」
「そうそう、迷惑なのあんたが」
それはもういろんな意味で。あー・・とうとうメイド泣き出しちゃったよ。よっぽどさっきの言葉がショックっだったんだろうか、なんかかわいそうになってきた。
「短絡ね。しかも理由が分からない」
「とにかく……ごめん、隣にいるメイド何とかしてくれない?」
「へ?……えっ咲夜なんで泣いてるの!?
「……すいません、やっぱり私はお嬢様には必要無いのですね」
「え!?いやちょっと待って!……あぁなるほど、違うのよ咲夜。あれはパチェの作った台本に書いてあって」
「今までも恩を返そうと精一杯尽くしてきましたが、独りよがりだったのかもしれませんね……」
「いやちょっと待って!……わかった、ちょっと話さない?誤解をとくためにも少し時間がほしいわ。お願い咲夜」
「……かしこまりました」
◇
「……」
「……あのーすいません。また来たんですか?」
「……どうやらそうらしいわね」
気がついたらまた門の前にいた。どうやらまた連れていかれたらしい。ほんとうにもう勘弁して欲しい。
「仕事ですから仕方ないですね……。もう一度相手をしましょうか」
「いやもう疲れたからいい……。また今度出なおしてくるわ……」
「えーっと、それもちょっと困るんですよ、お嬢様にはまだ伝えられてないのですが、作物とかに思ったより影響あったみたいでそろそろ限界らしいんですよ」
「……なんの話?」
「つまり『ここを通る、もしくは帰りたければ私を倒して行け』ってことです」
「なんでそうなるのよ…」
とりあえず門番を倒した後帰ろうとしたのだが、帰らないように懇願されたので後日お賽銭を入れに来るという約束のもと、後一回だけ頑張って見ることにした。そのあと寝込んでる魔女にさっきはなんかゴメンねと謝った後、私はついにこの屋敷の一番奥の部屋にたどり着いた。本日三回目だけど。するとそこでは吸血鬼とメイドがソファに座って話をしていた。
「あのね咲夜、私はこの館のみんながとても大切よ。咲夜もパチェも美鈴も小悪魔も、そしてあの子も。みんな大好きな私の家族よ。さっき言ったことは本当に悪かったわ、ごめんなさい」
「……私はこの館でたった一人の人間で、だからひょっとしたらこの屋敷に私はふさわしくないんじゃないかっていつも不安で」
「……咲夜、私には今ひとつの野望があるの。あなたは知らないかもしれないけど外の世界は今妖怪にとって本当に住み難い所なの。特に魔女のパチェや吸血鬼の私達には居場所なんてなかったわ。けどここに来て自分たちの居場所が、守りたい家族ができたの。私はね一度でいいからみんなでピクニックに行きたかったのよ。この有限は時間だけれど、その中でみんなと一緒に、どんよりした曇り空でもなく、いつも見慣れた星空でもなく、綺麗な紅空の下で思い出を作りたかったの。だから私はこの異変を起こしたの。これがわがままな私の野望よ。……咲夜、私は誰も欠けてほしくないの。だからそんな悲しい事言わないで……」
「お嬢様!」
無事仲直りは終わったようである。いい話だし感動したけどそんなことはどうでもいい。……いや、どうでもいいは言い過ぎた。私はどうすればいいの?もう帰っちゃダメかな?なんかいい話っぽいしもうこれでおしまいじゃダメかな?
「……ところで待たせたわね、博麗の巫女。何度も何度も本当に苦労をかけたわね」
「……全くだわ」
「聞いての通りまだ負ける訳にはいかないのよ、みんなとの思い出を作るために!」
やめてー!なんで私に気づいちゃうのよ!もう帰ろうと思ってたのに!もういいじゃない、ちょっとくらい紅い霧が出てたっていいじゃない、幻想郷は何でも受け入れるらしいし……。もうほっといてあげようよ……。
「たとえわがままだとわかっていてもね、私は叶えたいのよ。それだけ私にとって家族は大事なのよ。私達はあなたを倒してピクニックへ行くの!」
もうやだ、なんか私が悪者のボスみたいだよ……。私を倒しても第二、第三の私がいるとか言ったほうがいいの?もう三回目だけどね!やるからには退治しないといけないし、なんでこんなことになってるのよ……。これ本当に倒してお賽銭増えるの……?というより倒しちゃっていいの……?
・独自設定少々あり
・まだまだ修行中の身
それでもよろしければお付き合いお願いします
プロローグ
「では前々から話に上がっていた件、『スペルカードルール』を普及させる方法についてですが」
幻想郷のパワーバランスを担うものを全員集めた会議で八雲紫が徐に話し始めた。この会議は定期的に行われ、八雲紫を議長としてこの幻想郷をより良いものにするためにいろいろなことが話されている。そしてここ最近の話題は新しく作られた『スペルカードルール』をいかにして普及させるかということだった。
「やはり異変を通して普及させるのが一番と思われます。そしてその異変の記念すべき最初の首謀者は……レミリア・スカーレット、あなたにやってもらおうと思うのだけどどうかしら?」
「……え?私?なんで?」
会議で出されたお茶菓子に夢中になってるといきなり自分の名前が指名された。関係ないと思っていただけにかなり驚いた。
「一つ目の理由は『吸血鬼異変』よ。あの事件の首謀者がこのルールを守ることは今後の抑止につながると思うの。それにあなた達を幻想郷に受け入れるために必要なことだと思うから。
二つ目の理由は影響力。(妖怪としては)若いあなたが楽しそうに弾幕ごっこをしてれば他の若い子たちに馴染みやすいだろうし、紅魔館の主がこのルールを受け入れたなら頭の硬い年寄り連中も動かざるを得ない。
三つ目の理由はあなたの従者。あの子には将来異変を解決する側に回ってもらいたいから早めに博麗の巫女と繋がりを持っていて欲しいの。
四つ目の理由は……あなた一番って好きでしょ?」
異変を起こすことは別に嫌なわけじゃないし、理由も納得の行くものだった。それに私も自分の目論見を叶えるのに都合がいい。長年の野望が叶うかもしれない。
「いいだろう八雲紫。この誇り高き吸血鬼、レミリア・スカーレットが協力してやろう!」
「感謝するわレミリア。反対意見は……なさそうなので決定ね。じゃあこれから異変につおいて話すけど」
八雲紫からは異変の条件が決められた。
・最後には博麗の巫女(少なくても人間)が異変を解決すること
・極力死者は出さないこと
・巫女が動くレベルでありながら、あまり周りに迷惑をかけすぎない異変にすること
・あまり長い間異変を継続しないこと
・あまりひどいと『幻想郷の管理者』として八雲紫が出向く
というものだった。条件を見ても私の野望を叶える障害は見当たらなかった。
「じゃあみんなに説明するわ。私の起こす異変『紅霧異変』の概要を!」
「いいけど、その前に口元のあんこふいときなさい」
「……いつからついてた?」
「最初から」
本編
門番を倒し、魔女を倒し、メイドを倒しやっとこの館の一番奥にたどり着いた。初めての異変にしては順調だが流石に最後まで気を抜くつもりはない。異変の首謀者がここにいると私の勘が告げているからだ。
「そろそろ姿、みせてもいいんじゃない?お嬢さん」
「やっぱり、人間って使えないわね」
案の定赤いドレスの少女が出てきた。見た目からして吸血鬼なのだろうか、少なくても雰囲気などからもこいつが首謀者で間違いないだろう。ただものではないといった感じがするし、間違いなく強敵だ。
「さっきのメイドは人間だったのか」
「あなた、殺人犯ね」
「一人までなら大量殺人犯じゃないから大丈夫よ」
……え?さっきの奴人間だったの?!死んでないといいんだけど。人殺しとなっちゃますますお賽銭が少なくなる可能性がある。一人までなら間違えちゃったで許してもらえればいいんだけど。
「で?」
「そうそう、迷惑なのあんたが」
「短絡ね。しかも理由がわからない」
あんたを倒せばみんなが感謝してお賽銭をくれるかもしれない。それにこの天気じゃ作物の育ちが悪くなるのも目に見えている。野菜の値段が上がったら死活問題だ。日々生きるために私は必死なのである。
「とにかく、ここから出て行ってくれる?」
「ここは私の城よ?出ていくのはあなただわ」
「この世から出て行ってほしいのよ」
……あれ?今の私のセリフすごい悪役っぽくない?私はいいことをしてその結果お賽銭が増えるはずなんだけど、少し心配になってきた。
「しょうがないわね。今、お腹いっぱいだけど……」
「護衛にあのメイドを雇っていたんでしょ?そんな、箱入りお嬢様なんて一撃よ!」
「咲夜は優秀な掃除係。おかげで、首一つ落ちてないわ」
つまりあのメイドがいなかったらこの屋敷はそこら中に首が落ちていると。想像したらとんでもないわね。……ちょっとだけあのメイドがいたことを感謝したくなった。
「あなたはつよいの?」
「さあね。あんまり外に出して貰えないの。私が日光に弱いから」
「……なかなかできるわね」
目の前の吸血鬼の力がどんどん高まっていく。恐ろしくないといえば嘘になる。だが負ける訳にはいかない、主にお賽銭のために。緊張が高まっていき、鼓動が早くなる。もうすぐお喋りの時間は終わるだろう。本番はこれからだ。
「こんなに月も紅いから本気でこりょしゅわよ!」
「……え?今なんて言ったの?」
「えー、こほん……こんにゃっ……」
「もしかして、噛んだの?」
「……やっぱり、人間って使えないわね」
「使えないのわあんたよポンコツ吸血鬼!最初からやり直そうとすんな!え?何?あの緊迫の場面で自分の決め台詞噛んだの!?」
「うるさいわね!緊張したから噛んじゃったのよ!咲夜ーちょっと来てー!」
「なんでしょうかお嬢様」
「ちょっとこいつを屋敷の外まで追い出しといて」
「かしこまりました」
「え?ちょ」
◇
……メイドが突然現れて吸血鬼と話したかと思うと、いつの間にか私は屋敷の門の前にいた。メイドが時を止めたのだろうか、まさかのふりだしである。
「えーっとさっき通った巫女さんですよね?どうしたんですか?」
「私が聞きたいわよ……」
「ひょっとして門番の仕事はまだ終わってないんですか?勘弁して下さいよ……」
「それはこっちのセリフよ……」
苦労したが門番を倒し、喘息で倒れてる魔女に少し八つ当たりをした後、なんとかさっきの吸血鬼のいた場所までなんとかたどりついた。メイドがいなかったのは不幸中の幸いかもしれないがそれでもかなり疲れた。こんな調子であいつを倒せるのか心配していると
「お嬢様、かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこあわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ。はい 」
「かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこあわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ」
「にわの庭には二羽の鶏は鰐を食べた。はい」
「にわのにわにわにわのにわとりわわにおたべた」
「……東京特許許可局長今日急遽休暇許可拒否。はい」
「とーきょーとっきょ……きょひ……?」
「……少々心配ではありますがこれで大丈夫だと思いますよ、お嬢様」
「ありがとうね、咲夜。助かったわ」
「ところでお嬢様、先程からあちらで巫女が待っておりますが」
「え、うそ!」
……どうやらやっと気づいたらしい。正直今の間に不意打ちを食らわしても良かったと思うのだが、あまりにも一生懸命やってるのでなんか悪い気がした。早口言葉を練習してるくらいだし、多分もう一度あのくだりをしたほうがいいのだろう。
「……そろそろ姿、見せてもいいんじゃない?お嬢さん?」
「……せっかく付き合ってもらってるところ悪いんだけどちょっと待っててね?咲夜ーちょっと来てー!」
「なんでしょうかお嬢様?」
「私の部屋にパチェの作った台本があるからとってきてくれない?」
「かしこまりました」
なんかそんな気はしてたけど今までのセリフはやっぱり台本があったのかよ!だが少し気になることがある。こいつは私の台詞も含めた台本を用意していたということである。未来予知かなにか、それがおそらくこいつの能力なのだろう。なんにしてもこんどこそ手ごわい相手になりそうだ。メイドが台本を渡すとまた呼ばれることがあるかもしれないと思ったのだろうか、今度は隣に付き従った。
「これでしょうか?お嬢様」
「ありがとう咲夜。さて待たせたわね、では……。やっぱり人間って使えないわね」
……明らかに隣のメイドがぴくっと反応した。なんというかものすごい落ち込んでる。ちょっとこれはまずいんじゃないかと思ったが、吸血鬼の方は私のセリフを待っているようだ。
「あー……さっきのメイドは人間だったのか」
「あなた、殺人犯ね」
そのメイドは今あんたの隣でものすごい落ち込んでて今にも泣きそうなんだけど……。いや私は関係ないんだけど、さすがにこれはちょっと気まずい。
「えーっと……一人までなら大量殺人犯じゃないから大丈夫よ」
「で?」
「そうそう、迷惑なのあんたが」
それはもういろんな意味で。あー・・とうとうメイド泣き出しちゃったよ。よっぽどさっきの言葉がショックっだったんだろうか、なんかかわいそうになってきた。
「短絡ね。しかも理由が分からない」
「とにかく……ごめん、隣にいるメイド何とかしてくれない?」
「へ?……えっ咲夜なんで泣いてるの!?
「……すいません、やっぱり私はお嬢様には必要無いのですね」
「え!?いやちょっと待って!……あぁなるほど、違うのよ咲夜。あれはパチェの作った台本に書いてあって」
「今までも恩を返そうと精一杯尽くしてきましたが、独りよがりだったのかもしれませんね……」
「いやちょっと待って!……わかった、ちょっと話さない?誤解をとくためにも少し時間がほしいわ。お願い咲夜」
「……かしこまりました」
◇
「……」
「……あのーすいません。また来たんですか?」
「……どうやらそうらしいわね」
気がついたらまた門の前にいた。どうやらまた連れていかれたらしい。ほんとうにもう勘弁して欲しい。
「仕事ですから仕方ないですね……。もう一度相手をしましょうか」
「いやもう疲れたからいい……。また今度出なおしてくるわ……」
「えーっと、それもちょっと困るんですよ、お嬢様にはまだ伝えられてないのですが、作物とかに思ったより影響あったみたいでそろそろ限界らしいんですよ」
「……なんの話?」
「つまり『ここを通る、もしくは帰りたければ私を倒して行け』ってことです」
「なんでそうなるのよ…」
とりあえず門番を倒した後帰ろうとしたのだが、帰らないように懇願されたので後日お賽銭を入れに来るという約束のもと、後一回だけ頑張って見ることにした。そのあと寝込んでる魔女にさっきはなんかゴメンねと謝った後、私はついにこの屋敷の一番奥の部屋にたどり着いた。本日三回目だけど。するとそこでは吸血鬼とメイドがソファに座って話をしていた。
「あのね咲夜、私はこの館のみんながとても大切よ。咲夜もパチェも美鈴も小悪魔も、そしてあの子も。みんな大好きな私の家族よ。さっき言ったことは本当に悪かったわ、ごめんなさい」
「……私はこの館でたった一人の人間で、だからひょっとしたらこの屋敷に私はふさわしくないんじゃないかっていつも不安で」
「……咲夜、私には今ひとつの野望があるの。あなたは知らないかもしれないけど外の世界は今妖怪にとって本当に住み難い所なの。特に魔女のパチェや吸血鬼の私達には居場所なんてなかったわ。けどここに来て自分たちの居場所が、守りたい家族ができたの。私はね一度でいいからみんなでピクニックに行きたかったのよ。この有限は時間だけれど、その中でみんなと一緒に、どんよりした曇り空でもなく、いつも見慣れた星空でもなく、綺麗な紅空の下で思い出を作りたかったの。だから私はこの異変を起こしたの。これがわがままな私の野望よ。……咲夜、私は誰も欠けてほしくないの。だからそんな悲しい事言わないで……」
「お嬢様!」
無事仲直りは終わったようである。いい話だし感動したけどそんなことはどうでもいい。……いや、どうでもいいは言い過ぎた。私はどうすればいいの?もう帰っちゃダメかな?なんかいい話っぽいしもうこれでおしまいじゃダメかな?
「……ところで待たせたわね、博麗の巫女。何度も何度も本当に苦労をかけたわね」
「……全くだわ」
「聞いての通りまだ負ける訳にはいかないのよ、みんなとの思い出を作るために!」
やめてー!なんで私に気づいちゃうのよ!もう帰ろうと思ってたのに!もういいじゃない、ちょっとくらい紅い霧が出てたっていいじゃない、幻想郷は何でも受け入れるらしいし……。もうほっといてあげようよ……。
「たとえわがままだとわかっていてもね、私は叶えたいのよ。それだけ私にとって家族は大事なのよ。私達はあなたを倒してピクニックへ行くの!」
もうやだ、なんか私が悪者のボスみたいだよ……。私を倒しても第二、第三の私がいるとか言ったほうがいいの?もう三回目だけどね!やるからには退治しないといけないし、なんでこんなことになってるのよ……。これ本当に倒してお賽銭増えるの……?というより倒しちゃっていいの……?
いた?
クスリと笑える所があり面白かったです。
あと、お嬢様が素敵でした
面白かったです。
しかし、この調子でいくと、この幻想郷で他の異変を起こす理由も
『満開の桜の下でお花見したい』『姫のヒッキー脱出』『風祝に友達を作らせる』とかだったりするんじゃないですかね?w
誤字報告ありがとうございます!……気をつけないと。
7さん
私の中で咲夜さんは東方のイケメン枠で、紅魔館の天然枠その2です!
8さん
そう言っていただけると嬉しいです!
20さん
ですよね!この発想はあった!それだけにこれよりも前に書いてる人がいそうでちょっと怖い……。
21さん
一応続きは紅魔郷EX・妖々夢。妖々夢PHまでありますが、需要があるのかわからないので……。一応目安の点数を超える・要望がある等すれば書くつもりではありますが(誤解のないように、この点数も十分に高いと思っているのですが、続編となると……点数で希望してるのが解るくらいということでかなり高く設定しております)今のところは未定です。……結局そのうち書いちゃうような気はするのですがw
皆様感想ありがとうございます!作者になってみて改めて気づいたのですがこの感想ひとつひとつが作品を書く上でのモチベーションに繋がります。今後も感想をいただけると嬉しいです。
シュールかついい話すぎる(笑
話の作りが斬新ですごくツボでした!
続編期待してお待ちしてます!